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ザードの伝説 - (2016/01/19 (火) 18:05:56) の編集履歴(バックアップ)


ザードの伝説

【ざーどのでんせつ】

ジャンル RPG
対応機種 ゲームボーイ
メディア 1MbitROMカートリッジ
発売元 ビック東海
開発元 グラフィックリサーチ
発売日 1991年10月18日
判定 バカゲー
ポイント とりあえず超展開


概要

「ウル」という名の世界を舞台にしたファンタジーRPG。
タイトルの「ザード」とは、この世界における伝説の勇者の名前である。

特徴及び問題点

シナリオ面

王子である主人公は、悪の道に走った双子の兄を倒す為、戦いの旅に出る。
やがて魔物達が魔王の復活を企んでいる事を知った彼は、旅の途中で魔物から助けた魔法使いの少女と共に、神々の力を借りて戦い続け、魔王の手先と化した兄を倒し、遂には魔王をも撃ち破り、世界に平和を取り戻すのであった…。

と、大筋を書けば実に王道のファンタジー冒険物語である。しかし…。

+ ネタバレをしちまうけど かまわないか?

問題は、途中の重要イベントが超展開ばっかりという事である。

  • ヒロインの母親から、娘を仲間にするよう頼まれるのだが、
    • ヒロイン母「この子が生まれた時、神のお告げがありました。いつか南から王子がやってきたらこの子を託しなさいと」
      主人公「実は私もその話は父から聞いていました」
      • プレイヤーは初耳だ。というか父親からどんな風に聞かされていたというのか?「娘を王子に託せというお告げをされた人がいるから訪ねなさい」とでも?やらせじゃないのかそれ
  • ヒロインと2人で、ある町の教会を訪れると、司祭から「神のお告げがあったから式の準備をしていた。君達結婚しなさい」と言われ、いきなり結婚式が始まる
    • そして何の抵抗も心理描写も無く素直に式を行う2人。王子がそれでいいのか。しかし指輪交換の際に主人公が指輪を落として無くしてしまった事で、怒って行方不明になるヒロイン。
      • 恋愛相談を行っている女王に話したら「洞窟で水を浴びて来い」と言われ、浴びて来たらヒロインが再び現れる。そして「やっぱり結婚すれば玉の輿でラッキー♪」と言い出す。式を挙げ直す事はないが、結局これで結婚したらしい。
      • とある宗教団体が行っている「合同婚」の風刺とも思える内容である
      • なお同町では当時深夜に放送されていた、見合い企画が人気の某テレビ番組(紅鯨なあれ)のパロディと思われる会話も繰り出される。
  • で、次の町に行くとヒロインがいきなり妊娠している開通したばかりのトンネルを抜けた次の町で妊娠するというのも意味深である。
    • 出産すると、医者が「その子の名前は『ザード』にしよう。君達が探していた伝説の勇者が実はこの子なんだ」と勝手に名付ける。なんでそんな事わかるんだ!?
    • 勇者ザードの言い伝え自体は、最初の町の時点で語られてはいたが、主人公達が探しているという設定も初耳である。
    • というかそもそもこいつら何歳なんだ?喋り方はどう見ても子供っぽいが。
    • 更に息子を勇者の泉に連れて行けと言われるので、その通りにすると息子が急成長し、仲間になる
      • 「父上、母上、はじめまして。僕は神に呼び出されました」
        喋るんかい。更にこれからすべき事も全て知っている。
      • なお「主人公は勇者ではなくその父親」という設定は、『ドラゴンクエストV 天空の花嫁』の先取りだったりする。
      • それにしても本当に主人公が父親なのだろうか?そういえばヒロインは初登場時、魔法によってモンスターに魅了されていたが…?
    • 神は、主人公達の周囲の人や息子には必要な事をお告げなどで教えるが、主人公夫婦には何も告げようとしない。『2』の設定を考慮するとゴウドはこの時点で既にバグっていたんじゃなかろうか?
  • 某国の王を殺して摩り替っていたモンスターを倒すと、国民は「新しい王様を募集中」と言い出す
    • 因みに本作では「王様」を「おおさま」と表記している。主人公は「おじ」と正しく表記されているのだが…?
  • ラスボスを倒すと短いテキストが流れてすぐにスタッフロールに移行する為、余韻も何も無く終わってしまう。まあこの少し後に夫婦揃って幽閉されたらしいので、長々と描かれても…。

システム面

  • 宝箱は、中身を取ってもグラフィックは変化せず、蓋が閉まったまま。
    • 後半は同じ様な構造のダンジョンばかり出てくる。その上宝箱は開けてもグラフィックが変わらないものだから目印にもできず、現在位置の把握が困難となる。
  • アイテムは個人個人が持つが、1人の持てる数が少ない。預かり所はあるものの、返却の際に金を取られる。
    • また、アイテムを持たせたり装備を変更できたりするのは主人公・ヒロイン・勇者の3人のみ。イベントによって出入りするNPCは「だいじなもの」という名前のアイテムを所有しているが戦闘中にしか使用できず、効果も使ってみないとわからない。
    • イベントアイテムに関しては別に専用の欄があるので、その点で問題は無い。
  • 防御力の効果が薄く、いくら強い防具を装備してもあまりダメージが減らない。
  • すばやさの概念がないため行動順がどうなるかは完全にランダム、逃げるコマンドにいたっても成功するかは五分五分である。
    • ただ逃げるは1ターン1回タイプではなく仲間1人ごとに行動が選択出来るので、逃げられる確率はそこまで低くない。
  • パッケージには「合成音声によりモンスターが断末魔の悲鳴を上げる」事がセールスポイントとして書かれているが、単に敵を倒すたびに叫び声の様な効果音が鳴るだけで、なぜそれが売りなのかが解らない。
    • 音声は複数用意されており、敵毎に上げる声は決まっているが、女性型のモンスターが野太く『ウボァー』と叫ぶなど、選定が考慮されているとは言い難い。
    • また複数といっても再生スピードを変えて音の高さが変わっているだけで実質は一種類である。さらにこの声、開発スタッフが同じ『恋は駆け引き』(発売: ポニーキャニオン)というGBソフトからの流用だったりする。
  • なお本ソフトはGBC以降のGBモードでは修正されてしまったGB独特のグラフィック表示バグをタイトル画面に利用しているため、ゲームボーイカラー及びアドバンスでプレイしようとするとバグってフリーズしてしまう

評価点

  • 敵モンスターのグラフィックのレベルは高い。特に人間型のボスのグラフィックは細かく描き込まれている。
    • しかしザコの中には「目玉の様なものが3体横に並んでいるだけ」「4本足の小さな動物が何匹も集まっている」という、よくわからない姿の敵も多い。
      • 名前にしても、オークやクラーケンなどオーソドックスな敵もいるが、殆どは意味不明なものばかりである。
  • BGMは数こそ少ないが、1曲毎の質は高い。
    • しかし戦闘のBGMは、前述の断末魔が上がる度に最初から流し直される。
    • さらにエンディングのBGMはタイトルBGMの使いまわし、スタッフクレジットも町のBGMの使いまわし。前述の通り少々余韻には浸り辛い。

総評

舞台設定はオーソドックス、システムも特別おかしなものはない。しかし妙なところでばかり個性を発揮しまくっている。そんなゲームである。「プレイヤーの発想の斜め上を行く」、この言葉が相応しい。
ゲームボーイの初期にはこんなRPGもあったんだよという、ネタにはなる作品である。
問題は上記の通り、ハードによってはフリーズするため現在プレイするには注意が必要だということだろうか。

その他

  • 主人公のデフォルト名は「ジェイク」だが、一時期加わる仲間に「ジェイ」という紛らわしい名前の男がいる。なぜ名前を被らせるのか?
  • 町の名前は、医者の登場するイーシャの町、2つの国の間にあるアイーダの町、有名な魔導士が住むマドウの町など、あんまりなネーミングのものばかりである。
    • 流石にまずいと思ったのか、次作では「イーシャ・タウン」「マドウ・シティ」など、英語で呼ぶ様になっていたが焼け石に水だろう
  • 主要パーティキャラには専用のグラフィックが用意されておらず、主人公は城の兵士、ヒロインは町娘、勇者は国王と同じグラフィックになっている。道理で『2』では皆モブ顔だったわけだ
  • ヒロインが武器として装備できるアイテムは「靴」である。蹴飛ばしているのか?

その後の展開

  • 2年後に同じ開発元によるシリーズ第2作『ザードの伝説2 偽神の領域』が発売された。
    • しかし世界観こそ同じではあるが、システムはRPGとしてはオーソドックスだった本作はおろか、他のどんなRPGにも見られない極めて特異なものに変更されており、実質ほぼ別の作品となっていた。
    • 本作のパーティキャラも、登場こそするものの、会わなくてもクリアできる脇役として扱われている。