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ファイナルファンタジー零式 - (2018/02/22 (木) 12:36:46) の編集履歴(バックアップ)



ファイナルファンタジー零式

【ふぁいなるふぁんたじーれいしき】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD 2枚組orダウンロードソフト
発売・開発元 スクウェア・エニックス
発売日 2011年10月27日
定価 パッケージ:7,700円
ダウンロード:6,480円(共に税抜)
廉価版 アルティメットヒッツ
2012年12月6日/2,940円
判定 良作
ファイナルファンタジーシリーズリンク

概要

『ファイナルファンタジーXIII(以下13)』と同じく「ファブラ ノヴァ クリスタリス」プロジェクトの一作。『クライシス コア ファイナルファンタジーVII』・『The 3rd Birthday』の制作スタッフが中心となって開発された。
もともと『ファイナルファンタジー アギトXIII』として携帯電話用アプリ作品として発表されていたものだったが、後にPSPでの発売が決定、その後「FFの新シリーズ1作目」という意味合いを強めるために現在のタイトルに改名された。
タイトルは変わったが『13』と同じ神話を共有した世界観であることに変わりはないので、一種のスピンオフ作品とも言える。
なお本作の「零式」の正式な読みは「ゼロしき」ではなく「れいしき」である。にもかかわらず、現在配信中の体験版は「ゼロシキ」表記で、非常にややこしい事になっている。

特徴・評価点

シナリオ

  • 戦争と死」をテーマにした重い雰囲気のシナリオ。戦場から撮影しているようなムービー、ナレーションで戦況が語られるなど、ドキュメンタリー的演出がなされており、従来のFFシリーズとは一線を画すシリアスさを持つ。
    • 戦時下という状況か学園パートのモブ生徒たちの会話にも生の重さや死の匂いを感じるテキストを随所に散りばめ、セリフの一つ一つを印象深いものにしている。
    • 「死んだ人間の記憶が失われる」という設定(有用なキーワードにもなっている)や、ドキュメンタリー方式ならではの死の描写の生々しさもあってシナリオの独自性を印象付ける点において成功したといえるだろう。
  • ムービーや、世界観・キャラクターなどの解説はゲーム内の図書館や、タイトル画面の「朱の目録」から閲覧することが出来る。
    • 宇宙的恐怖を感じさせるクリーチャーデザインや地名設定など、クトゥルフ神話からの影響が強い。

キャラクター

  • プレイヤーは0組(クラスゼロ)に属する14人のキャラクターを操作し、シナリオに合わせて様々な作戦を遂行していく。
  • 0組生徒は扱いにほとんど差がなく全員が主人公とも言えるので、この点は『ファイナルファンタジーVI』に近いといえる。
    • 中でも序盤に0組に編入されるマキナとレムの視点でシナリオが進むことが多いので、この2人が実質的な主人公とも考えられる*1
  • 尚、基本的に0組の面々や他のキャラクターもほとんどが学生であり、学園ドラマ的なイベントがあったりする。
  • 曲者揃いの0組メンバーを筆頭にカルラ、ナギ、クオンといった他クラス生徒、クラサメやカズサなど魔導院教員、シド、カトル、ギルガメッシュら敵側勢と物語を彩るキャラクター勢は膨大な数ながら豪華声優陣の熱演もあってどれも個性豊かであり、前述した通りテキストの豊富さもあってモブ同然の脇役ですら強い印象を残すキャラが少なくない。

バトルシステム

  • バトルはアクション形式で、『ファンタシースターオンライン』以降の同シリーズのバトルに近い。
  • 戦闘がとにかくスピーディで、キャラクターそれぞれのアクションも豊富に用意されている。
    • 14人とも武器などによって能力に明確な差別化がなされており、性能的に被っているキャラがいない。異常に強い彼女(後述)を除けばキャラごとにしっかり役割も分かれているので、ミッションに合わせて使い分けられるようになるとかなり進めやすくなる。
  • ミッション中やダンジョン内はシームレスアクションバトル、ワールドマップに限りシンボル/ランダムエンカウントとなっており、ゲームのテンポが阻害されることもほとんどない。
    • 他にもワールドマップ上で拠点制圧を行うリアルタイムストラテジー的な要素を持つ「制圧戦」もあり、よりリアルな「戦争」が展開される。
  • プレイヤーが操作するキャラ1人+CPUが操作するキャラ2人の3人でパーティーを組み、残りのキャラは「リザーブメンバー」として操作キャラが戦闘不能になった時などに呼び出す。なお、戦闘不能になったキャラはミッション中は使えなくなる。
  • 敵が強く難易度も全体的に高めだが、ロックオン時にサイトが黄色くなった瞬間に攻撃すると大ダメージを与えられる「ブレイクサイト」、サイトが赤くなった瞬間に攻撃するとあらゆる敵を問答無用で倒せる「キルサイト」とよばれるシステムがある。このときの攻撃はSEも派手で、敵も瞬殺できるため決まったときはとても爽快。敵の種類によって表示されるタイミングが違うため狙うにはある程度慣れが必要だが、スピーディな戦闘と爽快感を両立させる要素となっており、概ね好評である。
    • PSPのスリープモードを使って未プレイ時でもキャラを育てられる・レベル補正の存在でレベルを上げれば一気に戦闘が楽になるなどライトユーザーへの配慮もしっかりなされている。
    • 制圧戦など一部を除いて一度クリアしているミッションならタイトルから選択できる「作戦」モードで好きなだけプレイ可能。ここで得たギルや経験値、アイテムは本編にも反映されるため、稼ぎながら納得の行くプレイリザルトを目指す事ができる。やりこみ派のための高難易度モード(敵レベル+30、敵レベル+50&使用キャラ1人のみ)も存在し、難しくするほどクリア時に貰えるギルやアイテムの水準は上昇する。
  • ファントマというアイテムを専用の施設で使うことで魔法の強化が可能。
    • 強化できる項目は魔法の種類によりけりだが、とにかく威力をあげる、MP効率を上げて連発する、総合的なバランスを重視などプレイヤーの好みに応じて好きに強化できる。
    • ファントマは属性に応じた魔法で敵にとどめを刺すことである程度狙って集めることができる。ストーリーが進めばやや割高だが直接買うことも可能。
  • マルチプレイモードは他者のプレイに一定時間だけ「乱入」するという一風変わった仕様で、気兼ねなく参加でき手軽。乱入された際はCPUがリザーブメンバーに戻る。
    • オフライン中でも乱入を受け付けるように設定することもできるが、その場合はスタッフや声優の名前を持ったCPUが乱入してくる。設定を調整することで乱入を拒否することもできる。
  • 召喚獣は「軍神」という形で登場し、条件を満たすことでプレイヤーキャラの代わりに操作できる。
    • 本作に登場する操作可能な軍神の種類はイフリート級、シヴァ級、ゴーレム級、ディアボロス級、バハムート級、オーディン級の6種と少なめだが、各級には何種類かの軍神が存在し、それぞれ能力や使える技、能力などが異なる。
    • いずれも能力や技の性能は非常に高く、それが敵を次々と撃破していく様子は実に爽快。
    • ただし、召喚するとそのときの操作キャラクターが死亡してしまう、14人と比べると全体的に操作が難しい、などと難点もいくつかある。
    • だが、あるキャラクターは召喚時の死亡デメリットをカバーする技を持っているため…(詳しくは後述)。

グラフィック

  • PSPのスペックの限界に迫る美麗なグラフィックはスクエニの面目躍如と言えよう。 FFXFFXIIなどPS2のFF作品にも決して引けを取らない。
    • ムービーもプリレンダ・実機ともに豊富に用意されており、サブイベントでもムービーが流れることが多い。
  • FFシリーズとしては初めて直接的なバイオレンス描写が解禁されている。その美麗なグラフィック故に血まみれで死んだ人もリアルに描写されるので、スプラッタがダメな人は要注意。
    • オープニングからしてそれである。シリーズのマスコットであるチョコボですら、機銃掃射を喰らい黄色い羽を真っ赤に染めて死んでいく。

音楽

  • 作曲は『DFF』『すばらしきこのせかい』を手掛けた石元丈晴氏。
    • ロックサウンドを全面に押し出したボスのBGM「戦-白の兵器」ラスボス戦「朱雀の炎」など良曲揃い。
  • エンディングテーマはBUMP OF CHICKENの「ゼロ」。
    • この曲はエンディングとのマッチが半端なく、FFのエンディングの中でも屈指の名曲と言われている。またBUMP OF CHICKENのファンから最高傑作との声もあるほど曲単体での評価も高い。

やりこみ要素

  • しばらくの間一本道を批判され続けていたFFシリーズだが、今作はこれでもかというほどやりこみ要素が詰まっている。
    • UMD2枚組であるため、サブクエストやサブイベントも膨大な量を誇る。1周で全てのイベントを見ることは不可能で、本作を隅々まで楽しむなら周回プレイは必須。2周目以降限定のイベント、高難易度のミッションやボスなども多い。
    • ただし隠しダンジョンは最初主人公たちの領地が敵に奪われている為、実質いけるのは後半からである。また隠しダンジョンのモンスターはとてもじゃないが1周目でいけるレベルではないため、2周目から行くことを推奨する。
  • 本筋に関わらないお遊び的イベントも多い。とある女性脇役キャラがからむ、お色気要素満載のイベントもグラフィックの美麗さもあって意味スタッフの本気を感じさせる。

賛否両論点

シナリオ面

  • 「戦争と死」を扱ったシリアスでリアルなストーリーなだけに、上記で挙げたチョコボや大量の兵士がなすすべなく戦死していくシーンのような残酷で恐ろしい描写は勿論の事、終盤に近づくに連れて魔導院内でよく見かける人物達が自分達の思いを成し遂げられないまま悲惨な末路を辿り、そしてその周辺の人々までもが彼らに対して抱いていた思いを失って喪失感を覚えるシーンに代表される、悲劇のような救いの無い描写もかなり目立つ。そのため苦手な人にはかなり厳しいシナリオとなっており、人によっては鬱シナリオと見られる事もある。しかし、その重くて考える所も多いシナリオこそが本作の特徴でもあるので賛否両論分かれている。
  • マキナのストーリー中盤以降の行動についても大きく賛否が分かれている。
+ ネタバレ注意
  • ストーリー中盤で「自分の兄は0組のせいで死んでしまったのではないか?」と0組に対して不信感を抱き出す。そして0組がある事件に巻き込まれ、そこからの脱出を試みる最中で感情を爆発させてしまい、0組のメンバーと衝突してしまう。そこで激しく言い争った末にその場から立ち去ってしまうが、その時にひょんなことから0組の属する朱雀(朱雀領ルブルム)に敵対する白虎(ミリテス皇国)のルシ*2となり、結果敵国側についてしまう。その後、自分がルシになった事を隠した上で戻ってきて再び0組と共に行動するようになるが、この頃から「レムは俺が守る」とレムの事しか考えなくなったり、他の0組のメンバーとは距離を置いてドライな態度を取るようになり(それでも他の0組のメンバーはそんなマキナを心配している)、時には白虎クリスタルの命によって白虎を攻撃する大規模な作戦には参加せずに行方を晦ますようにもなる(この時、プレイヤーはマキナをその作戦に参加させられない)。そして終戦後に起こった最終決戦後もレムと共に生きて帰ってきて今作の世界「オリエンス」の新たなる指導者となったことも大きく賛否が分かれている。キャラ性能が魔法が強い今作においてほぼ脳筋というやや扱いにくい玄人向けな性能であったこともあって、付いた蔑称は「末期」「マッキーナ」。
    • ただ、0組と衝突することになってしまったのは、権力争いの仇敵として激しく憎んでいる0組の保護者・魔法局長のアレシアを失脚させようと躍起になる軍令部長がマキナの0組への不信感を煽って0組の分裂を図ったせいであったり、来歴や言動の真意が謎に満ちているアレシアに探りを入れるために、彼女と0組を信用しきれない学術局長や院生局長がマキナとレムを諜報員として利用していたせいであったりと、一概に彼が悪いわけではない。そして白虎のルシになったのも、自身が強くなることでレムを死から守る力を手に入れ、レムの記憶を失うことを避けたかったためである。また上記の通り、本作の世界は人が死ぬとクリスタルの力によってその人に関する記憶が生きている人間から失われてしまう世界となっており、0組のメンバーのほとんどが死者の記憶を「戦争で邪魔になるもの」として切り捨てていく一方で、マキナだけは親しかった人の記憶を失うことに対して誰よりも強い恐怖を感じ、死者の記憶に執着する一面があったことも0組との衝突の原因にもなっていると言える。
    • 敵国である白虎のルシになる経緯や理由も、魔導院でのレムと彼のサブイベントをしっかり消化しておかないと理解するのが難しい。
  • イベントシーンでは大抵やられ役ミッションをばっくれていても何故か授業には出席する(これには十分な理由がある)キャラ性能も守る対象のはずのレムの方が圧倒的に強いとネタ要素には事欠かないため、ネタキャラとしては愛されている。
    • 性能面で言うと、移動速度はやや遅く、通常技はリーチが短めで少し出が遅いため少々扱いにくいが、攻撃力を始めどのステータスもかなり高い水準にあり、接近戦も魔法もこなせる万能キャラとして使える。また、スキルもなかなかに優秀なものが揃っており、特に「アサルトモード*3」を使えばもともと高い攻撃力を持つことも相まって非常に高い火力を得られる。また「ソードフィールド*4」をCPUマキナに装備させて使わせれば、自動的に敵の近くに移動してダメージを与えてくれるためモンスターに対する設置攻撃として使える。あれ?でも結局これメインのサブキャr(ry

問題点

バランスブレイカーの存在

  • 実質的な本作ヒロインであるレム·トキミヤが不治の病気持ちという設定であるにも関わらず0組トップクラスのバランスブレイカーとなっている。プレイヤーからはアーケードゲーム『北斗の拳』のバランスブレイカーで、同じく病持ちのキャラ「トキ」にちなんで女版トキなどと呼ばれている。
    • 本作では魔法攻撃が非常に強力であり、各魔法攻撃の威力を決める魔力が全て0組トップなので攻撃性能が抜きん出て高い。
    • それに加えて特定の通常攻撃からすかさず魔法に繋げられる「キャンセル魔法」というアビリティがあるのだが、レムは全キャラで最もバリエーションが豊富。特に「キャンセル魔法零型」は通常攻撃1段目にキャンセルがかけられ、「ガ系キャンセル魔法」と組み合わせることで、本来長い溜め時間が必要なガ系魔法をガンガン連発することが可能。これらのアビリティを習得するのも他キャラに比べて早く、容易である。
    • そのうえ自前でMPを回復するアビリティ「コンバート」を持つため文字通り半永久機関となって戦い続けられる。魔法を受けた敵は痛みを知らず安らかに散っていく
    • リーチこそ短めだが、接近戦においてもそう悪くない性能を持つので、敵に近寄られてもさほど問題はない。さらに病気のわりには体力の成長も悪くないなど至れり尽くせり。お前みたいな病人がいるか!
    • さらにアビリティ「死なないで*5」によって「召喚時に操作キャラクターを死亡させる」という軍神のデメリットを実質無効にし、無制限に召喚することさえも可能にしてしまう(ただし死亡回数は増えるためミッションクリア時の評価には影響する)。まさに命は投げ捨てるもの。
    • ただしこの領域に達するには本作のシステムを理解した上でレムを育て、それなりに修練を積む必要があること、魔法永久機関化と軍神永久機関化はシステム上両立できないこと、序盤からラストダンジョンまで通しての使用は出来ず、魔法や軍神が使えない状況下では大幅に弱体化してしまうこと、2周目以降ではMP消費を0にするアクセサリが頻繁に手に入るためコンバートの有用性がなくなる、などの欠点があることも覚えておきたい。

シナリオ面

  • 難解な単語・造語が説明も無しにポンポン出るので、初見では何を言ってるのか理解できない事も多い。一応、歴史書、用語集、イベント等の記録としての役割を果たす「朱の目録」によってある程度は補足されているが、これらはストーリーを進めていく過程で埋まっていくものなのでストーリー序盤では活用しきれない。
    • ただ、自由時間中にNPCなどに話しかけるとこれらのキーワードや本作の世界について説明してくれたりするので、こまめにNPCの話に耳を傾けていると理解しやすい。
  • 最終章の展開があまりにも唐突で、突然プレイヤーの置かれた状況などが様変わりし、謎の勢力が現れ、重要キャラも死んだりするが詳しく説明されないまま先に進んでしまう。
    • そういった説明は上記で述べたマキナの件も含め図書館の資料で開示される形となっており、悪い意味でFFXIIIと同じ悪癖が残っている。しかも今作だけでは数多い謎は解かれない*6ため続編などの補完を待つのみである。
      • この最終章前までは、多少の問題はあれど無理のある展開は全くなかった上、この後のエンディングの演出なども非常に高い評価を得るほどのものだっただけに、こういった部分が非常に惜しまれている。
  • そもそもストーリーの軸が不毛。
    • これは公式で公表されている前情報(バックストーリー)なので、内容は伏せないで記載しておく。
    • 1:とある神が死後の世界に行こうとしている。2:人間が死ぬと扉が開き、魂は死後の世界に導かれる。
    • 3:扉はとても小さく、神は通る事ができない。4:大量の人間、あるいは特別な英雄が死ねば、通常よりも巨大な扉が開くのではないか?
    • 5:神が死後の世界に行っても無駄(そもそも神が死後の世界のことを勘違いしているという設定)
      + ここからネタバレ
      • 以上のことから、本作の黒幕(本作の黒幕≒神。もしくは神の代理人)が実行した計画は「1000年かけて人間を繁栄させ、皆殺しにする」「それに立ち向かわせる英雄を自分で育て、そして殺す」というとんでもない計画だった。
      • その黒幕は主人公達を大切に思っているように見せかけて実際には目的の達成に必要な手段としか考えておらず、その正体を知らない主人公たちはその黒幕を「マザー」と呼んで慕い、知らず知らずの内に実験動物のような扱いを受けて何度も死んでいる(永遠に死後の扉をくぐる事ができず、殺される→転生→育成→殺される→転生の無限ループ)
      • そして、この黒幕とは戦うことができない。それどころか、最後まで真実に気がつかないまま主人公たちは死んでいく。黒幕が「慈悲で主人公たちを転生させなかった」という結末らしいのだが・・・・
      • また、これまでにこの「実験」(繁栄と皆殺しで1セット)を何億回もくり返し続けてきたことを話しており、それを考えると「実験に見切りをつけたから主人公たちを転生させなかっただけ」という風にしか読み取れない。
      • 最終的に主人公たちは何億と繰り返されたループの中で初めて皆殺しの結末を回避し英雄となるが、結局死亡する。ここでようやく神が今までの試みが全て無駄であったことに気づく。
      • 神が見切りをつけたことにより結果的に主人公たち以外の人間はこのループから解放されるが、主人公たちには全く救いがない。真の意味での黒幕を倒せず、壮大かつ無意味な試行の中で何も分からないまま神に翻弄され続ける。戦争のテーマとは別の意味で鬱なシナリオである。

UI関連

  • アイテムは一種類だけセレクトボタンにショートカットとして割り振れるが、それ以外はメニューを開いてアイテムを選んで…と面倒な上、その間も時間は止まらず敵は待ってくれない。そのため、移動しながらメニューを開かないと棒立ちになってしまい、敵がいるエリアでやらかすと思わぬ一撃を食らうことも多々ある。
  • ワールドマップでのエンカウント戦闘から逃げられない。逃げるには専用のアイテムを使用する必要があるが、このアイテムがなかなか高価な上セレクトボタンのショートカットに割り振れないため扱いにくい。
    • 殆んどのエリアにはレベルが90を越える強力なモンスターがシンボルとして徘徊しているため、これらに間違って遭遇して戦闘になろうものなら数名の死亡は覚悟しないといけない。しかも一度捕捉されるとかなりのスピードで追いかけてくるため、チョコボでも使わなければ逃げ切るのは非常に難しく、足の速いチョコボもおらずレベルも低い序盤では非常に危険な相手である。一応、こちらが低レベルでも相手の攻撃を完全に回避しながらブレイクサイトを決め続ければ勝つこともできるが、余程のテクニックがないとかなり難しく、わずかな操作ミスが戦闘不能になるハイリスクな戦いになるため、無理して戦うのはあまりお勧めできない。幸い、戦闘離脱用のアイテムを使うか3名が死亡すると戦闘は自動的に終了するため、例え勝ち目がなくても主要なキャラクターだけは死守することを心がけたい。
  • セーブ・装備変更周りも不便。街などにあるセーブポイントでしかセーブできず、ワールドマップでセーブできない。
    • 装備・アビリティもセーブポイントでしか変更できず、敵に合わせて装備・アビリティをリアルタイムで変更できないので相手との相性が悪いと泣きを見る。
  • 十字キーとアナログスティックの操作変更が不可能。これ自体は他の作品でもたまにあるのだが、同じPSPの『CCFFVII』では可能であったので、なぜ不可能になったのかという疑問が。
    • もともとPSPのアナログスティック自体が使いにくいという人もいたので、この不満は少なからず存在していた。

その他・システム関連

  • グラフィックは美麗だが、さすがにPSPの限界なのか時折処理落ちする。
  • SPP(マルチプレイで得られるポイント)などオンライン環境が必要な解禁要素が非常に多く、1人でコツコツ楽しむ人は本作の依頼などをコンプリートできない。
    • また、マルチプレイはホストのプレイヤーの戦闘に他プレイヤーが乱入する形なのだが、ホストにはSPPなどの恩恵が一切無い*7ため、乱入される事を嫌う人もいる。
  • カメラワークも以前配信されていた体験版に比べれば改善されているが、それでもロックすると真横からの視点になるため見づらい部分がある。
  • サブクエストが膨大にあるのに1つしか受注できず、複数受注して平行して進めることができない。
  • 経験値が入るのが戦闘に参加した3人のみで、リザーブメンバーには一切入らないためキャラクター育成にかなり苦労する。今作ではプレイアブルキャラがかなり多い上に軍神(召喚獣)も経験値を与えて育成しないと強くならないため、使うキャラを絞らずに全てのキャラを満遍なく育成しようとするといくら時間があっても足りない。
    • その上、今作の戦闘はレベル差補正が極めて強烈であり、こちらのレベルが僅かでも低いと敵への与ダメが大幅に減少する上に敵からの被ダメは大幅に増大する。しかも、こちらが敵よりもレベルが高くても敵への与ダメが大きくなるだけで敵からの被ダメは敵と同レベルの時と変わらないので、油断してたらレベルでは格下の敵にやられる事も少なくない。
    • それでもリザーブメンバーは豊富に使えるため、ちゃんと育ててさえいれば数の力でゴリ押しする事も出来るが、少しでもレベルが足りないキャラを使う時はかなりの苦戦を強いられる上、かなりレベル差が開いているキャラは(ブレイクサイト以外では)全くダメージを与えられない事が殆どな為、レベル上げが足りないまま数の力だけで戦おうとすると全滅させられる事態になりやすい。
    • 一応、経験値を獲得できる授業に出ることで全員をレベルアップさせることも可能だが、こまめにレベルアップに努める習慣がなければかなりしんどい事には変わりない。
    • また、レベル差補正がキツい分、倒した敵が自分よりレベルが高い敵だった場合はその分だけ経験値が多くもらえる。そのためマルチで強力なプレイヤーに高難易度の作戦に付き合ってもらったり、高レベルの大型エネミーのような経験値を多く貰えるタイプの強敵を頑張ってパターン化して倒せるようになればレベルの高いキャラを楽して作れるようになり、それを主軸に高レベルの作戦やダンジョンなどを攻略していけばパーティー全体でレベルを上げられる。
    • ただし、敵のレベルがどんどんインフレしていくエンカウント戦の2戦目以降や、敵のレベルがかなり高い演習やダンジョンに挑もうとすると、最低でもその時点でのシナリオを余裕でクリアできる程のレベルはまず間違いなく要求される。そのため、ここまで来るとかなりやりこまなければ歯が立たずに返り討ちにされやすく、経験値やドロップアイテムなどを欲張って無理すると酷い目に遭いがち。
      • 特に、終盤で訪れられるあるダンジョンに至ってはこちらが到達しうる最高レベルよりもずっと高いレベルを持った強力エネミーとの100連戦を何度もさせられるため、レベル差補正と数のハンデを背負ったまま過酷極まりない戦いを強いられる。当然、各キャラのレベルを限界まで鍛えた上にアビリティや魔法も相当に磨き上げて装備や所有アイテムも質量共に必要以上な程に充実させないと勝負にすらならない。
    • 一方で、味方のレベルをしっかり上げておけばシナリオ攻略難易度は飛躍的に下がるため初心者救済と言えなくもない。
    • この強烈なレベル差補正は後述の軍神システムの問題にも多大に影響を与えており、初期レベルが高い軍神は非常に強力だが、適性レベルより少しでも低い程度になるとほとんど役に立たなくなってしまう状況を作ってしまった。
  • 戦闘システムとキャラ性能が噛み合っているキャラとそうでないキャラの差が顕著。
    • 例えば射程が長く技の出も速い、弾速も速いと3拍子揃ったキングはリロードという短所もあるがキルサイトが狙いやすく非常に使いやすい。
    • 一方、シンクは総じて技のリーチが短く技の出もかなり遅め。すばやい敵は当然のこと、普通の雑魚を処理するのも辛い。(ただし、一撃がかなり重く、スタン効果も高いため仲間として使う分には意外な場面で活躍することはある)
    • 最強とされるレムにいたっては魔力と魔法を強化して魔法を連発しているだけで雑魚は消滅。ブレイクサイトでないと止めを刺せないボスのミッションでもなければ本当にこれだけでクリアできてしまうことも。
  • 重要システムである軍神の使い勝手がいまいち。
    • ほとんどの軍神が最大でも1分も召喚できず、上記の様にレベルが高くないと役に立たないため、使用する場合短い召喚時間に耐えながらのレベル上げは必須*8となる。
    • また、軍神召喚は朱雀(ダメージを与えると共に一定確率でリレイズを付与する炎魔法)、三位一体(コンビネーションアタック)との三択なので必ずしも使う必要はなく、その気になればイベント以外では一切使わずにクリアすることも可能なのでプレイヤーによってはあまり役に立たないシステムとなってしまう。そして、フィールドでのエンカウント戦やダンジョンでは三位一体が自動選択されるので軍神召喚が使用できないのもこの傾向に拍車をかけている。
  • 味方のCPUがあまり賢くなく、高難易度ミッションだとすぐ死んだりするためあまり役に立たない。
    • 敵の目の前でサポート系アビリティを使って隙だらけになったり、攻撃を当ててブレイクサイト狙いを妨害されたりもする。
    • 死にやすい点は、ある回避魔法スキルを装備させれば生存率をグンとあげることができる。
  • データインストールがUMD2枚それぞれに必要なため、メモリースティックの容量を2GB近く圧迫する。
    • 実質序盤と最終章しかないDISC1のインストールは地雷といわれている。

総評

PSPトップクラスのグラフィック、歯ごたえと爽快感を両立させた戦闘システム、UMD2枚組であることを活かした圧倒的なボリュームなどはナンバリングタイトルと比べても決して引けを取らない。
むしろ近年賛否両論扱いされる事の多いナンバリングと比べ、勧めやすい良作となっている。 詰め込んだ結果システム的に荒削りな部分が残っていたり、後半のシナリオなど問題点もあるが、FFの新シリーズ一作目としては十分な出来で、これからに期待できる作品である。
『13』などの既存シリーズ未プレイでも十二分に楽しめるので、興味が沸いたならばプレイするのも良いだろう。


余談

  • 今作の初期体験版はバランス面で製品版と相違点があり、その時のユーザーの評価を後の体験版「ゼロシキ」・製品版に即座に反映させるという対応が取られていた。この制作スタッフの真摯な姿勢は高く評価されている。
  • 月刊少年ガンガンで漫画版が短期連載され、現在は外伝『氷剣の死神』が連載されている。作者は塩沢天人志。
  • 2014年に関連作である「FINAL FANTASY AGITO」がスマートデバイス向けアプリで配信開始。作風は魔導院での学園生活に重きが置かれており、そのタイトル、対応ハードにおいても結局当初の予定に近いものが配信されることとなった。ちなみにこのタイトル、本作の初期タイトルだった「FINAL FANTASY AGITO XIII」に由来している。

ファイナルファンタジー零式 HD

【ふぁいなるふぁんたじーれいしき えいちでぃー】

ジャンル アクションロールプレイングゲーム

対応機種 プレイステーション4
Xbox One
Windows 7~10
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 ヘキサドライブ
発売日 【PS4/Xbox One】2015年3月19日
【Win】2015年8月18日
定価 パッケージ
【PS4/Xbox One】6,800円(税別)
ダウンロード
【PS4/Xbox One】5,600円(税別)
【Win】3,980円(税込)
判定 良作

概要(HD)

PSP版からHDリマスターとして高画質になり、ゲームバランスも調整された完全版。
初回特典には『ファイナルファンタジーXV』の体験版ダウンロードコードが付属した。

新要素・変更点(HD)

  • 戦闘の難易度を「容易」「普通」「困難」「不可能」から選択できるようになった。
    • PSP版の強さは「普通」「困難」「不可能」の3段階。難易度を変えると敵のレベルが大きく上下して与えるダメージや受けるダメージなどが変化する。
    • ゲームの開始時の選択だけではなく途中からでも変更可能。ただし「不可能」は最初は選択できない。
  • グラフィックが大幅強化。フルHD対応。
    • 担当はHDリマスターに定評のあるヘキサドライブ。今回はこれまで以上の向上を果たした。
    • 基本的にプリレンダムービーのモデルをプレイアブルキャラ用に適応・調整させて使用している。
      • 0組などメインキャラクターだけでなく、一般兵士のようなモブやサブキャラクターたちなども基本的に同様である。
    • 新たにシェーダーやライティングを導入。ライティングは物理ベースに対応され、HDR・反射・ブラーといった追加も施されている。
    • 魔法のエフェクトにも光源が追加されたため魔法によって周囲が光る。特に暗所では恩恵を大きく受けている。
  • 音質が全体的に向上している。
    • 一部の曲では新たな編曲が施されている曲もあり、それらはPSP版と同じく石元氏があらためてアレンジをしている。
  • 新衣装「教導軍装ホマレ」が追加された。
    • この衣装は白と金色が基調で、HD版のロゴをイメージしている。
  • ゲームバランスの調整。
    • キャラの性能も調整され移動と回避の速度が上がった。特にトレイやセブンは全体的にスペックアップしている。
    • 後半で修得できる物理攻撃系アビリティ等が強化されている。
    • 一部の召喚の滞在時間が長くなり、移動速度も全体的に上昇している。
    • キャラの行動に応じた報酬が用意されるようになった。
    • 報酬が手に入る累計SPP値が全体的に減少した。
    • SPPショップのアイテム価格が全体的に安価になった。
    • 解像度が上がった分視認性も良くなった為、敵の遠距離攻撃が避けやすくなったと同時に強化もされた。
      • 強化といってもわずかであり、難易度を「容易」にすればPSP版よりもダメージは低くなるのでリマスターによってゲームバランスが極端に上がっているというわけではない。
  • 操作性もPS4やONEのコントローラー向けに操作性が最適化されている。
    • アナログスティックやボタンが増えたことにより、操作性が格段に上昇している。
  • PSP版にあったマルチプレイは非対応。
    • 据置と携帯ではそれぞれ実装の調整が異なる為、リリースを早めるよう見送ったとのこと。
    • これに伴いマルチプレイの他、スクエニメンバーズ連動でしか入手できなかったアイテム・実績は他の方法で入手ができるようフォローされている。
  • PS4版はトロフィー機能、One版は実績、Win版はSteam実績機能を搭載した。
  • 制圧戦では「作戦に参加しない」という選択肢が選べるようになった。
    • ストーリー自体は参加した時と同様にそのまま進行するが、報酬が得られないというデメリットがある。基本的にはどうしても制圧戦が苦手なプレイヤーや周回プレイをしているプレイヤー向けの機能。
  • シークレットムービーが追加。
  • ストーリーの変更や追加はない。

総評(HD)

ゲームバランスの調整やグラフィックなどの向上等により、PSP版よりも格段に遊びやすくなっている。
遊んでいない者は勿論のこと、PSP版をプレイ済みの者も飛躍的に美しくなった本作に興味を持ったなら購入を検討してみてもいいだろう。