12式地対艦誘導弾

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&setpagename(12式地対艦誘導弾)&font(b,#555){ひとふたしきちたいかんゆうどうだん} ---- [[日本国]]陸上[[自衛隊]]の地対艦ミサイル。実在する。 &image(12SSM.jpg) &small(1){&font(Black){※出典:陸上自衛隊ホームページ ([[https://www.mod.go.jp/gsdf/equipment/fire/index.html]])}} 諸元 |全長|5,000mm(ブースター付)| |全幅|1,190mm| |直径|349mm| |重量|約700kg(ブースター付)| |動力|固体燃料ロケットブースター(推力偏向装置付)+&br()ターボジェットエンジン| |中間誘導|慣性誘導+GPS誘導| |終末誘導|アクティブ・レーダー誘導| |構成|JTPS-P26捜索標定レーダー装置:2基(1/2tトラック搭載)&br()中継装置:1基(同上)&br()指揮統制装置:1基(3 1/2tトラック積載)&br()射撃管制装置:1基(同上)&br()誘導弾発射機(誘導弾6発/基):1~4基&br()弾薬運搬車(予備誘導弾6発/輛):1~4輌(7tトラック)| 性能 |最大速度|1,150km/h(M0.9)| |射程距離|150km以上(推定)| **概要 ---- &ruby(SSM-1(改)){12式地対艦誘導弾}は防衛省技術研究本部と三菱重工により開発されたアクティブ・レーダー誘導地対艦ミサイルである。 &ruby(SSM-1){88式地対艦誘導弾}の後継として2001年から開発に着手し、2012年に採用された。開発経費は約138億円。 **特徴 ---- モジュール構造を活かした&ruby(ASM-1){80式空対艦誘導弾}ファミリーの6番手で、SSM-1の中間誘導システムを&ruby(ASM-2B){[[93式空対艦誘導弾(B)>93式空対艦誘導弾]]}と同じものに更新すると同時に、射程延伸や生残性の向上を図った性能向上型である。 &image(88SSM.jpg,,,width=300) &small(1){&font(Black){88式地対艦誘導弾 ※出典:陸上自衛隊ホームページ([[https://www.mod.go.jp/gsdf/equipment/fire/index.html]])}} 誘導弾本体の形状はSSM-1と余り変わっていないが、ロケットブースターに推力変更装置が追加されている。 これにより、垂直発射された誘導弾が目標に向けて90度変針すると言うイージスシステム搭載護衛艦等と同様の飛翔パターンを採れる様になり、SSM-1と比較して発射地点選択の制限が小さくなったため、生残性が向上している。 垂直発射対応のため、発射機のキャニスターがほぼ垂直に立てられる様になっている他、キャニスターが円筒型から&ruby(SAM-4){03式地対空誘導弾}と同様の角柱型に変更されているため、SSM-1の発射機との識別は容易である。 別地点から発射して同時に着弾させる事も可能であり、SSM-1最大の特徴である&bold(){地形回避飛行能力}も受け継がれており、より高精度化している。 地形回避能力は、デジタルマップに基づき超低空飛行で山谷を飛び抜ける((逆に言うと、事前に作製したデジタルマップをインプットしておかないと使用できない))機能で、敵に発射地点を発見しづらくさせると同時に、山陰を飛行する事で誘導弾の発見を遅らせることで迎撃を難しくしている。 この機能はトマホークの様な巡航ミサイルに装備されるものだが、内陸部からの敵上陸部隊の水際迎撃を主任務とする陸上自衛隊の地対艦ミサイルにおいても必須の機能となっている((但し、トマホーク等の巡航ミサイルが海上や空中から内陸部の重要施設に向けて飛行するのに対し、陸上自衛隊の地対艦ミサイルは逆に内陸部から海上の上陸部隊に向けて飛行する))。 終末誘導は対地攻撃向きではないアクティブ・レーダー誘導だが、中間誘導にASM-2Bや[[ハープーン]]Block2と同様のGPS誘導も用いているため、原理的には対地攻撃も可能。 SSM-1と発射機や発射管制システムに共用性があり、SSM-1と混載して運用することも可能である。 基本的には、発射機や射撃管制装置、指揮統制装置は攻撃を受け難い内陸部に位置し、沿岸部に進出したJTPS-P26捜索標定レーダー装置の捜索情報を受けて攻撃を行う。 このシステムの特性上、単独では目視外の外洋を航行する敵艦隊を攻撃するのは難しいが、レーダー捜索情報が無くとも概略方位に向けて発射することは可能であるため、海自や空自の航空機から音声伝達された捜索情報に基づいて攻撃する訓練が行われている。 **調達と配備 ---- 開発終了直後の2012年から調達が開始され、2014年から部隊配備が開始されている。 2015年までは教育及び教導部隊に配備されたが、中国の南西諸島進出対策として2014年に調達された1個連隊分のSSM-1(改)は、2016年3月に熊本県健軍駐屯地の第5地対艦ミサイル連隊に集中配備されている。 その後も第5地対艦ミサイル連隊への配備は続き、2019年3月に青森県の第4地対艦ミサイル連隊第4中隊から改組された第301地対艦ミサイル中隊(奄美大島)へ、2020年3月に新編された第302地対艦ミサイル中隊(宮古島)へ配備されている。 2023年3月には第303地対艦ミサイル中隊((2022年3月に健軍駐屯地にて新編。前日に第4地対艦ミサイル連隊第3中隊が廃止されている))が健軍駐屯地から石垣島へ移駐、2024年3月には第304地対艦ミサイル中隊((2023年3月に健軍駐屯地にて新編。同時に上富良野駐屯地に第305ミサイル中隊(88式SSM装備)が新編))が健軍駐屯地から沖縄本島の勝連分屯地に移駐している((同時に北千歳駐屯地にて第306ミサイル中隊(88式SSM装備)が新編))。 南西諸島に301、302、303、304の4個地対艦ミサイル中隊が揃うと同時に第5地対艦ミサイル連隊から離れ、新編された第7地対艦ミサイル連隊に編入されている((司令部は勝連分屯地に設置))。 SSM-1(改)の調達は2022年度予算で打ち切られており、2023年度予算から後述する12式地対艦誘導弾能力向上型地発型の調達に切り替えられている。 第7地対艦ミサイル連隊の地対艦ミサイル中隊は防空任務を受け持つ&ruby(SAM-4){03式中距離地対空誘導弾}(中SAM)または&ruby(SAM-4改){03式中距離地対空誘導弾改善型}(中SAM改)装備の高射中隊とセットで運用されており、奄美大島には第3高射特科群の第344高射中隊((2019年3月に移駐))、宮古島と石垣島には第7高射特科群の第346高射中隊((2020年3月に移駐))と第348高射中隊((2023年3月に移駐))が配備されている((沖縄本島の勝連には中SAM改装備の第15高射特科連隊第2中隊が配備済。尚、第15高射特科連隊は2020年12月に第1中隊が実戦部隊として最初に中SAM改を受領、その後、残りの2個中隊も中SAM改に更新))。 南西方面における地対艦ミサイル部隊の増強は第7地対艦ミサイル連隊の新編で一段落となるが、日本全体で見ると地対艦ミサイル部隊の増強は続き、2025年3月には由布院駐屯地に第8地対艦ミサイル連隊((3個中隊編成。第3中隊のみSSM-1装備))が新編された他、2023年3月に1個中隊のみの編成に削除された八戸駐屯地の第4地対艦ミサイル連隊が3個中隊編成に増強されている((かつては6個連隊24個中隊(全てSSM-1装備。教育用を除く)で編成されていたが、2025年3月末にSSM-1(改)装備2.5個連隊10個中隊、SSM-1装備4.5個連隊18個中隊になる))。 **後継型·派生型の開発 ---- 2013年からSSM-1(改)を原型として、SSM-1B後継の新艦対艦誘導弾の開発が開始され、2017年に「&bold(){&ruby(SSM-2){[[17式艦対艦誘導弾]]}}」として採用されている。 SSM-1Bに代わって、[[あたご型>あたご型護衛艦]]に続く新型イージス艦である[[まや型>まや型護衛艦]]以降の護衛艦に搭載される。 2017年からSSM-2を原型として「&bold(){12式地対艦誘導弾(改)}」と「&bold(){哨戒機用新空対艦誘導弾}」がそれぞれ開発されている。 前者については後述する12式地対艦誘導弾能力向上型の開発に切り替えられたが、後者については令和5年度予算から「&bold(){23式空対艦誘導弾}」の名称で調達が開始されている。 ***12式地対艦誘導弾能力向上型 2020年12月7日、12式地対艦誘導弾(改)に「スタンド・オフ能力」を持たせた新型ミサイルを2025年までに開発すると報道され、2021年度予算に長射程化とプラットフォームの多様化を図った((予算の概要にはステルス化についての記述はないが、政策評価書では明記されている))スタンド・オフ・ミサイル「&bold(){12式地対艦誘導弾能力向上型}」の開発費として、同年度概算要求で計上されていた12式地対艦誘導弾(改)開発費の12倍以上にあたる335億円が計上されている。開発は引き続き技術研究本部と三菱重工が行う。 総開発費394億円、2025年度開発完了の予定だが、令和5年度概算要求において開発完了を待たず、後述する地発型の量産を開始することが明らかになった((2026年度納入開始予定。令和5年度予算では、島嶼防衛用高速滑空弾の早期配備型も開始完了を待たずに量産を開始する(12式地対艦誘導弾能力向上型と同じく2023年度量産着手、2026年度納入開始予定)他、12式地対艦誘導弾能力向上型や島嶼防衛用高速滑空弾の本格配備までの間隙を埋めるため、新たにRGM-109EトマホークBlockⅤを400発調達すること(調達費として約2,100億円を計上。イージス艦からの運用を予定)も明らかになっている。トマホークについては、2023年10月に納入開始を2026年度から2025年度に早めるため、BlockⅣとBlockⅤ各200発ずつの調達に変更、2024年1月に契約締結、同年3月より米第7艦隊の協力の元で訓練開始))。 12式地対艦誘導弾能力向上型は、2018年から「島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究」の名称で技術研究本部と川崎重工が開発に取り組んでいる①長距離飛翔技術、②高機動化技術、③ステルス化技術、④陸海空のいずれからでも運用可能とするファミリー化技術、の中から実用化に目処の立った①、③、④の成果を12式地対艦誘導弾(改)に取り入れる事で早期実用化を目指している。 長射程化により発射から着弾までの時間が長期化する((亜音速誘導弾は距離200kmなら発射から着弾まで約12分だが、500kmでは約30分、1,000kmでは約1時間かかる))ため、&ruby(データリンク){システム連結}した海自や空自の航空機の得た捜索情報を発射後も衛星を介して誘導弾本体に送信して中間誘導を行う機能が追加される((上記の「発射管制システムが捜索標定レーダーに依存している」という問題を解決するためでもある))。 射程距離について公式には言及されていないが、2020年12月29日に12式地対艦誘導弾能力向上型は当面900km、最終的には1,500kmに延伸し、新対艦誘導弾は2,000kmを目指す計画と報道されている。 伸展型大型主翼やステルス弾体等の導入予定技術や予想性能、風洞実験模型から、12式地対艦誘導弾能力向上型は外形と性能の両方でSSM-1(改)とは似ても似つかない和製LRASMと言えるミサイルになると予想される((要求性能では全長(ブースター付)9m以下、全幅(主翼展開時)4m以下、弾体直径1m以下とされており、SSM-1(改)やLRASMどころかトマホークよりも大型のミサイルになる可能性がある))。 2021年6月5日には2022年度から12式地対艦誘導弾能力向上型の艦艇搭載型と戦闘機搭載型の開発に着手((艦艇搭載型は2026年度、戦闘機搭載型は2028年度の開発完了予定))すると報道され、実際に令和4年度予算において地上発射型(&bold(){地発型})に加えて艦艇発射型(&bold(){艦発型})と航空機発射型(&bold(){空発型})の開発費393億円が計上されている。 ****島嶼防衛用新対艦誘導弾 先述した様に12式地対艦誘導弾能力向上型の開発開始時に要素技術の提供元になった。 2018年度から新対艦誘導弾に必要な要素技術の開発に取り組んでおり、12式地対艦誘導弾能力向上型に実用化に目処の立っていた要素技術を提供した後も開発が続けられている。 2022年11月には新型ターボファンエンジンXKJ300-1Aの試作型が納入されて各種試験を開始しており、2024年3月には改良型のXKJ301が誘導弾搭載状態での飛行試験に供される予定であると報じられている。 要素技術の開発が2022年度に終了した事から、2023年度から本格開発に移行、令和5年度予算では開発予算として342億円が計上されている。開発は引き続き技術研究本部と川崎重工が行う。 本誘導弾には、12式地対艦誘導弾能力向上型には間に合わなかった高機動化技術やモジュール化による多機能化技術が実装される予定。 ちなみに2023年に投稿された防衛装備庁の研究開発事業紹介動画((https://www.youtube.com/watch?v=VarOnKziYbM))では本誘導弾のイメージの場面があるのだが、そこでは敵対空ミサイルを高機動で回避した上、&bold(){終末航程では迎撃するCIWSをバレルロールで回避して敵艦に命中する}というトンデモっぷりを見ることができる。%%ちなみにその敵艦のシルエットが明らかに中国海軍の052D型ミサイル駆逐艦なのは内緒。%% ****潜水艦発射型誘導弾 2021年12月30日に将来的な敵基地攻撃への活用を前提とし、2020年代後半の実用化を目標に潜水艦発射型を開発する検討を行っているとの報道があり、2022年12月16日制定の「防衛力整備計画」においてスタンド·オフ·ミサイルを搭載可能なVLS搭載型潜水艦の取得を進めるとされた。 その後、2023年度から潜水艦発射型誘導弾の名称で開発が開始されている。 この誘導弾は魚雷発射管を用いた水平発射型((現在のところVLS搭載型潜水艦を保有していないため))であるが、将来的に垂直発射型の開発も見込まれている。 原型になる誘導弾についてははっきりしておらず、12式地対艦誘導弾能力向上型、島嶼防衛用新対艦誘導弾、島嶼防衛用高速滑空弾(([[MLRS]]の後継として2018年から開発されているマッハ5超で弾道・滑空飛行する地対地ミサイル。2026年開発完了・同年配備開始予定のブロック1と2027年開発完了予定のウェーブライダー技術を導入したブロック2A、2030年度開発完了予定の1段目ロケットを極超音速誘導弾と共通化することで高高度での極超音速飛行を実現するブロック2Bがある。射程はブロック1が300〜500km程度、ブロック2が2,000〜3,000kmの予定。対艦ミサイル化も見込まれている。開発は技術研究本部と三菱重工))の何れかと思われる。 2027年度開発完了、総開発費約793億円の予定。開発は技術研究本部と三菱重工が行う。 ****目標観測弾 令和5年度予算で開発が明らかになった強行偵察用機材。 長射程SAM搭載艦艇で構成された艦隊を始めとする200〜300km/h程度の低速滞空型UAVでは接近困難な目標の索敵を目的としており、12式地対艦誘導弾能力向上型の最大射程付近での索敵を可能とする滞空性能と同誘導弾と同程度の速度の付与を目指している。 令和4年度事前の事業評価によると、12式地対艦誘導弾能力向上型ベース案と島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術ベース案の2つを検討中となっているが、何方が採用されても&bold(){長射程誘導弾をベースとするステルス性能を持つ亜音速UAV}になる((飛行速度や運用目的が近い事から、多用途小型無人機(TACOM)や無人機研究システムの開発で得られた技術や知見が活用される可能性が高い))。 SSM用と類似した車載型発射機(またはSSM発射機そのもの)に搭載して運用される計画であり、SSMと同水準の高い機動性と生残性を有すると思われる。 対艦誘導弾とのファミリー化によって調達価格を低下させて大量配備し、有事における使い捨て運用を可能にすることで喪失を恐れて投入を躊躇うといった事態を避けられると考えられる((訓練時も回収せずに使い捨てにするのかは不明))。 開発期間は2023〜2026年度で、総開発費は222億円の予定。開発は技術研究本部と三菱重工が行う。 2023年1月17日には目標観測弾の弾頭を交換型として、電子妨害型も開発する計画であると報道されている((現在は地上発射型のみだが、将来的に原型である12式地対艦誘導弾能力向上型と同様、艦載型や航空機搭載型の目標観測弾や電磁妨害型が開発される可能性もある))。 **作中での活躍 ---- [[グラ・バルカス帝国連合艦隊]]による[[ナハナート王国]]侵攻時に初めて実戦投入された。 [[第4護衛隊群と砲戦>ナハナート沖大海戦]]中の「[[グレードアトラスター>グレードアトラスター型戦艦]]」に対して、第5地対艦ミサイル連隊所属のSSM-1(改)6発が発射され、内1発が艦橋を直撃。司令部・艦橋要員を全員戦死させる。 指揮系統を失った上に大破、大火災が発生したことで同艦は行動不能に陥り、[[日本国]]に鹵獲された。 随時加筆願います。 #table_color(#aae){} |~&big(){関連項目}| |&bold(){[[兵器]]}|[[自衛隊]]|[[日本国]]|[[小坪]]| ---- ''※既存の[[コメント]]に返信する場合、返信したい[[コメント]]の左側にチェックを入れて下さい。'' [[過去のコメント>コメント/12式地対艦誘導弾 ]] #pcomment(reply,enableurl,20) &link_edit(text=ここを編集,page=12式地対艦誘導弾 ) 〔最終更新日:&date(j)〕
&setpagename(12式地対艦誘導弾)&font(b,#555){ひとふたしきちたいかんゆうどうだん} ---- [[日本国]]陸上[[自衛隊]]の地対艦ミサイル。実在する。 &image(12SSM.jpg) &small(1){&font(Black){※出典:陸上自衛隊ホームページ ([[https://www.mod.go.jp/gsdf/equipment/fire/index.html]])}} 諸元 |全長|5,000mm(ブースター付)| |全幅|1,190mm| |直径|349mm| |重量|約700kg(ブースター付)| |動力|固体燃料ロケットブースター(推力偏向装置付)+&br()ターボジェットエンジン| |中間誘導|慣性誘導+GPS誘導| |終末誘導|アクティブ・レーダー誘導| |構成|JTPS-P26捜索標定レーダー装置:2基(1/2tトラック搭載)&br()中継装置:1基(同上)&br()指揮統制装置:1基(3 1/2tトラック積載)&br()射撃管制装置:1基(同上)&br()誘導弾発射機(誘導弾6発/基):1~4基&br()弾薬運搬車(予備誘導弾6発/輛):1~4輌(7tトラック)| 性能 |最大速度|1,150km/h(M0.9)| |射程距離|150km以上(推定)| **概要 ---- &ruby(SSM-1(改)){12式地対艦誘導弾}は防衛省技術研究本部と三菱重工により開発されたアクティブ・レーダー誘導地対艦ミサイルである。 &ruby(SSM-1){88式地対艦誘導弾}の後継として2001年から開発に着手し、2012年に採用された。開発経費は約138億円。 **特徴 ---- モジュール構造を活かした&ruby(ASM-1){80式空対艦誘導弾}ファミリーの6番手で、SSM-1の中間誘導システムを&ruby(ASM-2B){[[93式空対艦誘導弾(B)>93式空対艦誘導弾]]}と同じものに更新すると同時に、射程延伸や生残性の向上を図った性能向上型である。 &image(88SSM.jpg,,,width=300) &small(1){&font(Black){88式地対艦誘導弾 ※出典:陸上自衛隊ホームページ([[https://www.mod.go.jp/gsdf/equipment/fire/index.html]])}} 誘導弾本体の形状はSSM-1と余り変わっていないが、ロケットブースターに推力変更装置が追加されている。 これにより、垂直発射された誘導弾が目標に向けて90度変針すると言うイージスシステム搭載護衛艦等と同様の飛翔パターンを採れる様になり、SSM-1と比較して発射地点選択の制限が小さくなったため、生残性が向上している。 垂直発射対応のため、発射機のキャニスターがほぼ垂直に立てられる様になっている他、キャニスターが円筒型から&ruby(SAM-4){03式地対空誘導弾}と同様の角柱型に変更されているため、SSM-1の発射機との識別は容易である。 別地点から発射して同時に着弾させる事も可能であり、SSM-1最大の特徴である&bold(){地形回避飛行能力}も受け継がれており、より高精度化している。 地形回避能力は、デジタルマップに基づき超低空飛行で山谷を飛び抜ける((逆に言うと、事前に作製したデジタルマップをインプットしておかないと使用できない))機能で、敵に発射地点を発見しづらくさせると同時に、山陰を飛行する事で誘導弾の発見を遅らせることで迎撃を難しくしている。 この機能はトマホークの様な巡航ミサイルに装備されるものだが、内陸部からの敵上陸部隊の水際迎撃を主任務とする陸上自衛隊の地対艦ミサイルにおいても必須の機能となっている((但し、トマホーク等の巡航ミサイルが海上や空中から内陸部の重要施設に向けて飛行するのに対し、陸上自衛隊の地対艦ミサイルは逆に内陸部から海上の上陸部隊に向けて飛行する))。 終末誘導は対地攻撃向きではないアクティブ・レーダー誘導だが、中間誘導にASM-2Bや[[ハープーン]]Block2と同様のGPS誘導も用いているため、原理的には対地攻撃も可能。 SSM-1と発射機や発射管制システムに共用性があり、SSM-1と混載して運用することも可能である。 基本的には、発射機や射撃管制装置、指揮統制装置は攻撃を受け難い内陸部に位置し、沿岸部に進出したJTPS-P26捜索標定レーダー装置の捜索情報を受けて攻撃を行う。 このシステムの特性上、単独では目視外の外洋を航行する敵艦隊を攻撃するのは難しいが、レーダー捜索情報が無くとも概略方位に向けて発射することは可能であるため、海自や空自の航空機から音声伝達された捜索情報に基づいて攻撃する訓練が行われている。 **調達と配備 ---- 開発終了直後の2012年から調達が開始され、2014年から部隊配備が開始されている。 2015年までは教育及び教導部隊に配備されたが、中国の南西諸島進出対策として2014年に調達された1個連隊分のSSM-1(改)は、2016年3月に熊本県健軍駐屯地の第5地対艦ミサイル連隊に集中配備されている。 その後も第5地対艦ミサイル連隊への配備は続き、2019年3月に青森県の第4地対艦ミサイル連隊第4中隊から改組された第301地対艦ミサイル中隊(奄美大島)へ、2020年3月に新編された第302地対艦ミサイル中隊(宮古島)へ配備されている。 2023年3月には第303地対艦ミサイル中隊((2022年3月に健軍駐屯地にて新編。前日に第4地対艦ミサイル連隊第3中隊が廃止されている))が健軍駐屯地から石垣島へ移駐、2024年3月には第304地対艦ミサイル中隊((2023年3月に健軍駐屯地にて新編。同時に上富良野駐屯地に第305ミサイル中隊(88式SSM装備)が新編))が健軍駐屯地から沖縄本島の勝連分屯地に移駐している((同時に北千歳駐屯地にて第306ミサイル中隊(88式SSM装備)が新編))。 南西諸島に301、302、303、304の4個地対艦ミサイル中隊が揃うと同時に第5地対艦ミサイル連隊から離れ、新編された第7地対艦ミサイル連隊に編入されている((司令部は勝連分屯地に設置))。 SSM-1(改)の調達は2022年度予算で打ち切られており、2023年度予算から後述する12式地対艦誘導弾能力向上型地発型の調達に切り替えられている。 第7地対艦ミサイル連隊の地対艦ミサイル中隊は防空任務を受け持つ&ruby(SAM-4){03式中距離地対空誘導弾}(中SAM)または&ruby(SAM-4改){03式中距離地対空誘導弾改善型}(中SAM改)装備の高射中隊とセットで運用されており、奄美大島には第3高射特科群の第344高射中隊((2019年3月に移駐))、宮古島と石垣島には第7高射特科群の第346高射中隊((2020年3月に移駐))と第348高射中隊((2023年3月に移駐))が配備されている((沖縄本島の勝連には中SAM改装備の第15高射特科連隊第2中隊が配備済。尚、第15高射特科連隊は2020年12月に第1中隊が実戦部隊として最初に中SAM改を受領、その後、残りの2個中隊も中SAM改に更新))。 南西方面における地対艦ミサイル部隊の増強は第7地対艦ミサイル連隊の新編で一段落となるが、日本全体で見ると地対艦ミサイル部隊の増強は続き、2025年3月には由布院駐屯地に第8地対艦ミサイル連隊((3個中隊編成。第3中隊のみSSM-1装備))が新編された他、2023年3月に1個中隊のみの編成に削除された八戸駐屯地の第4地対艦ミサイル連隊が3個中隊編成に増強されている((かつては6個連隊24個中隊(全てSSM-1装備。教育用を除く)で編成されていたが、2025年3月末にSSM-1(改)装備2.5個連隊10個中隊、SSM-1装備4.5個連隊18個中隊になる))。 **後継型·派生型の開発 ---- 2013年からSSM-1(改)を原型として、SSM-1B後継の新艦対艦誘導弾の開発が開始され、2017年に「&bold(){&ruby(SSM-2){[[17式艦対艦誘導弾]]}}」として採用されている。 SSM-1Bに代わって、[[あたご型>あたご型護衛艦]]に続く新型イージス艦である[[まや型>まや型護衛艦]]以降の護衛艦に搭載される。 2017年からSSM-2を原型として「&bold(){12式地対艦誘導弾(改)}」と「&bold(){哨戒機用新空対艦誘導弾}」がそれぞれ開発されている。 前者については後述する12式地対艦誘導弾能力向上型の開発に切り替えられたが、後者については令和5年度予算から「&bold(){23式空対艦誘導弾}」の名称で調達が開始されている。 ***12式地対艦誘導弾能力向上型 2020年12月7日、12式地対艦誘導弾(改)に「スタンド·オフ能力」を持たせた新型ミサイルを2025年までに開発すると報道され、2021年度予算に長射程化とプラットフォームの多様化を図った((予算の概要にはステルス化についての記述はないが、政策評価書では明記されている))スタンド·オフ·ミサイル「&bold(){12式地対艦誘導弾能力向上型}」の開発費として、同年度概算要求で計上されていた12式地対艦誘導弾(改)開発費の12倍以上にあたる335億円が計上されている。開発は引き続き技術研究本部と三菱重工が行う。 総開発費394億円、2025年度開発完了の予定だが、令和5年度概算要求において開発完了を待たず、後述する地発型の量産を開始することが明らかになり((2026年度納入開始予定。令和5年度予算では、島嶼防衛用高速滑空弾の早期配備型も開始完了を待たずに量産を開始する(12式地対艦誘導弾能力向上型と同じく2023年度量産着手、2026年度納入開始予定)他、12式地対艦誘導弾能力向上型や島嶼防衛用高速滑空弾の本格配備までの間隙を埋めるため、新たにRGM-109EトマホークBlockⅤを400発調達すること(調達費として約2,100億円を計上。イージス艦からの運用を予定)も明らかになっている。トマホークについては、2023年10月に納入開始を2026年度から2025年度に早めるため、BlockⅣとBlockⅤ各200発ずつの調達に変更、2024年1月に契約締結、同年3月より米第7艦隊の協力の元で訓練開始))、令和6年度防衛白書で試作弾、令和7年度富士総合火力演習では島嶼防衛用高速滑空弾と共に試作型車輌が公開されている。更に令和7年度予算では、同じく開発完了を待たず艦発型の量産·取得が開始されている。 12式地対艦誘導弾能力向上型は、2018年から「島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究」の名称で技術研究本部と川崎重工が開発に取り組んでいる①長距離飛翔技術、②高機動化技術、③ステルス化技術、④陸海空のいずれからでも運用可能とするファミリー化技術、の中から実用化に目処の立った①、③、④の成果を12式地対艦誘導弾(改)に取り入れる事で早期実用化を目指している。 長射程化により発射から着弾までの時間が長期化する((亜音速誘導弾は距離200kmなら発射から着弾まで約12分だが、500kmでは約30分、1,000kmでは約1時間かかる))ため、&ruby(データリンク){システム連結}した海自や空自の航空機の得た捜索情報を発射後も衛星を介して誘導弾本体に送信して中間誘導を行う機能が追加される((上記の「発射管制システムが捜索標定レーダーに依存している」という問題を解決するためでもある))。 射程距離について公式には言及されていないが、2020年12月29日に12式地対艦誘導弾能力向上型は当面900km、最終的には1,500kmに延伸し、新対艦誘導弾は2,000kmを目指す計画と報道されている。 伸展型大型主翼やステルス弾体等の導入予定技術や予想性能、風洞実験模型から、12式地対艦誘導弾能力向上型は外形と性能の両方でSSM-1(改)とは似ても似つかない和製LRASMと言えるミサイルになると予想される((要求性能では全長(ブースター付)9m以下、全幅(主翼展開時)4m以下、弾体直径1m以下とされており、SSM-1(改)やLRASMどころかトマホークよりも大型のミサイルになる))。 2021年6月5日には2022年度から12式地対艦誘導弾能力向上型の艦艇搭載型と戦闘機搭載型の開発に着手((艦艇搭載型は2026年度、戦闘機搭載型は2028年度の開発完了予定))すると報道され、実際に令和4年度予算において地上発射型(&bold(){地発型})に加えて艦艇発射型(&bold(){艦発型})と航空機発射型(&bold(){空発型})の開発費393億円が計上されている。 ****島嶼防衛用新対艦誘導弾 先述した様に12式地対艦誘導弾能力向上型の開発開始時に要素技術の提供元になった。 2018年度から新対艦誘導弾に必要な要素技術の開発に取り組んでおり、12式地対艦誘導弾能力向上型に実用化に目処の立っていた要素技術を提供した後も開発が続けられている。 2022年11月には新型ターボファンエンジンXKJ300-1Aの試作型が納入されて各種試験を開始しており、2024年3月には改良型のXKJ301が誘導弾搭載状態での飛行試験に供される予定であると報じられている。 要素技術の開発が2022年度に終了した事から、2023年度から本格開発に移行、令和5年度予算では開発予算として342億円が計上されている。開発は引き続き技術研究本部と川崎重工が行う。 本誘導弾には、12式地対艦誘導弾能力向上型には間に合わなかった高機動化技術やモジュール化による多機能化技術が実装される予定。 ちなみに2023年に投稿された防衛装備庁の研究開発事業紹介動画((https://www.youtube.com/watch?v=VarOnKziYbM))では本誘導弾のイメージの場面があるのだが、そこでは敵対空ミサイルを高機動で回避した上、&bold(){終末航程では迎撃するCIWSをバレルロールで回避して敵艦に命中する}というトンデモっぷりを見ることができる。%%ちなみにその敵艦のシルエットが明らかに中国海軍の052D型ミサイル駆逐艦なのは内緒。%% ****潜水艦発射型誘導弾 2021年12月30日に将来的な敵基地攻撃への活用を前提とし、2020年代後半の実用化を目標に潜水艦発射型を開発する検討を行っているとの報道があり、2022年12月16日制定の「防衛力整備計画」においてスタンド·オフ·ミサイルを搭載可能なVLS搭載型潜水艦の取得を進めるとされた。 その後、2023年度から潜水艦発射型誘導弾の名称で開発が開始されている。 この誘導弾は魚雷発射管を用いた水平発射型((現在のところVLS搭載型潜水艦を保有していないため))であるが、将来的に垂直発射型の開発も見込まれている。 原型になる誘導弾についてははっきりしておらず、12式地対艦誘導弾能力向上型、島嶼防衛用新対艦誘導弾、島嶼防衛用高速滑空弾(([[MLRS]]の後継として2018年から開発されているマッハ5超で弾道・滑空飛行する地対地ミサイル。2026年開発完了・同年配備開始予定のブロック1と2027年開発完了予定のウェーブライダー技術を導入したブロック2A、2030年度開発完了予定の1段目ロケットを極超音速誘導弾と共通化することで高高度での極超音速飛行を実現するブロック2Bがある。射程はブロック1が300〜500km程度、ブロック2が2,000〜3,000kmの予定。対艦ミサイル化も見込まれている。開発は技術研究本部と三菱重工))の何れかと思われる。 2027年度開発完了、総開発費約793億円の予定。開発は技術研究本部と三菱重工が行う。令和7年度予算より、開発完了を待たずに量産·取得が開始されている。 ****目標観測弾 令和5年度予算で開発が明らかになった強行偵察用機材。 長射程SAM搭載艦艇で構成された艦隊を始めとする200〜300km/h程度の低速滞空型UAVでは接近困難な目標の索敵を目的としており、12式地対艦誘導弾能力向上型の最大射程付近での索敵を可能とする滞空性能と同誘導弾と同程度の速度の付与を目指している。 令和4年度事前の事業評価によると、12式地対艦誘導弾能力向上型ベース案と島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術ベース案の2つを検討中となっているが、何方が採用されても&bold(){長射程誘導弾をベースとするステルス性能を持つ亜音速UAV}になる((飛行速度や運用目的が近い事から、多用途小型無人機(TACOM)や無人機研究システムの開発で得られた技術や知見が活用される可能性が高い))。 SSM用と類似した車載型発射機(またはSSM発射機そのもの)に搭載して運用される計画であり、SSMと同水準の高い機動性と生残性を有すると思われる。 対艦誘導弾とのファミリー化によって調達価格を低下させて大量配備し、有事における使い捨て運用を可能にすることで喪失を恐れて投入を躊躇うといった事態を避けられると考えられる((訓練時も回収せずに使い捨てにするのかは不明))。 開発期間は2023〜2026年度で、総開発費は222億円の予定。開発は技術研究本部と三菱重工が行う。 2023年1月17日には目標観測弾の弾頭を交換型として、電子妨害型も開発する計画であると報道されている((現在は地上発射型のみだが、将来的に原型である12式地対艦誘導弾能力向上型と同様、艦艇発射型や航空機発射型の目標観測弾や電磁妨害型が開発される可能性もある))。 ****新地対艦·地対地精密誘導弾 2025年3月31日に三菱重工との間で開発契約が締結された対地·対艦兼用の長射程精密誘導弾。契約額は約323億円で、2032年度開発完了の予定。 詳細な性能は明らかにされていないが、12式地対艦誘導弾能力向上型や島嶼防衛用新対艦誘導弾が「オマケ程度の対地攻撃能力を持つ対艦ミサイル」であるのに対して本格的な対地精密攻撃能力を有する誘導弾であり、その分だけ対艦攻撃能力は限定的になると思われる。 中間誘導では12式地対艦誘導弾能力向上型から搭載されるデータリンクによる目標情報更新機能を有し、終末誘導ではASM-2と同様の赤外線等を用いた光学式シーカーが採用される計画となっている。 また、SSM−1やSSM-1(改)の特徴でもある地形回避飛行能力も付与されるが、こちらはトマホークと同様に外洋から内陸部の目標に向かって飛行することになる。 概念図から開発されるのは地上発射型と思われるが、艦艇発射型、航空機発射型、潜水艦発射型等も開発される可能性は高い。 **作中での活躍 ---- [[グラ・バルカス帝国連合艦隊]]による[[ナハナート王国]]侵攻時に初めて実戦投入された。 [[第4護衛隊群と砲戦>ナハナート沖大海戦]]中の「[[グレードアトラスター>グレードアトラスター型戦艦]]」に対して、第5地対艦ミサイル連隊所属のSSM-1(改)6発が発射され、内1発が艦橋を直撃。司令部・艦橋要員を全員戦死させる。 指揮系統を失った上に大破、大火災が発生したことで同艦は行動不能に陥り、[[日本国]]に鹵獲された。 随時加筆願います。 #table_color(#aae){} |~&big(){関連項目}| |&bold(){[[兵器]]}|[[自衛隊]]|[[日本国]]|[[小坪]]| ---- ''※既存の[[コメント]]に返信する場合、返信したい[[コメント]]の左側にチェックを入れて下さい。'' [[過去のコメント>コメント/12式地対艦誘導弾 ]] #pcomment(reply,enableurl,20) &link_edit(text=ここを編集,page=12式地対艦誘導弾 ) 〔最終更新日:&date(j)〕

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  1. ***12式地対艦誘導弾能力向上型
  2. 2020年12月7日、12式地対艦誘導弾(改)に「スタンドオフ能力」を持たせた新型ミサイルを2025年までに開発すると報道され、2021年度予算に長射程化とプラットフォームの多様化を図った((予算の概要にはステルス化についての記述はないが、政策評価書では明記されている))スタンドオフミサイル「&bold(){12式地対艦誘導弾能力向上型}」の開発費として、同年度概算要求で計上されていた12式地対艦誘導弾(改)開発費の12倍以上にあたる335億円が計上されている。開発は引き続き技術研究本部と三菱重工が行う。
  3. 総開発費394億円、2025年度開発完了の予定だが、令和5年度概算要求において開発完了を待たず、後述する地発型の量産を開始することが明らかになった((2026年度納入開始予定。令和5年度予算では、島嶼防衛用高速滑空弾の早期配備型も開始完了を待たずに量産を開始する(12式地対艦誘導弾能力向上型と同じく2023年度量産着手、2026年度納入開始予定)他、12式地対艦誘導弾能力向上型や島嶼防衛用高速滑空弾の本格配備までの間隙を埋めるため、新たにRGM-109EトマホークBlockⅤを400発調達すること(調達費として約2,100億円を計上。イージス艦からの運用を予定)も明らかになっている。トマホークについては、2023年10月に納入開始を2026年度から2025年度に早めるため、BlockⅣとBlockⅤ各200発ずつの調達に変更、2024年1月に契約締結、同年3月より米第7艦隊の協力の元で訓練開始))
  4. 伸展型大型主翼やステルス弾体等の導入予定技術や予想性能、風洞実験模型から、12式地対艦誘導弾能力向上型は外形と性能の両方でSSM-1(改)とは似ても似つかない和製LRASMと言えるミサイルになると予想される((要求性能では全長(ブースター付)9m以下、全幅(主翼展開時)4m以下、弾体直径1m以下とされており、SSM-1(改)やLRASMどころかトマホークよりも大型のミサイルになる可能性がある))。
  5. 原型になる誘導弾についてははっきりしておらず、12式地対艦誘導弾能力向上型、島嶼防衛用新対艦誘導弾、島嶼防衛用高速滑空弾(([[MLRS]]の後継として2018年から開発されているマッハ5超で弾道・滑空飛行する地対地ミサイル。2026年開発完了・同年配備開始予定のブロック1と2027年開発完了予定のウェーブライダー技術を導入したブロック2A、2030年度開発完了予定の1段目ロケットを極超音速誘導弾と共通化することで高高度での極超音速飛行を実現するブロック2Bがある。射程はブロック1が300〜500km程度、ブロック2が2,000〜3,000kmの予定。対艦ミサイル化も見込まれている。開発は技術研究本部と三菱重工))の何れかと思われる。
  6. 2027年度開発完了、総開発費約793億円の予定。開発は技術研究本部と三菱重工が行う。
  7. 2023年1月17日には目標観測弾の弾頭を交換型として、電子妨害型も開発する計画であると報道されている((現在は地上発射型のみだが、将来的に原型である12式地対艦誘導弾能力向上型と同様、艦型や航空機搭載型の目標観測弾や電磁妨害型が開発される可能性もある))。
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  1. ***12式地対艦誘導弾能力向上型
  2. 2020年12月7日、12式地対艦誘導弾(改)に「スタンド·オフ能力」を持たせた新型ミサイルを2025年までに開発すると報道され、2021年度予算に長射程化とプラットフォームの多様化を図った((予算の概要にはステルス化についての記述はないが、政策評価書では明記されている))スタンド·オフ·ミサイル「&bold(){12式地対艦誘導弾能力向上型}」の開発費として、同年度概算要求で計上されていた12式地対艦誘導弾(改)開発費の12倍以上にあたる335億円が計上されている。開発は引き続き技術研究本部と三菱重工が行う。
  3. 総開発費394億円、2025年度開発完了の予定だが、令和5年度概算要求において開発完了を待たず、後述する地発型の量産を開始することが明らかにな((2026年度納入開始予定。令和5年度予算では、島嶼防衛用高速滑空弾の早期配備型も開始完了を待たずに量産を開始する(12式地対艦誘導弾能力向上型と同じく2023年度量産着手、2026年度納入開始予定)他、12式地対艦誘導弾能力向上型や島嶼防衛用高速滑空弾の本格配備までの間隙を埋めるため、新たにRGM-109EトマホークBlockⅤを400発調達すること(調達費として約2,100億円を計上。イージス艦からの運用を予定)も明らかになっている。トマホークについては、2023年10月に納入開始を2026年度から2025年度に早めるため、BlockⅣとBlockⅤ各200発ずつの調達に変更、2024年1月に契約締結、同年3月より米第7艦隊の協力の元で訓練開始))、令和6年度防衛白書で試作弾、令和7年度富士総合火力演習では島嶼防衛用高速滑空弾と共に試作型車輌が公開されている更に令和7年度予算では、同じく開発完了を待たず艦発型の量産·取得が開始されている。
  4. 伸展型大型主翼やステルス弾体等の導入予定技術や予想性能、風洞実験模型から、12式地対艦誘導弾能力向上型は外形と性能の両方でSSM-1(改)とは似ても似つかない和製LRASMと言えるミサイルになると予想される((要求性能では全長(ブースター付)9m以下、全幅(主翼展開時)4m以下、弾体直径1m以下とされており、SSM-1(改)やLRASMどころかトマホークよりも大型のミサイルになる))。
  5. 原型になる誘導弾についてははっきりしておらず、12式地対艦誘導弾能力向上型、島嶼防衛用新対艦誘導弾、島嶼防衛用高速滑空弾(([[MLRS]]の後継として2018年から開発されているマッハ5超で弾道・滑空飛行する地対地ミサイル。2026年開発完了・同年配備開始予定のブロック1と2027年開発完了予定のウェーブライダー技術を導入したブロック2A、2030年度開発完了予定の1段目ロケットを極超音速誘導弾と共通化することで高高度での極超音速飛行を実現するブロック2Bがある。射程はブロック1が300〜500km程度、ブロック2が2,000〜3,000kmの予定。対艦ミサイル化も見込まれている。開発は技術研究本部と三菱重工))の何れかと思われる。
  6. 2027年度開発完了、総開発費約793億円の予定。開発は技術研究本部と三菱重工が行う。令和7年度予算より、開発完了を待たずに量産·取得が開始されている。
  7. 2023年1月17日には目標観測弾の弾頭を交換型として、電子妨害型も開発する計画であると報道されている((現在は地上発射型のみだが、将来的に原型である12式地対艦誘導弾能力向上型と同様、艦艇発射型や航空機発射型の目標観測弾や電磁妨害型が開発される可能性もある))。
  8. ****新地対艦·地対地精密誘導弾
  9. 2025年3月31日に三菱重工との間で開発契約が締結された対地·対艦兼用の長射程精密誘導弾。契約額は約323億円で、2032年度開発完了の予定。
  10. 詳細な性能は明らかにされていないが、12式地対艦誘導弾能力向上型や島嶼防衛用新対艦誘導弾が「オマケ程度の対地攻撃能力を持つ対艦ミサイル」であるのに対して本格的な対地精密攻撃能力を有する誘導弾であり、その分だけ対艦攻撃能力は限定的になると思われる。
  11. 中間誘導では12式地対艦誘導弾能力向上型から搭載されるデータリンクによる目標情報更新機能を有し、終末誘導ではASM-2と同様の赤外線等を用いた光学式シーカーが採用される計画となっている。
  12. また、SSM−1やSSM-1(改)の特徴でもある地形回避飛行能力も付与されるが、こちらはトマホークと同様に外洋から内陸部の目標に向かって飛行することになる。
  13. 概念図から開発されるのは地上発射型と思われるが、艦艇発射型、航空機発射型、潜水艦発射型等も開発される可能性は高い。
  14. **作中での活躍
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