【ばさら】
ジャンル | 縦スクロールシューティング |
対応機種 | アーケード (SYSTEM SSV) |
発売・開発元 | ビスコ |
稼動開始日 | 2000年 |
判定 | 良作 |
バカゲー | |
ポイント |
エアバイクに乗った美形武将VS巨大メカ バカゲーながらハードルが低く遊びやすい マイナーゲーとしてあるまじき豪華声優陣 |
安土桃山時代の慶長ならぬ、日本の架空の時代「慶兆五年」を舞台にしたシューティングゲーム。
本来ならあと15年かかるところを一足飛びに豊臣家が滅亡し徳川の天下になろうとしていた時代に、反逆の戦いを挑む3人のサムライがいた設定。
世に言う「関が原の合戦」と「大阪の陣」を足して2で割ったような世界観となっている。
プレイヤーキャラは…
…と、言ってしまえば我々の知る歴史では、数々の活躍をしながらも敗者として記されている者たちである。
主役である真田幸村も元からフィクションが多分に含まれた人物ともされるが、はじめから架空の時代を舞台とした本作では瑣末な事であろう。
史実や逸話から知られている人物像から大幅に脚色が施された人物もいるが、ビスコ自身が「バサラアレンジ」と開き直っており、この妙なアレンジも一つの売りである。
ゲームシステムで言えば典型的なショット&ボムの方式であるが、ショットボタンをしばらく押しっぱなしてから放すと、敵弾ごと敵を得物で斬る超強力な溜め撃ち(溜め斬り)を使用可能。
溜め撃ちが溜まった瞬間に自機に僅かながら無敵時間が生じるため、溜め攻撃を出そうとしてミスをする現象が起き難くなっている。
こういう細かいところでプレイヤー有利の仕様にしてくれた点は評価したい。
溜め撃ちのパターン化がはまれば、あまり難しい弾避けをせず先に進むことが可能。
なお、アイテム取得で溜まるバサラゲージが最大時に溜め撃ちを行うと、一定時間さらに強力な斬り攻撃を繰り出せる「バサラモード」に入る。
とはいえ自機の速度調整は利かず、当たり判定も大きめな上、それなりに敵弾が速いので弾幕シューティングのようなギリギリでの弾避けはほぼ出来なくなっており、なるべく弾を避けないようにするのが重要とも言える。
更に当時のSTGとしては珍しく、敵本体(ボスも含む)には接触しても弾かれるだけでミスにならないシステムを採用している。ただしエフェクト付きの突撃や斬撃などの例外もちゃんと存在する。
一方で終盤のボス戦では、弾幕に紛れて小型機が体当たりしてくる(小型機に押し出され弾に当たってしまう)システムを、意図的に逆手に取った殺し方もしてくる。
全6面の1周エンドで、1~3面は選んだキャラにより順番が変わる。
最終面ボス「大将 徳川家康」にたどり着くまでノーコンティニュー、もしくは10回以上コンティニューしていると、その家康を倒すと首級は「世良田元信」と表示され、真のラスボス「総大将 徳川家康」が登場する。いわゆる「家康の影武者」ネタ。
このフラグ管理のためか、コンティニューは1~5面はその場復活だが、最終面のみステージの最初からとなる。
このゲームの世界観は、そもそも「架空の戦国時代」どころの騒ぎではない。
敵は戦闘機や戦車や潜水艦、果ては人型ロボットで襲い掛かってくるオーバーテクノロジー過ぎる代物で、
プレイヤーはプレイヤーでSF丸出しなエアバイクに武将がまたがり、生身で刀や槍や炎を纏った扇子を振るい敵機も敵弾も巨大メカも叩っ斬る無茶な世界観だが、
戦っている本人達は極めて大真面目に切ったはったを演じているド直球バカゲーとなっている。
さらに、このオーバーテクノロジーぶりに関する設定や説明は、シリーズを通して一切無いのである。
当時の「月刊アルカディア」における設定資料公開記事や、後述の2の時に連載していた公式4コマ漫画コーナーでも言及や記載は一切無し。
そういう世界だからなのだろう。
他の演出では、中ボス及びボスが出て来る際大写しで顔グラが表示されると同時に口上が述べられる。
それ自体は良いのだが、何故か顔グラの下に英語字幕も表示されるため不思議な味わいのバカさを醸し出している(*2)。
続編の話であるが、最初から英語で口上を述べる中ボス「YASUKE(*3)」の場合、口上の「…Come!」の下に「…Come!」と英語字幕が表示されることになってしまいどうも間抜け。
バカゲー丸出しな世界観でありながらも非常に遊びやすい、優等生のような完成度のアーケードシューティング。
純粋にゲーム性のみを考慮するとそのスタンダードさは地味とも取れてしまう部分も多少はあるが、
そういった静かな点を「華やかなキャラクター」と「見た目にも派手なバカゲー要素」、
そして「ゲームバランス的な完成度の高さとハードルの低さ」でしっかりとカバーしており、
シューティングゲーム好きな人にはもちろん、シューティングゲームが苦手な人にも勧めたい一作である。
戦国時代+オーバーテクノロジーの奇抜さが目立つ作品だが、ビスコの分家とも言えるビデオシステムや彩京はSTGを多数手がけたにもかかわらず(*8)、ビスコ自体あまりSTGに関わっていなかったためなのか、知名度が高いとは言えないゲームである。
なお、本作がリリースされたのは戦国無双(コーエー)や戦国BASARA(カプコン)より何年も前であるため、当然ながら両シリーズの影響は一切受けていない((偶然にも本作で家康の声優だった中田譲治は戦国無双でも家康役であり、BASARA3では女性の孫市が登場するなど何だか妙な因縁を感じるが多分気のせいだろう。
*1 ボスや一部の敵を倒すと「片倉景綱」「山内一豊」等の名前が表示され、面クリア時にボーナスになる。有名無名様々な実在武将に混じって、何故かビスコスタッフの名前も
*2 一応、基板設定で英語字幕をOFFにも出来る。
*3 元黒人奴隷の信長の従者「弥助」がモデル
*4 一部は前作のキャラや血縁者も登場
*5 PSV版は海外のみでの発売
*6 一方、DL版は全機種QUByte Interactive自身がパブリッシャーを担当する
*7 デフォルトはAC版と同じ仕様。なお、「タイムレスモード」は任意発動のみになっている。
*8 特に彩京は婆裟羅より前にオーバーテクノロジー戦国STG『戦国エース』及び続編でヒットを飛ばしている(ただし歴史上の人物は登場しない)。