市民用宇宙エレベータの裏にあるドラゴン像には、決して近寄ってはならない――政府はいつだって口を酸っぱくして言っている。もしも近づこうものなら、たちまち魂を奪われてしまうらしい。しかし私は好奇心を抑えきれなくなり、つい像に近づいてしまった。
私がドラゴンの像に近づいた瞬間、周囲の景色がカードを捲るように次々と変わりだした。春、夏、秋、冬。まるで私だけが時の流れに置いていかれているよう。そして私は像であるはずのドラゴンが翼をはためかせるのを見た。ドラゴンは、本物だったのだ。
太古の時代、体内に時空間歪曲装置を埋め込まれたドラゴンの周囲は時の流れが遅くなった。ゆえに遠くからドラゴンを見ると像の様に止まって見えるのだ――孤独なドラゴンはそう語ると、私に懇願した。「どうか私の傍で、この長い時を共に生きてくれないか」と。
怯えてドラゴンの傍から逃げ出した私が見たものは、荒廃し人影の消えた都市であった。すでに千年以上の月日が過ぎていたのである。孤独に耐えかねた私が再びドラゴンの元へ近づくと、ドラゴンは私を迎え入れて微笑んだ。その大きな爪を、私の頭上に振り下ろして。
武器種 | 杖 | レアリティ | ★★★ |
属性 | 風 | シリーズ | |
追加日 | 2022年1月31日 | ||
EN | AGW-E14 |