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テイルズ オブ ハーツ アニメムービーエディション/CGムービーエディション - (2015/04/07 (火) 23:15:23) の編集履歴(バックアップ)


テイルズ オブ ハーツ

【ているず おぶ はーつ】

ジャンル ロールプレイングゲーム
(シリーズ内ジャンル名:心と出会うRPG)

※アニメムービーエディション

※CGムービーエディション
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 2GbitDSカード
発売元 バンダイナムコゲームス
開発元 ナムコ・テイルズスタジオ
発売日 2008年12月18日
定価 6,650円
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B(12歳以上対象)
コンテンツアイコン 犯罪
分類 良作
テイルズオブシリーズ関連作品リンク?


概要

  • テイルズ オブシリーズのマザーシップタイトル第11弾。テイルズスタジオ初の携帯機オリジナルタイトルである。キャラクターデザインはいのまたむつみ。
  • また、OPテーマを『テイルズ オブ デスティニー』のDEENが再度担当。過去のOPのアーティストが担当するのは『テイルズ オブ シンフォニア』に次いで二度目で、同一タイトルでない作品では初めてである。*1

特徴・評価点

  • 『イノセンス』の倍の容量となる2Gbitカートリッジを採用。開発当初のコンセプト通り、据え置き機に迫るほどの大ボリュームが特徴。『イノセンス』までには無かった作中ムービーやイベント&スキットでのボイスも据え置き機程ではないが実装されている。シナリオ自体のボリュームも大幅に増加し、此処については据え置きシリーズ作品に比肩する程。
    • ストーリー自体も複雑でダーク寄りだった昨今の作風から一転して王道路線になっている。これといった斬新さやインパクトにこそ乏しいが、安定しながらも適度な起伏や見せ場も多く好評。
  • システム面ではPS2版『デスティニー』のものを更に洗練させたアクション性の高い戦闘システムを搭載し、今迄のDS作品にあったボリュームの薄さを大幅に改善。ようやく「DSで本格的なテイルズが出来る!」と多くのファンを喜ばせた。
    • 以前のDS作品『テイルズ オブ ザ テンペスト』はディンプス、『テイルズ オブ イノセンス』はアルファ・システムによる外注作品で、本家テイルズスタジオ製作の本作には相当な期待があったのである。
  • 「PS2版『デスティニー』をDSで再現」というコンセプトの元、PS2版『デスティニー』の戦闘を洗練させている。
    • 行動のためのパワーソースをPS2版『デスティニー』の「CC(チェインキャパ)」というポイント制から「EG(エモーショナルゲージ)」というゲージ制に変更。
    • EGは青と赤の2色のゲージで表現され、青ゲージでは特に問題ないが、EGが最大値の半分を超えゲージが赤くなると、受けるダメージが増える。これにより、青ゲージのままでは技を長く連発できず、かといって赤ゲージでは敵の攻撃に注意しなければならないという駆け引きを生み出している。
    • PS2版『デスティニー』では術技が便利すぎるために使用するメリットが全くなかった「通常攻撃」に、「相手のガードを崩す『ガードブレイク』」や「敵のアイテムを盗む」「異常状態にさせる」など様々な効果を追加している。
    • 戦闘中のアクションも二段ジャンプ可能な「エアリアルジャンプ」高速で後退出来る「バックステップ」、空中でもある程度行動可能な「エアステップ」等のスキルの搭載でよりスピーディかつ緻密な操作が可能となり、2Dの戦闘フィールドを縦横無尽に駆け回りながらの戦闘はDSテイルズとしてはかなり爽快感がある。
    • システム「コネクトパネル」により、戦闘に参加していないキャラを「援護攻撃」という形で参加させることが可能。条件をそろえればシリーズキャラやナムコキャラを呼び出すことも可能。
  • 武器「ソーマ」を進化させていくシステム「ソーマエボルブ」。
    • 敵を倒したりフィールドで手に入る「素材」を使用することで、能力を向上させる「パラメータスキル」、特殊アクションを発動する「アクションスキル」、特殊効果を付加する「サポートスキル」、術技を習得する「バトルスキル」を習得させることができる。
    • エボルブではパラメータ・サポートスキル重視の「赤」、パラメータ・バトルスキル重視の「青」、サポート・バトルスキル重視の「緑」の内1つを選んで形態を変化させていく。
    • ソーマ以外の装備品はアクセサリしか存在せず、武器防具の買い替えや装備変更の面倒さを取っ払っている。
      • またこれらの育成システムがメインの為か、LVUPでのパラメーター上昇値はかなり低くなっている他、LVによって新しい術技やスキル等を習得する事も無い。
  • キャラグラフィック面も「イノセンス」迄のポリゴンではなくドット絵に変化している。
    • DSはスペック上人物の精密なポリゴンを描ききるのは難しく、「テンペスト」「イノセンス」ではその造詣の粗さも問題となっていたが、ドット絵になった事でキャラクターの造詣がデフォルメこそ利いているが充分整ったものになった。
      • フィールドや町、ダンジョン等でのドット絵は小さめだが、戦闘中のドットは些細な表情の変化やリアクション、アクション時の躍動感等をしっかりと表現している。
  • 個性的なキャラクターたち。
    • 一見華麗なのに足癖が悪く、故郷では訛りがすごいコハク、普段は粗雑な態度で、作中で『シスコン』と称されるほどに妹想いだがいざという時には頼れる兄貴のヒスイなど、魅力のあるキャラクターは本作でも健在。中でも18歳で身長148cm、一人称は「ボク」で舌足らずで童顔な女性・ベリルの特異さが際立っている。主人公のシングはありがちな主人公の見本のような性格だが、逆にそれが「無個性が個性」というネタになっている。
      • しかし表面的性格は無個性でも、境遇や性能は個性的どころの話ではなかったりする。例えば、これまでテイルズ主人公の初期技として登場してきた「魔神剣」「蒼破刃」をどちらも覚えない(「蒼破刃」は仲間との連携攻撃でなら使える)。
      • また、近年シリーズ作品でよく見られる拒絶や賛否両論を引き起こすような尖った性格付けや極端な描写が少ないのも評価点。それ故に、それらの作品から本作に入ったプレイヤーの中からは『久々に安心してキャラ達を見れる』等の意見も。パーティー全体の雰囲気も最初こそとある事件によって若干ギスギスしているが、それでもさほど刺々しいものではなく、全体で見れば安定した結束力と明るさを見せてくれる。
    • メインキャラ勢だけでなく、敵勢力やサブキャラクター達の性格や描写も作り込まれており、シナリオを盛り上げ、時に掘り下げてくれる等存在感が大きい。歴代シリーズにおける漆黒の翼に当たるカルセドニーら十三小隊もNPCキャラながらそれぞれ性格や描写が作りこまれており、序盤こそ立場上敵対しているが中盤の大きなイベントを境にシング達と共闘関係を築き上げ、かけがえの無い「仲間」としてストーリーに大きく関わることとなる。
      • 特に隊長であるカルセドニーは、敵キャラで数少ない秘奥義とカットインが与えられており、終盤でも彼絡みのサブイベントも多い等、準メインキャラクター級の立場にある。

難点

  • 後半からストーリーがグダグダになり始め、主人公達よりもある仲間キャラとNPCに焦点が傾く構成になりがち。
    • また複雑なダンジョンやイベントを経てようやく手に入れた手段等が悉く無駄に終わる展開もあり、ダンジョンの仕掛け等に苦労した身としてはやるせない気分になる場合も。
    • ダンジョンでも無駄に広いものが出てきたり、ダンジョン内のちょっとしたイベントを律儀に解決する為に、何度も同じところを往復させられる事も出てくる。ただその中でも見せ場と言えるイベントも多く、決して退屈なだけではない。
  • PS2版『デスティニー』と同じくボタン連打のみで簡単にコンボがつながってしまうため、戦闘は依然として作業的。また、「星塵絶破」「スラッシュからぁず」といった一部の超強力な技の存在により、他の技を使用するメリットが少ないという批判点もあげられる。下に記すような対策はされているが、多くが容易に解決出来てしまう。
    • ハメ技のレシピ量はシリーズ随一。しかし地上でハメ続けると無敵判定が発生しコンボが途切れてしまう。そのため空中コンボに対して地上コンボの有用性が低く、さらに浮く敵と浮かない敵の強さの差が著しい。またそれも中盤以降手に入る状態異常を与えるアクセサリー等である程度解決可能。
    • グレードに関しても地上コンボではほとんど上がらないのに対して空中コンボだと飛躍的に上昇するため、意図的に空中コンボ優遇のバランスにしたのだと思われるが、そのせいでワンパターン化や敵の強さに関する歪みが出来てしまっている。
      • なお、今作はラスボスも隠しボスもよく浮く。よって浮かない雑魚よりも倒しやすい。特にイネスの「マーメイドジュヌ」やシングの「翔星刃」でのハメが決まれば、ラスボスも隠しボスも簡単に倒せてしまう。*2
      • ただ中には地上空中問わずハメている最中に問答無用で無敵判定が出て脱出、反撃するというとんでもない仕様のボスも存在する。
    • また作戦等でCPをその場に固定させる事が出来ない。仮に魔法使い系キャラを隊列の一番後ろに設定し、攻撃等をしないよう作戦で指示しても敵が迫ったりすると勝手にそこら中を動き始めてしまう。これによって従来の2Dテイルズ作品のように「後衛1~2人を動かさず魔法やアイテム使いして、残りの前衛だけで敵の足止めをする」という戦法が困難になってしまった。
      • キャラが勝手に動き回ることで勝手に敵陣のド真ん中に来てダメージを受け続け、彼等分の回復にまで常に気を配らなければならなくなる為、従来作品のような戦法をメインにしようとするなら結構なストレスになりかねない。
  • 全体的に一本道で、以前に通過した町や村に引き返したりするのが非常に手間。
    • 本作のフィールド移動は従来シリーズの中でも特殊で、他の街やダンジョンに行く為にはそれらを繋ぐ『街道』という別のフィールドを移動しなければならない。街1つ分の移動でもそれなりの距離があり、序盤の終わり以降シナリオの大半を占める中央大陸で多くの街を訪れる事となり、サブイベント等の関係で離れた街やダンジョンに行くとなると相当時間がかかってしまう。
    • 一見すればまだ行った事の無い街等にも行けそうでもあるが、シナリオ上行くことが決まってる場所以外には『この先は○○で危ない』『ここは違うだろう』等の理由で行くことが出来ず自由度が低い。中央大陸は様々な方角に道が分かれており、行く先々でこれらのメッセージが出て辟易する事も。
    • 街道の風景や構造も基本的に似たり寄ったりで、見栄えにも乏しく行き来にあたっての作業感が強い。*3
      • 一応現在居る大陸(中央大陸は段階ごとに)にある街やダンジョンを全て巡って『踏破』するとワールドマップ上を歩き、移動の手間を大幅に短縮出来るようになる。
  • ストーリーの重要な要素+やり込み要素でもある「スピルメイズ」の問題点が多い。
    • 「悩みのある人間の心*4の中に入り込んで、その原因を探る」という設定で、様々な街やイベント中にスピルメイズに入る事が出来るのだが、ゲーム的には「リンクカウンター(所謂歩数制限)つきのランダムダンジョン」となっている。ランダムであるため、簡単に進める事もあるが複雑な構造の場合、迷ってしまうとリンクカウンターがかなり簡単に尽きてしまう。リンクカウンターの消費ペースも早め。
    • 一部の宝箱や、戦闘によってリンクカウンターを回復する事が出来る。というよりほぼ必須であるため、シンボルエンカウントにも関わらず戦闘を事実上強制される。そして、戦闘をきちんとこなしていても、ダンジョンの構造と運によってはリンクカウンターが尽きる事も……。
  • 宝箱による3段階の回復効果も低めで、一番大きい「大回復」でようやく多少余裕がもてる程度で、一番低い「小回復」に至っては連続して取らない限り焼け石に水程度しか回復しない。もう少し増やしても良かったのでは?
    • また中盤以降のスピルメイズでは、『リンクカウンターの消費が早まる』というデメリット効果の宝箱も多く配置されるようになる。持続時間は10秒なのでその間立ち止まっていれば良いが、この効果の宝箱の割合が多めで、またリンクカウンターを回復させる効果の宝箱と外見が同じなので事前に察知する事も出来ない。連続してこの効果が出てきていちいち立ち止まらなければならない為ストレスになる。そのまま行動すると怒涛の如く勢いでリンクカウンターを消費する。
    • リンクカウンターが尽きると、どんな下らない悩みのスピルメイズであってもその場でゲームオーバー。
      • そして、本作の隠しダンジョンはこのスピルメイズ形式となっている。さらにやり込み要素として、この隠しダンジョンの中にランダム(低出現率)で出現する生物を30匹(うち3匹はイベントで登場するため実質27匹)保護すると言うものがある。隠しダンジョンの強力な敵との作業戦闘を強制されながら、なかなか出現しない生物を延々探し出す作業はかなりの苦痛。
        救済策として、一定の階層までたどり着くとそこから再開出来るようになる為、一度その層まで行ってしまえば徐々に探索も楽にはなってくる。
      • 一応メインシナリオで必ず入る事になるスピルメイズでは初期リンクカウンターが多く設定されているので、サブイベントや裏ダンジョンでのそれと違い『スピルメイズがクリア出来なくてシナリオが進まない』という事態にはさほどならないのが救い。
  • BGMの音質が全体的に粗い。
    • 音割れが目立ち、それを抜きにしても他のDS作品の中では粗が目立つ部類。特に戦闘終了後のリザルト画面でのBGMは聞くに堪えない程。スピーカーの音質が改善されたDSiや3DS(LLは除く)、もしくはイヤホンで聴けばそれなりに聴けるようになる。
      • また曲自体のクオリティは悪くはなく、機械人戦の「誰がために戦うか」、カルセドニー戦の「飛翔!対空!!」、ラスボス戦のBGMは評価が高い。

総評

シナリオ、システム面共に若干の粗こそあるが総合的にはしっかり作り込まれており、携帯機のRPGとしては十分良作と呼べる作品である。
昨今のハイスペック据置機のシリーズ作と比べればボリューム面で物足りない部分もあるが、ハードの性能を考えればそれは仕方の無いものであり、実際に携帯機でこのボリュームを実現した事を評価する声は多い。
まして極薄ボリュームとしてファンのDSテイルズへの期待を失墜させた「テンペスト」から、これほどボリューミーな長編RPGにまで昇華させたというのは非常に大きいだろう。

CG版

  • 本作は、収録ムービーだけが異なるという異例のバージョン分け商法が取られている。
  • 一つは従来通りのアニメーションムービーを収録したもの。もう一つは、シリーズ初の3DCGキャラクターによるムービーを採用。CGムービーはリメイク版デスティニ―でCGムービーパートを担当した白組。
    • が、このCGキャラがいのまたイラストとは大きくかけ離れたアレンジであり、シリーズファンから満場一致で「キモい」「モッコスの再来」「コレジャナイ」の烙印を押されてしまった(参考動画 アニメVer.とCGVer.OPの比較)。
+ 登場キャラの簡易比較、画像サイズが大きいのでクリックしてご覧頂きたい
  • 結論から言えば「公式『実写版○○』ネタ」状態。「元々アニメ調のいのまたデザインを、CG化すること自体が無茶」との声は発売前からあったが、その不安が的中してしまった。
    • どんな感じかというと、良くも悪くもとにかくリアル。しかもキャラの顔立ちが世界観に合わないアジア系*5の薄い顔で、いのまたデザインの凝った服を着ている為、ただのコスプレ集団にしか見えない。グラフィックの元絵とのギャップの凄まじさ故に相当叩かれてしまったが、ただCGのクオリティ自体は最高峰でここまで出来るのかと思うほど綺麗。
    • そもそも、アニメ風のキャラクターデザインや漫画的表現がこのシリーズの特徴でもあり、それをわざわざリアルなCG化をしようという発想自体が間違っている。
    • CG版は「同じ路線で行くとマンネリ化が進むため、あえてユーザーの想像しなかったであろうCGでの表現に踏み込んだ」という考えから開発されたが、裏目に出ることとなった。
    • ヒスイのみ、CGでもそれほど違和感のない仕上がりになっている。
    • なお、テイルズキャラがリアルな3DCG姿で登場したのは『ソウルキャリバーレジェンズ』でゲスト参戦した『シンフォニア』のロイドが最初である。こちらはそれほどギャップは激しくない。
      とは言え、本作のそれ程ギャップは激しくないが違和感はどうしても出てきてしまうため、「8頭身ロイド」・「きれいなロイド」などという呼ばれ方をされることもある(あまり好意的な意味合いは含まず、良くてネタ扱いで使われる)。
  • また、CG版の他の部分でのキャラグラフィックはアニメエディションと共通であり、ゲーム内容にも一切差は無い(公式でもそう説明されている)。
    • そのため、内容に差がある『ポケモン』や『ドラクエモンスターズ』とは異なり、CG不人気も相まって完全に誰得となった。
  • エディション毎に違う特典を付けた商法も相まって早々にワゴン送りとなり、セールスもアニメムービー版の1/6程度という散々な結果になってしまった。
    • 中古価格も暴落。特にCG版は中古価格が大抵3桁になっている為、いけるクチならば十分満足できるかもしれない 。内容は同じなんだし。
  • また、「リアル過ぎる」との批判は、CG製作会社にとっては最大の褒め言葉とも言える。白組の技術が伺い知れるであろう。元絵とのギャップは凄まじいが見ないまま放っておくのも勿体無いものである。

その後

  • 『テイルズ オブ バーサス』では、主人公シングとヒロインのコハクが出演している。また、『テイルズ オブ グレイセス』にはコハクが、『テイルズ オブ イノセンスR』にはコハクとヒスイが出演した。
  • PS vitaで今作のリ・イマジネーションとして『テイルズ オブ ハーツ R』が発売。本作でNPCだったカルセドニー、新規キャラのガラドがパーティに追加されている。