てんたま
【てんたま】
| ジャンル | 恋愛アドベンチャー |  
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| 対応機種 | プレイステーション | 
| 発売・開発元 | KID | 
| 発売日 | 2001年1月25日 | 
| 定価 | 6,800円(税別) | 
| セーブデータ | 2ブロック | 
| 判定 | なし | 
| ポイント | プロローグにおける衝撃の結末 | 
 
概要
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プレイステーションで『infinity』や『メモリーズオフ』といった恋愛アドベンチャーをリリースしていたKIDのオリジナル作品。
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文章を読み、選択肢を選ぶことで物語が分岐するオーソドックスなコマンド選択式アドベンチャーゲーム。
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物語の期間は高校2年生の11月から12月のクリスマスまでの約2カ月間。
 
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主人公以外にもヒロイン視点から物語が描写されるのが特徴(後述)。
 
登場人物
    
    
        | + | ... | 
早瀬川 椎名 (はせがわ しいな)
主人公。幼い頃に母を亡くした影響でどことなく影のある印象のある高校2年生。父は海外で単身赴任をしているので一人暮らし。
 
花梨 (かりん)
一人前の天使になるため主人公の元にやってきた見習い天使。ドジでおっちょこちょいだが心優しい。試験と関係なしに主人公を幸せにしたいと心から想っている。相棒は幸せの青い鳥のアオイ。
 
渡瀬 双葉 (わたせ ふたば)
主人公の1年生の時のクラスメート。人見知りが激しい。入学式で隣の席だった主人公に一目惚れし、主人公たちのグループと付き合うことになる。
 
篠崎 千夏 (しのざき ちなつ)
主人公と友人の貴史の幼馴染み。快活だが親しい者には遠慮がなく、事あるごとに貴史をスリッパでどついている。本当は貴史のことが好きなのだが、彼からは恋愛対象として見られていないので腐れ縁の仲が続いている。
 
吉沢 初音 (よしざわ はつね)
主人公とは別の女子高に通うラクロス部のエース。仕草や面影が双葉に似ている。
 
小高 真央 (こだか まお)
初音と同じ女子高の後輩。主人公とは同じ中学校の出身で主人公に密かに想いを寄せていた。
 
榎 理香子 (えのき りかこ)
主人公と同じ高校の後輩。家が神社で巫女を務めているがお化け嫌い。特殊な霊感を持ち、見習い天使たちの羽が見える。
 
七瀬 結花 (ななせ ゆか)
一人暮らしの大学生。かつて貴史の兄に告白したが振られている。
 
以下はサブキャラクター。
 
相沢 貴史 (あいざわ たかし)
主人公と千夏の幼馴染で親友。ナンパな性格で女の子とトラブルを起こすことも多い。
本当は千夏のことが好きなのだが、腐れ縁が長く続いたせいで本当の気持ちを言い出せないでいる。
 
葵 (あおい)
貴史に本当の恋をしてもらうため、彼のもとにやって来た見習い天使。花梨と奈菜の親友。運任せのお調子者。花梨の相棒のアオイとは宿命のライバル。
 
奈菜 (なな)
千夏に恋の度胸をつけてもらうため、彼女のもとにやって来た見習い天使。花梨と葵の親友。切れ者だがあがり症。
 
相沢 早智子 (あいざわ さちこ)
貴史の姉。共働きの両親に代わって家事を取り仕切っている。
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特徴
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過去に悲しい別れ(詳細後述)を経験した主人公・早瀬川椎名の元に見習い天使・花梨がやってくる。
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そして、彼女の卒業試験の課題である「対象者を幸せにする事」を達成するために出会う女の子の誰かと恋仲になる事が目的。
 
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各ヒロインへの視点の切り替わり
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ゲームの最中、画面の切り替わりと共にテキストが主人公の視点からヒロインの視点に切り替わりが発生し、ヒロインの心情がセリフと共に語られる場面が多々ある。
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プロローグでは登場キャラの一人の双葉の視点で物語が始まり、彼女の視点で物語が進行することが多いため印象に残りやすい。
 
 
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データセーブはシステムデータ内に30個までセーブ可能。
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各データにはセーブ時に表示されていたメッセージ文がそのまま添えられる。
 
鬱展開について
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プロローグからして話が重い。
    
    
        | + | プロローグの内容 | 
高校入学の日に出会った少女・渡瀬双葉と惹かれあい付き合った主人公だが、双葉は不治の心臓病を患っていた。双葉は椎名のために生きていた証を残そうとするが、その想いも虚しく、クリスマスの日に双葉は死んでしまう……、というもの。
プロローグに衝撃を受けその後のストーリーをプレイする気がなくなった、というユーザーも。
後のDC・PS2移植ではテキストや演出がマイルドになっている。
このようなプロローグである為、双葉に感情移入していた人ほど重いものになる。
ちなみに、普通にプレイするとプロローグだけで1時間以上になる。
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メインヒロインである見習い天使・花梨が主人公を元気づけようとするのだが、その後の本編も主人公は事あるごとにネガティブな発言を繰り返す。
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どのルートにおいても花梨は主人公に対して大なり小なり好意を抱くようになるのだが、個別ヒロインルートを通ると必ず花梨が失恋するという展開になる。
 
評価点
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片手(左右両方)でプレイ可能のボタン配置、バックログ、既読・未読スキップ、オートモード、決定ボタン連打による選択肢間違い防止機能など、この時代のテキストADVゲームの標準的な機能はしっかり搭載されている。
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特定条件を満たしたエンディングを見るとサブキャラクターが主人公のサイドストーリーを閲覧できる。
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BGMの数が多く、長いもの短いものあわせて27曲収録されている。
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OPテーマをアレンジした通常BGMなど、どれも評価は高い。
 
賛否両論点
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プロローグにおける鬱展開の存在。
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これをどう受け止めるかでプレイヤー間での評価がかなり分かれる。
 
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やや高めの難易度。
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キャラクターごとの好感度がシステム上確認できない
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きちんとストーリーを把握し、キャラクターの心情を理解していないとヒロイン個別のルートに突入できない。
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個別ルートでも一つの選択肢の間違いがバッドエンドに直結するものがある。
 
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ところどころに入るヒロイン視点のシナリオ。
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ヒロインが思っていることがダイレクトにわかり攻略の手助けになる。
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一方で、大したことをしていない主人公をヒロインがいちいち持ち上げる心情吐露があったりとややくどい印象も受ける。
 
問題点
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主人公が過剰にいい人として扱われやすい設定になっている。
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女好きの親友キャラがいるのだが、初対面のはずのヒロインまで彼には見向きもせず主人公に興味を持つなどなぜ主人公だけが好かれるのか伝わりにくい場面がある。
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その親友キャラは容姿だけ見れば悪くない部類であり、見た目だけで度外視されるようなキャラではないのだが……。
 
総評
傷ついた主人公が天使の花梨や周囲の人々との出会いや触れ合いにより立ち直って前に進んでいくシナリオはなかなか評価が高い。
鬱要素などは賛否両論だが、受け入れられる人なら遊んでみても損はないだろう。
システムにも特に破綻はない。
その後の展開
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後にドリームキャスト、プレイステーション2、Windowsの各ハードにて改良版である『てんたま -1st Sunny Side-』が移植された。
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ドリームキャスト版(2001年10月24日発売)
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PS版に、シナリオのリライトやアペンドストーリー機能などの追加・変更を施した改良版。
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PS版発売から1年以内に出る、という発売形式だったが、批判の声は少なかった。
 
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Windows版(2002年6月28日発売)
 
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プレイステーション2版(2003年10月30日発売)
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DC版に、全アペンドストーリーとPCアクセサリー集に収められていたCGの収録や演出の見直し等、さらなる改良を加えた完全版というべき存在。
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2006年8月24日にて廉価版が発売された。
 
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2004年2月26日にプレイステーション2で直接的続編『てんたま2wins』が発売。
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前作の主人公椎名が別キャラクターの4角関係エンド後の状態で登場・今度の主人公は双葉の家に居候していると、前作を知っているとバリバリの鬱フラグを立てているのだが、全体的に軽いノリで鬱要素はそれほど多くない。
 
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関連作品として、2004年に発売された『Monochrome』、世界観を共有する作品として2003年に発売された『Iris ~イリス~』がある。
最終更新:2021年12月22日 23:48