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S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky - (2022/03/04 (金) 11:22:04) のソース

*S.T.A.L.K.E.R.: Clear Sky
【すとーかー くりあすかい】
|ジャンル|FPS|CENTER:&amazon(B001F5XEX4)|
|対応機種|Windows|~|
|発売元|イーフロンティア|~|
|開発元|GSC Game World|~|
|発売日|2008年8月25日|~|
|定価|6,090円|~|
|判定|なし|~|
|備考|Steam版が配信中|~|
|>|>|CENTER:''STALKERシリーズ''&br()[[Shadow of Chernobyl>S.T.A.L.K.E.R.: Shadow of Chernobyl]] / ''Clear Sky'' / [[Call Of Pripyat>S.T.A.L.K.E.R.: Call Of Pripyat]]|
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#contents(fromhere)
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**概要
ウクライナのGSC Game Worldが開発したサバイバルホラーFPSで、『Shadow of Chernobyl』(以下SOC)から続くStalkerシリーズ2作目。通称CS。~
前作『SOC』の前日譚となるストーリー。だが、そのお陰で…。

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**ストーリー
前作より1年前の2011年、科学調査隊の護衛を引き受けていた一匹狼の傭兵ScarはEmissionという大規模な現象((荒天とともにZone中央にあるチェルノブイリ原発から致死的な波動が放出される現象。))に巻き込まれてしまう。
幸いにもZONEの謎を調査する組織Clear Skyに拾われ助かったScarだったが、このままだとEmissionの影響で死ぬ可能性がある事を告げられる。
Clear SkyはScarの命を救った代わりに、Emission多発の原因とそれに関わるとある人物を追う様に依頼を出したのだった。

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**システム
: ファンクションシステム|
ZONE内にある派閥には対立している陣営があり派閥間で抗争している。マップ上には戦略拠点がありそれらを巡って戦闘が起きる。プレイヤーは各陣営に協力することで報酬やアイテムを得られる。

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**評価点
-装備品の修理・改造システムが導入された。
--前作では射撃や被弾によって傷ついた銃器・防具は基本的に使い捨てるしかなかった。しかし本作では資金次第で何度も修理できるため、希少だが気に入っている銃を使いまわすことも可能に。
--装備品の改造は単純に性能を上げるだけでなく、連射と精度の二者択一など選択によって最終形が変わる。
--改造は各派閥のメカニックに頼む必要があるが、勢力によって得意な武器が異なる。改造したい装備によっては派閥との付き合いを考える必要がある(後述)。

-天候要素が追加された。
--昼夜だけでなく曇天や風雨なども追加された。
--新たな天候としてEmissionという現象が発生するようになった((前作ではイベントとして一度だけ体験できた。))。一度Emissionが発生しかけるとプレイヤーに警告が届き、ピークに達するまでに地下や施設内に逃げこまなければ死亡してしまう((最初のチュートリアルシナリオで主人公は数回Emissionから生還し、科学者に「君はEmissionに耐性があるようだ」と説明される為、Emissionは喰らっても平気だと勘違いして普通に死ぬプレイヤーが続出した。))。野外サバイバルにおいて突発的なアクシデント要素としてユーザからも受け入れられている。

-『SoC』や『CoP』と同じように、本作でも評価の高いユーザーMODが多数リリースされている。ただしSoCやCoPの方が数は多い。

-X-Rayエンジンが1.5にアップデートされ、DirectX10に正式対応。雨天時の濡れた衣服の質感等、雰囲気が大きく向上している。

-日本語化MODの適用に外部exeが必要無くなった。これは特にSteam版において、『SoC』のように散々やり込んでもプレイ時間がカウントされなくて悲しい思いをしたり、グレーゾーンなNoCD版exeをどうにかして調達する必要が無くなったなど、日本のユーザーに大きな恩恵をもたらした。

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**賛否両論点
-Zoneに存在する諸勢力が互いに土地を奪い合う「派閥システム」が導入された。
--プレイヤーは初めこそ無所属((正確には「Marcenary(傭兵)」勢力であるという設定。前作で登場した同名の敵対勢力とは関係ない。))だが、各勢力のリーダーに認められることで一員となり活動に従事できるようになる。
---プレイヤーは勢力参加時、敵対勢力壊滅時に希少な報酬を得られるほか、マップ上の部隊に協力することで小銭も稼げる。
--多くの勢力と仲が良いStalker陣営、逆に武器も貧弱で大敵に囲まれているBandit陣営など肩入れ可能な勢力は個性に豊む。大勢力の一戦闘員として働くもよし、弱小勢力を勝利に導くもよしで雰囲気はバツグン。
--メリットも多い一方で、参加派閥と敵対している派閥の協力は一切得られなくなるという大きな問題点がある。
---装備品の改造の中には特定勢力のメカニックのみ実行可能なものも多い。彼らと敵対すると当然中途半端なままとなる((よりにもよって、最高級スーツを最大改造できるのは最弱の嫌われ者である山賊集団Bandit勢力のみ。さらに、このスーツを序盤で手に入れるにはライバル勢力でBanditを壊滅させるしかない。))。
---敵対派閥の部隊が撃ってくるのは勿論のこと、メインタスクでも本来協力すべき仲間と撃ち合いになり難易度激増ということも。
---派閥は途中で変えられるので、あまり敵対的な活動をしていないならよりを戻すことも可能と言えば可能。
---ちなみに最大の解決法は重要装備を全改造しストーリーをクリア手前まで進めるまでどの派閥にも入らないこと。その頃には得られる報酬の魅力も薄いが。
--派閥戦に関するバグも多い。例えば各拠点の重要人物が戦闘に巻き込まれ死亡・消滅したり、支援要請がマップから消えない、中立勢力が拠点に入ると挙動がおかしくなるなど。
---拠点を潰されても勢力が完全に潰えることはなく、時間が経つと奪還する。しかし重要人物が死亡していると蘇らないので拠点機能は失われたも同然。

-Stalker達の資金源・装備品であるアーティファクトに纏わるシステムが改変された。
--種類ごとに複雑だったメリット・デメリットが整理され、全体的に効果が落ちた。
--スーツごとに装備可能なアーティファクトの数が変わるようになった。これによって戦闘向きの防弾型スーツや移動系アーティファクトを付けた運搬用スーツなど新たな個性付けが可能となった。
--アーティファクトの出現位置とその大まかな内容、総量が固定されてしまった。
---前作までは一度取得したアーティファクトも定期的にポップしたため、それを金策にするプレイヤーも多かった((設定上でもStalkerたちの主な仕事はアーティファクト集めである。))。しかし本作では一度獲ったアーティファクトは二度と復活しないので売却すると取り返しがつかない。
---湧きスポット一ヶ所につき出現するアーティファクトはランダムで二択。運が悪いと性能で劣るほうばかりを掴まされることも。
--アーティファクトは不可視となり、新設された探知機アイテムを持ち接近して初めて視認できるようになった。
---プレイヤーは探知機を片手に危険地帯を彷徨うことになる。スリリングではあるが、出現位置は固定なので2周目以降は作業。
--流石に不評だったのか、続編CoPでは時間経過でリポップするうえアーティファクトが危険地帯を縫うように動くことに。

-ファストトラベルが実装され、多少移動のストレスが軽減された。
--実行方法は「マップ上に点在するNPC集団に金を払って連れて行ってもらう」と言うもの。しかし頼み込んだNPC勢力と敵対的な勢力が支配している地域は通れないため頻繁に移動不可能な状況に陥る。そのうえ積極的に敵勢力を排除しても延々湧くのでキリがない。
--値段は移動距離に比して高くなり、マップを跨ぐと馬鹿にならない金額になる。ただでさえ金策が辛い本作では易々頼めるものではなく、結局戦利品を背負いながら延々歩く羽目になることも多い。

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**問題点
-シナリオ・ボリュームが薄い。
--時系列の都合上仕方ないが、前作の魅力だった地下施設の探索要素などは大きく削られている。派閥戦に参加することなくゲームを進めると開けた場所での撃ち合いの連続であっという間に終わってしまう。
--主人公Scarは名うての傭兵としてClear Skyや各勢力の依頼をこなすが、言い換えればキャラクタとしての彼が目的を選択したり何かを欲することは殆どない。失った記憶を求める前作主人公、他のStalkerたちと信頼関係を築く次作主人公に比べやや魅力が薄い。
--前作プレイヤーならある程度想像がつくが、第1作から1年前という設定もあるためストーリーの最後で全て解決大団円とはいかない。
--トレーダーからサブタスクを受注するシステムが丸ごとなくなった。金策として使えないだけでなくシリーズの世界観を表現するものでもあっただけに残念((例えば学者にミュータントの変異部位を渡すと報酬とともに胡散臭い学術的解説が聞けた。))。
---一方で追加されたのがFlash Drive集め。各勢力に渡すと一部の改造が解放されるが、入手手段は金を払ってアイテムのありかを聞き持ってくるだけ。

-敵の手榴弾投擲が正確無比に過ぎる((前作『SoC』用に作られた「ファンメイドの敵の手榴弾MOD」を公式が採用した結果とされる。))。
--プレイヤーのみが手榴弾を扱えた前作と異なり、NPCも積極的に手榴弾を投げてくるようになった。ところがあまりにも投擲距離・精度・頻度が高く、障害物越しに投げ込んでくるために「壁や柵から身を乗り出して撃ち合う」という動きの少ない戦い方が困難になってしまった。
--投げられた手榴弾を直接視認することは難しく、プレイヤーは大抵近くに手榴弾が落ちたことを示すアイコンによって危機に気づく。そのため主人公の足元から直接手榴弾が湧くスクリプトが組まれているのだと本気で語られていた時期すらあった。
--特に後半になってくると敵側も手榴弾を多用し、見えない壁の向こうから複数個投げられると回避は非常に困難。

-マップの大半が既存の使いまわしで、新規マップもほぼ通過点。
--使いまわしといっても時系列の制約で入れない場所もある。一方で何故か前作で無傷だった壁が壊れているなどの矛盾も。
--新規マップのひとつである沼地はサブタスクを除けば殆どストーリーにかかわらない。ClearSkyの拠点に寄る際に通過するためだけのもの。
--逆に新規マップのうち3つは終盤の連続したイベントでのみ使われ自由に立ち入りできない。
---強制進行のため戻るに戻れず、さらに道程が長いので傷ついた装備は中々修理できない。予備を持って歩くか敵のを拾うしかない。
--人気マップ「Bar」「Pripyat」へは本作では移動不可。

-NPCの挙動にやや難がある。
--NPCに「プレイヤーに進路を譲る」と言う概念が無い為、絶対にどいてくれない((例外として、傍に手榴弾を転がしてやるとみんな蜘蛛の子を散らしたように逃げ去っていく。))。
---蚤の市など道が狭く入り組んだ施設では非常に邪魔。
---また、Emissionが発生して周辺のNPCが一斉に拠点に戻ってきた場合など人で溢れて避難地点に入れないという事が頻繁に発生する。

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**総評
カルト的人気で高評価を得たシリーズの次回作だけに期待が大きかったが、それを下回ってしまった。~
ストーリーが時系列の都合上主人公が余り活躍しない事や、マップのカット(特にダンジョン的な施設)等スケールダウンしている部分がある。~
手榴弾の凶悪さや新機軸がうまく消化できていないのと、前作の使いまわしが多かったことにファンの失望も大きかった。~
前作の不満を元に強化はされており、決して悪い出来ではないが、総評としては『SoC』の公式MODという程度の扱いをされている。~
だが「この作品で加えた新要素が不評だったので前作の要素と混ぜて次回作に登場させたら上手い具合に融合反応を起こしてまとまった」と言う項目がいくつもあるので、マイルストーンとしては十分過ぎる働きをしてくれたのは間違いない。~
このCSでの試行錯誤が無ければCoPは生まれなかっただろう。

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**余談
-今作だけSteamでなかなか配信されず(現在は配信中)、パッケージ版は市場に出回っているが投売りが多く、配信されたらされたでセールの時に「SoC&CoPコンボパック(本作のみ無し)」等ということもあった。
--しかし開発元のGSCが解散してしまった現在では3作仲良くセールされるようになり、また「S.T.A.L.K.E.R. Complete Bundle」と言う形で3作まとめたバンドルパックも配信されている。

-2024年3月7日に、本作と『Shadow of Chernobyl((PS4/One版は“Chornobyl“))』『Call Of Pripyat((PS4/One版は“Prypiat“))』をセットにした『S.T.A.L.K.E.R.: Legends of the Zone Trilogy』がPS4/Oneで発売された。DL版は単体でも配信されている。