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The Last of Us - (2015/02/02 (月) 06:41:21) の編集履歴(バックアップ)
THE LAST OF US
【らすとおぶあす】
ジャンル
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サバイバルアクション
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対応機種
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PlayStation3
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メディア
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BD-ROM 1枚/ |
発売元
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ソニー・コンピュータエンタテインメント
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開発元
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Naughty Dog
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発売日
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米:2013年6月14日 日:2013年6月20日
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定価
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5,980円(税込)
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プレイ人数
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1人(オンライン時8人)
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通信機能
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PlayStation Network対応
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レーティング
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CERO:Z(18歳以上のみ対象)
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分類
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良作
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ポイント
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美麗なグラフィックと高い表現力 丁寧に創造されたキャラクター及びドラマ ステルスとサバイバルを組み合わせたハードなゲームプレイ 映画そのもののような見応え プレイ部分に多少のマンネリ部分 映画的ゲームが故のプレイ中の制約 たまに発生するバグ
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概要
2011年末の海外ゲーム見本市場の場で公式発表されて以来、アンチャーテッドシリーズを手がけたノーティドッグ最新作かつ初のCERO:Z区分のタイトルであったこともあり、発売まで多大な期待を寄せられていた本作。当初は詳細な内容は発表せず、登場するキャラクター達がどういった関係でどういった世界観なのかは曖昧のままで進められた。それはこのゲームが映画そのものであるかのような演出を前面に押し出しているということもあり、ネタバレは極力抑えていたからだと思われる。そして満を持しての発売して以降、数多くの場で賞賛の声が湧き上がり、このゲームの出来が広い範囲で認めらることになった。
ストーリー
ある日、強力な細菌によって世界的な感染(パンデミック)が発生。原因不明、出所不明の細菌によって人間は凶暴化。世界は荒廃し、人類は絶滅の危機に瀕していた。以降社会的にも腐敗した世界に生き残った人々は、今だ衰えない細菌への恐怖、貧困から来る絶望に襲われ、生きる目的すらも失いかけていた。
特徴
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ステルスアクションとゾンビゲー
このゲームを端的に表現した場合、ゾンビ相手に立ち向かうプレイヤーという構造になるが、シューティングゲームではなく、敵であるインフェクテッド(いわゆるゾンビ)や人間を必ずしも倒す必要は無い。倒すという行動によってプレイが難しくなる場面もあり、倒すかどうかは全てプレイヤー次第である。拳銃も登場するがシューティングゲームであるような消音装置はなく、発砲すれば当然周りに発砲音が聞かれ、多くの敵を引き付けてしまう結果にもなる。また、見つからない位置に隠れていたとしても、落ちているビンを蹴って音を立ててしまうと、同じく敵に気づかれてしまう。一方でわざと物音を鳴らしたりすることも出来る。
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聞き耳システム
基本的にTPS視点だが、かなり視界が限定されたものになっており、それを補うものとして周りの音を視覚化するシステムがある。聞き耳システムは、ボタンを押している間一定周囲以内で音を発生させたものを壁越しでもシルエットとして見えるようにさせるもので、これを使うことで敵の数や位置を行動する前に把握することが出来る。勿論このシステムの名前の通り、要は聞き耳をしているだけなので、音を殺して待ち伏せしている敵などに対しては無力である。
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サバイバル
手に入れるアイテムは全て武器及び回復などに使えるが、そのまま使えるものが落ちているわけではなく、拾ったアイテムを組み合わせて初めて機能するようになっている。素材が足りなければそのアイテムを作ることはできず、使用することは出来ない。勿論攻撃に必要な鈍器や弾丸も少なく、常に枯渇した状態でステルスアクションを行う。なので戦闘自体もその場その場の持ち物によって影響され、実質的な難易度が変わる。
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丁寧に作られた人間ドラマ
本作の最大の特長とも言えるのが、キャラクターが繰り広げる葛藤と挫折。映画などでは別段珍しくもない終末観を感じさせる設定だが、その設定であるが故のキャラクターそれぞれの考え方が丁寧かつ深く作りこまれており、単純明快なドラマでありながらプレイしている人が感情移入しやすい描写を随所に盛り込み、衝撃のラストへと続く。映画さながらのクオリティと言っても過言ではない。
マルチプレイ
シングルプレイ時に登場したハンター、ファイアフライ陣営に分かれ、資源争奪戦や生き残り戦をプレイしてお互いの陣営を維持する為の物資の確保する事が目的のプレイ。陣営のメンバーが全滅するとゲームオーバーとなる。12週の7日目まで生き残る事が出来ればその陣営ではクリア扱いになり、もう一つの陣営に変える事が出来る。物資確保の為に相手陣営と戦い、相手メンバーを倒したりミッションと言うプレイ中に行う事の出来る課題をクリアする事が必要となる。
プレイが始まるとステージ中には感染者が出て来ない為、完全に人対人のプレイとなる。敵を倒す毎に手に入る物資を使いストアでアイテムを購入し、武器を整えることが基本のスタイルとなる。
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カスタマイズ
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見た目は勿論、エンブレムや身につけてる装備、アクション動作等を設定出来る。他にも武器やアビリティを設定する事も出来るので、自分のスタイルに合わせてカスタマイズする事が重要になる。
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戦闘中のシステムの変更点
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他のTPSゲームと似たようなシステムの為、自陣営はマークが表示されるが相手陣営は表示されないので聞き耳がかなり重要になる。しかし聞き耳はシングルプレイ時と違い強化出来ない上、使用時間が限られており一定時間使用したら暫く使えなくなる。聞き耳をどの場面で使用するかも重要になって来る。
評価点
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美麗グラフィックと表現力
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キャラクターの表情や自然の描写などは流石ノーティドッグといったところか。
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いわゆるキャラの(創られたうえでの)ブレが感じられない。本当にいち存在としてキャラクターが出来上がっており、故にプレイヤーが感情移入しやすい。
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登場するインフェクテッドもありきたりなデザインのものではなく、冬虫夏草をモデルにした個性的なデザインになっており、既視感を感じさせない。
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特に終盤「ソルトレイクシティ」で現れるとある動物のシーンは正に素晴らしいの一言、感動すら覚えるだろう。
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ストーリー
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本作の最大の評価点。主人公であるジョエルとエリー、サブキャラクターであるテス・ヘンリー・サム達一人一人に個性があり、非常に感情移入しやすくプレイヤーの心に訴えかけてくる。
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ジョエルとエリーの二人は、最初は互いに嫌悪感すら感じるほどの仲ではあるが、物語が進むに連れ互いが互いを無意識の内に信頼し、大切に思うようになってゆく。その「過程」こそが非常に練り込まれており見どころなのである。
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終盤の舞台である「医療施設」は、クライマックスのシチュエーションを意図的に20年前と同じに作ってあり、改めてノーティドッグの演出の上手さが伺える。
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中盤のヘンリーとサムの結末は衝撃の一言。雷に打たれたかのような感覚に陥る事だろう。
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エンディングは決してハッピーエンドではないが、それ故にプレイヤーが深く考察でき、考えさせられるものになっている。
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品質
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SCEファーストタイトルの定番である裏読みロードを採用。ゲーム開始時に1~2分ほどのローディングが入るが、以降ゲームクリアまで挟む事はない。
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ムービーからプレイ画面への変化も、一秒ほどの暗転で切り替わるだけで冒頭以外ロードらしいロード時間がなく、クリアまで一気にプレイ可能。
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『アンチャーテッド3』の時点で「MLAA」「安定したフレームレート」「ティアリングの無さ」「ジャギの無さ」という高い品質だったが、本作ではそれらに加え更に「ネイティブフルハイビジョン」を追加、極めて高品質なプレイ環境を提供してくれている。
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ちなみに『アンチャーテッド3』でノーティドッグは「PS3の性能を使い切った」と発言していた。ユーザーからは「と言いながらどうせ次で超えてくるんだろ」と言われていたが、案の定であった。
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緊迫感が凄まじいステルスアクション
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思わずプレイしている自分も小声になるぐらい、緊迫感を感じられる。
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聞き耳で位置を把握していたとしても、敵が複数人となれば、一人を処理しても他が攻撃してくる。いかに一人ずつ気づかれないように倒すかの思考が問われる。
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最高難易度であるサバイバルだと聞き耳システムが使えなくなるうえ、落ちている物資も極端に減ってしまう。正に一歩一歩が生死を分ける。
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子供が父親の背中を見て育つように、エリーはジョエルの行動を見て成長していく。積極的に敵を倒してゲームを進めるとエリーもそのような行動を取るようになり、逆に隠れて進む・隠れて敵を倒すようなやり方でゲームを進めると、エリーもステルス行動に重きを置いた行動を取るようになっていく。
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他の生存者はこちらと同じようにグループを形成し、物資を求めて日々を生きている。当然こちらと出会えば敵対し、自分のテリトリーや物資を守るたため、または奪うために襲い掛かってくる。適度にアフォな調整をされていた『アンチャ―テッド』と違い、本作の敵はリボルバーの空撃ち音を聞きつけたり、体力が減ると命乞いをする等、かなり人間臭く作られている。
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上記の「ジョエルの行動の学習」はエリーだけではなく敵も学習している。どう進めるかで敵の行動・出現パターンも変化するため、例え周回プレイでも気が抜けない。
問題点
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魅力的な世界観ではあるが、「他生存者と感染者との三つ巴の乱戦」という、この世界観ではありがちであろうシチュエーションがない。
DLCの追加ストーリーではこのシチュエーションがいくつか存在している。
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操作キャラクター以外の同行キャラクターにライフは無く、基本的に無敵。
難易度調整とも捉えられるが、武装した仲間と一緒に居る場面では、発見されても逃げ回って味方に敵を倒してもらう事も可能。
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また、プレイヤーが発見されて攻撃モードに移行するまで敵は同行キャラクターに一切反応しない。
ステルス中は同行している味方が敵の眼前を徘徊しようが敵は一切反応しないため、緊張感に欠けたり違和感が生じる事がある。
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倒した敵を発見されると他の敵が警戒する様になるが、それを回避する手段が無い。ステルスアクションとしては死体を目に付かない所に運ぶくらいはしたい。
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多少のバグ
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ゲーム進行に影響する重大なバグではないが、表示上のバグ(キャラクターが棒立ち状態になったりする等)が多く報告されている。
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再現性もバラバラで、バグが出た人もいれば今日までバグが出たことないという人もいる。パッチでかなり改善された。
総評
昨今のビジュアル重視という悪いほうにも傾いてしまうことがある要素をトコトン追求して、ゲームらしからぬ高いクオリティの脚本を完成させた本作。
プレイ部分もぬかりなく、非常にわかりやすい緊迫感を与えるようになっており、ライトゲーマーでも耐えられる作りになっている。
一筋縄ではいかないキャラクター達の思いは、プレイしている人に訴えかけるかの如く重く圧し掛かり、ラストへと進める様はまさしく映画であり、「映画的なゲーム」で成功した数少ない作品のひとつと言ってもいい。
ただし、良くも悪くもストーリーありきのゲームとなっている部分もあり、若干人を選ぶかもしれない。