スーパーファイヤープロレスリング
【すーぱーふぁいやーぷろれすりんぐ】
ジャンル
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スポーツ(プロレス)
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対応機種
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スーパーファミコン
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発売・開発元
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ヒューマン
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発売日
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1991年12月20日
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定価
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8,800円
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プレイ人数
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1~2人
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判定
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良作
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ポイント
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スーパーファミコンで順当にグレードアップ シリーズで唯一あの世界の巨人モデルが登場
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ファイプロシリーズ
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概要
ヒューマンの看板プロレスゲーム『ファイヤープロレスリング』(通称『ファイプロ』)シリーズの一作。
1989年にPCエンジンで始まったシリーズで、任天堂ハードとしてはシリーズ初作品となる。
内容
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組み合って腰を落としてコマンドを入力することで技をかけるスタイルは旧来通り。
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他には立ち技、グラウンド技、場外への技(ブランチャー、トベ・コンヒーロ等)、なども旧来通り。
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ストンピングやサッカーボールキックはキック技ながら絞め技同様、方向ボタンを連打して外す形になる。
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フォールを返すのはBボタンの連打。
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本作の特徴としては、相手を起こした時に体力が少ないとグロッキー状態のとき頭上に星が回るようになった。
登場レスラー
()内はモデルの実在レスラー
レギュラーレスラー(21人)
ビクトリー武蔵(アントニオ猪木)
グレート司馬(ジャイアント馬場)
サンダー龍(天龍源一郎)
アックス・ドゥガン(ハルク・ホーガン)
ハリケーン力丸(長州力)
旗本真也(橋本真也)
梶原丈(藤原喜明)
桧垣誠(船木誠勝)
氷川光秀(三沢光晴)
トミー・ボンバー(ジャンボ鶴田)
スーパー・カイザー(獣神サンダーライガー)
ファントム・ガイ(ペガサス・キッド)
ブラディ・アレン(バッドニュース・アレン)
マッド・タイガー(タイガー・ジェット・シン)
ナイト・ブラスター(ホーク・ウォリアー)
アイアン・ブラスター(アニマル・ウォリアー)
ブレード・武者(グレート・ムタ)
アストロ・ブラスター(アルティメット・ウォリアー)
冴刃明(前田日明)
ヒットマン・セイバー(ビッグバン・ベイダー)
スター・バイソン(スタン・ハンセン)
隠しレスラー(3人)
※3人とも基本的には使えないが選択画面でコマンドを入れることで選択可能となる。
ビッグ・ザ・グレート・ブル(ブルーザー・ブロディ)
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「公式リーグ戦」タッグ(パートナーはスター・バイソン)のラスボス。
若元一徹(山本小鉄)
力皇斬(力道山)
ゲームモード
公式リーグ戦
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リーグというよりは、ステージクリア的なモード。シングルなら20戦、タッグなら8戦。
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このモードのみオプション設定のレベルが影響されず、固有の15段階のレベルがありシングルなら3戦、タッグなら1戦ずつ上昇。
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1巡目は10分間1本勝負。リーグ戦と称している通り勝ち点方式で、勝ち点がクオリファイ(規定点)に達すれば次に進めて、足りなかった場合はゲームオーバーとなる。
勝ち点は「ピンフォール勝ち=5点」「リングアウト勝ち=4点」「時間切れ引分け=2点」「負け・両者リングアウト引分け=0点」。
クオリファイは2点から始まり1戦につき最後まで5ずつ上昇する。必然的にリングアウト勝ちは3回までで、4回目以降のリングアウト勝ちは、勝ちは勝ちでもゲームオーバーになる。
1巡目の最終戦を突破すると、2巡目開始のパスワードが得られる。それを入れることで2巡目が始まる。
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2巡目は60分間1本勝負で、勝ち点制ではなくなりとにかく勝てば次へ進める。
2巡目ではシングルなら20戦目の後、タッグなら8戦目の後に隠しレスラー(シングルは力皇斬、タッグならスターバイソンとB・Gブルのコンビ)との最終試合があり、これに勝てばエンディングとなる。
最終試合はランバージャックマッチとなり、場外に落ちても自動的にリングに戻されるのでリングアウトが狙えない。
また、1.2巡目ともプレイヤーのレスラーとの試合はスキップされ同キャラ戦にはならないが、最終戦だけはプレイヤーが隠しコマンドによってB・Gブルや力皇斬を使っていても変わらない。
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コンティニューは無制限に可能。ただし、その回の勝ち点は無効になる。
エキシビジョンマッチ
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フリー対戦モードで「シングルorタッグ」「1本勝負or3本勝負」「ランバージャックの有無」を選択できる。
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基本的に同キャラ戦はできないが、裏技により行うことが可能。
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ただ、グレート司馬のみ、この方法では対戦できない。
一応、タッグにして片方が「武蔵&司馬コンビ」を選んで、もう片方がEDITで司馬を含む誰かとのコンビにすれば司馬同士の対戦も可能。
オープンリーグ戦
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フリーで行えるシングルマッチの総当りリーグ戦。参加できるレスラーは最高8人(プレイヤー人数も任意)。
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勝ち点は「ピンフォール勝ち=5点」「リングアウト勝ち=4点」「時間切れ引分け=2点」「負け・両者リングアウト引分け=0点」
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リーグ表の中から任意に順番で消化し全試合を消化後順位を発表。
イリミネーション
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5対5(「先鋒」「次鋒」「中堅」「副将」「大将」)の団体戦。
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負け、引分けで脱落し、大将を破れば勝利。
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予め用意されているチームカード(下記)を使ってもいいし、自由に5人を選ぶこともできる。
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固定チームのカード
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「大和戦士」(龍・梶原・トミー・司馬・武蔵) VS「黒船軍団」(バイソン・ガイ・アストロ・セイバー・ドゥガン)
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「武蔵軍団」(力丸・カイザー・旗本・セイバー・武蔵) VS「司馬軍団」(アイアン・氷川・トミー・バイソン・司馬)
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「ストロングレスラー」(冴刃・トミー・龍・ドゥガン・武蔵) VS「ヒール軍団」(武者・アストロ・アレン・セイバー・タイガー)
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「テクニカルファイター」(カイザー・氷川・桧垣・冴刃・梶原) VS「パッワーファイター」(セイバー・ナイト・アイアン・バイソン・ドゥガン)
レスリング道場
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若元一徹がゲームのやり方を教える練習モード。
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レベルによって練習できる技が変わる。
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プレイヤーはどういう訳かハリケーン力丸で固定。
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選べてしまうと現実では山本小鉄より先輩にあたるアントニオ猪木(ビクトリー武蔵)やジャイアント馬場(グレート司馬)に教えるシュールな光景になるので、それを避ける配慮とも考えられる。
評価点
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更に豊富になったゲームモード。
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旧来通りのモードに加えて新しく「オープンリーグ戦」が追加され更にゲーム性が幅広くなった。
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PCエンジン版にはなかったレスリング道場(練習モード)により初心者でも順当に慣れていける。
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組んでからボディスラムという基本に始まり、走り技なども順番に練習していけるので従来作未経験でもすぐ馴染める。
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更にバリエーションが増えたレスラー
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わずか4か月前発売の前作『ファイヤープロレスリング2nd BOUT』から更に4人も増えている。
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ただ、同じレスラーモデルでも名前が違うのはちょっとややこしいかも…
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LLサイズレスラーの登場。
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ジャイアント馬場をモデルとする「グレート司馬」が登場。
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他のレスラーと違って倒れたりすると揺れが発生するなど特にこだわりが見える部分。
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ただ、体重では「スター・バイソン」や「ヒットマン・セイバー」等それ以上に重いレスラーがいて、彼らでは起こらないので、いささか不自然に感じられる一面もある。
問題点
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オープンリーグ戦はCPU同士の試合をスキップできず、フル観戦しなければならない。
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特に自分対CPU7人のフル参戦のリーグを行うとなると、その消化にとんでもなく時間がかかる。
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中断もできるがパスワード制でしかも相当長い。
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キャラの無理な代用。
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公式リーグ戦の1巡目を終えた際に一度エンディング(表彰式)となるのだが、その際には「リングの上でトロフィーを受け取ったプレイヤーが喜んでいる所にマッドタイガーが乱入して炎を吐いてプレイヤーを倒し、そのまま今度はトロフィーに向かって炎を吐いて焼き払ってしまう」という内容となる。これ自体は問題ないのだが、マッドタイガーがプレイヤーの場合(タッグ含む)、ブレード武者に差し代わり、更にマッドタイガーとブレード武者のタッグの場合、なんとブラディ・アレンがその役になる。
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ブレード武者の時点で「口から何かを吐く技(毒霧)を使うからということで武者が代役」という解釈でもかなり無理があるのだが、アレンに関してはモデルとなったバッドニュース・アレンまで含めて考えても炎を吐く要素がない。
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タイガーもプレイヤーが使うキャラである以上そのケースの補填は必要な事だが、この代役対応はツッコミどころしかない。
ラスボスにあたるB・Gブルや力皇斬が力で破壊、またはトロフィーを奪う形にすれば代役は必要すらなかったのではないだろうか。
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女子レスラー(レフェリー)も声が男。
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パスワードで「WOMAN」と入れるとレフェリーが工藤めぐみ似の女子レスラーになるサービス的な要素があるのだが「ブレイク!」など声は1パターンしかないのでモロに男の声。
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ダッシュやハンマースルーでレスラーとぶつかれば流血したりと凝っている割に肝心所が台無しではサービスにもならない。
総評
レスラーのバリエーションが増え、ゲームモードもさらに充実し、初心者でもプレイしながら慣れることができるレスリング道場なども完備されシリーズファンも新規層も分け隔てなく楽しめる。
あからさまに欠点と呼べるのは上記のリーグ戦のCPU同士の試合をスキップできないという点ぐらいしかない。
見た目としては旧来のPCエンジンシリーズと変わり映えしないため、いささか物足りなく思える点は否めないが、それは元々その時点でハイレベルなものであったためそこはむしろ旧来作を褒めるべきだろう。
その後の展開
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直近ではメガドライブで『サンダープロレスリング列伝』を1992年3月27日発売。
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大技はエネルギー消費でしか使用できないというシリーズで唯一の要素を持っている。
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ファイプロシリーズ八勝のPCエンジンでは『ファイヤープロレスリング3 Legend Bout』を1992年11月27日発売。
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本作の直接的続編ではスーパーファミコンソフト『スーパーファイヤープロレスリング2』を1992年12月25日発売。
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クリティカル機能を初搭載(この作品では梶原丈の関節技のみ)。
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だが全体的には同キャラ戦と『マルチプレイヤー5』による4P操作に対応した程度で本作との差があまり感じられない。
余談
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増田雅人氏のボイス
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レスリング道場で失敗すると師範若元一徹が「ダメだ!」と一喝するのだが、この声はファイプロの生みの親である増田雅人氏によるもの。
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LLサイズという独自の区分を引っ提げて堂々登場したグレート司馬だが、この1作限りで以後は権利問題により姿を消すことになる。
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これについては馬場の妻である元子夫人が「馬場を勝手に使わないでください」とヒューマンにクレームを入れたことが原因とされている。
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1995年12月発売のシリーズ作品『スーパーファイヤープロレスリング X』で坂口征二をモデルとする「ストロング信濃」というレスラーが登場し、巨体でまんざら似ていなくもないため彼が馬場モデルと誤解されることが多かった。
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固定チームカードの「武蔵軍団」VS「司馬軍団」はもちろんB・I砲モデルの両者がその陣営レスラーのモデルを引き連れてのドリームマッチ、つまり「新日本VS全日本」である。
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しかし何故か司馬軍団(全日本モデル陣営)に日本での活躍の舞台は新日本プロレスだったアニマル・ウォリアーモデルのアイアン・ブラスターが入っている。これは彼の実弟にあたるジョニー・エースの代役と思われる。
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とはいえジョニー・エースの全日本参戦は1988年からと当時は歴が浅かったので、こんな無理矢理な代役を立ててまで入れるぐらいなら1977年~1990年途中と長い間全日本に所属していた天龍源一郎モデルのサンダー龍の方がしっくりくるはずなのだが、やはり前年に全日本に対して大勢の選手を引き連れて移籍するという、まるで離反のようなことをしたばかりなので敢えて入れなかったのだろう。
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また天龍は退団の意思を伝えた折に馬場から「それだけの意思を持って出ていくなら止めないけど、その代わり挫折しても戻ることは許さないよ」と言われている。そのためこの一件を知っていれば、尚更入れるわけにはいかないだろう。
最終更新:2023年12月09日 16:18