*ずっといっしょ 【ずっといっしょ】 |ジャンル|恋愛シミュレーション| |対応機種|プレイステーション| |発売元|東芝EMI| |発売日|1998年3月12日| |ポイント|飽和時代に高クオリティだったが| **概要 -ときめきメモリアルの大ヒット以降、コンシューマーゲーム業界には恋愛シミュレーションブームが発生した。96年から大量の恋愛シミュレーションが登場。恋愛要素を取り入れた他ジャンルも珍しくなくなって行った。 --本作はその「ギャルゲーを撃てば当る時代」に作られたゲームである。が、企画立案から資金調達・開発難航で計画開始からかなりの時間がたち、大規模なブームから少し遅れた発売になっている。 -キャラクターデザイナーは当時無名だった「渡辺明夫」を起用している。 --「渡辺明夫」は「ぽよよん♥ろっく」名義でも活躍している人気イラストレーター。『ナースウィッチ小麦ちゃんマジカルて』『ぽぽたん』『スーチーパイIV』『化物語』で有名。 -メインヒロイン3人の内1人をゲーム開始時に選択する。選ばなかったヒロインも一人だけ後半に登場し、非同居時専用のイベントもある。 -2000年に発売された廉価版は発売元が株式会社ハムスター。現在も版権は同社が管理している。 --現時点ではまだゲームアーカイブスでの配信が行われていないが、版権所有作の登録に積極的な株式会社ハムスターであるため、遅かれ早かれ配信されると思われる。 **システム -スケジュールに手を加えてキャラクターを成長させるタイプ。だが、スケジュールの大半は学校・家事・アルバイトで月頭に決定される。 --予習や緊急バイト、家の改装等で毎月10~20のスケジュールを追加する事になる。これにより学校や家事を潰してステータスを操作する。 ---また5月・6月のノルマをわざと失敗することで登場するヒロインや、最初の部活選択の時に文化系の部活を選び、かつ8月のノルマを達成しないと登場しないヒロインなどもいるので意外と重要。 --他にも女の子とのデートや友人から遊びの誘いでスケジュールを調節可能。意図的に月頭のイベントスケジュールを潰して、バイト先で怒られたり予習を潰して補修を受けたりする事もできる。 --ゲーム内時間で毎週天使が登場。天使はセーブをしたりステータスを補強してくれたりする。金が欲しいと言えば現金もくれる。 ---現金はアルバイトスケジュールを実行する事で月頭に補填される。 -トライエモーションシステム。女の子に限らず友人にも喜・怒・哀の三つの感情ゲージがあり、いずれかが満タンまで貯まるとレベルアップイベントが発生する。 --このレベルアップイベントでの選択肢によってはレベルが低下する事もある。更に、怒や哀を頂点に上げないと一つ上の段階に上がる選択肢が出ないキャラクターや、わざとレベルを下げてからイベントを発生させ無いと上位に上がらないキャラクターもいる。 ---それ故他のギャルゲーでは「ご法度」とされる「デートのすっぽかし」も「怒」を大きく上げたいのなら有効な手になる。 --男女問わず、好感度レベルが最低まで下がると同居がバラされて学校を退学させられる事になり、ゲームオーバーになる。 ---余程性格の悪い選択肢を選ばなければゲームオーバーになる事は無いが。 -デートや日常会話、レベルアップイベントの選択肢には制限時間が設けられており、制限時間内に答えないと怒・哀のどちらかが上昇する。レベルアップイベントの場合はワンランクダウンしてしまう。 --この制限時間はキャラクターによって異なる。気が短い相手ならば制限時間は短い。 -ギャルゲーには珍しいバッティングシステムがあり、デートが他のキャラクターに見つかる事がある。 **難点 -メインヒロイン3人の内の1人、「並木智香」の声がおばさんくさい。 --彼女の声を当てた声優は「折笠愛」と言い、優れた演技力で人気も評価も高い((『サクラ大戦』シリーズの殺女・あやめ・かえでの一人三役や『ナムカプ』の沙夜の声の人と言えば分かるだろう。この他、少年の役も多いが本作のようなキャラクターは希である。))のだが、この時点での彼女の年齢は35歳。対する演じるヒロインの設定年齢は17歳。だが、声優に実年齢は関係ない((『ドラエもん』のしずかちゃんの声を当てた野村道子さんは68まで同役を演じたほか、74歳まで峰不二子を演じた増山江威子さん、75歳になってもドロンジョさまを演じた小原乃梨子さん、71歳でメーテルの声を当てた池田昌子さんなど挙げればキリがない。))。ただ単に配役がミスキャストだっただけである。 --他にも大学生の「南景子」の声もあてているのだが、こちらは主人公よりも年上なので違和感は無い。 -メインヒロイン3人の内の1人、「小野寺桜子」の性格がヤバい。 --金持ちで我侭で素直になれないお嬢様。現在で言うところのツンデレの走りと言えなくも無いのだが、ツンデレは「何だかんだ言って博愛」等の根本部分が魅力なのに対し、彼女は「心を許した相手以外は全て僕扱い」「基本的に性格が悪い」。 -CGモードが存在しない。レアイベントを起こしてもその場で終わる。 --裏技で主人公の名前に「みさき ことね」と入れ、夜の時間にセレクトボタンを押すとCG閲覧モードになるのだが。 -上記の選択肢を選ぶ時間が短い。本当に短い。''一つ一つの選択肢を見る暇もなく一瞬で制限時間になって怒られる理不尽仕様''はほとんどアクションゲームの域。短気な洋子だと、一番最初の選択肢をまともに読んだら時間切れレベル。 -イベントの可否も、ノルマを処理出来るかどうかのみ。パラメータの成長も、育成と呼べるほどのゲーム性かは疑問が残る。 **総評 後に人気イラストレーターとなる渡辺明夫を発掘し、声優陣も豪華でBGMのクオリティも高いのだが、よりにもよってメインヒロインに難点があると言うとんでもないギャルゲーである。~ この難点を難点と感じない・気にしない人にとっては、システム面においてもキャラクターの個性を出している等、比較的出来の良い平凡なギャルゲーである。詰まるところ、ツボにはまるキャラが居るか、イベントがあるかが評価の分かれ目のキャラ萌えゲーと言える。~ ちなみにプレイヤーの人気は石塚美樹(ロリ巨乳)と今井沙也加(ロリ貧乳)に集中し、後に出た同人誌「ずっといっしょの物語2000」ではこの2人の作品が大半を占めるという事態につながった。~ **余談 ソフト発売から半年後、同作のファンが自作していた大貧民のフリーソフトに東芝EMI(現EMIミュージック・ジャパン)から許可を受けキャラのミニグラフィックを利用した通称[[ずっと大貧民>http://www.secondtea.jp/software.html]]をフリーソフトとして配布し始めた。本当ならば数年で配布もとまり製作者も忘れそうなものだが2008年にはVista対応を行うなど現在も配布が続けられている。現行の最新OSであるWin7でもこちらでプレイ可能。 ディレクター佐々木氏は本作の美樹を深く愛しており、その深さは某同人誌などで再三ネタにされているほど。