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真説サムライスピリッツ 武士道烈伝」を以下のとおり復元します。
*真説サムライスピリッツ 武士道烈伝
【しんせつさむらいすぴりっつ ぶしどうれつでん】
|ジャンル|RPG|&amazon(B00014B0Y0)|
|対応機種|ネオジオCD&br()セガサターン&br()プレイステーション|~|
|発売・開発元|SNK|~|
|発売日|1997年6月27日|~|
|定価|6,800円|~|
|判定|なし|~|
|ポイント|格闘ゲームのRPG化として話題を呼ぶが…&br()延期に延期を重ねた発売時期&br()ロード多すぎ&長すぎ&br()練り込み不足なシステム|~|
|廉価版|【PS】PlayStation the Best:1998年7月23日/2,800円&br()※表示定価は全て税抜|~|
|>|>|CENTER:''[[サムライスピリッツシリーズリンク>サムライスピリッツシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
-対戦格闘ゲーム『[[サムライスピリッツ]]』をロールプレイングゲーム(RPG)とした作品。
--当時サムスピシリーズの人気は高く、これに乗らんとばかりにRPG化が企画された。
--SNKにはこれまでRPGを制作した経験がほとんど無く((一応FCで『里見八犬伝』及び『ゴッドスレイヤー はるか天空のソナタ』を出してはいるが、前者は外注で、後者は純粋なRPGではなくアクションRPGである。))、ファンの間には期待と不安が高まっていた。

**内容
-ストーリーは初代『サムライスピリッツ』(以下初代)をベースとした「邪天降臨之章」と、『[[真サムライスピリッツ 覇王丸地獄変]]』(以下真サム)をベースとした「妖花慟哭之章」の2本立て。
--開発当初はもう一つシナリオが用意されていたのだが、これについては後述する。

-主人公は「覇王丸」「牙神幻十郎」「ナコルル」「ガルフォード」「橘右京」「チャムチャム」の6人の中から選ぶ。
--幻十郎のみ、そのキャラクター性から「邪天降臨之章」ではパーティを組めない。
--パーティ専用キャラクターとして「シャルロット」「千両狂死郎」「リムルル」も登場する。
---ただしNCD版では主人公によっては仲間に出来ないキャラクターもいる(例:ガルフォードは犬を連れているため、犬嫌いの狂死郎を仲間に出来ない)。
--「妖花慟哭之章」ではRPGオリジナルキャラの「疾風の鈴音」が強制的にパーティに加入する。幻十郎も鈴音と二人旅をすることになる。

-イラストは当時サムスピ漫画を描いていた、漫画家のしろー大野が担当。『[[サムライスピリッツ 斬紅郎無双剣]]』(以下斬サム)でも勝利画面の原画を担当していた。

-当初はネオジオCD専用ソフトとして開発されていたが、発売日が延期を重ねた間にSNKがSS・PSのサードパーティとなったために三機種で同時発売されることとなった。
--機種ごとの違いはクリア後の特典で、NCD版は「緋雨閑丸」を主人公としたおまけシナリオ、SS版は黒子の質問コーナー、PS版は各サブキャラクターのショートストーリーとなっている。
---なお、NCD版のおまけシナリオには、(厳密には時代背景が違うためそっくりさんだが)[[KOFシリーズ>THE KING OF FIGHTERSシリーズ]]のメインキャラクターである草薙京・八神庵の両名((「『2000年前にヤマタノオロチを封じた』とされる草薙一族の末裔である神職者と、彼と因縁を持つ『月を守護する』とされる男」という設定であり、京の父である草薙柴舟に近い両袖と背中に紋章が入った和服姿となっている。))や麻宮アテナ((本作では「阿沙宮あてな」という名前。やけにぬるぬる動く彼女の歌唱モーションはある意味必見。))、『[[龍虎の拳]]』のサカザキ兄妹など、他のシリーズのキャラクター(のような別人)が大量に登場している。
--また、細かいシステム面や演出などでも機種間で微妙な差異が見られる。

**問題点
-回数が多すぎる上、時間がとにかく長いロード
--おそらくこれが最大の問題点。特にNCD版では、電源投下して起動した後の初戦闘やダンジョンの出入り直後などマップや敵の出現テーブルの入れ替えが起こった際には''敵と遭遇してから戦闘画面へ移行するまでに1分ほどかかる''((ただし、ハード特性である大容量のメモリを活かしてか、それ以外のロードは比較的短めとなっている。))。
---更にエンカウント率も高いので、とにかくストレスが溜まること間違いない。
//確か、NCD版は最初だけクソ長くて、それ以降は敵の配置やマップが切り替わらない限りはそこまで長時間待たされなかったはず。さすがに毎回1分ほどだったら投げる。
--また、建物の中に入ろうとすると即ローディング、10秒以上も待たされる。
--PS版のみ、PS2でプレイすることによって多少はストレスを感じなくなるだろう。

-戦闘システムの問題
--元々格闘ゲームだった作品のためか、NCD・SS版では格闘ゲームのようなコマンド入力で奥義(格闘ゲームで言う必殺技、RPGで言えば魔法や特技)を出すことが出来る。
--しかしRPGであることから、コマンド入力が苦手な人の為か奥義を画面から選択する一般的なRPGの方式も採用している(PS版はセレクト方式のみ)。
---ここでの問題は、''コマンド方式は失敗すれば奥義が出ないというデメリットはあるのに、成功して受けるメリットは皆無ということである。''
---RPGのプレイ時間は対戦格闘ゲームの比ではないため、いちいちコマンド入力していたら手が疲れてしまうし面倒くさい。
---なので、普通にプレイするならコマンド方式は全く意味の無いシステムである。せめてコマンド方式なら消費気力(MPに該当するパラメータ)が低くなる、などとすれば存在意義もあっただろうに(一応NCD版のみ防御と回避を任意で出来るようになっていた)。
--さらに戦闘自体も、ザコが意外と強くて殲滅に時間がかかる。
---主人公のHPが900しか無いのに、200超ダメージを与えてくる敵がワラワラ出てくるバランスの悪さ。
---またエンカウント率も高く、4、5歩に1回などという凄まじさ。
---前述のロード時間の長さもあり、これで飽きてしまったプレイヤーも多い。

-選択した主人公によっては、地獄を見ることになるバランス
--「邪天降臨之章」の幻十郎は前述の通り誰ともパーティを組めないため、常に一人旅となる。一応能力は高めでオールラウンダーなのだが、一人旅のため状態異常にすこぶる弱く、麻痺でもしようものなら途端に敵のレイプが始まってしまう。もちろん即死攻撃を喰らえば終わりである。
---本作では何らかの状態異常中には、''状態異常攻撃への抵抗が無条件で消滅してしまう''ため、麻痺攻撃する敵がいる時に状態異常になるとそのまま連続麻痺して二度と復帰できないことも珍しくない。一人旅でこれを防ぐ方法は、とにかくレベルを上げて状態異常耐性を上げる以外に無い。
---当然敵を倒すのにも苦労する。
--「妖花慟哭之章」では疾風の鈴音が強制加入するので多少は楽になる。

-一部キャラの扱い
--主人公またはパーティキャラに選ばれなかったキャラクターの中には、扱いが悪い者も存在する。
--中でも柳生十兵衛は、本シリーズでは人気が高いキャラクターであるにもかかわらずパーティキャラではない。
---「妖花慟哭之章」の冒頭のイベントで''敵の幹部に殺されてしまう。''一応、PS版のおまけシナリオでは「一連の騒動終了後に復活した」とフォローされているのだが……ちなみにノベライズ版でも無残に死んだままであり、一切救済がない。

-シナリオが一本道過ぎる
--「邪天降臨之章」「妖花慟哭之章」ともに、ほぼ完全に一本道。サブイベントは殆ど存在しない。
---一応、主人公6人それぞれに専用会話やイベントスチル付きの専用サブイベント、専用中ボスなどが用意されていたりと、各キャラクターごとの違いを出そうとした努力は垣間見える。しかし大本のシナリオがほぼ一本道であるため、そういったものを見るためだけに6周できるかというと、ロードの関係もありかなりきつい。
--RPGでは必須の謎解きなども存在しないようなもので、単にストーリーをなぞるだけ。
---RPG制作のノウハウの不足ぶりが浮き彫りとなった。

-「スピリッツ」システムが中途半端
--これは普通のRPGで言うところの属性値、アライメントにあたるもので、「攻撃的」なスピリッツと「慈悲的」なスピリッツの2極が存在する。怒り奥義を使用したり、選択肢で他者を傷つけるものを選ぶと「攻撃的」に近づき、敵を散らしたり、選択肢で他者を思いやるものを選ぶと「慈悲的」に近づく。
--が、これが大きな意味を成すのは「邪天降臨之章」だけで((「攻撃的」なスピリットにあまりにも近い場合、一部のイベントが省略されバッドエンドになってしまう。))、「妖花慟哭之章」ではほとんど意味がない。
---一応、NCD版のみ相手の攻撃時にタイミングよくボタンを押した際の動作が異なる((「攻撃的」な場合はカウンターで反撃、「慈悲的」な場合は回避になる。))という点はあるのだが…。
---ちなみにこの「スピリッツ」値、キャラクター毎の性格がきちんと反映されており、初期値が大きく違う。ナコルルは最も「慈悲的」であり、幻十郎は最も「攻撃的」である。そのため、幻十郎で「邪天降臨之章」をプレイしてグッドエンドを見たい際には、ある程度意識して敵を散らす必要がある。

-没になったシナリオ
--開発当初は前述の二つのシナリオの他に「魔都封滅之章」という、京都を舞台にしたRPGオリジナルシナリオが制作され、SNKのSS・PS参入により3機種での展開が決定してからは各機種版に3つのうち2つずつがそれぞれ異なる組み合わせで収録されるという予定で開発が進められていた((当初の予定では、ネオジオCD版が実際の製品版と同じ「邪天~」「妖花~」、そしてプレイステーション版が「妖花~」「魔都~」、セガサターン版が「邪天~」「魔都~」となるはずだった。))。~
しかし開発の遅れやハードの制約等により、急遽各ハード共に同じもの2本を収録して発売することが発表された。
---各機種でクリア後のオマケ要素がそれぞれ異なるのは、機種毎に違いを出すという当初の企画の名残である。
---一応NCD版のオマケシナリオが、上記の没シナリオの一部分のみを再現している。
--ちなみに柴田亜美氏によるゲーム業界のレポート漫画「どきバグ」で、本作の発売前の告知で、この3機種に3種が2つずつの組み合わせで収録されて販売されることが宣伝されていたことがある。
---その後の同漫画で、プロデューサーの高津氏が通天閣に登って「魔都封滅の話はすなァァーっ!!」と叫ぶ回があった。
---それどころか、なんと''ゲーム中でも似たようなセリフを言う男がいる。''とんだ自虐ネタである。

-一部のキャラクターの声
--本作はフジテレビとタイアップしていたためか、一部キャラの声優に芸能人やフジテレビの女子アナウンサーが起用されていた。
--ただやはり声優の演技としては難があるものも多く、特にリムルルは酷い演技であった。
---発売はこちらが先になってしまったが、リムルルは『[[サムライスピリッツ 天草降臨]]』でもこの声である。
--またミヅキやアースクェイク、ズィーガー等、本シリーズから声優が変更されたキャラクターも多い。

**評価点
-ドット絵は秀逸。敵や味方の一つ一つのモーションや建物や背景までキメ細かく描かれている。この点はさすがSNKと言ったところ。
--特定のキャラで特定の場所に行くと発生するイベント用の一枚絵も必見。特にドレス姿のシャルロットが拝めるのは本作ぐらいだろう。
--おまけシナリオのみの登場である他シリーズのキャラクターのドット絵にも力が入っており、京の鬼焼きや庵の三段笑いなど印象的な動作がきっちり作り込まれている。

-登場人物は『初』~『斬』までのほぼ全員が登場。ズィーガーや不知火幻庵など『剣』まで復活しなかった面々も登場するのはファンには嬉しい。
--また『真』以降何かと不遇な扱いを受けている橘右京や当時は時代を先取りしすぎて人気がイマイチだったチャムチャムなどにもスポットを当ててる点でも本作は貴重な存在。
--オリジナルキャラクターも特に違和感なく溶け込んでいる。
--NCD版のおまけではPS版やSS版に登場しない閑丸と斬紅郎に加えて『天』の風間兄弟もチョイ役で登場する。

**総評
アクション(特に当時は格ゲー)メインのメーカーであるSNKが製作したRPGということで話題を集めたが、元々RPG制作のノウハウが不足していた上に開発リソースの多くを格闘アクションに特化させていたことが災いし、度重なる発売延期とロードの長さ、バランスの悪さなどのマイナス点が現れてしまった。~
特にロードの長いことで評判のNCDでRPGを作ることに無理があったといえよう。~

その後『サムスピ』シリーズは当時の流行に乗ってポリゴン化した『侍魂~サムライスピリッツ~』がその年の内に登場するが、これもまたSNKの3D技術力の低さを露呈した駄作となってしまい、本作と共にシリーズ全体のイメージダウンに大きく貢献することとなってしまった。~

**余談
-現行のSNK(旧SNKプレイモア)の公式サイトでは、サムスピシリーズ公式サイトにて「歴代演目」として歴代タイトルを紹介しているが、掲載しているのが格闘ゲームタイトルのみに限っているため、本作は存在自体が一切触れられていない。
--後に何度もコレクション収録やアーカイブ配信などでプレイできる機会に恵まれた格闘ゲーム本編と異なり、本作は発売当時のオリジナル3機種のみに留まっており、現物を入手する以外のプレイ手段が無い。

-エンディング及びスタッフロール後には、格闘ゲーム本編と同様に「GAME OVER」と表示される。
--格ゲーではお馴染みの表記であり、ゲーム終了という意味でも間違っていない表記なのだが、RPGでこの演出をやられるとなんとも言えない違和感を覚えてしまう人も多いだろう。

-発売日が何度も何度も延期された。
--RPG化発表は『真サム』発売から半年後の1995年の春頃だったのだが、SNKにRPG開発のリソースが不足していたためか開発が遅れに遅れ、1997年夏にようやく発売となった。発表から2年弱程である。
--その間に本シリーズでは『斬サム』『天サム』と二作も発売されてしまった。
//延期されたことそのものは問題ではなかろう。散々延期した割に出来が酷いってのは確かにあれだけど。
//余談の項目に移してみました。

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