スーパーファイヤープロレスリング2

【すーぱーふぁいやーぷろれすりんぐつー】

ジャンル スポーツ(プロレス)
対応機種 スーパーファミコン
発売・開発元 ヒューマン
発売日 1992年12月25日
定価 8,500円
プレイ人数 1~4人
判定 なし
ポイント 良質なゲーム性は引き継ぐも続編にしては進歩が今一つ
あまりネームバリューや特別さを感じない隠しレスラー
ファイプロシリーズ


概要

1992年12月に発売されたヒューマンの看板プロレスゲーム『ファイヤープロレスリング』(通称『ファイプロ』)のシリーズ作品。
前年発売された『スーパーファイヤープロレスリング』の続編にあたる。
ゲーム性はほぼ前作をそのまま引き継いでいる。


前作からの変更点

  • ゲームモードは「レスリング道場」のみオミットされ他は前作からそのまま持ち越されている。
    • 詳細な変更点に関しては後述する。
  • 登場レスラーはレギュラーレスラーが25人に増えた。隠しレスラー3人を含め総勢28人。
  • 試合前にレスラーがパーフォーマンスするようになった。
  • クリティカルが初搭載。
    • 本作では梶原丈のみで彼の繰り出す腕関節、脚関節技で一定の確率で発動し、いつもの絞めるSEとは違うSEが鳴る。
    • これが発生するとその耐久度が一気にゼロになり、リング内で主導権がある場合(ロープブレイクは除外)は即座にギブアップとなる。
  • ダウンから立ち上がる時にA・B・X・Yを押しすことで半分起き上がった状態で止められるようになった。
    • 相手が起き上がりを狙った攻撃をしてきた時に役に立つ。
  • 技仕様が一部変更されている。
    • 前作から続投したレスラーでも持ち技は一部更新されている。
    • タイガードライバーがそのままフォールできるようになるなど直接フォールできる技が増えた。
    • 流血しそうなのに前作でその対象になっていなかったビクトリー武蔵のナックルパートや旗本真也のフライングニールキックなどがイメージ通り新しく流血技になった。
  • ツープラトンが絶対的なものではなくなった。
    • 前作は2人で組めばボタン入力は適当でも確実に技が決められたが、それもタイミング良くボタンでコマンドを入れなければ出なくなった。
  • 前作はオプション(コンフィグ)で設定していたCPUレベルは各モード開始時に設定する形になった。
    • レベルは4段階。
      EASY < NORMAL < HARD < EXPERT
    • ランバージャックの有無だけでなく、ロープブレイクの有無も設定できるようになった。
  • コンフィグの新しい機能。
    • レスラーの動きがテストできる(同キャラ対戦するような形で)。
    • コントローラーのボタン押下のテストができる。
  • 全モードで同じキャラ戦ができるようになった(前作では要裏技)。
    • それに伴って色違いパターンが用意されるようになった。
    • 『マルチプレイヤー5』に対応しタッグなどで最大4人をプレイヤー操作可能になった。

各モード固有の変更点

公式リーグ戦

  • 前作同様、CPUのレベルは進むほどジワジワアップしていく方式でレスラーが増えた分、試合数が増している。
    • 1周終わると表彰式を挟んで2周目が始まり、2周目では隠しレスラーが登場するというのも変わらずだが、前作は2周目では勝ち点制が排除され勝つことだけが条件だったが、本作では2周目でも勝ち点によるクオリファアイ方式が取られている。
      • 前作では隠しレスラーが登場する最終戦ではランバージャックになったが、それもなくなり最終戦でも普通に場外でも試合が行われる。
    • 前作では隠しレスラーとの試合は1試合のみだったが、本作ではシングルで3戦、タッグで2戦行われ3人すべてと対戦する。

エキシビジョンマッチ

  • シングル・タッグだけでなく、1対2で行うこともできるようになった。

オープンリーグ戦

  • 前作同様に8枠(プレイヤー)で総当りで行うモードだが、1枠に1人のシングルでもいいし、タッグでも可となった。
    • タッグは上記の通り1人のプレイヤーで操作(主導権を持つ方のみ)する「PLAYER TAG」、2人それぞれを別々に操作する「PLAYERS TAG」から選択できる。

イリミネーション

  • これも前作通りだが「固定のチーム」「EDIT」だけでなく、ランダムでCPU任せの「RAND」が追加。
    • 固定チームは特定の固定カードのみに縛られなくなった。
    • 同じレスラーをダブらせることも可能で5人とも同じレスラーにすることもできる。
      • ランダム選択でも同じレスラーがダブって出てくることがある。
  • 固定チーム(8通り)
    • 「武蔵軍団」武蔵・大和・力丸・旗本・河野
    • 「トミー軍団」トミー・田神・風魔・氷川・バイソン
    • 「ワイルドウォリアーズ」バイソン・ボギー・ドゥガン・ギガス・セイバー
    • 「テクニカルファイターズ」氷川・桧垣・カイザー・梶原・冴刃
    • 「オールドヒーローズ」大和・力丸・武蔵・トミー・龍
    • 「新世代軍」風魔・旗本・氷川・グレイ・河野
    • 「ブラッディヒールズ」タイガー・セイバー・アブドル・武者・スティル
    • 「スーパースターズ」氷川・沖田・カイザー・ドゥガン・桧垣

登場レスラー

()内はモデルの実在レスラー

レギュラーレスラー(25人)

ビクトリー武蔵(アントニオ猪木)
ファイター大和(藤波辰爾)
トミー・ボンバー(ジャンボ鶴田)
田神朗(田上明)
梶原丈(藤原喜明)
桧垣誠(船木誠勝)
アックス・ドゥガン(ハルク・ホーガン)
スター・バイソン(スタン・ハンセン)
マッド・タイガー(タイガー・ジェット・シン)
アブドル・ザ・デンジャー(アブドーラ・ザ・ブッチャー)
ハリケーン力丸(長州力)
旗本真也(橋本真也)
氷川光秀(三沢光晴)
風魔利家(川田利明)
冴刃明(前田日明)
リック・グレイ(ディック・フライ)
ケリー・ボギー(テリー・ゴディ)
スティル・ジェームズ(スティーブ・ウイリアムス)
ヒットマン・セイバー(ビッグバン・ベイダー)*1
スマッシャー・ガンガン・ギガス(クラッシャー・バンバン・ビガロ)
スーパー・カイザー(獣神サンダーライガー)
ブレード・武者(グレート・ムタ)
サンダー龍(天龍源一郎)
沖田勝志(大仁田厚)
河野将洋(蝶野正洋)

隠しレスラー(3人)

武道剣(武藤敬司)
ダイナミック・キッド(ダイナマイト・キッド)
マスク・ド・パンサー(初代タイガーマスク)


評価点

  • ゲームの自体は良質の前作そのままなので比較的馴染みやすく、技のバランスなども良い。
    • それだけに練習モード廃止が残念に思えるかも。
    • クリティカルの実装なども含め、後のシリーズの発展にも繋げている。
  • レスラーバリエーションの増加。
    • レギュラーだけでも25人に増えており、新加入はいずれも当時一線級で活躍していた花形レスラー。
  • プレイの幅が広がった。
    • タッグが最大4人までできるようになったり1対2の試合も出来たりと、プレイの幅が広がった。
    • 同キャラ戦が正式にできるようになり色違いまで用意されたりと裏技ありきだった前作よりも特化している。
      • 果てはイリミネーションでも「オール武蔵(猪木)」などができるようになり自由度が大幅に増している。
  • ゲーム以外ではコントローラーテストの実装で、コンディションチェックが行える。
    • これはゲームに関係なくコントローラーの反応が鈍かったり、使っているうちに劣化を感じていた場合などに役立つ機能。

問題点

  • 全体的には前作とあまり変わり映えしない内容。
    • 新要素は細かい部分が多く、BGMもほとんど使い回しなので見た目での新しさはあまり感じない。
    • 新要素のクリティカルも梶原一人だけ、しかも滅多には出ないため、そこまで変わった感じはしない。
  • 隠しレスラーが格落ちしたイメージが否めない。
    • ゲームとしてのステータスこそ文句なしながら3人とも現役でしかなく、レギュラーレスラーで登場している猪木(ビクトリー武蔵)ブッチャー(アブドル・ザ・デンジャー)ハンセン(スター・バイソン)よりも年下でキャリアでも劣るなど元ネタを考えると威厳のなさが感じられる。
    • 一応、ムタ(武者)とは別口に本名で善玉の武藤敬司ベースの武道を用意し、タッグの公式リーグで「武者と武道(ムタと武藤)の同一人物タッグ」はネタとして面白い部分ではあるが、やっぱり武藤もまだまだ若手であって特別なレスラーというわけではない。
    • 1周目のエンディングで「伝説のレスラー」と言われるのだがフタを開けてみればこの通り。
    • 前作は日本におけるプロレスそのものの創始者である力道山(力皇斬)や、キャリアではレギュラーレスラーの年長級より劣るものの今は亡きブルーザー・ブロディ(B・Gブル)などいかにも特別感あふれる人選だっただけに本作に於ける人選は劣化感が感じられる。
      • 今回はレギュラー陣は新しく若手が多く取り入れられていることもあって、ブッチャー(デンジャー)、猪木(武蔵)、天龍(龍)あたりを隠し枠に回しても良かったかもしれない。
  • 公式リーグが2周目にも勝ち点・クオリファイ制が導入されたが、試合時間が60分と長くなるのはそのままのため時間切れ引分けが事実上ないのであまり意味を成さなくなった。
    • 1周目は10分だからこそ、それが生きてきただけに結局勝たなければならないのであれば大した意味がない。
    • リングアウト勝ちばかり狙うのが気に入らないというのもわからなくもないが、上記の通りツープラトンなら適当に押していてもCPUのレベル糞くらえで技が決まるという仕様がなくなったので、それも難しくなったため前作同様「2周目は勝てばヨシ」でも、さほど問題がなかっただろう。
    • また、これに伴い中断用のパスワードの文字数が42字と相当長いものになった。
      • 12字だった前作に比べると3倍以上にもなり中断、再開が面倒になり前作のようにパスワードながら手軽に扱えたことを思うと煩わしい。
      • 因みにこれは前作ではオープンリーグで使われていた文字数(40字)よりも長い。
  • 最も致命的だったオープンリーグ戦の難点「CPU同士の試合をスキップできない」が放置されている。
    • 特に本作の場合タッグが絡むことを考えると尚更でCPUはやたらタッチワークが頻繁で長引きやすいのでそれをフル観戦するとなると前作とは比べ物にならないほど時間がかかる。
    • 当然本作でもこのリーグのパスワードはフル60字分使うことになり、40字でさえ煩わしかった前作の1.5倍ともなれば尚更だろう。
      • そのためプレイヤー同士でもかなりの長丁場、CPUを交えるとなるとより時間がかかる上に、バックアップがもはや標準な時代に60字ものパスワード制などさすがに不便にしか思えないだろう。
  • 初心者には少々馴染みにくくなった。
    • レスリング道場の廃止。
      • 前作が充分売れたとはいえ実戦で慣れていけるモードは初心者に優しいので惜しいところ。
    • モードの最低レベル「EASY」でもCPUは前作の最低ランクと比べるとそれなりに反応が速くなったため最低ランクにしては強く、初心者にとってはなかなか技がかけられず、やられっぱなしになってやる気がなくなる状況が増えた。

総評

システムは前作を受け継ぎ全般的には良質で、レスラーのバリエーション増、限定的ながら新機能のクリティカル、技仕様の改良、タッグでの3.4人プレイ、同キャラ戦完全対応なども実装した発展形には違いない。
しかしボス格にあたる隠しレスラーがいずれもモデルが現役で特別感がなかったり一部レギュラーレスラーよりも格が劣って見える点などレスラーの人選には疑問符が付く点も見られる。
また公式リーグやオープンリーグのパスワード制は文字数が増え不便になった点も見落とせず、特にオープンリーグはCPUを交えるとよりムダに時間がかかる難点へのケアが全くされておらず発展形としてのポテンシャルを存分に発揮できていない。
プレイキャラとしてのレスラーのグラフィックやBGM・SEなど流用も多く、新モードもないため続編と呼ぶには今一つ新しくなった感がなく「2」というよりは「1.5」のようなイメージが強い。
練習モードがなくなりCPUの強さも最低が底上げされているため初心者のとっつきやすさが薄れ、前作経験者ありきのゲームになっていながら進歩があまり感じられないのは少々気になる所ではある。


その後の展開

  • 更なる続編『スーパーファイヤープロレスリング3 Final Bout』をスーパーファミコンソフトとして1993年12月29日に発売。
    • 本作は前作に比べて+α程度でそこまで飛躍的な発展は見られなかったが、この作品ではスーパーファミコン作品で初のエディットを搭載し、バトルロイヤルやトーナメなどの新モードに加えレスラーのバリエーションも「レギュラー56人+隠しレスラーで8人」とグンと増えて本作とは比べ物にならないほど濃密な内容になっており発展形と呼ぶには充分すぎる内容。
      • タイトルに『Final』とありパッケージでもでかでかと「シリーズ最後!!」と銘打たれているが、もはや当然というべきか最終作にはならなかった。一応数字によるナンバリングを用いた作品でいえば最後になったのは間違いないが。
    • 1994年2月4日にはマイナーチェンジの『スーパーファイヤープロレスリング3 イージータイプ』を発売。
      • エディットやバックアップがカットされている反面、隠しレスラーが最初から無条件で使用できる。「イージータイプ」の言葉通りオリジナル版に比べてCPUが弱めに設定されている。

余談

  • 本作発売から間もなくして、中古市場では前作が500円を下回るほどの極度な値崩れ状態になるという事態が発生した。当然これは値崩れするほど中古市場に持ち込まれたためなので、在庫は豊富にある状態だった。
    • そのため「レスリング道場」モードがしたければ前作を中古購入することで安価にできるようになったため思わぬ形で本作の難点の1つが間接的ながら解消したことになる。
    • とはいえ本作購入者の大多数は前作経験者であると思われるため、あまり意味はないのかもしれないが。
最終更新:2024年08月12日 17:42

*1 モデル自身は変わっていないがマスクのデザインが別のバージョン(ダースベーダー風)に変わっている。