※このページでは『みんなのGOLF』と『みんなのGOLF2』について紹介しています。
判定は共に「良作」です。
みんなのGOLF
【みんなのごるふ】
概要
2020年時点で10作品以上がリリースされている、人気ゴルフゲームシリーズの第1作。
PS初期ながら国内販売本数でダブルミリオンを達成し、ハードの普及に大きく貢献したソフトである。
主なシステム
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打球を決めるシステムは「ゲージに沿って動く点に注目してボタンを押し、ショットのパワーとインパクトを決める」という、定番のもの。
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最初から使用可能なキャラは2人だが、VSモードで勝つことで最終的に10人まで増える。
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キャラは持ち球(フェード/ストレート/ドロー)・インパクト・パワー・コントロール・スピンで差別化されている。
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インパクトのみ数値的な明示は無いが、最初から使えるキャラは初心者向け(インパクトは簡単だが飛距離が短い)で、徐々に上級者向け(インパクトは難しいが飛距離が長い)のキャラが登場する。
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グリーンに芝目の概念は無く、グリーン上でのボールの動きは起伏のみによって決まる。パット操作時にはその起伏がワイヤーフレームで表示される。
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トーナメントモードでの上位入賞やチップイン等のスーパーショットで経験値が溜まり、規定の経験値に達すると新たなコースが解禁される。
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最大4人のプレイヤー毎に使用するコントローラーを指定できる。コントローラー1つしか無くても問題ない。
ゲームモード
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ストロークモード(1~4人): 打数を競う。
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マッチプレイモード(1~2人): 勝ちホール数を競う。
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トーナメントモード(1人): 実際のゴルフツアーの要領で順位を競う。
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VSモード(1人): CPUキャラと対戦する。勝てばそのキャラが使えるようになる。
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トレーニングモード(1人): 好きなホールを選んで練習できる。
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5コースモード(1人): ストローク形式で5コース連続プレイする。(第5コース解放後)
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パットゴルフモード(1~4人): 打数を競う。
評価点
誰もが楽しめる簡単操作
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ショット時の操作はゴルフゲームにおける定番システムであり、取っつき易い。
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カメラ移動の自由度が高い。
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ボールの位置から×ボタンと△ボタンでショット方向に対し前後移動、上下キーで鉛直上下移動が可能。ショット前に障害物や起伏などを念入りに観察できる。
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インパクトを上手く合わせるのが苦手な初心者でも、パットゴルフならその心配も無い。
サクサク進むテンポ感
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ロードはコース開始時と、各ホール開始前にそれぞれ数秒のみと短い。
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カップイン時のキャラの決めポーズなど、頻出する演出は○ボタンでスキップ可能。
演出面
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登場するキャラたちは3頭身のアニメチックな風貌で親しみやすい。
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カップイン演出もキャラ毎に違っており楽しませてくれる。
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ショットパワーが最大かつインパクトもジャストの場合、キャディが「ナイスショット!」と褒めてくれる。
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ボールが停止するまでに□ボタンを押すと、違った角度からリプレイを何回でも再生できる。
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ホールインワンやチップインバーディーなど、スーパーショットが出ると1打目からのVTRが自動で記録される(最大20データ)。
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メインメニューからいつでも閲覧可能で、思う存分悦に入れる。
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水切りショット、旗つつみといったお遊び要素も。
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バーディトライ時に流れる緊張感をあおるような音楽や、ナイスプレイ時の拍手やボギー以上を叩いたときのブーイングなど、音楽や効果音でも場を盛り上げてくれる。
問題点
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グリーン以外では起伏が表示されず、ショット前にカメラで凡その様子を掴むしかない。
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折角のワイヤーフレーム表示機能があるのだから、ボールの落下予測地点周辺だけでも表示して欲しかったところである。
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VSモードでの9人目のキャラ(ジュリオ)の強さがチート級。
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序盤からCPUがリードするとプレイヤーのモチベーションが下がるので、「最序盤で接待(故意のミス)して、後から追い上げる」のがCPUの基本アルゴリズムである。しかしジュリオの場合、この接待が最初の1ホールのみであり、2ホール目以降はバーディー当たり前、敗色濃厚かと思えばチップインを連発してくる。
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プレイヤーが勝つには1ホール目のリードを死守するしかなく、己の精神力との戦いとなること必至である。
総評
PS世代の名作ゴルフゲームとして長期シリーズの礎となった一作目。
ゴルフゲーム定番のシンプルな操作性に派手な演出、PSの3D表現を上手く活かして中高生等のゲーマー世代から親子世代にまでヒットした。
その後の長期シリーズ化もあり、ゴルフゲームといえば本作の名前をまず上げるプレイヤーも多い。
余談
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FCの『麻雀』でも見られた現象だが、本作は子供が父親に「このゲーム機を買うと、お父さんもこんなゲームができるよ」とねだる口実を作り、世のお父さんへ訴求したことでPS本体の売り上げに大きく貢献したソフトである。本作の国内累計販売本数201万本は、初代PSのソフト売上ランキング第7位。
近年のゴルフ界隈からは想像もつかないが、バブル崩壊後もこれまでのライフスタイルを捨てられない1990年代の成人男性のレジャーといえば、猫も杓子もゴルフだったのである。
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その後、本作の開発チームの中核だった村守将志氏は独立して株式会社クラップハンズを設立し、同シリーズの制作を継続している。
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村守氏はかつて『No.1ゴルフ』(1984年 エニックス)、『ワールドゴルフ』(1985年 エニックス)、『ワールドゴルフII』(1987年 エニックス)、『ワールドゴルフIII』(1990年 エニックス)などPC用のゴルフゲームを開発していた経験を持った人物でもある。
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また、キャメロットもその後『マリオゴルフ』シリーズにてゴルフゲーム開発に携わり続けている。
みんなのGOLF2
【みんなのごるふつー】
概要(2)
キャメロットから独立したクラップハンズが手掛けた続編。
1999年にPlayStationで発売された「みんなのGOLF2」。「誰もが楽しめるカンタン操作」と
「サクサク進むテンポ感」「みんなで遊べるパーティ性」、そして何より「ゴルフの面白さ」で
爆発的大ヒットとなった「みんなのGOLF」シリーズ第2作です。
ファンに愛された要素はそのままに、四季の概念をプラス!
照りつける太陽と深いラフが手強い夏、木枯らしが強烈な冬など、季節ごとに表情の変わる数々のコースで
ラウンドはますます楽しく!芝目のあるグリーンや、クラブ、ボールといったギアの存在、
そしてシリーズの顔となるスズキさんも初登場となった記念碑的作品です!
(ゲームアーカイブスの説明文より)
主なシステムの変更点
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四季の概念が追加。
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「夏はラフが深い」「冬は木枯らしが強烈」など、同じコースでも難易度が大きく変化する。
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パラメータの「インパクト」が数値的に明示されるようになった。
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このパラメータが大きいほど、下記のピンクインパクトゾーンが広くなり、ミスショットを減らせる。初心者救済の一環。
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ピンクインパクトゾーン(インパクトの許容誤差)の導入。
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前作はインパクトがジャストのタイミングから1マスでもずれるとスライス/フックしてしまうが、本作では「ジャストと同じ球筋で打てるタイミング」として前後に許容誤差を受け付けるようになった。
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グリーンが完全な平坦になり、ボールの軌道を変える要素が芝目になった。グリーン内全て同じ芝目なので、風を読む要領でカップインを狙う。
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ツアーの優勝賞品として、アイテム収集要素の追加。
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ギア(クラブとボール): 「インパクトが上がる代わりに、パワーが下がるクラブ」といった様に、トレードオフのあるパラメータ調整ツール。デフォルト含めクラブ5種、ボール6種。
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その他: メニュー画面の壁紙、リプレイ時のカメラアングル、任意のコースを左右が逆のミラーコースにして遊べる、など。
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パットゴルフが削除され、全てPAR3でハーフラウンドのミニゴルフが追加された。
評価点(2)
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長く遊べるゴルフゲームへの進化
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四季の概念による難易度の変化、お気に入りキャラのパラメータ調整、ミラーコースなど遊び応えが増した。
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コース数が前作から1コース増え、7コースになった。
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使用可能キャラが10人から13人に増加。パラメータが1つ増えた為、前作から更に個性豊かな顔ぶれとなった。
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VSモードで全キャラに勝つと、AIが上級者向けに強化された「裏キャラ」と対戦できる。
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かゆい所に手の届く改良
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ショット後のボールが止まるまでの経過を×ボタンでスキップ可能。1ホールあたりに要する時間が大幅に短縮された。
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ボールを追うカメラの種類が増えた。落下点や空中の通過点に留まって待ち構えているもの、ボールに追随するものなど現実のTV中継では有り得ない視点からの映像は爽快感抜群。
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フェード/ドローショットを打つ場合でも、落下予想位置は通常のショットと同じくカーソルの位置となり狙いやすくなった。
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キャディが「ナイスショット!」と褒めてくれる条件が緩和された。(ショットパワーが最大から1マス小さくても可)
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不要なVTRを削除、また上書きされたくないVTRは「上書き禁止」設定できるようになった。
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前作では古いVTR順に自動的に上書きされてしまい、また規定打数より少ないほど優先して記録される仕様であった。つまりデータスロットがホールインワンやアルバトロスやイーグルのVTRで満たされると「納得のいくバーディーだったのに記録されない」、「ずっと残したいバーディーのVTRが、平凡なイーグルのVTRに上書きされる」、「アルバトロスのVTRが、ホールインワンのVTRに上書きされる」という歯がゆい思いをしなければならなかった。
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イージーモードではインパクトが必ずジャストになり、初心者救済の意味合いが強まった。
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パワーモードのコントロールブレが無くなり、3W以下のクラブでも使いやすくなった。
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3Wでは微妙に届かない場合でも1Wで短く打つ必要がなくなったため、パワー調節がしやすくなった。
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1ホールごとに中断セーブが可能になり、利便性が上がった。
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コース毎に風の強さが変わるようになったので、最初のコースでは強い風が吹きにくくなった。
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SWの飛距離が長くなったので、PWとの距離差が小さくなりパワー調節がしやすくなった。
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メニューキャラやメニュー壁紙が選べるようになり、自分の好みに合わせてカスタマイズできるようになった。
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トレーニングモードで打ち直す時に方向とパワーモードの有無が保存されるようになった。
賛否両論点(2)
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グリーンの仕様変更
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「前作のワイヤーフレームで表示された起伏の方が、転がり方をイメージし易い」という意見と、「オングリーンの前から芝目が分かっているので、グリーンのどの辺りを狙えば低リスクか考えやすい」という意見が交錯した。カップインを狙う微妙な部分である故、この辺りは個人の好みが出るのも致し方ないだろう。
問題点(2)
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裏キャラのチートじみた強さ
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AIが上級者向けに強化されたと言っても、実際は「スコア差を離されそうになったらチップイン連発」なのは前作のジュリオやアイスマンと何ら変わらない。
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一応1ホールごとに中断セーブが可能なので、時間をかければ勝つことは可能。
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パットゴルフの削除
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インパクトが苦手な初心者でも遊べるモードであった為、パーティゲームとして惜しむ声があった。
総評(2)
良い所は継承し、更なる高みを目指して新要素を追加し、改善すべきは改善する。これぞ正統進化と言うべき良作である。
次作『3』以降は過剰演出や難易度上昇がエスカレートしていった為、ちょっと時間が空いた時にストレス無くプレイできる本作を今でも懐かしむファンも多い。
余談(2)
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TVCMにて「全てのゴルフファンに捧げる、国民的ゴルフゲーム」と銘打っていた。
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国内累計販売本数は125万本。前作に続きミリオンセラーとなった。
最終更新:2024年11月18日 08:45