ファイナルソード

【ふぁいなるそーど】

ファイナルソード DefinitiveEdition

【ふぁいなるそーど でぃふぃにてぃぶえでぃしょん】

ジャンル アクションRPG

対応機種 Nintendo Switch
メディア ダウンロード専売
発売・開発元 HUP Games
発売日 無印 2020年7月2日
DE 2021年1月21日
定価 無印 1,890円
DE 1,799円
プレイ人数 1人
レーティング 無印 CERO:B(12才以上対象)
DE IARC:12+(12才以上)
備考 オリジナル版は配信停止
判定 共通 クソゲー
ゲームバランスが不安定
ポイント 無印 2020年クソゲーオブザイヤー据え置き機部門大賞
エンタで陣内がやるゲーム
珍翻訳由来の語録と完成度の低さで話題に
意外と遊べると思った矢先の鬼畜難易度
処理落ちでズレまくる判定
アセット利用の弊害で著作権侵害&配信停止
感情を共有したくなる「正統派」クソゲー
DE 待望の復活に合わせ価格と画質が少々低下
ファイナル語録抹殺が深く惜しまれる
素直に喜べない二大追加要素
バグを利用したRTAでも話題に
クソゲーオブザイヤー関連作品一覧


概要

韓国のHUP Games開発のオープンワールド型アクションRPG。Unityを使用して製作されている。
元々はスマートフォン向けの『ファイナルソード MobileEdition』として展開していたものをSwitchへと移植したもの。
サムネでも分かる通り、タイトル画面がSwitch/WiiUで展開された大作『ゼルダの伝説BOTW』を模倣した露骨なパクリゲーだと騒ぎになっていた。
画面の低質さも相まって見るからに香ばしい「クソゲー」として話題となり、実際中身も大方の予想通りではあったが、その一方で一口には言えない味わいのある内容でもあった。

後述する問題点からSwitchオリジナル版は4日で配信停止に見舞われたが、約半年以上後に『DefinitiveEdition』として復活を遂げている。
ただ一部修正点があるとはいえ基本的に内容は変わらないため、本項目ではほぼ同一のものとして記述する。


ゲームシステム

基本的には弱攻撃と強攻撃を駆使したオーソドックスな3DアクションRPG。
後に道中で魔法取得イベントを介した後は覚えた魔法を4つまでセットして使うことが可能になる。
敵を倒すと経験値と金銭が入手可能。経験値を一定量入手してレベルが上昇 (LEVEL Up) すると、主人公の基礎ステータスがアップする。
金銭はアイテムの売買等で使うのが基本だが、何故かスキル取得にも同じく用いられる。スキル発動には時間経過で回復するスタミナゲージが必要。
その他、剣を納めたりロール(ローリング)による回避等が存在し、最低限+αのアクションを兼ね備えている。
ガードも備えているが、カメラ真正面の攻撃しか受け止めない仕様のため基本的に使い物にならない。

DefinitiveEditionの主な変更点

  • 映像をトゥーンレンダリング調に変更。
  • 問題となった村のBGMを修正。
  • イージーモードと2周目における女性主人公の追加。
  • 値段の微低下(1,890円→1,799円)
  • 判定のズレを多少調整。

問題点

見るからに低質なグラフィック

  • 本作はアセット(3Dの既存素材)を主に利用した作品であることもあって、映像のクオリティは低い。
    • アセットを統一感なく採用しているせいで、それぞれ雰囲気が異なる。また全体的にどこかのっぺり感が強く、テカテカしている。
    • 主人公からしてツッコミどころ満載で、 2丁拳銃の小堀 モブっぽい顔立ちに加えて何故かヘソが隠れないサイズしかないパツパツのシャツを着ている。
      • 若々しいグラフィックに見合わぬ野太い声も特徴的。特に落下時の「ぬ゛ぅ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」という悲鳴はまさにオッサンの断末魔である。
    • その他背景等々も20年近く前のPS末期~PS2初期のゲームレベルのクオリティしかない。オープンワールド系とはいえ、このクオリティでほぼ2,000円は結構強気と取られやすい。
      • 草など装飾は自前なのか、まるで折り紙で作った草のような微妙な質感のものが点々と生えているだけである。
    • ちなみにDE版ではこの画質が一段階落ちており、トゥーンレンダリング風味になっている。モバイル版を元にしたからと言われているが、何故グラフィックの質感を変えたのかは不明。
      • なお開発元はモバイル版と同じではなく、グラフィックに対する意見を聞いて調整を加えた結果、こうした色味が最適と考えたためとしている。再配信まで半年を要した理由もそこにあると思われる。
    • この処理によりリスペクト先のグラフィックに見た目が近づいたという意見もある。
      • もちろんリスペクト元がオブジェクトの視認性などを考慮してあえてそうした質感にする処理を施しているのに対し、こちらでは無印版と比較して品質が落ちているとしか思えないため、決して褒め言葉ではない。

処理落ちでズレまくる当たり判定

  • 通称ファイナル判定。見た目的にどう考えても当たっているのにもかかわらず、攻撃しても当たらない場面が多発する。これはどうにも剣の攻撃判定が小さい事と、処理落ちにより見た目通りの判定になっていないため起こるようである。
    • 特にコボルト(見た目はゴブリン)など、とにかく小さい敵に関してはこれが起こりやすい。では大きい敵では起きないかというと序盤のボスであるトロルからして当たり判定がおかしくなることがある。
      • ちなみに主人公の判定もおかしく、こちらに当たっているはずの攻撃が外れていたりして、これらの検証が進んでいない頃は「運ゲー」とすら揶揄された。
      • まともに当てやすくするコツとしては剣の鍔の部分を押し当てるように攻撃すること。スキル発動中の無敵判定を活用してとにかく前に出て攻撃をすること等。これだけやってもスカる時はスカるが、尽く攻撃を外すような悪循環は減らせる。
    • DE版や後述のPS4/PS5版では多少マシになっているが、それでも普通にプレイしていると問題レベルで発生するため、はっきりと改善されたわけではない。
      • 「ファイナル判定」は後半になるにつれて、雑魚敵が巨大化していくためか大分マシになっていく。が、今度は別の理由で理不尽化していく。
  • そもそもロックオンシステムがないため判定抜きでも敵に攻撃を当てるのはコツがいる。よって当たり判定がアテにならない上にそもそも当てづらいという二重苦に見舞われる。

苦行すぎる雑魚戦と金銭・経験値テーブル

  • 序盤の敵からして攻撃力がとにかく高い。リポップも短く、すぐに1対多にさらされるハードな仕様になっている。
    • 中盤以降は敵の平均サイズが上がるため、「ファイナル判定」に苦しむ機会は減るが、敵の強さも倍増していく。
      • 中ボスが雑魚敵として再登場するDOOM仕様なのはまだ生温い方で、雪山ステージからは1人旅に対し状態異常の凍結を使ってハメてくる敵が出現してくるのが非常に億劫。
      • 復帰後の無敵時間がないため、一度凍結にハマると最悪無限に凍結させられてしまううえ、凍結した主人公を敵は何故か積極的には攻撃しない。そのせいでかなりストレスが溜まるうえ、こういった雑魚がボスの取り巻きとして出てくるのも辛いところ。
      • 後半になれば敵の数も増え、動きも俊敏になるため嬲り殺しにされることもある。難易度の調整を完全に履き違えている。
    • 先述したようにガードが存在するが、真正面からの攻撃しか防げない性能なのになぜか「カメラが向いている方向にしか盾を構えない」仕様のせいで、ガードは基本死にアクションとみなされている。
      たとえ敵と向かい合っている状態でもカメラアングルがズレると盾を構える向きがズレるので、ゲームを始めたての頃はこの仕様にも苦しめられることになる。
    • 最初の村では教会にてお祈りをすることで体力を全回復させることができるのだが、その説明は一切ない。
    • 最終ダンジョンに至っては雑魚敵の強さもさることながら、先の取り巻きが普通に強ボスの周りにも登場する。はっきり言ってストレス要因でしかない。
      • 本作は中盤まではこういった雑魚敵を中心とした理不尽な要素が少なく遊べなくはないとする者もいるが、そういった本作を好意的に見ているプレイヤーすらストレスで投げたくなる仕様である。
  • 本作には推奨レベルが存在し、そこに到達していない場合ボス等が非常に倒しにくくなる。そのくせ最初のボスであるトロルの居る場所は村から1分とかからず到達できる距離にあり、そこでハマるのは最早本作のお決まり。
    • 当然ながらレベル上げは基本必須で、ひたすら雑魚敵を狩るのだが、経験値の入りが基本的に悪いので想像以上に討伐数が必要。見た目よりも強い敵をBGMのないフィールドで延々と代わり映えなく狩るのは地味すぎて苦痛。
      • 特にレベルがまだ上がっておらず、かつ防具も整っていない序盤はそんな雑魚戦ですら事故って返り討ち→ゲームオーバーとなることも多々。
    • 最初に貰えるのが「剣を買えるだけのギリギリのお金」というのも厳しいところ。父から「剣を買え」と言われたうえで渡されるのだが、万が一別のものを買った場合、攻撃手段がなくなって最悪詰む。
    • 金銭面ではとにかく序盤は辛いが、終盤は収入が良くなるのでそれなりにマシになる。その頃には購入可能な最新装備もほとんどなくなり、回復アイテムの補充がメインになるが。
      • ただし店売り商品は「所持アイテムが10個以上ある場合は店で買うことはできない」という制限がかかっているため、回復アイテムを多めに用意するために金銭を消費するような機会はなく、終盤はプレイスタイル次第では持て余すことも。
      • 下記の評価点の通り、本作はこの点が難易度を雑に下げたり揺るがさない措置にはなっている。ただドロップ品を狙ってモンスターと戦おうとした体力を削る羽目になると本末転倒な事態になる、という弊害は存在する。
    • また、中盤以降は比較的弱いのに経験値が良い敵がいる一方で、経験値がまずい敵ほど強かったりするなど、敵の強さと報酬のバランスが不安定になっていく。

無駄に長く広いダンジョン

  • ダンジョンは基本的に無駄に長くて怠い。そして森ダンジョンのように主人公の進行を止めるギミックがあったり、洞窟ダンジョンのように一撃死の落下トラップがあったりと重い妨害要素が盛り込まれている。
    • アセットゆえのクオリティの低さの影響で、洞窟ステージ等で見えづらい落とし穴がある。これにハマって死亡してロード…となるとため息もの。敵に吹き飛ばされて場外落ち判定になってゲームオーバーもよくある光景である。
      • また、デフォルトの男主人公の歩行速度が決して早くない事も冗長になる原因。これに加えて進行を阻む壁等により逃げられない戦闘が多発するのが面倒極まりない。

異常に固く、時に理不尽なボス

  • ダメージ計算が「攻撃力-防御力=ダメージ」となっているため、先の通り推奨レベルが足りないとミリ単位しかボスへのダメージが通らない。推奨レベルまで上げてもそこまでわかりやすく削れるボスは少ない。初期ボスのトロルはいきなりその仕様をプレイヤーに思い知らせてくる。
    • トロル自体は行動パターンがわかりやすく存在し、慣れればなんてことのない弱ボスなのだが、推奨レベルに達しない際のHPゲージの減りにくさはバグを疑われるレベルである。
    • トロルさえ越えれば序盤は概ねマシになるが、キングダムの手前の入り口に登場するヘルウォームの強さが理不尽。口が開いた短い期間しかまともなダメージが通らない(横のイボにも判定があるが防御力が高すぎる)ため、先のダメージの通らなさが如実に影響してかなり倒しづらくなる。おまけに倒しにくい雑魚敵も増やしてくるため、とにかく面倒くさい。
      • しかもオープンフィールドの真っ只中に登場するため、ボス用のエリア制限等が無い上に、ラインすら描写されていない。よって見えない戦闘エリアから少しでも離れると逃走扱いになり、再度挑もうとするただでさえ削りにくいボスが全回復で復活する
      • ほぼ無限湧きする雑魚から逃げているうちに図らずもエリア外に出てしまいやり直し…はかなり心が折れる要素である。
    • 終盤のボスは理不尽だらけ。ゴブリンズやアンデッズなど無数に同時沸きしたボスからタコ殴りにされる戦いが連続する点はあまりにも難易度調整としては投げやり。先の凍結ハメをしてくる雑魚を取り巻きに持つボスなどもただ戦いづらいだけ。
      • 最終付近は先の理不尽要素が一気に降り掛かってくるため、ストレス要素も増える。全体的にゲームの難易度調整が整っておらず、せっかくなかなかに凝ったゲームシステムの評価点を台無しにしている。

DE版の追加要素がことごとく特典として微妙

  • イージーモードが追加されているが、正直どこが簡単になったのかまるでわからない。
  • 女主人公は女パラディンのアセットを利用しているため、村娘なのに荘厳な鎧を身にまとっているという突っ込みどころがまず先にくる。更に装備を変更しても本来の主人公と違い鎧が変わらない難点がある。
    • また、シナリオの一部がカットされる。かと思いきや、女性なのに息子扱いされるなどそれに合わせた台詞変更がなく、取って付けたような仕様でもある。男児として育てられた訳でもあるまいし。
      • 性能面で言えば本来の主人公よりも良いという利点(歩行速度が早い、レベルアップ時の攻撃力強化幅が高いなど)があり、こちらが真のイージーモードと言われている。なのにこれがクリア後特典なので、最初からこの性能でプレイさせろという気持ちになること間違いなし。

その他

  • ロードは長めで、特に起動時はオープンワールドのためかかなり長い。
  • ポーズメニューでも完全な時間停止にならず、スキルで必要なスタミナゲージの時間経過回復が発生するなど穴がある。
    • 本作の調整の甘い部分の1つ。もっともこれが攻略上劇的に役に立つというわけでもない。
  • 会話ボタンとローリングボタンが同じ設定のため、慣れないうちは会話しようとしてロールが暴発する機会が多発する。
    • 会話判定の位置自体もあまり広くないようである。一応会話可能かどうかは表示されるためそれに合わせてボタンを押すのがいい…が、歩行の一歩一歩がやや大きいためか、位置を合わせようとした移動で会話判定が消えることもしばしば。
  • BGMは著作権問題ばかりが注目されるが、使用されているBGMがとにかく少ない。基本的にフィールド等でBGMがほとんど鳴らないのでとにかくプレイしていて盛り上がらない。
    • ボス戦等は流石にしっかりと流れるが、それならフィールドやダンジョンにも入れて欲しいところである。
  • 初期の村だけ何故か一々建物に入ろうとすると選択肢が出る。しかも「を開けて入りますか?」と聞かれる。
    • Ver1.5及びDE版以降はドアに修正されているが、そうではなく一々確認する選択肢が必要ないということに気づけなかったのだろうか?
      • それでいてキングダムに関しては城の入り口はおろか城壁すらも開けっ放しの状態なので、これはこれで違和感が強い。
  • 不便なショップシステム
    • 店で売られているアイテムは3つまでしか表示されず、4つ目以降は画面をスクロールしないと見ることができない。
      • スクロールバーのような表示が無いため、注意深く見ないと4つ目以降の商品が売られていることに気づけない。
    • 先述の通り「所持アイテムが10個以上ある場合は店で買うことはできない」謎の制限がかかっているせいで、回復アイテムを十分な量だけ揃えることが出来ない。
      • 更に店では小回復アイテムくらいしか販売しておらず、中~高回復アイテムはドロップ品に期待するしかない。
      • そのうえ魔法を駆使して戦う必要があるゲームなのに、なぜかMP回復アイテムは一切販売していない。
  • BGMやSEのボリューム調整は存在するが、音量の設定が徹底されていない。何故かそれら2つの項目に該当しない独立したBGMやSEが一部あり、それらは大音量で流れる。トロル戦の水飛沫の音の耳障り度合いは有名。
    • そもそもタイトル画面のBGMの音量がでかい。最初の起動時は当然オプションをいじれないため、イヤホンをしていると最悪耳にダメージを受ける可能性がある。
    • 魔法を習得した際に流れるファンファーレもまた音量が大きい。宝箱を開けることで魔法を習得する場合があるので、不意打ちを食らうこともある。
  • オアシス等、溺れなさそうなところで溺れたりする。性質の悪いことにそんなオアシスの中にも宝箱が潜んでいるので、死と隣り合わせの中で探索する必要がある。
  • 移動する浮遊床に乗ると慣性が働かないのか床だけが前に進んでしまい、主人公は床から落ちてゲームオーバーになる有名なシーンが存在する。足場しか動かない挙動は『魔界村』シリーズなどで観られた傾向だが、はるか昔のゲームの話であり、令和時代に存在するのは驚きを禁じ得ない。
    • ちなみにこれ自体はバグや設定ミスではなく仕様なのか、頑なに修正・変更しようとしない。この辺りからも技術力不足ではないかという疑念が持たれている。
  • 落下死判定もまちまちで、場所によってはスペランカーレベルの段差で落下判定になって死ぬ。そこまで多く発生するものではないが…。
    • 奈落に落ちないため地面で藻掻いたままGAME OVERになるというシュールな場面も。
  • イベントシーン中でも雑魚敵が消えないため、引き連れているとダメージが入る。あまり起こらないことではあるが…。
    • よって雑魚敵を無視した状態でイベントに突入すると、何もできないまま袋叩きにされてGAME OVERになる。
    • 戦闘中に雑魚が無限湧きするボスがいるため、この問題は回避不可。
  • フィールドマップは入手することで表示される仕様なのだが、それが置いてある場所が分かりにくい。
    • フィールド上のマップは全部で3つ存在しているが、いずれも探索によって入手できるものとなっており、シナリオを進めるだけでは絶対に手に入らない。
      • 1つ目は主人公が住む村の民家の中にあるので見つけられなくはないが、2つ目と3つ目は広大なフィールドの中にある宝箱にしかないため、攻略情報無しでは見つけにくい。
  • その他、主人公の移動に反応して連結した浮島の中に埋まる(早く移動しすぎると島が連結される部分に挟まれて動けなくなる)など変なバグもある。当然埋まれば進行不能となる。
    • セーブにまつわるバグや半ゾンビバグなども多いが、これらは普通にプレイしていればそうそうお目にかかる事はない。
  • セリフが全体的に読みにくい。
    • 後述する変な翻訳とは別に、セリフの文字が表示されたかと思えば急に縮小されて読みにくくなることがある。
      • Excelの「縮小して全体を表示する」が掛かっている状態をイメージすれば伝わりやすいか。同様の機能が勝手に働くことで、長い文章はメッセージウィンドウに収まりきるように自動的に文字が縮小されてしまうと推測される。
      • 文字が改行されている時は縮小されることは無くなる。Excelの「折り返して全体を表示する」機能に相当するものを使うか、改行を怠ることの無いようにすれば、このような不具合が起きることはなかったと思われる。

賛否両論点

やや唐突感の多いシナリオ

  • 病気の母のために薬草を取ってくるという初期の展開は、普通の流れである。
    • しかし苦労して取ってきた薬草がまったく効果がなく途方に暮れる。その直後に妖精から助けを呼ぶ声が届く…という唐突な展開に発展する。
      • 序盤の強ボスであるトロルをせっかく倒したのに徒労に終わるというガッカリ感もさることながら、前触れが一切ないため少々強引な展開と言わざるを得ない。
    • ビッグブリッジにおいて撃破ではなく撃退に留めるボスが登場するが、再戦の機会は本編中にはなく、寄り道した場所にしれっと登場するだけで終わる。
  • 序盤以降も全体的に展開の繋がりがやや悪いシナリオが続き、比較的流れがマシになってくるのはキングダム(城)に到着した頃である。
    • しかし最終決戦ではしっかりタイトル回収をしてくるなど、粋な演出もある。どういう意味かは是非プレイして確かめて欲しい。
      • 主人公にやたら重い肩書きが付くなど、見栄えに反した持ち上げ方をされたりもするが、終盤以降のシナリオはオーソドックスに収束していく。ゲームバランスは悪化していくが、シナリオは反比例してまとまっていくのは皮肉というべきか。
  • 総じてシナリオは序盤が強引なご都合展開が多いものの、終盤は案外普通にまとまっていく。面白いかどうかは別として。

変な点・おバカな点

笑ってしまうほど珍妙な誤翻訳

  • 通称ファイナル語録。基本的に翻訳は低品質で、ニュアンスがちゃんと伝わらないことも多い。字幕による台詞の話者が間違っていることも多く、話しかけた主人公が自問自答することも多い。
    • 序盤からして病気で苦しむ親に向かって「もう少しだけ辛抱なさい」と何故か偉そうな口調で語りかける主人公と、それに対し病気の母が「危ないことはするなよ」と厳しい口調で返してくるやりとりがある。
    • 酒場にいるクリムおじさんとの会話が全く噛み合っておらず、何を言っているのか理解に苦しむ。
      • 他にも有名なものとしてビッグブリッジにおける橋の番兵が放った「お前すごいな」「さっきは無視してごめんな」がある。これ自体はボスと戦い追い払った主人公を見ての賞賛の言葉であり、誤訳ではない。しかしニュアンスが伝わりづらい*1うえ、あまりに直球すぎる台詞でプレイヤーの腹筋を崩壊させた。
      • 字幕の配置ミスもあり、主人公に世界を救うことを託して先へ行く道を提供した神木が最後の最後で「ここは人間ごときがくる場所ではない」と返して突き放してくるシーンは最早語り草。これはこの後に現れるダンジョンの中ボス「ジニーキング」が言うセリフを間違えて入れてしまったためと考察されている*2
    • アイテムに「攻撃スペルカード」と「防御スペルカード」が存在するのだが、説明文を読むとどちらにも「攻撃力を一時的に10%上げる」と書かれているミスがある。 攻撃は最大の防御ということか。
    • これらは本作最大の笑いを司っており、単なる翻訳ミスに収まらないネタとして昇華しており、わかりづらさとは別に魅力になっている。
      • このためDE版及びオリジナル版の修正パッチで修正された際は多くのプレイヤーが「何故修正したのか」と嘆いた程であった。製作者としては不具合なので直すのは当然ではあるが惜しい点。
      • しかし全体的にわかりづらいことに変わりはない。魔法使いから魔法を取得するイベントの時のように「お前よくやったね…」と不穏な台詞とともに禍々しいオーラを放ってくるせいで「裏切られた」と勘違いしてひやっとする場面もある。
    • ちなみにこれらの語録は先の通りVer1.5、及びDE版では 残念ながら 修正されている。その改訂版もいかんせんぎこちなさは拭えていないが。
  • また翻訳とは直接関係ないが、なぜか無駄に感嘆符が多いのも特徴。「ん?????」「はい?!?!?!

おかしな演出

  • ボスの登場演出ではヒドラが何故か無意味に後方確認をしたり、王様に化けていたデーモンがタックルを決めて王宮から逃げ出すシーンがあったり、何故か主人公を物陰から眺めるゴブリンと、シュールで緊張感のないシーンが多い。
  • モンスターの鳴き声がおかしいことがある。序盤の子犬のように鳴く二足歩行のウェアウルフや、猫のように鳴く食人植物などが良い例。
    • 鳴き声が可愛いため愛嬌とされることもあるが、笑ってしまうがゆえにやはり緊張感がない。そもそも何故このチョイスをしたのか疑問。なおそれらは声に見合わず周辺のモンスターと比較して強い傾向がある。
  • テレポートする際に出現する魔法陣には、よく見ると「あ」「ぶ」「よ」というひらがなが三方に大きく描かれている。これに関しては何を意味しているのかが不明であったが、アセットデモ動画の作者コメントにて「適当に良さそうなのを選んだ」と返答している。*3
    • この魔法陣自体が「あぶよ」を含めてアセットなので、何を意味しているのかは開発元のHUP Gamesにも分からないだろう。
  • 本作ではレベルが上がると、無駄に音量の大きいファンファーレと共に画面中央にでかでかと「LEVEL Up」(何故かpだけ小文字)と表示される。
  • ゲームをクリアするとHUP Games公式からのメッセージが唐突に流れ、その中に評価を求める要望まで書かれている。それ自体は (この完成度で評価を求める図太さを除けば) そこまで問題視しなくても良いかもしれないが、エンディングムービーの終盤にぶち込んでくるので、余韻が台無しになっている。
    • 通常であればスタッフロールの終盤かクリア後の特典で追加されるメイキング公開等の項目に入れておくものであり、本編ストーリーイベントのシーン中に入れるべきものではない。
  • これらはいずれも雰囲気に合っているかは疑問だが、そもそもが珍翻訳の宝庫であり、かつ全編に渡るチープなグラフィックも相まって愛嬌として受け取るプレイヤーもいる。
    • 本来は問題点であるはずの浮遊床による謎の落下死・溺れなさそうな場所での溺死・シーン中のハメ殺しすらも(プレイヤー次第とはいえ)ギャグとして受け止めてしまうかのような味付けになっているといえる。

評価点

基本的なシステムは意外としっかりしている

  • もう少し技術力が足りていれば普通に遊べていたであろうというくらい、アクションRPGとしての基礎的な要素はしっかり揃っている。
    • 弱攻撃と強攻撃のコンボの入れ方などに慣れてくると、序盤で苦戦する敵を相手にしてもなんとかやっていける。
    • 持てるアイテム上限は厳しく設定されている。本作はポーズメニューが呼び出せるタイミングならアイテムを自由に使えるため、上限がなければ逆にゴリ押しでどうにでもなってしまうゲームになっていた可能性もある。
      • 戦略性の構築をプレイヤーに考えさせることには一役買っており、これ自体は悪くない。
  • 概ねどこでもセーブできるため、こまめにセーブをしておけば落下死等の一撃死ギミックを一応防げる。
    • 不具合発生ポイントでうっかりセーブしてしまったということがない限りは原則詰みの防止が可能。また手動セーブしてしまってもオートセーブもあるためロールバックもできる。

フリーズバグがない

  • 悪い箇所が目立つせいで あまり気づきにくいが、途中でゲームがフリーズして強制終了(電源OFF)する事はまず無い。
    • フリーズは特は他のゲーム作品でも起こりうる現象であり、本作もSwitchに最適化されていないのか、fpsがガッツリ落ちる場面などもあるためゲーム機の処理自体はかなり難儀しており、起こりそうな状態にはしばしばなるのにもかかわらずである。
    • 細かいバグについても普通にプレイしていれば起こる可能性の少ないバグが主。一般的に持て囃されるバグの多くはプレイヤーがやり込んだ結果発見されたものがほとんど。
      • ただし初歩的なバグである壁抜けなどは各所に存在しており、特に初期は初心者が作ったゲームにありがちということで壁当たりと呼ばれるデバッグ作業と同じ行為をプレイヤーがやったところ、抜けられる地形があっさり発見されてしまった。

スキルシステムによるやりごたえ

  • 金銭を消費して取得という、ソウルライクに近い癖のあるシステムだが、覚えられるスキルは多く、これらを目指して金銭を稼ぐという目標を得やすい。
    • モブ感溢れる主人公からは想像もつかないような強力かつ気持ちのいいコンボアクションも存在する。

装備を反映するグラフィック

  • 頭装備はないが、剣、盾、鎧を装備でき、それらはすべて装備によって外見がしっかりと変わる。この点はゼル伝BOWをリスペクトしたような評価点と言えなくもない。
    • アセットとはいえ見た目の良い装備を実装しているため、新装備を得た時は結構盛り上がったりもする。
      • ただ店売り商品が少なく、その多くがイベント入手なため買い物する楽しみについては少々物足りない。これも金銭式スキルシステムの弊害なのだろうか。

総じて開発元の気概は伝わってくるクオリティ

  • 所謂アセットフリップにありがちなあからさまな手抜きは少ない。基本的に技術不足で物足りなさを感じる部分が多く、開発者が精一杯アセットを駆使してゲームを構築している気概は伝わってくる。
    • 例えばデーモン戦はボス戦としては非常に理想的な調整がされており、それぞれの攻撃に対策を考える手段がある。
      • 先述した中盤に登場するヘルウォームも調整不足なのは否めないが、しっかり対策を考えながら戦えるため、面倒くさいが決して方向性は間違ってはいない。
    • バグ修正も熱心であり、初歩的なバグやショートカットできてしまうバグなどを逐次修正している。
      • なぜそこを修正しないのかといったバグも多いが…本作をより良いものにしようとする意思は強い。

総評

アセットフリップによく見られる投げやりな感じはほぼなく、良いゲームを作ろうとした気概は感じられる作品。
しかしSwitchという舞台においてもこの低質なグラフィックと、見た目よりは良いゲームシステムを台無しにする難易度では「ネタ」以上の評価を大衆から得るのは困難であった。
バグや不具合等も多く、進行不能に陥る場面も高頻度ではないが逐次発生しており、SNSなどでも多く報告された。このことから、全体的な出来の悪さから目を背けるのは難しい。

一般的に評価される点も、正直なところを言えば「期待値が低く評価のハードルも低かったことから、やってみたら意外と面白かった」というものがほとんどである。
つまりARPGとしては基本的なことはできているが、その先の完成度が圧倒的に足りないという事実は残念ながら否定しようがない。
何より難易度調整が非常に稚拙で、しかもそれらが非常に理不尽な方法での難易度の上げ方であることから、プレイヤーとしてはストレスが溜まる。
当初評価していたプレイヤーもこれらの難易度調整から本作の不出来さを語ることが非常に多い。

2,000円弱という価格を考慮してもかなり微妙な完成度のゲームなのは確かだが、不思議とクソさの中に魅力も備えた作品であり、KOTYでは「感情を共有したくなるクソゲー」と称された。
実際、本ゲームのクリア後には制作側の感謝の言葉が若干拙さ漂う日本語で述べられたり、しっかり対応すべき点は対応するなど、制作側のゲームに対する情熱は疑いようがない。
他のKOTY級作品のように露骨に手を抜いた結果として、壊滅的なクオリティになったということはあまり見受けられず、こういった存在は稀有。
まるでかつての『デスクリムゾン』を彷彿とさせる、長きにわたり愛されるであろうクソゲーと言えよう。

その甲斐あってか、件のクリアメッセージでは別のゲームにも期待して欲しいという一言が添えられるが、それに対して冷たい言葉を述べるプレイヤーはそこまで多くない。
HUP Gamesの今後の成長に期待したいところである。


余談

初版の配信停止について

  • 本作のグラフィックやエフェクト、BGMにはアセットが使用されているのは前述した通りだが、そのBGMアセットの1つに「ゼルダの子守唄」のアレンジが混入していたことが発覚。任天堂との話し合いの結果、Switch版は発売から僅か4日後の2020年7月6日に配信停止となってしまった。
    • HUP Gamesによると、BGMを専門に扱う別企業から購入した曲アセットの中に問題の楽曲が入っていたとのこと。こればかりは一概にHUP Gamesのみに問題があるとは言えないだろう。
      • なお、各種スマートフォン用の『MobileEdition』には問題のBGMは使用されておらず、配信は継続されている。「何故そこだけ変えた?」と思われるかもしれないが、モバイル版は使用楽曲の多くが据え置きハード版とは異なっている。つまり据え置き化するにあたって使用BGMを一新したらたまたま無断盗作の不正アセットを使ってしまっていた、という不幸である。

エンディングについて

  • HUP Games公式からはエンディングの部分だけは動画公開をしないでほしいとの要請が出ている。ネタバレ防止するようなすごい内容ではないと言われがちだが。一方で配信自体は歓迎されている。

「エンタで陣内智則がやるゲーム」

  • あまりにも香ばしいクソゲーっぷりから様々なあだ名で呼ばれた本作だが、その中に「エンタで陣内がやるゲーム*4」というものがあった*5
    • そして、そのあだ名が本人に伝わった結果、何とYouTubeで陣内氏本人が本作の実況プレイを行うという珍事が発生した。
      • ちなみに当時Switch版は配信停止されていたため、陣内氏がプレイしたのは配信が継続されていたMobileEdition(スマホ版)の方である。
      • プレイ動画は大いに話題を呼び再生回数が100万回を突破するなど陣内氏のチャンネルではネタ動画に次ぐ大ヒット企画となった*6
      • 氏はこの手のファンタジー系ARPGにはあまり明るくなかった模様で、当初はどのようなツッコミが正しいのか分からず、特に突っ込むべきでもない所にツッコミを入れたり、逆にツッコミ所を見逃すなど手探りでやっていたが、徐々に感覚を掴んでいった様子であった。
      • このゲームがきっかけになったのか、陣内氏はクソゲーハンターとしての道を歩み始めることに。

クソゲーオブザイヤー関連

  • KOTY2020では配信停止された旧Switch版を元に選評が作成され、最終的に大賞を受賞した。
    • 総評では、最低限の完成度を持っていて意外と遊べるからこそ、クソゲーと分かっていながらもついつい進めたくなってしまうという味わい深さが強く評価されている*7
      • 本作の前後の作品は最低限度の完成度すら保たれていなかったり、露骨に手を抜いた結果プレイヤーに不快な思いばかり与える作品が多かったりと、もはやゲームの体を成していないものが印象に残り続け、いかに「ゲームではない何かであることを極めた作品を選ぶか」という幕引きになる年がしばしば出てきていた。
    • そんな経緯の中、本作がKOTYスレ民の目に止まったのは良くも悪くも奇跡と言い得ることであり、「単純な完成度だけではクソゲーを語れない」「クソとは何を意味するのか」というクソゲー論に対する原点回帰を呼び起こさせた。
      • 「KOTY大賞のあり方を変えた」という点では、ある意味『四八(仮)』と似た境遇であり、あり方としては対照的な2作でもある。

RTA走者による研究

  • RTA走者に目をつけられたことで研究が進み、「ファイナルソード学会」と呼ばれる一大界隈となっている。
    日本最大のRTA配信イベントである『RTA in JAPAN 2020』では無印のAny%が取り上げられ、RiJ当時最多の6万人超えの同時接続を達成。『2021 Winter』ではDefinitiveEditionの100%ランが大トリを任せられるという異例の活躍を見せている。
    • そして『2021 Winter』の途中で「本作の続編が開発中」という衝撃の事実が発覚。こういったネタ扱いもあって本作は想像以上にセールスが良いようである。
      • 走者のブログでの解説によると「開発元とメールでやり取りしてたら教えてくれた」という、やっぱり異例のものだったとか。

PS5版以降の移植について

  • 2022年5月19日にPS5版が、同年9月28日にはPS4版が発売された。どちらもSwitchオリジナル版と同じ『ファイナルソード』単独のタイトルとなっている。
    • スペックが上がったことで本作の諸問題の多くが改善され、追加要素も増加された。しかし直されていないバグや新しいバグもある。
    • 先の学会員を中心に本作のためにPS5を揃えたというガチ勢も少なからずいる。そのため意外と変更点や調整点の検証が進んでいたりする。「初期Verに存在した進行不能バグ*8を、別のバグで抜ける」という対処法がサクッと出てくる辺り、学会員も大概である。
    • PS5版ではハードスペックの増強に伴い処理落ちがほぼ起こらない。そしてファイナル判定が改善されていることから「ファイナル判定の原因は、フレームスキップした際、描写だけでなく処理自体もスキップされているためである可能性が高い」という学会員による考察が上がっている。

その他の展開

  • 2023年3月23日からSHIBUYA TSUTAYAにて本作のポップアップストアが期間限定オープン。まさかのグッズ展開である。
    • 本作のロゴやゲーム中のUI・スクリーンショットなどを用いたファイナルグッズの数々はオンラインストアでも購入可能。
最終更新:2024年02月21日 14:56

*1 特に後半はキングダムへ向かうために橋を渡りたいとする主人公の訴えを退けたことに対する答えだが微妙に噛み合っていない。

*2 ただしジニーキングの場合「人間がこの場所に現れたのは初めてだが」と少し荒い口調で、神木の場合は「人間がこの場所に現れたのは初めてだけど」と若干口調が異なることから、ほぼ同じ台詞を用いたことで混同してしまった可能性もある。修正版ではまったく違う台詞に変えられている。

*3 ギリシャ文字の「α(アルファ)」「β(ベータ)」「γ(ガンマ)」を似たような形のアルファベットである「a」「B」「y」に直し、更に無理矢理日本語の「あ」「ぶ」「よ」に直したという説が有力とされていた。

*4 お笑い芸人の陣内智則氏は『エンタの神様』などのTV番組で「ツッコミ所だらけの架空のゲームに都度ツッコミを入れながらプレイする」というネタをやっており、それに出てきそうなゲームであるという意味。

*5 元はとある実況者がプレイ開始時から立ち込める微妙な雰囲気から本作を例えた一言。これが本作を象徴する発言として広まっている。

*6 その後スタッフが手違いにより動画を大量に消してしまった中に本シリーズも含まれており、後にアップロードし直しため現在の再生数には反映されていない

*7 翻訳ミスが致命傷となり次点となったKentucky Route Zero: TV Edition(通称ケンタ)は、顔を背けてそれで終わりと評されており、笑いに昇華することができなかった。

*8 イベントシーンに入ると強制的にゲームオーバーになってしまう不具合。なおこれは速攻で修正パッチで改善された。