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ゾンビの同級生はプリンセス -不死人ディテクティブ-」を以下のとおり復元します。
*ゾンビの同級生はプリンセス -不死人ディテクティブ-
【ぞんびのどうきゅうせいはぷりんせす ふしにんでぃてくてぃぶ】
|ジャンル|不死人ディテクティブADV|&amazon(B0057K02NS)|
|対応機種|Windows 2000/XP/Vista|~|
|発売元|アーベルソフトウェア|~|
|発売日|2011年8月26日|~|
|定価|8,800円(税別)|~|
|レーティング|BGCOLOR(black):''&font(#FF69B4){アダルトゲーム}''|~|
|配信|2013年06月07日/2,287円(税別)|~|
|判定|BGCOLOR(lightsalmon):''クソゲー''|~|
|ポイント|&color(red){''2011年クソゲーオブザイヤーinエロゲー板大賞''}&br完全無欠の''駄ゲー惨状''&br;''絶対ぇに''見逃せないリンク&br;探偵? 推理? ''どこが?''&br;''COMING SOON''|~|
|>|>|CENTER:''[[クソゲーオブザイヤー関連作品一覧>KOTYゲーム一覧]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
メーカーの社長でありライターでもある故・菅野ひろゆき氏の遺作。~
氏は本作の開発中に倒れ入院((意識不明状態が1ヶ月続くという大病であり、退院するも同年12月に脳梗塞で死去した。))した為、「シナリオ担当」というより「原作者」とでもいうべき立場となる。[[参考>https://twitter.com/YukihiroKenno/status/106223802836467712]]。

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**シナリオ概要
このゲームの全体的な目的は「2ヶ月前に主人公を殺した犯人を探す」こと。主人公はこの時に一度殺され、月奈に不死者として復活させられた。~
第1話は絵画探しがメイン。主人公と月奈の出会いも描いている。~
第2話は簡単に書くと「閉鎖空間で記憶を失った5人が脱出を試みる」という話。

**システム説明
-「探偵ハイパーリンクシステム」
--『[[ミステリート ~アザーサイド・オブ・チャーチ~]]』で採用されたシステムで、一言でいえば「文中の単語をクリックする事でザッピングするシステム」
---テキストを読み進めていくと文字色の違う単語が現れる事があり、これをクリックするとTIP(その単語の解説文)が表示されたり、他の登場人物の視点にザッピングできたりする。

-最初に搭載された『ミステリート ~アザーサイド・オブ・チャーチ~』では、後に「イージーモード」としてリンクの色を変えるパッチを配信するまで''リンクの色すら変わっていなかった''のだが、流石に不評すぎると思ったのか本作は最初から色付きリンクに変更された。
--とはいえ、そもそもこのシステム自体評判が悪かったので、根本的に別のシステムを考えて欲しかったものである。

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**問題点
''システム面の問題''~
-根本的に問題のあった「探偵ハイパーリンクシステム」を引き続き使用している事。
--リンクをクリックしなかった場合にはすぐにシナリオが終了し、''突然シナリオがプツンと途切れて画面が真っ黒になってしまう''。そしてそのパートを最初から読み直すか、タイトル画面に戻るかの選択を迫られるだけとなっており、ようは「視点変更する為のスイッチ」としての機能しか意味がない場合が多い。
---見逃しやすいリンクのせいでぶつ切りになって同じ文章をまた読まされるのははっきり言って苦痛以外の何物でもなく、これらの場面に関しては、各人物のシナリオ選択式にでもした方がよっぽど読みやすい。
--ザッピング先に関しても、主要キャラ間だけで視点を回していればまだ良かったものを、''立ち位置がさっぱりわからないキャラや、脇役その1の様なキャラの視点にまでザッピングされる為''、各キャラへの感情移入はおろか、物語の全容を把握する事すら困難となる。
--バックログからザッピングできない問題もそのまま。1度リンクを見逃すと''そのパートの頭から読み直さなければならなくなる''。
--既読文章のスキップ機能も、相変わらず一度発見したリンクすらスキップしてしまう。その為、見逃した位置が分かっている場合くらいしか使い道がない。

''未完成な部分が多い''
-2話以降のリンク機能の激減
--まずTIPが出てこなくなる。
--ザッピングポイントも各パートのラストに登場するのみとなり、「クリックすれば次のパートに進み、クリックしなければゲームオーバー」となるだけで、これでは次のシナリオの開始地点を分かりにくくしているだけである。
---そのくせ2話は視点変更を活かした叙述トリックの為に回数だけは非常に多い。

-全4話と謳っていたが、実質全2話
--第3話は、数行のテキストの後に''「COMING SOON」と表示され、唐突にゲームは終わってしまう''。
---''1か月以上後に''第3話はアドオンとして配信されたが、これもかなり低クオリティ。
---ザッピング方式も2話同様で無駄に長く、意外性のない単調な展開が続き、しかも悪役の設定や伏線を放り出す「打ち切りエンド」。
---ちなみにこの第3話は「更に本作を楽しんでいただける内容」と銘打たれていた為、それをそのまま取るなら「おまけ」であり、これでは製品的には全2話である。''そして第4話は完全に無かった事にされた''。

-シナリオの落ちとしても問題が残る。
--最後は真犯人の正体が明らかになるのだが、ゲーム全体を通して見ると、真犯人があまりに回りくどく行き当たりばったりな方策をとっている。
---こうなってしまったのはこれまで張ってきた伏線の大半を放棄したのが原因だろう。無視しなかったのは「魔凶((人間の欲望を増幅されるもの。))」関連くらいのもの。

''その他''
-このメーカーでは恒例だが、ボイスも歌も入っていない。

-キャラクターデザインそのものは悪くはないが、イベントCGと立ち絵で明らかに顔の違うキャラがいる。
--更にエロCGは、''差分を除くと全9種類しかない''。
---因みに原画担当は『あすか120%』シリーズで一躍有名になったあの''七瀬葵''女史である。

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**評価点
''第1話・第2話のシナリオ''
-単純にシナリオだけを見ればADVとして及第点レベル
--推理モノとしては最後まで先の読めない展開で、意外性もありキャラも立っている。
---特に主人公を下僕のように扱う高飛車なヒロイン「月奈」はキャラが立っている。
--ただし、せっかくのシナリオも上述のザッピングが足を引っ張ってしまっている。
--また「ディテクティブ」を謳っている割には推理要素が一切なく、突飛な伏線もない。

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**総評
菅野氏が倒れた状態で無理やり完成させた所為なのか、未完成のまま売り出されてしまっている。~
しかも過去作で不評だったシステムをほぼ改善せずに中途半端に引き継いだことで、ゲーム全体がひどい出来になってしまっている。~
菅野氏が関わったと思われる部分のシナリオに関してはそれほど悪いものではないので、このような形で世に出されたのが非常に悔やまれる。~

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**余談
-菅野氏が一時復帰した際には以下のようなツイートをしている。
--「実を言うと、ゾンビ企画のプロットとキャラデザをやった後、シナリオ書いてる途中でぶっ倒れてしまって……で、目が覚めたらそこは見知らぬ病院で、何と1か月が過ぎていたという(-_-; ちょっとアリエナイような本当の話」
--「ゾンビ企画は、原作菅野・脚本某と言った方がいいかもしれないので、期待と違っていたらゴメンなさい。七瀬さんの素晴らしい絵は健在なのでそちらはご心配なく。」
--[[ツイートリンク>https://twitter.com/YukihiroKenno/status/106222365372973056]]

-菅野氏の入院を考慮すると、第1話以外は他のライターが書いた可能性が高い。

-この頃のアーベルは「更に本編を楽しんでいただける内容」「追加シナリオ」「演出強化」という聞こえのいい売り文句の下、''最初からあって然るべきシナリオや演出を後からアドオンとして配信する''(=''製品版単体では未完成品'')という行為を新作が出る度に繰り返していた。
--そして本作のような「最後のシナリオをアドオンとして後日配信」は前年に発売した『デュアル・エム-空の記憶-』でも同じ事をやっている。…全く成長していない…。

-2011年におけるクソゲーオブザイヤーinエロゲー板大賞を受賞した。
--同時受賞作となった『学園迷宮エロはぷにんぐ! ~イクぜ!性技のダンジョン攻略~』が、''クソ過ぎて笑える、ネタになるソフト''だったのに対し、本作は受け手にひたすら苦痛のみを与えるという、まさにクソゲーとして好対照の存在であった。

-本作を発売するまでは「アーベルのゲームはクソだが、ミステリー物は(最低でもシナリオが)当たり」と言われていたが、そちらの希望も切り捨ててしまった。

-公式サイトのメイン画面には未だに''主人公の顔の上に思いっきり「アドオン追加プログラム公開中!」のメッセージを張り付けている''。
--告知は必要ではあるが、せめて張る場所をどうにかできないのだろうか。これだけでメーカーの「やる気の無さが窺えてしまう」というものである……。

-後に菅野氏が一時回復した際に「[[心入れ替えて面白い作品を作ろうと思う>https://twitter.com/YukihiroKenno/status/106223681432338433]]」と発言。時期と出来を考えると恐らく本作の事と思われ、本作は''制作者公認の「面白くない作品」''となってしまった。
--しかし菅野氏はその後、再度体調を崩して他の作品を世に出すことなく亡くなってしまう。
---仮に前述の憶測通り、2話以降に菅野氏がろくに関わっていなかったとした場合、よりにもよってコレが遺作になってしまったのは無念にも程があるだろう。

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