本稿ではPS4用ソフト『ファイナルファンタジーVII リメイク』と、PS5/Win用ソフト『ファイナルファンタジーVII リメイク インターグレード』を紹介しています。判定はどちらも「良作」です。
【ふぁいなるふぁんたじーせぶん りめいく】
ジャンル | RPG | ![]() ![]() ![]() |
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対応機種 | プレイステーション4 | ||
メディア | BD-ROM 2枚組 | ||
発売・開発元 | スクウェア・エニックス | ||
発売日 | 2020年4月10日 | ||
定価 | 通常版 | 9,878円 | |
特別版 | 11,501円 | ||
同梱版 |
32,970円 (PS4 / 500GB) 43,970円 (PS4 Pro / 1TB) |
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プレイ人数 | 1人 | ||
レーティング | CERO:C(15才以上対象) | ||
判定 | 良作 | ||
ポイント |
美麗に生まれ変わったグラフィック 豪華キャスト陣によるフルボイス化 ターン制からアクション寄りのバトルに 分割作展開ゆえ「ミッドガル脱出」まで ボリュームは充分だが水増し感あり 一部ストーリーの改変は賛否両論 |
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ファイナルファンタジーシリーズ |
生まれる前から伝説―
1997年にプレイステーションで発売された『ファイナルファンタジーVII』(以下原作及び『VII』と表記)のフルリメイク作品。
日本に限らずゲームメーカーのクラシック名作のリメイクはその多くが原作内容はほぼそのままにゲーム性の再調整、もしくはグラフィックやサウンドの変更など、どちらかと言えば「リマスター」の方向性で行われることが多い。
だが、本作は発表当初の時点ではかなり少ない「先端技術での作り直し」を打ち出した作品、つまりフルリメイクである。
原作のグラフィックは当時最先端のものとして世間に衝撃を与えたが、本作のグラフィックもまた2020年時点で最先端レベルのものへと刷新されている。
バトルシステムも古典的なコマンドバトルからアクション性の高いものへ変更されるなど、再び時代の最新鋭へと返り咲くべく大胆に手が加えられている。
古典的なJRPGの枠を保っていた原作と異なり、本作は(クラシックモードなどの純粋RPG化させる味変要素はあれど)基本的な大枠はアクションRPGとして仕上がっている。
その期待度は高く、特に「ゲームの原初体験は1990年代中盤」がマジョリティである海外では日本以上の熱狂を産んだ。
故に多数のゲームイベントでは、ともすれば当時現行である『XIV』や『XV』以上に期待を込めて迎え入れられた。
またトップクレジットスタッフも、坂口博信氏は居ないものの平成『FF』の父ともいえる北瀬佳範氏がプロデューサー、野村哲也氏・浜口直樹氏・鳥山求氏がディレクション、何より『VII』シナリオと言えば彼と言っても差し支えは無い野島一成氏が原作同様に原案や連名ではなく中心としてテキストを監修しており、派生作品とは全く異なる、本家としての重みをもった布陣となっている。
なお、「『VII』のリメイク」は原作1本分のストーリーを複数作に分割したシリーズとしての展開が予定されており、その1作目である本作は、原作のストーリーにおける「ミッドガル脱出」までを、片面2層50GBのBlu-ray Disc2枚組という大ボリュームで収録している。
戦闘
+ | 操作キャラ解説 |
武器強化
バトルレポート
チャプターセレクトとハードモード
原作再現
これまで『VII』の派生作品は数多生み出されてきた。
しかし、最も原作の『VII』と向き合っているのは本作だと言い切っても過言ではないほど、原作の隅々にまで目をいき渡らせた上で再描写している。
そのすべてが完璧とまでは言えないものの、多くは改悪と受け取られることのない水準を保っている。
キャラクター
豊富なNPCの会話
全編のフルボイス化
ファンサービス要素
グラフィック
音楽
面白みと駆け引きの増したバトル
その他
ストーリーの改変部分
評価点でも述べた通り基本的には原作の流れを尊重している。
しかし、本来は原作終盤で現れる性格や言動などが先行的に導入されていたりなど、所々で原作プレイヤーが違和感を覚えるような描写もある。
原作では詳しく描かれなかった展開、登場しなかったキャラクターなど、それらはリメイク作品によくある追加要素かと思いきや……。
+ | ネタバレ注意 |
セフィロスの登場ががややゴリ押し気味
一部イベントの削除・変更
リアルなグラフィックになったことによる弊害
移動時の仕様
CAHPTER9で着用することになるドレスをコルネオの嫁候補イベント以外で着用できない
バトルの仕様
BGM
全体的に水増し感が否めないボリューム
引き伸ばし感の強いダンジョン
演出面
やや難のあるバトルシステム
周回要素
その他
ゲーム史に残るRPGの、"ゲームの根本からの作り直し"を標榜した実質新作として非常に大きな注目が集まった本作。
特に広告の打ち方、発売2年前辺りからのゲームフェスでの露出度はスクウェア・エニックスという会社始まって以来のレベルであり、期待度や予算(*26)は尋常ではなかった。
分割作品である事、それ以上にストーリーの改変を扱ったことは単純に商法としての問題をはじめ少なからず弊害を起こしており、エンディングのストーリーラインもそれに引っ張られる形で賛否があるが、肝心のゲーム内容は非常に高い水準でまとめられている。
原作を尊重しつつゲーム内容に合わせて新しい感覚で昇華されたイベント、原作発売以降多岐に渡った他作品へのゲスト出演によってやもすれば崩壊気味になっていたメインキャラクターたちの描写を今一度原作に近いものに帰結させたこと、それでいて派生作品もこぼさずに違和感なく取り入れた枝葉のサブストーリーなど、高い評価を得ている。
原作から様変わりした戦闘システムもオールドファンに配慮したCLASSICを難易度として搭載するなど、汲み切れなかった問題点はあれど単体のゲームシステムとして見れば完成度は十分に高い。
総合的には「あの『VII』のリメイク作品」として魅力的なゲームに仕上がったものと言えるだろう。
【ふぃあなるふぁんたじーせぶん りめいく いんたーぐれーど】
目を凝らして見る世界、
その絶叫は仲間には届いていなかったー
上記の『ファイナルファンタジーVII リメイク』のPS5版。
PS4版『VIIR』を購入済の人は100円でPS5版にアップグレード可能。
セーブデータもPS5版へと引き継ぐことができる。
2021年12月16日にはEpic Games Storeで、2022年6月17日にSteamでWin版も発売された。
PS4版を購入したユーザーにとっては不満点が少なからずある。
しかし、完全版としては元作品からちゃんとアップグレードされたものなので、PS5か高性能PCを所持している人が初めてプレイするなら本作一択であろう。
*1 移動・通常攻撃・固有アクション・ガード・回避の5つ。
*2 最大までマテリアを成長させると、未成長の同じマテリアが1個複製される。
*3 銃刀という設定のため銃撃系の武器アビリティは問題なく使用できる。
*4 振ったロッドにも攻撃判定があるので物理攻撃力は一応、死にステではない。
*5 本作で初登場したキャラクター。彼自身が絡む要素の大半がバトルに関連するサブクエストなため、基本的にストーリーにはあまり関わってこないが、ゲームプレイの面では非常にお世話になるキャラクター。
*6 一部はバトルレポートに組み込まれている。
*7 ナイトクラブなので女性だけでなく、蜜蜂の格好をした男性キャラクターも登場する。
*8 『VII』の派生作品のうちの1つで『VII』の後日談となっている。フルCGを使ったリアルなグラフィックで描かれた映像作品であり、その出来は今作とはほとんど見劣りしない。野村氏によれば『VII』のリメイクはこのグラフィックを実際にゲーム内で表現できるようになるまで待っていたとのこと。
*9 原作の公式設定絵の時点で、他キャラに比べかなり漫画チックな図体だったので、20年の時でゲーム内の見た目が大きく変更されたキャラクターと言える。
*10 ただし、『KH』シリーズに関してはスターシステム的登場であり、性格付けが変更されている『FF』キャラは彼女らに限らない。
*11 元々この2人は見た目とは反対の性格として作られていたが、本編以外では見た目通りの性格になっている事が多かった。
*12 同イベントは原作にもあるが薄暗い中で屋根をつたっていくそちらとは異なり、光源がはっきりした中で2人でアスレチックして己の素性・思想を語り合う、かなりオリジナル要素の強い仕上がりになっている。
*13 クラウドへの皮肉を込めた叱咤激励や、神羅ビル監禁時の「すいませんねぇ」などに見られた部分。
*14 ルーファウスや周りの濃い幹部ばかりが印象に残る。
*15 宝条は元々派生作品で野沢那智氏が演じていたが、既に鬼籍に入っているため今作では千葉繁氏が後任。レッドXIIIは『FFVII AC』にて友情出演として市村正親氏が演じていたが、本作から上述したように山口勝平氏に交代している。
*16 なお、この技術はすでに『Half-Life 2』(2004)のSourceエンジンの開発ですでに実装されていたため、最新というわけではない。
*17 原曲:"更に闘う者たち"。原作ではこのボスで初お披露目。
*18 従来のシリーズでも蛇のような敵による「巻きつき」など、拘束のような技はかなり多かったし、特に『IX』や『X』では一部ボスの特徴でもあった。
*19 実際、クラウドの髪型はもともとオールバックになる予定だったが、グラフィックにしたときの視認性を重視していわゆるツンツン頭になったとデザイナー自身が過去に述べている。
*20 一部のCHAPTERに限り、レッドXIII以外のパーティキャラを操作することは可能。
*21 こういったサブクエスト的要素はプレイヤーがついでの形で自然とそのパートをプレイできるように制作されるのだが、なんでも屋クエストはどちらかと言うとかなりおつかい的な側面が強く、コレを全部スルーして本作を初見時でプレイした場合はクリア時間が大体40~50時間前後であり、分作であることを考慮してもオープンワールドでは無い本作のようなRPGではこの仕様を純粋に評価できないプレイヤーは少なくない。
*22 サムかマムのクエストを達成するか、無視するかの3パターンをする必要があるのだが、HARD限定のクエスト報酬(こちらもトロフィーに必要)があるので3周で済ませるためには1周目はクエストを無視しなければならない。これはエアリスの武器を1つ後回しにすることになり、難易度が上がるので大半の人は3周では済まないということも付け加えたい。
*23 ATBゲージやMPが通常通り必要。
*24 上記シーン以外でも群衆に紛れて登場しているシーンがあるが、それこそモブ扱いである。
*25 後述する『インターグレード』では主人公として登場する。
*26 音楽1つとってみても『FF』ナンバリング作品としてさえ膨大な人数がクレジットされた。