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バテン・カイトス 終わらない翼と失われた海
【ばてん・かいとす おわらないつばさとうしなわれたうみ】
ジャンル
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君とはじめて出会うRPG
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対応機種
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ニンテンドーゲームキューブ
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発売元
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ナムコ
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開発元
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モノリスソフト、トライクレッシェンド
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発売日
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2003年12月5日
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定価
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7140円
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分類
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良作
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概要
ゼノサーガシリーズで知られるモノリスソフトと、スターオーシャンシリーズのサウンドなどを手がけていたトライクレッシェンドが提携して製作した作品。
ゲームキューブにはいわゆる大作RPGというものがなかったため、RPG好きなユーザーの期待を背負って発売された。
ハード自体がそれほど売れていないこともあって売り上げはそこまで高くはないものの、プレイヤーからの評価は高い。
特徴・評価点
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世界観
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biohazardでも使われた動画背景の技術を用い、「空に浮かぶ大陸」というファンタジーな世界観をグラフィックで丁寧に表現している。
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雲に包まれた大陸や異次元の狭間の闇の中で幻想的な光を放つ大陸など、メインとなる5つの大陸はどの大陸も独創的で美しい。
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それぞれの大陸の特徴は住民の服装や街の風景などにもしっかりと反映されており、街の中を調べた時のテキストも、想像力を刺激するものになっている。
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シナリオ
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シナリオは最初から最後まで綺麗にまとまっており評価は高い。『クロノ・トリガー』や『ゼノギアス』で脚本や演出を担当してきた加藤正人氏が担当している。
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プレイヤーは『主人公に憑いた精霊(異世界の生命体)』という立場で物語に関わることになり、主人公は要所要所で精霊という位置づけのプレイヤーへ判断を仰ぎ、物事の選択をしてもらうという一風変わった構成になっている。つまり、従来のRPGのように『主人公=プレイヤーの感情移入の対象』という図式になっていないのだが、これにはシナリオ構成上、大きな意味が持たされている。
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ゲーム画面にプレイヤーの姿はないものの、プレイヤーも物語の登場人物の1人ということである。
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プレイヤー自身を『第三者的立場で物語に関わる存在』と位置づけることで従来のRPG作品とはまた違った角度からシナリオの没入度を深めており、更にその設定自体が中盤から後半にかけてのどんでん返しに大いに活かされているのである。その巧みなシナリオ構成と意表を突いた驚きの展開、王道ながらも熱い展開に発展していくストーリー運びが高く評価された。
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後述する戦闘のテンポの悪さもあって、前半(DISC1の途中)でやめてしまうプレイヤーもいるのが惜しいところ。
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音楽
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スターオーシャンシリーズやテイルズシリーズなどで有名な桜庭統氏が担当している。
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桜庭氏自身が続編を望むほど力が入っており、丁寧に作られたファンタジーの世界を盛り上げてくれる。
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サウンドテストが搭載されており、メニュー画面を開けるタイミングならば一度ゲーム中で流れた曲はいつでも聞くことが出来る。
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通常戦闘曲『The true mirror』など戦闘曲への評価が特に高く、戦闘時間が長くなりがちな本作であるが、曲のおかげで気にならなかったという人もいるほど。
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マグナス
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アイテムや装備品などをマグナスというカードに変化させて持ち歩き、必要に応じてカードから取り出す、という設定になっている。
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全部で1022種類あり、本作の大きなやりこみ要素となっている。メニュー画面のマグナスの項で、何種類集めたのかを確認することが出来る。
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それぞれのマグナスには簡単な説明文があり、マグナスと同じく真面目なものから笑えるものまでバリエーションは豊富。
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マグナスの中には、時間が経つと別のマグナスに変化するものもある。例えば、「ロックアイス」のマグナスは「ミネラルウォーター」のマグナスに変化する。
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SPコンボといい、戦闘中に特定の順番でマグナスを出すと、戦闘終了後に新しいマグナスを入手出来るシステムがある。
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「松の木」+「ファイアバースト(炎属性の魔法)」→「炭」といったシンプルなものや「えび」+「釣り竿」→「鯛」というような洒落の効いたものまで様々な変化があり、新しいマグナスを入手するという効果だけでなく変化そのものも面白い。中にはこのSPコンボでしか入手できないマグナスもあり、色々試しながら組み合わせを探すのが楽しい。
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前述したマグナスの説明文の中には、SPコンボのヒントになるものもあるので、新しいマグナスを入手したらチェックしてみると良いだろう。
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ただし、一部のマグナスは入手出来る期間が限られていたり、入手方法が理不尽だったりする。隅々までプレイすれば初プレイでも900種類以上集めることが出来るが、攻略情報無しに全てを集めるのは非常に難しい。
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戦闘システム
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マグナスバトルというシステム。
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前述したマグナスは、戦闘においてはアイテムであったり、魔法や必殺技であったり、逃走や通常攻撃といったコマンドであったりする。これらのマグナスをゲーム中に収集し、それぞれ組み合わせてキャラごとに30~70枚のデッキにする。
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ターン制のバトルではあるが、ドラクエやFFタイプのRPGにおいては、基本的にプレイヤーは何をするか自由に行動を選択できるのに対し、マグナスバトルでは戦闘に入るとデッキの中にあるカードの中からランダムで何枚か並べられて表示され、常に提示されたカードの中から行動を選んでいく。提示されたカードは選択すると消え、代わりに別のカードが新たに引かれる。一回の行動でカードを引ける最大の枚数は決まっているが引く時間に制限があり、早く引かないと行動が終了してしまう。
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攻撃や回復といったコマンドがマグナスの選択で行われるイメージをしてもらえると分かりやすい。
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マグナスには精霊数と呼ばれる1~9までの数字がそれぞれ付与されており、選んだマグナスの精霊数をポーカーのように揃えることで、プライズが発生し、与えるダメージや回復量がアップする。(防御ターンの場合はダメージを軽減できる)
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序盤に手に入るマグナスに精霊数は1つしかないが、ゲームの進行に合わせて付与される精霊数の数も増えていき、終盤は最大で4つの精霊数が付いたマグナスを入手できる。
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一度に選べるマグナスの枚数が2,3枚の頃はプライズが発生しても数%にしかならないため、あまり意識する必要はないが、5,6枚ほど揃えられるようになると、プライズは数十%になり、無視できない存在となる。
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また、光属性の攻撃と闇属性の攻撃といった「反対属性」同士を組み合わせるとダメージが減少するなど、マイナスの効果の組み合わせもある。
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反対属性に注意しつつプライズを狙っていくために、限られた時間でカードの選択はよく考えないといけない。
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デッキの組み合わせの自由度の高さ、行動時間内にカードを消費し新たなカードを引く切り回しの速さが要求されることなどから、プレイヤーの慣れやデッキ構成の戦略が重要になり、マンネリになりにくい。
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とはいえ、実際にプレイしてみると問題点が多い。詳しくは後述。
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その他
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ロードがほぼなく、快適にゲームを進めることが出来る。
問題点
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戦闘のテンポが悪い。
本作一番の問題点。
中盤以降は敵も味方も一度に5回も6回も行動するため、一回の戦闘時間がとても長い。そうなってしまった原因はいくつかある。
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運の要素が強い。
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バランスよくデッキを構成したとしても、プレイヤーの思い通りに行動できないことが多い。攻撃がしたいのに防御マグナスばかり来てしまったり、回復がしたいのに回復が出来るマグナスが引けないといったことが良くある。
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逆に、マグナスを上手く繋げることさえ出来れば、一度の行動で大ダメージを与えたり、受けるダメージをかなり抑えたりすることが可能でもある。
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全体攻撃が存在しない。
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防御ターンの関係上、敵味方ともに全体攻撃が存在しない。一度に登場する敵は最大3体までではあるが、まとめて倒すということが出来ないので、一体一体倒す必要がある。
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一部の敵は他の敵を復活させる技を持っているので、その技を使われてしまうと更に長引いてしまう。逃げるのにも「逃走」のマグナスを引かなくてはならないため、基本的には面倒でも倒してしまったほうが早いことが多い。
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キャラクターの行動モーションがあまり速くない。
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マグナスを選びながら攻撃や防御を行うため、速くしてしまうとバトルのスピードにプレイヤーの選択が追いつかなくなってしまうので、仕方のない部分ではある。
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しかし、終盤は一回の行動で選べるマグナスの枚数が多くなるので、思い通りに行動できたとしても戦闘時間が長くなってしまいがち。
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戦闘中だけでなく、デッキを作る際にも少し問題がある。
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マグナスの装備欄は一人につき30~70枚。よって思い切った装備変更をしようとすると非常に手間がかかる。また仲間一人一人装備欄が個別であるのも面倒さに拍車をかける。(普通のRPGではそれが当たり前だが、本作のシステムでは面倒な部分が目立ってしまう)
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コンボが繋がって大きなダメージを叩きだした時の爽快感や、カードゲーム独特の雰囲気、狙い通りに行動できた時の面白さは確かにある。しかし、全体としては問題点が目立つ結果となってしまった。
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次回作では今作の反省点を踏まえて大幅にシステムが変更され、大きな評価点となるほどに改善された。
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いわゆるダッシュに相当するシステムがなく、キャラクターの移動速度が遅い。マップ自体はそれほど広くないのが救いか。
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しかし、終盤の一部のマップでは泥などで足場が悪く、更に移動速度が遅くなってしまう。物語の進行上そのマップは必ず通らなくてはならず、どうすることもできないので我慢するしか無い。
総評
戦闘システムに問題が見受けられるものの、美麗なグラフィックや良質なシナリオ、壮大な音楽によって多くのファンを生んだ。他の作品にはないシステムや設定などで少々癖のあるゲームではあるが、GCというハードを代表するRPGであることは間違いないだろう。
余談
本作のメインテーマである「光星煌めく旅路の果てへ」がゲーム音楽のオーケストラコンサートであるPRESS STARTの2008年公演で演奏され、2013年のファン投票では他の有名作品に比べると知名度では劣るものの、6位に入るという大健闘を見せた。