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黄昏のオード ‐ODE TO THE SUNSET ERA‐ - (2017/11/10 (金) 12:00:55) の編集履歴(バックアップ)


黄昏のオード ‐ODE TO THE SUNSET ERA‐

【たそがれのおーど おーど とぅ ざ さんせっと えら】

ジャンル シンフォニックRPG
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対応機種 プレイステーション
発売・開発元 トンキンハウス
発売日 1996年12月27日
定価 5,800円(税別)
廉価版 BEST PRICE
2000年8月3日/2,500円(税別)
判定 クソゲー
ポイント 前世代的なグラフィック
シナリオはお使いの繰り返し
とにかく不便なシステム
ひたすら太鼓が響く戦闘シーン
純粋な評価点はイラストだけ
黄昏のオードロイド


概要

トンキンハウスが世に送り出した「シンフォニックRPG」。
イラストレーターの弘司氏を起用した美麗なキャラクターデザイン、プレイヤーが呪文を設定できる「ルーンソングシステム(歌魔法自動作曲システム)」など音楽を前面に押し出したシステムや世界観が魅力の作品である。
…のはずが、実際の内容はPSのRPGでは『里見の謎』『アンシャントロマン』に匹敵するネタクソゲーである。
OPからして文字がびっしりのプロローグとひどく不気味なポリゴンのムービー、そして予想の遥か斜め上の超展開。(クソゲー愛好家的に)期待を感じさせてくれる。


特徴

  • 「ルーンソングシステム(歌魔法自動作曲システム)」
    • 魔法の呪文の内容を最大7文字までプレイヤー自身が決めることができ、実際にボイスつきで詠唱してくれる。
  • 「ギルドシステム」
    • パーティメンバー4人までは任意に雇用できる。
  • 必殺技
    • 仲間キャラには必殺技が存在し、戦闘中指定した行動をキャンセルしてランダムに発動する。

問題点

システム面

  • 戦闘が非常に冗長かつ退屈
    • 攻撃力と防御力の計算方式が甘く、攻撃失敗率でゲームバランスを調整している節がある。そのため物理命中率がとにかく低く設定されており、敵も味方も攻撃を外してばかりで無駄に戦闘が長引く。
    • 回復時や特殊攻撃時のエフェクトが全体的に長いためテンポが悪く、しかもそのエフェクトもショボい。
    • 必殺技も基本的に戦闘の邪魔。
      • プレイヤーが指示して使用させる事が出来ないし、発動する場合は、直前のプレイヤーの指示がキャンセルして、無理やり発動する。
      • 効果も攻撃技とは限らず、効果の薄い補助魔法であったり、自爆技であったりするため厄介。回復技の場合はプレイヤーの指示を無視して勝手に発動してHPMAXの味方を回復するなど、アホさ加減を発揮するのは日常茶飯事。
  • その他戦闘システムの問題
    • 仲間は残りHPが少なくなると戦闘から勝手に逃亡してしまう事がある。
      • しかもリュッケルトが戦闘不能になるとその時点でゲームオーバーとなるため、事故率を上げる要因になっている。ゲームオーバーの場合、セーブ地点からやり直しとなる。
    • キャラ性能差も酷い。
  • エンカウント率は両極端。
    • 出るときはほんの少し足を踏み出すだけで出るのに、出ないときはいくら歩いても出ない。
  • ギルドシステムに反する強制加入
    • ストーリー上強制加入するキャラでパーティー枠4人が埋まってしまうと、雇った仲間は問答無用で解雇されてしまう。
      • 加えてそうして加入したキャラも頻繁に入れ替わるため育成も感情移入もしにくい。
      • シナリオは一本道かつ一方通行なのでプレイヤーの任意のタイミングで街を訪れることが出来ない。従ってイベント後に仲間にしたいキャラを再加入させることも出来ない。
  • インターフェース面も不便
    • アイテムのまとめ買いができない、パラメーターを参照しにくい等。

演出面

  • 貧相なグラフィック
    • 前述の通り、OPのムービーは船に乗った主人公が登場し、沈むだけの不気味且つシュールな内容。それもそんな低品質で不気味なポリゴンで描かれた主人公がどんどんズームアップしていく場面があるため、見るに堪えない。
      • 服や船の書き込みが浅く、海でさえゼリーのような質感で、貧相さが際立っている。
    • ドットは特別出来が悪いという訳ではないが、当時発売されたゲームの中でも色数が少なく、それでもSFCかMD並。戦闘画面などは正に前時代的である。
    • 後述の通りゲーム画面のキャライラストは悪くはないのだが、ゲーム内のドット絵で打ち直されたというより、イラストをそのまま取り込んだような感じであり、ステータス画面内で浮いて見える。
  • 音楽を題材にしながら出来の悪い歌魔法
    • フリーソフトの「SofTalk(ソフトーク、いわゆる「ゆっくりボイス」)」や「VOCALOID(ボーカロイド)」といった個人の趣味で買えるレベルの音声読み上げソフトが世に出る十数年も前の話、ボイスは指定された文字をそれぞれ予め決まった音階で読んで繋げるだけという仕様のためハッキリ言って出来は酷い。
      • 主人公のグラフィックは若いイケメンなのに、やたら野太い声なのも合っていない。
  • 歌魔法もさることながら、仮にも音をテーマにしたゲームにもかかわらず音楽もひどい。
    • 特に戦闘曲はエンカウント音、通常戦闘、勝利のテーマ、そしてボス戦ともにティンパニとスネアドラムの音だけ*1。おそらく歌魔法がメインであるため戦闘BGMは控えめになったと思われるが…音質がチープ&構成が単調という二重苦がただでさえ苦痛な戦闘に拍車をかける。
    • 唯一の例外はラスボス戦である。曲自体は単調だが、打楽器のみに比べれば…。

シナリオ面

  • お使いイベントが無駄に多い。
    • というかストーリーのほとんどがアレを取ってこい、アレを探して来いばかり。しかもつまらない理由で延々と歩かされるケースばかりで、本筋のストーリーがなかなか進まない。
  • キャラクターもトラブルメーカーがやたらと多く、プレイヤーをたびたび困惑させる(イラつかせる)イベントが発生する。
    • 新しい街に行く毎に新しい仲間を自由に加えられるのだが、強制加入するパーティーキャラによる入れ替わりの激しさも相まって、仲間に思い入れを抱きづらく魅力に欠ける。
      • 中には適当な事を言って無駄なダンジョン探索を二回も行わせるとんでもない輩まで居る始末。

バカゲー要素

  • 歌魔法にネタ要素が強すぎる
    • 決まった音階で読んで繋げるだけという仕様のせいで酷い物が出来るのは前述の通りだが、それが突き抜けすぎていていっそ笑えるレベルになっている。
      • 使用時にその都度「ぼ~ん♪」というリュートの音色が混ざるのもシュールさに拍車を掛ける。
    • そもそもデフォルトの呪文からして「おおいわおちろ」「こおりのや」「なぞなぞふしぎ」「どくどくあめだ」など変なものばかり。
    • 本作を代表するネタであることもあって、黄昏のオード関連の動画ではVOCALOIDの代わりにこのシステムを使ってボイスを読み上げているものもある。通称「黄昏のオードロイド」。
    • ちなみに、とあるダンジョンでヒロインが主人公の歌にツッコミを入れるシーンがあるのだが、その時の主人公の反応は「…ふん。もともとヘンな歌なのさ!歌がヘタなわけでは決してないぞ」と。どうやら自覚は無いようだ。
  • ツッコミ所満載のストーリー
    • 主人公の乗っていた船が難破する所から始まるのだが、最初の村で「悪神が復活した」という話を聞いて特に根拠もなく「船が沈んだのはその悪神の所為では?」と決めつけるなど、ラスボスへの因縁付けが安易過ぎてむしろ超展開。
      • その後も異変がある度に「悪神が復活した影響では?」として片づけられるため、主人公一行と悪神ガリハアクの直接的な因縁が無いまま、旅の目的がガリハアク討伐へと仕向けられていく。このゲームは「だいたいガリハアクのせい」でシナリオが進んでいくため、「このゲームがクソゲーなのはガリハアクのせい」というネタも囁かれていたりする。
    • 酒場で酔っぱらいを止めに入れば即外の海に放り出される。かと思ったら流れ着いた先で拾ったオールの破片を武器に再び挑み、今度は逆に酔っぱらいを海に放り投げるという、まるでコント番組のような展開が続く。バカゲーのつもりか? ひょっとしてバカゲーと割り切れと言う事なのか!?
    • 台詞回しも変なものが多く、口調が安定しなかったり、おかしな事を口走るキャラが多い。これは主人公のリュッケルトとて例外ではなく、最後まで一人称が安定しなかったり、キャラクターが定まらないままストーリーが終わってしまう。

評価点

  • 弘司氏によるイラストは好評。主人公リュッケルトは(イラストで見る限りは)イケメンで、女性キャラもヒロインのアイリスを始めとして美女揃いである。
    • ドットでは魅力も伝わって来ないが、メニューや戦闘では顔グラフィックが表示されており、ステータス画面では全身画が見られる。
      • 但し、上述したようにゲーム画面用に書き起こしたと言うよりはイラストをそのまま取り込んだようなものであり、特に顔グラフィックは解像度やコントラストにばらつきがあったりなど、せっかくのイラストを台無しにしている部分もある。男性キャラが特に顕著。
  • 任意加入の仲間キャラでもストーリー中に固有の台詞が用意されており、誰を仲間にしているかに応じて会話内容に変化が生じる事がある。
  • 本来の評価点ではないが、任意に声を設定できる歌魔法はネタとしてなら存分に笑える。
  • 前述のとおり戦闘曲はドラムスの音だけだが、ストリングスを生かしたクラシカルなBGMもあり、それらは聞きごたえがある。

総評

キャラクターデザインを除けばほぼクソ要素で塗り固められた紛れも無いクソゲーであり、今も尚『里見の謎』と並んでPS屈指のクソRPGと名高い迷作である。
しかし、ストーリー・システム共に不便で不可解ではあるものの、どことなく憎みきれない絶妙な愛嬌…クソさ加減を誇る要素も多く、逆に熱狂的なファンを生み出すまでにも至っている。
単なる駄作では終わらず、(ネタとして)愛される側面も持ち合わせているあたり、クソゲーとしては充分恵まれた立場にある作品と言えなくも無いだろう。


余談

  • 本作のプレイヤーは『悪の手先』と呼ばれる。それは2chのスレタイ「黄昏のオードをプレイする奴は悪の手先」が由来となっている。
  • こんなクソゲーだが、2000年8月3日には『ベストプライス 黄昏のオード』としてベスト版が発売されている。
  • 本作のプレイ動画について弘司氏がTwitterでコメントを残している。
    • ネタ扱いされている事を楽しんでいる様子。以下、原文まま。
    • 「悪い気はしていない(笑)。ある意味ボーカロイド超えたのでは。この仕事やって良かったなぁ。続きはよ。」(コメントその1
    • 「続き来てた。その昔キャラデザインで参加したゲームです。今になってもこうしてネタにして貰えるのは、ある意味愛されてるなーと(笑)。」(コメントその2

参考動画

+ プロローグとOPムービー