バックガイナー よみがえる勇者たち 覚醒編「ガイナー転生」
【ばっくがいなー よみがえるゆうしゃたち かくせいへん がいなーてんせい】
ジャンル
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ドラマチックシミュレーション
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対応機種
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プレイステーション セガサターン
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発売元
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ビング
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発売日
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【PS】1998年1月29日 【SS】1998年7月30日
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定価
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5,800円(税別)
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判定
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クソゲー
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ゲームバランスが不安定
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ポイント
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チープすぎるグラフィック アニメだけは質が高い バランスの悪いSLG部分
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概要
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ビングから発売された戦術SLGソフト。
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『はるかぜ戦隊Vフォース』と同様にゲーム中に大量にアニメムービーを取り入れている。
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『覚醒編』とあるように、春発売予定の2作目『飛翔編』と夏発売予定の3作目『完結編』が予告されていて3部作構成で展開される予定だった。
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だが2作目の『飛翔編 うらぎりの戦場』は1998年春発売予定が1998年6月25日に延期(SS版の飛翔編は1998年10月1日に発売)。
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さらにメーカーの事業撤退により3作目の『完結編 そして、明日へ』は1998年夏発売予定だったが未発売に終わった。
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プロデューサー・シナリオ・脚本etcは能戸隆。キャラクターデザインとメカニック原案は平井久司。
ストーリー
21世紀初頭、科学的には発達してはいるが、日常生活は今までとさほど変わらない平穏な日々が続いている。
そんな折り、ここ日本で人間の消滅、怪物の出現といった不可解な事件が起き始める。
原因は一般には知られず、報道機関では、連日評論家たちがおもしろおかしく取り扱っていた。
しかしその影では、この事件を独自に捜査し、解決すべく警視庁特殊警察機動隊(通称:特機隊)が結成され、人型兵器を駆使して活躍していた。
そんなある日、いつものように登校していた「慎(しん)」と「なつみ」は機動隊の交通封鎖に遭遇する。
空を飛び交う報道ヘリにいつもの静かな朝はかき乱されていた。そこで2人が目にしたものはビルの合間から飛び出す特警用シェルと怪物の姿であった。
撃墜された報道ヘリの爆発に巻き込まれ負傷し、動けない「なつみ」を助けるため、「慎」は乗り捨てられていたシェル「リブラル」に搭乗するのだった。
(説明書より引用)
特徴的なシステム
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シンクロレベル
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敵味方すべてのユニットにはシンクロレベルというものがある。
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このレベルが高いほどより力を発揮することができるが、レベルが低下してしまうと攻撃ができなくなったり移動不可能になる。
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簡単に言うと状態異常のようなもの。
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回復するためにはシンクロを行う必要があり、1ターン以上を消費する。
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シンクロレベルは「シンクロ」コマンドで上昇させることが可能。
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格闘戦用の武器で攻撃すると相手のシンクロレベルを少し低下させることができる。
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バーニング(BURNING)
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敵味方すべてのユニットにシンクロレベルと並んで付いているパラメータ。
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敵からダメージを受けると上昇する。
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このパラメータは敵味方に個別に設定されており、上がり方が違う。少ししか上がらない敵もいれば、一気に100に上がる敵も存在する。
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バーニングが100になるとバーニングコマンドが選択可能になり、パワーアップ状態になる。攻撃力と防御力と命中力それぞれが一時的に上がる。
評価点
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キャラクターデザインとメカニックデザインは良い。
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仲間がほぼ女性。
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シェル(ロボット)デザインも個別に用意されている。
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アニメの出来
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発売当時ではかなりの高いクオリティを誇るものになっている。
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ボイスも声優の有名どころを起用したのもあって特に違和感はない。
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戦闘パートでは通常攻撃時に専用のアニメが流れる。
問題点
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ツギハギ劣化コピーのストーリー・設定
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戦いに巻き込まれた主人公がロボットに乗り込み(1stガンダム)、高いシンクロ率を驚愕され(エヴァンゲリオン)、女性たちと共に人外の敵と戦う(サクラ大戦)という内容。
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パワードスーツの様な低身長ロボットに女性ばかりの部隊と、部分的な要素は『サクラ大戦』に近い。
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しかしストーリーは完全に一本道で、ヒロインごとの恋愛イベントや好感度も存在しないなど、ゲームとしての幅は非常に狭い。
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肝心のストーリーはキャラがわらわら出てきてキャラ立ちもろくにないまま、ひたすら引っ張るだけのスカスカな内容。
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テンポが悪い
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戦闘途中で頻繁にキャラ同士の会話が挟まれる。
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戦闘シーンでは攻撃のたびに一々アニメが再生され、時間がかかる。
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スタートボタンでスキップできるが、一々押せというのだろうか?
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ゲームバランスが悪い
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すべての通常攻撃は100%命中する。回避判定があるのはMAP兵器のみ。
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おかげで物量がそのまま戦力差になる。敵の方が当然数が多いので苦戦が必至。
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前作の『Vフォース』ですら通常攻撃に回避判定があったのに、なぜ削除したのか?
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味方と敵のMAP兵器の命中率に差がある。
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味方のMAP兵器は明らかに敵のそれより命中しにくい。
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毎回増援が出現するため、いつもジリ貧の戦いを強いられる。
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出現位置の予告は全くないため、出現した増援に味方がフルボッコされることも。
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味方のHPはレベルを上げても一切上昇しないが、敵の火力はゲームが進むと増大。
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回復を行う「リペアユニット」の個数は有限なので、回復が追いつかないのを覚悟しないといけない。
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NPCの経験値泥棒多数発生。
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NPCはプレイヤーユニットに先駆けて行動する上、敵に積極的に攻撃していくので経験値泥棒がよく起こる。
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ZOCも地形効果もない。
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地形効果は『Vフォース』ではあったのになぜか削除されている。
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グラフィック・BGM・SEのクオリティが低い
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グラフィックはアニメとキャラクターの画像以外はSFCレベル。
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BGMは耳障りな音も混じり、聞きごたえなし。
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一部のSEもチープ。例えばバトル中の銃声はアニメではそれなりの出来だが、ゲームの方では豆鉄砲としかいえないレベル。
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PS版とSS版では同じ曲を使っているが、音源が異なるため音色が異なる。
総評
アニメ以外は微妙なゲームである。ストーリーの大部分は戦闘パート以外で語られるので、動画で見るのはともかく買うことはお勧めできない。
分割発売したのに未完という愚行を繰り返し、システムは以前の作品より劣化しているというクソゲーである。
余談
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1998年のカレンダーが付属。
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飛翔編には覚醒編のダイジェスト版をプレイできるDiscがある(シミュレーションパートもある)。
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覚醒編の小説版『バックガイナー よみがえる勇者たち (上)』が電撃文庫の刊行予定で98年秋と記載されていたが、中止になった様子。
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その後平井久司の知名度は、『無限のリヴァイアス』(1999年)・『スクライド』(2001年)・『機動戦士ガンダムSEED』(2002年)などのキャラクターデザインとして爆発的に高まった。
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能戸隆と平井久司はどちらも中村プロダクション出身。
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能戸隆が原案・監督・脚本etcを務めた前作(Vフォース)においても平井久司はメカデザインを担当。
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後に能戸隆が企画したアニメ『蒼穹のファフナー』(2004年)において平井久司をキャラクターデザインとして起用。「平井さんとは20年ぐらいのお付き合いでして、いつか平井さんとTVアニメで仕事してやろうというのはありました。ゲームとかでは、何度かメカやキャラクターデザインをしてもらってました。」とのこと。
最終更新:2023年01月05日 23:50