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ゼルダの伝説 大地の汽笛 - (2017/01/07 (土) 13:05:29) の編集履歴(バックアップ)


ゼルダの伝説~大地の汽笛~

【ぜるだのでんせつ だいちのきてき】

ジャンル ペンアクションアドベンチャー
対応機種 ニンテンドーDS
メディア 1024MbitDSカード
発売・開発元 任天堂
発売日 2009年12月23日
定価 4,800円(税5%込)
判定 なし
ポイント ゼルダ姫操るファントムと協力して謎解き
汽車の移動が非常にダルい
ゼルダの伝説シリーズ関連リンク


概要

DSゼルダの2作目で、『夢幻の砂時計』の正式な続編。前作から約100年後、テトラたちが無事に新ハイラル王国を建国したあと、かなりの年月が流れた後の世界を舞台とする。そのためか、本作には前作の登場人物(の子孫)が数多く登場する。

あらすじ

モヨリ村でごく普通の生活をしていたリンクは見習い機関士の少年。ある日、リンクは正式な機関士になる任命式のために城を訪れる。城でゼルダ姫から任命書を受け取り、大臣の立会いのもと任命式は無事終わるが、リンクはゼルダ姫に「こっそり神の塔へ連れて行って欲しい」と頼まれる。城を抜け出して神の塔へ行く途中、突然線路が消えて汽車は脱線。そこには大臣キマロキと怪しい男の姿があった…。(Wikipediaより抜粋)


本作の特徴

  • 基本操作は前作同様すべてタッチペンを用いるが、回転切りや弓矢の操作などが簡略化され使いやすくなった。
    • マイクを使う機会も増えており、新アイテム「疾風のプロペラ」や今作の重要アイテム「大地の笛」*1は息を吹きかけて操作する。
  • 移動方法が船から汽車に変わっており、同時にリンクが機関士という設定になっている。マップ上を移動するときは、汽車を自分で操作して運転する。ギアは「前進」「全速前進」「停止」「後退」の4つで、他に分岐点の変更や汽笛を鳴らすレバー、砲台による攻撃などがある。
    • 過去のシリーズを含めても、最初から職業に就いているリンクはこれが初めて。また、道中のイベントで貨物や乗客を乗せて移動することもある。
  • 重要拠点である「神の塔」に登り、線路を復活させる石版を入手 → 汽車でほこらへ向かい、ダンジョンに行けるようにする → ダンジョンを攻略して結界を張る → 再び神の塔へ戻り石版を入手…という流れで進行していく。
  • 今作では最初から最後までゼルダ姫(正確には彼女の魂)と一緒に冒険をする。過去の作品でも一時的に行動をともにすることはあったが、冒険のパートナーとなるのは今作が初めてである。
    • 今作のゼルダ姫はご先祖を髣髴とさせる明るく快活なキャラクターとして描かれており、トゥーンゼルダ特有のコミカルな雰囲気で多彩な表情や仕草を見せてくれる。喋らないリンクに代わって冒険のナビゲーター役になってくれるためプレイヤーにもわかりやすく、一緒に冒険している感覚がとても強い。
    • また、今作にはゼルダ姫と並ぶヒロイン的存在のキャラクターは登場しない。
  • ゼルダ姫は物語冒頭で悪役に身体を乗っ取られてしまい、魂だけの姿になってしまう。そのため、何度も訪れることになるダンジョン「神の塔」では、前作で強力な敵として登場した「ファントム」に憑依することで、ファントムを味方として操作し、リンクと二人三脚で協力して謎を解いていくことになる。
    • ファントムの移動はリンクとは異なり、タッチペンで進路を描いて行う。ファントムはリンクが通れない溶岩の上を渡れるが、リンクが通れる砂場を渡れない、というように性能に違いがあるため、場面によってリンクとファントムを使い分けて、複数のスイッチを同時に押したり、場所を交代するなどしてダンジョンの仕掛けを解いていく。

評価点

  • ファントムを操作することによる謎解きのバリエーションの増加。
    • 通常のファントムの他にも、炎で明かりを灯すことができる「フレイムファントム」、ワープができる「ワープファントム」、岩に変身してブロックなどを破壊できる「アイアンファントム」が存在し、終盤にはこれらのファントムの多彩な特殊能力を次々に使いこなす必要がある。
    • 前作であれほど苦労させられたファントムが、リンクと協力している、というだけでも『夢幻の砂時計』ファンには嬉しいポイントである。
  • 「神の塔」のダンジョンは時間無制限、かつクリアした階はスルーできるようになった。
    • 前作の「海王の神殿」は同じ所を何度も行き来しなければならず、さらに制限時間まで存在していたことに不満が多かった。もちろん、クリアした後も何度でも入ることができる。
  • 回転アタックと弓矢の操作が簡略化されるとともに、リンクが注目した物の上に↓が表示されるようになり、わかりやすくなった。
    • 回転アタックについては前作では下画面の端で小さな円を2回描く(正確には下画面のフチに2度触れるだが)だったが、今作では進行方向にダブルタッチするだけでよくなった。
  • 移動方法が船から汽車になったため、目指すべき目的地がはっきり分かるようになった。
    • ただし後述するように汽車移動には問題点も多い。
  • 前作と違って汽車のパーツを、購入以外の方法でも確実に入手できるようになった。
  • 汽車移動時の音楽がじつに軽快。汽車の走行音もBGMに合わせてリズムを刻んでおり軽快さを引き立てる。
    • イントロが印象的なフィールドBGMは評価が高い。
  • 前作と違いライクライクに食べられない新たな盾を入手できる。入手後は初期の盾といつでも取り替えられるようになるが、取り替えるメリットは全く無い。

問題点

  • 相変わらずボタン操作に対応していない。
    • 前作『夢幻の砂時計』でもっとも多かった不満点であり、今度こそはキーコンフィグで変更出来るだろうと期待したユーザーも多かった…のだが、残念ながら本作も前作同様のコンフィグ不可、タッチペン操作オンリー。
      • この事実については一部ユーザーの怒りを買ってしまったらしく、中には本作を買ってすぐ売り飛ばす人物まで見られたとか。
  • 汽車によるフィールド移動が非常に煩わしい。
    • 本作最大の問題点。本作の目玉システムであり、プレイ中の長い部分を占める要素であるにも関わらず、多くの問題がある。
    • まず移動速度が遅い。マップも広く、ギアを「全速前進」にしても快適とは言い難いスピードであるため、単純にストレスが溜まる。移動速度を上げるアイテムや手段は無い。
      • 汽車なので、マップ上に元から線路が敷いてある部分しか移動できない。そのため広いマップを冒険しているという感じが無く、ノロノロ走る汽車をただ眺めているだけ、という退屈な、場合によっては苦痛とも言うべき時間を強いられる。これがゲーム全編を通してかなり長い時間繰り返される。
    • 退屈ならば、目的地に着くまでゲームを放置して時間を潰せば良いのでは、と思うかもしれないが、移動中は定期的に敵モンスターが登場するため、それもできない。ダメージを受けてライフが無くなると、最後に立ち寄った駅まで戻されてしまう。
      • 敵はタッチすることで撃てる砲弾で倒す。しかしあまりにシンプルなため、シューティングゲームとして楽しめるほどのレベルではなく、難易度も(終盤の特定のイベントを除き)あまり高くないため、すぐに面倒なだけの作業と化す。謎解き要素なども無い。
    • また「ボンバー列車」という敵車両も登場する。リンクの汽車と同じく線路上を移動しており、倒すことはできず*2、衝突すると即ゲームオーバーになる。後半になると、こちらを追跡してくる強化型も出現する。
      • うまくボンバー列車を避けることができるルートを構築するというパズル要素はあるものの、ダンジョンの謎解きと違って唯一の解答があるわけではなく、なんとなく進めても強引に突破できてしまうたぐいの妨害なので、これも面白さやクリアした際の達成感よりは面倒臭さが先立ってしまう。
      • 汽車をうまく操作してボンバー列車から逃げるアクション要素もあるが、汽車の操作は、移動が遅く、線路にしか動けず、できることも少ない、とリンクの操作に比べて単純に面白くない。
      • 最終ステージでのみ、線路上のアイテムを取ることによって、超スピードで移動してボンバー列車を正面から跳ね飛ばすことができるため、これまでの鬱憤を存分に晴らすことができる。このステージの爽快感と面白さが、それ以外の基本の汽車移動システムの煩わしさとつまらなさを証明してしまっているのが皮肉である。
    • 中盤以降はワープができるようになるが、指定の場所同士を繋ぐゲートが線路上にできるという形式なので、結局そこまで移動しなくてはならず、また行き先も決めることができない。さらに数も少ない。
      • ゲートは増やすこともできるが、そのためには乗客やアイテムを別の街まで運ぶサブクエストを達成する必要がある。この際は「急停車・発車をしない」「標識がある場所で警笛を鳴らす」などチェックポイントを守らないと減点となり、失敗すると最後に停車した駅からやり直しになる。つまり面倒な移動を楽にするためにワープをできるようにしたいのに、そのためには通常よりさらに面倒な移動を強いられる、というこれまた皮肉なシステムになってしまっている。
  • 汽車のパーツ交換の意味が乏しい。
    • やりこみ要素として、アイテムの様々な「お宝」を集めると汽車のパーツと交換することができる。しかしパーツを変更しても、変わるのは見た目のグラフィックとライフの最大数、汽笛の音色だけであり、それ以外は一切変化が無い。
    • 多くのプレイヤーが期待・想像するだろう、汽車のスピードが上がったり、砲台の性能が変化したりといった肝心の性能の変化は無い。この事実が、汽車システムの作り込みの甘さと奥の浅さを象徴してしまっている。
    • また「お宝」の出現率はセーブデータによって異なる。にも関わらず汽車のパーツ交換に必要なお宝の数は固定されており、各ソフトで入手しやすいパーツ・しにくいパーツがいくつも出てしまう。その通信・交換方法として比較的手軽なすれちがい通信を使用しているのだが、プレイしている人がいるかは微妙なところでもある。
  • マイクに息を吹きかける操作が頻繁にある。
    • キーアイテムである「大地の笛」はプレイ中そこそこの頻度で使う必要があるが、マイクに息を吹きかけなければ操作できない。ボタン操作等による代用は不可能なので、電車内等、外でプレイする際には躊躇われるという意見が多い。
      • 笛の操作法は、息を吹きかけて音を出し、タッチで笛をスライドして音を選ぶ実際のハーモニカなどに近い方式である。息を吹きかける操作自体にもコツを掴む必要があるため、苦手なプレイヤーは「曲の演奏で詰まって先に進めない」と嘆くことになった。
      • マイクに口を近づけると息を反応しやすくなるが、代わりに画面と目が近すぎてタッチ操作ができなくなるという問題がある。後半は音を1つ飛ばすテクニックが必要な演奏があるため、これまでのオカリナ演奏などに比べて難易度はかなり高い。
    • これに関連して、ストーリー中必ず立ち寄ることになる占いのババ様の家でマイク認識時にフリーズするバグがある
  • 最強技である「大回転斬り」を入手できるようになるのがゲーム終盤で、しかもほとんど活用できる機会がない。
  • 入手アイテムの一つである「サンドロッド」は一部のダンジョンやミニゲーム以外では全く役に立たず、武器としての攻撃力も無い。
  • 前作と違いハチを倒すことができず、ハチの巣を壊した場合は民家に逃げ込むか、一定時間逃げ続ける必要がある。スタート直後のハチの巣でいきなり死んだプレイヤーも多々いたとか…。
  • 前作同様に物価が高い。そのため序盤はお金が無くて困り、終盤はお金が余り過ぎて困る。

総評

シリーズの例に漏れずダンジョンの謎解きの面白さは健在で、ゼルダ姫の憑依したファントムを操作するなどアクションのバリエーションも多いため、2Dゼルダとしての本質部分は良質な出来である。しかし一方で、タッチペン操作やマイク操作と言ったクセのある操作を強いるシステム、そしてなにより、極めて退屈で面倒な汽車によるフィールド移動といった、作品全体にまつわる難点が本作の完成度と評価を大きく下げてしまっているため、良作と断言できない、惜しい作品である。

余談

  • 最終決戦前のゼルダとの会話の3択の選択肢により、EDラストのムービーがほんの僅か変化する。
  • 今作は『夢幻の砂時計』以上に値崩れが激しく、2010年の時点で1,000円を切ることもザラにあった。
  • リンクの先輩機関士がシロクニ、謎の男がディーゴ、大臣がキマロキ*3、神の塔の主がシャリン様と本作のメイン登場人物の名前は鉄道に由来するものが多い。
  • 漫画「四姉妹エンカウント」の表紙に本作が映っている。