「牧場物語 キミと育つ島」の編集履歴(バックアップ)一覧はこちら

牧場物語 キミと育つ島 - (2018/07/16 (月) 14:17:24) の1つ前との変更点

追加された行は緑色になります。

削除された行は赤色になります。

*牧場物語 キミと育つ島 【ぼくじょうものがたり きみとそだつしま】 |ジャンル|ほのぼの生活シミュレーション|&amazon(B000HQSOF0)| |対応機種|ニンテンドーDS|~| |メディア|ニンテンドーDS専用カード|~| |発売元|マーベラスインタラクティブ|~| |開発元|トーセ|~| |発売日|2007年2月1日|~| |定価|4,800円|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:A (全年齢対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|''ほぼすべての操作をタッチペンで行う''&br;ストーリー展開上序盤の難易度がかなり高い|~| |>|>|CENTER:&color(black)''[[牧場物語シリーズリンク>牧場物語シリーズ]]''| ---- #contents() ---- **ストーリー 新天地を目指し主人公たちは船旅をしていたが、道半ばで突如大嵐に見舞われ難破することになってしまった。~ 目が覚めると見知らぬ無人島の砂浜。一緒に流れ着いたのは出荷業者のタロウ一家だけだった。彼らはこの無人島を「ひなた島」と名付け、島を発展させるべく働くことになる。 **概要 -のんびりとした牧場生活を楽しみながらキャラクターとの恋愛もできる『牧場物語シリーズ』の作品。シリーズ第12作目((マイナーチェンジの『forガール』やリメイク等も含めた通算では19作目。))でシリーズ10周年記念作品の1つ。公式略称は『キミ島』。 -長らく『ハーベストムーン』、およびそのリメイクである『[[ミネラルタウンのなかまたち>牧場物語 ミネラルタウンのなかまたち]]』のゲームシステムと世界観を引き継いできた携帯機シリーズでは初の大幅なゲームシステム変更を行った。 --プロデューサーも長らく過去作を担当してきた和田康宏氏から中野魅氏に交代し、作風に大幅な変化が加わっている。 **評価点 -''グラフィックの大幅向上'' --ほぼ『ミネラルタウンのなかまたち』の流用に近い2Dドット絵であった前作『コロボックルステーション』からグラフィックは全面一新。3Dグラフィックが導入され、一部書き割りながらも大幅な表現力の向上を遂げている。 --立ち絵の方もタッチが過去作から若干変わっている(担当自体は従来作どおりまつやまいぐさ氏)。特に過去作ではほぼ統一されていた主人公のデザイン変化が著しい。男性主人公は金髪、女性主人公は茶髪になった。 ---かつて牧場主をやっていた出荷業者の老人「タロウ」の服装はよく見ると過去作の男性主人公とよく似た服装をしており、世代の変化を感じさせるものとなっている。 -''シミュレーション要素の増加'' --本作はほぼあらゆる出荷可能アイテムに「''品質''」のシステムが導入。「質」「量」「鮮度」の品質の総合評価に従って出荷額が変動するシステムとなっており、S~Eにランク付けされる。最高では出荷額が基準値から約3倍になる反面、最低では約20分の1にまで減少してしまう。 --料理等も食材にしたアイテムに依存して品質が決まる。 --このシステムの存在により、より計画的に牧場経営を行うことが求められるようになった。 ---特に農作については、これまで通り毎日水をやっていればいいというわけではなくなった。究極を目指すのであれば、作物ごとの成長に必要な数値をきっちり把握し、そのために水やり、天気の把握、収穫日の設定などを行う必要がある。 ---以下に詳細を記述するが、一応目安として「晴れの日は水やりをする」「くもりの日は収穫が1日遅れるものと諦めて水やりもしない」「大雨が降った日の翌日は水やりをサボって良い」「水量:少なめの種は各段階ごとに1回水やりをしない日を作る」を守れば「質」に関してはそれなりのものができる。収穫可能になってから数日間放置すると「量」も高くなり、Sランクもある程度視野に入るだろう。 #region(品質システムの詳細) -「質」…読んで字のごとく、アイテムの質の良さを示す。 --農作の場合:各作物に設定された成長に必要な「光」「水」の量の基準値ピッタリに近いほど高い質の作物が取れる。光や水が多すぎる場合は質が低下していってしまう。光は天気の運にも左右されるため、狙って最大値が取れるようになるためにはビニールハウスが必要。 --酪農の場合:愛情度が高いほど質が上昇する(ストレス値が高い場合は一時的に減少)。若干のランダム幅がある。 --釣りの場合:「!」が出てからボタンを押すまでにかかった時間の短さで決まる。0.8秒未満で最大。 --採取の場合:ランダム。ただ数値は高め。 --鉱石の場合:潜っている鉱石場の階層に依存。ただしランダム幅が大きい。 -「量」…アイテムの量の多さを示す。 --農作の場合:収穫可能になった時点で約半分。以降収穫可能日数の上限に近づくほど増加していく(多くの作物は10日)。可能日数をオーバーすると枯れてしまう。 --酪農の場合:通常は半分だが、家畜祭での入賞経験によって上昇する。 --釣りの場合:小・中・大の各カテゴリ内での大きさによって決まる。 --採取の場合:マップに出現してから経過した日数で決まる。10日で最大。 --鉱石の場合:完全ランダム。 -「鮮度」…アイテムの鮮度の高さを示す。 --鉱石以外:全て入手した時点で最大、以下日毎に少しずつ減少していく。減少量の基本値はアイテムの種類に依存する。~ 減少幅はリュックに入れっぱなしにしておくとかなり大きいが、冷蔵庫に入れると少なくなる。また、冷蔵庫の素材がいいものだと更に減りにくくなる。 --鉱石の場合:入手時点でもランダム。他は他のアイテムと同じ(冷蔵庫ではなく整理棚に保管する)。 -その他 --本作では入手時点で品質が異なるアイテムはスタックされないが、リュック画面で手動でまとめると平均化される。 #endregion -''島の開拓要素の豊富さ'' --本作の舞台「ひなた島」はシリーズでもかなり広大な舞台。~ 牧場経営を頑張って稼いだお金でどんどん島を発展させていき、住人がどんどん増えていく姿はかなりの達成感を得られる。 --ちなみに過去作にあったような特殊な収集要素は特になく、牧場経営の収入とお約束の木材・石材などの資材で島が開拓されていく。 --最大で顔グラありのメイン住人と顔グラなしのサブ住人の合計で''100人''というシリーズ屈指の住人数を誇る島となるまで発展させることができる。 ---条件を満たすと『ハーベストムーン』(あるいは『ミネなか』)から4名ゲストキャラが登場する。今作に合わせてキャラグラも新調されている。 -''携帯機初の主人公男女選択制が導入'' --実質的な完全版商法と揶揄されてきた「for ガール」版が消滅し、1本のソフトで男女両方のプレイが可能になった。 --結婚相手候補は男女ともに6名。うちひとりは選択しなかった方の主人公(登場条件はかなり厳しめ)。 --異性主人公と隠し候補(男女それぞれ1名)以外の4名はそれぞれライバルキャラがおり、所定の期間までに結婚できないと先に結婚される。 --「魔女さま」のみ前作から続投。結婚条件に問題がありすぎた((動物を一定数死亡させる、収穫祭でわざと毒キノコを入れるなどゲームの趣旨から真っ向から反する行動を要求していた。))前作とは異なり、今作では好感度上昇で普通に結婚できるので攻略しやすくなっている。 -''BGMのクオリティは変わらず高い'' --他の部分に違わずBGMも過去作と比べるとかなり作風が変わっているがクオリティは申し分ない。 --今作は開拓がテーマなこともあってかピアノが響くような静かな曲が多い。 **賛否両論点 -''数値面でのインフレが収まった'' --前作『コロボックルステーション』は「''65535''」とか「''億''」という数値がやたらと出てくる超インフレしたやり込み要素が特徴であり、詰めれば詰めるほど大味な収入と支出が飛び交うゲームとなっていた。~ 一方でそれはそれで面白みがあると評判ではあり、特にバグが修正された『forガール』版はやりこみプレイヤーからは高評価を得ていた。 --今作では作品を経るごとに進んでいたインフレをリセット。やりこみ要素の軸を「量」から「質」に移し、「量」の面は一定ラインで頭打ちになりやすい作りに変化した。~ 終盤でも大味な展開にならないため緊張感が保たれる反面、過去作のような派手な数字の行き交いは起きないため賛否両論。 ---今作は過去作のコロボックルのような牧場生活の手伝いをしてくれる存在がいない((コロボックル自体はNPCとして登場。))ため、基本的に全てを主人公が行わなくてはならない。そのため過去作のように大量生産体制を取るのは難しく、どこかで頭打ちになる。 -''農具の強化システム'' --今作では過去作のような鉱石による農具の強化を廃止し、「すてき」と呼ばれる7色のアイテムを農具に装備することによって強化するように変更された。 --農具には「すてき」をセットするスロット数が予め存在しており、そのスロットの数の分までの強化を付与することができる。強化した効果は農具を溜めて使うと発動する。過去作と異なり、溜め自体に体力消費量を増える効果はない。 ---1年目では最大3スロットの農具までしか売られないが、年を経るごとに店売りされる農具のスロット数の上限が増えていく。 ---効果範囲を増やす赤・青、道具の効果を強化する黄色(例:オノで切り株を壊せるようになる)、体力消費を減らす緑、道具を使用してのアイテム入手量が増える橙(例:ハンマーで石を壊したときの石材入手数)、使用時に小銭が入る紫、 農具のすてきスロット数を直接増やす藍、の7色。 --カスタマイズ性が非常に高く、やろうと思えば''体力消費ゼロで広範囲効果''とか、''アイテム入手数10倍''等といった想像を絶する農具も作成可能。~ ただここまでやりたい放題するためには藍のスロット数増加が不可欠で、それを見越してか藍だけ露骨に入手率が低くなっている。 --だが、この「すてき」の入手性が非常に悪く、春~秋では基本的に各種行事で優勝するしかなく、冬では店売りされるが販売条件が一見ランダムという仕様になっている。 ---祭りにしろ店売りにしろ狙った色を引く方法もある((牧場度の値によって決まるため、直前にセーブして農具を空振りして調整することで狙った色を引くことができる。))のだが攻略情報なしではまず不可能。「使用するたびにわずかな小銭が入る」だけの紫を引くとかなり悲惨。運が悪いといつまでたっても切り株や岩を壊すための黄色が手に入らないという事態も…。 --Wi-Fiでのランキングに参加し結果を残すともらえたりもしたが、現在ではWi-Fiコネクションのサービスが終了しているため参加不能。稼働当時も改造を疑われるデータが上位を席巻しており、実質機能していないに近い状態だった。 -''過度なギャグ展開の減少'' --シリーズおなじみのおちゃらけた発言やギャグ展開だが、今作では非常に少なくなっており女神さまの「ぱんぱかぱーん」くらいのものになっている。 --前作で多かったメタ発言もほとんどなくなり、伝統だった開幕即エンディングの選択肢もなくなった。プロデューサー交代による作風の変化が特に強く現れている部分である。 **問題点 -''ほぼすべての操作がタッチペン'' --移動や採取、プレゼントにメニュー操作などといった主だった操作は全てタッチペンという徹底ぶり。ボタン操作はスロットに装備した農具の使用操作だけ…。 --ご丁寧に左右利き手両対応であり、十字キー・ABXYボタンは同じ操作になっている。 --ABXYボタンにそれぞれの装備品を設定するようになった結果装飾品が最大4つ装備可能になったのはいいのだが、引き換えにリュック内からアイテムをコマンド操作で取り出すことができなくなり、いちいちメニューを開かねばならなくなった。とても不便。 -''体力関係の仕様変更'' --従来作の「体力」「疲労」の2段階制が廃止された。また体力ゲージが常時表示されるようになった。 ---疲労の代わりに新規に「満腹」が追加されたが、ちょくちょく何か口にしていれば激しく減ることは少ないため、疲労と比べると空気。ただ何も食べずに過ごしていると加速的に減っていく。 --が、実質的に1日に動ける量がデフォルトでは半分以下(今作では農具の体力消費が初期で3と大きい)になり、天候によっては更に消耗が増えてしまうので(特に快晴時が痛い)行動数に厳しい制限がかかる。 --また、採掘場では落とし穴の落下時にダメージを受けるが、そのダメージの最大値が100であるため初期体力では即死してしまう場合がある。回避のためには装飾品で体力最大値を上げるしかないが、その装飾品の入手には採掘場で入手できるオリハルコンが必要…。 ---過去作ではダメージが「体力」と「疲労」をまたぐ場合は疲労へのダメージがゼロになるため、実質的に体力が1でもあれば即死はしないシステムになっていた((むしろそうでもしなければ65535階に及ぶ『コロボックルステーション』最上級採掘場踏破などまず不可能だったのだが…。))。 -''品質システムがまだバランス調整不足'' --天気によって光・水の加算値が変化するのだが、曇りのとき「光」の加算値がゼロなので、運悪く曇りが続くと作物がなかなか成長しないという事態に陥る。本作で台風の次に怖い天気は曇りと言っても過言ではない。 -''序盤の難易度がかなり高い'' --前述のストーリーの通り、本作では無人島に主人公と出荷業者一家が流れ着くところから始まるため、序盤の島内の施設が極端に貧弱。食堂ですらある程度住人が集まらないと開業しないため、序盤の体力回復は道端に落ちている草を食べるくらいしかやりようがない。 --上述の通り今作は初期段階での体力消耗が激しく1日あたりの行動数の制限が極めて厳しい。序盤の雨はまさしく「恵みの雨」で、木材集め等に体力を向ける余裕が出来てかなり楽になる。逆に曇りを連日引くとカブですらなかなか実らないという絶望的な事態に…。 --タロウの好感度が一定以上になるまでが正念場。彼から釣り竿を貰うと収入源が増えるのでひとまず安定するのだが、それでも最初の橋を掛けないと行事すら開催できないためかなり大変。 --とにかく地道に進めて食堂・カフェさえ開業できれば一気に楽になるのだが、一見どうでも良さそうな「道の整備」が登場条件になっているサブ住人が多いのがまた罠チックであり、これに気づけないとなかなか住人が増えない。 --幸い今作に期間制限はないため、時間をどれだけ掛けても詰むことはない。猛烈に天気の運が悪く最初にもらったカブの種を枯らしてしまっても復帰は可能。 -''バグの存在'' --携帯機初の3Dグラフィック作品なだけあり、特に壁ハマり関係の報告が多い。動物が壁にハマるといった報告も。 --上を除けば致命的なバグ自体はほぼない。セーブ中フリーズするという報告もあるが、電源を切ればちゃんとセーブされているのでデータが飛んだりはしない模様。 ---前作『コロボックルステーション』の初期版は致命的なものから笑えるものまでバグがそれはもう大量に存在しており、時期が近い『[[ルーンファクトリー>ルーンファクトリー -新牧場物語-]]』などと併せて「マベはバグゲーだらけ」という風評が定着する原因になっていたが、今作でようやくそういった流れに終止符を撃つことが出来た様子。 **総評 大幅な作風の変化や、前作の延長線上にはない作品であることもあり戸惑ったプレイヤーは多かった。~ 序盤のやれることの少なさからくるストイックさと難易度の高さ、何よりタッチペン操作の面倒さといい、いまいち惜しい作品といった印象は否めない。~ しかし島を発展させていったときの達成感もまた屈指のものであり、そういった流れが好きなプレイヤーにはおすすめできる1本と言える。~ **余談 -本作は30万本以上という牧場物語シリーズとしては異例の大ヒットを飛ばしており、記録が残っている限りではシリーズトップと言われている。~ 2007年はDSブームの円熟期であり、人気シリーズの最新作というだけあって波に乗った結果と言えるだろう。また「forガール」廃止も影響したのではないかと考えられる((DSでの前作『コロボックルステーション』も両バージョン併せての売上は約25万本に達している。))。 -本作のパラレルとして、「船が難破せずに無事新天地に到着できた」ストーリーの作品として『''[[牧場物語 キラキラ太陽となかまたち]]''』がほぼ1年後である2008年2月21日に発売されている。 --''ボタン操作が復活''。また序盤から住人や施設が揃っているので難易度はかなり抑えられている。ストーリーがストーリーなだけあってキャラクターはほぼ本作の流用である。 --舞台は「ひまわり諸島」と呼ばれる島々だが本作よりスケールはかなり小さめ。ちなみに条件を満たすとひなた島にも一部ではあるが足を踏み入れることができる。
*牧場物語 キミと育つ島 【ぼくじょうものがたり きみとそだつしま】 |ジャンル|ほのぼの生活シミュレーション|&amazon(B000HQSOF0)| |対応機種|ニンテンドーDS|~| |メディア|ニンテンドーDS専用カード|~| |発売元|マーベラスインタラクティブ|~| |開発元|トーセ|~| |発売日|2007年2月1日|~| |定価|4,800円|~| |プレイ人数|1人|~| |レーティング|CERO:A (全年齢対象)|~| |判定|なし|~| |ポイント|''ほぼすべての操作をタッチペンで行う''&br;ストーリー展開上序盤の難易度がかなり高い|~| |>|>|CENTER:&color(black)''[[牧場物語シリーズリンク>牧場物語シリーズ]]''| ---- #contents() ---- **ストーリー 新天地を目指し主人公たちは船旅をしていたが、道半ばで突如大嵐に見舞われ難破することになってしまった。~ 目が覚めると見知らぬ無人島の砂浜。一緒に流れ着いたのは出荷業者のタロウ一家だけだった。彼らはこの無人島を「ひなた島」と名付け、島を発展させるべく働くことになる。 **概要 -のんびりとした牧場生活を楽しみながらキャラクターとの恋愛もできる『牧場物語シリーズ』の作品。シリーズ第12作目((マイナーチェンジの『forガール』やリメイク等も含めた通算では19作目。))でシリーズ10周年記念作品の1つ。公式略称は『キミ島』。 -長らく『ハーベストムーン』、およびそのリメイクである『[[ミネラルタウンのなかまたち>牧場物語 ミネラルタウンのなかまたち]]』のゲームシステムと世界観を引き継いできた携帯機シリーズでは初の大幅なゲームシステム変更を行った。 --プロデューサーも長らく過去作を担当してきた和田康宏氏から中野魅氏に交代し、作風に大幅な変化が加わっている。 **評価点 -''グラフィックの大幅向上'' --ほぼ『ミネラルタウンのなかまたち』の流用に近い2Dドット絵であった前作『コロボックルステーション』からグラフィックは全面一新。3Dグラフィックが導入され、一部書き割りながらも大幅な表現力の向上を遂げている。 --立ち絵の方もタッチが過去作から若干変わっている(担当自体は従来作どおりまつやまいぐさ氏)。特に過去作ではほぼ統一されていた主人公のデザイン変化が著しい。男性主人公は金髪、女性主人公は茶髪になった。 ---かつて牧場主をやっていた出荷業者の老人「タロウ」の服装はよく見ると過去作の男性主人公とよく似た服装をしており、世代の変化を感じさせるものとなっている。 -''シミュレーション要素の強化'' --本作はほぼあらゆる出荷可能アイテムに「''品質''」のシステムが導入。「質」「量」「鮮度」の品質の総合評価に従って出荷額が変動するシステムとなっており、S~Eにランク付けされる。最高では出荷額が基準値から約3倍になる反面、最低では約20分の1にまで減少してしまう。 --料理等も食材にしたアイテムに依存して品質が決まる。 --このシステムの存在により、より計画的に牧場経営を行うことが求められるようになった。 ---特に農作については、これまで通り毎日水をやっていればいいというわけではなくなった。究極を目指すのであれば、作物ごとの成長に必要な数値をきっちり把握し、そのために水やり、天気の把握、収穫日の設定などを行う必要がある。 ---以下に詳細を記述するが、一応目安として「晴れの日は水やりをする」「くもりの日は収穫が1日遅れるものと諦めて水やりもしない」「大雨が降った日の翌日は水やりをサボって良い」「水量:少なめの種は各段階ごとに1回水やりをしない日を作る」を守れば「質」に関してはそれなりのものができる。収穫可能になってから数日間放置すると「量」も高くなり、Sランクもある程度視野に入るだろう。 #region(品質システムの詳細) -「質」…読んで字のごとく、アイテムの質の良さを示す。 --農作の場合:各作物に設定された成長に必要な「光」「水」の量の基準値ピッタリに近いほど高い質の作物が取れる。光や水が多すぎる場合は質が低下していってしまう。光は天気の運にも左右されるため、狙って最大値が取れるようになるためにはビニールハウスが必要。 --酪農の場合:愛情度が高いほど質が上昇する(ストレス値が高い場合は一時的に減少)。若干のランダム幅がある。 --釣りの場合:「!」が出てからボタンを押すまでにかかった時間の短さで決まる。0.8秒未満で最大。 --採取の場合:ランダム。ただ数値は高め。 --鉱石の場合:潜っている鉱石場の階層に依存。ただしランダム幅が大きい。 -「量」…アイテムの量の多さを示す。 --農作の場合:収穫可能になった時点で約半分。以降収穫可能日数の上限に近づくほど増加していく(多くの作物は10日)。可能日数をオーバーすると枯れてしまう。 --酪農の場合:通常は半分だが、家畜祭での入賞経験によって上昇する。 --釣りの場合:小・中・大の各カテゴリ内での大きさによって決まる。 --採取の場合:マップに出現してから経過した日数で決まる。10日で最大。 --鉱石の場合:完全ランダム。 -「鮮度」…アイテムの鮮度の高さを示す。 --鉱石以外:全て入手した時点で最大、以下日毎に少しずつ減少していく。減少量の基本値はアイテムの種類に依存する。~ 減少幅はリュックに入れっぱなしにしておくとかなり大きいが、冷蔵庫に入れると少なくなる。また、冷蔵庫の素材がいいものだと更に減りにくくなる。 --鉱石の場合:入手時点でもランダム。他は他のアイテムと同じ(冷蔵庫ではなく整理棚に保管する)。 -その他 --本作では入手時点で品質が異なるアイテムはスタックされないが、リュック画面で手動でまとめると平均化される。 --ビニールハウスが携帯機では初登場。ただし今作では『ハーベストムーン』のように全ての季節の作物を育てられる仕様ではなく、『コロボックルステーション』の地下室のように「春の太陽」などといったアイテムを配置して季節を固定する仕様になった。利便性は若干下がったものの、悪天候でも壊れなくなったのは大きな改善点。 ---今作ではおなじみのパイナップルのような高額作物を量産するだけでなく、天気に関わりなく「光」値を与えることができるため質の良い作物を作るという用途もある。 ---ちなみに「太陽」は普通に店売りされている(しかも1000Gと激安…)。 #endregion -''島の開拓要素の豊富さ'' --本作の舞台「ひなた島」はシリーズでもかなり広大な舞台。~ 牧場経営を頑張って稼いだお金でどんどん島を発展させていき、住人がどんどん増えていく姿はかなりの達成感を得られる。 --ちなみに過去作にあったような特殊な収集要素は特になく、牧場経営の収入とお約束の木材・石材などの資材で島が開拓されていく。 --最大で顔グラありのメイン住人と顔グラなしのサブ住人の合計で''100人''というシリーズ屈指の住人数を誇る島となるまで発展させることができる。 ---条件を満たすと『ハーベストムーン』(あるいは『ミネなか』)から4名ゲストキャラが登場する。今作に合わせてキャラグラも新調されている。 -''携帯機初の主人公男女選択制が導入'' --実質的な完全版商法と揶揄されてきた「for ガール」版が消滅し、1本のソフトで男女両方のプレイが可能になった。 --結婚相手候補は男女ともに6名。うちひとりは選択しなかった方の主人公(登場条件はかなり厳しめ)。 --異性主人公と隠し候補(男女それぞれ1名)以外の4名はそれぞれライバルキャラがおり、所定の期間までに結婚できないと先に結婚される。 --「魔女さま」のみ前作から続投。結婚条件に問題がありすぎた((動物を一定数死亡させる、収穫祭でわざと毒キノコを入れるなどゲームの趣旨から真っ向から反する行動を要求していた。))前作とは異なり、今作では好感度上昇で普通に結婚できるので攻略しやすくなっている。 -''BGMのクオリティは変わらず高い'' --他の部分に違わずBGMも過去作と比べるとかなり作風が変わっているがクオリティは申し分ない。 --今作は開拓がテーマなこともあってかピアノが響くような静かな曲が多い。 **賛否両論点 -''数値面でのインフレが収まった'' --前作『コロボックルステーション』は「''65535''」とか「''億''」という数値がやたらと出てくる超インフレしたやり込み要素が特徴であり、詰めれば詰めるほど大味な収入と支出が飛び交うゲームとなっていた。~ 一方でそれはそれで面白みがあると評判ではあり、特にバグが修正された『forガール』版はやりこみプレイヤーからは高評価を得ていた。 --今作では作品を経るごとに進んでいたインフレをリセット。やりこみ要素の軸を「量」から「質」に移し、「量」の面は一定ラインで頭打ちになりやすい作りに変化した。~ 終盤でも大味な展開にならないため緊張感が保たれる反面、過去作のような派手な数字の行き交いは起きないため賛否両論。 ---今作は過去作のコロボックルのような牧場生活の手伝いをしてくれる存在がいない((コロボックル自体はNPCとして登場。))ため、基本的に全てを主人公が行わなくてはならない。そのため過去作のように大量生産体制を取るのは難しく、どこかで頭打ちになる。 -''農具の強化システム'' --今作では過去作のような鉱石による農具の強化を廃止し、「すてき」と呼ばれる7色のアイテムを農具に装備することによって強化するように変更された。 --農具には「すてき」をセットするスロット数が予め存在しており、そのスロットの数の分までの強化を付与することができる。強化した効果は農具を溜めて使うと発動する。過去作と異なり、溜め自体に体力消費量を増える効果はない。 ---1年目では最大3スロットの農具までしか売られないが、年を経るごとに店売りされる農具のスロット数の上限が増えていく。 ---効果範囲を増やす赤・青、道具の効果を強化する黄色(例:オノで切り株を壊せるようになる)、体力消費を減らす緑、道具を使用してのアイテム入手量が増える橙(例:ハンマーで石を壊したときの石材入手数)、使用時に小銭が入る紫、 農具のすてきスロット数を直接増やす藍、の7色。 --カスタマイズ性が非常に高く、やろうと思えば''体力消費ゼロで広範囲効果''とか、''アイテム入手数10倍''等といった想像を絶する農具も作成可能。~ ただここまでやりたい放題するためには藍のスロット数増加が不可欠で、それを見越してか藍だけ露骨に入手率が低くなっている。 --だが、この「すてき」の入手性が非常に悪く、春~秋では基本的に各種行事で優勝するか、あるいは鉱石場を255Fまで制覇するかしかなく、冬では店売りされるが販売条件が一見ランダムという仕様になっている。 ---祭りにしろ店売りにしろ狙った色を引く方法もある((牧場度の値によって決まるため、直前にセーブして農具を空振りして調整することで狙った色を引くことができる。))のだが攻略情報なしではまず不可能。「使用するたびにわずかな小銭が入る」だけの紫を引くとかなり悲惨。運が悪いといつまでたっても切り株や岩を壊すための黄色が手に入らないという事態も…。 --Wi-Fiでのランキングに参加し結果を残すともらえたりもしたが、現在ではWi-Fiコネクションのサービスが終了しているため参加不能。稼働当時も改造を疑われるデータが上位を席巻しており、実質機能していないに近い状態だった。 -''過度なギャグ展開の減少'' --シリーズおなじみのおちゃらけた発言やギャグ展開だが、今作では非常に少なくなっており女神さまの「ぱんぱかぱーん」くらいのものになっている。 --前作で多かったメタ発言もほとんどなくなり、伝統だった開幕即エンディングの選択肢もなくなった。プロデューサー交代による作風の変化が特に強く現れている部分である。 **問題点 -''ほぼすべての操作がタッチペン'' --移動や採取、プレゼントにメニュー操作などといった主だった操作は全てタッチペンという徹底ぶり。ボタン操作はスロットに装備した農具の使用操作だけ…。 --ご丁寧に左右利き手両対応であり、十字キー・ABXYボタンは同じ操作になっている。 --ABXYボタンにそれぞれの装備品を設定するようになった結果装飾品が最大4つ装備可能になったのはいいのだが、引き換えにリュック内からアイテムをコマンド操作で取り出すことができなくなり、いちいちメニューを開かねばならなくなった。とても不便。 -''体力関係の仕様変更'' --従来作の「体力」「疲労」の2段階制が廃止された。また体力ゲージが常時表示されるようになった。 ---疲労の代わりに新規に「満腹」が追加されたが、ちょくちょく何か口にしていれば激しく減ることは少ないため、疲労と比べると空気。ただ何も食べずに過ごしていると加速的に減っていく。 --が、実質的に1日に動ける量がデフォルトでは半分以下(今作では農具の体力消費が初期で3と大きい)になり、天候によっては更に消耗が増えてしまうので(特に快晴時が痛い)行動数に厳しい制限がかかる。 --また、採掘場では落とし穴の落下時にダメージを受けるが、そのダメージの最大値が100であるため初期体力では即死してしまう場合がある。回避のためには装飾品で体力最大値を上げるしかないが、その装飾品の入手には採掘場で入手できるオリハルコンが必要…。 ---過去作ではダメージが「体力」と「疲労」をまたぐ場合は疲労へのダメージがゼロになるため、実質的に体力が1でもあれば即死はしないシステムになっていた((むしろそうでもしなければ65535階に及ぶ『コロボックルステーション』最上級採掘場踏破などまず不可能だったのだが…。))。 -''品質システムがまだバランス調整不足'' --天気によって光・水の加算値が変化するのだが、曇りのとき「光」の加算値がゼロなので、運悪く曇りが続くと作物がなかなか成長しないという事態に陥る。本作で台風の次に怖い天気は曇りと言っても過言ではない。 -''序盤の難易度がかなり高い'' --前述のストーリーの通り、本作では無人島に主人公と出荷業者一家が流れ着くところから始まるため、序盤の島内の施設が極端に貧弱。食堂ですらある程度住人が集まらないと開業しないため、序盤の体力回復は道端に落ちている草を食べるくらいしかやりようがない。 --上述の通り今作は初期段階での体力消耗が激しく1日あたりの行動数の制限が極めて厳しい。序盤の雨はまさしく「恵みの雨」で、木材集め等に体力を向ける余裕が出来てかなり楽になる。逆に曇りを連日引くとカブですらなかなか実らないという絶望的な事態に…。 --タロウの好感度が一定以上になるまでが正念場。彼から釣り竿を貰うと収入源が増えるのでひとまず安定するのだが、それでも最初の橋を掛けないと行事すら開催できないためかなり大変。 --とにかく地道に進めて食堂・カフェさえ開業できれば一気に楽になるのだが、一見どうでも良さそうな「道の整備」が登場条件になっているサブ住人が多いのがまた罠チックであり、これに気づけないとなかなか住人が増えない。 --幸い今作に期間制限はないため、時間をどれだけ掛けても詰むことはない。猛烈に天気の運が悪く最初にもらったカブの種を枯らしてしまっても復帰は可能。 -''バグの存在'' --携帯機初の3Dグラフィック作品なだけあり、特に壁ハマり関係の報告が多い。動物が壁にハマるといった報告も。 --上を除けば致命的なバグ自体はほぼない。セーブ中フリーズするという報告もあるが、電源を切ればちゃんとセーブされているのでデータが飛んだりはしない模様。 ---前作『コロボックルステーション』の初期版は致命的なものから笑えるものまでバグがそれはもう大量に存在しており、時期が近い『[[ルーンファクトリー>ルーンファクトリー -新牧場物語-]]』などと併せて「マベはバグゲーだらけ」という風評が定着する原因になっていたが、今作でようやくそういった流れに終止符を撃つことが出来た様子。 **総評 大幅な作風の変化や、前作の延長線上にはない作品であることもあり戸惑ったプレイヤーは多かった。~ 序盤のやれることの少なさからくるストイックさと難易度の高さ、何よりタッチペン操作の面倒さといい、いまいち惜しい作品といった印象は否めない。~ しかし島を発展させていったときの達成感もまた屈指のものであり、そういった流れが好きなプレイヤーにはおすすめできる1本と言える。~ **余談 -本作は30万本以上という牧場物語シリーズとしては異例の大ヒットを飛ばしており、記録が残っている限りではシリーズトップと言われている。~ 2007年はDSブームの円熟期であり、人気シリーズの最新作というだけあって波に乗った結果と言えるだろう。また「forガール」廃止も影響したのではないかと考えられる((DSでの前作『コロボックルステーション』も両バージョン併せての売上は約25万本に達している。))。 -本作のパラレルとして、「船が難破せずに無事新天地に到着できた」ストーリーの作品として『''[[牧場物語 キラキラ太陽となかまたち]]''』がほぼ1年後である2008年2月21日に発売されている。 --''ボタン操作が復活''。また序盤から住人や施設が揃っているので難易度はかなり抑えられている。ストーリーがストーリーなだけあってキャラクターはほぼ本作の流用である。 --舞台は「ひまわり諸島」と呼ばれる島々だが本作よりスケールはかなり小さめ。ちなみに条件を満たすとひなた島にも一部ではあるが足を踏み入れることができる。

表示オプション

横に並べて表示:
変化行の前後のみ表示: