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*Bug Fables ~ムシたちとえいえんの若木~ 【ばぐふぇいぶるず むしたちとえいえんのわかぎ】 |ジャンル|ロールプレイングゲーム|&image(https://img-eshop.cdn.nintendo.net/i/ccd6c718a4af797508d1e8c57c6b5fe7e8c127e18e3d68ad0bccdd29e4254289.jpg,height=160)| |対応機種|Windows (Steam/Microsoft Store)&br;プレイステーション4&br;Nintendo Switch&br;Xbox One|~| |メディア|ダウンロード|~| |発売元|DANGEN Entertainment|~| |開発元|Moonsprout Games|~| |発売日|【Win(Steam)】2019年11月21日&br;【PS4/Switch/One/Win(MS Store)】2020年5月28日|~| |定価|【Steam】2,050円(税込)&br;【PS4/Switch】2,750円(税込)&br;【MS Store】2,900円(税込)|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|『[[マリオストーリー]]』『[[ペーパーマリオRPG]]』ライクなRPG&br;似せすぎている点も多いが逆に好評&br;単なる後追いに終わらない、旨く掘り下げられたシステム&br;元ネタを遊び尽くした人にもやりごたえ抜群|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 パナマに拠点を持つインディーデベロッパーMoonsprout Gamesによるロールプレイングゲーム。~ 詳しくは後述するが、初期ペーパーマリオシリーズから多大な影響を受けているゲームである。~ 原題は『Bug Fables: The Everlasting Sapling』。 **ストーリー >生い茂る草木の奥深くにひっそりと存在しているのは、小さいが繁栄している大陸 ― 「バグアリア大陸」。~ 世界のムシたちはこぞってこの場所を訪れ、大陸中に散らばっているお宝を探している。~ そのお宝のなかでも、すべてのムシが求めてやまないのが「えいえんの若木」だ!~ なんとその葉っぱを一枚を食べただけで、永遠の命を得られるという!~ ヴィー、カブ、リーフという3匹が集まって結成された勇敢な探検隊は、このお宝を探すために様々な場所を探索することになった。~ 3匹の力を合わせないと解けないパズル、行く手を阻む手強い敵、そしてムシたちの暮らしを守るためのサイドクエストが、彼ら探検隊を待ち受ける!~ ~ (公式サイトより引用) ---- **特徴 -基本はサイドビュー形式でターン制のバトルが行われるコマンドRPGである。 --敵との戦闘はシンボルエンカウント。ダメージ計算式も攻撃力-防御力=ダメージと極めてシンプルなもので、ステータスも味方の初期HPが7~9程度とデフレしている。 -コマンド --「こうげき」 ---攻撃時に特定のタイミングで特定のボタン入力して攻撃の威力をアップできる。 --「スキル」 ---TPを消費してキャラごとのスキルを使用可能。スキルはストーリーの進行やランクアップすることで自然に覚える他、一部のメダルを装備することで使えるようになるものもある。 --「アイテム」 ---手持ちのアイテムを使用する。 --「さくせん」 ---敵の情報を調べる、なにもしない、バトルから逃げるといった行動を取ることができる。 --「ターンをゆずる」 ---選択するとそのキャラの行動を消費する代わりに他の仲間の行動回数を増やせる。 ---ただし、これによって連続行動している仲間は攻撃力が1ずつ下がっていく。 -攻撃時や防御時などに「アクションコマンド」と呼ばれるボタン入力を求められる。 --成功すればダメージを増やしたり、敵から受けるダメージを減らせる。 --敵の攻撃を受ける前にボタンを押すことで受けるダメージを減らす「ブロック」ができる。 --タイミングよくボタンを押すと「スーパーブロック」となり受けるダメージを更に減らせる。効果が大きい分入力猶予はシビア。 -隊列 --先頭にいるキャラは攻撃力が上がる代わりに敵から狙われやすくなる。 -ステータス --HP。いわゆる体力。味方全員のHPが0になるとゲームオーバー。 --TP。チームワークポイントの略。消費することで戦闘中に特殊効果を発揮するスキルを使用可能。ただし、TPはすべてのキャラで共有。 --MP。メダルを装備する際の最大編成コスト。TPとメダル装備もパーティーで共有する。 -ランクアップ --EXPが一定数溜まるとチームランクがアップ。HP・TP・MPの内どれかを増やせる。 --一回のランクアップによるTP・MPの上昇値が3に対してHPの上昇値は1と少なめ。 ---ただしTP・MPがパーティで共有されるのに対してHPはキャラ固有。その3名のHPが同時に1ずつ上がるので、実質的な強化値は変わらない。 --これらとは別に、特定のランクに達すると追加でステータスが成長したり、アイテム所持最大数が増えたりする。 -フィールド --先頭のキャラごとに固有のアクションが行える。これらを利用してギミックを解いていき、エリアを攻略していく。 --それぞれのアクションを単独で使うだけでなく、キャラを切り替えながらアクションを組み合わせて解くギミックもある。 --アクションはストーリーを進めていく度に新しいものを習得していく。 ''主人公'' -ヴィー --お金やお宝に目が無いミツバチの娘。冒険者になるため、家を飛び出してきたらしい。余計な事を言ってカブに窘められる事も多く、本作のムードメーカーにしてトラブルメーカー。 --''ビーメラン''((ブーメランの誤字ではない。おそらくbee=蜂とブーメランを合わせた名称。))という武器を使い空中にいる敵を打ち落とすことができる。 --元ネタの主力技であった連続攻撃を多数取り揃えており、メダルを使って攻撃力を上げるととてつもない威力を発揮することも。特に、連続攻撃ながら敵の防御力を無視できる「ニードルトス」はなかなかに凶悪。 --フィールドではビーメランを使いギミックを操作することが可能。後半では飛行して仲間を運ぶこともできる。オマージュ元のカメキ・パレッタ・ノコタロウに近い。 -カブ --真面目な性格のカブトムシ。北の国からはるばるアリの王国へとやってきたが、背景には複雑な過去を背負っている。戦隊ヒーロー・バグレンジャーのファンであり、劇中ではそれを巡るちょっとしたエピソードも描かれる。 --ツノを使って防御力の高い敵をひっくり返せる。スキルを使えば強力な一撃をぶつける事ができ、最後の一撃を後押しするのに有効。反面、後列の敵は攻撃できない融通の利かなさが弱点。仲間を戦闘不能から起こす復活スキルを唯一持っていて、サポート役で光る場面も。 --フィールドでは草や木をツノを使って切れる。地面を潜ったり岩を壊したりして、それまで行けなかった場所に行くことも可能。 -リーフ --時々皮肉っぽい言い回しをするガ。ある洞窟で囚われていたところをヴィーとカブに助けられ、以後行動を共にする。二人とは別の時代を生きており、彼の過去に関する謎はあるサブイベントで解き明かされる。 --氷の魔法を使用でき、魔法は地中の敵を攻撃可能。敵を凍らせれば相手がボスであろうと1ターン足止めでき、3人の中でもテクニカルな戦いをこなしてくれる。 --フィールドでも氷の魔法は使用可能で、水滴や敵を凍らせて足場を作れる。唯一、習得タイミングが任意のフィールド用コマンドを持っている。 ---- **評価点 -初期のペーパーマリオへの徹底的なリスペクト・オマージュ --システムやグラフィックは『[[マリオストーリー]]』や『[[ペーパーマリオRPG]]』を大いにオマージュしており、それらの作品が好きな人にとってはたまらない一作となっている。 --似せすぎている点も多々ある(それについては後述する)が、ペーパーマリオシリーズ自体Wiiの『[[スーパーペーパーマリオ]]』以降ジャンルがRPGからアクションアドベンチャーに変更されており、初期のペーパーマリオのシステムの方が好きだった人からは好意的に見られている。 ---特に初期のRPGだったペーパーマリオが好きなファンからは「ペーパーマリオをRPGに戻して欲しい」という意見も少なくなかった。そのため、RPG時代のペーパーマリオをリスペクト・オマージュした本作なら、そのようなプレイヤーたちの需要を満たしてくれるだろう。 -単なる後追いにとどまらない、丁寧に掘り下げられたシステム --戦闘システムの基礎はペーパーマリオに似ているが異なる部分も多い。 --ターンを味方に譲れるバトンタッチシステム、1サイクル中に複数回行動すると攻撃力が1ずつ低下していくコンボ補正、前衛のキャラは攻撃力が1上がる仕様の3つが組み合わさって、元ネタよりも一歩踏み込んだ複雑な戦略性を生み出している。チームメンバーが完全固定な分、マリオのように万能なキャラはおらず得意不得意がはっきりしていることもあり、アタッカーとサポーターの役割分担など戦闘中に考えることは意外と多い。 --あちらと違い3人での戦闘であるためか味方のHPや素の攻撃力がさらにデフレしている一方で敵のHPが高めになっており、強力なスキルを使って積極的に攻めることが重要となる。 --スーパーブロックでダメージを2減らせることから、敵の攻撃力はやや高めに設定されていてガードの重要性が高く、戦闘に緊張感がある。 --一方でアイテム、特に一部の料理は性能が良いため手間さえかければごり押しはしやすい。~ ただオマージュ元同様アイテム所持数の制限は厳しいため、ある程度はアイテム消費を抑えていく戦術が求められる。 ---アイテムの消費を抑えるために被害を最小限に抑える立ち回りを考えるというのがこのゲームの基本であり、ある意味非常にRPGらしい戦闘バランスとなっている。 --装備するメダルの組み合わせによっては非常に強力な戦法が可能となるため、メダルを収集し、MPと相談して最適な組み合わせを考えるなど戦闘前の楽しみもある。 -元ネタに慣れたプレイヤー用の、上級者向けシステムが充実 --原作はRPG初心者でも手軽に遊べるバランスであったが、本作は間口の狭いインディーズゲームという事もあり、難易度を上げるやりこみ要素が豊富。原作を遊びつくした人ほどよりマニアックに手堅く遊ぶ事が可能となった。 --素の難易度で満足できないプレイヤーには「ハードモード」が用意されている。この状態でボスを倒すと専用の実績((ちなみに上述の再挑戦時でも実績入手は可能なので、初回攻略時に倒せなくともあとでカバーできるようになっている。))が手に入り、報酬としてメダルを貰える。 ---更に物足りない人向けに敵の攻撃力を上乗せするメダル「ハードヒット」もある。また、とある条件を満たすことでハードモードより更に上の難易度で遊べる。 -豊富なやり込み要素 --サイドクエスト、料理のレシピ集め、敵の観察、一度戦ったボスとの再戦などやり込み要素も豊富。 ---なおこのゲームには取り返しのつかない要素はなく、取り逃したものは後からフォローできる点も親切。 --ストーリー上攻略する必要がないボスが結構な数存在する。本編ボスにはないギミックを兼ね備えたものも居り、侮れない存在となっている。 --元ネタでもお馴染みだった料理システムは、より楽しめるよう掘り下げが為されている。 ---本作は各地で料理を作ってもらう事が可能となり、元ネタよりも利便性が増している。レシピのヒントが教えてもらえる機会や完成済みの料理を目にできる機会も多く、多くの料理を自力で作りやすくなった。ハードモード攻略時は、攻略に欠かせない存在として昇華されている。 --サイドクエストも『ペーパーマリオRPG』の依頼より有用な物が増加。貴重なメダルをもらえる事も多く、本編そっちのけで寄り道しまくるのも攻略に有効である。 -膨大な量のテキスト --このゲームには「かんさつ」というペーパーマリオの「ものしり」に相当するコマンドがあり、戦闘中に敵の情報を調べることができるのだが、主人公3匹全員が使用することが可能でコメントも各々で異なる。図鑑に登録されると図鑑固有の解説も見られるため実質的に敵一体につき4種類のテキストが用意されていることになる。主人公らのコメントはキャラクターの性格をよく反映しており、着眼点や敵に対する印象の違いを比較する楽しさがある。 ---一度かんさつした敵は全員のコメントを図鑑から見られるため、テキストの読み比べのために複数回かんさつする必要が無いのも親切。 --フィールドで使用するとフロアの情報や近くにいるキャラについてのコメントをもらえるのだが、各フロア、各キャラに対して固有のテキストが用意されており、ほぼ毎回主人公3匹での掛け合いがあるためキャラクターの内面や性格をより深く知ることができ、冒険も非常ににぎやかになる。イベントの進行で会話の内容が変化することも多々あり、冒険感を演出するのにも役立っている。 ---入ったときに画面が暗転しない建物の中などゲームの仕様上外と同一フロア扱いになっている箇所や、兵士や作業員など名無しのモブキャラは会話内容も同じであるため、片っ端からかんさつしていると惜しいと感じてしまうこともあるが、毎回かんさつする癖がついてしまう程に会話量が多いのである。 --その他、メインシナリオだけでなくサブクエストの大半で固有の会話が繰り広げられる上、中にはメインシナリオの後日談的なものもあったり、本を手に入れることで歴史や世界像について知ることができたりと、寄り道もストーリーの一部として上手く書き込まれている節がある。 ---これらのテキストのおかげでサブクエストが単なる消化作業になりにくく、ある意味テキスト収拾がこのゲームのメインの一つと言っても差し支えないだろう。 -よく練られた世界像 --絵本のようなほんわかしたグラフィックとは裏腹に世界像はよく練られている。 --登場キャラは基本的に虫なのだが、小さな虫であることを裏付けるように段ボールの家や空き缶などがフィールドに置かれており、クラフト風描写で「虫の世界」を巧みにしている。 --虫故に寿命も短い、ハチのキャラクターは殆どが女性であるなど、ただ虫を擬人化しただけの世界像ではなく、虫であることの設定を生かしている。 ---設定では本作の虫たちは特殊な進化を遂げたらしく、登場するキャラは殆どが成虫である。 --大昔には人間などの大きな生物もいたとされる痕跡も仄めかされており、この辺は『[[ピクミン]]』らしさも感じ取れる。 -完成度の高いBGM --楽曲数は60曲以上。 --あえて若干古めの音色で作られており、ちょうどN64あたりの時代のゲームミュージックといった雰囲気を醸し出している。 --全体的に明るめな曲が多いが暗いダンジョンやイベントシーンではちゃんと合わせた曲調になっている。 --各チャプターのボス戦は全て専用曲となっている他、通常戦闘曲も前半・後半で2曲用意されている。 --ゲーム中のNPCに演奏してもらう、という形でサウンドテストも実装されている(各楽曲につき1回目のみ有料)。 ---ちなみに楽曲名はここで確認でき、こちらも全て日本語にローカライズされている。 -良好な日本語訳 --海外のインディーゲームではあるが、多少回りくどい表現がある程度で明らかに不自然な言い回しや誤訳などは殆ど見られない。 --キャラクターの性格がよく表れている言葉遣いや、気の利いた言い回しなども多く、翻訳の完成度は非常に高いと言える。 --細かい点だが、日本語フォントがゲームの雰囲気に合わせたものになっているのも評価点。 ---- **賛否両論点 -細かい所までRPG版ペーパーマリオに似せすぎている --ペーパーマリオを意識していることはトレーラーなどの動画を見るだけでもすぐわかるのだが、あまりにも似せてきているので大丈夫なのかと心配する声も。 --紙のようにペラペラなキャラクターたち、「アクションコマンド」という名称、デフレした各種ステータス、経験値の表示形式、レベルアップの仕様、どう見てもバッジそのままなメダル、アイテムを料理してもらえる、等々……悪く言えばパクりまくっている。 ---挙句の果てに''マップ切り替えの床の側面の柄がオマージュ元と全く同じ''など、どうでもいい所まで真似ている。 --後述する問題点もペーパーマリオの問題点を引き継いでいる点も少なくない。 --とはいえ、評価点でも記述した通りペーパーマリオはWii以降システムが変更されているせいか、初期のペーパーマリオを真似たことを批判する声は少ない。賛否で言うと賛寄りの評判である。 -ランクアップのバランス調整 --TP・MPは1回選択するごとに3上昇するのに対し、HPは3人それぞれ1ずつしか上がらないため強化を実感しづらい。 --それ以上に''「HPプラス」「TPプラス」のメダルが多数手に入る''((どちらもMPコストとHP・TPの上昇量が同じなので、ランクアップボーナスでMPを選んだ上でメダルを装備しても結果的に同じとなっている。))ためMPを上げて状況に応じて付け替えた方が良く、実質的にMP以外を選ぶ理由がない。 ---『マリオストーリー』に倣って最大ランクは27なのだが、そちらとは異なりランクアップ時の選択に回数制限がないためMPに全振りというスタイルになりがちである。 --ただし、これらはサイドクエスト等の寄り道をしてメダルを集めた場合の話。メダルを入手できない序盤の内やメインクエストのみを進めた場合は上記のメダルが手に入らないため、プレイスタイルによってはHP・TPを上げた方が良いという場面もある。 ---もちろん最終的な強化を見越した場合はMPを上げておいた方が良いのは事実である。一応とある場所でステータスの振り直しもできるので取り返しはつく。 -銀行に高めの利息がある --ベリー(お金)を預かってもらえる銀行がある。本作では逃走に失敗するとベリーを落とすシステムがあるのでそれ自体はよくある施設かと思いきや…。 --問題なのはその利息が''30分経過で3%''とかなり高い。更に500ベリー預けると''利息がその倍になる''。 --そのため一旦500ベリー以上預けてしまうと、下手なサイドクエストの報酬よりも大量かつ簡単にベリーを稼げてしまう。 ---預けられる上限は10000ベリーだが、十分すぎる。1000ベリーも溜まればお金に困ることはまずなくなる。 --逆にこれ以外に効率よくベリーを稼ぐ手段が存在しないので、500ベリー溜めるのは中々大変。効率よくプレイしたいプレイヤーからは嬉しいが、ゲームバランスを壊しているとも取れる。 --なお、メダル「ハードヒット」を使いこなすとゲーム中盤から資金が有り余るため、プレイヤーによっては銀行を使わなくてもそこまで関係無かったりもする。 -ひらがなが多すぎて読みづらい --雰囲気の演出としては機能しているものの、丸っこいフォントも相まって目が滑りがちなので賛否のある要素である。 -レベルカンストが早い --ハードモードで寄り道を全回収するように遊んでいると、ゲームクリア前にレベルが最大へと到達してしまう。その後は一切の経験値が貰えないため、損した気分に。 ---とはいえ、あからさまなレベル上げが要求されないから気楽という声もあるので一長一短か。 ---- **問題点 -2019~2020年のRPGとしては若干古臭い --古いゲームを丹念にオマージュしきっているので当然と言えば当然なのだが、昨今のRPGにはあって当たり前の機能がついてなく、不便に感じるところもある。 --例えばセーブは決められたポイントでしか行えない任意セーブとなっており、オートセーブは存在しない。 --画面左下に「きろくしました!」との表示が出ることがあるが、これは''オートセーブではない''。 ---「旅のきろく」の欄が一つ埋まったことを知らせる表示であるためセーブは必ずセーブクリスタルで行うこと。 ---セーブクリスタルも痒い所に手が届くタイミングで配置してあるため、見かけ次第セーブすれば何かあっても大幅な巻き戻しはない。 -移動のテンポが悪い --オマージュ元のペーパーマリオと同じく移動のテンポは悪い。 --ダッシュに該当する動作が存在しない。移動速度を上げる手段がないため長距離を徒歩で移動する際は時間がかかる。 ---&color(#F54738){ver1.1でカブの「ホーンダッシュ」がもう一度ボタンを押すまで走り続ける上、チャプター3で習得するよう調整された。}((ただし、本来の岩を壊すアクションは以前のバージョンで習得するチャプター5から。既に習得イベントを超えているデータの場合は、自動で習得されている状態となっている。)) --一応その場から拠点へと瞬間移動する道具があるのだが、手に入るのは中盤から終盤に差し掛かる頃である。 ---そのため、この道具が手に入るまでは、サイドクエストなどの攻略をする際は面倒な拠点や町の往ったり来たりを繰り返す羽目になる。 ---この道具が手に入る直前にサイドクエストの数が増大するため、移動の手間を極力減らすならメインクエストをそこまで進めてしまった方が良いだろう。 -カメラワークについて --オマージュ元のペーパーマリオ同様、カメラは殆どの場所で横からの視点で常に固定されている。 --故に一部エリアで手前側に移動する際に行先が見えづらいという問題点がある。場所によってはそもそも手前に道があるとはわかりづらいところも。 --ペーパーマリオのエリア構成は基本的に左右や上下への移動が主だったのに対し、本作では大広間で手前や奥に進むエリア構成になっていることが多いので、この問題点が顕著になってくる。 --遠近感がつかみづらいという問題点もペーパーマリオと同様である。 ---特にビーメランを狙った位置に当てられない、氷の足場を渡ろうとして落ちるというのはありがちでフラストレーションが溜まる場面も。 -フィールド上の「かんさつ」でヒントを話してくれない --前述のとおりフィールド上で「かんさつ」すると主人公たちの会話を聞くことができ、それぞれのマップやキャラごとに台詞が用意されている。 --しかし会話が中心でオマージュ元の「ものしり」とは違い謎解きのヒントをあまり的確に言ってくれないので、謎解きがわからない状況に陥った場合不便に感じる。 -一部ギミックが冗長 --特にリーフの魔法で水滴や敵を凍らせて、カブのツノで動かすギミックが時間がかかりやすく面倒に感じやすい。 --スイッチを押したり、高台に上るための足場にしたりするのだが、敵に見つかってはならないステルスパートの時にまで、このギミックが組み込まれていることがある。 -メニュー画面のUIに難がある --メニュー画面では特定のボタンを押しっぱなしにしてスクロールすることでカーソルを1ページ分進めることができるのだが、序盤のモブキャラがさらっと説明してくれるだけで肝心のメニュー画面には書かれていないので存在になかなか気が付かないことも多い。 --メダルのページでキャラクターのスキルの説明を見ることができるのだが、これもまた微妙に気付きづらいものとなっている。 --メダルは既定の順番に並ぶようになっていて、装備中のメダルを上部に持ってくるといったソートはできず、付け替えに手間取ってしまう。 ---ページ番号やサイドバーなど今どの辺りを見ているのかを示す目安もないため、メダルが増えてくると必要なメダルを見つけるだけでも苦労しがちである -Switch版での一部のコマンドの難易度が少々高め --表示されたボタンを正しく入力するアクションの際、PS4/One版の場合はコマンドのボタンがコントローラーに合わせて、色分けされて表示されるためわかりやすいが、Switch版の場合はA/B/Xボタンが全て同じ色で表示されるため、瞬時に判断しづらい。 --Nintendo Switchはコントローラーのボタンが色分けされておらず、表示をそれに合わせたためにこのような問題が発生している。 ---オマージュ元はN64/GCとボタンの色分けがされている機種だったので特に問題はなかった。 ---リーフの通常攻撃がこの方式のため、リーフの攻撃だけ苦手という人も。 --また、逃げる際にも同様のコマンド入力が要求される。SFCやDSでもお馴染みのボタン配置に馴染みが無いユーザーや、MS系ハードも所持していて混同しがちなユーザーは、逃走に苦戦する事も。 ---本作は逃走に失敗するとすぐ相手のターンに移る上、1ターンあたりの被ダメージ量がオマージュ元と比べてかなり大きく、失敗時のリスクが大きい。負けそうになって逃げようとして失敗すれば、そのままゲームオーバーにさえなり得る。 ---ちなみに、運次第で逃走失敗の可能性があったオマージュ元と違い、本作はコマンド入力さえできれば確実に逃げる事が可能(メダルで難易度を下げる事も可能)。連打コマンドを要求されたあちらと比べると複雑にはなったが、総合的には易化したとも難化したとも言える((初逃走時、元ネタと同じコマンドで逃げられると思い込み、A連打して思いっきりズッコケた人もいるのでは無いだろうか?))。 -プレイヤー目線で見た場合の一部演出に違和感がある --強制負けイベントでは一切ダメージが通らなかったのにリベンジマッチでは何の説明もなく攻撃が通るようになっている場面がある。 ---俺たちは強くなったと言っているがゲーム上での攻撃力は変わっていないため説得力に欠ける。 --女王様等からもらえる報酬がしょぼい。 ---ヴィーは豪華な報酬と喜んだり金額に驚いたりするがダンジョン内で手に入るお金や物価に対して少なすぎるためプレイヤー目線では微妙に映る。 ---メタ的には潤沢なベリーを渡してしまうと序盤から資金に困らなくなるのが原因か。ゲーム的都合で少ないだけで、実際には一桁上のような金額をもらっていると考えるべきか。 --一部のボスはそのまま倒し切れず、HP10で止まった後に何らかのイベントが挟まるのだが、こちらが全員行動し終わるまでHP10で耐え続けるため攻撃する意味が無く、その間にアイテムで回復するなど戦況を整えることができてしまう。 ---初見では逆にアイテムやスキルを無駄に使ってしまうことも……。HPが10になった時点でイベントを割り込ませた方がゲームの流れとしては自然だろう。 --どれもゲーム上の都合とシナリオ上の演出が噛み合っていないが故の違和感であり、メタ要素を最小限に抑えて没入感を高めているこの作品において、ゲームであるという現実に引き戻してしまうこれらの要素は少々惜しいところ。 -日本語版のメダル説明文に誤訳が散見される。 --例 ---特に問題なのが、敵が強化される「ハードヒット」。全く効果が異なる「ハードモード」の説明文と殆ど同じになっており、混乱の元になっている。経験値が増えるとされているが、原語版にそのような説明は無く、特に変化はない(増えるのは、敵がドロップする報酬)。また強化されるのは敵の攻撃力だけなのに、それも説明されていない(「ハードモード」は敵のHPや戦法など細部が変化する)。 ---「ジゴクのアゴ」は"こうげきがあがり"と説明されているが、攻撃力が上昇する事は無い(実際は敵の防御力を1ポイント無視するだけであり、原語版は"攻撃が強化される"というニュアンス)。また強化されるのは通常攻撃だけなのだが、日本語版では説明されていない。 ---「ハートバッジ」「キズナバッジ」は"みごとな勝利"により効果が発動するメダルとされている。これだけだと何か特定の条件が必要に見えるが、普通に戦闘で勝利するだけで問題ない(原語では"successful battle"つまり"バトルの成功"と書かれているのだが、日本語版は"successful"を"効果的、うまくいった"というニュアンスで訳してしまった模様)。 --日本語版は原語版よりフォントが大きく、原語の説明文を直訳するとメッセージボックスに内容が入りきらない。その為メダルによっては、原語版の方が詳細に説明されているものも存在する。言語はタイトル画面で切り替え可能なので、確認したい方は是非。 -メダル以外にも一部テキストでミスがある。 --数は多くないがミスが残っており「ダブル」を「タブル」、「ベリー」を「ベリーベリー」と書いてしまったり、一部テキストが抜けてエラーメッセージが表示されてしまうなど詰めが惜しいのが残念。 ---- **総評 身も蓋もないことを言ってしまえば「初期のペーパーマリオのシステムをオマージュした」ことが、最大の特徴となっている一作。~ Wii以降のペーパーマリオシリーズのシステムがRPGではないこともあってか、本作をパクリと糾弾する声は少なく、それどころか初期のペーパーマリオのファンからは「こういうのでいいんだよ」と大歓迎されている。特に豊富なやりこみ要素の数々は、原作を遊び尽くしたプレイヤーをも決して飽きさせない。~ ~ ペーパーマリオとの類似点を抜きにしても、ムシたちによる独自の世界像やストーリー、それらを上手く表現した良好なローカライズ、プレイヤーの工夫が反映される絶妙なゲームバランスなど、単体で見て十分良作と言ってよい出来となっている。~ 近代の洗練されたRPGと比較すれば流石に古臭さ・不便さを感じるが、RPG時代のペーパーマリオや昔ながらのJRPGが好きなプレイヤーであれば、それらも「味」として受け入れられるだろう。 ---- **余談 -いくらオマージュだのリスペクトだの体のいい事を言っても、ここまで似せすぎると本家からクレームでも入るのでは…と初期のペーパーマリオを知るファンはハラハラしたが、Nintendo Switch版の発売後に''[[任天堂のインディーワールドのTwitterでも紹介されている>https://twitter.com/IndieWorldJP/status/1268018972785430529]]''あたり、任天堂からは特に何とも思われていない様子。 //--流石にペーパーマリオとの類似性については触れられていないが。本作が無事発売されただけでなくオマージュ元の公式配信にて紹介されたのは、本作スタッフのペーパーマリオ愛が成し得た快挙(?)と言えるであろう。 --もっとも、「ゲームシステムや作風が似通っていても、キャラクターが似ていなければ問題ない」という事は、[[任天堂が一番よく知っている>ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記]]ので当然でもある。 -本作のSwitch版のあらかじめダウンロードが開始されたのは2020年5月14日なのだが、その日は奇しくもオマージュ元であるペーパーマリオシリーズが変遷を経た後の最新作である『[[ペーパーマリオ オリガミキング]]』の発売が発表された日でもある。 --ニンテンドーeショップの発売予定タイトルに本作と『オリガミキング』が並ぶという奇妙な偶然が発生した。 -本作の開発において初期ペーパーマリオシリーズ以外に影響を受けた作品として『ペルソナ5』、『黄金の太陽』、『テイルズ オブ ゼスティリア』、『ゼノブレイド』を挙げている。 -本作の通貨単位は漫画『[[ONE PIECE>ONE PIECEシリーズ]]』と同じ。思わず連想してしまったファンも多いのでは無いだろうか。 --残念ながら(?)、懸賞金の概念が出てくるシーンは一切無い(お尋ね者が出てくるシーンは存在する)。 -周回時の隠し要素に関する小ネタ #region() --ある条件を満たすと教えてもらえるメニューコード「&color(white){RUIGEE}」は、『マリオストーリー』の非公式ハックロム『Paper Mario: Luigi's Challenge』が由来。つまり、ルイージ(Luigi)のもじり。 ---そのゲーム内容は、経験値の代わりにバッジをもらって戦うというもの。コード入力時のゲーム内容も、そのハックロムを意識した物となっている。 --ハックロムのグレー度合いを考えると、任天堂ハードで出せたのは尚更凄いことかもしれない。 #endregion ---- **参考動画 #region(トレーラー) &youtube(https://www.youtube.com/watch?v=seVKW_ZGtQw) #endregion
*Bug Fables ~ムシたちとえいえんの若木~ 【ばぐふぇいぶるず むしたちとえいえんのわかぎ】 |ジャンル|ロールプレイングゲーム|&image(https://img-eshop.cdn.nintendo.net/i/ccd6c718a4af797508d1e8c57c6b5fe7e8c127e18e3d68ad0bccdd29e4254289.jpg,height=160)| |対応機種|Windows (Steam/Microsoft Store)&br;プレイステーション4&br;Nintendo Switch&br;Xbox One|~| |メディア|ダウンロード|~| |発売元|DANGEN Entertainment|~| |開発元|Moonsprout Games|~| |発売日|【Win(Steam)】2019年11月21日&br;【PS4/Switch/One/Win(MS Store)】2020年5月28日|~| |定価|【Steam】2,050円(税込)&br;【PS4/Switch】2,750円(税込)&br;【MS Store】2,900円(税込)|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:A(全年齢対象)|~| |判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~| |ポイント|『[[マリオストーリー]]』『[[ペーパーマリオRPG]]』ライクなRPG&br;似せすぎている点も多いが逆に好評&br;単なる後追いに終わらない、旨く掘り下げられたシステム&br;元ネタを遊び尽くした人にもやりごたえ抜群|~| ---- #contents(fromhere) ---- **概要 パナマに拠点を持つインディーデベロッパーMoonsprout Gamesによるロールプレイングゲーム。~ 詳しくは後述するが、初期ペーパーマリオシリーズから多大な影響を受けているゲームである。~ 原題は『Bug Fables: The Everlasting Sapling』。 **ストーリー >生い茂る草木の奥深くにひっそりと存在しているのは、小さいが繁栄している大陸 ― 「バグアリア大陸」。~ 世界のムシたちはこぞってこの場所を訪れ、大陸中に散らばっているお宝を探している。~ そのお宝のなかでも、すべてのムシが求めてやまないのが「えいえんの若木」だ!~ なんとその葉っぱを一枚を食べただけで、永遠の命を得られるという!~ ヴィー、カブ、リーフという3匹が集まって結成された勇敢な探検隊は、このお宝を探すために様々な場所を探索することになった。~ 3匹の力を合わせないと解けないパズル、行く手を阻む手強い敵、そしてムシたちの暮らしを守るためのサイドクエストが、彼ら探検隊を待ち受ける!~ ~ (公式サイトより引用) ---- **特徴 -基本はサイドビュー形式でターン制のバトルが行われるコマンドRPGである。 --敵との戦闘はシンボルエンカウント。ダメージ計算式も攻撃力-防御力=ダメージと極めてシンプルなもので、ステータスも味方の初期HPが7~9程度とデフレしている。 -コマンド --「こうげき」 ---攻撃時に特定のタイミングで特定のボタン入力して攻撃の威力をアップできる。 --「スキル」 ---TPを消費してキャラごとのスキルを使用可能。スキルはストーリーの進行やランクアップすることで自然に覚える他、一部のメダルを装備することで使えるようになるものもある。 --「アイテム」 ---手持ちのアイテムを使用する。 --「さくせん」 ---敵の情報を調べる、なにもしない、バトルから逃げるといった行動を取ることができる。 --「ターンをゆずる」 ---選択するとそのキャラの行動を消費する代わりに他の仲間の行動回数を増やせる。 ---ただし、これによって連続行動している仲間は攻撃力が1ずつ下がっていく。 -攻撃時や防御時などに「アクションコマンド」と呼ばれるボタン入力を求められる。 --成功すればダメージを増やしたり、敵から受けるダメージを減らせる。 --敵の攻撃を受ける前にボタンを押すことで受けるダメージを減らす「ブロック」ができる。 --タイミングよくボタンを押すと「スーパーブロック」となり受けるダメージを更に減らせる。効果が大きい分入力猶予はシビア。 -隊列 --先頭にいるキャラは攻撃力が上がる代わりに敵から狙われやすくなる。 -ステータス --HP。いわゆる体力。味方全員のHPが0になるとゲームオーバー。 --TP。チームワークポイントの略。消費することで戦闘中に特殊効果を発揮するスキルを使用可能。ただし、TPはすべてのキャラで共有。 --MP。メダルを装備する際の最大編成コスト。TPとメダル装備もパーティーで共有する。 -ランクアップ --EXPが一定数溜まるとチームランクがアップ。HP・TP・MPの内どれかを増やせる。 --一回のランクアップによるTP・MPの上昇値が3に対してHPの上昇値は1と少なめ。 ---ただしTP・MPがパーティで共有されるのに対してHPはキャラ固有。その3名のHPが同時に1ずつ上がるので、実質的な強化値は変わらない。 --これらとは別に、特定のランクに達すると追加でステータスが成長したり、アイテム所持最大数が増えたりする。 -フィールド --先頭のキャラごとに固有のアクションが行える。これらを利用してギミックを解いていき、エリアを攻略していく。 --それぞれのアクションを単独で使うだけでなく、キャラを切り替えながらアクションを組み合わせて解くギミックもある。 --アクションはストーリーを進めていく度に新しいものを習得していく。 ''主人公'' -ヴィー --お金やお宝に目が無いミツバチの娘。冒険者になるため、家を飛び出してきたらしい。余計な事を言ってカブに窘められる事も多く、本作のムードメーカーにしてトラブルメーカー。 --''ビーメラン''((ブーメランの誤字ではない。おそらくbee=蜂とブーメランを合わせた名称。))という武器を使い空中にいる敵を打ち落とすことができる。 --元ネタの主力技であった連続攻撃を多数取り揃えており、メダルを使って攻撃力を上げるととてつもない威力を発揮することも。特に、連続攻撃ながら敵の防御力を無視できる「ニードルトス」はなかなかに凶悪。 --フィールドではビーメランを使いギミックを操作することが可能。後半では飛行して仲間を運ぶこともできる。オマージュ元のカメキ・パレッタ・ノコタロウに近い。 -カブ --真面目な性格のカブトムシ。北の国からはるばるアリの王国へとやってきたが、背景には複雑な過去を背負っている。戦隊ヒーロー・バグレンジャーのファンであり、劇中ではそれを巡るちょっとしたエピソードも描かれる。 --ツノを使って防御力の高い敵をひっくり返せる。スキルを使えば強力な一撃をぶつける事ができ、最後の一撃を後押しするのに有効。反面、後列の敵は攻撃できない融通の利かなさが弱点。仲間を戦闘不能から起こす復活スキルを唯一持っていて、サポート役で光る場面も。 --フィールドでは草や木をツノを使って切れる。地面を潜ったり岩を壊したりして、それまで行けなかった場所に行くことも可能。 -リーフ --時々皮肉っぽい言い回しをするガ。ある洞窟で囚われていたところをヴィーとカブに助けられ、以後行動を共にする。二人とは別の時代を生きており、彼の過去に関する謎はあるサブイベントで解き明かされる。 --氷の魔法を使用でき、魔法は地中の敵を攻撃可能。敵を凍らせれば相手がボスであろうと1ターン足止めでき、3人の中でもテクニカルな戦いをこなしてくれる。 --フィールドでも氷の魔法は使用可能で、水滴や敵を凍らせて足場を作れる。唯一、習得タイミングが任意のフィールド用コマンドを持っている。 ---- **評価点 -初期のペーパーマリオへの徹底的なリスペクト・オマージュ --システムやグラフィックは『[[マリオストーリー]]』や『[[ペーパーマリオRPG]]』を大いにオマージュしており、それらの作品が好きな人にとってはたまらない一作となっている。 --似せすぎている点も多々ある(それについては後述する)が、ペーパーマリオシリーズ自体Wiiの『[[スーパーペーパーマリオ]]』以降ジャンルがRPGからアクションアドベンチャーに変更されており、初期のペーパーマリオのシステムの方が好きだった人からは好意的に見られている。 ---特に初期のRPGだったペーパーマリオが好きなファンからは「ペーパーマリオをRPGに戻して欲しい」という意見も少なくなかった。そのため、RPG時代のペーパーマリオをリスペクト・オマージュした本作なら、そのようなプレイヤーたちの需要を満たしてくれるだろう。 -単なる後追いにとどまらない、丁寧に掘り下げられたシステム --戦闘システムの基礎はペーパーマリオに似ているが異なる部分も多い。 --ターンを味方に譲れるバトンタッチシステム、1サイクル中に複数回行動すると攻撃力が1ずつ低下していくコンボ補正、前衛のキャラは攻撃力が1上がる仕様の3つが組み合わさって、元ネタよりも一歩踏み込んだ複雑な戦略性を生み出している。チームメンバーが完全固定な分、マリオのように万能なキャラはおらず得意不得意がはっきりしていることもあり、アタッカーとサポーターの役割分担など戦闘中に考えることは意外と多い。 --あちらと違い3人での戦闘であるためか味方のHPや素の攻撃力がさらにデフレしている一方で敵のHPが高めになっており、強力なスキルを使って積極的に攻めることが重要となる。 --スーパーブロックでダメージを2減らせることから、敵の攻撃力はやや高めに設定されていてガードの重要性が高く、戦闘に緊張感がある。 --一方でアイテム、特に一部の料理は性能が良いため手間さえかければごり押しはしやすい。~ ただオマージュ元同様アイテム所持数の制限は厳しいため、ある程度はアイテム消費を抑えていく戦術が求められる。 ---アイテムの消費を抑えるために被害を最小限に抑える立ち回りを考えるというのがこのゲームの基本であり、ある意味非常にRPGらしい戦闘バランスとなっている。 --装備するメダルの組み合わせによっては非常に強力な戦法が可能となるため、メダルを収集し、MPと相談して最適な組み合わせを考えるなど戦闘前の楽しみもある。 -元ネタに慣れたプレイヤー用の、上級者向けシステムが充実 --原作はRPG初心者でも手軽に遊べるバランスであったが、本作は間口の狭いインディーズゲームという事もあり、難易度を上げるやりこみ要素が豊富。原作を遊びつくした人ほどよりマニアックに手堅く遊ぶ事が可能となった。 --素の難易度で満足できないプレイヤーには「ハードモード」が用意されている。この状態でボスを倒すと専用の実績((ちなみに上述の再挑戦時でも実績入手は可能なので、初回攻略時に倒せなくともあとでカバーできるようになっている。))が手に入り、報酬としてメダルを貰える。 ---更に物足りない人向けに敵の攻撃力を上乗せするメダル「ハードヒット」もある。また、とある条件を満たすことでハードモードより更に上の難易度で遊べる。 -豊富なやり込み要素 --サイドクエスト、料理のレシピ集め、敵の観察、一度戦ったボスとの再戦などやり込み要素も豊富。 ---なおこのゲームには取り返しのつかない要素はなく、取り逃したものは後からフォローできる点も親切。 --ストーリー上攻略する必要がないボスが結構な数存在する。本編ボスにはないギミックを兼ね備えたものも居り、侮れない存在となっている。 --元ネタでもお馴染みだった料理システムは、より楽しめるよう掘り下げが為されている。 ---本作は各地で料理を作ってもらう事が可能となり、元ネタよりも利便性が増している。レシピのヒントが教えてもらえる機会や完成済みの料理を目にできる機会も多く、多くの料理を自力で作りやすくなった。ハードモード攻略時は、攻略に欠かせない存在として昇華されている。 --サイドクエストも『ペーパーマリオRPG』の依頼より有用な物が増加。貴重なメダルをもらえる事も多く、本編そっちのけで寄り道しまくるのも攻略に有効である。 -膨大な量のテキスト --このゲームには「かんさつ」というペーパーマリオの「ものしり」に相当するコマンドがあり、戦闘中に敵の情報を調べることができるのだが、主人公3匹全員が使用することが可能でコメントも各々で異なる。図鑑に登録されると図鑑固有の解説も見られるため実質的に敵一体につき4種類のテキストが用意されていることになる。主人公らのコメントはキャラクターの性格をよく反映しており、着眼点や敵に対する印象の違いを比較する楽しさがある。 ---一度かんさつした敵は全員のコメントを図鑑から見られるため、テキストの読み比べのために複数回かんさつする必要が無いのも親切。 --フィールドで使用するとフロアの情報や近くにいるキャラについてのコメントをもらえるのだが、各フロア、各キャラに対して固有のテキストが用意されており、ほぼ毎回主人公3匹での掛け合いがあるためキャラクターの内面や性格をより深く知ることができ、冒険も非常ににぎやかになる。イベントの進行で会話の内容が変化することも多々あり、冒険感を演出するのにも役立っている。 ---入ったときに画面が暗転しない建物の中などゲームの仕様上外と同一フロア扱いになっている箇所や、兵士や作業員など名無しのモブキャラは会話内容も同じであるため、片っ端からかんさつしていると惜しいと感じてしまうこともあるが、毎回かんさつする癖がついてしまう程に会話量が多いのである。 --その他、メインシナリオだけでなくサブクエストの大半で固有の会話が繰り広げられる上、中にはメインシナリオの後日談的なものもあったり、本を手に入れることで歴史や世界像について知ることができたりと、寄り道もストーリーの一部として上手く書き込まれている節がある。 ---これらのテキストのおかげでサブクエストが単なる消化作業になりにくく、ある意味テキスト収拾がこのゲームのメインの一つと言っても差し支えないだろう。 -よく練られた世界像 --絵本のようなほんわかしたグラフィックとは裏腹に世界像はよく練られている。 --登場キャラは基本的に虫なのだが、小さな虫であることを裏付けるように段ボールの家や空き缶などがフィールドに置かれており、クラフト風描写で「虫の世界」を巧みにしている。 --虫故に寿命も短い、ハチのキャラクターは殆どが女性であるなど、ただ虫を擬人化しただけの世界像ではなく、虫であることの設定を生かしている。 ---設定では本作の虫たちは特殊な進化を遂げたらしく、登場するキャラは殆どが成虫である。 --大昔には人間などの大きな生物もいたとされる痕跡も仄めかされており、この辺は『[[ピクミン]]』らしさも感じ取れる。 -完成度の高いBGM --楽曲数は60曲以上。 --あえて若干古めの音色で作られており、ちょうどN64あたりの時代のゲームミュージックといった雰囲気を醸し出している。 --全体的に明るめな曲が多いが暗いダンジョンやイベントシーンではちゃんと合わせた曲調になっている。 --各チャプターのボス戦は全て専用曲となっている他、通常戦闘曲も前半・後半で2曲用意されている。 --ゲーム中のNPCに演奏してもらう、という形でサウンドテストも実装されている(各楽曲につき1回目のみ有料)。 ---ちなみに楽曲名はここで確認でき、こちらも全て日本語にローカライズされている。 -良好な日本語訳 --海外のインディーゲームではあるが、多少回りくどい表現がある程度で明らかに不自然な言い回しや誤訳などは殆ど見られない。 --キャラクターの性格がよく表れている言葉遣いや、気の利いた言い回しなども多く、翻訳の完成度は非常に高いと言える。 --細かい点だが、日本語フォントがゲームの雰囲気に合わせたものになっているのも評価点。 ---- **賛否両論点 -細かい所までRPG版ペーパーマリオに似せすぎている --ペーパーマリオを意識していることはトレーラーなどの動画を見るだけでもすぐわかるのだが、あまりにも似せてきているので大丈夫なのかと心配する声も。 --紙のようにペラペラなキャラクターたち、「アクションコマンド」という名称、デフレした各種ステータス、経験値の表示形式、レベルアップの仕様、どう見てもバッジそのままなメダル、アイテムを料理してもらえる、等々……悪く言えばパクりまくっている。 ---挙句の果てに''マップ切り替えの床の側面の柄がオマージュ元と全く同じ''など、どうでもいい所まで真似ている。 --後述する問題点もペーパーマリオの問題点を引き継いでいる点も少なくない。 --とはいえ、評価点でも記述した通りペーパーマリオはWii以降システムが変更されているせいか、初期のペーパーマリオを真似たことを批判する声は少ない。賛否で言うと賛寄りの評判である。 -ランクアップのバランス調整 --TP・MPは1回選択するごとに3上昇するのに対し、HPは3人それぞれ1ずつしか上がらないため強化を実感しづらい。 --それ以上に''「HPプラス」「TPプラス」のメダルが多数手に入る''((どちらもMPコストとHP・TPの上昇量が同じなので、ランクアップボーナスでMPを選んだ上でメダルを装備しても結果的に同じとなっている。))ためMPを上げて状況に応じて付け替えた方が良く、実質的にMP以外を選ぶ理由がない。 ---『マリオストーリー』に倣って最大ランクは27なのだが、そちらとは異なりランクアップ時の選択に回数制限がないためMPに全振りというスタイルになりがちである。 --ただし、これらはサイドクエスト等の寄り道をしてメダルを集めた場合の話。メダルを入手できない序盤の内やメインクエストのみを進めた場合は上記のメダルが手に入らないため、プレイスタイルによってはHP・TPを上げた方が良いという場面もある。 ---もちろん最終的な強化を見越した場合はMPを上げておいた方が良いのは事実である。一応とある場所でステータスの振り直しもできるので取り返しはつく。 -銀行に高めの利息がある --ベリー(お金)を預かってもらえる銀行がある。本作では逃走に失敗するとベリーを落とすシステムがあるのでそれ自体はよくある施設かと思いきや…。 --問題なのはその利息が''30分経過で3%''とかなり高い。更に500ベリー預けると''利息がその倍になる''。 --そのため一旦500ベリー以上預けてしまうと、下手なサイドクエストの報酬よりも大量かつ簡単にベリーを稼げてしまう。 ---預けられる上限は10000ベリーだが、十分すぎる。1000ベリーも溜まればお金に困ることはまずなくなる。 --逆にこれ以外に効率よくベリーを稼ぐ手段が存在しないので、500ベリー溜めるのは中々大変。効率よくプレイしたいプレイヤーからは嬉しいが、ゲームバランスを壊しているとも取れる。 --なお、メダル「ハードヒット」を使いこなすとゲーム中盤から資金が有り余るため、プレイヤーによっては銀行を使わなくてもそこまで関係無かったりもする。 -ひらがなが多すぎて読みづらい --雰囲気の演出としては機能しているものの、丸っこいフォントも相まって目が滑りがちなので賛否のある要素である。 -レベルカンストが早い --ハードモードで寄り道を全回収するように遊んでいると、ゲームクリア前にレベルが最大へと到達してしまう。その後は一切の経験値が貰えないため、損した気分に。 ---とはいえ、あからさまなレベル上げが要求されないから気楽という声もあるので一長一短か。 ---- **問題点 -2019~2020年のRPGとしては若干古臭い --古いゲームを丹念にオマージュしきっているので当然と言えば当然なのだが、昨今のRPGにはあって当たり前の機能がついてなく、不便に感じるところもある。 --例えばセーブは決められたポイントでしか行えない任意セーブとなっており、オートセーブは存在しない。 --画面左下に「きろくしました!」との表示が出ることがあるが、これは''オートセーブではない''。 ---「旅のきろく」の欄が一つ埋まったことを知らせる表示であるためセーブは必ずセーブクリスタルで行うこと。 ---セーブクリスタルも痒い所に手が届くタイミングで配置してあるため、見かけ次第セーブすれば何かあっても大幅な巻き戻しはない。 -移動のテンポが悪い --オマージュ元のペーパーマリオと同じく移動のテンポは悪い。 --ダッシュに該当する動作が存在しない。移動速度を上げる手段がないため長距離を徒歩で移動する際は時間がかかる。 ---&color(#F54738){ver1.1でカブの「ホーンダッシュ」がもう一度ボタンを押すまで走り続ける上、チャプター3で習得するよう調整された。}((ただし、本来の岩を壊すアクションは以前のバージョンで習得するチャプター5から。既に習得イベントを超えているデータの場合は、自動で習得されている状態となっている。)) --一応その場から拠点へと瞬間移動する道具があるのだが、手に入るのは中盤から終盤に差し掛かる頃である。 ---そのため、この道具が手に入るまでは、サイドクエストなどの攻略をする際は面倒な拠点や町の往ったり来たりを繰り返す羽目になる。 ---この道具が手に入る直前にサイドクエストの数が増大するため、移動の手間を極力減らすならメインクエストをそこまで進めてしまった方が良いだろう。 -カメラワークについて --オマージュ元のペーパーマリオ同様、カメラは殆どの場所で横からの視点で常に固定されている。 --故に一部エリアで手前側に移動する際に行先が見えづらいという問題点がある。場所によってはそもそも手前に道があるとはわかりづらいところも。 --ペーパーマリオのエリア構成は基本的に左右や上下への移動が主だったのに対し、本作では大広間で手前や奥に進むエリア構成になっていることが多いので、この問題点が顕著になってくる。 --遠近感がつかみづらいという問題点もペーパーマリオと同様である。 ---特にビーメランを狙った位置に当てられない、氷の足場を渡ろうとして落ちるというのはありがちでフラストレーションが溜まる場面も。 -フィールド上の「かんさつ」でヒントを話してくれない --前述のとおりフィールド上で「かんさつ」すると主人公たちの会話を聞くことができ、それぞれのマップやキャラごとに台詞が用意されている。 --しかし会話が中心でオマージュ元の「ものしり」とは違い謎解きのヒントをあまり的確に言ってくれないので、謎解きがわからない状況に陥った場合不便に感じる。 -一部ギミックが冗長 --特にリーフの魔法で水滴や敵を凍らせて、カブのツノで動かすギミックが時間がかかりやすく面倒に感じやすい。 --スイッチを押したり、高台に上るための足場にしたりするのだが、敵に見つかってはならないステルスパートの時にまで、このギミックが組み込まれていることがある。 -メニュー画面のUIに難がある --メニュー画面では特定のボタンを押しっぱなしにしてスクロールすることでカーソルを1ページ分進めることができるのだが、序盤のモブキャラがさらっと説明してくれるだけで肝心のメニュー画面には書かれていないので存在になかなか気が付かないことも多い。 --メダルのページでキャラクターのスキルの説明を見ることができるのだが、これもまた微妙に気付きづらいものとなっている。 --メダルは既定の順番に並ぶようになっていて、装備中のメダルを上部に持ってくるといったソートはできず、付け替えに手間取ってしまう。 ---ページ番号やサイドバーなど今どの辺りを見ているのかを示す目安もないため、メダルが増えてくると必要なメダルを見つけるだけでも苦労しがちである -Switch版での一部のコマンドの難易度が少々高め --表示されたボタンを正しく入力するアクションの際、PS4/One版の場合はコマンドのボタンがコントローラーに合わせて、色分けされて表示されるためわかりやすいが、Switch版の場合はA/B/Xボタンが全て同じ色で表示されるため、瞬時に判断しづらい。 --Nintendo Switchはコントローラーのボタンが色分けされておらず、表示をそれに合わせたためにこのような問題が発生している。 ---オマージュ元はN64/GCとボタンの色分けがされている機種だったので特に問題はなかった。 ---リーフの通常攻撃がこの方式のため、リーフの攻撃だけ苦手という人も。 --また、逃げる際にも同様のコマンド入力が要求される。SFCやDSでもお馴染みのボタン配置に馴染みが無いユーザーや、MS系ハードも所持していて混同しがちなユーザーは、逃走に苦戦する事も。 ---本作は逃走に失敗するとすぐ相手のターンに移る上、1ターンあたりの被ダメージ量がオマージュ元と比べてかなり大きく、失敗時のリスクが大きい。負けそうになって逃げようとして失敗すれば、そのままゲームオーバーにさえなり得る。 ---ちなみに、運次第で逃走失敗の可能性があったオマージュ元と違い、本作はコマンド入力さえできれば確実に逃げる事が可能(メダルで難易度を下げる事も可能)。連打コマンドを要求されたあちらと比べると複雑にはなったが、総合的には易化したとも難化したとも言える((初逃走時、元ネタと同じコマンドで逃げられると思い込み、A連打して思いっきりズッコケた人もいるのでは無いだろうか?))。 -プレイヤー目線で見た場合の一部演出に違和感がある --強制負けイベントでは一切ダメージが通らなかったのにリベンジマッチでは何の説明もなく攻撃が通るようになっている場面がある。 ---俺たちは強くなったと言っているがゲーム上での攻撃力は変わっていないため説得力に欠ける。 --女王様等からもらえる報酬がしょぼい。 ---ヴィーは豪華な報酬と喜んだり金額に驚いたりするがダンジョン内で手に入るお金や物価に対して少なすぎるためプレイヤー目線では微妙に映る。 ---メタ的には潤沢なベリーを渡してしまうと序盤から資金に困らなくなるのが原因か。ゲーム的都合で少ないだけで、実際には一桁上のような金額をもらっていると考えるべきか。 --一部のボスはそのまま倒し切れず、HP10で止まった後に何らかのイベントが挟まるのだが、こちらが全員行動し終わるまでHP10で耐え続けるため攻撃する意味が無く、その間にアイテムで回復するなど戦況を整えることができてしまう。 ---初見では逆にアイテムやスキルを無駄に使ってしまうことも……。HPが10になった時点でイベントを割り込ませた方がゲームの流れとしては自然だろう。 --どれもゲーム上の都合とシナリオ上の演出が噛み合っていないが故の違和感であり、メタ要素を最小限に抑えて没入感を高めているこの作品において、ゲームであるという現実に引き戻してしまうこれらの要素は少々惜しいところ。 -日本語版のメダル説明文に誤訳が散見される。 --例 ---特に問題なのが、敵が強化される「ハードヒット」。全く効果が異なる「ハードモード」の説明文と殆ど同じになっており、混乱の元になっている。経験値が増えるとされているが、原語版にそのような説明は無く、特に変化はない(増えるのは、敵がドロップする報酬)。また強化されるのは敵の攻撃力だけなのに、それも説明されていない(「ハードモード」は敵のHPや戦法など細部が変化する)。 ---「ジゴクのアゴ」は"こうげきがあがり"と説明されているが、攻撃力が上昇する事は無い(実際は敵の防御力を1ポイント無視するだけであり、原語版は"攻撃が強化される"というニュアンス)。また強化されるのは通常攻撃だけなのだが、日本語版では説明されていない。 ---「ハートバッジ」「キズナバッジ」は"みごとな勝利"により効果が発動するメダルとされている。これだけだと何か特定の条件が必要に見えるが、普通に戦闘で勝利するだけで問題ない(原語では"successful battle"つまり"バトルの成功"と書かれているのだが、日本語版は"successful"を"効果的、うまくいった"というニュアンスで訳してしまった模様)。 --日本語版は原語版よりフォントが大きく、原語の説明文を直訳するとメッセージボックスに内容が入りきらない。その為メダルによっては、原語版の方が詳細に説明されているものも存在する。言語はタイトル画面で切り替え可能なので、確認したい方は是非。 -メダル以外にも一部テキストでミスがある。 --数は多くないがミスが残っており「ダブル」を「タブル」、「ベリー」を「ベリーベリー」と書いてしまったり、一部テキストが抜けてエラーメッセージが表示されてしまうなど詰めが惜しいのが残念。 ---- **総評 身も蓋もないことを言ってしまえば「初期のペーパーマリオのシステムをオマージュした」ことが、最大の特徴となっている一作。~ Wii以降のペーパーマリオシリーズのシステムがRPGではないこともあってか、本作をパクリと糾弾する声は少なく、それどころか初期のペーパーマリオのファンからは「こういうのでいいんだよ」と大歓迎されている。特に豊富なやりこみ要素の数々は、原作を遊び尽くしたプレイヤーをも決して飽きさせない。~ ~ ペーパーマリオとの類似点を抜きにしても、ムシたちによる独自の世界像やストーリー、それらを上手く表現した良好なローカライズ、プレイヤーの工夫が反映される絶妙なゲームバランスなど、単体で見て十分良作と言ってよい出来となっている。~ 近代の洗練されたRPGと比較すれば流石に古臭さ・不便さを感じるが、RPG時代のペーパーマリオや昔ながらのJRPGが好きなプレイヤーであれば、それらも「味」として受け入れられるだろう。 ---- **余談 -いくらオマージュだのリスペクトだの体のいい事を言っても、ここまで似せすぎると本家からクレームでも入るのでは…と初期のペーパーマリオを知るファンはハラハラしたが、Nintendo Switch版の発売後に''[[任天堂のインディーワールドのTwitterでも紹介されている>https://twitter.com/IndieWorldJP/status/1268018972785430529]]''あたり、任天堂からは特に何とも思われていない様子。 //--流石にペーパーマリオとの類似性については触れられていないが。本作が無事発売されただけでなくオマージュ元の公式配信にて紹介されたのは、本作スタッフのペーパーマリオ愛が成し得た快挙(?)と言えるであろう。 --もっとも、「ゲームシステムや作風が似通っていても、キャラクターが似ていなければ問題ない」という事は、[[任天堂が一番よく知っている>ティアリングサーガ ユトナ英雄戦記]]ので当然でもある。 -本作のSwitch版のあらかじめダウンロードが開始されたのは2020年5月14日なのだが、その日は奇しくもオマージュ元であるペーパーマリオシリーズが変遷を経た後の最新作である『[[ペーパーマリオ オリガミキング]]』の発売が発表された日でもある。 --ニンテンドーeショップの発売予定タイトルに本作と『オリガミキング』が並ぶという奇妙な偶然が発生した。 -本作の開発において初期ペーパーマリオシリーズ以外に影響を受けた作品として『ペルソナ5』、『黄金の太陽』、『テイルズ オブ ゼスティリア』、『ゼノブレイド』を挙げている。 -本作の通貨単位は漫画『[[ONE PIECE>ONE PIECEシリーズ]]』と同じ。思わず連想してしまったファンも多いのでは無いだろうか。 --残念ながら(?)、懸賞金の概念が出てくるシーンは一切無い(お尋ね者が出てくるシーンは存在する)。 -周回時の隠し要素に関する小ネタ #region() --ある条件を満たすと教えてもらえるメニューコード「&color(white){RUIGEE}」は、『マリオストーリー』の非公式ハックロム『Paper Mario: Luigi's Challenge』が由来。つまり、ルイージ(Luigi)のもじり。 ---そのゲーム内容は、経験値の代わりにバッジをもらって戦うというもの。コード入力時のゲーム内容も、そのハックロムを意識した物となっている。 --ハックロムのグレー度合いを考えると、任天堂ハードで出せたのは尚更凄いことかもしれない。 #endregion ---- **参考動画 #region(トレーラー) &youtube(https://www.youtube.com/watch?v=seVKW_ZGtQw) #endregion

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