エースコンバット6 解放への戦火
【えーすこんばっとしっくす かいほうへのせんか】
ジャンル
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フライトシューティング
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対応機種
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Xbox 360
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発売・開発元
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バンダイナムコゲームス
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発売日
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2007年11月1日
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価格
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7,800円
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レーティング
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CERO:A(全年齢対象)
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廉価版
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プラチナコレクション 2008年11月6日/3,800円
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判定
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なし
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ポイント
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キラータイトル未満の佳作 ゲームボリューム大幅減 自重しないDLC 予想の斜め上を行く痛戦闘機
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エースコンバットシリーズ
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概要
それまでPS/PS2で展開してきた『エースコンバット(以下AC)』シリーズだが、本作は初めて360で発売された。
世界自体は『04』以降の作品と同じ世界観だが、地域的には過去作より北にあるアネア大陸が舞台。
2015年~2016年の「エメリア・エストバキア戦争」を扱う。
「エストバキア連邦は小惑星ユリシーズの落着に備えて迎撃兵器の開発を進めるも頓挫、落着の影響で内政が崩壊し内戦状態となる」などの過去作とのつながりを示す要素がある。
新要素など
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ダイナミックミッションシステム
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1つのミッションで最大6つのオペレーションが同時に行われるようになった。
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一定数のオペレーションを成功させることがクリアへと繋がるのだが、何を選ぶかはプレイヤーの自由。楽なオペレーションを優先的にクリアすることも、あえて難しいオペレーションを選ぶこともできる。
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ミッションによっては、対空戦闘、対地攻撃が同時に行われるものもあり、どちらかに偏った選び方も、均等な選び方もできる。
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全てのオペレーションはリアルタイムで進行するため、「生きた戦場」を感じやすい。
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マップ上の表示は方向キーの左右で特定のオペレーションに限定した絞り込み表示が可能。
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僚機への指示は攻撃/援護の切り替えのみとなったが、それと別に友軍への要請が可能になった。
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操作は方向キーの上下どちらかを押しっぱなし(すぐ離すと僚機へ、押しっぱなしだと友軍への指示となる)。敵撃破やオペレーション達成などで蓄積されるASG(Allied Support Gauge)を1ブロック消費する(ストックは5ブロック分まで)。
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支援要請すれば、多数の友軍が一斉に攻撃し、瞬く間に大量の敵を撃破してくれる。
攻撃要請の場合は前方の敵を、援護要請の場合は自機を狙う敵を主に攻撃する。
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支援要請における友軍のミサイルは誘導性能が高い。多数のエース機に囲まれたとしても、短時間で壊滅状態に追い込める。
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特にわかりやすいのはミッション12(ネタバレあり)
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このことが特にわかりやすいミッション12について述べる。
このミッションは「高度制限下での対地攻撃任務」に属するものだが、目標殲滅後そのまま帰還が目的となる2次ミッションに移行する(この段階では高度制限は解除される)。
だがその帰り道において進行距離・敵機撃破・時間経過によって敵の増援がどんどん追加され、最終的には圧倒的不利な状況での持久戦を強いられることになるものの、しばらくすると味方部隊がやってくる(とともにASGがフルチャージされる)ので、支援攻撃を要請すれば相当な勢いで殲滅してくれてそのままミッションも達成となるのである。
※なおこの流れは後半敵を無視して帰還ラインまで飛ぶことを想定していた点を含めて『5』の18→18+に近いが、本作では強行突破を諦め友軍の到着までの持久戦になる点が異なる。
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“通常ミサイルの偏差射撃及び近接信管”“ハイGターン”“電子支援”が追加された。
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偏差射撃で敵を攻撃することで、ミサイルの性能が向上する。
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直撃すれば、従来では2発当てる必要があった戦闘機や戦車を一撃で破壊できる。
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誘導性能も向上し、大抵の戦闘機であればどんな方向から撃っても高確率で命中する。
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近接信管はエース機などに有効で、ミサイルが直撃せずとも敵にダメージを与えられる。
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ハイGターンを使えば、通常では不可能な急旋回が可能となり、敵機(特にエース機)の追撃や、墜落防止に役立つ。
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電子支援はレーダーに表示された青いサークル内に居れば機体や兵装の機能が向上するシステム。サークルとサークルが重なった間に行けば重ね掛けさせる事が可能(但し上限在り)。
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シリーズで初めて「途中リトライ」が可能になった。
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オペレーションクリアや2次ミッション突入のたびにチェックポイントが記録され、失敗した場合はそこからやり直せる。
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リトライしてもオペレーションの評価はそのまま引き継げるので、Sランク狙いの場合でもリトライして問題ない。
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オンライン対戦・協力プレイが可能に。ただし協力プレイは本編とは独立したものとなっている。
DLC
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機体の別カラーや対戦モードなどのステージをダウンロードして追加できた。2016年6月末で配信終了したが、購入済みの分はOneの後方互換機能でもきちんと認識される。
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機体は過去作おなじみのカラーリング(過去の主人公をモチーフとしたペイントや、ライバル機の塗装など)など既存機種の色違いという形であり、新規機種は存在しない。
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『5』のラーズグリーズは全機種(CFA-44含む)を制覇している。これは実は後述のアイマス機体でも成しえなかった快挙である。
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ただし、『5』や『ZERO』で登場した敵エースである「グラーバク」カラー機は、エンブレムが付いているだけで全くペイントが違う。
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カラーリングと共に性能が調整されている機体も多い。
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一部の機体は『2』『3』の性能再現版と銘打たれており、特殊兵装も『3』の特定のものを除き弾数0に設定されている。
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『アイドルマスター』のキャラクターを描いた機体…通称「痛戦闘機」が登場。痛車のセンスをそのまま持ち込んだデザインは賛否両論。
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ただ、デザイン面でのクオリティの高さ、弾薬搭載量はデザインされたキャラの身長と3サイズ(+体重)に合わせてたり、各キャラの性格や能力に合わせた性能アレンジ、さらにはミサイルスモークの色までキャラクターのイメージカラーになってたりと、無駄に力の入った完成度になっている。
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そのアイマス機はそれぞれ実在機ではありえない、かなり尖った性能をしている機体が多い。
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例えばロール/ピッチ性能が極限まで高められ普通に真っ直ぐ飛ばすことすら困難なF-16C真美/F-2A亜美機、逆に慣性が存在せずカックカクな動きになるF/A-18F律子機、フルスロットルで一瞬で1800ノットオーバーを叩き出すが止まらない曲がらないという文字通りの「直線番長」Mirage2000-5やよい機等、過去ACシリーズはもちろん他のフライトシムでもありえない異常な性能の機体が勢ぞろいしている。
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中でもSP(全員集合)A-10Aは、安定性を殺しそれ以外の性能を全て強化したという性能になっており、A-10Aのクセに最高速度1300ノット以上、戦略爆撃機級の兵器搭載量による超火力、空中でドリフトするかのような異常な挙動と、他の追随を許さない圧倒的なネタ性能で多くのプレイヤーを驚かせた。
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ネタ性能が多い一方で、アイマス機では唯一のバランス型でDLC機体でもトップクラスの性能と評されるF-22A春香機、装甲を犠牲に機動力全般を高め、玄人向けエース機と言った性能のF-15E千早機など、所謂オンラインでのガチ対戦でもプレイヤーのスキル次第で高い戦闘力も発揮する機体も存在する。
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その他の機体の特徴
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Su-33(美希)
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速度が一定以下になるとハイGターンが自動解除される。
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F-117A(雪歩)
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速度が一定以上になると突如挙動が機敏になる。
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Su-47(美希)
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高速域での旋回性が上昇。
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Rafale M(伊織)
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速度によって旋回性が変動する。特定の速度域でないと機動力をフルに発揮出来ない。
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F-14D(あずさ)
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アフターバーナーがないと錯覚するレベルで加速が悪いなど、動きは全般的にもっさり。 ただし最高速度はマッハ3にもなる。
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Typhoon(真)
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ロックオン性能は最悪レベルだが、動きは機敏なのでロケットランチャーや機関砲での格闘戦には向く。
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このように初心者から上級者まで楽しめる個性的な機体が揃っており、外観はともかく、その性能面での評価は高い。
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実際の飛行機メーカーに痛戦闘機のデザインの使用許可を取った上で製品化するなど、制作側の熱意は感じられる(製作側も航空機メーカーも方向性が間違ってる気もするが)。
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しかしながら、アイマス機は通常よりも高価。バンナムお得意のDLC商法がここでも発揮されている。
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アイマス機体以外にもこだわりの機体が存在している。
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航空ショー用とされる単色シリーズは、通常ミサイルの搭載量が800発とぶっ飛んだ量になっている。それ以外は通常の機体と同性能だがロックオンは爆速。
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ステルス性能を持つF-14D(ハロウァン)、超低速状態でも失速せず自在にバレルロールできるA-10A(クリスマス)なども存在。
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難易度ACEをさらに超える超高難度「ACE OF ACE(略称はAoA)」が後に追加された。配信されたのはミッション1,2,3,4,9の計5ミッション。
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これは難易度と言うよりも別モードに近く、同じミッションでも内容が変更されており、ミッションの規模や難易度が大きく向上している。
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ミッション1ではアイガイオンの撃墜が可能。
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ミッション2,4では、本来なら登場すらしないはずのギュゲスとコットスが出現する。
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ミッション3のラストでは、CFA-44に乗った多数のシュトリゴン機と戦う。ADMMによる弾幕は圧巻。
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ミッション9では大艦隊を最初に相手にしなければならず、アイガイオンまでの道のりが長い。アイガイオンとの戦闘になると、内部から歴代エースカラー機が出現して攻撃を仕掛けてくる。極めつけはパステルナークが乗るCFA-44との対決。
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架空機での攻略を前提にしているかのように、難易度は非常に高い。Sランク獲得条件も厳しく、意識してスコアを稼がないとなかなかSランクを獲得できない。
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オンラインモードの追加マップもある。ただし、ランクマッチでは指定不可。
評価点
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本体の性能向上によりグラフィック・サウンド面が向上。ますます美しい板野サーカスが実現。
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ダイナミックミッションシステムにより量の面でも「砲火入り乱れる壮絶な『大軍vs大軍』の大戦場」を実現。無数の戦闘機が入り乱れる空中戦はゲーム中の合言葉「天使とダンス」を体現している。
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大量の敵を相手にするために破壊する敵の数も多く、シリーズの中でも大量破壊の爽快感を最も覚えやすい作品である。
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本作の目玉かつストーリー上の最重要作戦であるミッション13「グレースメリア解放戦」は、シリーズ史上最大規模を誇る長期ミッションとして名高い。
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後述するBGMとの相乗効果もあり、シリーズ屈指の評価を受けている。
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6つのオペレーションが行われ、対空戦闘、航空支援、対艦攻撃と内容は実に多様。
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最後には敵軍最強のエースパイロットが乗る架空機との対決もあり。
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シリーズでも最強と言えるほど強化された機銃。他作品と比べて威力も当たり判定も強力。
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特に、至近距離で命中させれば1発で戦闘機を撃墜できるほど。
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下手にミサイルだけで撃破するよりも、接近して機銃を使った方が効率が良いことも多い。地上目標が相手だとなおさら。
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高耐久な地上目標に対しては、ミサイルとの複合攻撃によって大きな効果を発揮する。
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従来作と比べて特殊兵装、特にマルチロックオン型が大幅に強化された。
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敵の数が増えたことにより自機の武装の弾数が大幅上昇。
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一部(後述)を除いて高性能なため、大半の敵は特殊兵装で倒すことになる。
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対空ミッションにおいては、XMA4/XMA6(高機能中距離空対空ミサイル(4連/6連))が特に有効で、本作のゲームシステムとは非常に相性が良い。
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射程、複数同時攻撃能力、誘導など、ほぼ全てにおいて高性能。
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長距離から発射した場合の命中率は高く、通常の敵機が相手なら外れることが少ない。
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後半に登場する機体の場合、一度に6発も発射できるXMA6が使用できるようになるため、対空能力が飛躍的に向上する。
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対地ミッションにおいては、UGB(無誘導爆弾),RCL(ロケットランチャー),FAEB(燃料気化爆弾),XAGM(高機能空対地ミサイル),LASM(長距離対艦ミサイル)などが本作との相性が良い特殊兵装である。
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どの武装も、体感的に攻撃範囲や同時攻撃数が分かりやすくて使いやすい、一度に複数の敵をまとめて破壊しやすい、といった特徴がある。
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RCLは04で初登場して以来低性能な特殊兵装とされていたが、本作では実用性の高い武装へと生まれ変わった。特に中盤に登場する超大型航空機に対しては絶大な効果を発揮する。
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LASMは従来作のLAGM(長距離対地ミサイル)の特性を引き継いでおり、地上目標の場合は上空から垂直降下するように飛び方が変わるという地味に便利な特徴がある。
地上物に対する範囲攻撃が可能となったため、対艦戦以外にも使える汎用性の高い対地ミサイルとなった。XAGMとは目標の分散度で使い分けられる。
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これまで問題だらけだった目標切り替えシステムが改善された。
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次に切り替わる目標コンテナの横に「NEXT」と表示されるので、目標の切り替えが分かりやすくなった。
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さらに、本作ではウィスキーマークの近くの目標を優先的に切り替えるという仕様のため、狙いたい目標を選択しやすい。
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本作のBGMには、シリーズ内でもとりわけ評価の高い名曲が存在する。
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少年合唱団を採用したエンディング「A BRAND NEW DAY」は、PVの後半に使われていたこともあり、印象に残りやすい。
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「グレースメリア解放戦」BGM「The Liberation of Gracemeria」はシリーズ屈指の名曲として高く評価されており、その人気は「ZERO(『ZERO』ラストミッションBGM)」に勝るとも劣らない。
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日本語では、英語とはまた違う魅力を味わえる。
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プレイヤーの僚機であるシャムロックの声優は小山力也で渋い。
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『仮面ライダー』『トリビアの泉・素晴らしき無駄知識』などのナレーターとして有名な中江真司は、作戦司令官役を担当。本作が遺作となった。
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日本語音声なら日本語に合わせて、英語音声なら英語に合わせてムービー内の口の動きが変化するというこだわりを見せている。どちらの音声も洋画を思わせる素晴らしい出来だが、日本語訳はかなり意訳に寄っている。
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教科書英語的翻訳ではなく、ネイティブが聴いても違和感無い日本語に仕上がっている。
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アサルトレコードにおいて、ZEROよりも細かい情報を知れるようになった。
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味方のプロフィールも登録されるようになった(当たり前だが、解放条件は味方の撃墜ではない)。
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厳しい条件を満たせば、プレイヤーであるタリズマンのアサルトレコードも見られるようになる。
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敵側のアサルトレコードのうち1件が、過去作とのつながりを示す要素の1つにもなっている。
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比較的短いロード時間
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ミッションの規模が大きいものが多いにもかかわらず、ロード時間は比較的短め。
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Xbox360のインストール機能を利用する(もしくは後述のXbox One版『7』早期購入特典のDL版)と、ムービー以外はロード時間が皆無レベルとなる。
賛否両論点
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キャンペーンモードは全15面。分岐はなく、一本道である。
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数だけ見ればXiを除いてシリーズで最も少ない。
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その分1ミッション当たりのボリュームは増えたが、これにより別の問題も発生している。
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1つのミッションで進行するオペレーションが複数ある分、一度ではクリアできないものが存在する。そのため、周回プレイ時に未クリアのオペレーションをプレイすることで、同じミッションで新鮮な感覚を味わうことはできる。
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一度クリアしただけでは到底コンプ不可能な収集要素があり、周回プレイ前提であることから全15面のステージ構成は妥当という考え方もできる。
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1つのミッションの所要時間が長い。クリアには大抵10~20分かかる。人によっては30分以上かかることも有り得る。
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大規模な戦闘を楽しみやすいという長所もあれば、長過ぎて集中力を維持しづらいという短所もある。
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通常ミサイルは説明書や公式HPでは、「偏差射撃を使うと敵に命中しやすい」と記載されているが、むしろ「偏差射撃を使わないと命中しない」と言えるほど素の誘導性能が低下している。
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画面端でロックオンした敵を攻撃した場合、相手が戦闘機どころか地上物ですら外れる。
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よって、航空機が相手ならその未来位置を予測して、地上物が相手ならそれをウィスキーマークにできるだけ近づけて発射せざるを得なくなる。
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シリーズ経験者が過去作の感覚で通常ミサイルを撃つとろくに当たらない。
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機銃や特殊兵装が強化された分、余計にミサイルが弱くなったと感じやすい。
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しかし、偏差射撃の採用によって強化された部分もあるので、一概に従来作より弱体化したとは言い難い。
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挿入されるムービーは長く、主人公が関わらない話が展開されることが多い。戦車兵の話は戦略大作戦のインスパイヤ。
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本編のストーリーが単調で一本道。(当時の)次世代機最初の『AC』シリーズということでオーソドックスにしたのだろうか。
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今までのシリーズではムービーで語られる話にも必ず主人公が絡んでいた。今作の主人公タリズマンも戦局に大きく関与しているのは間違いないが、その活躍の様子はライバルのセリフから窺い知れる程度に留まっている。
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登場人物それぞれの立場や視点、それぞれのやり方で戦争を生き抜くという断片的なエピソードをザッピングムービー的なまとめ方をしている。そういう意味ではゲームプレイの部分が主人公タリズマンの視点でありストーリーテリングになっているという考え方もできる。
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難易度が過去作と比べて高い。面によってはEASYですら難しい。これが初『AC』だと詰まるかもしれない。
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まずは、その敵の物量の多さに驚かされる。敵が多いということはプレイ時間が長くなりやすい、敵の攻撃の量が多く、どこから攻撃されているのか分からないということが起こる。
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一方でシリーズ恒例のタイトな操作を求められる、いわゆるトンネルくぐりは難易度の低下や進入せずともクリアできるなどの緩和策がとられた。
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僚機や支援要請の使い方次第で難易度はかなり変動する。支援要請を一切利用しない孤高のプレイを貫けば難易度は飛躍的に向上。逆にプレイヤーは一切攻撃せず、僚機と味方部隊への指示のみで攻略するという縛りプレイも可能(ゲームの進行に必須である一部の場面を除く)。
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一応難易度に合わせた救済措置的なものはある。
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初心者向けの設定に『5』以来となるトレーニング(チュートリアル)モードが収録されている。新ハードでの初販売ということもあっての措置であろう。
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さらに難易度EASYでは、(角度などにもよるが)地形に接触しても跳ね返り、ダメージを受けるだけで即墜落はしないようになる。
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ミサイルや特殊兵装の弾数が多くなっているため、敵の物量に対してこちらの弾が足りないということは起こりにくい傾向はある。
更にEASYランクでは2倍に増える(ただし上限は999発)ため圧倒的となる。
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BGMは重厚なオーケストラ調の楽曲でまとめられているが、メロディーが地味だったり、曲調が大人しくて印象に残りにくい曲が多い。
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また、激しいロック調BGMが「Vitoze Aerial Defense」ぐらいしかなく、『2』のような雰囲気を好むプレイヤーからは不評。
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とは言え、どのBGMもミッションの雰囲気と合っていて、なおかつ高クオリティのため、好みの問題と言えばそれまでではあるが。
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本作の敵エース部隊「シュトリゴン隊」の存在の影が薄い。
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シュトリゴン隊は敵国エストバキアの精鋭であり、劇中の戦争以前に行われたエストバキア内戦で華々しい戦果を挙げた凄腕揃いという設定。
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だが、ちょくちょくプレイヤーに挑んでは撃退されることがほとんどで、またその数が多いために設定ほど凄腕という感じがない。
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主な使用機体はSu-33なのだが、フランカーの敵エース部隊なら過去に黄色中隊がいるので特徴が被っている。
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まともに戦えば確かにエースの名に恥じない強さなのだが、支援要請を使えばプレイヤーが全く戦わなくても殲滅できてしまい、カリスマ性も低い。
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極め付けは、隊長機であるヴォイチェクがミッション1で被弾して離脱してしまうことであり、それ故に「強いエース部隊」という印象が残りにくい。
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彼自身はその後も多くのムービーに登場しており、ストーリー面では重要人物である。
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しかし、新隊長であるパステルナークに関しては話が別。彼は「グレースメリア解放戦」のボスとして架空機CFA-44を駆り、強敵としてプレイヤーの前に立ちはだかる。
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また、頭の固い前時代的な人間が多いエストバキア軍人の中でパステルナークの人間性は異彩を放っており、その人柄と劇中で見せた強さからシリーズのライバルキャラの中でも特に人気が高い。
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クリアランクはクリアしたオペレーションすべてのクリアランクの平均値となるが、各オペレーションのクリアランクがそのオペレーション内の敵撃破による得点のみで決まっている。
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他の作品のようにタイムや援護対象の残存率に依存する要素がどのステージにも存在していないため、高ランククリアは比較的楽。
中にはクリアしたら必ずSランクになるものさえある。例えば7-D(クォックス隊を狙う超音速爆撃機の迎撃)は1機ずつ登場するXB-70を5機中3機撃墜できれば達成だが、パーフェクトにクリアしようが2機に到達されてクォックス隊が虫の息になっていようがクリアすればSランクである。
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後述するように、ミッション13の2次ミッションだけは高ランクを取ろうとすると難易度が跳ね上がる。
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勲章の条件となる「1つの難易度において全ステージでSランク達成」も、全オペレーションでの達成ではない。
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売りだったはずのネットワークモードは対戦が3モード合わせて11マップ、CO-OPは2マップのみ。後にDLC(有料)で増えたが…。
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デフォルトはTEAM BATTLE(チーム戦)とBATTLE ROYALE(個人戦)が各5つ(ここまではステージ固有ギミックのON/OFFも可能)、SIEGE BATTLEが1つ。
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(オフラインでは)圧倒的に強力なCFA-44
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本作の架空機CFA-44だが、バランスブレイカーなのかと言いたいレベルの爽快感を誇る機体である。
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対空・対地兼用の12ロックオンと長射程を誇る広域制圧兵器ADMMと、10km先の敵でも一瞬でヒットする狙撃兵器EMLを使い分ければ全てのミッションをこれ1機でこなせてしまう。
機体種別こそFIGHTERだが、ADMMによりATTACKERをも凌駕しかねないレベルの対地能力も持っているのである。
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DLCで配信されたプロトタイプカラーは安定性重視の性能なので、これでHARDランクを突破しオリジナルを解禁なんてことも可能だった。
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もっとも、とてつもない汎用ぶりを発揮するのはオフラインのみ。ADMMはオンラインでは使用不可、その上オンラインにおけるコスト(SIEGE BATTLEやCO-OPにおける被撃墜時のタイムペナルティ、対戦系のモードにおける撃墜したプレイヤーが得る得点)も特に高く設定されている。
ランクも本機体限定のUNLIMITEDランクなので、対戦では使用可能な機体ランクをランク3までに限定しておけば本機体だけを簡単に除外できる。
問題点
機体数の少なさ
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使用可能機体はシリーズ最少の15機(内1機は架空機)。これは初代の16機(架空機なし)よりも少ない。
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先行して発売された360専用フライトシムのOver Gが14機+2機、後発でフライトシューティングのTom Clancy’s H.A.W.X.が67機種、PC用フライトシムのFalcon 4.0: Allied ForceがF-16専用で9機種+MODによる拡張が可能、IL-2 Sturmovik 1946の派生商品と言うバックボーンがあるWar Thunderが、生産時期による型番違いを含めて300種以上と言うことを考えた場合、複雑な物理計算を行っていないフライトシューティングにしては少ない。
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第3世代ジェット戦闘機は一切使用できず、F-4Eが敵機として登場するのみである。
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東側の機体はSu-33とSu-47のみ。
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MiGに至っては全て削除。非常に性能が特徴的でゲーム映えするMiG-31が削除された上、MiG-29はこれでシリーズ皆勤機体ではなくなってしまった。
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黄色の13の愛機として大きな人気を博したSu-37ですら削除(カラーリング自体はSu-33のDLCカラーとして登場)。改良の進んだ電子機器や搭載兵器の汎用性に優れ、兵器としては上だが、航空機としては原型機のSu-27に劣ると言われている艦上戦闘機型のSu-33に変更された。「三面翼のフランカーと言えば終盤の高性能機」というイメージを抱いていたシリーズ経験者を大きく落胆させる結果となってしまった。
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Su-47は「特殊兵装が単体攻撃のみであり、集団戦メインとなる本作とマッチしていない」という指摘も。
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シリーズで登場回数の多いF-15S/MTD,YF-23,X-29,JAS-39も登場せず。特にF-15S/MTDは『2』以降定番機となったにもかかわらず、本作には登場しない。
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余談だが、クレジット表記にはB-2のものもあるが実際には登場していない。
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恒例の架空機としてよく登場していたX-02やADF-01は今回はなし。
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CFA-44のEMLは感覚的にはADF-01のTLSにおける攻撃判定の持続時間を一瞬にしたものと言えなくもない。
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一応DLCとして追加機体が配信されたが既存機種のマイナーチェンジでしかない。カラーリングと性能が異なる分まだましか?
MISSION13「グレースメリア解放戦」の2次ミッションの難易度
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ここで対戦することになる架空機CFA-44の随伴機である無人戦闘機(UAV)マーレボルジェは、プレイヤー機がどう頑張っても追いつけないほどの凄まじい機動性を持つ上、UFO軌道でミサイルが当たらない。
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一応CFA-44も高い機動性を持つが、一定時間を置いて機動性が低下するため攻撃を当てる機会が残されている。
ただ、その状況というのがESM展開中でもあるため、UAVの攻撃が激しくなっている(感覚に陥る)という難点はある。
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ミッション13でSランクを獲得するには、それまでのオペレーション全てでSランクを取っているのを前提とした場合、15機撃墜して2次ミッションでBランクを取らなければならない。
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しかし前述のとおり、マーレボルジェはその機動性のために1機撃墜するだけでも難しい。対空特殊兵装を乱射して、運任せで当てるという戦法を取らざるを得なくなる。
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さらに、マーレボルジェは一度に出現する数が多く、四方八方から機銃で攻撃してくるため、これに関しても当たるか当たらないかが運任せになってしまう。
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特に、機銃1発でも大きなダメージを受ける上に修理できない難易度ACEでは致命的。
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マーレボルジェは低空までは追ってこないので、超低空飛行していればまず機銃は当たらない。だが、CFA-44を攻撃する際にどうしても高度を上げる必要があるので、やはり運が絡んでくる。
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プレイヤーもCFA-44及びその専用特殊兵装を使用すれば、難易度は大きく下がり、運要素はほぼなくなる。しかし、これは裏を返せば隠し機体で攻略するのが正攻法とも言えなくもないゲームバランスである。
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また、2次ミッション単体でSランクも、架空機以外ではプレイヤーの集中力や運を考慮すると不可能に近い。
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AoA(後述)ミッション9でも再登場するが、公式側もこのゲームバランスの悪さに気付いたのか調整が加えられ、どの機体でもまともに撃墜できるようになった。
シャムロックの挙動関連
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僚機であるガルーダ2ことシャムロックに関して問題あり。
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自機に密着しすぎるため、誤射して目標に攻撃がうまく当たらなくなり、邪魔になる。
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酷いときにはADMMを発射したとたん誤爆しており撤退しているなんてケースも。
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今作では「分散」と「特殊兵装切替」の指示ができなくなっており特殊兵装はCPUが任意で使う。つまり使ってほしい時に使ってくれる訳ではない為QAAMやSAAMとかだった場合最早ちゃんと使ってるのかどうかよく分からない。「分散」は兎も角「特殊兵装切替」は無くすべきではなかった。
一部特殊兵装の性能
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本作と相性の良い特殊兵装が存在する一方で、相性が悪い、または弱体化したものが存在する。
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QAAM(高機動空対空ミサイル),SAAM(セミアクティブ空対空ミサイル),GPB(精密誘導爆弾)
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使えないわけではないが、複数同時攻撃能力や広範囲攻撃能力を持つ武装が強いゲームシステムの関係上、これらの1対1の攻撃に特化したものはどうしても見劣りしてしまう。
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XLAA(高機能長距離空対空ミサイル)
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恐らく、本作で最も弱体化したであろう特殊兵装。
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誘導性能が低い代わりに長射程かつ高速度という性能であり、XMA4/XMA6とは差別化されている。
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だが、発射されてから約3秒ほど無誘導の時間がある上、高い速度が仇となって目標を通り過ぎてしまいやすく、命中率は低い。発射方向がいい加減だと、さらに命中率は下がる。
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射程限界で発射しなければまず命中せず、距離が近づけば近づくほど命中率はガタ落ちとなる。
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BDSP(小弾頭ディスペンサー)
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一度に一回しか攻撃できず、大して攻撃範囲は広くない。相変わらず性能が改善されていない特殊兵装。
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実物(JP-233)も湾岸戦争でイギリス空軍がイラク軍の滑走路攻撃に使用したが、滑走路攻撃専用と言う使い勝手の悪さから対空火器射程外から攻撃できるSOD(ストーム・シャドウ)や誘導爆弾に取って代わられた。
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SOD(スタンドオフディスペンサー)
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長射程、広範囲な武装ではあるのだが、リロード時間がFAEB並みに長く、活用しづらい。
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また、射程ではLASMに劣っている。
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実物は作戦内容によって中身が違う汎用空対地ミサイル。
機銃泣かせのアイガイオン
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本作の勲章の1つに「プレイヤーは機銃だけで敵を撃破する」というものがあるが、アイガイオンのコックピットにおける判定が非常に小さく機銃縛りクリアが不可能と誤解されるレベルである。
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ただ小さいだけでなく、実際の見た目よりやや後ろにずれている点も厄介。
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なお当該勲章は僚機や友軍による撃破は不問なのだが、コックピットを攻撃する段階(難易度NORMAL以下の場合)になると僚機も友軍も指示に応じた行動をしてくれなくなる。
後部にあるSAMがコンテナなしで復活する点と複合し地味に鬼畜である。
その他
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特定の条件を満たさないと倒せない敵が居る。
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特に最終ミッションの架空兵器前部に在る機銃砲台群は最初の内は何故かHUDにコンテナが表示されずロックオンすらできない。
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グラフィックのクオリティ向上の弊害か、画面が見づらいことがある。
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逆光や地面の太陽反射光にHUDが溶け込みやすく、どこに目標があるのか全く見えないことがある。
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ミッション11のオペレーションA/C、ミッション13のオペレーションB/Cが顕著。
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ミサイルの煙が濃くて長時間残るため、視界の邪魔になる。
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レーダーには一度に多数の情報が表示されるため、どこに何があるのかが分かりにくい。作戦識別器(オペレーション単位での絞り込み)を活用すべし。
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従来作と比べてフレームレートが低い。
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やや操作遅延があり、お世辞にも操作性が良いとは言えない。
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被弾時の音が物凄くうるさい。SE音量を下げていても目立つほど。
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『5』同様、オフライン対戦は非対応。その他のマルチプレイもオフラインでは実装されていない。
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ハードウェアの世代を考慮すると、マルチプレイはオンラインに移行したといえる。現に本作以降の据置機作品ではオフライン対戦が実装されなくなった。
総評
それまでの作品と同じ世界観における、それまでの作品と違った方向性を持った作品。
一個の作品として総合的に見れば、良作と呼ばれるだけの完成度を有する作品である。
しかしプレイヤーごとの評価の差が激しく、これを考慮すると賛否両論な作品でもある。
新規ファンからは優れたグラフィックや大規模戦闘を中心に好意的に評価されている。
やりこみ要素に魅力を見出せるなら、周囲の評価よりも長く楽しめる可能性はある。
一方で従来作で当たり前だった要素や、ボリューム(特に機体)の減少で古参ファンからの評価は低く、「つまらない方の『AC』」と揶揄されることもある。
戦場におけるひとつの駒として大軍と大軍の戦いを楽しみたいのではなく、ガンダムのような一騎当千の活躍がしたいのであれば過去作の方がオススメ。
とはいえ既に360を持っている人ならば損はないので試しにプレイしてもいいかもしれない。
余談
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ミッション9で対峙する空中艦隊(アイガイオン・ギュゲス・コットス)の機体に対する当たり判定は地形と同様のものなので、機体に当たるようにFAEBを投下すると大爆発で機体についているものを大規模に破壊していくというネタプレイが可能。
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DLC第5弾配信開始時には『アイドルマスター ライブフォーユー!』の第1弾DLC(とXBLA『トリガーハート エグゼリカ』)の配信が重なり、これらを購入しようとした日本人ユーザーによりXbox Liveの課金系統が制圧されるという事態に発展した。
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CFA-44は後に360のエースコンバットとしては2作目となった『AH』の拡張系DLCの一部として、360では配信されなかった『エースコンバット インフィニティ』の追加要素としても登場した。
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ただし本作での圧倒的な汎用性はオミットされており、EMLの発砲音も磁気火薬複合加速方式に変更されている。
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『7』でもシリーズ25周年記念DLCの1つとして登場。
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アイマス機の恩恵をもっとも受けたのはバンナムでも航空機メーカーでもなく、模型メーカーのハセガワである。
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同社の社長は「アイマス機で2,000万から3,000万円かかる金型を作り、商売として成り立つから、Su-33のプラモデルが新規で出せた」と模型専門誌のインタビューに答えている。
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ほか、アイマス機には絡まなかったが、ハセガワ純正のユーロファイターや在来品に部品を追加したF-15Eと言った、アイマス機以前の模型系のイベントで「社内で検討したが売り上げの面で製品化出来ない」と回答していた商品が定期的に新製品として発売されるようになった。
その後の展開
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12年後に発売されたOne版『7』の早期購入特典として、後方互換に対応した本作のDL版が付属された(ちなみにPS4版『7』には『5』が付属)。
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ダウンロード版の配信はこの特典のみ。
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本DL版自体は360版そのままなので、同じアカウントで360へのダウンロードも可能。逆に本作のディスク版をOneでプレイする事も可能。
最終更新:2024年08月18日 23:00