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ドラゴンクエストモンスターズ2 マルタのふしぎな鍵
【どらごんくえすともんすたーずつー まるたのふしぎなかぎ】
ジャンル
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ロールプレイングゲーム
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対応機種
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ゲームボーイカラー(全GB共通)
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メディア
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32MbitROMカートリッジ
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発売元
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エニックス
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開発元
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トーセ
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発売日
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ルカの旅立ち:2001年3月9日 イルの冒険:2001年4月12日
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価格
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6,400円(税抜)
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分類
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良作
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ドラゴンクエストシリーズ関連作品リンク
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概要
牧場を営む両親とともにマルタの国に引っ越してきたルカとイルの兄妹は、ひょんなことからカメハ王子とワルぼうに出会い、争いになるうちに「マルタのへそ」を壊してしまう。
「マルタのへそ」はマルタの生命力を閉じ込めている大事なもの。このままではマルタが海に沈んでしまう!
とっさにフタの代わりになったワルぼうはモンスターマスターに「へそ」の代わりになるものを探してもらおうとするが、普段の行いのせいで誰にも信用してもらえない。
困ったワルぼうに頼まれたルカ/イルは、モンスターマスターとして「へそ」の代わりになるものを探すことになった。
『ドラゴンクエストモンスターズ テリーのワンダーランド』の続編。前作が『VI』のスピンオフだったのに対して、本作では主人公が完全オリジナルとなった。
『ルカの旅立ち』『イルの冒険』の2バージョンが存在する。
特徴
本作の舞台は前作でライバル国として登場したマルタの国。『ルカの旅立ち』では兄のルカが、『イルの冒険』では妹のイルがモンスターマスターになって異世界を冒険する。
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異世界はフィールドマップになっており、町や城、ダンジョンなどが存在する。ここが前作との最大の違いで、異世界で起こるさまざまな問題を解決していき、全ての問題を解決すると「へそ」の代わりになりそうなアイテムが手に入り、その異世界はクリアとなる。
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最後の異世界に行くまでに手に入るアイテムはどれも「へそ」の代わりにはならないが、ワルぼうの力で「ものを壊す」「海を渡る」「空を飛ぶ」など新たな能力が手に入る。
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全ての異世界をクリアすると無事に「へそ」の代わりになるものが見つかり、ゲームもクリア。以降は前作同様モンスターの育成や対戦、新たな異世界への冒険がメインとなる。
ふしぎなカギ
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本作で異世界に移動するために必要なアイテム。井戸の底にある「ふしぎなドア」にカギを差し込むと、そのカギに対応した異世界に行くことができる(『VII』の「石版」や『IX』の「宝の地図」のようなものと考えてもらうと分かりやすい)。メインストーリーに登場するカギは最初から名前が分かっているが、クリア後に手に入るカギの中には名前が分からないものもあり、「カギ鑑定士」に鑑定してもらうことで使えるようになる。
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正体が分かったカギには「はじめのスライムのカギ」「ひみつのはなぞののカギ」のように名前がつけられる。この名前には法則があり、例の場合は「はじめの」「ひみつの」がそのカギのレア度(出現モンスターの強さ・レア度に対応する)を、「スライム」「はなぞの」が出現モンスターの種族をあらわす。
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これらのカギの世界にも町や城、ダンジョン、ボスモンスターなどが存在し、ボスモンスターを全て倒すまではその世界のモンスターを仲間にすることはできない。
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鑑定で正体がわかるカギの世界は自動生成で作られるため独自のイベントはなく、住人やボスのセリフは何パターンかからの使い回しである。また、同じ名前のカギでもマップの構造や出現するモンスターが異なることがある。
モンスター・特技の追加
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モンスターは新系統「水系」と新モンスターの追加で、全312種となった。
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水系が追加されたことで、前作では出番がなかった海のモンスターが登場。陸上組に比べると地味なラインナップだが、水系のモンスターはバランス良く能力が成長するため、パーティを組むときには重宝する。
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前作の各系統の最強モンスターを超える種族が登場。その結果、「しんりゅう」など一部の「最強モンスター」が他国マスターから奪えるようになった。
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????系でも「しん・りゅうおう」「ジェノシドー」「アスラゾーマ」「サイコピサロ」など歴代魔王がパワーアップしたオリジナルモンスターが追加された。
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「てっぽうみず(→つなみ)」「かんけつせん」などの水系特技や、「ふういんのいのり」(自分にかけられた特技を封印して誰にも使えないようにする)「みずのカーテン」(1ターンだけ敵の特技を全て無効にする)などの補助特技、「おつかい」(ランダムでアイテムを買ってくる)「みみうち」(その異世界にいるモンスターが分かる)「くちぶえ」「フェロモン」(モンスターを呼び寄せる。フェロモンは異性のみを呼び寄せる)などの移動補助特技が新たに追加された。これに合わせて、一部のモンスターの覚える特技が変更されている。
評価点
前作からの順当な進化
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メインストーリーはボリュームこそ少ないものの一つ一つのイベントが丁寧に作られており、1つのRPGとして見ても問題ない。特定のモンスターを連れてこなければならないものが多く、パーティが制限されやすいのがやや残念だが。
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前作の問題点の多くが改善されている。
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前作では原則として異世界ではセーブができなかったが、本作では町・城などがあるためセーブが可能。
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前作ではクリア後に異世界を冒険する目的が少なく作業ゲー化していたが、本作ではふしぎなカギやアイテムなどの収集要素が多く、作業感を和らげている。
そのぶん経験値を稼ぐポイントが少なくなってしまったが、ある程度育成が進んでいれば「まおうのカギ」がその代わりを果たしてくれる。
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モンスターを配合する際に強制的にセーブする仕様がなくなった。
やりこみ要素・隠し要素の増加
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前作同様、モンスターを一定種類以上集めるとイベントが発生。カメハ王子と勝負してカギをもらったり、王様からおたずねものを捕えるミッションを受けたりすることができる。
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ゲームクリア後も「ふしぎなカギ」を入手することができる。クリア後のカギには名前が確定しているものとダンジョンの宝箱や格闘場の景品として入手できる名前の分からないものがあり、前者の中には『ルカ』『イル』のどちらかでしか入手できないものもあり、通信交換などで両方のカギを手に入れるとさらに別のカギを入手できる。
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異世界のダンジョンでたまに手に入る「ゆめみるタマゴ」。何が生まれるかは分からないが、さまざまなアイテムを「お供え」したり他のプレイヤーと交換を繰り返したりすることでレアなモンスターを入手できる可能性がある。
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ゲーム序盤で出会う内気な少女。彼女にぶちスライムをプレゼントしてしばらく経ってから会いに行くと…?
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前作のメインキャラクターであるテリーとミレーユがゲスト出演している。
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テリーは一定条件を満たすと格闘場に出現、話しかけると勝負をすることができる。テリーに勝つと前作と通信してモンスターのお見合いをすることができる「テリーとお見合い」が追加される。
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ミレーユはあるカギの世界に登場。全てのイベントをクリアしたあとに戦うことができるが、一度勝利してしまうといなくなる。
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通信対戦で協力プレイをしたとき、双方が特定の特技を出すことで「連携特技」が使える。連携特技の中には「メドローア」「だいちざん」など『DRAGON QUEST ダイの大冒険』のオリジナル呪文や技を再現したものもあり、ファンを驚かせた。
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「ずかん」にも載らない、配合で生み出すことのできない幻のモンスターが3体おり、全国大会・懸賞などで限定配信された。移植版では他国マスターから仲間にすることができる。
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ラーミア(????系):『III』に登場した伝説の不死鳥。ジャンプ・Vジャンプの抽選の当選者または全国大会の出場者に配信された。
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かくれんぼう(????系):わたぼう・ワルぼうの姿によく似ているが????系。攻略本の懸賞の当選者に配信された。
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じげんりゅう(????系):トップレベルの耐性・成長能力を持つが9レベルまでしか育たず、配合も出来ない。同じく攻略本の懸賞の当選者に配信された。
残念な点
前作の問題点がそのまま残ってしまっている
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「配合を繰り返すとモンスターの個性が消える」「耐性が強化されると攻撃呪文が無価値になる」といった問題点は前作のままで、育てれば育てるほど殴り合いの戦いに。育成系のゲームである以上いたしかたないが、ナンバリング作品でも批判されていた「呪文の無価値化」がいっそう進んでしまっている。
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ただしマダンテが単体攻撃になり弱体化したことによって他の特技が相対的に強化。種族特効の特技を前提としたモンスターの種族選びや、耐性の「穴」を逆利用した敵AIの行動制御、モンスターごとに設定された隠しパラメータ「会心率」の存在により、前作よりも戦略性やモンスター選びの幅は広がっている。
新魔王・ドークのショボさ
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????系の新モンスターで、メインストーリーではラスボスをつとめる。敵として戦うときにはギガスラッシュを連発するなどけっこう強いのだが、仲間になったときに覚えるのはギラ・イオ・ちからをためると、????系にしてはショボいものばかり。パラメータ・耐性も????系の中ではかなり弱い。
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しかもこいつの入手方法は「小さなメダル10枚と交換」。確かに本作ではメダル集めが大変なので入手には苦労するが、ラスボスが景品というのはいくらなんでも…。
あまり意味のない2バージョン商法
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『ルカ』『イル』の違いは異世界や格闘場に出現するモンスターが違うこととクリア後に入手できるカギが違うことぐらいで、ストーリー進行は全く同じ。出現モンスターの違いも「その異世界には出てこない」というだけでクリア後のカギの世界や配合で簡単に入手できる。ポケモンと違って1本のソフトでもモンスターがコンプリートできる以上、2バージョンである必要はないだろう。
余談
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本作は2バージョン同時に発売される予定であったが、不具合が生じたために『イル』の発売が1ヶ月近く延期された。このため、『ルカ』が約113万本を売り上げたのに対して『イル』の売り上げは約38万本と3倍近い差が生じてしまった。発売時期がずれたことが最大の原因だろうが、上記のとおり2バージョンである意味がほとんどないことも案外影響しているのではないかと思われる。
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本作のマルタ国王は温厚で誠実な人柄なのだが、前作ではタイジュ国王のライバルとしてストーリーの合間に嫌味を言いに来る人物だったため、若干違和感がある。
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本作のキーパーソン(?)であるワルぼうは、イタズラ好きだが根は悪くない。このことは当時発刊された『4コマ漫画劇場』でもよくネタにされていた。