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エースコンバット6 解放への戦火 - (2012/04/13 (金) 02:25:03) の編集履歴(バックアップ)


エースコンバット6 解放への戦火

【えーすこんばっとしっくす かいほうへのせんか】

ジャンル フライトシューティング
対応機種 Xbox360
発売・開発元 バンダイナムコゲームス
発売日 2007年11月1日
ポイント キラータイトル未満の佳作
ゲームボリューム大幅減
自重しないDLC
予想の斜め上を行く痛戦闘機
エースコンバットシリーズリンク

概要

  • それまでPS・PS2で展開してきた『エースコンバット(以下AC)』シリーズだが、本作は初めてXbox360で発売された。
  • 期間限定でXbox360本体に『ビューティフル塊魂』もしくは『LOST PLANET COLONIES』と共に同梱されている。

長所

  • 本体の性能向上によりグラフィック・サウンド面が向上。ますます美しい板野サーカスが実現。
  • 量の面でも“砲火入り乱れる壮絶な「大軍vs大軍」の大戦場”を実現。無数の戦闘機が入り乱れる空中戦はゲーム中の合言葉「天使とダンス」を体現している。
    • 敵の数が増えたことにより自機の武装の弾数も大幅上昇。また、敵の数が増えたことと弾数が増えたことにより複数ロックオン兵器の使い勝手が上昇した。
  • 上記によりプレイヤー一機だけで戦況を変えるようなプレイは難しくなり、友軍への支援要請が重要に。有効に使わないと敵機を狙っている間に別の敵機に背後を取られたり、無数のTGTに攻撃が間に合わないことも。
  • 新要素の偏差射撃と近接信管、ハイGターンによりドッグファイトはより楽しく高度に。
    • それに加え一部の武装の本格的なバランス調整が行われ、特に04での登場以来産業廃棄物も同然な低性能を晒し続けていたRCL(ロケットランチャー)は、射撃精度や爆破範囲などを十分に実用に耐えうる性能まで強化されている。
  • オンライン対戦・協力プレイが可能に。
  • BGMはいつもの『AC』クオリティで安心して聞ける。少年合唱団を採用したエンディング「A BRAND NEW DAY」は必聴。また、「グレースメリア解放戦」BGM「The Liberation of Gracemeria」はシリーズ屈指の名曲として高く評価されており、その人気は「ZERO(『ZERO』ラストミッションBGM)」に勝るとも劣らない。
  • Xbox360のインストール機能を利用することでムービー以外のロード時間がゼロになり、快適にプレイできるようになる。
  • 日本語でプレイすると、相棒が小山力也で渋い。

短所

  • ボリュームが薄い。キャンペーンモードは全15面。使用できる機種は14種類+架空機体1種。MiGやF-4など古めの機種はばっさり削除(一応F-4は敵機としては出てくる)。外見の流用ができそうなF-15やSu-27シリーズの機体も各1機のみ。グラフィックは非常に綺麗なだけに残念。
    • PSPの『X』でも40機使えるというのに…。
    • もっとも、ライセンス料の増加(特にロシア機)などもあり、機体に関しては仕方ないという意見もある。
    • 一度クリアしただけでは到底コンプ不可能な収集要素があり、周回プレイ前提であることから全15面のステージ構成は妥当という考え方もできる。各機体のカラーバリエーションも収集要素のひとつで、機体によっては別バージョンに見える配色のものもある。
    • 売りだったはずのネットワークモードは対戦2マップ、COOP2マップのみ。後にDLC(有料)で増えたが…。
  • そのくせムービーは長く(これは以前からだが)主人公が関わらない話が展開。戦車兵の話は戦略大作戦のインスパイヤ。
    • 本編のストーリーが単調で一本道。このハード最初の『AC』シリーズということでオーソドックスにしたのだろうか。『04』『5』『ZERO』『X』とストーリーも面白かっただけに残念。欝ストーリーではないので安心ではあるが。
    • いままでのシリーズではムービーで語られる話にも必ず主人公が絡んでいた。今作の主人公タリズマンも戦局に大きく関与しているのは間違いないが、その活躍の様子はライバルのセリフから窺い知れる程度に留まっている。
    • 登場人物それぞれの立場や視点、それぞれのやり方で戦争を生き抜くという断片的なエピソードをザッピングムービー的なまとめ方をしている。そういう意味ではゲームプレイの部分が主人公タリズマンの視点でありストーリーテリングになっているという考え方もできる。
    • 日本語音声なら日本語に合わせて、英語音声なら英語に合わせてムービー内の口の動きが変化するというこだわりを見せている。どちらの音声も洋画を思わせる素晴らしい出来だが、日本語訳はかなり意訳に寄っている。
      • 教科書英語的翻訳ではなく、ネイティブが聴いても違和感無い日本語に仕上がっている点はむしろ評価できるかもしれない。
  • 架空機体がチート性能。終盤に敵ACEが乗ってくる機体だが、UFO軌道でミサイルが当たらない。そこだけある意味運ゲー。著しく興冷めする。自機になってもバランスブレイカー。
    • 一応説明しておくとこれはストーリー上のある事情が影響しているためであり、適切な順序を経ると軌道が変化して攻撃を当てやすくなる。また、自機も架空機体である場合はこの限りではない(後述参照)。
    • 通常のミサイルよりもロックオン可能な距離が長く、最大12個のターゲットを同時にロックオンできる対空・対地ミサイルが標準の特殊兵器で、これを18回分搭載できる上に作戦中何度でも補給が可能な場合がある。他にも弾速が恐ろしく速いレールガンを搭載可能で、このレールガンを使うと敵の架空機を簡単に撃墜できる。
    • エースコンバットシリーズの架空機は毎回バランスブレイカーなので、今作だけが異常というわけではないという見方もできる。『6』の架空機体も性能面で言えば『ZERO』の架空機体と同レベル。
    • 架空機とともに登場する無人戦闘機(UAV)もかなりのUFO軌道で飛ぶが、機関砲を撃ちながら適当にグルグル飛んでいるだけで撃墜できてしまうという場面が偶然とは言えない確率で発生する。また、前述のレールガンを使うなどの方法で無人戦闘機との戦闘そのものを回避する事も可能。
  • レーダーの縮尺が3段階に切り替えられるが、帯に短し襷に長しで敵の位置が把握し辛い。
  • 真正面の敵のみをロックオンする機能が今回はないので、中々狙った敵をロックできない。
    • おまけに本体の性能向上により一度に大量の敵が出るようになったので尚更上記が問題に。Yボタンでターゲットを次々切り替えている内に通り過ぎてしまうこともしばしば。レーダー、ロックオンの仕様はもう少し何らかの対策を用意して欲しかった。
  • 難易度が過去作と比べて高い。面によってはEASYですら難しい。これが初『AC』だと詰まるかもしれない。
    • 一方、シリーズ恒例のタイトな機体操作を求められるステージ(いわゆるトンネル)は緩和されている(難易度低下あるいは進入しなくてもクリアに支障ない)。それがかえって賛否両論を生むあたりは皮肉でもあるが、この件で文句を垂れるのは一部の『AC』ファンだけだと思ってよい。
    • 僚機や支援要請の使い方次第で難易度はかなり変動する。支援要請を一切利用しない孤高のプレイを貫けば難易度は飛躍的に向上。逆にプレイヤーは一切攻撃せず、僚機と味方部隊への指示のみで攻略するという縛りプレイも可能(ゲームの進行に必須である一部の場面を除く)。
  • 一応難易度に合わせた救済措置的なものはある。
    • 初心者向けの設定に『5』以来となるトレーニング(チュートリアル)モードが収録されている。新ハードでの初販売ということもあっての措置であろう。
    • さらに難易度EASYでは、地面や壁面に接触してもダメージを受けるだけで墜落しないようになる(ただし角度によっては即墜落となったり、狭いところでは衝突時機体が跳ね返ってピンボール状態になりダメージ蓄積で結果的に墜落になることはある)。
    • シリーズ初の機能として、撃墜された場合でも「途中からやり直し」が可能となっている(複数ミッションのステージで、いずれかのミッションをクリアした場合のみ、最後にクリアしたミッション直後の状態から再開可能)。
  • 味方部隊の支援はアライドサポートゲージを消費することで要請できるほか、支援要請をおこなっていないときも自立攻撃をおこなうようになっている。しかしお世辞にも賢いとは言えない。しかもゲージが溜まっている筈なのに使おうとすると妙な効果音がして使えない時がある。
    • ミッション中の選択式の作戦をひとつ終えるたびに、手の空いた味方部隊がプレイヤーの後方に追随するようになるが、プレイヤーの後方に敵機がぴったりと張り付いて機銃でジリジリと削りに来ているにも拘わらず<<後方に敵機>>と報告したっきりプレイヤーを見殺しにする。
    • 後方に追随する味方部隊の集団のなかに敵機が紛れ込むこともあり、レーダー上で視認しにくくなる。敵機のステルス性を向上させる味方部隊。当然こういう敵機も撃墜してくれることはない。
    • 味方部隊は単純な直線移動を続けている弾道ミサイルですら撃ち漏らすことがある。結果として、撃墜してくれなかったことに都市部に着弾してから気付くという事態が発生する。さらに言えば、着弾してもクリア後の評価に影響しない。
  • 僚機であるガルーダ2ことシャムロックが自機に密着しすぎる。
    • 誤射だけでなく目標に攻撃がうまく当たらなくなるため邪魔になる。
    • 今作では「分散」と「特殊兵装切替」の指示ができなくなっている。特殊兵装はCPUが任意で使う。つまり使ってほしい時に使ってくれる訳ではない。これがQAAMやSAAMとかだった場合最早ちゃんと使ってるのかどうかよく分からない。「分散」は兎も角「特殊兵装切替」は無くすべきではなかった。

DLC

  • 機体をダウンロード(有料・無料共)して追加できる。基本的には、既存機種のカラーリング、性能のマイナーチェンジ版。
    • 過去作おなじみのカラーリング(過去の主人公をモチーフとしたペイントや、ライバル機の塗装など)などもある。
    • ただし、『5』や『ZERO』で登場した敵エースである「グラーバク」カラー機は、エンブレムが付いているだけで全くペイントが違う。
  • 『アイドルマスター』のキャラクターを描いた機体…通称「痛戦闘機」が登場。痛車のセンスをそのまま持ち込んだデザインは賛否両論。
    • ただ、デザイン面でのクオリティの高さ、弾薬搭載量はデザインされたキャラ身長と3サイズに合わせてたり、各キャラの性格や能力に合わせた性能アレンジ、さらにはミサイルスモークの色までキャラクターのイメージカラーになってたりと、無駄に力の入った完成度になっている。
    • そのアイマス機はそれぞれ実在機ではありえない、かなり尖がった性能をしている機体が多い。
      • 例えばロール/ピッチ性能が極限まで高められ普通に真っ直ぐ飛ばすことすら困難なF-16C真美/F-2A亜美機、逆に慣性が存在せずカックカクな動きになるA-18F律子機、フルスロットルで一瞬で1800ノットオーバーを叩き出すが、止まらない曲がらないという文字通りの「直線番長」Mirage2000やよい機等、過去ACシリーズはもちろん他のフライトシムでもありえない異常な性能の機体が勢ぞろいしている。
      • 中でもSP(全員集合)A-10は、安定性を殺しそれ以外の性能を全て強化したという性能になっており、A-10のクセに最高速度1300ノット以上、戦略爆撃機級の兵器搭載量による超火力、空中でドリフトするかのような異常な挙動と、他の追随を許さない圧倒的なネタ性能で多くのプレイヤーを驚かせた。
      • ネタ性能が多い一方で、アイマス機では唯一のバランス型でDLC機体でもトップクラスの性能と評されるF-22A春香機、装甲を犠牲に機動力全般を高め、玄人向けエース機と言った性能のF-15E千早機など、所謂オンラインでのガチ対戦でもプレイヤーのスキル次第で高い戦闘力も発揮する機体も存在する。
      • このように初心者から上級者まで楽しめる個性的な機体が揃っており、外観はともかく、その性能面での評価は高い。
    • 実際の飛行機メーカーに痛戦闘機のデザインと使用許可を取ったとの話もあり、制作側の熱意は感じられる(方向性が間違ってる気もするが)。
    • しかしながら、アイマス機は通常よりも高価。バンナムお得意のDLC商法がここでも発揮されている。

まとめ

  • シリーズファンを自負する偏ったプレイヤーの感想が目立つためネット上での感想は芳しくない(「つまらない方の『AC』」と揶揄されることもある)が、一個の作品として総合的に見れば欠点を補って余るだけの良作である。すでに360を持っている人は買って損はない。
    • 本体との同梱パックが販売されているので今から始めたいという人はどうぞ。
  • 前途の通り全体的にボリューム不足である。過去のシリーズのボリューム感に慣れ、期待され過ぎていたことによる落差がある。ゲームシステムにハマり、周回プレイと収集要素に魅力を見出せるなら周囲の評価よりも長く楽しめる可能性があるが。
  • ガンダムのような一騎当千の活躍ではなく、戦場におけるひとつの駒として大軍vs大軍の戦闘を楽しみたいという人にとってはむしろ過去の『AC』シリーズよりもオススメ。
  • 本作は「360専売」と謳っているが、360を持たない一部ファンからは「(DLCを完全網羅した)完全版をPS3で出してくれ」と言われている。