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双界儀 - (2021/02/11 (木) 17:10:21) のソース

*双界儀
【そうかいぎ】
|ジャンル|アクションアドベンチャーゲーム|~|
|対応機種|プレイステーション|~|
|メディア|CD-ROM 3枚|~|
|開発元|スクウェア/ユークス|~|
|発売元|スクウェア|~|
|発売日|1998年5月28日|~|
|定価|6,800円|~|
|配信|ゲームアーカイブス&br()2008年08月13日/617円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|作りこまれた世界観&br()素晴らしい音楽&br()超豪華声優陣&br()操作性は悪い|~|
//wikipedia云々は必要か?
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#contents(fromhere)
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**概要
スクウェア(現・スクウェア・エニックス)がノリにノッており様々なゲームを送り出していた時期に発売されたアクションアドベンチャーゲーム。~
『古事記』や『万葉集』のみならず、更には『竹内文書』や『東日流外三郡誌』などの偽書にも発想を得た日本観、陰陽五行思想を取り入れたシステム、極力日本語や漢字に統一された文章、武器を「得物」や「武具」と呼んだり、効果音まで和太鼓や鼓、釣瓶の回る音を思わせるものになっているなど、「和」の雰囲気にこだわった作風が特徴。
この世界である「現世」とその裏の「常世」、生命が吸う「旺氣」、吐き出す「衰氣」などの表裏一体の思想も関わっている。

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**ストーリー
>1997年12月、富士山頂で突如起こった大爆発により富士山は無残に二つに引き裂かれた。~
それに呼応するかのように日本の各地で大規模な爆発と地震が起こり、~
その爆発から発生した光球が半径50キロメートル以内の地域を吹き飛ばし、さらにその光球は謎の巨大な柱となった。~
日本各地のその柱は、周りのありとあらゆるものを飲み込み、大地さえも抉った。~
その結果、直径100km、深さ30kmに及ぶクレーターとなった無残な大地には、直径10km、高さ150kmの、~
その「紅く光る柱」がただ聳え立つだけとなってしまった。後に、この日は「ガランの日」と、~
紅く光る柱は「ガラン石の柱」と呼ばれるようになる。
>
>そして、ガラン石に引き寄せられるように「寄り神(寄神)」と呼ばれる怪異が各地に出現、人々を襲い始める。~
古代より寄り神退治を行っていた組織「五方輪(ごほうりん)」の一人「塞上夜斗」は、~
この惨事を起こしたのが五方輪の創設者「紫微仙(しびせん)」の仕業と知り、~
その事実を五方輪の残り4人に告げ、それを期に五方輪は紫微仙に叛旗を翻す。
>
>五方輪の一員である「真武居直柔」は夜斗に言われ、紫微仙の目的をハッキリとわからぬまま、~
この物語の鍵となる「御石神文書(みしゃくじもんじょ)」を手に入れるために、奥能登の珠州へと足を運んだ。~
そこで直柔は「御巫美津穂」を寄り神から助け、初めて五方輪の前に姿を現した、紫微仙の一人とも対峙する。

御石神文書に秘された「七つの楔」を守るため、五方輪は戦いの旅を続けながら集結してゆく。果たして紫微仙の目的とは…?
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**ゲームシステム
//ちょっと読みづらいのでかっこ内の読み仮名だけ消去させてもらった。
-基本的には後方カメラ視点の3Dアクションゲームである。HP制で、敵味方にはそれぞれ木氣(色は青)、火氣(色は赤)、土氣(色は黄)、金氣(色は白)、水氣(色は黒)の五つの氣がある。
--これらには力を生み出す「相生((イメージとしては、木は燃えて火を生み出し、火は物を燃やして土に還し、土の中で金属が育まれ、金属は水を溜め伝え、水は木を育てる、といったところだろうか。))力を奪う「相克((イメージとしては、木は土から養分を奪い、土は水を吸い、水は火を消し、火は金属を溶かし、金属の道具で木は切り倒される、といったところ。))」という相性があり、相克で優位な方が多くのダメージを与えられ、受けるダメージは少ないといった効果がある。

-ステージ
--地図上でステージを選ぶと、そこの地名と月((文月や長月といった旧暦の呼び名となっているが、12月が一般的な「師走」ではなく「極月」となっていたりする。10月は全国的には「神無月」だが、出雲が舞台なので「神在月」となっているなど細かい。))が表示される。ステージ前には使用キャラの選択((選択中にキャラ別の得意、普通、不利、不参加に応じた一言を喋る。))と能力の強化が行える。
--各ステージにはゴールと言える箇所があるが最初は入れず、各地の「衰氣」に満たされたゲージを「旺氣」寄りに満たす必要がある((基本的に味方は旺氣、敵は衰氣を使用する。))。その為には敵である寄り神を倒したり、「ガラン石((衰氣の結晶で、基本的にはガラン石の柱と同じもの。説明書では区別して「ミニガラン石」とも。))と呼ばれる物体を破壊する必要がある。
---ガラン石の中には「現世のカケラ(以下・カケラ)」という物があり((ガラン石は赤黄青の3種類あり、後のものほどカケラの数が多く、同時に高く壊しにくい場所にある。))、ステージ前のキャラ選択画面で各能力に割り振り強化することができる。基本的にはステージ最後のボスを倒すと次のステージに行けるようになる。全編に渉って3Dのムービーがあり、長さは合計で約3時間にも及ぶ。ステージ前には一枚絵に文字だけの前話回想やストーリー解説もある。

-操作
--左右の視点回転、前進と防御、180度反転、サイドステップ、バックステップ、ジャンプ、前方へ高速移動するブースト、空中で180度反転する宙返り等があり、本作ではこれらを「移動術」としている。
--近距離で物理攻撃、遠距離で旺氣弾攻撃を行う。前進中に「ダッシュ攻撃」、ブースト中は「ブースト攻撃」、ジャンプ中は上昇中と下降中でそれぞれ「ジャンプ弾道攻撃」「空中攻撃」と違いがある。他に宙返り中は真下に攻撃する「宙返り攻撃」、攻撃された時の反撃の「全方位攻撃」が行える。
--最大5つまで「結界」を張ることができ、敵を捕らえると一時的に動きを封じ、与えるダメージが倍になる。逆に敵も結界を張ってくる者がおり、捕らわれると受けるダメージが倍になり、ボタン連打で破る時間が早くなる。複数の敵を捕らえたり、一体に重ねがけして拘束時間を伸ばしたりできる。
--攻撃ボタンを押し続けると3~5段階に次々構えをとり、ボタンを離したときの構えに応じた「奥義」を放つことができる。奥義の使用には敵を倒したときに手に入る「奥義マテリア((様々な呼称を和風に統一した本作ではやや異質な名称だが、同じスクウェアで1年余り前に発売されている『ファイナルファンタジーVII』にあったマテリアシステムの影響だろうか?))」を技に応じて消費する。
--封陣符という「咒符(じゅふ)」を使った術もある。ボタンを押して陣を描き、その状態でボタンを押して使う咒符の数を増やしていく。止めた数に応じて攻撃や防御、強化や回復など様々な効果が発生する。

-攻撃を受けると「衰氣感染」というHPが徐々に減っていく状態になることがある。
--各地には「龍穴」という地面が五行の色に光っている場所があり、色は固定のものと周期的に変化するものがある。そこに入ったキャラの五行属性とそこの色との関係で強化や回復、衰氣感染の中和のほか、相性が悪いとステータスの低下といった効果が発生する。

-クリア後のステージには何度でも入れ、カケラの回収や奥義マテリアを集めたりできる。
#region(''全クリア後'')
-メモリーカードにクリアデータがあると、ディスク壱のみで全キャラを使え、ステージも自由に選べるようになる(ただしムービーはカット)。カケラも500個所持しているので存分に強化できる。

-本編では使用できなかった塞上夜斗を実際に使えるようになる。

-ディスク弐を入れた状態でクリアデータのあるメモリーカードで再開すると、ゲームの没カット集などを観ることができる。
#endregion

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**登場人物
#region(''操作キャラクター'')
-真武居 直柔(まぶい なおや)
--性別:男 年齢:18歳 五行:木 流派:紫微武甲法(しびぶこうほう) 武具:闇陽炎(やみかげろう)→荒覇吐(あらはばき)
--本作の主人公。8655年続く真武居の577代目当主にして五方輪の一員。血の気が多く単純だが、死にかけたみづほにあっさりと魂継ぎ(たまつぎ)を行い五神宝珠(ごしんほうじゅ)を譲るなど、真っ直ぐで優しい心を持つ。船酔いが激しい。

-御巫 美津穂((エンディングでこの字で表記されるが、作中では全体的に「みづほ」とひらがな表記である。)) (みかなぎ みづほ)
--性別:女 年齢:18歳 五行:木 流派:御巫無想流剣術(みかなぎむそうりゅうけんじゅつ)・紫微武甲法 武具:闇陽炎
--本作のヒロイン。衰氣に当てられ死にかけたところを、直柔に魂継ぎを行われ後に五方輪の一員となる。
-八洲 大騎(やしま だいき)
--性別:男 年齢:32歳らしい 五行:火 流派:紫微武甲法・密教咒術 武具:忌杖(いみづえ)
--真言密教の寺の跡取りで、ガランの日に家族を亡くし寄り神退治をしていたところを朱雀魂を持つ咒方士に助けられ、彼に師事して後に朱雀魂を継承し五方輪の一員となる。明るく豪快な性格。

-我舞 要 (がぶ かなめ)
--性別:男 年齢:20歳 五行:水 流派:我舞式練氣術秘伝(がぶしきれんきじゅつひでん) 武具:氣鋼掌(きこうしょう)
--鹿島の名家、我舞家の当主として生まれるがガランの柱の出現により我舞家は水没、生活のため寄り神の退治屋を始める。ぶっきらぼうで口が悪いが根は優しい。

-琴平 梓((エンディングでこの字で表記されるが、作中では全体的に「あずさ」とひらがな表記である。))(ことひら あずさ)
--性別:女 年齢:11歳らしい 五行:金 流派:紫微武甲法(ただし修行中) 武具:天颪(あまおろし)
--両親を寄り神に殺され、仇討ちのため五方輪であった祖母に師事し、後に五方輪の一員となる。明るく生意気だが、それが必死に強がっていることも仲間は知りつつ温かく見守っている。
-朱童 ひふみ(すどう ひふみ)
--性別:女 年齢:自称25歳 五行:土 流派:紫微武甲法・陰陽術 武具:銀鏡(しろかね)」・「禍絲(まがついと)
--抜群のプロポーションを持つ美女。普段は落ち着きがあり、誰とでも対等に接するが、実はその生まれと肉体には大きな秘密を抱えている。
#region(クリア後)

-塞上 夜斗(さえがみ やと)
--性別:男 年齢:23歳らしい 五行:水 流派:紫微武甲法 武具:なし(玄武魂をはめ込んだ左手によって練られた旺気)
--五方輪随一とされる実力を持ち、紫微仙の企みに気付き叛旗を翻した最初の五方輪。寡黙で冷静だがある秘密を隠しており、八洲に怪しまれてもいる。しかしそれも八洲の心配の裏返しでもある。
#endregion
#endregion

#region(紫微仙)
-武究天尊 陽龍(ぶきゅうてんそん ヤンロン)
--性別:男性 五行:火 力:日
--生まれついての天才肌で、さまざまな武術のみならず、邪仙術や氣功術を労せず習得した。かつて河伯、陰虎と共に、七つの楔を抜こうとし、それを阻止せんとする神剣荒覇吐を携えたナミ姫よって、深手を負わされた過去を持つ。

-霊封天尊 陰虎(れいほうてんそん インフゥ)
--性別:女 五行:水 力:月
--邪仙術の使い手で「軽氣功」によって宙を浮遊する。陽龍の従妹だが、陽龍に対し強い愛情を持っており、彼以外に触れられることを極端に嫌う
-元聖天尊 河伯(げんせいてんそん カハク)
--性別:男 五行:土 力:星
--氣功術の大家で生涯を賭して「氣」の研究をしている。常に冷静で冷徹なようで、なぜか五方輪を手助けするような行為に出ることもある。ひふみとは何かの因縁があるらしい。
#endregion
#region(その他)
-立科 冱(たてしな さえ)
--科学技術庁に所属する国家公務員で科学者。みづほも所属していた「防除班」という組織に、科学顧問として出向しており、みづほの突出した能力に着目し、「S-サイクル力線発振器(エス-サイクルりきせんはっしんき)」という「寄り神撃退兵器」の開発のため、彼女を検体(けんたい)として調査研究をしていた。

-東 宗造(あずま しゅうぞう)
--沖ノ島の宗像大社の沖津宮の禰宜。寄り神退治を、我舞要に依頼し招いた。

-水見(みなみ)
--出雲大社の祭司である水見家の子息で、少しではあるが未来を見通す力や、結界を作るなどの霊能力をもつ少年。お役目を終えるまで名を持たないことになっており、その事で心に傷を持つ。

-金剛(こんごう)
--高野山の金剛峰寺の僧侶で、密教咒術の退魔師。聖(ひじり)となり、生き別れになった兄を探して旅をしている時に、奈良の飛鳥で寄り神に襲われ負傷したところを、偶然に居合わせたひふみに助けられた。
-汐里 楸(しおさと ひさぎ)
--鹿島が好きで、水没した鹿島に留まる数少ない人物。生活のため非合法のサルベージを行っている。
-那美姫((ナミ姫とも表記される。))(なみひめ)
--神域を護る巫女。かつて紫微仙の3人と荒覇吐を用いて戦ったが敗れ、「三位結界(さんみけっかい)」の虜となるが、陽龍に一矢報い深手を負わせたことで、長きに渡り紫微仙の企みを足止めする。紫微仙達も気付いていない彼らの正体を知る唯一の人物。
#endregion

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**評価点

''作り込まれた世界観''
-日本神話や陰陽五行といった要素を上手く取り込んだ独特の世界を作り上げている。
--ガランの柱が聳える場所は古来から信仰の対象であった霊山となっている((秋田県の黒又山、岩手県の五葉山、茨城県の筑波山、長野県の皆神山、滋賀県の三上山、広島県の葦嶽山、福岡県の求菩提山、鹿児島県の高千穂峰))。
--ステージも神話や伝説の息づく土地ばかりである。世界遺産にもなった沖ノ島は入島が厳重に規制されている((女人禁制で、男も皆全裸で海に入り禊を行わないとならない。しかし作中ではそういった描写は無く、女のみづほも普通に入っている。古来より寄り神退治をしてきた五方輪は別格なのか、それどころでない事態だからなのかは不明。))はずだが、映像や写真と見比べても港や社の辺りなどはかなり忠実に再現されている。砂に埋まった出雲大社など、異変で大きく地形が変わっている場所もある。
--七つの楔は日本各地にある巨石がモデルになっている。
--寄り神の名前も、日本各地に伝わる妖怪から採られたものが多い。

-五行に関しても敵との相性のみならず、五方輪の服装は各々の五行と同じ色だが、武具は五行の相生にあたる色で、より力を引き出せるようになっていたりする。公式ガイドブックにはさらに詳しいことが書かれており、ちょっとした陰陽五行の入門書のようになっている。

''素晴らしい音楽''

-菊田裕樹の「日本のスタジオミュージシャンを使った生演奏、生録音で作るゲーム音楽の限界」を目指した((「製作時のスクウェアの経済事情が、このような方法を容易に許すものだったから出来た」という))という楽曲の数々は、いずれも素晴らしく、最初のステージ珠洲からいきなり神秘的な曲で魅せる「Quake」、その後のボス戦では一転して激しくスタイリッシュな「Energy」、別のボスでも熱くたぎらせる「Die On Destiny」、その後も出雲の幻想的な「Labyrinth」、陰虎戦の「Absolute Lady」、ラストバトルの「Regret」、そしてエンディングなど捨て曲が無いと言える程である。

''超豪華な声優陣''

-ディスクメディア以降のゲームでは珍しくもない事だが、本作は制作時で見てもベテラン、実力派が揃っており、主人公は遠近孝一、ヒロインこそ女優の京野ことみが演じているが、他の操作キャラは大塚明夫、山寺宏一、大谷育江、天野由梨、子安武人と凄い面々である。敵役の紫微仙も堀内賢雄、安達忍、羽佐間道夫と重厚なキャストであり、その他一部地域のみのキャラですら井上瑤、石森達幸、田中真弓、高橋広司、竹内順子、笠原弘子と抜かりが無い。もちろん、皆その名に恥じない見事な演技でキャラと物語を盛り立てている。

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**賛否両論点

''ヒロイン役の京野ことみ''
-アニメやゲームでは、しばしば本業の声優以外をメインキャストに起用するという事がある。そういう場合、余りに下手だったり本業声優の中で完全に浮いてしまい、それだけで作品の評価を下げる要因になってしまう事も多い。本作も女優ではあるが声優業はしていない京野ことみがヒロインのみづほを演じており、結論として拙い感は否めない。しかし京野はまだ頑張っている方でもあり、いかんせん他の声優陣が豪華すぎて余計目立っている部分もある。

''グラフィック''
-菊田裕樹氏が「PlayStationの決して高くないグラフィックとポリゴンの、映像の表現力の不足を補うために、スタジオミュージシャンによる生演奏、生録音が最適だ」と考えたと述べているように、良いとは言えない。
--ただそこまで悪くもなく、今から見れば粗いのは当然としても、当時としては及第点でもある。

''奥義と封陣符の無敵時間''
-奥義の構え変化中や、封陣符の陣を展開している間や効果発動中は無敵状態となる。
--回避に利用でき、攻撃で邪魔されないのは良心的とも取れるが、特に消費もなく安易に利用できるのは便利すぎるとも取れる。

''ストーリー関連''
-ゲームを進めていけば大体話は分かるが、所々分かりにくい部分もある。ラストまで進め紫微仙の正体を知ると、彼らの目的に疑問を抱かざるを得ない。
--そもそも、設定上日本はとんでもない状況になっているはずなのだが、主人公達以外の状況はほとんど語られない((公式ガイドブックでは日本の被害や日本政府の対応などが詳しく書かれている。))。
---ただ、それらを詳細に描いたりサイドストーリーを入れたりすると、ただでさえ長いムービーがさらに長くなるのは必至で、あくまでアクションゲームとして本筋に絞ったのかもしれない。

#region(クリア後限定)

''塞上夜斗の性能''
-クリア特典として使用できる塞上夜斗だが、五方輪随一の実力というだけあってとにかく色々ぶっとんでいる。
--まず無強化で能力最大、通常移動がブースト並みの速度、そして通常攻撃が無い代わりに''全攻撃が超級太極弾''というとんでもないものである。他のキャラでは最高レベルの奥義((直柔のみ1段階目で使え、みづほは途中で習得、我舞とひふみは使えない。))である超級太極弾を溜めも無く使い放題なので、普通の敵は通りすがりに一撃、ガラン石も破壊しつつカケラも回収できるなど正に鎧袖一触である。超級太極弾は止めない限り空中を飛び続け、結界に捕らえた敵には追尾効果もあるため、もはや別ゲームのような動きとなる。

-その一方、超級太極弾は敵に突っ込み体当たりする技であり、ボス敵などではむしろ面倒な時もある。遠距離攻撃が封陣符ぐらいしかないので、足場の悪いステージでは転落覚悟で突っ込まなければならなかったり、むしろ不利にすらなる。通常移動も慣れるまでは速すぎて操作困難であり、とにかくクセが強くて扱いづらい面もある。
#endregion

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**問題点

''操作性の悪さ''
-実際このゲームをプレイした多くの人が感じたであろう問題。
--全体的に動きがもっさりしており、走るときは「ドサドサドサ」、攻撃のヒット時も「ゴンゴンゴン」といった感じ。
---攻撃がヒットしても効果音が鈍く、ヒットエフェクトや敵のリアクションも乏しいため、ダメージが当たっているのかもよく分からず、いまいち爽快感が無い。
--跳躍のステータスを上げていくと横方向に長大なジャンプが可能となり、かなり機動力が上がるが、逆に最序盤は殆ど真上にしかジャンプ出来ないような有様で、非常に不自由な操作感に苦しめられる。

-ステージには落ちてはいけない場所があり、落ちるとHPが少し減ってリスタートする。一撃死でない分まだ良心的と言えなくもないが、ジャンプで目測を誤る、技やブーストで勢い余って、見渡すつもりがサイドステップが暴発するなどうっかり落ちやすい。そもそも足場の悪いステージでは転落覚悟で移動する必要もあり、地形の方が厄介だったりする。

''ガラン石破壊関連''
-ゲームの進行以外に強化にも関わるため、なるべくガラン石は破壊しておきたい。
--しかし地上付近にあるものはいいのだが、高所にあるものは「落ちないように注意して上って行き、視点を回転させ軸を合わせ、ジャンプで高度を揃えたところでブーストで突っ込み、さらにブースト攻撃で破壊」といった手順でやっと壊せるものがいくつもある。
--他にも見つけにくいものや、転落を承知で突っ込まないといけないものもある。さらに特定のキャラの技でしか破壊できないようなもの、''ガラン石を足場にしないと破壊できない''といったものまである。当然足場の方を先に破壊すると''上のものは破壊できなくなる''。操作性の悪さも相まって何度も落ちたりすると非常に面倒臭い。

''迷いやすい''
-3Dゆえ難しかったのか全体マップと言えるものが無く、今どこにいてどちらを向いているのか分からなくなりやすい。
--迷宮ステージの出雲は鳥居型のワープゲートで移動するのだが、似た風景の中で手当たり次第に移動するしかなく、本当にわけが分からなくなってくる。市街地のボス戦では、周囲の探索を優先すると、いざボスと戦おうにもどこにいるのか分からなくなったりする。

''奥義と封陣符の使い勝手''
-奥義は仕様上目的以外のものを使ってしまう事があったり、使いどころが分かりにくいものもある。
--封陣符に関してはかなり操作にクセがあり、咒符の枚数をしっかり確認しながら慎重に枚数を増やさないと無駄に使ってしまいやすい。

''キャラの格差''

操作キャラは一応全五行属性に一人はおり、それぞれ個性もある。しかしこの手のゲームにはありがちだが、キャラの格差が大きい。

-御巫みづほ
--同じ木氣の直柔にはリーチで劣り、その他の技でも違いはあるが、ジャンプ攻撃がガラン石は破壊できてもカケラは回収できないなど使い勝手が悪い。HPも最低で、戦えないわけでもないが全てにおいて直柔の劣化版といった印象が強い。

-我舞 要
--接近戦では圧倒的な強さを誇るが、基本的に素手なのでリーチは短く、五方輪でないためかブースト、結界、封陣符といった能力も無い。最初に参戦できるボスこそ相性が良く戦いやすいが、遠距離攻撃が奥義ぐらいなので多くの場面で戦いにくい。クリア特典で全ステージに参戦できるが、彼を使い続けるのは縛りプレイに近い((ただ、ラストボスとは五行の相性も良く意外に戦いやすかったりする。))。

-一方、直柔は主人公ゆえか荒覇吐の長大なリーチや超級太極弾を1段階目で使える上、さらに強力な奥義も覚えるなど恵まれている。八洲は防御ができないが最大のHPに長いリーチを持ち、あずさは結界((奥義に敵の動きを止める技がある))やブーストが使えないが、遠距離が圧倒的に強いなどそれぞれ使いどころはある。

-ひふみは武具が扇でリーチが短く、肉体の秘密により旺氣攻撃もできないので一見弱そうでもある。しかし逆に衰氣攻撃も受けず、ジャンプ攻撃の禍絲は意外とリーチが長く、ガラン石の破壊とカケラの回収が同時にできるなど使い勝手が良く((これでしか回収できないものもある。))、使いこなすと意外に強いキャラである((本作のTAS動画ではひふみが多用されていた。))。

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**総評

作り込まれた設定や音楽、声優の演技は本当に素晴らしい作品。~
それだと何だかクソゲーの典型のようで、実際ネット上ではクソゲー扱いされているのも見られる。確かに操作性などは褒められたものではないが、それだけではない魅力があるのも確かである。~
「今の技術でリメイクしたら良作になりそうな作品」といった類の話題で、度々本作の名が出てくるあたりからもそれが窺える。

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**その他
-双界儀 公式ガイドブック完全版
--世界観や登場人物、システムの解説や、フルボイス部分の台詞も載せられている。マップや敵の詳細と攻略方法に加え、専門用語の解説もある。
-波多野鷹による小説も出版されており、ストーリーはほぼ同じに肉付けされ、ゲームでは語られない部分も詳細に語られている。ゲーム以上に古語や漢字表記が増えており、人物の心理描写が詳しくより人間的に描かれ、近代技術の描写などSF的側面もある。
-霧島珠樹による漫画版もあり、全3巻。やはりストーリーはほぼ同じで、小説版との整合性も取られている。漫画ならではのギャグ的描写もあったり、ゲームではよく分からない部分も詳細に描かれているほか、柔直の幼少時やみづほの防除班時代なども描かれている。

-本作の音響監督は声優としても有名な三ツ矢雄二であり、寄り神の咆哮も彼自身の声である。

**余談
-当時スクウェアの他社スタッフ引き抜きに苦言を表した飯野賢治や、ゲーム批評が最初に名指しで批判したゲームでもある。
--特にゲーム批評では「他社から引き抜きした割にはサターン以下のグラフィックだ」と歯に絹着せていない。