ピンボール
【ぴんぼーる】
ジャンル
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ピンボール
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対応機種
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ファミリーコンピュータ ファミリーコンピュータ ディスクシステム
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メディア
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192KbitROMカートリッジ
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発売元
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任天堂
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開発元
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任天堂 ハル研究所
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発売日
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【FC】1984年2月2日 【FCD】1989年5月30日
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定価
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【FC】3,800円→4,500円 【FCD】500円(書換専用)
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プレイ人数
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1~2人
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レーティング
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【VC】CERO:A(全年齢対象)
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配信
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バーチャルコンソール 【Wii】2006年12月2日/500Wiiポイント 【WiiU】2010年10月23日/500円(各税5%込) アーケードアーカイブス 【Switch】2019年8月30日/838円(税込)
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備考
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FCD版は書き換え専用
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判定
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なし
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ポイント
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コンピューターゲームならではのギミックが詰まったピンボール
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概要
1984年2月にファミコンにて発売されたオリジナルピンボールゲーム。ゲームならではの演出やギミックを活かした作りが特徴であり、シンプルながらもデジタルピンボールの基礎を作り上げた。
現実のピンボール同様、二画面分のメインフィールドを用いた空間の中で仕掛けを当てながら黙々とスコアを稼ぐのがゲームの全てである。
タイトルは「ピンボール」と現実のカテゴリをそのままタイトルにしただけの無印なゲームだが後述の通りマリオのボーナスステージがあるなどビデオゲームだからこそできることが多く盛り込まれており同様のゲームの中でも一番オリジナル色が濃い。
一人プレイと二人交互プレイが可能で、二つの難易度(AとB)が用意されている。
AタイプとBタイプの違いはボールの移動・反射速度。Bタイプのほうが速い。
特徴・システム
仕掛け
ピンボールは上段と下段の二画面分に分かれており、仕掛けも異なる。フリッパーは上段と下段の1対ずつ存在する。
上段
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トップレーン
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3レーンに分かれており、通過する度に得点が入る。両端が500点で中央は1000点。
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バンパー
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トップレーンの真下に1個設置されている。当たると大きく弾かれ、100点が入る。
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右レーン
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右側に存在するレーン。通過すると500点が入り、中央にあるビンゴランプが回転する。
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絵柄は「ペンギン」、「3」、「7」の3種類。ランプの回転はビンゴランプの上方を左右に移動している板にボールが当たった時に止められ、ボールを当てた位置に対応したビンゴランプが止まる。
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この時、ビンゴランプの3つの絵柄が揃うと上段画面のフリッパーの中央にアップポストが出現。ピンボール台が赤色になる。
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揃った絵柄で効果と得点が異なり、「3」が揃った場合は3330点獲得しアップポストが5秒間有効。「7」が揃った場合は7770点獲得しアップポストが15秒間有効。「ペンギン」が揃った場合はボールを失うまでアップポストが有効となり、更にその間は獲得点数が全て2倍になる。
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アップポストはレーンを通すとその時点で終了してしまう。また、ビンゴランプは「ペンギン」で止めると1つに付き1000点。移動床は当てると100点。
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左レーン
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左レーンにはドットが並んでおり、ボールが通過すると消える。1つ100点。この時、ドットを全て消すとアシカが玉突きを始め、1回の玉突きに付き100点が追加される。消えたドットはアシカの玉突き終了後に全て復活。
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ボールの勢いがあれば、ゲートを通過してトップレーンに合流する。
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ターゲット
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バンパーの左上の薄いスイッチ。ボールが当たると画面が光ってボールを弾き、表示される数字の分だけ得点が加算される。
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最初は100点。ボールが当たる毎に100ずつ上がっていき、1000点まで上がるが、左レーンのドットが全て消えると100に戻る。
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4連ターゲット
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左レーンの下の左壁に張り付いている4つのドロップターゲット。ボールを当てると消滅して1つに付き100点。全て消えれば1000点のボーナス。
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4連ターゲットは4つ全てが消えている状態でトップレーンにボールを通過させると復活する。
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アウトレーン
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4連ターゲットの真下に存在する穴。入ると下段に向かう。
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ホールキッカー
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入ったボールを送り出す。下段のボーナスステージからの復帰場所にもなっている。
下段
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トップレーン
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5つのトップレーンがある。通過する度に500点が入り、通過したレーンの真上のトランプが開く。
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5枚全て開くと5000点が入り更にフリッパーの中央にアップポストが出現。ピンボール台が黄色になる。
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効果時間は使用しているボールを落とすまで永続。
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ただし15万点に達して消えたフリッパーがまた見えるようになると同時に台枠が黄色のままアップポストだけが消えてしまう。トップレーンのトランプは開いたままなのでこうなると一度落としてミスするまで二度と出ない。
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既に15万点以上ある状態で出したなら以後は特別に失効する条件はないので落とすまで永遠に消えることはない。
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ホール
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トップレーンの右側に存在する穴。ボールを入れるとボーナスステージに入れる。
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バンパー
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トップレーンの真下に存在。ピンク2つと黄色1つが逆三角形の形で設置されている。当たると100点。
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7連ターゲット/EXIT
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左壁側に張り付いている7つのターゲットはボールを当てると消滅して1つに付き100点。
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全てのターゲットを消すと右壁(ボーナスステージ入り口の下)にEXIT(プランジャーレーン帰還路)が出現。
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EXITはプランジャーレーンかリターンレーンを通過すると閉鎖。ターゲットはEXITが塞がった後に復活する。
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タマゴ/ストッパー
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黄色いバンパーの真下に3つ存在する。ボールを当てる毎にヒヨコ→消滅→タマゴ→ヒヨコ→……の順に変化する。
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ヒヨコが3つ揃う度に左右のアウトレーンにストッパーが出現・復活する。
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ストッパーはアウトレーンに来たボールを1度だけ弾いて落下を防いでくれる。
ボーナスステージ
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真上の部屋に閉じ込められた『ドンキーコング』のヒロイン・レディ(ポリーン)を救出。このステージではブロックくずし風にボールを落さないように床を持つマリオを左右に操作してボールを弾いていく。
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左右にバンパー、中央に縦4マス×横3マスに並べられている1から3の数字がある。数字はボールが上を通過すると色が青色→赤色→黄色→青色……と変化する。変化する度に10点。バンパーは100点。
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数字の色を縦に揃える度に数値に対応した上にある床が小さくなっていき、3回揃えると完全に消えて穴になる。
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穴になった場所をレディが通ると落下。それをマリオの持っている床で受け止め、左右の床に移すと10000点。レディは再び画面上の部屋の中に戻り、部屋の床も元に戻る。
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ただし、レディを受け損なったり途中で落とすとボールを強制的に失ってしまう。
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両端の穴に落とすとボーナスステージは終了。上段画面のホールキッカーからピンボール台へと復帰する。
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ボールの挙動が不安定で、一度床に落ちたはずなのに再度跳ねて元に戻ることもある。
評価点
「ビデオゲームである」ことを生かした非現実的なギミック
ピンボールは金属の玉を用いて点数を競う遊戯機械で古典的なアーケードゲームであり、本作はそれをシミュレートしたビデオゲームのひとつに挙がる。機械の稼動では表現できないものをビデオゲームでの新たな表現というアイデアを生かし現実では取り入れられないギミックを数多く取り入れているのが特徴となっている。
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トランプやスロットを用いた(あくまでも当時の基準としてだが)多種多彩な演出の数々や、マリオを操作してレディを救うブロック崩し風ボーナスゲームの存在など。
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10万点を超えるとフリッパーが見えなくなる、という大胆なギミックがあり、緊張感のあるプレイが楽しめる。15万点を超えるとまた見えるようになるので、神経をずっと張りつめている必要もない。
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ヒヨコを3羽全部出現させると両サイドに弾を落とすのを防いでくれるアップポスト、スロットやトランプを揃えるとフリッパーの中央を塞ぐストッパーが現れるといった救済措置もある。
など、これらの要素により一度慣れてしまえば単調な「ピンボール」という題材に緩急のある展開を与え、飽きがこないよう工夫されている。
問題点
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ボーナスステージが完全なボーナスではないこと
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レディを助け損ねると残機が減ってしまうのは少々理不尽。
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ビンゴランプで「3」を揃えた時のアップポストの有効時間が5秒と、とにかく短い。
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揃えた時点で3330点が入るので揃えることそのものはムダというわけではないが、アップポストの実用性はないに等しくこの程度ならいっそのことない方がマシなレベル。
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現実のピンボールでは定番のテクニックである台揺らしが無い。
総評
ビデオゲームであることを生かし、現実では取り入れられないギミックを数多く取り入れているピンボールのゲーム作品。
今の感覚でプレイすると地味であり、あまり目立つ要素は多くないが、後のコンピューターゲームにおけるピンボールの土台はすでに本作にて形成されており、その出来は今でも色褪せる事のない完成度を持っている作品なのではなかろうか。
暇の合間にひっそりとTV画面とにらめっこしフリッパーを動かしながら黙々とボールを操る。そんな空間を振り返るのもまた一興だろう。
余談
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後にファミリーコンピュータディスクシステムにも移植された(内容はファミコンと同じ)。
また、本作と同年に稼動した、アーケード版の『VS.ピンボール』も存在する(ファミコンのアレンジ移植)。
こちらはNintendo Switchにて『アーケードアーカイブス ピンボール』として2019年8月30日より配信された。
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Wiiのバーチャルコンソールに2006年12月2日(VC配信初日)から配信されている。
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本作のプログラマーは後に任天堂の社長となった岩田聡である。彼が当時在籍していたHAL研究所では本作の後に『ローラーボール』(FC・1988年12月20日発売)や『カービィのピンボール』(GB・1993年11月27日発売)というピンボールゲームを発売しているのだが、どちらも、画面構成や画面切り替えスクロールで縦に長いピンボール台を表現するなど、本作を彷彿とさせる要素がある。
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2005年にPSPで同名タイトルのゲームが発売しているがハドソン製であり、本作と関連性はない。
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本作のプログラマーの一人である松岡聡氏は、後にスーパーコンピュータ「富岳」を開発している。(神戸新聞)
最終更新:2024年05月15日 18:58