このページでは、アーケード版およびファミコン版の『ドンキーコング』を紹介しています。
ゲームボーイのリメイク版については『ドンキーコング (GB)』を参照してください。
ドンキーコング
【どんきーこんぐ】
| ジャンル | アクション |  |  |  | 
| 対応機種 | アーケード | 
| 発売元 | 任天堂 | 
| 開発元 | 任天堂 池上通信機
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| 稼動開始日 | 1981年7月 | 
| プレイ人数 | 1~2人 | 
| 配信 | アーケードアーカイブス 【Switch】2018年6月15日/823円(税込)
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| 判定 | 良作 | 
| ポイント | ジャンプアクションの開祖 マリオの実質的なデビュー作
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| ドンキーコングシリーズ・関連作品リンク | 
 
概要
記念すべきドンキーコングシリーズの初代作品。プレイヤーキャラクターを操って、ゴリラの「ドンキーコング」にさらわれた恋人「レディ」を救出するのが目的である。
このプレイヤーキャラは当初は明確な名前が設定されておらず、「ジャンプマン」「Mr.ビデオゲーム」などといった通称で呼ばれていたが、続編の『ドンキーコングJR.』において「マリオ」という正式な名前がつくことになる。
つまり本作は任天堂を代表するヒーロー、マリオの実質的デビュー作なのである。
以下、最初から「マリオ」と名付けられていたFC版の記述と統一するため、プレイヤーキャラは「マリオ」と表記する。
ゲームシステム
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マリオを操作する。主な操作は左右移動とジャンプの2つで、はしごに触れてレバー上下で登り降りができる。
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ステージは25m・50m・75m・100mの4面構成で、100mでレディを救出すればクリアとなり、その後はまた25mに戻りエンドレスに続く。
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25m・50m・75mは、はしごや土台を利用しつつ画面上部にいるレディの元まで行けばクリアとなる。100mはドンキーが居座っている地形下部のボルト8本を抜く事によりドンキーを落下させクリアとなる。
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なお、海外版では周回ごとに面数が増える仕組みで、はじめは2面で最終ステージとなりクリアとなるが、以降は1面ずつ長くなっていき、5周目以降は25mから150mまでの6面構成となる(25mと同内容が3回繰り返されるため、ステージの種類は4つで変わらない)。
 
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ステージ中に置かれているハンマーを取ると、一定時間ハンマーを自動で振り回し敵を倒すことができる。
 ただしハンマーの振りには隙があり、振り上げている時にぶつかってミスになることがあるので注意が必要。また、ハンマーを振っている間は、はしごの登り降りやジャンプが一切できない。
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ハンマーの他にも50m以降はボーナスアイテム(レディの落し物)が三種類出現し、それを取るとボーナスが得られる。
 
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障害物や敵に触れる、高いところ(およそマリオの身長以上)から転落する、制限時間が0になる、のいずれかでミスとなる。
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25mでは火のついたドラム缶に触れたり、火がついていなくてもドラム缶と重なってジャンプしたり、75mでは、エレベーターから降りないままに天井に挟まれたり下の機械に巻き込まれたり、最下段に降りたりしてもミスになる。このうちの一部はファミコン版では緩和されている。
 
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画面外に出ようとしても出られないようになっている。画面外に向かってジャンプすると落下判定(ミス)が成立していない限り跳ね返ってくる。
評価点
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今でこそ当たり前となっているが、本作はアクションというジャンルにおける「ジャンプ操作を中心としたゲームデザイン」を構築した初めてのゲームと言われている。
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タルをジャンプで飛び越えたり、足場から足場へ飛び移りながらゴールを目指すといった、ジャンプを生かしたゲームデザインが多く盛り込まれている。
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今作のプロデューサー・横井軍平氏によると、ジャンプは彼のアイディア。当初、宮本氏は樽をはしごに上ってよけると想定していたらしい。
 続編のドンキーコングJr.やマリオシリーズで、ジャンプが根幹のアクションになることを思うと、歴史の深さを思わずにいられない。
 
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ドンキーコングやマリオの仕草など、グラフィック面での演出もコミカルで親しみやすい。
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音楽や効果音も印象に残る。
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印象的なステージ開始時のジングル、コミカルで小気味良いマリオの足音やジャンプ音、樽を飛び越えた時などの得点音など、種類は少ないながらもいずれも印象に残る音ばかり。「ジャンプする楽しさ」を効果音の面でも強調しているといえよう。
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25m面で使われる「1面BGM」は、たった5音の繰り返しで構成されながらも飽きのこない、リズミカルなメロディ。後のドンキーコングシリーズやマリオシリーズでも、本作やキャラクターとしての「ドンキーコング」を表すライトモチーフとして、しばしば引用・アレンジされている。
 
問題点
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ドンキーと対決した後のステージは制限時間が短くなった上でループすると言う仕様であるため、とある周回にて制限時間が尽きて絶対にゲームオーバーになってしまう。
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裏技(通称首チョン、ワープ)を可能にするバグは後期版や海外版では修正されたが、このループ仕様は修正されなかった。
 永久パターンを防止するためとも考えられるが、この段階に至るまでにはかなりの周回を回る必要があり、通常のプレイヤーならほぼ達成できないものである。
 
総評
シンプルな操作性で楽しめるアクションゲーム。効果音や得点の演出が良く、ジャンプするだけでも楽しくなれるだろう。
後の任天堂の代表作マリオシリーズの原点を作り上げ、『スーパーマリオブラザーズ』の大ヒットとそれに伴う世界的なテレビゲームブームの潮流をも生み出したという意味で、ゲーム史上においても重要な1作といって差し支えない作品である。
配信
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2018年6月15日にNintendo Switchのアーケードアーカイブスで配信された。
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日本版の前期バージョン、後期バージョン、海外バージョンの全3バージョンが収録されている。
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公式サイトでは当時配布されていたチラシのデータなども掲載されている。
 
ドンキーコング (FC)
【どんきーこんぐ】
| 対応機種 | ファミリーコンピュータ ファミリーコンピュータ ディスクシステム
 | 高解像度で見る 裏を見る 
  
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| メディア | 【FC】192KbitROMカートリッジ 【FCD】ディスクカード
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| 発売元 | 任天堂 | 
| 開発元 | 【FC】 任天堂開発第二部
 エスアールディー
 岩崎技研工業
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| 発売日 | 【FC】1983年7月15日 【FCD】1988年4月8日
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| 定価 | 【FC】3,800円 【FCD】500円
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| 配信 | バーチャルコンソール 【Wii】2006年12月2日/500Wiiポイント
 【3DS】2012年10月17日/500円
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| 備考 | FCD版は書き換え専用 GBA『ファミコンミニシリーズ』第一弾(2004年2月14日発売)
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| 判定 | 良作 | 
| ポイント | あのドンキーコングが家で遊べる FCのローンチとしてハードを牽引
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概要(FC)
ドンキーコングの移植版としてはおそらくこのファミコン版が最も有名。ファミコン本体のローンチタイトルとして続編『JR.』と共に移植された。
主人公の名前は続編『JR.』の設定を反映して「マリオ」に変えられた。
GBA『ファミコンミニシリーズ』の第一弾ソフトとしても発売された。
問題点(FC)
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容量の関係で、全4ステージの内、第2ステージが削られており、全3ステージループとなっている。ドンキーとの対決も、FC版では3の倍数ステージで行われる。また、縦画面から横画面への変更で段数が減少したりしている。
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ゲーム開始時やゲームクリア後の演出デモがカットされている。
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また、レディの落とし物が2種類に減っている、全面クリア時のジングルがAC版から変更される等の細かい変更がある。
 
評価点(FC)
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演出面やゲーム性の変化、劣化などの多少の問題点はあるが、肝心のゲーム性はオリジナル版を遜色なく再現している。
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新たに加わったタイトル画面のテーマも印象的なBGMであり、後の『スーパードンキーコング』シリーズでもアレンジされている。
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アーケード版のワープバグやループバグは修正された。
総評(FC)
多少の劣化点はあるが、オリジナル版に忠実な移植を実現している。
ゲーセンのゲームが家で遊べることを謳い文句に、ローンチタイトルとしてファミコン普及の牽引的役割を果たした。
その他関連作
    
    
        | + | 一覧 | 
ドンキーコング(ゲーム&ウオッチ版 1982年6月3日 マルチスクリーン)
DSのような上下2画面形式を採用したマルチスクリーンタイトルの1つで、AC版のゲーム性をアレンジした作品になっている。
ステージの概念はなく、タルをジャンプでかわしながらステージを登り、途中にあるレバーを押して画面上部にあるクレーンを作動させた後タイミングよくクレーンに飛び移ってドンキーコングを足場から落とす。これをひたすら繰り返してスコアを稼ぐ。
主人公(プレイヤーキャラ)はマリオではなく「救助マン」である。
頭上が障害物でふさがれている場所はジャンプできないという要素がある。
「十字ボタン」はこのG&W版ドンキーコングのために発明された。
1997年9月27日にゲームボーイソフトとして発売された『ゲームボーイギャラリー2』には、このゲーム&ウオッチ版ドンキーとアレンジ版が収録されている。
 
ドンキーコング(1994年6月14日 ゲームボーイ)
AC版のリメイク作。ゲームシステムやステージ数にパズル要素を取り入れ、大幅な強化がされたためほぼ別物と化している。詳しくはドンキーコング (GB)を参照。
 
1999年12月10日に発売されたニンテンドウ64ソフト『ドンキーコング64』にて、アーケード版が丸ごと一作収録されている。
 
この他、任天堂作品としては珍しく、コレコ社により他社ハードにも移植されている。Atari2600版やインテリビジョン版を経て、コレコビジョンにはハード同梱タイトルとして移植されている。
コレコビジョン版は落下判定がやや甘く、また地形から足を踏み外した時にまっすぐ落ちないなどの違いがある。
単色スプライトのコレコビジョンで、マリオだけスプライト3枚使うなどそれなりに違和感がありながらもそれなりに力が入っていた。
テーブルトップでFL管表示のコレコ版電子ゲームもゲーム&ウオッチと同じ82年に発売されている。任天堂純正のアップライト筐体を思わせるデザインで、サウンドもゲーム&ウオッチのピコピコ音とは全く異なり、原作に近いサウンドを実現しておりまたOPも再現されていた。
このような移植が実現した背景としては、当時の任天堂が家庭用市場に消極的な姿勢だったことが挙げられる。しかし、コレコビジョンは日本国内で任天堂がライセンス取得して発売する予定だったのが、結局交渉が決裂したためにファミコンを独自開発することとなった。
つまるところ、ファミコンのハードウェア仕様のベースはこのドンキーコングのAC基板といっても過言ではないのだ。
 
なおヨーロッパのマリオ25周年記念Wii本体には50mステージも入った『Donkey Kong - Original Edition』が収録されている。ただしPAL方式のためNTSCテレビなどではそのまま遊ぶことが出来ない。また日本でもこのバージョンが2012年夏に『New スーパーマリオブラザーズ 2』または、『鬼トレ』をダウンロード購入した人向けに3DSでプレゼントされた。
本バージョンの50mはどういうわけか、高次周に行くにつれてコンベアが速くなっていくという『クレイジーコング』(コピー品)の要素が入っている。アーケード版オリジナルは速くならない。
 
2017年10月27日に発売されたNintendo Switch用ソフト『スーパーマリオ オデッセイ』では、「都市の国 ニュードンク・シティ」のフェスティバルに登場する2Dステージが本作の25mステージをマリオの仕様で再現したものになっており、ドット絵の初代ドンキーコングも登場している。
フェスティバルで流れるこの作品のメインテーマでもある曲「Jump Up,Super Star!」にも、本作25mステージの曲のメロディがアレンジされて組み込まれている。
ニュードンク・シティ自体がポリーンが市長を勤める街であり、通りの名前が『スーパードンキーコング』シリーズの登場キャラクターの名前になっているなど、ドンキーコングシリーズのオマージュ要素が至る所に込められている。
マリオシリーズで都市を舞台として出すに当たって、同じく都会が舞台でマリオのデビュー作でもある本作が連想され、このような形になったようである。
そのような経緯や作品内で語られるポリーン市長の過去、フェスティバルがこの街の原点と表現されていることなどから、確実に後付けではあるが「ニュードンク・シティこそが本作の舞台だったのではないか?」とも読み取れる。
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余談
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救出する「レディ」は当初は名無しの女性だったが、後に海外版でポリーンと名付けられ、その後、GB版『ドンキーコング』発売時に国内にも名前が逆輸入される形となった。
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そもそも「コング」は映画『キング・コング』に登場する巨大類人猿の
固有名詞
であり、ゴリラ全般を指す名称ではない。
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本作の時点では、「美女をゴリラの怪物がビルの屋上までさらう」というシチュエーション自体が『キング・コング』のパロディであるため、「コング」という名前も恐らくそう言った理由からだと思われる(「ドンキー」は「間抜け」なので、「コミカルで間抜けなキング・コングのパロディ」というのが元々のタイトルの意図なのかもしれない)。
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しかし、本作のヒットで完全に「ゴリラ=コング」は定着してしまい、『ドラゴンクエストシリーズ』などにもゴリラのモンスターとして登場するようになった。
 
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元々は、不発に終わった『レーダースコープ』というSTGの基板や部材を在庫処理するために社内公募された企画であった。『レーダースコープ』基板はオーバースペックであったため、ROM差し替えでない追加生産分は『ドンキーコング』に必要のない機能や性能を削減してコストダウンが図られている。
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『レーダースコープ』は当時にしてOP価格100万円前後という高価な商品で、しかもそれでも採算度外視に近かったと言われている。業務用機ということでコストの概念を頭からすっ飛ばして設計した結果がこれである。
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その他、ドンキーコングにまつわる様々な逸話はドンキーコングシリーズの余談を参照。
 
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TBS放送の特番「DOORS」のアトラクションの一つ「ジャングルアドベンチャー」で、本作のステージ1を模したエリアが登場した。ちなみに放送回数によっては、マリオの着ぐるみもゲスト出演することもあった。
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実体化し人類に襲い掛かるレトロゲームキャラに立ち向かうレトロゲーマーたちの活躍を描く海外映画『ピクセル』でも多くのレトロゲームに混じって本作が登場、最終決戦の題材となっている。
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当初の予定では、『ティップタップ』(コンゴボンゴ)が本作の続編となる予定だったと言われている。しかし、任天堂と池上通信機の訴訟により袂を分かつことになり、ティップタップはシリーズから外れることとなり、ドンキーコングの続編は任天堂がドンキーコング基板とプログラムを解析して独自開発することとなった。
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本作のスピンアウトとしてマリオシリーズが作られた。マリオブラザーズ以降、池上通信機臭は急激に薄れることとなる。
 
最終更新:2025年08月04日 21:12