ザードの伝説
【ざーどのでんせつ】
| ジャンル | RPG |  | 
| 対応機種 | ゲームボーイ | 
| メディア | 1MbitROMカートリッジ | 
| 発売元 | ビック東海 | 
| 開発元 | グラフィックリサーチ | 
| 発売日 | 1991年10月18日 | 
| 定価 | 3,980円(税別) | 
| セーブデータ | 1個(バッテリーバックアップ) | 
| 備考 | GBC及びGBAではプレイ不可 | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | オーソドックスなRPGだがシナリオの一部が超展開 不安定なエンカウント&単調で長い後半ダンジョン
 謎のセールスポイント「モンスターの断末魔」
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概要
ビック東海から発売されたファンタジーRPG。開発は過去に『小公子セディ』、『キャプテン ED』などを手掛けたグラフィックリサーチ。
256画面分の広大なフィールドマップやモンスターの断末魔に合成音声を使用していることなどをパッケージ裏でアピールしている。
「ウル」という名の世界が舞台で王子である主人公が悪の道に走った兄の討伐と世界の混乱を治めるために旅に出る物語。
タイトルの「ザード」とは、この世界における伝説の勇者の名前である。
特徴
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オーソドックスな『ドラクエ』タイプのRPG。以下、特徴的なシステムを記述する。
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最大4人パーティ。仲間キャラはアイテムの所持・装備の変更な可能なキャラ(主人公の王子・ヒロイン・伝説の勇者の3人)とそれ以外のキャラに分かれる。
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それ以外のキャラは戦闘中に固定所持のアイテムや魔法を無制限に使用できる。
 
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戦闘後のレベルアップでキャラが強くなっていくシステムだが、経験値の表示がない。
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レベルアップの頻度は多く、普通にプレイしても最終的にレベルが50~60台になる。
 
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消費アイテムや魔法は『魔界塔士Sa・Ga』のような回数制。同じアイテムでも使用回数が違うものが売られていたり、宝箱から入手することがある。
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魔法は使用できるキャラが装備コマンドで最大8つある装備枠にセットして使用する。
 
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アイテム所持数はキャラ一人につき8つ。装備中の武器・防具(盾・体防具・頭防具)・魔法は除く。
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重要アイテムは別枠扱い。移動中にセレクトボタンで確認できる。
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持ちきれない分のアイテムは預かり所で有料で預かってもらう。最大で32個。
 
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戦闘は『ドラクエ』のような敵を正面から見たような視点の戦闘画面。
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コマンドは「戦う」「魔法」「アイテム」「防御」「逃げる」の5つがアイコンで表示される。
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素早さの概念が無く、敵味方全員がランダムな順で行動する。
 
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HPが0になり戦闘不能になってもHP回復アイテムや魔法、宿屋の宿泊で復帰させられる。
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データセーブは宿屋で行う。全滅時はゲームオーバーでタイトル画面に戻される。
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ゲーム後半で手に入る船は重要アイテムとして携帯でき、陸から海に移動するだけでどこからでも乗ることが可能。
 空飛ぶ乗り物も仲間の一人に乗るという方式で、フィールド上でAボタンを押すことで乗り降りする。
評価点
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ポイントの通り、シナリオの大筋はオーソドックスな王道RPGである。
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賛否ある展開もあるが、キャラクターのセリフはそれなりにあり、個性が描写されている。
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ゲーム後半は敵側の攻勢により、それまでに寄った城・町の人々が大勢攫われ死者も出るなど、緊迫感のある展開がある。
 
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敵モンスターのグラフィックのクオリティが高い。特に人間型のボスのグラフィックは細かく描き込まれている。
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しかし中には「目玉の様なものが3体横に並んでいるだけ」「4本足の小さな動物が何匹も集まっている」という、やや手抜きなグラフィックも見られる。
 
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BGMは9曲、ミュージックエフェクトは3曲と数こそ少ないが、1曲毎の質は高い。
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戦闘BGMは通常・ボス・ラスボスの3つ分が用意されているが、エンディングBGMとスタッフロールBGMがそれぞれタイトル・町のBGMの使いまわしになっている。
 
賛否両論点
    
    
        | + | ネタバレにつき格納 | 
ゲームの前半でヒロインと2人である町の教会を訪れると、「神のお告げがあったから式の準備をしていた」との事でそのまま同意なしでいきなり結婚式が始まる。
しかし指輪交換の際に主人公が指輪を落として無くしてしまった事で、ヒロインが怒って行方不明になってしまう
その後、紆余曲折あってヒロインと仲直りするが、その際ヒロインは「せっかくの玉の輿だもん うふ!ラッキー!」と言い出し主人公は絶句。
 
その後、次の町に行くトンネルの中で「ヒロインの顔色がよくない」と他人に言われ、そのまま次の街の医者に診せるとヒロインの妊娠が判明する。
ヒロインはまたも一時離脱し、その後あるダンジョンを攻略後に出産。その後に医者が800年ごとに魔王と戦う勇者と同じ名前を赤子に命名し、共に精霊の湖に行けと言う。
精霊の湖に到着すると、精霊の力によって赤子が青年となり伝説の勇者として仲間となる。
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この他にも、イベントでプレイヤーが知りもしない事柄が唐突に話題に出たりすることがある。容量の都合もあるだろうが、ご都合主義に見えやすい。
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町の名前に医者の登場するイーシャの町、2つの国の間にあるアイーダの町、有名な魔導士が住むマドウの町など、ダジャレのようなネーミングが使われている。気になる人は気になる要素だろう。
問題点
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エンカウント率が不安定。
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50歩以上エンカウントしないことがある一方で1歩・数歩エンカウントが多発したりもする。
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エンカウントを抑制する手段はない。
 
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ゲーム開始直後の戦闘バランスが不安定ぎみ。
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主人公1人のみのパーティで敵味方の行動順が完全ランダム、出現数も最大の3体であることが多い上に、ほぼ全ての敵がドラクエでいう痛恨の一撃を出してくる。
 そのため、回復が間に合わずゲームオーバーになってしまいやすい。
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逃げるコマンドは成功率が低く、パーティキャラごとの逃走判定になるため少人数だとさらに逃げづらい。
 
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ステータスの防御の効果が薄く、レベルアップして基礎値が上がったり強い防具を装備してもあまりダメージが減らない。
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一応、本作の防具は防御だけでなく攻撃値や魔法の威力が上がる魔術の値が上昇するようになっているため、丸っきり無駄な装備というわけではない。
 
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シナリオ進行において、次の目的地への情報の提示がイベント中の1回きりで聞き直しができないことが多い。
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また、情報を聞いた場所から示された方角へきっちり移動してもたどり着けないようになっているダンジョンがゲーム後半に存在する。
 
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後半のダンジョンが総じて長丁場。
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基本的に「キャラ4人分の幅の通路」が長ったらしく続く。途中に分岐があったり、フロア全体が格子状だったりと迷いやすい構造になっている箇所もある。
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容量の節約か、階段を昇降しても同じ地形が何度も繰り返されるという光景も。
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上記のエンカウント率が不安定なこともあり、戦闘頻度も高い。ダンジョン内セーブはできないため、ダンジョン攻略には時間がかかることを念頭に置く必要がある。
 
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宝箱は、中身を取ってもグラフィックは変化せず、蓋が閉まったまま。
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容量節約の一環からか、メインキャラの歩行グラフィックが他のモブキャラのものを使い回ししている。
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主人公の歩行グラフィックも細部が違うものの、他のモブキャラの改変になっている。
 
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セールスポイントである「モンスターの断末魔の合成音声」がいまいちポイントになっていない。
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断末魔は複数あるのだが、再生スピードを変えて音の高さが変わっているだけで実質は一種類。また、上がる度に戦闘のBGMが最初から流し直しになる。
 
総評
舞台設定・システムともにオーソドックスであるが、一部のシナリオの超展開やモンスターの断末魔など、ところどころで珍妙な個性を発揮している。
エンカウント率の不安定さ・後半ダンジョンの長さなどの問題点もあり、プレイした人にとっては良くも悪くも印象に残りやすいゲームと言えるだろう。
その後の展開
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1993年2月19日に同じ開発元による続編『ザードの伝説2 偽神の領域』が発売された。
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世界観こそ同じではあるが、RPGとしてはオーソドックスなシステムだった本作に比べ、個性の塊と言えるような作品に仕上がっている。詳しくは当該記事を参照。
 
余談
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本作はモノクロGBハード独特のグラフィック表示バグをタイトル画面に利用しているため、このバグが修正されているゲームボーイカラー及びアドバンスでプレイしようとするとタイトル画面でフリーズしてしまい、プレイできない。
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主人公のデフォルト名は「ジェイク」だが、一時期加わる仲間に「ジェイム」という紛らわしい名前の男がいる。
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モンスターの断末魔に使われている合成音声は開発スタッフが同じ『恋は駆け引き』(発売:ポニーキャニオン)というGBソフトからの流用である。
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ゲーム前半の超展開が起こる町の町人のセリフに「東の公園でね?とん べ!く?゛ら!゛んの録画撮りしてるぜ」というものがある。
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当時深夜に放送されていた、見合い企画が人気の某テレビ番組のパロディと思われる。
 
最終更新:2024年04月13日 17:31