怒首領蜂
【どどんぱち】
ジャンル
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弾幕シューティング
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対応機種
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アーケード
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販売元
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アトラス
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開発元
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ケイブ
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稼動開始日
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1997年
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備考
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<移植版> セガサターン版 プレイステーション版
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判定
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良作
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ポイント
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元祖「弾幕シューティング」 「大佐」降臨 圧倒的なインパクトの真ボス 遊びやすくなったシステム面 クオリティこそ高いが異様に少ないBGM
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ケイブSTGシリーズ
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概要
ケイブ開発、アトラス発売によって1997年に稼働した縦スクロールシューティング。
『首領蜂』の続編であり、世界観と特徴的な得点システムを受け継ぐが、内容は全くの別物に進化した。
伝説と化してしまった東亜プランの遺伝子を受け継ぐいくつかの会社の内、もっともその要素が濃い会社「ケイブ」の第二作目のSTG。
ケイブを、そして「弾幕シューティング」という新ジャンルを世に示し、先駆者的存在となったSTG界の金字塔。
ストーリー
かつて7年間に及ぶ大規模な戦争があった。それは侵略でも紛争でもなく「自軍を鍛える演習」であり、
一般人も巻き込んだ多大な犠牲によって最強の軍隊を完成させることを目的とした極めて異常な戦争だった。
彼らの自己満足の犠牲になった人々は、何一つ疑問を抱かない彼らを「首領に従順なだけの働き蜂(首領蜂)」と呼び蔑んでいた。
幾数千年後。その精鋭部隊「首領蜂」の一団は、惑星外偵察時に「機械化惑星人」と名乗る謎の軍団に攻撃された。
予期せぬ攻撃に援軍を派遣するも次々と連絡が途絶え、その消息は絶望視されていた。
そんな中、これまで計算通りのように状況を分析していた首領蜂の"首領"こと「シュバルリッツ・ロンゲーナ大佐」が重い腰を上げる。
大佐は残った主人公たち数人に、たった2機の最新鋭戦闘機「超最強撲滅戦闘機 DO-N82」を与え、「機械化惑星人」を殲滅することを命じた。
いくら最新鋭とはいえ、たった2機で…。しかし、絶対的存在である首領の命令を拒否できようはずもなかった。
名もなき働き蜂たちに与えられた、余りにも無慈悲な運命。
孤立無援の絶望に満ちた戦いが再び始まる。
特徴
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1レバー2ボタン使用の縦スクロールシューティング。残機制で、被弾は即ミスとなる標準的なゲームシステム。前作同様基板設定で3ボタン目(後述のオート連射用ボタン)を使用する事も可能。
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自機は前方集中ショット+高速型の「Aタイプ」(赤/黄)、攻撃範囲が静止時でも中程度あるほか左右入力に合わせてオプションからのショットの方向を傾ける事が可能+中速型の「Bタイプ」(緑/紫)、広範囲ショット+低速型の「Cタイプ」(青/黒)の3種で、それぞれに「ショット強化」「レーザー強化」の2種類が存在している。1P側と2P側でやや仕様に違いが見られる。
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デフォルトで2回のスコアエクステンド。3面で条件を満たすと更に1upアイテムが出現するため、総エクステンド数は基本的に4回となる(もちろん基板設定で変更可能)。
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なお、本作からタイトル画面で上述のCボタンの使用有無とエクステンド設定の確認が可能になっている。
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詳細は評価点の項で記載するが、本作は基板の敵弾表示限界数である245発をフルに用いるほどに敵弾を大量に画面に出すという前代未聞のSTGであり、それに対応できるように自機性能などのゲームバランスが取られている。
本作以後のケイブは本作のような特徴を持ったSTGを多数発表するようになり、それが「弾幕シューティングゲーム」という1つのジャンルを生み出すこととなった。
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Aボタン連打で広範囲に大型弾の超連射を浴びせる「ショット」、Aボタン押しっぱなしで低速移動と前方集中攻撃を兼ねた「レーザー」、Bボタンで緊急回避用の「ボム」、この『首領蜂』からの基礎は変わらない。
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「集中的に敵に浴びせないかぎり威力は低めだが広範囲かつ超連射力」「見た目通り1発ずつ当たり判定が分かれている弾幕を浴びせる」多数の小型敵に向いたショット、
「遠距離でも一定の高火力を安定して維持できる」「至近距離ならオーラの重ね打ちでさらに性能アップ」、ただし「当たり判定が非常にシンプルで小さな敵に塞がれる」大型敵やボスとの一騎討ちに適しているレーザー、
この2つの主武装を使い分けつつ確実に敵を倒すのが主な戦略。
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機体によってそれぞれの性能や使用時の移動速度を変化させる「メインショット強化(メインショットの本数が倍化+ショットの連射速度が上昇)・レーザー強化(レーザーが耐久値の低いザコを貫通する+オーラ判定の大型化+入力を受け付けてからレーザーが発射されるまでの隙の減少+レーザー使用時の速度低下の緩和)」のどちらかを選択できる。
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ミスした際のパワーダウンは、強化されてない方は初期状態に戻るが、強化した方は1段階ダウンだけで済む。
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前述の通りだが、基板設定でCボタンにオート連射が設定できる。なお、タイトル画面でCボタン設定有無と難度設定が確認可能。多くの店舗がこの設定で稼働させており、「高速移動攻撃用のCボタン」「低速移動攻撃用のAボタン」という使い分けも本作にて確立された。
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そして切り札の「ボム」。数は限られているが、画面上の敵を倒すだけでなく敵弾を消す&使用直後からしばらくの間無敵になれる攻防一体の性能である。本作でも通常の発動(スプレッドボム)とレーザー中の発動(レーザーボム)で性能が差別化されており、やりこんでいくと用途の違いが分かってくる。初期の上限数は3発だが、ミスするたびに1つ追加されていき上限は6発。前作同様、当時のSTGとしてはボムの総数はかなり多い。
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ボム補充アイテムを取った際にボム数が所持最大数に達するか、所持最大数のまま更に補充アイテムを取ると、以降ボム使用かミスするまでスコアが大量に加算され続ける「マキシマムボーナス」が発動する。さらにボムの重ね取りを行うとこの「マキシマムボーナス」に倍率がかかっていき、凄まじいスコアが加算されるようになる。
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『首領蜂』で採用された「ゲットポイントシステム」は本作でも健在。
今作からヒットが繋がる残り時間が左上のゲージで視認できるようになり、レーザーを耐久度のある敵に当てている間はヒット数が切れずに一定間隔で上昇するように変更。更に敵の配置も前作よりもヒット繋ぎを想定したものとなっている。
上級者によって、中ボス後で切れてしまう1・3面を除いた全てのステージで全繋ぎパターンが確立され、本作のスコアランキングを非常に熱いものとしていた。
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本作のみマキシマムボーナス成立中にレーザーボムを撃つとコンボが途切れずに維持される隠し仕様がある。
マキシマムボーナスを捨てることになるためスコア稼ぎでは使えないが、後述の2周目突入の条件を満たす上で役に立つ。
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ゲットポイントシステム・マキシマムボーナス以外にもスコアフィーチャーは多く仕込まれている。
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「特定の大型敵を破壊した瞬間、全ての敵弾を消去しその分のボーナス点を得る」、後のケイブ作品おなじみのシステムは本作から。
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前作で登場した隠しアイテム「蜂アイテム」も健在。本作ではノーミスでの全取得に成功(「蜂パーフェクト」)したステージが増えれば増えるほど、蜂アイテムの得点も上がっていく。
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また、ノーボムでの進行が難しい初心者にも、ボスの残り体力をレーザーボム一発分まで減らした(ボス体力ゲージの色が赤に変わり、合図としてオペレータの台詞が入る)後にレーザーボムを発射すればヒット数が激増し、ステージクリアボーナスが大幅に増えるという仕掛けも。マキシマムボーナスが得られなくなるため最終的なスコアは及ばないものの、初心者であってもスコア稼ぎの快感に浸れる要素は用意されている。
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その他、「ステージをノーミスクリアする」という非常にシンプルな条件で、ステージクリア時にステージ毎に個別設定されたノーミスボーナスがもらえる(ボム使用可)。1周目後半や2周目ともなると、ノーミスでステージクリアできると相当なスコアになる。生存重視のプレイに集中している成長途上の熟練度のプレイヤーは、稼ぎを意識できずとも大きなモチベーションになるだろう。
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本作は2周エンドだが、2周目に突入するには1周目をノーコンティニューでクリアし、かつ「ヒット数(自機タイプにより可変)」「蜂パーフェクト4ステージ以上」「2ミス以内」「最終スコア5000万点以上」からいずれかひとつの条件を満たす必要がある。
2周目は敵の攻撃が強化されるだけでなく、2周目6面の先に本作を象徴する真のラスボス「最終鬼畜兵器 蜂」と「火蜂」が立ちはだかる。
評価点
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画面全体に溢れんばかりの物量を誇る敵弾、そしてそれをかわせるほどの極端に小さい当たり判定。
「避ける」事にゲームバランスを集中させるため、自機の攻撃性能も従来のSTGの常識をブチ抜いた高さとなり、これまでとはまるで違う圧倒的破壊の爽快感の実現に一役買っている。ショットは巨大弾を3WAYもしくは4WAYで秒間30連射するという当時までの時点では非常に豪勢な代物であり、レーザーもフルパワーであれば非常に太い。
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「やたら大量の弾に目を奪われるが実は弾速がやや遅めで当たり判定が小さく、自機の殲滅力も比較的高い」という特徴的な仕様は、敵弾を掻い潜って敵を打ち倒すカタルシスを突き詰めた「弾幕STG」の嚆矢となったのである。
特筆すべきは自機の当たり判定だけでなく敵弾の当たり判定をも小さくしたことである。本作の敵弾には数多くのグラフィックが設定されているが、実際は大きめの弾も小さめの弾も全てが同じ判定という大胆な設定となっている(参考)。
この設定が一見大きめな敵弾の弾幕をスルスルすり抜けられる爽快感を生み、多くのプレイヤーを虜にするに至ったのである。
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本作では現代の視点から見ると当たり判定はやや大きめだが、当時の他のSTGと比較すればすぐに体感できると言っていいほどの小ささ。その当たり判定を前提にバランス調整が行われているため、無理のあるギリギリの回避を求められる場面は非常に少ない。
後継作はシステムの複雑化や難易度の向上が顕著だが、こちらはシステムや敵の攻撃がシンプル。難易度は2周エンド目的でも極端に高くはなく、誰にでもクリアできるチャンスがある。
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画面中に大量の弾が飛び交う激しい内容の一方で前作から改善が入り遊びやすくなったシステム面。
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パワーアップに必要なアイテム数が前作の2個から1個へ減少。これによりミスした後のリカバリーがしやすくなった。
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ボムは前作であったステージクリア後の補充こそなくなったものの、ミスする毎にストック上限が1発ずつ増えていく仕様に加えて、ミス後はストック上限フルに補充されて復帰するため、ゴリ押しがやりやすくなり、最終的に前作並にボムを撃ちまくる事が出来る。
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一方、残機が0になった際のボムアイテム放出は廃止されている。
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前作では1度だけだったスコアエクステンドが2度行われるように変更。更に隠し要素である3面の1upアイテムも複雑な条件ではない。その間の敵からの攻撃も比較的緩いため、出現させる難易度はシリーズ作の中でも易しい方。
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3面の1upアイテム出現条件。ネタバレ注意
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道中終盤で出現する赤色の巨大戦艦の左右に配置されたオレンジ色の破壊可能パーツを6つ全て破壊した後に、艦橋を破壊すると出現する。
ただし、ボムの弾消し効果が発生している時に艦橋を破壊すると出現しない。(=艦橋はボムで壊してはならない)
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ボス戦でボスの耐久値を示すゲージが追加。前作ではボスの点滅エフェクトやシステムボイスで判断するしかなかったボスの残り耐久値が一目で分かるようになった。
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やり込むほどに深みが出る機体性能バランス。
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鈍重ながらも圧倒的なショットの攻撃範囲の広さを誇るCタイプの性能がショット強化・レーザー強化ともに非常に安定しており、初心者から達人まで愛用者が多い。「迷ったらワイドショット機体のCタイプを選ぶといい」という安心感は、まさに本作では顕著であるが…。
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例えば、広範囲攻撃型のBタイプやCタイプをある程度使い込み、ゲームのセオリーを覚えてから前方集中型のAタイプを使ってみると、全く違うタイプの機体にもかかわらず快適にプレイできることに気付くはず。
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本作は後のケイブのシューティングと異なり「全方位に等間隔かつ高密度で放たれ逃げ道や誘導の余地が無い事が原因で移動速度が速いとかえって枷になる」類の攻撃が非常に少ないため、「機動力は強さである」という調整になっている。そのため決してCタイプ一択などではない機体バランスになっているので、先入観を持たず色々な機体と強化タイプを触った上で、最終的に自分の好みに合わせて愛機を定めるという余地がある。
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Aタイプはレーザーどころかショットまで前方集中であるが、圧倒的な移動速度によって「自機狙い弾の誘導と切り返しを行う能力が突出して高い」という無二の長所を持ち、弾避けそのものを拒否できる余地が多い。ショット強化の場合はその移動速度とそこそこの攻撃範囲を両立した唯一の機体になる。レーザー強化にした場合は「ほとんどの場面をレーザーだけで戦う」ような思い切ったプレイも十分実戦的で、まさしくレーザーに特化した機体となる。なお、いずれの強化もショットは自機の真横をカバーできない弱点があるため注意が必要。
好みにより評価が変わる部分はあるが、レーザー強化タイプは高火力のレーザーを撃ちつつ、高速で撃ち込み・回避を自由自在に行えるため、全機体中でボス戦が一番楽な機体である。
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Bタイプはショット強化の場合は前述のA-Lとは対照的にショット特化機体となり、「下手にレーザーを使うよりショットだけで戦った方が火力も攻撃範囲も機動力も優れている」という、攻撃方法の使い分けのセオリーを無視したプレイも許容される(コンボ=スコア稼ぎは困難となるが)。レーザー強化の場合は、「ショットだけで力押しするプレイが通用しない」ピーキーな性能になるが、使いこなせれば長所だけ味わうような戦い方が出来る玄人向けのテクニカルな機体に。
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Cタイプは前述の通りの安定機体・定番機体。しかし前述の通りではあるが移動速度の遅さは激戦ほど大きく響いてくる他、この機体はショット強化とレーザー強化の性能・プレイ感が最も大きく異なる。ショット強化は圧倒的な攻撃範囲が最大のウリだが、裏を返せば「ショットの攻撃範囲が散っている」とも言えるため、前述のB-Sのように流石になんでもかんでもショットだけで済ませられるわけではない点と、ボス(特に「火蜂」)戦がややキツイ点には留意。レーザー強化では「弱点が少ない万能機体」といった仕上がりになるが、ショット・レーザーのどっちつかずの器用貧乏な側面が顔を出すため、セオリー通りのショットとレーザーの丁寧な使い分け=攻略パターンの覚え込みが他のどの機体・どの強化タイプよりも大事となる。
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あまり設定がなく姿を2周エンド時でしか確認できない主人公に比べて、とにかく個性的な「シュバルリッツ・ロンゲーナ大佐」(通称:首領)。
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個性的な外見や言動、そして元祖ケイブ系真ラスボスに恥じない性能「火蜂」…と一度見れば忘れない存在感を放つ。
そしてある思惑のために主人公と対峙する大佐。果たして主人公は「怒れる、首領蜂」かはたまた「怒れる首領、の蜂」なのか。
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『バトルガレッガ』のラスボス「グロウスクイード」最終形態を格段に進歩させたような小さくて超強い真ボス…それが「火蜂」である。
ちなみに本作のメインディレクターにして現ケイブ代表取締役の池田恒基氏(通称:IKD)は『バトルガレッガ』と『沙羅曼蛇』に感銘を受けて本作を手がけた事を後に明かしている。
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BGMはエレキギターを前面に押し出したハードロック調の楽曲が中心であり、基板性能の都合上音質・曲数共に劣るものの楽曲自体の質は水準以上。
いずれもノリノリなアップテンポで、超兵器で敵を破壊しまくりながら聴くにはもってこいの作風。
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ゲームセンターのオペレーター向けの説明書に「本作は効果音の集客効果が大きいので、音量設定は大きめでお願いします」と自信満々。
そのアピールに偽りない、パワフルな攻撃/破壊音とイケイケなBGMである。
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他作品と違い、作曲者に関しては非公表。一部のサントラには「蜂IIと同じ人」という記載があるが、作風があまりにも違うため「サントラの誤記の可能性が高い」とされている。
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高品質なドット絵によるグラフィック
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メカ、背景共に描き込み具合はかなりのもの。特定の箇所を撃ち込んだり通過すると花が咲いたりといった細かいギミックも。
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『怒首領蜂大往生』以降は3Dで作ったモデルを2D画像に落とし込むプリレンダリングがメインとなったので、本作のグラフィックを好む者も見られる。
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メカデザインも高水準。ボスはいずれも威圧感を感じさせるデザインで、演出重視の作品として開発されていた頃の名残からか、インパクトのある登場し方をするボスも見られる。
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『怒首領蜂大往生』では3、4、5面ボスが、『怒首領蜂大復活』では1~6面ボス全てが再登場を果たした。
賛否両論点
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とにかくいろんな意味で癖があった内容。従来のシューティングのつもりでプレイしていたら永久にクリア不能と言ってよいほど。
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特に短時間で延々と敵機が湧きあっという間に敵弾で画面が埋め尽くされる5面は初見では絶望すら生ぬるく、それまでのステージとは別世界に感じる事だろう。
このステージの敵弾は自機狙いが大半で「切り返し」テクニックが終始求められるため、コツを掴むまではボムに頼りっぱなしになるのは避けられないといっていい。
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自機Cタイプに限らずパターンゲーでもある。それも一朝一夕でクリアできるような代物ではないので、何回も死んで覚える根気が必要。
ただ、当時の他社STGに多かったカーブや加速・減速などの特殊な弾はほとんど登場せず、ほぼ全ての弾幕が等速でまっすぐ飛んでくるというシンプルなものとなっている。
特殊でないがゆえに、多くの攻撃はある程度のアドリブでも避けられるように作られており、全てをパターンに当てはめなければならない類のSTGでもない。
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1周クリアに限っては、ボム数の多さにモノを言わせ、抱え落ちをしないように「ボムできちんと難所をスキップしていく」プレイを心がければクリアへの敷居は低い。2周目突入条件を満たさなかった場合は1周エンド専用のエンディングになり単純に「首領であるロンゲーナ大佐に任務完了を労ってもらう」というスッキリしたエンドになる。
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2周目突入を成し遂げた場合、ストーリーの真相に一気に近付き、前作『首領蜂』同様の後味の悪さと不穏な空気に包まれる。ゲーム本編としては残機に余裕があれば、1周目と同様ボムをケチらず使えば進む事だけは出来る。前作と異なり2周目にも撃ち返し弾は存在せず、敵の配置や耐久力等も1周目と同じなので、1周目での知識や経験が活かせるようにはなっている。
ただ、自機狙い弾を撃ってくる類の標準的なザコ敵の攻撃が著しく強化される他、「ほぼ全ての敵の攻撃が1周目の攻撃を緩急二重構造に倍増させた弾を撃ってくる」仕掛けになっているため生半可なコンコン避けや切り返しが通用しなくなり、1周目以上に機動力の高さや危険な敵を優先して確実に倒すパターン構築が要求されるようになる。
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2周ノーコンティニュークリアを目指す場合は「ザコ敵とまともに撃ち合わない」ような、緻密なパターンの構築と高い操作精度が要求される。
最後の真ボス「火蜂」の存在も有名だが、極端に強すぎるわけでもなく、2周クリア達成者は弾幕シューティングの中ではかなり多い部類。
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「火蜂」の攻撃はいずれも現在でも伝説として語られる圧倒的な厚みだが、意外にもどの攻撃も弾速が他の2周目ボスに大きく劣る遅さである上、弾数が多すぎて常時スローダウンが発生するため、絶望的な弾幕の見た目とは裏腹に攻撃を回避しやすい。これは後作と違い、「殺意満点の勝たせない強さ」ではなく「とんでもなく強そうというインパクト重視」で作られているためであろう。
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しかし、後の真ボス達とは違い画面上部を不規則に飛び回り、弾幕もランダムにばら撒くタイプで終始アドリブ避けを強いられるため、決して戦いやすい相手ではない。ここまで来られるだけの相応の弾避けスキルは必須である。
問題点
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BGMの種類が少なく、4~6面は1~3面の使い回し。しかもボス戦BGMは2種類のみで火蜂戦も通常ボス戦BGMの使い回しである。
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ただ、ボス戦BGMは火蜂も含め雰囲気には十分マッチしている。気になる人には気になる点と言える。
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得点に関するバグの存在。
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6面に登場する一部の砲台を特定条件下で破壊すると、本来入るべき得点より多い得点が入るバグがある。
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このバグは、稼働から20年以上経過した2020年になって世に知られることになったのだが…(詳細は余談を参照)。
総評
本作が後のSTGに与えた影響は計り知れず、今日でも語り継がれるシューティング史でも外せない作品となった。
弾幕系シューティングを世に示した事で、下火になりつつあったSTG界隈に新たな風を送り込んだとも言われる。
一方で、本作の個性的な面を「高難易度至高路線」に進めたばかりに挫折した多くのプレイヤーとほんの一握りの天井知らずな凄腕シューターが残る極端な作品が増えてしまい、必ずしも本作の存在が良い事ばかりではなかった。
特に2000年代初頭のCAVEシューティングにこの傾向が顕著であり、その反省を活かしてCAVE自体の開発コンセプトも変化していく。
移植版
「元祖弾幕STG」という偉大なポジションながら、未だに「完全移植」はなされていない不遇の作品である。
本作の発売はアトラスであり、同様にアトラス発売のケイブ作品はいずれも後年での移植に恵まれないという共通点があるため、版権問題によるものといわれている。
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セガサターン版(97.09.18発売 発売:アトラス/開発:ケイブ)
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アーケード版を移植した「アーケードモード」、オリジナルの0面(BGMが首領蜂1面のアレンジ)を追加した「サターンモード」が存在する(1周・2周エンドはコンフィグで選択可能)。
サターンモードは最終ボスとして火蜂が必ず登場するが、後述のコンフィグで難易度を下げれば不慣れなプレイヤーでも十分太刀打ちできる難易度に調整されている。
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全体的にコンフィグが非常に充実しているがキーコンフィグがないのが惜しまれる。移植度もイマイチで、AC版のパターンをそのまま使うことができない。特に処理落ちや敵弾の速さ・撃ち方などに違いが見られ、デフォルト難易度では全体的にSS版の方が難しくなっている。SEなどの音声面の劣化も気になるレベルで、特に効果音の劣化が著しい。
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スコアアタックキャンペーンが開催され、優勝者には「怒首領蜂 キャンペーン特別アレンジバージョン」のアーケード基板が進呈された。タイトル画面背景が青い事から「青蜂」とも呼ばれる。現存枚数が極めて少ないこのバージョンで遊ぶことは困難であるが、稀にゲームセンターに貸し出され遊べることもある。
内容については『怒首領蜂大往生』のプロトタイプといえる仕様となっており、ハードウェアも強化されて最大弾数がオリジナルの245発から315発まで強化されていたようである(参考(かつて存在したケイブユーザーズルームのアーカイブ))。
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本作についてはケイブ自身も「移植のデキに関していえば、サターン版の怒首領蜂の二の舞を繰り返したくない」と言及する程度には完成度は低かったと認めている(参考)。
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プレイステーション版(98.09.10発売 発売・開発:SPS)
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SS版に遅れること1年、SPSより「完全移植」と銘打って発売された移植。発売・開発元が違うためSS版とは別物であり、「サターンモード」に相当する独自要素も存在しない。
コンフィグもアーケード基板準拠の設定+キーコンフィグと言った程度。画面全体の速度を低下させる「スロー」というボタンを設定可能(但し使用するとスコアが著しく低下する)。
また画面縦置き時にはスタート時に機体選択が行えず、事前にコンフィグで設定しておく必要があるという妙な仕様がある。
コンフィグには設定が存在しないが、プレイ中にポーズするとウェイト(処理落ち)のON/OFFを切り替えることが出来る。
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移植度はまあまあだが細部には粗があり、有名なのは地上の隠しアイテム(蜂や星など)を出現させたときにヒット数が加算されないというもの。この関係でコンボ繋ぎが難しくなっており評価を下げている。他にも自機ショットの判定がやや弱い、2周目突入条件がAC版と異なるといった相違点がある。
音響面では最小の得点アイテムのSEが異なるものとなってしまっている(SS版も同様)が、他の部分は概ねAC版に近い水準になっている。
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出荷が少なかったためか著しくプレミア化していたが、ゲームアーカイブス版配信もあってか近年ではやや落ち着きを見せている。
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2010年にはゲームアーカイブスとしてPSP/PS3/PSVita向けに配信されている。販売元はハムスターに変更されているが、内容は同等。
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全体的な移植度はPS版・SS版いずれも異なる要素で問題点があり、完全移植とは言い難い。攻略パターンはPS版のほうがACに近いものを使用できる(ただしコンボは繋がりにくい)が、SS版は豊富なコンフィグやサターンモードによる初心者への配慮が行き届いているという特徴がある。
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現在ではゲームアーカイブスでの配信もありPS版のほうが入手しやすいため、「元祖弾幕STG」の雰囲気を味わってみたいなら購入してみるのがおすすめ。
なお、両ハード共通の問題点としてハードの描画解像度が全く足りていないため横画面モードでは画面が潰れてしまい、視認性が著しく悪化するという問題点がある。これは描画解像度の問題であるため、ゲームアーカイブス版でも改善されない。可能であればモニタ縦置き環境を用意することが推奨される。
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また、PSP(PSPgo除く)でプレイする場合、縦画面モードにした上で本体を縦持ちにする(方向キー側を下にする)ことで強引ながら解像度の問題はクリアできるので、所持しているのであれば試してみるとよいだろう。PSVitaでもこの縦持ちプレイは可能だが、本体形状の都合上やや操作性は落ちる。
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ケイブのADV『インスタントブレイン』(Xbox360、2011.11.10発売)にオマケゲームとして収録されている。
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キーコンフィグは出来ず、なぜかKinect対応。
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しかもSTGとしてはあってはならない入力遅延も発生する。一言でいえば劣化移植であり、「ちょこっと遊べる」程度のものに過ぎない。
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厳密には移植ではないが、海外でも販売されていた。
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メッセージが英語となっている他、敵弾の量が減っているなど難度が下がっている。
余談
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かの有名なゲーメストの誤植の一つに「豪鬼使用コマンド公開!-怒首領蜂」というものがある(参考)。
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どうやら『ストリートファイターEX』の見出しと間違えたとのことだが、その字面のインパクトの強さからネタにされることも多い。
現在では豪鬼が弾幕STGに出ててもあまり違和感が無い、という人もいるらしいが。
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同誌では他にもハイスコアコーナーの申請記入例が『怒首領降(ドドンプル)』となっていたことがあるが、こちらは誤植ではなくカプコンの『ワンダー3』中の1タイトル『ドンプル』と掛け合わせたパロディーである。
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本作のステージ4前半は倒壊ビルや建物跡の上空を進んでいくという内容だが、その中にケイブの前身会社である東亜プランのロゴをかたどった建物跡が存在する。
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この建物跡に自機を移動させると撃ち込み判定のある花が咲き、花を撃ち込んでる間はボーナス点が入り続ける。中々感慨深い小ネタと言えるだろう。
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現在は漫画家として活躍中の井上淳哉氏の作品である「BTOOOM!」の登場人物の1人、「ロンゲル・シュバーリッツ」のモデルは前述のシュバルリッツ・ロンゲーナ大佐であることが本人から語られている。
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2018年頃から、本作のスコアアタックには異変が生じていた。通常想定されるプレイから1億点以上、旧記録を15%以上上回る高スコアが日本ハイスコア協会(JHA)のランキングにゲームセンター公認の元にエントリーされ、正当な記録として認証されていたのである。
この、今までのプレイ内容では説明できない「ネタ」は解明したプレイヤー群だけが知る秘密とされ、世界レベルでも解明されなかった。
業を煮やした海外のプレイヤーが「何らかのバグ・グリッチを独占するのは不当な行為である」と不快感露わに声明を出し、賞金を懸けてこの「謎の1億点」の正体の解明に乗り出した。結果、6面の復活砲台に関するバグが原因である事が懸賞金騒動の過程で解明され、日本のプレイヤーチームが騒ぎに対応する形で回答を出している。
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長年のやり込みの果てに見つけだした高得点バグを「独占するのは不当だ」などと外部から政治力で押し入って公開を強いる行為は、自力で到達したプレイヤーからすれば理不尽かつ卑怯と認識されても仕方ない。
ただ、海外のプレイヤーが行った機械語のコードやメモリの内容から解析することは、正確な発生条件含めバグを解明できるほど強力であることも事実である。
日本側プレイヤーは、公開を控えた理由は「スコアアタックのゲームバランスを著しく崩すものであり、ゲーム性を崩壊させてしまうためだ」としているが、そもそも「バグを使用したスコアがJHA公式記録として登録されている時点で筋が通らない」とも指摘されている。
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現行、海外主導のスーパープレイ(タイムアタック・スコアアタック双方)はプレイ動画公開を前提とした下地がすでに完成している。
対して日本のスコアアタックは20世紀の雑誌集計の時代以来の「部外者が知ることができるのはスコアの数値のみで、更新者が何をどうしてその点を出したかは自力解明しないといけない」という文化が引き続いている。
事実、海外プレイヤー側はアナログ集計に固執するJHAの集計形式が問題の根源であると主張しており、本質的にはその文化的ギャップに由来する騒動ではある。落とし所を見つけるのは容易ではないだろう。
最終更新:2024年03月04日 13:48