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怒首領蜂II - (2017/12/28 (木) 17:55:31) の編集履歴(バックアップ)


怒首領蜂II

【どどんぱちつー】

ジャンル シューティング
対応機種 アーケード
販売元 カプコン
開発元 IGS
稼働開始日 2001年
判定 なし
ポイント シリーズの黒歴史
「IGS語」炸裂
グラ使い回しが目立つ
ゲーム自体は良作
ケイブ弾幕系STGリンク?

概要

  • あの弾幕縦シューティングの開祖『怒首領蜂』の続編が出た!…と思ったら、なんか色々と違う。そんなゲームである。
    • 一応正式な続編ではある*1のだが、ケイブ上層部が現場に相談も無くライセンスを台湾のゲーム開発会社IGSに貸して作らせた、という経緯を持っており、ケイブ側からも半ば黒歴史に近い扱いをされている。
      • IGSはこれまでSTGを作ったことが無いメーカーだった。販売はカプコンが担当した。

特徴

  • 基本的な操作体系は『怒首領蜂』と同じであり、8方向レバー+3ボタン(ショット、ボム、ショットオート連射)で操作。
  • プレイヤーはゲーム開始時に、以下の3モードから選んでプレイする。
    • 練習モード…難易度が低いとされているが、実際の難易度は実戦モードとほとんど変わらない。4面クリアで終了し、バッドエンドらしきものになる。
    • 実戦モード…通常の難易度にあたるモード。
    • インターネットランキングモード…弾数が多いなど、難易度がやや高く、ゲーム終了後にパスワードが表示される。
  • 前作と同様に、ゲームスタート時またはコンティニュー時に3種類の機体から1つを選択する。赤の流星(怒首領蜂Aタイプに準ずる)、緑の凌駕(おおよそ怒首領蜂Bタイプに準ずる)、青の怒濤(怒首領蜂Cタイプに準ずる)が存在する。
  • 機体選択後に「ボムモード」「エネルギーモード」どちらかの攻撃モードを選択する様になっている。前作の「ショット強化」「レーザー強化」はこれらのモードに取って代わられる形で廃止された。
    • ボムモード…従来どおりにアイテムを取得する事でボムを5つまでストックできる。
    • エネルギーモード…自機を敵弾にカスらせる事で画面下のゲージが上昇し、フルになると「スーパーオーラ」(外見はレーザーボム)を発射できる。
  • コンボの仕様も変更された。
    • 敵に攻撃を当て続けることでヒット数が上昇し、敵に攻撃を当てた時の撃ち込み点が上昇する。敵破壊もしくは敵へのレーザー照射が一定時間途切れるとヒット数が下がる。また、ボス戦ではある条件下でコンボの上昇数が10倍になる「10倍モード」へ移行する。

独特の言語センス

本作最大の特徴となっているのが、ステージスタート時やクリア時にボスの名称や象徴する言葉を、画面中央に極太の明朝体で大きく表示する事である。例として1面ボスを(ノーミスで)倒した際の場合を挙げる。

浄化
-K.O-
-完勝-
PERFECT
+5000000

見た目的なインパクトも絶大であるが、それ以上にこの漢字と英語が混じった独特過ぎる、エキサイト翻訳にも似た言語センスは一種の中毒性を持っており、ネタ的に評価するプレイヤーも多かった。公式ページで紹介されているステージ紹介&ボス紹介の文章表現もまた必見である。以下に記事を掲載する。

+ 心の中でのツッコミはご自由に。
ステージ1(覚醒)
怒首領蜂が壮絶な戦いから再び甦る!
過去の壮絶な戦いで葬ったはずの【首領蜂】が、
夢魔となって立ちはだかる。
夢魔となって現れた【首領蜂】を浄化せよ!  
ボス名:【首領蜂】 夢魔
怒首領蜂の最後のボスで、敵軍の最大の悪夢の兵器でもある。
浄化:怒首領蜂を撃破して空間を浄化する。
ステージ2(出撃)
スクランブル!
敵機が急に現れ秘密基地に近づきつつあるのをレーダーが感知した。
まだ敵機に包囲されていないうちに敵軍を突破するため
作戦を練りスクランブル(緊急出撃)をかける。
ボス名:【巡弋工蜂】 戦慄
敵軍の警戒の担当を務める量産型の殺戮兵器。
その残虐さは味方が震え上がるほど恐ろしい。
突破:緊急出撃の任務を完了した。
ステージ3(飛翔)
空中での作戦様子はまるで鷹が獲物を狙い
空中から急速に地面に飛んで行くような
格好で敵軍に無情な攻撃を展開する。
緊急出撃の任務を完了した後、次に立ちはだかる敵は
敵軍の主力の空中母艦だ!生き残る道はただ一つだけ、
それは戦って勝利を収めることだ!
ボス名:【六角蜂巣】 天羅
六角型の敵軍の空中の指揮要塞であり、
全方位の網状の攻撃で有名。
穿越:敵軍の主力の空中艦隊を撃破!
ステージ4(侵襲)
敵軍本拠地周辺の都市を奪回せよ!
逃げるだけでは問題は解決できないと覚悟
した我が軍は自ら攻撃することにした。
敵軍が集結する都市の周辺に接近し死角がない
防御力に対して外側から攻撃し、すべての
敵軍を基地から引きずり出し、敵基地への
侵入をこころみる。
ボス名:【狩殺狂蜂】 地網
網状の罠を設けてわが軍を掠殺するのが得意である。
不利な状況に陥ると狂った状態になって狂乱な
攻撃をするのである。
奪回:敵軍に奪われた都市を順調に奪回した。 
ステージ5(禁固)
敵軍にコントロールされた生物兵器を解放する。
基地に乗込む前に敵軍の生産設備を先に破壊して
無力化にすることによりはじめて勝利を収める
希望があるという思惑を持つわが軍は、
敵軍の工場の中に潜入してすべての
物を壊すとぞっとする事を発見した。
それはすべての敵軍の機械化部隊は、地球の
生物を敵軍が改造したものであること。
無類の生命が殺人の兵器として改造されてしまっていたの
である。彼らの魂の泣き叫ぶ声を聞いて我々は心が
切り裂かれる思いにかられる。
破壊の赤の火焔で邪悪に染められた生物らの魂を解放してやろう。
ボス名:【裝甲雄蜂】 驚愕
敵軍のハイテク技術で創り上げた最新型の戦闘機であり、
ハイパワーの装甲装備と高速な動き、そしてハイパワーの
火力が加わってわが軍に想像以上の損失を与えた。
解放:敵軍にコントロールされた生物を解放することに成功。
ステージ6(終結)
戦争を終結する序曲として首脳を倒す。
やっと基地の内部にたどり着いた。その時すべての
敵軍の精鋭部隊がここに集結した。
ここまで奮戦してきた我が軍が簡単に倒されるわけではない。
前に進んでいけ!地球の平和を保つ責任はわれわれの
手にかかっているのだから。
ボス名:【母體蜂后】 深藍
敵軍の表面にたっている首脳は強い統率力をもっていて敵軍の
すべての行為をコントロールしている。
撃破:敵軍の首脳を撃破した。
Final Stage(真相)
6ステージ終了までにある一定の点数以上獲得すると
最終ステージに入れます。
戦争の起源、敵軍の真の首脳。
戦争は本当に終わったのか。敵軍の真の
首脳を倒してしまった我々の心にはずっとその
疑惑を持っている。
もしかして、これからもっと強い邪悪な意志がひそかに
真相の裏に潜んでいるかも…
ボス名:【未知秘蜂】 陰霾
敵軍の真の首脳は陰でパワーを蓄積しながら進化の
一刻をたくらんでいる。 

この他、自機の当たり判定を「致命点」と表記したり、エネルギーモードの説明では「危機を転機に転ずるモード」といった絶妙な表記がある。所謂「ケイブ語」とも一味違う何かがあり、良くも悪くもツッコミどころ満載さから独特すぎる趣を感じざるを得ない。

問題点

  • グラフィック、面構成ともに前作からの流用が非常に多い。
    • 1面はいきなり前作のラスボスの一歩手前の「最終鬼畜兵器」と戦うのだが、前作のそれとは似ても似つかないほど弱い。2面は道中、ボスとも怒首領蜂の1面のようなもの。3面は道中、ボスとも怒首領蜂の3面のような(ry。4面は道中、ボスとも怒(ry…。
      • また、それまでのボスもグラフィックこそほぼ同じながら、攻撃のパターンはかなり別物となっている。
  • ショット1発で死ぬ様なザコが殆どいない等、全体的に敵が硬めに調整されており、やや爽快感に欠けるきらいがある。
    • 特に4面からそれが顕著になり、耐久力の高い地上砲台やフェンスがこちらのショットを遮ってくる。
  • 攻撃モードのバランスが全く取れていない。
    • エネルギーモードはスーパーオーラによるコンボ数の上昇が著しい上に、「スーパーオーラ展開中でも、弾にかすった分だけオーラ終了後にエネルギーゲージが自動的に充填される」というそれなんてサイヴァリアな謎仕様もあり、非常に強力。対してボムモードにはこれといった優位性も無く、エネルギーモード一択になりがち。
      • 上方に対し攻撃手段が乏しいボスが多いことも、エネルギーモード優位に拍車を掛けている。というのも、エネルギーモードはレーザー発射時のオーラの判定範囲がボムモードより強くなるという仕様が存在し、敵の上方にいてもオーラ撃ちで問題なくダメージを与えることが出来てしまう。更に上部が完全な安地でない場合もスーパーオーラで一気に後ろに下がりながらゲージを回収、その後無敵時間の間に上に戻って以下ループ…なんてことになる。
    • ただし、一応ボムモードでもノーコンティニューで最終面突入条件を満たし、裏ボスも時間切れせず撃破できることは確認されている(5面ボスだけは撃破報告が上がっていない)。一部のボスには一定ダメージごとにボムアイテムを放出する仕様もあり、時間は掛かるがパターン化さえすればボムモードでも十分な安定性で攻略することは可能。

評価点

  • ゲームの難易度は弾幕系STGとしては低めな部類であり、初心者でも入り込みやすい。
    • 前作と比べると序盤の弾数がかなり少ない為、ある程度弾幕STGに慣れた人なら、初プレイでも3面ぐらいまでは到達可能だろう。
    • 自機性能は前作のショット・レーザー双方強化という調整に仕上がっており、攻撃面の不安は特に無い。
    • とは言え後半面はやはり弾の量が多く、弾幕STGに慣れていないと難しい部分はあるが、怒首領蜂を1周クリア出来る腕前があれば本作をクリアするのはそれほど難しくはない。
  • 前作と方向性は全く異なるものの、BGMの出来はなかなかに良い。
    • 中でも、ボス戦BGMは前作では2種類しか無かったのに対し、本作では各面毎に違ったものが用意されている。
    • しかし、どこかで聞いたようなフレーズが織り込まれているという指摘は結構多い。3面ボスのBGMはFFシリーズの戦闘曲の例のイントロに酷似したフレーズが使われているため特に有名。ただし、サントラは当時も問題なく発売され、2012年にも『首領蜂』『怒首領蜂』とカップリングで再販されているため、少なくとも版権上の問題はない模様。
  • 上述した問題点もあるが、一部演出やデザインは評価されている。
    • 5面以降のボスは本作オリジナル。いかにも強大な「蜂」といったデザインでかなり格好良い。特に5面ボス「装甲雄蜂 ARMED BEE」は、出現直後しばらくは敵の猛攻を避ける展開となり、その後敵の本体と合体し「’’驚愕 -PANIC-’’」と表示され本格的に戦闘開始、という演出により人気が高い。

総評

雰囲気からボーナスの仕組みまで大きく変わっているので、リリース当初はプレイヤーから「こんなの怒首領蜂じゃない」という批判の声が相次いだ。
また、半端に画像を流用(変な模様を足す等の魔改造付き)したり、ゲーム調整の方向性が全く違うなど、名前と素材を借りた割に前作に対するリスペクトがほぼ感じられないのも問題であった。

しかし、ゲーム自体は作り込みが甘い部分も見受けられるものの全体的には丁寧に作られており、決してクソゲーという訳ではない。
難易度が抑え目で初心者の弾幕STG入門に適しているという意見や、弾にカスってゲージを貯めてレーザーボムをブチ込むという一風変わった『怒首領蜂』を楽しめるとして評価する意見もある。
現在は設置しているゲームセンターも殆ど無く、移植も一切されていない為にプレイは難しくなっているが、もし店頭で見かける事があったら一度プレイしてみる価値はあるだろう。

余談

  • 本作で使用されたIGS社製の基板「PGMシステム」は、その後『怒首領蜂大往生』『ケツイ~絆地獄たち~』『エスプガルーダ』でも使用されている。
    • 『怒首領蜂』で使用されていた基板よりも性能が低かったという話は有名で、表示できる弾数の少なさを補うため『怒首領蜂大往生』では弾幕が超高速化し、『ケツイ』では従来の弾幕の常識を覆す変則的な軌道を持つ弾幕が登場した。結果としてこの二作ともにケイブの代表的な作品となっているが、稼働当初は多くのシューターを苦しませることになった。
  • 上述の独特な日本語表現は俗に「IGS語」と呼ばれる。同社の他作品には「なせ降参しないか」「みんな、突っ込め?」「高位高禄御前次第だ」「慌てるな、それは幻像です」「命さながら」「逃げ延びたももの」など、数々の笑える文章表現がある。興味のある方は是非調べてみよう。
  • 2010年にはIGSによる『怒首領蜂大往生魂』という、本作のまさかの続編のようなタイトルが話題にあがったが、これは『大往生』の中国向けローカライズ+αであるとのこと。
    • 様々な事情(ビデオゲーム新作枯渇・ケイブ事業撤退など)により、何故か最近になって国内で流通することとなり、いわゆるエミュ基板(違法コピー基板)を導入できない某大手チェーンなどで稼働しているのが見られる。ちなみに仕様基板はPGM2。
  • シリーズ最終作『怒首領蜂最大往生』のプロモーションムービーにおいて、過去作の映像を次々に表示してシリーズを振り返るという演出がなされるが、本作は見事にスルーされている。
    • しかし、『怒首領蜂最大往生』の3面中ボスとして、本作の開発元IGS社が名の由来の巨大戦艦 「IGS(インペリアルガードシステム)-彩音-」 が登場。
    • また、CAVEのスマートフォン向けソーシャルSTG『ゴシックは魔法乙女』ではボス撃破時に 「浄化完了」 と表示される等、CAVEにもネタとして認識されているようだ。インストカードに載っているピンク髪のねーちゃんの魔法乙女化は、まだですか?
  • CAVEは本作発売の時点で『プロギアの嵐』を以ってアーケード事業撤退予定であり、自社での続編開発の予定がなかった為にライセンスが発行されたといわれている。
    …が、実際の所は本作のヒットによって事業継続が決定し、怒首領蜂大往生が作られることになったという経緯になっており、そういう意味では隠れた功労者と言えるかもしれない。
    • 本作は海外展開も行われ、英語圏向けには『Bee Storm』というタイトルで販売された。IGS自らが販売を担当したこともあり一定のヒットを記録したと言われている。
      パブリッシングがAMIに移行した『大往生』以降はケイブ作品の海外展開自体がほぼ行われなくなった(上述の『大往生魂』が数少ない例外)。