このページでは、SFCソフト『バトルドッジボール 闘球大激突!』とGBへのアレンジ移植作である『バトルドッジボール』について紹介しています。



バトルドッジボール 闘球大激突!

【ばとるどっじぼーる とうきゅうだいげきとつ】

ジャンル スポーツ(ドッジボール)
対応機種 スーパーファミコン
発売元 バンプレスト
開発元 ノバ
発売日 1991年7月20日
定価 9,600円
プレイ人数 1~2人
判定 良作
ポイント コンパチキャラによる激闘ドッジボール
チームを育成しての対戦は白熱必至
『くにおくん』とは一味違った必殺スタイル
コンパチヒーローシリーズリンク

概要

1991年7月に発売された『コンパチヒーローシリーズ』のドッジボールゲーム。
バトルとあるように普通のドッジボールではなく『熱血高校ドッジボール部』のような体力制でHPを削り合うゲーム性となっている。
ただしまんま同じではなく本作ならではの要素も多い。


内容

  • 概要の通り「当てられたら外野に回る」という方式ではなく「内野3人には体力があり、それを削り切られたら退場」というルールのドッジボールゲーム。
    • 1チーム6人構成でパス0Kというのもというのも上記作品と同じ。
    • ただ外野3人はいずれも同キャラとなる。外野用キャラは内野用キャラの半分ほどの大きさになっている。
  • ステータスは「HP」「ショット」「フットワーク」「防御力」「ジャンプ力」「体力」「MP」の7項目。
    • HP:いわゆる体力で、これがゼロになると退場(脱落)となる。
    • ショット:ショットの純粋な威力。
    • フットワーク:走った時のスピードの速さ。ダッシュショットの威力にも影響。
    • 防御力:攻撃を受けた時のダメージを軽減。(内野のみ)
    • ジャンプ力:ジャンプの高さ。ジャンプショットの威力にも影響。
    • 体力:HPの最大値。(内野のみ)
    • MP:いわゆる「必殺技を使うためのエネルギー」で、相手のショットをキャッチすると1ずつ蓄積しそれをキャラ毎に違う特定数を消費して必殺技を繰り出すことができる。
  • 必殺技は『熱血高校ドッジボール』と違って必中で、相手全員に同時にダメージが与えられる。
    • 中にはどう見てもショットに見えない技もあるが設定上は「ボールを投げている」ということで、技が終わると相手側コートの真ん中にボールがポトリと落ちてくる。
  • コートは7種類あり、それぞれ特徴がある。
    • 公園:オーソドックスで特にクセはない。
    • 火山:コート自身はオーソドックスだが時折火山噴火による地震が起きるためプレイヤー感覚で集中力を阻害する。
    • 闘技場:コート自身はオーソドックスだがボールが棘鉄球なのでダメージが増す。
    • 宇宙:重力が弱いのでジャンプ力が増す。
    • 異次元:霧が発生して時折視界を邪魔する。
    • 氷山:すべりやすい。
    • 砂漠:ジャンプ力が落ち、ボールのバウンドも落ちる。

キャラクター及びチーム

  • コンパチヒーローのガンダム、ウルトラマン、仮面ライダーと、その敵キャラがそれぞれチームを作っている。さらにダイナミック企画のロボットたちも参戦している。
  • SDガンダムヒーローズ:ガンダムF-91/ゼータガンダム/NT-1アレックス/ジム(外野)
    • 宇宙世紀ガンダム主役勢のSDキャラのチーム。性能は全体的にバランスが取れている。
  • ナイトドラゴンズ:ナイトガンダム/剣士ゼータ/法術師ニュー/戦士ジェガン(外野)
    • SDガンダム外伝キャラのチーム。防御力とショットが強いが、HPは低くフットワークやジャンプも鈍い。
  • ウルトラファイターズ:ウルトラマングレイト*1/ウルトラマンタロウ/ウルトラセブン/ウルトラマン(外野)
    • SDウルトラマン「ウルトラマン倶楽部」キャラのチーム。フットワークに優れているが、HPや防御が低く打たれ弱い。
  • グレイテストライダーズ:仮面ライダーブラックRX/仮面ライダーアマゾン/仮面ライダーV3/仮面ライダー1号(外野)
    • SDライダー「仮面ライダー倶楽部」キャラのチーム。ジャンプ力に優れているが、HPや防御が低く打たれ弱い。
  • ダイナミックマジンガーズ:グレートマジンガー/マジンガーZ/ゲッターロボ/ボスボロット(外野)
    • マジンガーやゲッターといったダイナミックプロ系キャラのチーム。HPと防御力が強いが、ジャンプは低い。
  • モビルスーツキラーズ:ビギナ・ギナ/サザビー/ジオング/ザク(外野)
    • ガンダム系の敵陣営(ジオン・クロスボーン)のSDキャラのチーム。ショットが強く、フットワークが鈍い。
  • モンスタークラッシャーズ:ゼットン/エースキラー/ゴモラ/バルタン星人(外野)
    • ウルトラ系怪獣キャラのチーム。HPが高く、ショット力が弱い。
  • ショッカーイーグルス:シャドームーン/イカデビル/ガラガランダ/ショッカー戦闘員(外野)
    • 仮面ライダーの敵陣営怪人のチーム。ジャンプ力が高いが、HPや防御力が低く打たれ弱い。

ゲームモード

スーパーバトルリーグ

  • 総当たりのバトルで勝利時には残り時間に応じて経験値が得られ、試合後にそれを振り分けてパワーアップできる。
    • 「MP」だけは成長させることはできないが、試合終了時の状態が持ち越される。
    • 1回あたり自チーム以外の7チームを相手にし、全勝するとエンディングを挟んでまた1ループする。この時、相手とコートの組み合わせが変わる。また相手もパワーアップしている。
    • 1周目のみ限定で、相手チームのキャラと入れ替えができるのでチームメイキングも兼ねている。

激闘対戦モード

  • プレイヤー同士対戦するモードで、上記「スーパーバトルリーグ」で育てたチームをそのまま使うこともできる。
    • 他に同モードで発行されたパスワードを使って育成したチーム同士での対戦もできる。

真・闘球王伝説

  • ドッジボールのRPGのようなモード
    • 上記8チームの内野キャラから1人を主人公としてドッジボールを通して仲間を加えて、キーアイテムとなる「力のプロテクター」「炎のボール」「光のペンダント」を集めて「闇王」を倒すのが目的。
    • 4つの星のうち3つの星で上記アイテムを探すのだが、RPGのようにランダムエンカウントが発生し、ドッジボールでバトルとなる。また、エンカウントする以外にも固定で登場する敵もいる。
      • 勝とお金が貰えて、それで経験値用のアイテムを買ってパワーアップする。アイテムを売っている「SHOPロア」はセーブも行っている。
      • バトルリーグとは違いダメージやMPは試合後に持ち越されているので、その回復にもアイテムを買う必要がある。HPが0ゼロになってやられてしまうと死亡扱いで永久離脱になってしまう。
      • 敵の中には本物(色がついているもの)と影(モノクロ)がいて、前者の方は戦いに勝つと仲間に入れることができる。
      • バトルリーグではウルトラマンやライダー1号など小さいキャラは外野だが、このモードでは内野に入れることもできる。

評価点

  • 根本は『熱血高校ドッジボール部』同様のゲーム性で、対戦が盛り上がりやすいゲーム性。
    • 必殺技がいつでも使えるわけではない難点もあるだろうが、シュートを止めることで発動するポイントを貯めていき、そして放てば全体に必中ダメージになるなど差別化になっている。
      • また、これによって上記作品ではキャッチしようが落とそうが同じだったが、キャッチそのものの価値も見いだせている。また「いるだけ」になりがちな外野も必殺技を同じ方法で打てるため、その存在感を高めている。
    • 攻撃を喰らって吹っ飛ぶアクションもコミカルでスピーディーに展開される。
  • 各キャラの個性が出ている必殺技アクション。
    • 例えばZガンダムならウエイブライダーに変形して爆撃したり、マジンガーZならブレストファイヤーなど、それぞれのキャラの元々の個性が活かされている。
    • アクションもド派手なものばかりで、いかにも必殺技らしい風格が出せている。
  • キャラクター育成によって、お好みのキャラクターをドンドン強化できる。
    • それぞれの持ち味はあらかじめ設定されているものの、それに縛られないキャラクターを作ることができる。
    • さらに、その育成したチームどうしで対戦もでき、既存の固定チームでの対戦よりも対戦を熱い対戦ができる。
  • 育成や試合後の入れ換えによる実質的なチームエディットで個性的なオリジナルチームを組んで対戦ができる。
    • これも単純に固定のチームに限らず、自分お気に入りのキャラを選んで取り込めるので、どんどん自分好みにできる。
      • 同様の『熱血高校ドッジボール部』では完全固定チームだったながら充分盛り上がるものだっただけに、それに更なる個性が出せるようになればより一層だろう。
      • また、それだけでなくそのための「バトルリーグ」での育成プレイも更に熱が入りやすくなる。
  • 非常に多いコートバリエーション。
    • いずれも、それぞれの個性を持っているため様々な条件で戦えて、しかもそれで対戦も可能。

賛否両論点

  • 必殺技のみ威力が上がらない。
    • ノーマルショットはショット力だけでなく、ダッシュやジャンプなどに伴い威力が増していくが必殺技にはそれがない。
    • とはいえ「必中の全員攻撃」という強みがあるため、ちゃんと機能している。

問題点

  • ダッシュの操作に少々クセがある。
    • 同じ方向を2連続というだけでなく、2回目は押しっぱなしにしなければならないのは少々扱いにくい。
    • また、細かく動くつもりが突如走り出してしまい、ラインを割ってボールを離してしまうハメになることも。
  • キャラの内部的取り込みが不十分。
    • 台詞は全員が共通で変わりないので、原作キャラらしさが全く出ていない。
    • 特に「モビルスーツキラーズ」のキャプテンであるビギナ・ギナは原作ではパイロットが女性のセシリー・フェアチャイルド(ベラ・ロナ)だったこともあって『スーパーロボット大戦』では女口調で話すのだが、本作は普通に「オレ」など男口調というのはしっくりこない。
  • パスワードがかなり面倒。
    • 50字とかなり長く使われている文字も、平仮名、片仮名、数字、アルファベット大文字、アルファベット小文字に加えて「!」や「?」などの記号まである。
    • これでは書き写しミスもしやすい。
  • 「真・闘球王伝説」はノーダメクリアができなければジリ貧になりやすい。
    • 敵のエンカウントから得られる金額が全般的に少ない(ゲームが進んでもほとんど増えない)上にHP回復用アイテムもどちらかといえば割高。そのためヘタにダメージを受けようものなら「ダメージ分を埋めて終わり」「ダメージ分すら戻し切れず」なんて日常茶飯事。
      • パワーアップアイテムもレベルが上がるまで買うには当然相当な数が必要になるので、初期のHPが残っている間にパワーアップで耐えられるようにすることも難しい。
    • また1人を強化するにも時間がかかり、仲間まで一緒に進めていると相当時間がかかる。まず1人徹底強化した方がいいというバランスもチーム制を軽視したものになっている。

総評

『熱血高校ドッジボール部』と根幹のゲーム性は同じではあるものの、キャッチすることで必殺技が使えるようになったり育成次第ではノーマルのダッシュショットが威力があったりなどちゃんと差別化がなされおり、似ていながらも違った新しい面白さを生み出している。
必殺技もそれぞれ元のキャラの特徴を活かしたものになっており、キャラゲーとしての出来もなかなか良い。 パスワードが面倒だったり「真・闘球王伝説」のなかなかパワーアップが進まないバランスなど、粗削りな部分はあるものの初作品、スーパーファミコン初期作品でこれだけの内容ならば申し分ないレベルだろう。


その後の展開

  • ゲームボーイへのアレンジ移植として『バトルドッジボール』を1992年10月16日に発売している。
    • しかしハード性能の格差はいかんともしがたく出来そのものは良いとは言い難い(詳細は後述)。

余談

  • 本作がコミックボンボンで紹介された当初の写真では「SDガンダムヒーローズ」「ナイトドラゴンズ」のHPが30しかなかった。
    • それでいて「ショッカーイーグルス」「ダイナミックマジンガーズ」はHPが倍以上の70もあるなど「まさかガンダム系冷遇?」と思わせる。
      • だが、当然そんなことがあるはずもなく結果的にはちゃんと互角の水準が維持されている。

バトルドッジボール

【ばとるどっじぼーる】

ジャンル スポーツ(ドッジボール)
対応機種 ゲームボーイ
発売元 バンプレスト
開発元 ノバ
発売日 1992年10月16日
定価 4,980円
プレイ人数 1~2人
判定 クソゲー
劣化ゲー
ポイント 目を覆いたくなるほどの劣化と鈍化
コンパチヒーローシリーズリンク

概要

上記作品『バトルドッジボール 闘球大激突!』のゲームボーイへのアレンジ移植版で1992年10月16日に発売された。
ゲーム性そのものは引き継いでいるが、劣悪なハード性能による無理が多々出ている。
本項目ではその差異にのみ触れるものとする。


内容

  • ゲームモードは上記作品から「真・闘球王伝説」がなくなり、リーグ戦と対戦モードのみとなった。
    • ただし、試合後に経験点がもらえてレベルアップできる特性は引き継いでいる。
    • 対戦モードではお互いが直接セーブデータを参照してパスワード入力の手間なくできる。
  • チーム構成は6チームに減っており、メンバーも内野2人と外野3人になった。
    • 内野のうち1人は外野と同じキャラになるが、ステータスは別枠として扱われている。

キャラクター及びチーム

  • 基本的にはSFC版からチーム名は引き継いでいる。
    • 「ナイトドラゴンズ」と「ダイナミックマジンガーズ」の2チームがなくなり、下記の6チームとなっている。
  • SDガンダムヒーローズ:ガンダム/ジム(外野)
    • 宇宙世紀ガンダム主役勢のSDキャラのチーム。性能は全体的にバランスが取れている。
  • ウルトラファイターズ:ウルトラマンタロウ/ウルトラマン(外野)
    • SDウルトラマン「ウルトラマン倶楽部」キャラのチーム。フットワークに優れているが、HPや防御が低く打たれ弱い。
  • グレイテストライダーズ:仮面ライダーV3/仮面ライダー1号(外野)
    • SDライダー「仮面ライダー倶楽部」キャラのチーム。ジャンプ力に優れているが、HPや防御が低く打たれ弱い。
  • モビルスーツキラーズ:ジオング/ザク(外野)
    • ガンダム系の敵陣営(ジオン・クロスボーン)のSDキャラのチーム。ショットが強く、フットワークが鈍い。
  • モンスタークラッシャーズ:ゼットン/バルタン(外野)
    • ウルトラ系怪獣キャラのチーム。HPが高く、ショット力が弱い。
  • ショッカーイーグルス:イカデビル/ショッカー戦闘員(外野)
    • 仮面ライダーの敵陣営怪人のチーム。ジャンプ力が高いが、HPや防御力が低く打たれ弱い。

問題点

  • キャラバリエーションが極度に貧弱に。
    • ナイトドラゴンズとダイナミックマジンガーズがなくなり、6チームになった。
    • それだけならまだしも各チーム内野は2人で、そのうちの1人は外野と同キャラになったことでより貧弱になった。
  • キャラのアクションはもっさりになり、アクションやボールスピードが異常なほど鈍くなった。
    • そのため爽快感はまったくといっていいほどなくなってしまった。
    • 1年ほど早く発売された同じバトル式ドッジボールのゲーム『熱血高校ドッジボール部 強敵!闘球戦士の巻』は、ファミコン作品に比べて多少鈍くはなったものの、それなりの速さはちゃんと保てている。
  • 内野が2人になった上、コートが広がってダラつきやすくなった。
    • 正方形に近い形になったことで範囲が広がり、ボールの投擲範囲が広がって更に内野が2人になったことも相まってムダな空間が広がりダラダラした展開になりやすくなった。
  • ゲームモードも独特なRPG「真・闘球王伝説」がなくなったことで、より単調化した。
    • 対戦ゲーに特化したとは言っても、肝心のリーグモードが上記の通りではゲーム性を狭めただけに過ぎない。

評価点

  • ゲームボーイなので、通信ケーブルによりパスワード不要でセーブデータから手間なく育成したチームでの対戦ができる。

総評

後々まで続く「スーパーファミコンのソフトを性能で格段に劣るゲームボーイに移植した無理が祟って別物のようにオリジナルの良さを殺した大幅劣化」だけにとどまらず「持ち運びできるを加味して妥協できるレベル」すら維持できずクソゲー化した典型例。
一応セーブデータ同士で育成チーム同士直接対戦できることはハードの利点を活かしてはいるが、根本のシステムがこの通りではパスワードの手間ぐらいは妥協してオリジナル版を選ぶことだろう。


その後の展開

  • 1993年7月23日に続編『バトルドッジボールII』を同じくスーパーファミコンソフトとして発売。
    • こちらは順当にオリジナル版の発展形となっている(詳細は当該記事を参照)。
    • なお、コンパチシリーズは以後もゲームボーイ移植はあったもののドッジボールは本作のみに終わった。

余談

  • スーパーファミコンからゲームボーイとなると、その性能の格差は圧倒的で移植すること自体が無謀とも思えるレベルだが『ウルトラマン』がゲームとしては辛うじてながら妥協レベルは保たれていた。
最終更新:2024年09月08日 23:43

*1 本来は「ウルトラマングレ''ー''ト」だが、「グレートマジンガー」と区別するため「グレ''イ''ト」となっている。