深世海 Into the Depths

【しんせかい いんとぅ ざ でぷす】

ジャンル 潜水探検アクション
対応機種 Nintendo Switch
発売元 カプコン
開発元 カプコン
発売日 2020年3月26日
定価 1,809 円(税抜き)
プレイ人数 1人
レーティング CERO:B (12歳以上対象)
判定 良作
ポイント 雰囲気ゲーとしてのクオリティを保ちながらアクションとしても手堅くまとまっている


導入

地表が氷に覆われ、人々が海中で暮らすことを余儀なくされた世界。
長い年月が経った今も迫りくる氷は広がり、全ては朽ち果て続けている。

世界にたった一人生きている主人公。
崩壊が日常となってしまった日々を淡々と過ごす中、偶然、未知の機械との出会いが訪れる。

その出会いは、広く深い「世海」への先導となる…

“世界はどうしてしまったのか?”
“同じように生き延びている人はいるのか?”
“「世海」の底 には何があるのか?”

広く深い「世海」で待っていた数々の疑問
この「世海」の謎を探るため、深い海の底を目指す。

様々な海洋生物、水圧、酸素残量、海に沈んだ「世海」の遺物…
海の美しさ、脅威の全てが、「世海」に残された最後の未開の地“深海”へと誘う。
(以上、公式サイトより引用)

概要

CAPCOMからiPhone/iPad向けに2019年9月19日より配信されたアクションゲーム。 想像力を働かせながらプレーすることで引き込まれていく世界観、美しくも退廃的な深海の世界に魅了されるグラフィック、リアリティと臨場感を感じられるサウンド、手堅くまとまったアクション性、そして最終局面で主人公が体験する驚愕の展開など総合的なクオリティに秀でた新規IPの意欲作。

いわゆるメトロイドヴァニア形式のゲームであり、プレイヤーは氷に覆われた地表に代わって海底で孤独に暮らす主人公「潜海者」を操作して3D描写された2Dマップを探索、時には敵や障害を排除しながら鉱石を採掘して装備や潜水服を強化し、世海の謎や他の生存者を求めて海の底へと探索範囲を広げてゆく。

なお、本記事は2020年3月26日より配信されたNintendo Switch版に絞って記載する。


システム

酸素と探索

このゲームの根幹をなすのが「酸素」システムである。酸素残量はゲージで表示され、主に3つの役割を持つ。

  • 制限時間としての酸素
    • 主人公は何もしなくても徐々に酸素を失ってゆく。
  • 残り体力としての酸素
    • 攻撃を受けたり、壁や床に勢いよく叩き付けられると酸素ボンベに傷ができたり破壊されたりして酸素を大量に失ってしまう。
  • エネルギーとしての酸素
    • 酸素を噴射することで各方向へ高速移動できる。

こう聞くと常に酸素残量の管理に悩まされ行動を制限されるゲームのように思えるが、敵の数はさほど多くなく動作も緩慢であり、各所に酸素ボンベや酸素の補給場所があるためボス戦などを除いて窒息死する危険はあまりない。 中盤以降は頻繁にブースト移動を繰り返していても十分足りる設計になっているためプレイヤーは自由に深海探索を楽しめる。

主人公の攻撃方法

主人公は格闘用のギャフと、飛び道具の銛という2棲類の攻撃方法を持つ。

  • ギャフ
    • 初期装備しているかぎ爪のような釣り道具。無制限で使える格闘用の武器で、攻撃方法は振り下ろすのみとシンプルだがそこそこ連打がきき、雑魚なら数発で倒せる。また、壁に引っ掛けて落下を防いだり壁を登ることができる。
  • 連出銛
    • 序盤で手に入る、扇状に銛を連射する飛び道具。銛を消費するため無駄撃ちはできないが安全に獲物を倒すことができ、至近距離で当てれば非常に強力。銛の制作に必要な素材も比較的手に入りやすく終盤まで大活躍する。
+ その後、探索を進めることによって以下の銛を入手できる
  • 射出銛
    • ロープつきの単発の銛。単発ゆえ当てにくいが弾数が無限なのが特徴。敵を引き寄せて殴ったり、発光液を注入して他の敵に攻撃させたりと変わった使い方ができるが、射出と巻取りを繰り返して単純な飛び道具として使うこともできる。また、この銛でしか開けられない扉や長距離移動できるレールに突き刺したりと使用頻度が高い。
  • 投網銛
    • 電流で繋がれた銛をV字型に発射し、敵を覆ってダメージを与える武器。瞬間的なダメージは低いが動きの遅い敵を安全に封殺できる。この電流は自分には無害なうえ足場にもなるのだが、この特性が活躍する場面は本編では少ない。
  • 切削銛
    • ドリルのように回転しながら壁を貫通する銛。敵にうまく突き刺すことで大ダメージを与えられるが、弾速が遅くノックバックで抜けやすいため攻撃用としては扱いが難しい。どちらかというと、壁の中に埋まったオブジェクトを破壊する用途で用いることが多い。
  • 発破銛
    • 時限爆弾がついた銛を発射する。弾の素材が入手しにくいうえ動く敵には使いにくい(打ち込んだ敵が接近してきて自爆することがある)。よって通常の戦闘で使うことは少ないが、終盤の難敵である原核古生細胞を倒せる唯一の武器のため終盤で大活躍する。

各種の銛はそれぞれ一長一短があるため、場面によって有効な武器を選び切り替えて戦う楽しみ方ができる。

資源の入手

主人公は敵を倒したり壁を採掘することで資源を入手できる。壁に埋まった資源は、地面を叩くことで反響によって位置を特定し、ライトで照らすことで掘り出せるようになる。

資源は大きく分けて3種類に大別できる。

  • 耐圧性を強化する資源
    • マップに特殊なアイコンで表示され、クリアに必須となる。必要量(事実上、マップに表示される全て)を入手すると潜水服の耐圧性を上げられ、さらに深く潜れるようになる。
  • 装備を強化する資源
    • 銛や潜水服の性能を上げたり、酸素ボンベの最大数を増やしたりできる。資源を残さず入手することで全装備品をちょうど最大強化できる。
  • 消費アイテムの資源
    • 各種銛や回復アイテムの生成に使う。敵から入手できるものはマップ切り替えで事実上無制限に手に入る。

主人公の唯一の仲間「潜導」

ステージ序盤で、ある装置から飛び出してくる機械。 キュルキュルと鳴き声のような音を発したり、イベントシーンでは主人公と向き合って一緒にお辞儀をしたり、近くにあるアイテムを拾ってきてくれたりと機械ながらかわいらしい動作で主人公の孤独を癒してくれる。また、青いフキダシで簡易的に今の目標を知らせてくれる。

頼れる乗り物「潜水艦」

こちらも比較的早い段階で入手でき、心強い味方になる。

  • 酸素を消費することなく長距離を移動できるだけでなくその時点の潜水服の耐圧性では潜れない深さへ進んだり、各地点の港から港へワープできる。
  • 船体の前方には小さなドリルが装備してあり、ほとんどの敵を瞬殺できるほか、特定の氷塊を破壊して隣のエリアへ移動できる。
  • 巨体ゆえに狭い場所へは入れないが、降りてからも酸素を供給するロープで繋がれるためある程度の距離までは酸素を消費せずに探索が可能になる。ロープを巻き取ると素早く潜水艦に戻れるのも地味だが便利。
  • 資源採掘はできないが、ソナーとライトによって探索は可能。

謎のオブジェと希少生物

探索を進めていくと、謎のオブジェを入手できたり、特定の場所にしか出現しない希少生物を発見することができる。これはクリアに必須ではないコレクション、いわゆるやりこみ要素として存在しており、やや難しい操作や謎解きが必要であったり、すでに探索を終えたエリアの片隅にひっそりと配置されていたりする。

臨時潜水

  • ゲームをクリアすると解禁されるモードで、主人公が潜水艦で探索している最中に謎の巨大生物に襲われ潜水艦から放り出されるというシチュエーションから始まるタイムアタック。
  • 本編とは異なる縦長のマップを潜水していく。酸素、銛ともに限りがあり、選択したルートによって敵やアイテムの数が異なるため、リスクとリターンを考慮しながら最良のルートを模索して素早く正確に突き進んでいく。
  • 最深部には本編に登場しないボスが待ち構えており、ラスボス以上の強さを持つためクリアするだけでもかなりの腕が求められる。

評価点

いわゆる雰囲気ゲーとしての良さと、アクションゲームとしての面白さを兼ね備えている。

  • 良質なグラフィックとサウンド
    • 個性的な深海生物たち、暗い海の中でライトに照らされる岩肌などは見ているだけで世界観に引き込まれる。
    • 絵的なビジュアルだけでなく動作においても細かく作りこまれており、主人公がブーストをふかしすぎて天井に頭をこすると両手をあげてじたばたしたり、強く落下して怪我をすると痛そうに手を振ったりとどこかコミカルで愛着が湧く。一方で潜水ヘルメットの残骸を見つけて肩を落とし深く一礼するといった物悲しいシーンもあり、終始潜水服を脱がず一言も喋らない主人公にも人間味を感じられる。
    • 静かなアンビエント調を主体としたBGMも、広大で神秘的な世界観を引き立てるのに大きく貢献している。一方でボス戦は激しい方向に一変するため、その見た目や補給、修復が限られるのも相まって怖さと焦りを感じられるだろう。
      • 音声収録にあたって実際に凍った湖にマイクを沈めて録音するなど、かなりのこだわりが感じられる。
  • アクションゲームとしての面白さ
    • 序盤は酸素ボンベの数が少なく慎重な探索を強いられるが、敵の数も少なく落ち着いて操作に慣れていくことができる。
    • 中盤になると簡単なトラップや謎解き、攻撃的な敵が増えるものの酸素ボンベの数にも余裕が出てきて程よい緊張感で深海探索を楽しめる。
    • 終盤は不安定な足場や狭い通路で敵に襲われたり、閉じ込められて敵の群れに襲われるなどアクション面での難易度も高くなり、アクションゲームの基本である段階的な難易度引き上げを踏襲している。
  • 深海ならではの魅力的なステージ
    • 珊瑚や海藻で覆われた海底や岩肌はもちろん、自転車や自動車、看板などが沈んでいるところもあり退廃的な雰囲気を感じられる。また、海底に築かれた文明の一部と思わしき装置や設備が一部稼働しており、プレイヤー及び主人公はその文明を頼りに自分以外の生き残りに希望を見出すことになる。
      + 中盤以降は深海好きなら思わず目を輝かせてしまうようなエリアが目白押しとなる
    • 大海溝
      • 大きく開けた海溝と入り組んだ洞窟で構成されており、光が届かず薄暗くなる深さまで潜水艦で潜っていくことができる。
    • 海底遺跡
      • ピラミッドのような石造りの建造物に鳥居が並んでいるなど独特な外見の遺跡内部が迷路になっており、トラップをかわしながら探索していく。
    • 沈没船
      • 巨大な客船や潜水艦の中を探索していく。その最中、巨大生物の触手に襲われ狭い船内を逃げ回るといったアクション映画のような場面もある。
    • 海底火山
      • 中央から放射状にひび割れたかのような独特なマップで、特別な手段でしか倒せない強敵「原核古生細胞」や流れる溶岩、攻撃的な機械生物、最深海でしか見られないユニークな生物たちがひしめく危険なエリア。
  • ユニークな生物たち
    • あまりに個性的でそのままでも敵として違和感のない深海生物たちをそのままの外見で登場させている。
    • 敵だけでなく、ほとんど・あるいは全く無害な生物たち(中には背景のものまで)も遭遇すると図鑑に登録され、タイトル画面からその姿を自由に観察できる。
    • 実在する深海生物だけでなく機械生命体や人為的に改造・開発した生物も登場し、それぞれ世界観に違和感なく溶け込んでいる。
      • これらが作中でなぜ開発されたのかはゲーム内で断片的にヒントが提示される。
  • シナリオとその描写
    • このゲームではセリフは一切なく、文字ですら独特の書体で断片的に表示されるのみで、主人公が何を考えているのか、世界がどうなってしまったのかなどは簡易なイラストや無言のイベントシーンによって推察するしかない。よって基本的には深海という世界観に浸り黙々と各地を巡る「雰囲気ゲー」なのだが、最終ステージでは意外な事実が判明し、主人公の命運を分けることになる。
      + 物語の核心に迫るネタバレのため注意
    • 海底火山のさらに奥深くでは地上に住めなくなった人類によって文明が築かれていたが、深海で増殖を続ける原核古生細胞によって生存を脅かされており、すでに人の姿は無かった。人類は原核古生細胞への対策として、人間であることを捨てて原核古生細胞を無力化できる生物『圓*1』へと生まれ変わることを選択していたのである。
    • 主人公は海底文明の最深部でカプセルに入った最後の人間を見つけるが、その人物も目の前で巨大人工生物『鼎*2』によって圓へと変異させられてしまう。すると次の瞬間、主人公も潜導によってカプセルの中へ突き飛ばされ、鼎の目の前へ放り出されてしまう。鼎に取り込まれ圓となって仲間と生きていくか、鼎を倒して最後の人間として孤独に生きていくか。ラストバトルの勝敗によって主人公の命運が左右される。

賛否両論点

  • それまでのゲームレベルに対してラスボスが異様に強い
    • ステージ終盤に差し掛かってくるとアクションゲーム的な難しさも増加傾向になるとはいえ、回復アイテムは潤沢に生成できるため酸素ボンベの破損に気を付けて慎重に進めていれば進行不能になってしまうような難所はあまりない。
    • しかしラスボスは回復アイテムや酸素の補給所がない*3狭い水槽の中での戦闘を強いられ、しかも酸素を大量に奪い取る攻撃を持っているため急激に難易度が増加する。
    • この戦闘に勝利できたかどうかによって主人公の運命が変わるマルチエンディングのためあえて初見ではクリアできない難易度にする目論見があったと思われるが、難易度をイージーにしていても攻略方法を見出さない限りゴリ押しでは倒せない。 ※触手に捕まる→ボタン連打で脱出(ついでにほぼ自動的に酸素補給)→口が露出しているのでそこを攻撃の繰り返しで普通に倒せる(ノーマルでも)ので、腕の外側に一度逃げて~という戦い方を選択しなかった場合はゴリ押しよりもさらにゆるい戦いになる(まず負けない)。
  • 水中特有の浮遊感
    • さほど枯渇に悩まされることなく酸素を吹かして飛ぶように泳ぎ回れるため、いわゆるモッサリ感は覚えにくいのだが、それでもブーストなしでは機敏に泳げないので、ややもどかしく感じる人もいるかもしれない。
    • せかせかしてブーストを吹かしすぎると着地の衝撃でダメージを受けてしまうのもそれに拍車をかけている。
  • 全体を通して変わらないゲーム内容
    • プレーヤーのやることを要約すると「深海を泳ぎ回って壁を掘る」ことに終始する。
    • 一部に戦闘はあるもののそれ自体は主人公の目的とは関係なく自己防衛のためにするものであり、ゲームの進行に求められるのは基本的に資源を見つけて潜水服を強化していくことのみである。そのため、次々と与えられる達成目標をどんどんこなしていくようなゲームを好むユーザーとは相性が悪い。
    • どちらかといえば、長期的な目的に向かってコツコツと歩みを進めていくようなゲームを好むユーザーに向いた設計となっている。「次は~しろ」とか「次は~に行け」といった指示は一切なくプレイヤーの行きたいところを自由に探索できる。深海という広大でゆったりとした世界観に浸ってもらうためにあえてそのようにしたと思われる。
  • マップの明るさとライト
    • 現実の深海は日光が届きにくく、深深度の深海生物は目が極端に進化あるいは退化するというほど暗さは深海の重要な特徴の1つである。実際の深海探査でもライトで照らしていない部分は真っ暗闇になっているといった映像を見たことがある人もいるかもしれないが、本作においては暗めのエリアでも周囲の視認に困らない程度には明るい。深海の重く暗い雰囲気や、暗闇の中でクラゲや疑似餌だけが不気味に光っている…といった画を期待している人には少々物足りないかもしれない。画面の明るさを絞ることでそれらしい雰囲気には近づくが、マップなどのUIも見にくくなってしまう。
    • ステージにもよるがライトを点けた状態・消した状態で周囲の明るさの変化に乏しい(洞窟や沈没船など狭いマップではライトの有無で外壁が照らされだいぶ明るくなるが、広めの海中ではあまり変化がない)。そのため画面の明るさを絞ると今度は「ライトを点けても暗い」ということになりやすい。
    • あまり暗く作るとアクションゲームとして問題が生じるので、その部分との折り合いをつけたと考えられる。

問題点

  • ゲーム開始直後の難易度が高い
    • ゲーム開始直後、主人公の住処を覆った氷が迫ってくる状態から操作可能になる。この氷から逃げる場面の難易度が非常に高い。
    • 氷の浸食速度自体は別に速くはないのだが、メキメキと迫真の効果音を鳴らしながらツララが伸びてくるので否が応でも焦りを感じてしまう。しかしこの時点での主人公は酸素ボンベを一本も持っていないどころか、パイプ内の酸素もわずか1/4ほどしか残されておらず10秒ほどブーストを吹かしただけで空になる。
    • しかも、操作が覚束ない初見ユーザーが10メートルほど進んだところで目にするのは底が見えないほど高い崖。背後からの氷に追われて崖から飛び降りると落下中にブーストの操作説明が出るので初見プレーヤーは慌ててブーストを吹かすだろうが、先の見えない崖でどの程度ブーストをふかせばよいのかわからず窒息死してしまいやすい。
    • 実はこの崖、底が滑り台のようになだらかになっておりブーストを吹かさなくてもダメージを受けにくくなっているので、ここでのブーストの説明は無駄に初見プレーヤーを窮地に追い込むことにしかなっていない。
  • 一部の素材が余りやすい
    • 難易度が高くなることで海底探索を楽しむ余裕がなくなることを避けたのか、それなりにアクションゲームができる人であれば回復アイテム生成に使う素材は拾いきれないほど余ることになる。
    • 特に中盤~終盤にかけて、マップに表示された採掘アイコンに意気揚々と向かったが掘り出したのは持ちきれない素材でガッカリ…という場面は増えていく。
  • 潜導が邪魔になることがある
    • 潜導自体は接触判定がなく主人公の進路を妨害することはないのだが、潜導が拾ってくるアイテムには接触判定がある。それが持ちきれないほど余った資源の場合、こちらが受け取れないのにぐいぐいと押し付けてきて進行の邪魔になることがある。潜導に抱えているアイテムを捨てさせるといった指示もできない。
    • 回復アイテムを生成すれば減った素材をすぐ入手できるので便利でもあるが、素材が余るということは回復アイテムも持ちきれないほど作れるということなので、結局はアイテムを押し付けてくる潜導と付き合わなければならない場面は少なくない。
    • 健気に働く姿はかわいいが、狭い通路でこれをやられると押しのけながら進まないといけないのでストレスになる。
  • ある武器の特殊動作の使い勝手が良くない
    + ある武器に関するネタバレ
    • その武器とは、2番目に手に入る飛び道具「射出銛」のこと。
    • 敵に突き刺した際に発光液を注入したり、引き寄せて殴るといった動作が可能になるがいずれも使い勝手は良くない。
      • 発光液を注入された敵は明確に他の敵から狙われるが、発光した敵自体が主人公へ向かってくるため、攻撃的になった他の敵もまとめて向かってきて混戦状態になりやすい。結局、安全のためには発光させた敵は早めに処分することが必要になり、光らせる必要性が薄い。また、機械生命体は発光させることができない。
      • 敵の引き寄せから殴る行動がスムーズにいきにくい。接近すると相手の攻撃範囲に入ってしまうため危険を伴う。また、敵の重さによっては敵ではなく自分の方が敵に引き寄せられてしまう。それでも殴り行動自体は発動するが、安全地帯から飛び出してしまうなど予測不能な動きをすることがあり安定性に欠ける。
      • 単純に射出・巻取りを繰り返すだけでもそこそこのダメージを与えられるため、結果として弾数無制限の単射の飛び道具として使われることになりがち。その点では優秀なため射出銛自体の存在意義が失われているわけではないが、特徴的な仕様を持っているにもかかわらずそれを活かしにくいのはもったいない。

総評

美しいグラフィックと臨場感のあるサウンド、適度に調整された酸素システムにより、危険でありつつも魅力的な深海探索の雰囲気を味わうことができ、そこに世海の謎や海底に移り住んだ人類の行く末を想像力を働かせながら推察していくストーリー描写と最終局面の意外性のある展開が加わって『深世海』という1つの作品にきれいに落とし込んだ意欲作である。

クリアまで10時間前後、コンプリートクリアでプラス10時間前後、とコンパクトにまとまっており難易度・価格ともに手ごろなため、気負わずにプレーできることだろう。 せわしない操作を必要とせずまったりと遊べるゲームをプレーしたい人、シナリオや背景・主人公の心情を想像しながら世界観に浸りたい人、そして何より深海といういまだ未知の「世海」にロマンを感じる人にぜひお勧めしたい。

最終更新:2021年01月01日 13:33

*1 2本の触手を持つアンモナイトのような、漢字の「員」によく似た形状をしている。作中でも人間とはかけ離れた進化に否定的な意見が上がったようだ

*2 こちらも漢字の「鼎」の形によく似た、長い触手を複数持つ形状をしている

*3 ある方法でラスボスから酸素を獲得できるが危険を伴う