Automachef
【おーとましぇふ】
ジャンル
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パズル
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対応機種
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Windows 7/8/10
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発売元
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Team17 Digital Ltd
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開発元
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Hermes Interactive
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発売日
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2019年7月24日
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定価
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1,520 円(Steam, Epic Games) $ 14.99(GOG)
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プレイ人数
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1人
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セーブデータ
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各ステージ毎に 5 スロット
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周辺機器
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コントローラー対応
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備考
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Unityゲームエンジン使用
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判定
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なし
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概要
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ベルトコンベアやロボットアームを使って全自動な機械化キッチンを設計する
パズルゲームである
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『Factorio』に似ているが、パズルゲームである点が『Factorio』と異なる点である。
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『Factorio』と同様に見下ろし視点であり、『infinifactory』のように機器を3次元に配置するものではないため、空間認識能力は問われない。
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Hermes Interactive はアルゼンチンのゲーム開発会社である。
システム
モード
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キャンペーン
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チュートリアルを兼ねたミッション集。ツリー形式で30問 +α。キャンペーン形式でミッションをクリアすることで次のミッションがチャレンジ可能となる。
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チュートリアルを兼ねたとはいうものの、後半は意外に高難易度である。
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契約モード
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独立した生産ライン設計者として生産ライン設計会社を運営していくモード。
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いくつかの契約オファーの中から契約金などの契約内容を確認していずれかと契約し、要求を満たす生産ラインを組む。
1度クリアしたものと同内容の契約も発生する。
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生産ラインを組んだ後に[スタート]をクリックして開店する。無事契約の条件をクリアしていれば[提出]ボタンが出現する。[提出]ボタンを押すと、契約金から
生産ラインに使用した機器の価格が差し引かれて
支払われる。無駄に機器を使用していると
赤字になる
こともある。その場合は[提出]を押さずに[リトライ]ボタンをクリックすることも出来る。
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手持ちの資金をつかって新しい機器のライセンスを購入できる。最初に提示される契約はおそらくどれも"包装機(後述)"が必要なものばかりなので、最初に包装機のライセンスを購入することになるだろう。
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契約を成功させてゆくと、より難度の高い契約が発生する。
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試験場
プレイ中
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予算内で、決められたメニューを提供する生産ラインを組む。
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主な機械
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コンベア
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ベルトコンベア。高速コンベアもある。
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ロボットアーム(シンプル)
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食材などをつかんで運搬する。基本は前後のマスの間の運搬だが、設定次第で90度回転も可能。
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ロボットアーム(スマート)
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スマートは「賢い」の方の意味で、大きさはシンプルと同じ。つかむ食材を区別できるが、つかむべき食材は1種類しか設定できない。
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ロボットアーム(ロング)
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2マス先の物をつかんだり、2マス先に運んだり出来る。スマートと同様につかむ食材の種類を1種類設定可能。
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ロボットアーム(大型)
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大きさはシンプルと同じ。1回に複数の食材をつかむことが出来る。稼働速度も早い。
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ディスペンサー
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食材を1種類だけ供給する。最短で5秒のインターバルが必要となる。
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ディスペンサー(高速)
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食材を1種類だけ供給する。最短で2秒のインターバルが必要となる。消費電力は通常タイプの2倍掛かるが、2秒しか動かないのなら、通常タイプが5秒動く消費電力より少なくて済む。ただし、設置コストは2.5倍。
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フードプロセッサー
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食材をカットする。
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フライマティック
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食材を揚げる。1度に1つの食材しか揚げれない。食材はロボットアームで投入する必要があり、ロボットアーム(スマート)で調理後の食材を指定して取り出す必要がある。ロボットアーム(シンプル)だと調理前に取り出してしまう。
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電気グリル
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食材を焼く。同時に4つの食材を焼ける。こちらも調理後の食材はロボットアーム(スマート)で取り出す必要がある。
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コンベアグリル
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コンベアとグリルが一体化したもの。コンベアやフードプロセッサーと連ねて置けるため電気コンロに比べて設置機器数は減らせるが、同時に4つ焼ける電気コンロの処理速度にはかなわない。
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コンベンションフライヤー
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コンベアとフライヤーが一体化したもの。コンベアやフードプロセッサーと連ねて置ける。そもそもフライマティックは同時に1つしか揚げられなかったので、機器数、設置面積、そして処理速度でもフライマティックを上回る。価格はフライマティックの6倍(!)だが、消費電力は1.33倍。
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アセンブラー
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最後の調理を行う。『Factrio』の組立機械のようなもの。
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アセンブラー(高等)
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液体調味料の取り扱いが可能になったアセンブラー。
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貯蔵タンク
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液体調味料の入れ物。
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ポンプ
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液体調味料を貯蔵タンクからアセンブラー(高等)、液体調味料ミキサーなどへ送る。
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液体調味料ミキサー
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液体調味料を混ぜ合わせる。
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保存ケース
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商品もしくは食材を入れておくと腐りにくくなる。腐らないわけではない。
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注文リーダー
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制御装置。注文が入るとそれをトリガーとして最大4つの機器をon/offなどの制御が可能。
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計算機
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実際は計算しない。つないだ機器の中にある食材もしくは商品の数を読み取ることが出来、その数に応じて他の機械最大4個までのon/offなどを制御できる。読み取り対象自体は制御できないため「何も入っていないならoff」という制御は不可能。
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コンピューター
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最大4つの機器と接続可能。注文数を変数に読み込める他、コンピューターだけが機器の通算起動回数を読み取れる。複数のロボットアームと繋げばセパレーターより早く均等分配が出来るプログラミングが可能。
計算機のようにつないだ機械に何が何個あるかは読み取れないし、計算機にも繋げられない。 注文数は現在の注文数であり累計ではないため、ドライブスルーの注文に対応する順序制御には使えないなど、意外に使えない機械である。
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リピーター
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注文リーダー、計算機、コンピューターからの信号を最大4個の機械に伝える。入力は1つしか受けられないため、複数のリピーターを使った論理回路の構築は無理。
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テレポーター
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2点間をワープ移動できる。ただし、一方通行。莫大な電気を消費するため、充電が必要。
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設計図
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マップ内の任意で指定した機器をその配置で記憶する。他のステージで使い回すことができる。コンピューター内のプログラムなどもそのまま保持されている。
というか、コンピューターのプログラムだけを保存する機能はないため、この方法で保存するしか無い。
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そのステージで許容されていない機器(大型ロボットアームなど)が使用されている場合は読み出せない。
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セーブ / ロード
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セーブデータは各ステージ毎になっており、同じステージからしか読み出せない。設計図は他のステージからでも読み出せる。
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開店
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[スタート]ボタンをクリックすると、開店する。開業中にプレイヤーが出来ることは[停止]を押して営業を中止し、設計モードに戻ることだけで、ただただ見守るしか無い。
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評判
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100%から始まる。注文に間に合わなかった場合、-20%される。腐った商品を出すと -30%される。最終的に 0%以下になると失敗となる。
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判定
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評判が0%以下になる前に、指定された数の注文を通せばクリアとなる。
評価点
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ルールが練られている
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"注文"の存在
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本作では客からの"注文"に対応して商品を出す必要がある。『Factory Engineer』のようにダラダラと製品を作り続ければ良いものとは一線を画している。
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ドライブスルーにおいては、客が注文した順序で商品を出す必要があり、その合間に店内からの注文にも応える必要もあり、難易度が跳ね上がる。
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停電
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最大電気消費量が定められているステージがあり、それを超えると即座に失敗となる。
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火災
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電気コンロやコンベアグリル上に同じ食材を置きっぱなしにすると炎上して火災が起きる。延焼はしない。
消火ロボットやスプリンクラーを設置してあれば消せるが、そもそも生産ラインが詰まるのが原因であり、詰まるような生産ラインなのが悪い。
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腐る
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食材および完成した商品は時間経過で腐る。
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作り置き戦術の最大の敵である。ただし、保管容器に入れておいても作り置きした商品が腐るのなら、作り置きが必要なほどの需要がないんじゃないのかともいえる。
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ネタバレとなるが、ロボットアームには癖があり、保管容器の特定の位置のモノをつかみやすい。もちろん置く方にも癖があるため、同じ位置に商品が補充され、その位置の商品が先に出されるという現象が起き、古い商品がいつまで経っても出荷されずに腐るという事が起きやすい。
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虫害
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腐ったものを放置していくと虫が湧く。隣接する機器に殺虫スプレーを撒く機械があるが、腐らせないことを考えるべきである。
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サルモネラ菌汚染
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生の鶏肉にランダムでサルモネラ菌が付着している事がある。サルモネラ菌に汚染された生の鶏肉が通過した機器が汚染され、同じ機器を通った他の食材も汚染される。
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サルモネラ菌が付着した食材は、焼くなり揚げるなりして火を通せば無害化される。
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故障
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電気コンロやコンベアグリルを長時間稼働させると故障する。ステージによっては不可避である。隣接する機器の故障を直す機器があるので、予め隣接する位置に設置しておく必要がある。
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便利なセーブ機能
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セーブデータは各ステージ毎になっており、同一ステージからしか読み出せないが、このインターフェースのおかげでどのセーブデータがどのステージのものだったかをプレイヤーが意識する必要はない。
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設計図はキャンペーンや契約モードなど関係なく自由に読み出せる。ボクが考えた最強の配置がいつでも読み出せるのは便利である。
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キャンペーンの演出が凝っている
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ステージは、ロードサイド店、空港、浜辺、コンサート会場などのバリエーションがあるが、いずれも会場に合った環境音が用意されている。
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例えばロードサイド店なら隣の道を通る自動車の騒音、空港ではそれっぽいアナウンス、浜辺ならカモメの鳴き声、コンサート会場では観客の歓声などがある。
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シナリオも凝っている
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コンサート会場の演奏の合間のラッシュアワーや、早食い大会など、最高のパフォーマンスが必要なイベントも有る。
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「xxの人気が沸騰!」イベントでは特定の品目に注文が殺到して最高のパフォーマンスが必要となる一方で、他のメニューは作り置きしていると腐ることになる。
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プレイヤーの雇用者であるロボットの倫理観がぶっ壊れていて、キャラが立っている
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ロボットは効率の良い生産ラインが組めず、自力で組もうとしては行き詰まってプレイヤーに助けを求める。
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空港が舞台のステージで「あそこでスーツケースが自由に拾えるコンベアがありましたよ」とぶっ飛んだことを言う。
航空ショーの会場では、レトロ飛行機からレアな部品を盗んで来ますと言う。
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ロボットは世界征服を目論んでおり、それがセリフにだだ漏れである。「心を入れ替えて合法的に活動します。合法的に世界を征服…違います…会社を経営する振りをしながら合法的に世界を征服…そうではなく…根絶する手段ですよ、全人類を」と本音がダダ漏れである。
あなたは人類を救うことが出来るか!?
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Epic Gamesのストアページでは「彼はまぎれもない人間です。これに関しての質問は受け付けません」とされている。
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MODに対応している
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シナリオエディターが付いており、Steamのworkshopにプレイヤー製のシナリオが本稿執筆時点で300以上公開されている。
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新しい食材やメニューの追加なども出来るが、こちらは投稿数が低調である。
問題点
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説明不足な点がある
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レシピで作り方が説明されない点がある。
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例えば"目玉焼き"は、電気コンロもしくはコンベアグリルで焼くんだろうと思って焼いてみるとどちらも焦げてしまう。
正解はフライヤーで揚げる。
実は"目玉焼き"は誤訳であり、英語版では"Fried Egg"となっている。
なお、翻訳についてはほぼ問題無く、クリティカルな誤訳はこれぐらいである。
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餃子は焼くのではなく、蒸し器で蒸さないといけない。
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白米も米を蒸し器で蒸さないといけない。
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そのステージでは使用できない機器を含む設計図が読み込めないのは当然だとしても、その説明はない。
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評価基準が曖昧である
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ミッションクリア時に"効率"という名目で百分率の評価が下される。しかしこの評価が分かりにくい。
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一応、"電力消費量","使った食材の数","装置を設置した面積","使用した装置の数"によって評価されると説明されている。
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ところが一部項目は相反するものとなっている。
電気消費量を抑えるためには消費電力の多い機器を制御機器でon/offすれば良いが、そのための制御機器を設置するため機器数が増える。
別々の製品を生産するラインの一部を共用とした場合、ベルトコンベアの数が増えて制御機器まで付け加えると結果的に機器数が増えてしまうことがある。
複雑な制御ができるコンピューターはそもそも高額で、しかもコンピューター自体はずっと稼働するため電気消費量が馬鹿にならない。
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以上のことから、プレイヤーが行う改善は相反した結果を生みやすく、レベル設計者がどの辺りを落としどころと思っているのか分からないため、"効率"の評価を高める方針が立て難い。
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『infinifactory』のように、各指標ごとに目安を示してもらったほうが分かりやすい。
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なお、契約モードでは効率は程々にして設置費用のコストカットを重視する費用対効果の方向性のため、生産効率重視の人はモヤッとするかもしれない。
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不便な点がある
早送り機能がない
開店してからの数十秒はお客が来ないシナリオが多く、ボーッと見守ることになるため、可能であれば早送りボタンを付けて欲しかった。
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Steam版では開始後[▷]ボタンで速度の変更ができる(速度3段階+停止).
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UIが大きすぎる
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何故かUIのデザインがいずれも大きく、逆に使いづらくなっている。例えば、設置する機器を選ぶときのスクロールの量が多くなってしまっている。
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UIに隠れてしまっている部分が多くなり、見えない部分の確認に手間取ることになる。
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バグが放置されている
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契約モードの"Fresh & Tasty"からの契約のうちの複数において、"注文が発生しない"というバグがあり、遂行不可となっている。
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契約モードは中盤以降買うものがない
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契約モードは序盤こそ稼いだお金で機器のアンロックを行うという目的があるが、中盤以降は買うものがなくなり、モチベーションが下がってしまう。
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機器のライセンス以外に何か買えるものがあれば良かったのではないか。
総評
本作はパズルゲームである。予算や設置な可能な床面積がギリギリまで制限されているが、パズルなのだから当然である。
『Factorio』はラインの効率についてはある意味自己満足であり、ストイックに突き詰める人もいれば、ざっくりな人もいるだろう。しかし、本作はパズルゲームであるがゆえに、求められる性能をクリアする必要がある。
そして、『Factrio』にも『infinifactory』もなく、本作にしかない要素、それが"注文"である。注文が入ってから作るのか? ある程度作り置きするのか? 作り置きを制御するのはどうやって? 注文された順番で品物を出すにはどうすれば良いのか? 結局、本作を本作たらしめているのは"注文"である。
ただし、肝心の"効率"の評価基準が明確ではないため、やりこみにくいのが残念である。
骨のあるステージも多いが、かた苦しくさせないコミカルでユルい演出も見逃せない要素である。
最終更新:2022年01月25日 01:26