このページでは、PS Vita『サガ スカーレット グレイス』と、据え置き/PC向け完全版である『サガ スカーレット グレイス 緋色の野望』について紹介する。(判定はそれぞれスルメ/良作)



サガ スカーレット グレイス

【さが すかーれっと ぐれいす】

ジャンル RPG
対応機種 PlayStation Vita
発売・開発元 スクウェア・エニックス
発売日 2016年12月15日
定価 6,800円+税
レーティング CERO:B(12才以上対象)
備考 Vita TV非対応
判定 スルメゲー
ポイント お久しぶりのサガ新作
大胆なゲームデザイン
ロード時間に難あり
サガシリーズリンク

概要

『サガ』シリーズ完全新作。CS機にサガが出るのは『3SoL』以来5年ぶりで完全新作としては実に14年ぶりの作品である。
サガ25周年記念生放送で製作中であることが明かされ、当初の仮題は『サガ2015』だったが実際に発売されたのは2016年となった。
発売前PVでは『ロマサガ』を受け継ぐ新たな『サガ』とも紹介されており、世界観は概ねロマサガ3部作に近い物だが、ロマサガ系統とはまた一味*1違ったソフトになっている。

ストーリー

かつて、星神を裏切った「ファイアブリンガー」という一柱の神がいた。
その神は邪神となり、星々の彼方に追放されたが、彗星になって還ってきた。ファイアブリンガーの接近によって冥魔たちも活発化し、星は大きな混乱に見舞われる。
星神はある人間に力を与えた。その男は人々を束ね、邪神に対抗するための帝国を築き、力を合わせて戦った。
邪神は去り、星には平和が訪れたかに思えた。しかし、邪神は150年に一度の周期でまた還ってくる。
人々は歴代の皇帝の元で邪神と戦ってきた。そして、7度目の戦いでようやく邪神ファイアブリンガーを打ち破った。
邪神の彗星は砕け散り、1000年に渡る長き戦いの歴史には終止符が打たれた。
しかし、邪神が消滅したことで帝国もまた不要になり、反乱が起こった。
邪神を破った皇帝は暗殺され、帝国は内乱により瓦解した。
それから70年後、新たな脅威が迫りつつあった。
帝国が瓦解した混乱の時代に、人々は星神に救いを求めるが、神々も共通の敵を失ったことで勢力争いをしていたのだった。
この間に冥魔たちは徐々に力を取り戻し、地上の支配権を得るべく活動していた。
砕け散り、地上に降り注いだ邪神ファイアブリンガーの破片・「スカーレット グレイス」を求めて。

特徴

フリーシナリオシステム

  • 今回も過去のサガ同様フリーシナリオが採用されており、本筋と直接関係の無い無数のイベントが存在する。
    • 一応メインシナリオに該当する大きなイベントは用意されており、4人の主人公のうち3人はこのメインイベントをこなす必要があるが、レオナルド編のみはこのメインイベントをやらなくてもストーリーが進行するようになっている。
    • 主人公及び進行状況によって大きく異なる(特に後述のバルマンテ編は進行制限が大きい)が、移動の自由度も一本道タイプのJRPGに比べると高め。レオナルド編に至っては開始早々全てのエリアへ移動可能。
    • 発生条件を知っていれば、それなりの手間や危険はあるものの時期に不釣り合いな強力武器を入手することができる場合も。

フリーワールドシステム

  • 本作最大の特徴。本作は2・3Dマップは存在せず初期の『FF』や『ドラクエ』で採用されていたようなフィールドマップそのものの上で冒険を進めることになる。
    • フィールドマップ上にはイベント発生するポイントがまばらに配置されており、それぞれに接触するとバトルやイベントが始まる。例えるならば「プレイヤーが行先を自由に決められるボードゲーム」と言える。
    • このため、 RPGでありながらプレイヤーが探索できるダンジョンや街は存在しない 。厳密に言うと存在はするが、一枚絵の上で選択肢を選ぶだけかひたすら敵と連戦するかといったような物になっている。
      • このため当然だが宝箱や店もない。本作は戦闘終了時にHPは全回復するため消費アイテムの概念もなく、装備品は各街に初めて訪れた時の来訪記念か仲間になったキャラの初期装備、敵のドロップ・サブイベントの進行でしか入手できない。
  • 戦闘があるイベントが発生する場合にはあらかじめ戦闘回数と難易度・戦ったことがある敵ならどの敵が出現するかが分かるようになっている。
    • 一部予告なしに戦闘になるイベントもある。その手の場合大抵明らかにヤバそうな選択肢(道をふさぐ海賊を力づくで黙らせる等)やアイコンが出てくるので比較的予想はつきやすいが。
    • 過去作同様本作も「こちらが戦闘すればするほど敵も強くなる」という仕様となっている。ただし戦闘に入ってしまえば逃げられないので『ロマサガ2』であった「逃げてばかりいたら敵が強くなりすぎて詰む」という事態には陥らないようになっている。
      • また、同じ場所で戦い続ける限りは敵もほぼ強化されないようになっている。救済ポイントとして何度も敵と再戦できるポイントが世界各地に存在するため、どうしても勝てなくなってきた時はそちらで稼ぐことで敵をあまり強くせずにこちらのみ強化できる。
    • 戦闘に敗北した場合はその場で再挑戦することが出来る。
      • 再挑戦時には後述の連撃のダメージがアップし、負けるまでにひらめいていた技を引き継いだまま再戦闘できる。
  • 最強武器候補「五行武器」
    • 名前の通り、五行属性のいずれかを持つ武器であり、トップクラスの性能を誇る。
      • ただし、入手時点ではなまくら状態で、2度の強化を経て最強となる。もっとも、最初の段階でも中クラス程度の性能はあるので、序盤に入手すれば主力となりうる。
      • 大剣と槍のみこれ以上の武器がある他、杖と素手扱いの武器はない。
    • 入手方法は特定の州で特定のプロセスを踏むことで入手可能。いずれにせよ、ある程度戦闘をこなす必要がある。
      • それはもう入手方法はまちまちで、イベントをこなしてたらなんか手に入ったというレベルから意図的にやらないときついもの、とあるキャラと引き換えでないといけない場合もあったりする。
      • もっとも簡単に入手できるのは火属性で、最終的にドラゴンを倒す必要があるがシステムの都合もあって最序盤でも勝てる。何なら開始直後に行ってもいいくらい。運がいいとさらに最強の槍の素体まで手に入る。
    • 別の五行武器で入手している武器種は登場しない。入手できるのは、パーティ内で最も熟練度の最大値が高い武器種となる。
    • ストーリーには一切絡んでこず、それどころかありかに関する情報すらまともに存在しない。

バトルシステム

  • 本作のバトルシステムは「タイムライン」と「BP」と「連撃」を活用する独特なシステムとなっている。
    • 戦闘になると敵味方双方が行動順とそのターン何の行動をするのかがで一列で全て表示される。
    • 行動するためには「BP」を消費する。「BP」は今回はキャラごとに個別ではなく、毎ターン全快(+陣形によっては条件を満たせば最大値が増加する)ポイントをパーティ内で共用する。早い話TCGの「マナ」と「マナコスト」に近いシステムになっている。
      • 当たり前だが強力な技ほど消費BPが多く、連発できないようになっている。最終的なBP上限も決して多くはないので、連発できないだけでなく他のキャラの行動まで阻害しかねない。
      • 同じ技を使い続けることでその技のランクが上がり、BPのコストが軽減される。ちなみに、ランクアップには武器ごとの熟練度が一定以上必要。
      • 技は最大ランク3まで上がる。ただしスタッフ曰く「ランク3はどうしてもラスボスに勝てない人への救済措置」ということで意図的な稼ぎプレイかほぼ全てのサブイベントをこなそうとしない限りはまずお目にかかることはない。
    • 敵を倒したり味方が倒されて味方同士が隣合わせになると「連撃」が発動する。
      + 連撃解説 以下、ABCDEを味方、αβγδεを敵として解説する。
    • 例えば ABCαβγDδEε という行動順になっていた場合、味方Bが倒されるとAとCで連撃が発生、あるいは敵δを倒せば味方DとEで連撃を行える。
      • 連撃は敵も使えるので、上記の並びの場合敵βを倒してしまうと敵αとγで連撃が発生してしまう。
      • 連撃によって敵を倒して違う仲間と隣合わせになった場合、更に連撃が繋がる。
        • 上記の例であれば全体攻撃で敵αβγを一度にまとめて倒せた場合ABCとDで連撃が発生し、この連撃で敵δを倒せた場合ABCDとEで再度連撃が発生し、敵εを攻撃できる。
        • こちらも同様に、味方Dが倒されると敵αβγとδで連撃が発生し、この攻撃で味方Eが倒された場合敵αβγδとεで再度連撃が発生する。
      • 連撃は条件さえ満たせば1ターン中に敵味方どちらも何度でも発生する。
        • 自軍の攻撃で敵βを倒した場合敵αγで連撃を発動するが、この連撃で味方Bが倒された場合味方ACで連撃が発動する。
        • このACの連撃で敵δを倒した場合味方DEでの連撃が発動する。その後残った敵αγを撃破できれば味方ACと味方DEで連撃を発動させ敵εを攻撃できる。
      • 連撃が成功した場合、連撃に参加したキャラの次のターンの消費BPが軽減される。つまり成功すれば一気に有利になるが、選択を誤って敵に連撃されると一気に不利になるシステムと言える。
        • このBPの減少は累積し、全ての技はBP1まで軽減する。術の場合、さらに1度に1回限り詠唱時間も短縮される(こちらも最小は1)。
  • 技は相手への攻撃技・味方への補助技は通常技として扱われるが、一部の発動条件がある技はリザーブ技という特殊な分類がなされている。
    • リザーブ技には味方をかばう「プロテクト」、直接攻撃を防ぎ反撃する「カウンター」、行動順に割り込んで発動する「インタラプト」の3タイプが存在する。
      • 「プロテクト」は味方を守れる技。全体攻撃であっても「プロテクト」さえしておけばプロテクト対象となったキャラを守ることができる。
      • 「カウンター」は自身への直接攻撃を無効にして反撃する技。威力も高い技が多いが、発動は確率なので狙うには自身に「怒り*2」を向けさせるなど工夫が必要。
      • 「インタラプト」は特定の属性を持つ相手の攻撃をトリガーとして発動する技。「カウンター」と違い相手の攻撃そのものは防げない代わりに相手の行動順に割り込むため、うまく発動できれば連撃を狙える。
        また、選択すると誰がその対象になる技を使うかが分かるため、無駄撃ちの危険性が低い上に相手の技構成を知っていれば何を使ってくるか推測できる。
    • リザーブ技はいずれも弓矢などの間接攻撃によって解除されてしまう。例外的に、間接攻撃のほとんどを占める突属性に対するインタラプトであればほぼ意味がない。
    • 敵がリザーブ技を使う場合、リザーブ技であることは分かるがどのタイプであるかを事前に知ることはできない。
    • 通常技の中にも「バンプ」という特殊な属性を持つ技がある。これを相手に命中させられれば相手の行動順を遅らせることができる。
      • 撃破判定はバンプ後となる。その為、下手に倒すと相手の連撃が発生するが倒してしまいたい相手に使う、などもできる。
  • もちろんサガお馴染の「ひらめき」「陣形」「LP」も採用されている。
    • 「ひらめき」はほぼ過去作と同様。戦っていると新たな技を習得できる。閃く技は武器依存。
    • 「陣形」は『ロマサガ3』同様特定のキャラを仲間にした際に新たな陣形を習得できる。
      • 陣形は過去作同様陣形によって様々なバフ・デバフ効果が発生するが、本作は「BP」に関する特別な効果を持った陣形が多い。
      • 「BP」の最大値が少なくなる代わりに最初から「BP」が一定値支給される速攻戦向けの陣形や、特定の武器種のコストが低下する、特定の位置に配置した人物がタンク役になる等、敵のタイプや自軍のメンバーを考慮して逐次最適な陣形で挑むのが本作の基本戦術となる。
      • 陣形の中には「 開始時から全員が毒状態であり、毒状態の数に比例してBPが増える 」という破滅的なものも。もちろん、毒を治すとBPが減る。
      • 陣形には一定確立で星神のきまぐれである「恩寵」が付与される。「恩寵」は味方全体回復や敵全体デバフなど星神により効果は異なる。
    • 「LP」は今回は0になってもキャラロストこそしないが、しばらくの間戦闘に参加できなくなってしまう。
      • LPは二回戦闘を休むか、フィールド上の特定のイベントで1ポイント回復できる。
      • しかし0から回復した場合は最大値まで戻るので、無理にPTメンバーをやりくりするよりは0から最大値まで回復を待った方が効率的な場合も存在する。
      • 使用者は少ないがLP自体を削る技を持つ敵もやはりいる。
  • 術の習得・ランクアップはやや変わっており、まず連戦の最後に術士を参加させる必要がある。
    • 戦闘後に「フラックス」というものを吸収するチャンスがあり、戦闘に参加した術士1人の習得術1つを選択する。
      • フラックスの量と属性は戦場によって異なる。
      • 吸収した術のみがランクアップのためのポイントが加算される。いくら使ってもランクアップにはつながらないが、使いどころが限られる術もランクアップさせることができる。
    • 新しい術の習得には、これに加えて習得用の杖を装備している必要がある。杖の属性とフラックスの属性で、どの術が習得候補になるかが決まる。

4人の主人公

  • 主人公は4人存在し、誰か一人を選んでスタートする。
    • 各主人公はラスボスは基本的には同じ(前座で戦うキャラ等は違う)だが、ストーリーの本筋や仲間にできるキャラクター、サブイベントの展開は異なる。
    • 各主人公にはバディ的なポジションの仲間が1人ずつ存在し、イベントシーンでもその2人で喋ることが多い。
    • 本作は主要イベントが4つあり、各主人公はそれぞれ1つを主軸としてクリアする必要がある。
  • ウルピナ
    • メインイベントは「大地の蛇」。帝国四将軍家の筆頭と謳われた名門ユラニウス家の令嬢。家族に愛され幸せに暮らしていたが、過酷な運命に巻き込まれることになる。
      • 決まったルートを進む一本道で、州を移動すると後戻りできないことが多い。そのため、メインイベント中の素材のやりくりが一番困難。
      • 一方、戦力は本人を含めて使いやすい部類がそろっており、ウルピナは非常に習得が面倒な二刀流*3をイベントで習得できる。
    • 導入パートが一本道で作中世界の解説も多いため公式で一週目の主人公に推奨されている。
    • 他のキャラのイベントで大地の蛇に挑んだ場合、行動と選択肢次第では死亡してしまう。ただし、死亡させないと加入しない仲間がおり、仲間コンプリートのトロフィーのためには一度は殺す必要がある。
  • レオナルド
    • 故郷で農業を営む青年。俗っぽくいうと「元ヤン」キャラ。
    • メインイベントは「緋の欠片」。ある日行き倒れていた女性に出会い、彼女がつぶやいていた「アイ・ハヌム」という目的地らしき場所を探し旅に出ることになる。
      • 他の主人公を仲間にできる唯一のシナリオ。また、彼自身も他の主人公ルートにおいて唯一加入する主人公キャラ。性能としても使いやすい。
    • 攻略の自由度が極めて高く、サブイベントも全主人公では最多。その分先に進む道が分かりにくいので一週目に選んでしまうと少々戸惑う可能性も。
  • タリア
    • 陶芸家の女性。メインイベントは「不死鳥」。自身の作品に「歪み」が生じることになったことに気づき、その元凶を探るため各地を巡ることになる。
    • 主人公唯一の術士キャラで、慣れれば術の強さを理解しやすい。
      • 術の中でもかなり強力な部類にある「召雷」が使えるので、戦力としては扱いやすい。ただし、ボス戦はかなりのダメージを負う危険があるので、難易度はそこまで低くない。
    • 裏事情にも通じているため、ストーリーは他の主人公のメインシナリオの解説や種明かし的な側面がある。一週目でも悪くはないが先に他のキャラをプレイしているとより理解しやすい。
  • バルマンテ
    • 処刑人の男性。メインイベントは「シグフレイ」。彼が処刑した男であるシグフレイが死に際に七度蘇ると発言し、事実復活したことから七度処刑するために彼を追うことになる。
      • ボスのシグフレイがかなり厄介な相手であることやウルピナやタリアではスキップ可能な緋の欠片のシナリオボスがスキップ不可など、展開上の難易度が高い。
      • 加えて問題点で挙げるように移動制限が大きく一週目に選ぶとやや遊びにくいため、二週目以降推奨。

評価点

  • 膨大な分岐、サブイベント
    • 公式でもプレイヤーの数だけストーリーが生まれると宣伝しているがこれは誇張でもなんでもなく全くもってその通りである。
      • 特にレオナルド編の自由度は上で述べた通り特筆に値する。理論上は2時間程度でラスボスに勝ってエンディングまで到達することも可能。
    • 発売当初は同じ時期に同じ主人公で始めた人と話しても話が全然噛み合わないということが頻発していた。自由度の高さの象徴と言えるだろう。
    • また、世界観やサブイベントもかなり漠然としているようで複数の選択肢や違う主人公から見てみると実はちゃんと決められた設定通りにきちんと作られているのが分かるようになっている。
      • このため周回プレイ時も面白い。というか周回しなければ本作の世界観の全容はつかめないようになっている。
  • サガらしい独特の珍妙っぷりも健在
    • 特にあらすじでは一見王道的なウルピナ編はその実かなりパンチの効いた内容になっており、公式で同編を初心者向けとして宣伝している辺りある意味サガを知らない人へ向けた強烈な洗礼とも言える。
    • 仲間キャラも加入時以外イベントがないキャラも多いが、一癖も二癖もある名前と見た目をしているため使っているうちに妙に愛着が湧いたという声もある。
    • バトルアニメーションもSFCのゲームのエフェクトをそのまま3Dにしたようないい意味で奇天烈な物がある。
      • 特に技「失礼剣」のモーションの失礼ぶりは広くネタにされている。
      • しかもこの「失礼剣」、実は有用なバンプ技なので戦闘中見る機会は多い。美少女からおっさんまで巨大なボス相手にすごい失礼な態度を取るのは非常にシュール。
    • また、過去のサガ(及び河津ゲー)のセルフパロも若干だが見られるのも特徴。「皇帝の大鋸」の見た目で爆笑した人も多いだろう。
  • バトルの面白さと完成度の高さ
    • 敵の行動の可視化は一見先が見えて面白くなさそうだが、システムを理解して敵の行動を上手く潰せるようになるとなかなか面白くなってくる。
      • 大技が見えていてもやり方次第で回避できるのが本作の特徴。緊張感と妨害に見事成功した時の喜びの感情の起伏はたまらない。
    • 連撃の爽快感は上手くつながった時はなかなかRPGでは味わいにくいパズルゲームのような気持ちよさがある。
      • とは言え敵も容赦なく狙う他、場合によっては連撃をしないで各個撃破を狙った方がよい場合もある。毎回発生できるとは限らないからこそ成功時の快楽があると言える。
    • 過去のサガだと死に技が多かったが今回はあまり無く(しいて言うと弓はいくらかあるが、弓自体が弱いわけではない。むしろボス戦では活躍する。)、初期技もBPの関係上後半でも使うので重要になる。
    • そしてもちろん忘れていけないのが「ひらめき」。プレイヤーの計算外で起こり、膠着状態を打破し、劣勢を盛り返す喜びは『サガ』でしか味わえない快感だろう。
  • BGMの作曲はシリーズファンには説明不要のイトケンが担当。実に『サガ』・伊藤氏らしい曲に仕上がっている。
    • 四人の主人公ごとにそれぞれ別のフィールド・通常戦闘曲が用意されており、二週目を始めても新鮮な気持ちで始められる。いずれの楽曲も主人公たちにマッチしてて好評。
    • 特に一部のボス戦で使用される「星神・守護者たち」は前奏から徹頭徹尾イトケン全部乗せと言われる程ロマンシングな一曲に仕上がっており、プレイヤーからの人気は高い。
    • ラスボス戦は連戦ごとに個別の曲が流れるという豪華仕様。各曲調の変化もラストバトルに相応しい盛り上がりである。
  • 親切な解説
    • 初登場した要素には毎回解説が入る。ゲーム内のTIPSも合計二万字以上の大ボリュームで構成されており、細かな仕様についてまでしっかりと記載されている。
    • 過去作では戦闘に関するマスクデータや作用しているのかどうなのかよく分からないステータスが多々あったが、今回はかなり少なめになっている。(あるにはあるが、プレイヤー側が極端に不利になる仕様ではない)
    • 後述のラスボス戦の直前にはちゃんとセーブファイルを分けておくように天の声が入る。最後の最後にメタすぎる発言だが、過去作で詰みセーブしてしまい最初からやり直し…ということがあったのでありがたい処置と言える。

賛否両論点

  • いつも通りだが全体通して難易度はやや高め。
    • 4人の中で初心者向けとされるウルピナ編も、序盤にストーリー進行の上で必須の連戦がありそこの難易度が高い。そこさえ抜けてしまえば後のボスはそこまで難しくはないが。
    • 序盤からプレイヤーが連撃を理解している前提でのバランス調整となっている。極めて重要度が高い仕様なので「偶然決められれば有意義なおまけ」程度に思って進めてしまうと苦しいことになる。
      • 全て書くと紹介記事ではなく攻略サイトのようになってしまうので記述しないが、行動順の入れ替わりは複数の条件がありこれを理解していないとうまく連携が繋げない。TIPSには書いてあるが一度に全部覚えられるかというと…。
      • 敵のAIもあまり隙がない。隙があれば連撃を狙ってくるだけでなく、こちらが特定のインタラプト技を警戒して違う属性の技ばかり使っているとそちらに反応するインタラプト技に切り替えるというルーチンまでも組まれており、そう簡単に勝たせてくれない。
      • 人によってどの程度難しく感じるかは差があるだろうが、「 本作の雑魚戦は他のRPGだったら全部ボス戦級の集中力を使う 」という感想もあるほど。
      • 説明書に「このゲームは、ほかと比べて非常にやられやすいゲームです。上手い人でもやられます。やられないに越したことはないですが、不安になる必要はありません」と書いてある通り、策を講じても時の運で全滅してしまうことがままある。
      • LPが尽きない限りは何度でも再挑戦できるゲームデザインになっているため、ある程度全滅しても気負わない人には向いているが、すぐにストレスが溜まってコントローラーを投げてしまうような人には向いていないかもしれない。
    • ある程度高い難易度はサガだから仕方ないで済まされる中、アンデッド系・魔族系の雑魚に関しては苦慮する人が多い。
      • 前者は、低BPの強力な状態異常技を連発しつつも自身は状態異常耐性を持ち、攻撃力・耐久値も高いという一切合切隙の無い敵となっている。弱点属性自体はあるがこれが3~5体まとめて出てくる時もザラにある。
      • 後者は主に、2種類のインタラプト技に加えてカウンターも持つハルピュイア系の雑魚が厄介極まりない。突攻撃をしようものならインタラプト技かカウンター技で返され、斬攻撃をしようものならスタン効果を持つ全体インタラプト技で返され、合計3種類なので判別も難しいと明らかにやりすぎである。カウンター技か片方のインタラプト技を斬属性遠距離技(地走り)で解除しようにも、浮遊属性を持つため当たらず、更に弱点属性がなく特攻技も習得が難しいと隙が無さすぎる。
    • 河津氏が発売前インタビューで「ちゃんとテストプレイでは倒しています」と予防線を張っておくほどラスボスが強い。
      + ラスボスの解説。極めて重大なネタバレなので要注意!
    • ラスボスは基本三連戦(+主人公・進行ルートによってはα)となる。
      • 第一形態がとりわけ強く、高い運動性から先手を取って全体麻痺・混乱・スタン技を連射してくる。 事前に何も知らず挑んだ場合、一切身動きが出来ないまま全滅する 。一度倒してもHPは最大値まで回復する。
        • 第一形態の特に厄介な理由の一つには敵が単体なので連撃を狙えないということも挙げられる。(第二・三は数の上では不利なようで連携できれば追加ダメージ+BP軽減で結果的に楽になる。)
      • 第二形態は技をコピーするサポートキャラを複数召喚し、本体はインタラプト技を駆使するトリッキーな戦闘スタイル。この形態も一度倒してもHPは最大値まで回復する。
      • 第三形態は二振りの刀が独立キャラとなり本体は単純な力押しなのである意味楽だが、単純に火力が高いので短期決戦必須。この形態も一度倒してもHPは最大値まで回復し、さらにもう一度復活する。一回だけしか復活しないと思って油断しているともちろん全滅。
        • 仕様上二戦目以降で負けてしまうと一戦目からやり直しになり、一・二戦目で再戦を繰り返しLPが切れてしまったメンバーは最終戦に挑めない。
        • 条件を満たすと能力値・思考パターンが強化された「最強」形態になるのだが、この条件が単なる選択肢による物なので、一週目から意図せずに「最強」状態と戦う羽目になる可能性がある。最後の最後で心が折れてしまった人も…。
      • 倒す方法としては運動性を強化しまくったキャラをプロテクトで守りつつスタンを狙うか、術士を二人用意して守りつつ敵のBPを減らす「超重力」でハメるという戦法がある。少々卑怯だが、こうでもしないとまず勝てない。
        • 当然ながらこれらの戦法が出来るメンバーが揃っていない場合ラスボス目前で鍛え直し。
        • 復活する場合、行動前に倒してしまえばそのターンの行動をキャンセルできる。その為、三戦目などは高威力技で手早く倒すことで最強状態でも叩きのめすことは可能。
  • ただし難易度が高いようで自軍陣営にもかなり強い攻撃手段・陣形はある。
    • 複数攻撃術である「召雷」や「吹雪」等が非常に強い。特に召雷はランダムで複数回ヒットする類の術で、ボス単体めがけて使うと大ダメージが期待できる。比較的詠唱ターンやBPが少ないのもポイント。
    • これらと相性のいい陣形「マジカルシャワー」との組み合わせた上で発動者を守って連発していれば運悪く相手の連撃が発動しない限りはそうそう負けない。
    • 初心者への救済措置とも言えるが、これら一辺倒だと本作の評価点である戦闘の面白さが堪能できないためこれに頼ると勿体ないことになるのも困り所。
  • また、戦闘力を上げるのに手っ取り早い手段である装備品の強化だが、「北東界外」という場所を使うことでかなり楽をすることができる。
  • 制作の上での割り切り
    • 本作でも「手のかけるところには手をかけるが、予算や制作期間の都合上無理な部分は切り捨てる」という河津氏の方針はそのままなため、近年の他の大作RPGと比べると初見時に恐ろしい低予算感を感じると思われる。
    • 十二柱いる星神だが、ゲーム中ちゃんと姿を見れるのはたったの二柱のみである。バグで会えない等ではなく最初からそういう「仕様」である。
      • このことは発売前の早い時点で河津氏本人が明言していた。「全部集めなくていいディステニィストーン」と同様本作のシナリオの上で特に必要ないから出さなかっただけではあるが、肩透かしを食らったという声も。
    • 公式サイトでは敵味方双方かなりの数が登場するように書いているが、その内訳はSFC時代のような色違いキャラが多数を占める。
    • キャラのモーションやグラフィックも携帯機と言うことを考慮してもワンランク低めの物になっている。
      • その分本作は上述の通りその分リソースをバトルの面白さや自由度と選択肢の豊富さにつぎ込んでいるため、こうした割り切りをどう思うかはプレーヤー次第だろう。
    • 本作は消費アイテムの管理やムービーシーン、初期のPTメンバーの来歴が明らかになるキャラゲー的な会話イベントや探索要素など一般的なJRPGにはつきものだがともすれば面倒な要素をバッサリとカットしている。
      • そうした部分に強い愛着を持つプレイヤーからするとイマイチ本作を面白く感じられないかもしれないが、このコンセプトに納得できれば余計な要素のないすっきりとしたゲームと言える。
  • EDでは各仲間キャラの後日談が語られるのだが、暗い将来が明かされるキャラが一定数存在し、せっかく愛着の湧いたキャラが予想外の結末を迎えてショックを受けたという人も。
    • 一部後日談では本編の後に大戦が起こり戦乱の世になることがはっきりと明記されている。主人公の辿るルートによってはそうなるのも無理はないと言える結末もあるが、ルートによっては違和感がある後日談になってしまう場合も。
    • ただ神々の時代が終われば人間同士の争いの時代になる、というのもこれもいきもののサガなのかもしれないが…。

問題点

  • 河津ゲーあるあるの一つとして細かい世界観設定は作中で語られない物が多く、登場人物は作中世界の固有名詞をプレイヤーへの説明なしでそのまましゃべることもある。
    • 特にラスボスの動機やバックボーンについては一切謎のまま急に戦うことになるため「ぽっと出」と批判されがちだった。もっともサガではぽっと出ラスボスの前例があるのでサガらしいといえばらしいが…。
    • 一応公式攻略本兼設定資料の「緋の天啓」では本編の謎や分かりにくい各種設定についていくらか補足されている。この辺りもいつものサガである。
    • 一応、1週目に選択されやすくなっているウルピナは世間知らずという設定で、ある程度プレイヤーと同じ目線で解説を受けることができる。
  • バトルシステムはそれなりに練られているが、術に関しては正直微妙と言わざるを得ない。
    • どんな術であろうと例外なく詠唱に1ターン以上消費する仕様のため、術全般、その中でも即応性が求められる支援術が明らかに使いにくい。
      上で「召雷や吹雪等が非常に強い」と述べられたが、結局これは「短い詠唱時間で全体に大ダメージを与えられる」という理由に他ならない。
      シリーズ屈指の高難易度という事もあり、大半の状況で「支援術に1ターン消費するくらいなら攻撃術を撃った方がマシ」という事態に陥りがち。
      そのくせ敵側は詠唱時間のない支援技を普通に使用し、その中には効果が敵側全体に及ぶものも存在する。支援術の効果自体は高めに調整されているものの、せめて能力値上昇系の支援術だけでもターン無消費で使用させてくれれば…。
    • 逆を言えば、全体攻撃の詠唱に3ターンも4ターンも掛かる土術・金術は、通常プレイにおいてはかなり不遇。
      攻略サイトでも、全体攻撃術に1~2ターンしか消費しない水・火・木系統の術(もしくはそのスキルレベル)を持つ術士キャラはそれだけで評価され、そうでなくても術士は全術に適性を持つため、土術・金術は使われず水・火・木術を上げ直される事が多い。
    • それ以前に、僅か3つと各術の総数自体が圧倒的に少なすぎる。技と比較するまでもなく歴代でも最小となっている。
      その分効果は強力にされているが、先述したように支援術が使い辛いため、数の少なさと戦略の幅の狭さが悪目立ちしている。
      ターンを消費しない杖技もあるにはあるが、僅か2つのみ、更に術士に不要な筋力が要求されるとイマイチ練られていない。
      • ただし、そのうち1つはそもそもダメージリソースとしてではなく、術力強化のバフ目的の技と思われる。
    • なまじミンサガに過去作の術が大量に登場していただけに、本作の術の少なさを嘆くプレイヤーは相当多かった模様。「ギャラクシィ」や「ヴァーミリオンサンズ」等、シリーズお馴染みの最強術を敵側だけが使ってくる光景には、多くのシリーズファンが複雑な心境になったはずである。
  • 同じく各武器の性能・特徴もそれなりにバランスが取れているが、槍に関してはやはり微妙である。
    • 技の攻撃力が補助技の揃う棍棒に次いで低く、特に歴代最強技の「無双三段」は斧の中堅技にすら劣る始末。
      おまけに各技の参照能力値が筋・技・運・知・集と5種類にもばらけており、性能通りの火力を出しにくく使用キャラも選ぶ。
      それでいてインタラプト技もプロテクト技も盾すらも使えない、と欠点が多すぎる。
    • 一応スタンと毒を付与できるという長所があるが、どちらも体術と小剣で補える上に、そちらの方が能力値ダウン技や状態異常技が揃っているため、どうしても見劣りしてしまう。
  • 長すぎるロード
    • 本作最大の問題点。全体的にロード時間が快適性を削いでいると断言できるレベルで長い。
    • 特にストレスを感じるのが戦闘時で、戦闘突入で15秒ほど、その後戦闘開始時にまた10秒ほどロード時間が入る。
      • そして毎ターン攻撃直前に「Ready Go」という文字が表示される演出も入るのだがここもまた5秒ほど拘束される。テンポは極悪。
      • 大きく状況が動く(キャラクターの倒れる動きや表示されているモデルの消去の処理をしなければいけない場面)際には「Ready Go」の拘束時間が更に伸びる。
    • 第一に戦闘前中後のロードが槍玉に挙げられるが、州をまたぐ際のロード時間もこれまた長い。精巧に作り込まれた3Dマップならともかく本作のマップはそこまで処理に負荷のかからないと思うのだが…。
    • 起動時のロードもかなり待たされる。スリープ状態にできるとは言え携帯機故のお手軽さが薄く、他のゲームと並行して進めたい時に気にかかる。
  • 多種多様なパターンにデバッグが追い付かなかったのか、進め方によっては進行フラグがおかしくなったり最悪ゲーム進行不能になってしまう場合がある。
    • この他少なからずバグも存在する。
  • 産業開発が苦行。
    • いわゆるわらしべイベントだが、全部埋めようと思うと7~10時間程度かかるわりにやっても何一つプレイヤーにメリットはないフレーバー要素である。
    • 完全に自己満足・トロフィー埋め要素としか機能しておらず、蛇足だという意見が多い。
    • 本作はエリア間のファストトラベル機能がないため一々徒歩で世界中を回らないといけないので辛い。
      • ちなみに産業開発以外はエリア間をまたぐイベントはごく少数なためファストトラベル自体が無いこと自体はゲーム全体通してそこまで問題ではない。とにかく産業開発というイベントが本作のシステムと全く噛み合わっていないのである。
  • バルマンテ編は自由度・難易度などに関して色々厳しい部分がある
    • バルマンテの初期装備は斧になっているのだが、これが実は罠になっている。
      • 実はバルマンテのステータスと斧の相性は非常に悪く、さっさと別の適正武器に変えてしまった方がいい*4。処刑人という設定も相まってイメージ優先で使い続けると非常に苦しいことになる。
      • ただしバルマンテの総合的なステータス自体はそこまで悪くないので武器変更してしまえば使える方ではある。
    • バルマンテ編は初期メンバーや行動範囲の都合上難易度が高めでちゃんと各地に回って仲間を集めないと苦労する。このため初心者には薦めづらい。
      • 終盤条件を満たさないとあるキャラの強制離脱が発生する。これを知らないと最終局面において移動範囲が著しく狭まる。
    • スタッフがこれらに気づいていたのかは謎だが、ゲーム冒頭の質問に普通に回答したならウルピナ・タリアのどちらかになりやすいようになってはいる。

総評

待ちに待った新作『サガ』だったが発売前の時点ではゲーム内容が上手く伝わっておらず、「こんなの『サガ』じゃない」という意見と「実に『サガ』らしい出来」と当初大きく評価を二分していたが、
中身の方は数十時間と遊んでいるうちに製作者の意図がしっかりと読み取れるようになっている秀逸なゲームデザインとなっていた。
が、バトルに特化しているゲームなのにそのバトルに付随するロードが長いのは致命的すぎる問題点であり、長く頻繁なロード時間に脱落してしまう人も多く、本作に好意的なユーザーの大部分からも問題視された。
総合的に言えば「面白く感じるまでのハードルがあるが面白いゲーム」と言えるのだが、Vita版は結局最後までロード時間を大きく改善するアップデート等は来ないまま汚名返上できずに終わってしまった。
現在は本作の問題点を改善した後述のバージョンアップ版『緋色の野望』が発売されており、はっきり言って今からVita版を遊ぶのは苦行なのでVitaを持っている人であっても『緋色の野望』の方の購入を薦める。

余談

  • Vita版初回生産特典はあのねんがんの「アイスソード」のプロダクトコード。今回は特別な設定自体はないがゲーム内の大剣では最強クラスの性能となっている。
    • なおプロダクトコード無しでもアイスソードは敵のレアドロップか特定の大剣を鍛えれば入手できる。持ってる人から殺してもうばいとらないと入手できないアイテムというわけではない。
    • ただし、2週目以降は入手不可。
  • 河津氏は当初本作の略称として「SSG」という呼称を提案しておりインタビューでもこちらを使用していたのだが、ユーザー間では早い段階から「サガスカ」という略称が一般的となっていた。
    • 結局その後スクエニ公式Twitter・河津氏本人も「#サガスカ」というハッシュタグを使っており、こちらの方が広く用いられている。

サガ スカーレット グレイス 緋色の野望

【さが すかーれっと ぐれいす ひいろのやぼう】

ジャンル RPG

対応機種 Nintendo Switch
プレイステーション4
Steam
発売・開発元 スクウェア・エニックス
発売日 2018年8月2日
定価 5,800円+税
レーティング CERO:B(12才以上対象)
判定 良作
ポイント 快適性が大幅にアップ
事実上の完全版

概要(緋色)

オリジナル版からしばらくして据え置き/PC向け*5に発売された『サガスカ』の完全版。 随所にオリジナル版から様々な違いが存在する。

主な変更・追加点

  • キャラクターボイスの追加
    • 主人公・仲間になるキャラ・人間系の敵等に声が追加された。
      • フルボイスではなくパートボイスで戦闘時や一部のストーリーイベントのみしゃべる。
    • また、主人公キャラのみゲーム開始時に通常ボイスとアレンジボイスの二種類から選ぶことができる。
      • これは「違う声優を選べる」という意味ではなく、「同一の声優が全く同じキャラを異なる演技で演じており、そのどちらかを選べる」という意味である。
  • 新たに仲間になるキャラとして「カメリア」と「サビット」が追加された。
    • 両者とも無印版の没キャラで「カメリア」は魔女絡みの設定補強、「サビット」は五行武器と呼ばれる強力な武器のヒント役も兼ねている。
  • 「アーサー・ダールトン」や「エリザベート」など、いわゆる主人公の「相棒」に当たるキャラクターを、他の主人公でも仲間にできるようになった。
    • 無印より能力が強化されているという事もあり、嬉しい新要素の一つとして多くのプレイヤーに歓迎された。
      • ただし、エリザベートはなぜかエンディングでは酷いことになっていたりする。
  • 産業開発はある程度進めるたびにレアアイテムが貰えるようになり多少はマシになった。
  • プレイスタイルを切り替えられるSwitchやタブレットPCで遊ぶことも考慮され、据え置き・携帯プレイ向け双方を考慮して2種類のUIが搭載されており、いつでも切り替えられるようになった。
    • タッチしやすい大きなアイコン、読みやすい大きな文字、ただし1画面内に表示できる情報量が少なくなる携帯機向けUI、1画面に表示できる情報量は多いが文字やアイコンが小さめの据え置き向けUIとそれぞれ長所短所がある。
    • フレームレートはどの機種でも60fpsを維持しており、機種による違いは特にない*6
  • バトルの難易度設定が変更出来るようになった。
    • 初期段階ではほぼVita版に近い難度だが、弱めにすると敵の能力値が下がるだけでなく行動パターンもあまり適確な行動をしなくなる。
    • 逆に強めにもできるのでより手ごたえのあるバトルをしたいプレイヤーはそちらを楽しむことができる。難易度自体はいつでも変更可能なのでどうしても倒せない敵だけ弱くしてあとは普通に戻してプレイという遊び方も可。
    • 難易度変化の大きなポイントは行動パターンの差が大きく、目に見えてダメージが明らかに変化しているという印象は少ないのでぱっと見は変化を実感しづらいかもしれない。
  • やり込み用の超強敵として「緋の魔物」が追加された。
    • 各州に一体ずつ配置されており、PTメンバーが一定以上のレベルの状態で特定の条件を満たすと出現する。メインストーリーの進行とは一切関係ないため倒さなくても支障は無い。
    • 弱個体と強個体がおり、一つの州で2回(あるいはそれ以上)戦うことになる。出現・討伐状況は周回時に引き継ぐことが出来る。BGMも弱個体と強個体で異なっている。
    • 緋の魔物はとあるアイテムを所有しており、それを20個集めて(=全ての「緋の魔物」を倒す)ラスボスのフロアで使用するとラスボスの難易度を調節できるようになる。弱個体をすべて倒すとラスボスを弱化させることができ、強個体をすべて倒すと強化することができる。
  • 追加敵に合わせて曲も4曲追加されている。もちろんいずれもイトケン作曲である。
  • Vita版から周回時に引き継げる要素が増え、よりスムーズな周回プレイが行えるようになった。もちろん引き継がないようにすることもできる。
  • バグや進行不能になる問題の改善
    • 全部修正しきれておらず、本作でも発生する物はあるが、Vita版に比べれば大分よくなってはいる。
  • その他多数の追加イベントや「闘技場」などのバトルイベントが追加されている。

評価点・無印からの改善点

  • キャラクターボイスの導入
    • 全てのキャラにボイスが導入され、戦闘時や一部のイベントにしゃべるようになった。
    • 発売前は「声がついたところで…」という意見も多かったのだが、いざ声がつくとよりキャラに愛着が湧くようになったと好評。
      • 特に仲間キャラは加入時以外登場しない人物も多いため、戦闘中しゃべるようになっただけでも無印よりも大幅にキャラが掴みやすくなった。Vita版ではあまり使われなかったキャラもセリフが面白いという理由で本作では採用されることも。
      • 何故かどうも体力アップ=太るという解釈がなされていたり、「ひらめき」の豆電球にメタいツッコミを入れたりとサガ独特の味のあるセリフ回しも多く、全体的に好評。
  • 元よりボリュームの多さには定評があったが、本作では更にサブイベントとやり込み要素が追加されたため、文字通り100時間遊んでも全てのパターンを見切ることは不可能な超大ボリュームとなった。
    • 世界観の補強として「吟遊詩人」と「演劇」も加わっている。どちらも「緋の天啓」に掲載されていた裏設定をゲーム内に盛り込んだもので、特に詩人は各エリアのサブイベントのヒントにもなっている。
    • 「演劇」は一見すると裏のある話の表側しか語られないが、とある条件を満たすことで裏側の語りを見ることもできる。ラスボスに対する印象が大きく変わることだろう。さらに一つの周回ですべての演劇を見るとラスボスのセリフが一部変化するなどの特殊演出も。*7
    • 「緋の魔物」は雑魚モンスターの超強化版。数の暴力で押しつぶす、超強力な一撃を毎ターン叩き込む、リザーブ技のプロフェッショナル、圧倒的な防御力など強さの方向性も多種多様。多くはその州に存在するイベントを消化しないと出現せず、場合によっては周回して同じイベントを消化しなければいけないものもおり、全ての魔物に出会うのも簡単ではない。
  • 快適性の大幅なアップ
    • 何よりもオリジナル版で最大のネックだったロード時間が改善されたのが嬉しい。
      • 戦闘にも一瞬で入る。「Ready Go」自体は残っているが3~5カウント程度なのでロード時間というよりは演出の一環として十分許容できるレベル。
    • 戦闘中にリワードとTIPSの再確認が出来るようになり、忘れてしまった時も安心。
  • 一部のキャラのステータスと加入方法について修正され、より扱いやすくなった。
    • 特に無印の問題点の項に記載したバルマンテと斧の相性の悪さが解消され、バルマンテ編の初期メンツのステータスが上方修正されたことでオリジナル版より遊びやすくなった。
    • 逆にvita版で有用だったマジカルシャワーと召雷や吹雪と言った強力な全体攻撃術は下方修正されている。
      • 特にマジカルシャワーは所有者が一人のみとなり、入手タイミングも後回しになったため、一週目からこれ頼みの攻略はできなくなった。とは言え有用度自体はそこまで落ちておらず、より強力なパワーレイズが追加されたため苦情の声は無い。
      • 同じように、低消費の割に強力な技だった「でたらめ矢」も攻撃力・命中率の低下などかなりの下方修正を食らった。一応の上位版はBP消費が重いためかそのまま。また、二刀技である「二刀烈風剣」の威力もわずかに低下している。
    • 一方で槍技は無印版であまりに弱かったため、攻撃力を全体的に大きく上方修正・高性能なプロテクト技の追加、もう一方の追加技には防御力ダウン効果有り…と大幅なテコ入れが施された。
      • 術にもそれぞれ1つづつ術が追加。杖技も1つ増え、「数が少ない」「戦略の幅が狭い」という声に僅かながらメスが入った。
    • 各技や陣形なども追加されており、無印版よりも戦略の幅が広がった。中でも、斧の「マキ割マシンガン」や大剣の「逆風の太刀」は非常に使い勝手がよく、それぞれの武器の地位向上に一役買っている。

問題点・賛否両論点(緋色)

  • 快適度向上とボリュームの増加以外のゲームの根幹部分は変わっていないため、そのような部分で人を選ぶゲームなのは変わっていない。
  • フリーシナリオの整合性が取れてない部分が残っている。
    • 本作はサガシリーズらしく重要なイベントでも消化するかしないか選べる場合が多いのだが、一部に「別のイベントを見ていることが前提になっているような、単独で見ても意味不明なシーン」が有る。*8
  • 技・術・陣形等に大なり小なりの調整が入った一方で、多くのプレイヤーを苦しめた不死・魔族系モンスターは悪い意味で据え置き。
    • 一応、剣技に不死・魔族系に特攻を持つ「ロザリオインペール」が追加されたが、該当武器の入手が遅く、その結果閃き難度が上がり、BPコストも高いと根本的な解決には至らず。
    • 同じく極めて厄介なハルピュイア系への対抗策として、「スイングアーティスト」に間接属性が追加されたが、これ以外に対抗手段がないため、やはり根本的解決には至らなかった。

総評(緋色)

無印の様々な問題点を解決し、声も入ってオリジナル版からサガ度マシマシになった決定版。
ゲームのコンセプトに納得した上で今から『サガスカ』の世界を堪能したいのであればぜひこちらを薦める。
「しばらく遊んでだんだん良さが分かってくるゲーム」なのでプレイ動画映えはしない。他人のプレイ動画を見て判断したりするよりは自分でじっくり遊んでみるのがいいだろう。

余談(緋色)

  • 『サガ』としては事実上初の完全版かつVita版のアップデートやリリースはなかったために、発表時には一悶着起こることになった。
    • 無印版発売時には限定モデルの本体も発売されており、『サガ』のためにVita本体を買ったユーザーも少なくなかった。その上でVita版の要素は丸々収録・引継ぎ無しと先に買ったユーザーには何一つメリットが無いが故にネット上では議論になってしまった。
    • とは言え本作発売前の時点でVitaの生産終了の噂が流れている状態*9でVitaの市場自体が末期状態になっており、引継ぎもPS4版以外は技術上まず無理なので色々と仕方ない側面もある。
      • 河津氏もVita版を買ってくれたファンに感謝の言葉を述べながらもVita版ユーザーへの追加要素は検討していたが会社の都合で不本意な結果に終わってしまったと述べている。タイミングの悪さと所謂「大人の事情」があるため特定個人を責めてもどうにかなる問題でもないだろう。