戦場に取り残された私を、彼は助けてくれた。療養の為、野戦病院で暮らす私のもとに、時折、見舞いだと言って会いに来てくれる平然と敵を殺すと噂される彼は、私の前ではたどたどしい口調で、日々の戦果や上官の愚痴を話してくれるのだ。
彼が私の隣の病床へとやってきた。作戦中に無理をして、両足に怪我をして運び込まれたらしい。日が落ちて周りが静かになる頃、彼の苦しそうな息遣いが聞こえてきた。私は何故か、その声をもっと聴きたくなって、彼のほうへ体を寄せる。
私は彼の手に触れる。戦場でしか生きられない、人を殺し続けるその手に。薄暗く、むせ返るような血の匂いの中で、彼は弱々しく私の手を握り返す。あの日、私を助けてくれた力強さとは真逆の……自分に失われた「何か」を求めるように。
私の目が、戦禍で侵され晴れることがないように。あなたの心とその未来に光が届くことは二度とないのかもしれない。それでも、私は願わずにはいられない。私たちが沈む間の中にも、きっと光が……それがどんなに小さなロウソクのような灯りでも……
武器種 | 小型剣 | レアリティ | ★★★★ |
属性 | 火 | シリーズ | |
追加日 | 2022年2月18日 | ||
EN | Blade of Begging | ||
解放 | ラルス(兵士の祝宴) |