*GUILTY GEAR Xrd -REVELATOR- / GUILTY GEAR Xrd REV2 【ぎるてぃぎあ いぐざーど れべれーたー】【ぎるてぃぎあ いぐざーど れぶつー】 |ジャンル|対戦格闘|&amazon(B01AVQDAF4)|&amazon(B06XD7CPZZ)| |対応機種|アーケード(ALL.Net p-ras MULTI)&br;プレイステーション3&br;プレイステーション4&br;Windows(Steam)|~|~| |プレイ人数|1~2人&br()|~|~| |販売・開発元|アークシステムワークス|~|~| |レーティング|CERO:B(12才以上対象)|~|~| |発売日|REVELATOR&br;【AC】2015年8月25日&br;【PS3/PS4】2016年5月26日&br;【Steam】2016年12月15日&br;REV2&br;【AC】2017年3月30日&br;【PS3/PS4/Steam】2017年5月25日|~|~| |定価|REVELATOR&br;【PS4】6,800円(税抜)&br;【Steam】2,980円&br;REV2&br;【PS4】4,800円(税抜)&br;【PS3/PS4/Steam】&br;アップグレードパック((REVELATORを持っている場合、これを購入すればREV2を遊ぶことができる)):2,000円|~|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|~| //|ポイント||~|~| |>|>|>|CENTER:''[[ギルティギアシリーズリンク>ギルティギアシリーズ]]''| **概要 『[[GUILTY GEAR Xrd -SIGN-]]』に続くXrd(イグザード)シリーズの第二作目。~ 基本的なゲームシステムは前作そのまま、キャラクターおよびシステムの追加によりボリュームアップとゲーム性の洗練を図った作品。~ 2017年には更なるバージョンアップ版である『REV2』が稼動/配信が開始されているため、本稿ではこちらも併せて記述する。 **前作からの追加・変更点 ***システム -ブリッツシールド・チャージアタック --前作から追加されたブリッツシールドを発動した際にボタンを押しっぱなしにすると、ブリッツシールドをそのまま貼り続け、ボタンを離した際に専用の攻撃を行うというもの。 --相手の攻撃タイミングを完璧に読まなければ隙だらけになっていた前作のものに比べ、攻撃をガードさせれば反撃は受けないため、攻撃的にも使えるようになり気軽に発動しやすくなった。 -バースト覚醒必殺技 --サイクバーストを使用できる状態で覚醒必殺技を使用する際に通常使うボタンの代わりにDボタンを押すと発動できる覚醒必殺技の強化版。見た目は変わらないが、ダメージの増加や無敵時間の付与・発生が早くなるなど強化される。 -投げ相殺 --意外ながら前作『SIGN』にはなかった投げ抜け。『GGXXAC』や『スト3rd』のグラップディフェンスなどと同じくタイミングはシビアで、ほぼ同時の入力でないと成立しない。 -スタイリッシュモード --ブレイブルーシリーズにて先に導入されていた、ボタン連打で自動でコンボを繋げるなどの補助機能を備えたモード。BBシリーズとの違いとして、本作のスタイリッシュモードは5ボタンの割り当てがそのままに、レバー入れとボタンの組み合わせのみで必殺技を出せる「必殺技ボタン」が追加されている。 ***追加キャラ #region(折りたたみ) -ジョニー --旧作品に登場していた復活キャラ。前作『SIGN』のストーリーモードにも登場し、登場が熱望されていた。 --居合い抜き「ミストファイナー」を軸にした技構成はそのまま、『GGXX』シリーズから大幅に必殺技が入れ替わっており、新鮮な感覚で扱える。 --「グリター・イズ・ゴールド」(以下コイン)のラウンド終了まで、補充は不可能だったが、新超必殺技「トレジャーハント」を命中させることにより、対戦相手の大切な物(キャラクター毎に変化、ソルならレコード盤)を、追加弾として手に入れることができる。 -ジャック・オー --GGXX時代から設定で語られていた「あの男」の三人の部下、その最後の一人(残りはイノ、レイヴン)。主人公・''ソルの恋人に瓜二つの素顔''を持つ女性だが、常にジャック・オー・ランタンの仮面を被っている。 --『[[GG2>GUILTY GEAR 2 OVERTURE]]』のゴーストとサーヴァントのシステムを格闘ゲームに落とし込んだという独特の性能を持つキャラクター。ゴーストを攻撃されぬ様に育てた上での自律して動くサーヴァントとの同時攻撃は抜け道がないほどの強力さを誇る。 -蔵土縁紗夢 --『GGX』からの人気キャラの復活参戦。GGXからの演者である小森まなみ女史が休業中のため松嵜麗女史に変更されているが、ゲームセンターの騒音の中でも響く甲高い声はほぼ再現されている。 --性能は祓斧の大幅な仕様変更を除いては大きな変更がなく、リーチを犠牲にスピードとパワーを両立した接近戦特化キャラ。''日替わりでスカートの中身の色(図柄)が変わる''という3Dならではの演出が印象的。 -クム・へヒョン --稼働当初のアーケード版ストーリーモードで顔見せしたキャラが家庭用発売と同時に参戦。「調律師」を担う一族の長である老年の大男だが、実は大男の見た目はロボットの様なもので、正体は中に入って操作している女性。 --ポチョムキンと同じ最重量級のキャラだが、投げキャラのポチョムキンと違ってダッシュや飛び道具を扱えるためスタンダード寄り。必殺技はコマンドを入力した後に追加操作して軌道などを変更できるものが多いのが特徴。 -レイヴン --『GG2』にも登場したあの男の手下が格闘ゲーム初参戦。家庭用発売からの登場。 --痛みでしか興奮できないというM属性を持つキャラだが、「ここにされたい」という必殺技で敵の攻撃を受けることで「興奮度」が上昇し攻撃力が増加するという特性を持つ。 -ディズィー --発売と同時に開催された「追加キャラ人気投票」で1位を獲得しての参戦となった。家庭用発売後のDLCとして登場。 --性能はほぼそのままだが、必殺技の性能を二通りから使い分けられるようになった((ディズィーは両翼にネクロとウンディーネという人格が宿っている設定があり、それぞれが同じ性質の技を出し、性能が変化するというイメージ))。 -梅喧 --ジョニーと同様に『REVELATOR』ストーリーモードで先に顔見せしてからの『REV2』での参戦となったキャラ。 --梅喧の特徴であるガードキャンセルは「亞坐身(あざみ)」という専用のガードの構えを取ってから発動するように変更された。 -アンサー --『REV2』から登場したXrdからの完全新キャラ。『SIGN』の頃からストーリーモードなどで顔見せしていた、(自称)大統領のチップの補佐官として働く腹心。メガネにスーツとビジネスマン風の見た目で、戦闘中も携帯電話を使って先方と商談らしき会話をし続けるというおかしな特徴を持つ。 --画面内に巻物を設置し、そこに接触することで滞空しそこから様々な派生技を出すテクニカルキャラ。扱いは難しいが、うまく扱えばチップ同様に画面を縦横無尽に動き回るが如き機敏な動きを見せることができる。 #endregion ---- **評価点 -キャラ数の増加 --順当に新キャラが追加され続け、バージョンアップ版のREV2の時点で使用キャラは25人。これはGGXXシリーズの最終作『AC+R』と並ぶものである。 -円熟の域に達したゲームシステムとバランス --他のいわゆるコンボ系格闘ゲームが手軽さとの両立のためシンプル化を図っているのに対し、本作はほどよい複雑さとロジックの緻密さを両立したゲームバランスを維持した作りとなっており、2010年代後半の他の格闘ゲームにない個性になっている。 --何度もバランス調整を加えただけあって、現在のバージョンのREV2(Ver2.10)ではキャラクター格差は非常に少なく、明らかな弱キャラは存在しないと言っても過言ではない。 -グラフィックのさらなる洗練 --見た目に大きな変化はないが、光による照り返しなど陰影が出やすくする、ダメージを受けたキャラに汚れるなどのダメージ演出を加える、カメラワークなども違和感が出ない程度により動的にするなど改良が加えられている。 -ネットワークロビー --前作では2D画面の上にわかりにくい仕様が多かったロビーだが、本作でようやくBB、P4U両作品のロビーを3D化したシステムを使えるようになった。 --発売当初はロビーマッチ時にラグが発生しやすいとされた上にロビー内人数カウントに問題がありまだ扱いにくかったが、両者がアップデートで改善されると気軽に対戦しやすいモードとして使われるようになっている。 --プレイヤーマッチの部屋内ではトレーニングモードなどを遊べる他、時間潰しとしてサッカーのようにボールを蹴って遊ぶミニゲームが遊べるようになっているなどさらに凝った仕様。 -充実のチュートリアル --いわゆるチュートリアルモードでは、単に「操作を教示して実際にさせる」だけでなく、例えば移動操作なら「画面中の障害物を避けながら往復する」一種のミニゲームとして組み入れるなどの工夫が取り入れられている。 --前作から引き続いてコンボレシピ通りに入力するモードや、一定の動きに対して対策を取るミッションモードなども引き続き搭載。複雑なゲームのためこれで必要十分とまでは言えないがゲーム側からの提示としては非常に充実したものとなっている。 -家庭用のストーリーモード --ほぼ一本のアニメ作品のような出来となっていたストーリーモードは本作でさらに演出が洗練され、前作が1クールのテレビシリーズであれば本作は前後編の劇場版という様な豪華な出来栄え。 --『GG2』から存在が示唆されていた巨悪である「慈悲なき啓示」との戦いと決着が描かれる上に、結末ではシリーズのとある大きな謎が明かされ、次作でのシリーズ完結に向けての展開に加速と期待感を持たせるものであった。 -デジタルフィギュアモード --家庭用でアップデートで追加されたモード。本作に登場したハイポリゴンのモデルをカメラアングルやポーズを変えながら眺めることができるビューアー的なモードで、同時に背景を設定してジオラマを設定したりスクリーンショットとして保存して一枚絵を作ることもできるクリエイティブな機能も備えている。 --プレイヤーキャラだけでなく、ストーリーモードに登場するNPCのサブキャラも配置可能。 --「ギルティギアのキャラや世界は好きだけどゲームは難しくて…」というプレイヤーにも別方向からキャラを愛でる楽しみ方を提示したモードである。このモードを使った公式コンテストも行われ、多くの力作が投稿された。 **賛否両論点 -追加システムの微妙さ --プレイフィールを大幅に変えるような追加システムはなく、一見派手に見えるバースト覚醒必殺技も使用機会が少なく見た目が一切変わらず、効果も目立った変化がない事から地味。 --『REV2』においても「一度システムを完成させる」という制作意図から追加システムは無し。アクセルやラムレザルなど一部のキャラには新技が追加されているものの、追加されていないキャラのほうが多い。また一部の技はモーション変更が行われたが、ソルのレバー前入れHSは「性能が大きく変わっていない上にカッコ悪くなっただけ」と言われており、意図の読みにくい変更も行われている。 -起き攻め偏重の特徴付け --SIGNでもその傾向があるが、新キャラの特徴付けとして「ギルティギアシリーズといえば飛び道具を重ねて起き攻め」というパブリックイメージに乗っかっているきらいが見られ、やや無個性に感じられる。 --この点が特に顕著なのがレイヴン。ダウンさせてからいかにも「これを起き上がりに重ねて下さい」という性能の飛び道具を重ねて、相手がガードで固まっている間にジャンプからの中下段の二択を与えるのが強いという特徴になっており、ドMというキャラの設定と合ってない上に安易すぎるのではと批判を買っていた。 -「お守り」 --REV2のアーケード版稼働開始時に追加されたシステム。その内容は「プレイヤーズギルドでお守りを購入している場合、負けると段位が下がる対戦で負けた時、''その段位降格を無効化する''」というもの。 --導入意図としては「段位降格しそうな時になかなか乱入できない心理的障壁を緩和するため」といったものが考えられるが、一方で「段位がインフレしてその価値が薄くなる」「''こんなものを使うのは恥ずかしい''」という内外からの厳しい視線が浴びせられる事ともなった。 -REV2家庭用におけるアフターストーリーCの内容 --REV2ではストーリーモードにてストーリーモードのその後を描いた「アフターストーリー」がABCの3話が追加されている。 --ネタバレのため詳細は省くが、登場するのは全員NPCのサブキャラで明らかに本筋ストーリーと関係ないコメディ仕立てとなっている上、ストーリー展開はこのアフターストーリーCを最後に一旦途切れる事となり、多くのシリーズファンを脱力させる結果となった。 --主役は今作ではNPCではあるものの旧作のプレイヤーキャラの一人であるザッパなので、ファン向けのサービスともとれる。 **問題点 -(主に稼働初期の)ジョニーの異常な性能の高さ --先述した通りジョニーは旧シリーズから大幅に技構成に変更が加わったキャラなのだが、それが旧作での強みをさらに強めたり旧作の弱点を払拭するようなものばかりだったため、バクステの隙の無さといった明らかな調整ミス((バクステ後の硬直が僅か1Fしかなかったため、すぐに修正。しかし修正後も全体硬直・隙ともに少なくかなり強い部類))に加えて個々の技性能の高さも相まって他キャラに比べて秀でた部分が多すぎる最強キャラとして台頭していた。 --後に追加キャラ参戦時のバランス調整やREV2へのバージョンアップなどで「霧ハメ」の大幅弱体化をはじめ多くの項目で下方修正が与えられたが、Lv3ミストファイナーの強さやコンボの繋がりやすさといった根本的な部分に手が加えていないため最強キャラのポジションは揺るがず。 --本作の大会シーンにおいて何度も大きな大会で優勝を果たすなど最強と言われるプレイヤーはジョニー使いである。とはいえ、他のキャラが全く手が出ないほどの性能差はなく、ジョニーの性能だけでなくプレイヤーの実力の高さが高い成績を残し続ける主な要因である。また、上位入賞したプレイヤーの使用キャラにおけるジョニーの割合はむしろ低い。 --なお、この反省からかジョニー以降の旧キャラは最初性能を低めに調整してローンチし、バージョンアップと共に徐々に強化を加えていく方針が明確になっている。特に紗夢は登場当初旧作と比べても明らかに性能が低く、ジョニーとの扱いの格差もあって多くの紗夢使いが苦渋を舐める期間を過ごすこととなった。(現在は当初から大幅に強化されており、全体としては上位に属すと言われている) -アクセルのホームステージが非常に見づらい --美術的には優れたステージではあるものの、前作から一部からあった列車上での戦いのため背景が動いて「酔う」というものに加えて、冠雪した一面白の景色が目がチカチカして見辛いという苦情がプレイヤーの中でも非常に多く見られた。 --家庭用を使った大会では「選ばれたステージが気に入らなかったら一度だけ変更できる」というルールがよく採用されるが、実質このステージを拒否するために用意されたルールといってよい。さらに明確に「アクセルステージ禁止」というルールになることもある。 ---アークがスポンサードしている大会でもこのルールが採用されているため、アーク側もこの問題は認識している模様。 -ロビーモードの諸問題 --アップデートにより当初よりラグは減少したが、相手の回線ランクを見ることができないため、一回戦わなければ相手の回線品質や回線相性を確認できない。 --海外勢の場合は椅子に座る際に表示されるコメント(大抵の場合日本語ではない)で判断可能だが、国内の相手の場合はそれも不可能。 ---- **総評 前作で衝撃を与えたグラフィックの大きな進化や内容面での新要素こそ薄いものの、続編として前作の足りなかった部分を補い、『[[GUILTY GEAR XX]]』の実質的なリメイク作品として2010年代相応に見た目の美と内容の質の両面を高めた作品である。~ 同年代の格闘ゲームと比べるとあえて旧態依然とした部分が多く、それは複雑さやとっつきにくさに直結しており、相変わらず手軽に対戦して遊べるとは全く言えないゲーム内容だが、~ 奥深いゲーム内容を理解・会得すればこの上なく濃密な対戦を楽しむことができるポテンシャルを確かに持った格闘ゲームである。 ---- **その後の展開 -現在アークシステムワークスは本作と同じグラフィック技術を使用している『[[ドラゴンボール ファイターズ]]』の開発に注力していると思われるため、本シリーズの展開は一時ストップしている状態である。