どうぶつの森e+
【どうぶつのもりいーぷらす】
ジャンル
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コミュニケーションゲーム
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対応機種
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ニンテンドーゲームキューブ
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発売元
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任天堂
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開発元
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任天堂、エスアールディー
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発売日
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2003年6月27日
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定価
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6,800円(税別)
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判定
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良作
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どうぶつの森シリーズ
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概要
『どうぶつの森』シリーズの第3作目。前作『どうぶつの森+(以下+)』の海外版『Animal Crossing』をベースに、イベントやアイテムなどの様々な要素に追加・変更が行われている。
『+』までは日本のイベントが中心であったが、本作は海外のイベントを中心とした構成となっている。
ソフト単品版は無く、「カードeリーダー+」が同梱されているセット品だけの販売。数枚の対応カードも付属する。
GBA&カードeリーダー+との連動機能がウリの1つである本作だが、機能を使うためには別途GBA本体とGBAケーブルが必要。
Wiiなどの『バーチャルコンソール』商品の展開の関係上、シリーズ最後の「ファミコン用ソフトが作中で遊べる作品」となった。
後の作品がWi-Fi通信対応プレイを前提とする傾向にあるため、オフラインプレイをメインにした1人プレイゲームとしての作品は、現時点では本作が最後となっている。
特徴
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行事や服装が洋風になった。
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『+』までは行事や村内の固定キャラクターの服装は日本のものが大半を占めていた。
本作では海外版をベースにしているため、行事や服装が洋風になっていたり、施設の看板などの文字も英語表記されているなど、細かな変更点が見受けられる。
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例として2月の行事は「豆まき」が無くなり「グランドホッグデー」が追加されている。
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文章に漢字を表示できるようになった。
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また文字用のフォント画像が高画質化されクッキリ見えるようになった。
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プライベートアイランド
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自宅のローンを全額返済した暁には自分の銅像が立ち、『+』ではGBAが必須だった「プライベートアイランド」が購入できるようになった。
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ここでしか入手できないアイテムやここでしか会えない住民などがいる。
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常夏で様々な希少な虫・魚が生息しており、資金稼ぎや図鑑完成がはかどる。
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自分以外でも島に入れるように設定しておくと、村内の他の住人やお出かけしてきたプレイヤーも行ける。
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島に移動する際にカッペイに舟歌を聴かせてもらえる。歌は数パターンあり、妙な味があって良いのだが、スキップ不可な点だけが残念。
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さらに面白味を増した採集要素。
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貝殻に化けている「ヤドカリ」、なぜかボールを転がしている「フンコロガシ」、住人に寄生している「ノミ」など。
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本作で登場した魚は、「カワマス」を除いて海に出現する魚である。本作をもって、主要な海魚はだいたい出揃ったと言える。
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部屋の内装を評価する組織「ハッピールームアカデミー」の評価基準の改善。
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無印では、特定のシリーズだけを集めたり、単体で評価の高い家具を集めないと倉庫呼ばわりされていたが、『+』を経て、徐々に評価の基準も改善され、より自由な部屋作りを楽しめるようになった。
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基本的には1人だけで遊ぶ本作だが、複数のメモリーカードや別売のSDカードアダプタ(『e+』のみ対応)を使用してお互いの村におでかけできる。
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複数のメモリーカードを使っておでかけする際は、両方のメモリースロットに本作か『+』のデータが入ったカードを挿せば良い。
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アダプタを使って保存したデータをメールなどでやりとりすることにより、離れた相手とも交流できた。
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おでかけする際には事前に強制セーブされるため、おでかけ手続き後にちゃんと帰村手続きをしないと非常に重いペナルティがある。
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ちなみにSDカードアダプタを接続している際にZボタンを押すと、TIFF形式で画面写真が撮影できる。
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最初から始める際に『+』のデータが入ったメモリーカードを使って、本作に自分のプレイヤーデータとアイテムカタログ、捕まえた虫・魚の記録を引き継ぐことが出来る。
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『+』同様にGBAとの連動機能が搭載されている。それにカードeリーダー+を併用することにより様々な要素が追加される。(下記に記述)
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任天堂の公式ホームページとの連動企画がある。ここだけでしか入手できない要素があるので、プレイするなら要チェック。
評価点
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本作から、どうぶつ同士が会話している時に話しかけると、2匹の会話を聞くことができるようになり、会話を聞く楽しさがさらに増した。
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ちなみに、前作にあった「何かお手伝いはない?」の選択肢は廃止され、動物と会話をしているとたまにお手伝いを頼まれる、というシステムに変更された。
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これにより、どうぶつが単なる「お手伝い製造機」ではなくなり、彼らとゆっくり会話を楽しむ余裕が生まれた。
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『+』とイベント内容に変更がある部分も多いが、イベント数自体は多く、季節にちなんだものも多いため、村の季節感を醸し出すのに一役買っている。
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『+』に引き続き、予め用意された数種類の色パレットから作るドット絵である「マイデザイン」としてオリジナルの服や看板などが作成できる。
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公式ホームページで指定の手続きをすると、比較的容易に限定アイテムが手に入る。
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無印や『+』で入手できた「ファミコン」が、今回は母からのプレゼントとしてプレイを始めた日の翌日にランダムで必ず2つ入手できるようになった。
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また、ゲームボーイアドバンスとGBAケーブルを使用することで、本体の電源を切った後でも携帯機でファミコンで遊べるようになった。
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とたけけの生の声が入った、「ライブ版」のミュージックを部屋で流せるようになった。事実上部屋で流せる音楽は前作の2倍以上に。
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ただし入手は非常に困難。住人と最大限まで仲良くなった際、ごくまれに貰うことができる。
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ライブ版を部屋で流せるのは今作のみ。以降の作品では通常版のみに戻ってしまった。
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たぬきちのお店が営業時間外でも利用できるようになった。
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営業時間外の時にスコップでお店を叩くと、たぬきちを起こしてお店を利用できるようになった。ただし、買値は定価の2割増し、売却は売価の3割引きとなる。
問題点
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ローンは『+』から更に上がった。
初期:19800ベル
1階拡張:125000
地下室増築:249000
1階再拡張:298000
2階建てにする:598000
プライベート・アイランド:998000
と2階増築までは若干下がったものの、依然として多く、累計では『+』を上回っている。
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無人島限定の虫・魚
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上記のローンの多さと関連してあげられる。
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「アレクサンドラアゲハ」「ヘラクレスオオカブト」「ハリセンボン」「カジキマグロ」は無人島にしか出現しない。
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アレクサンドラアゲハは網が届かない上空を飛んでいる。まれに網が届く範囲に下りてくるのでそこを狙うしかない。下手すれば捕獲に30分近くかかってしまうことも。
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カジキマグロは出現率の低さもさることながら、捕獲のタイミングもシビアな上に島の北東の海域に出現した際には(カジキマグロに限ったことではないが)魚影が海流に逆らえず、捕獲できなくなってしまう。
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これらを捕獲するには島に行けるまでローンを返さなければならないため、図鑑や博物館の完成が大幅に遠のいてしまった。
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後の作品では村でもこれらが出現するようになり、アレクサンドラアゲハも他の蝶と同じく低い位置を飛ぶようになり捕獲難易度が下がった。
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主人公が除け者にされがち。
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いつも村をぶらぶらしてるだけのように見えるどうぶつたちも、実は主人公の知らない間に他のどうぶつ達と様々な形で交流している。
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「誕生日パーティー」を始め「旅行」「デート」「交換日記」「ガーデニング」「食事会」「ぬいぐるみ作り」「テレビ」「雑誌鑑賞」「合コン」などなど。
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しかし、主人公はそれに参加するどころか、その模様を見る事すら出来ない。
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「昨日の合コンはサイテーだった」「○○の誕生日会に向けてぬいぐるみを作ってる」といった話は聞けても、主人公は決して呼ばれることはない。
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要するに主人公はどうぶつ達のふれあいを外から眺める「傍観者」のような立場であり、なんとなく住民たちと馴染んでない感じや、疎外されてる感じを受ける。
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一部のアイテムの入手が困難。
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家具アイテムにはテーマやシリーズと言った「セット」があるものが存在するが、どのテーマやシリーズにも入手しづらいものが必ず1つ存在する。
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その中には店やイベントの景品だったり、目玉商品だったり、ランダムで現れる店限定の品であったりと一筋縄ではいかない。
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また前述のファミコン(NES)で現在では通常の手段で入手不可能なものが存在する。
+
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若干ネタバレにつき、隠し表示
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具体的には「どうぶつの森 写真くらぶ」入会時の特典だった『ドンキーコング3』、元々不明の『パンチアウト!!』の2個。前作の『+』は、入手困難なアイテムもあいことばの解析によりそれを用いて入手可能だったが、こちらは現在も情報がないため入手不可能である。非売品なのであいことば化も不可能なため、所有している人からおでかけデータ経由で貰うなどでしか入手できない。一応『+』で入手して引っ越していればカタログに載せることは可能。
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ファミコンソフトが『+』から6本ほど削減された。
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本作の問題点とするのは微妙なところだが「前作にあったものをあえて消した」「前作の方がお得」という捉え方もできるので、消さないで欲しかったところ。
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たぬきちの店で購入に関する取り扱いが出来ない「非売品」の数が多いわりに自宅に収納できるアイテムの数が少なすぎる。
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ゲームを進めると地下室や2階を利用できるが、それでも収納スペースとしては焼け石に水程度。
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家具の中にはアイテムを収納できるものもあるが、家具1つにつき3つまでである。非売品の服だけでもかなりの数なので足りなさすぎる。
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自分宛にアイテムを添付して手紙を出し、郵便局で保存すればある程度改善できる。(5ブロックの空き容量が必要)
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しかし、この機能はあくまで手紙の保存用に作られたもので、アイテムの保存用としての機能はあまり良くない。(手持ちの手紙にしかアイテムを出し入れ出来ず、アイテムを移動するには一度セーブ&ロードをする必要があるなど。)
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とはいえ、前作にはなかった保存機能がついたお陰で、手紙に添付できる家具やはにわ、等なら、空き容量がある限りいくらでも保存できるようになった。
GBA&カードe連動関連事項
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GBA、カードe(カードe+)との連動機能がウリのひとつであるため、これらを利用しないと入手できないアイテムも多数存在する。
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郵便局で指定の手続きをすると、アイテムが手紙で送られてくるサービスもある。(これは通常入手できるアイテムのことが多いが)
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持っている住民カードをスキャンするとそのキャラクターが村に強制的に引っ越してくる。村からいなくなったら何度でも召喚可能。
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『+』のカードもスキャンして使用することが出来る。主にプライベートアイランド関連だが。
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特定のカードをスキャンすると村テーマメロディが変化し、たぬきちなどから「とたけけ」の曲の限定版が入手できる。
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該当曲が村メロディの状態のときに土曜日の晩にリクエストするとその曲の通常版が貰える。カードが無くても村メロディが合っていればもらえる模様。
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マイデザインのツールをGBAにダウンロードしてプレイすることも可能。その際のマイデザイン作成料金は無料となる。
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GBA連動イベント限定のアイテムがあるのだが、GBA上でダウンロードしたミニゲームをプレイする必要がある。
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しかしミニゲーム自体は単調で、単なる作業になりやすい。また、もらえる景品もよくダブるため、全部揃えるには根気が必要。
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GBAにダウンロードして持ち出すことも可能。GBAでスリープをする際はセレクトボタン、解除する際はLボタンとセレクトボタンを押せば良い。
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『+』のカードeに書かれている「あいことば」を手紙に書いて郵便局に送らないと入手出来ない家具もある。
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『+』においてもカードが発売されたが、この当時に出ていた『カードeリーダー』(初期型)は、GBAケーブルで直接接続する事はできず、eコードを読み取ると「あいことば」が表示されたり、村メロ、その他アプリなどが起動するという仕組みだった。
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本作において『カードeリーダー+』に対応し、直接接続可能になったのだが、『+』の頃に発売されていたカードも、『e+』対応の物とほぼ同様に使用可能だった。
総評
無印をベースとして開発されてきた据え置き機のシリーズとしては集大成ともいえる出来栄え。
一部入手困難なアイテムがあるのは、難点というよりはやり込み要素。軽くスローライフを楽しむだけなら全く問題ない内容である。
目立ったマイナスになるようなバグなども無く、お楽しみ要素も豊富。オフラインプレイ中心のどうぶつの森としては非常に完成度の高い作品である。
余談・その後の展開
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本作の発売から2年半弱後、NDSで満を持して『おいでよ どうぶつの森』が発売された。
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オンラインプレイに対応したことで、他のプレイヤーとのコミュニケーション面が豊富になり、遊びの幅が広がった。詳しくは当該記事で。
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『e+』版カードにおいて、雑誌「ニンテンドードリーム」から、「ニンドリ」、「ファミ通キューブ+アドバンス」からは、みずしな孝之氏がデザインした「シナビル」という住民キャラクターが付録カードになり、実際に村に呼べた。
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前述の通り、おでかけや写真保存に使用可能な『SDカードアダプター』は現在入手困難だが、非純正ながら代替品が流通しているためそちらを使用することが出来る。
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うたい文句に「SDカードでセーブデータ 管理」などと付いている商品がそれである。なお実際はGC用セーブデータ管理には使用出来ず、あくまでSDアダプターと同等の用途にしか使えないので注意。
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SDカードアダプターの構造自体はとても単純であるため、自作することもできる。
最終更新:2024年05月25日 17:06