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3年B組金八先生 伝説の教壇に立て! - (2016/01/21 (木) 09:05:03) の編集履歴(バックアップ)


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3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!/3年B組金八先生 伝説の教壇に立て! 完全版

【さんねんびーぐみきんぱちせんせい でんせつのきょうだんにたて!/さんねんびーぐみきんぱちせんせい でんせつのきょうだんにたて! かんぜんばん】

ジャンル アドベンチャー(メーカー公称:ロールプレイゲーム)

対応機種 プレイステーション2
発売・開発元 チュンソフト
発売日 無印:2004年6月24日
完全版:2005年7月28日
価格 無印:7,140円(税込)
完全版:2,940円(税込)
判定 良作
チュンソフトサウンドノベル関連作品リンク


概要

人気ドラマ『3年B組金八先生』の世界観を借りたアドベンチャーゲーム。

『3年B組金八先生』と銘打ってはいるが、主人公は金八の代打で3年B組を担任する事になる教師。
金八は入院していて助言者的存在に徹している。

特徴

  • ドラマ版で作りにくいイベント(例えば3話の修学旅行や5話『星に願いを』など)やコメディタッチの話(第7話『決戦! 激戦! 体育祭』)、ザッピングを活かしたシナリオ(第4話『鉄ちゃんの恋』『連弾』)などシナリオのレベルは総じて高い。
    • 露骨に感動を誘うとする描写も説明的な口調なども一切ない。ただしネタ回と思われる話はかなりはっちゃけているが。
    • 他のADVと決定的に異なる点はテキストが存在しない事。そのかわりフルボイスかつフルアニメーションであるため、プレイヤーがあたかも参加しているような臨場感を作り出す事に成功している。
      • 1周目の場合はイベントスキップが不可能という歯がゆい仕様ではあるが、そうすることによって登場人物の表情や声を自然に受け止めさせるような工夫もなされている。
    • ゲーム自体は『逆転裁判』の推理パートのような感じ。ただし制限時間が用意されているため実際の緊張感はかなりのものでやり応えもある。
      • ちなみに制限時間を越えると強制的にバッドエンド。
  • 翌年CEROの関係でカットされた2つのシナリオを追加した「完全版」が発売。CERO:Cというだけであって重い内容であるが評価は高いので是非確かめて欲しい。
  • 助言役になっている金八先生の声はしっかり武田鉄矢氏本人。更にはクリア後にドラマで発せられた名言の数々を聞く事が出来るなど原作ファンへのファンサービスも怠っていない。大森巡査の声もドラマ版の鈴木正幸氏が当てている。
    • また、数学教師の高峰通の声は、ドラマ版で乾先生を演じている森田順平氏。
  • サブゲームとして「才能開花」なるものが用意されている。
    • クラスの生徒全てに将来の職業を提示する事で、最後の隠しシナリオが解放されるようになっている。

賛否両論点

  • 金八先生の名前を押し出す必要性の薄さ。
    • 制作者側は最初から「金八先生をゲーム化をしよう」と考えていたわけではなく、「教師がクラスの中で起きる問題を解決する」というドラマを制作しようという考えが先にあり、そこに乗せる形で『金八先生』の世界観を借用したという経緯があったためである。
      実際、本作の携帯アプリ版はタイトルから『3年B組金八先生』のタイトルが削られており、金八先生と大森巡査は別のキャラに置き換えられている。
    • ただし、「既存の作品の世界観をベースにオリジナルのシナリオを乗せる」というのは、ゲームの制作手法のひとつでもあるので、それそのものが悪いわけではない。金八のゲーム化をイメージしていた人にとっては肩透かしになってしまうのは確かだが。
  • 一部のエピソードが他とは明らかに異質な内容であり、「こういう話があってもいい」「学園生活なのにこれはない」という両方の声がある。
+ ネタバレ注意
  • 最後の2話ではそれまでの明るめの空気から一転、終始暗い雰囲気な上に生徒の中から自殺未遂者まで出てくるサスペンス色の濃い展開となる。
    • さらにこの最終話、1周目では絶対に解決に導くことができず、もやもやした気分のままエンディングである卒業式を迎えることになる。
  • 主人公を目の敵にし、事あるごとにクビにしようとしていた教頭が、最終話で急に協力的になる。
    • 彼の腰巾着の男性教師には、主人公と歩み寄るエピソードがあるものの、教頭本人には特にそういった話は無い。
      • 教頭は隠しシナリオの1つで普段と異なった一面を見せるが、やはり主人公の事を見直すような話ではない。

問題点

  • 通常版は発売間際になってシナリオをカットしたため、そのシナリオが唯一の見せ場だった生徒は非常に影が薄いことに。
    • カットされたシナリオのデータ自体はディスクの中に痕跡が残っていたため、完全版の発売前にシナリオが解析されてネットに流出してしまった。
    • また、完全版を含めて一度も話の主役にならない生徒も何人かいる。小説版では彼女らが主役となるエピソードがあり補完されたが、ゲームでやって欲しかったと言わざるを得ないだろう。
      • 因みにゲーム中で「彼女は人一倍正義感が強く義理人情に厚い。ノベライズで活躍する」という紹介文(宣伝文)があるのだが、ゲーム本編では特にそういった性格描写は無い…どころか裏口入学に心を動かされたり、不良と一緒にイジメに加わって高笑いしながら蹴りを入れたりしている。どうしたことか?
  • OP・EDの『贈る言葉』を歌っているのが海援隊ではなく上戸彩氏。
    • 原曲にした場合「何で金八先生が主人公じゃないの?」なんて意見が生じる可能性もある。金八先生が脇役である以上、原曲は下手に流せないのだろう。
    • なお、上戸氏はドラマ第6シリーズで主役級の生徒・鶴本直を演じているため、安易なタイアップと言う訳ではない。
  • スキップ関連が不便。
    • メーカーロゴはスキップできない。
    • アニメーションも台詞も、一度見た事のあるものしかスキップできない。しかも一度には飛ばせず、パート単位でスキップボタンを押さなくてはならない。
    • 生徒の朝の挨拶シーンは、初見のものでもスキップできるのだが、やはり3パートに分割されていて1パートずつしか飛ばせない為、「ロード→デモ再生」が3連発で発生するため煩わしい。
  • ザッピング機能は、そもそも内容的に繋がっているシナリオが上記の『鉄っちゃんの恋』と『連弾』だけであるため、他の章では使う意味が無い。無関係な2つの事件を並行して解決するだけなので、スケジュールが厳しくなるだけである。
    • 上記の2シナリオにしても、片方だけでは内容的に不完全であり、しかも結末は同じ。分割する必要はあったのだろうか?
    • 完全版で第5話をザッピングプレイしていると、それぞれのシナリオのイベントが不自然に交わる為、副担任が主人公に対し不信感を抱いた直後に何事もなかったかのように協力的になるという珍現象が起こる。
  • サブゲームの「才能開花」が問題だらけ。
    • 主役を務めるシナリオをクリア済みである生徒にしか行う事ができない。また周回プレイ時も、その生徒が主役のシナリオでは行えなくなる。
    • しかもラストの2シナリオは才能開花自体が行えない。2周目の同シナリオは行動回数が余ってしまい、暇を持て余す事になるだろう。
    • 全ての生徒に行えるようになるのは、最速でも3周目の最初から(完全版では3周目の4話目から)。更にその3周目中に全ての生徒の才能を開花させるには、1周目から厳しいスケジュールを組んでおく必要がある。下手をすれば才能開花の為だけにクリア済みのシナリオを何度もプレイする事になってしまう。
  • 完全版の説明書には、通常版で没になったシナリオ2本のプレイ条件が載っているが、片方の条件が間違って書かれており、公式サイトで訂正された。
  • 完全版でのみプレイできるシナリオの1つに不具合がある。
    • 6月16日に、あるイベントを見ないと翌日にバッドエンドになるのだが、そのイベントを見ずに翌日に進めてもセーブできてしまう。当然詰む。
+ 完全版でプレイできるシナリオ『社会科教師の異常な愛情』が支離滅裂
  • 社会科の教師が女子中学生に執拗にストーカー行為を働き、果ては監禁までするという内容なのに最後は唐突なギャグ展開でお茶を濁して終わってしまう。彼はその後のシナリオでも何食わぬ顔をして登場する為、お咎め無しだったらしい。
    • 金八は「あの先生も悪い人じゃない」と評しているが、彼は上記の教頭や腰巾着と違って善良な一面を見せることすら皆無である。
    • 人質にされた生徒の両親は現場に駆け付けていたはずなのに、すぐ登場しなくなる。人質が解放されても両親はまったく画面に出てこない。
    • そして冒頭で起こった植木鉢落下による生徒の負傷事件は、すぐに忘れ去られ、それっきり有耶無耶のままとなる。立派な傷害事件、というより未必の故意による殺人未遂なのだが。
    • このエピソードは通常版では没シナリオだったわけだが、整合性を取る前に没が決まって未完成のまま収録したのではとすら思える。

その後

  • 攻略本のスタッフコメントによれば、本作はサウンドノベルシリーズで言えば『弟切草』に当たる存在であり、この後も本作と同ジャンルのソフトを次々と出していく構想だったようだが…結局本作のみに終わった。
  • 通常版と完全版はセーブデータに互換性は無いので、今から通常版を買う価値は無い。
    • ただし攻略本は通常版用しか発売されていない。

余談

  • ゲームが発売されたその年のドラマ版『金八』(第7シリーズ)が歴代有数の鬱展開*1で、その過剰演出がシリーズ脚本家の小山内氏と主演の武田氏からも苦言を呈されるような内容だったため、前向きな終わり方が多かったゲーム版のシナリオが相対的に評価が高くなった。