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トルネコの大冒険 不思議のダンジョン」を以下のとおり復元します。
*トルネコの大冒険 不思議のダンジョン
【とるねこのだいぼうけん ふしぎのだんじょん】
|ジャンル|ローグライクRPG|&amazon(B000068H6F)|
|対応機種|スーパーファミコン|~|
|メディア|12MbitROMカートリッジ|~|
|発売・開発元|チュンソフト|~|
|発売日|1993年9月19日|~|
|定価|9,600円|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|『ドラクエIV』のサブキャラを主人公にしたローグライク&br;ドラクエの世界観とローグライクの戦略性を融合&br;チュートリアルや店拡張システムなどで遊びやすさを補強&br;後年の作品と比べるとシンプルだが、充分要素は多い&br;ゲーム機におけるローグライク作品の礎となった|~|
|>|>|CENTER:''[[ドラゴンクエストシリーズ]]''|
|>|>|CENTER:''[[不思議のダンジョンシリーズ]]''|
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#contents(fromhere)
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**概要
『不思議のダンジョン』シリーズの第1作。~
『[[ドラゴンクエストIV 導かれし者たち]]』のキャラ・トルネコが主人公であり、幻の宝物「幸せの箱」を求めて不思議のダンジョンに挑戦する。

入る度にダンジョンの構造が変わるユニークなシステムを持つダンジョン探索RPG『[[ローグ]]』をベースとした作品で、日本国内における『ローグライクゲーム』の普及に貢献し、本作と同様のシステムを「不思議のダンジョン系」と統括的に呼称させるほどの知名度の高さを持つ作品となった((ローグライクゲームとしては本作が登場する前から「NetHack系」「Angband系(日本では『変愚蛮怒』が人気)」「DungeonCrowl系」等があったが、いずれもパソコン用のフリーゲームである。))。
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**特徴
本作は「主人公がアイテムを駆使してダンジョンを攻略する」という部分に特化した、1人用の俯瞰視点2Dダンジョン探索ゲームである。

-本作に登場する敵の特徴は、DQ本編での設定に基づいたものが殆ど。
--見た目通りのパワーキャラ「ギガンテス」、ダメージの与え方がまずいと爆発して甚大な被害を与えてくる「爆弾岩」、多くの経験値と幸せの種(飲むとレベルアップ)を落としレベルアップに最適だがマップ上を逃げ回って倒しにくい「はぐれメタル」など、各モンスターの特性が敵側の行動パターンとして上手く取り入れられている。
--DQ本編には無い「お金やアイテムを盗む」といった行動は、「わらいぶくろ」「ベビーサタン」といった愛嬌のあるモンスターに割り振っている。
--弓矢で遠距離攻撃を仕掛けてくる「リリパット」、普段は石像の振りをしているが近づくと高い攻撃力で殴ってくる「うごくせきぞう」のように、本編ではシステム的に表現しきれなかった個性を発揮しているモンスターも多い。
--本作の本家ともいえる『[[ローグ]]』での敵の出現テーブルへのオマージュ成分もかなり強いためか、宝箱ではなくアイテムそのものに化ける「ミミック」、仲間は呼ばずにトルネコの足を掴んで動きを封じてくる「マドハンド」、トルネコを睨みつけて混乱状態にしてくる「おおめだま」など、本編と全く異なる能力を持つ敵も存在するが、どれもモンスターの特徴を生かしており違和感は感じさせない。
//メダパニではなくバシルーラを唱える「きめんどうし」、なぜか常に4体組で出現する「イエティ」などもいるが、これらはローグに元ネタと言えるモンスターがいないため本作オリジナルのようだ。
//--『DQIV』では終盤の敵だった「スモールグール」が序盤の敵として登場する、「シルバーデビル」や「アークデーモン」のような大物モンスターより後に最強モンスターとして「ドラゴン」が登場する、といった''DQ本編とは強さや出現時期などが全く異なるモンスターも多い''点には留意。
//↑ローグには分裂するモンスターはいない。スモールグールが序盤に出現するようになったのはどことなく愛嬌のある外見の影響が大きいと思われる。ドラクエでは前作で終盤に出た敵が次回作で序盤に出るのは特段珍しくない。
//DQ2ではドラゴンとシルバーデビルはほぼ同じ時期に出てくるし、スモールグールはDQ4では終盤の敵だがDQ5では序盤の敵だからさほど違和感は感じない。

''ランダム生成ダンジョン''
-メインゲームの舞台となるダンジョンの構造や落ちているアイテムは、''ダンジョンに入るたびにランダムで変わる''。
--基本構成要素として、一定の広さがある四角い「部屋」、1キャラ分の幅の「通路」、入り組んだ形をした通路の「迷路」がある。見通しが明るいのは部屋だけで、それ以外の場所ではトルネコの周囲1キャラ分より先は敵やアイテムの姿が見えない。
---フロア内のどこかに、下の階へ下りる「階段」がある。そのダンジョンの目的を達成するまで登り階段は現れず、基本的に後戻りはできない。
---床には時折、落とし穴などの罠が設置されている。実際に踏むか、罠のあるマスに攻撃を素振りするか、罠が見えるアイテムを使用する((今作では「レミーラの巻物」、次回作からは「めぐすり草」。))までは見えない。
--一定階進むと、部屋の中に大量のモンスターがひしめく「モンスターハウス」がフロアに登場し始める。非常に危険な一方でアイテムも大量に落ちているという、ダンジョンのハイリスク・ハイリターンの象徴である。

-フロアごとに出現する敵の種類は決まっており(数は決まっていない)、当然下層に行くほど強力な敵が現れる。
--通常のダンジョンゲームと異なり、レベル上げよりも強力な武器やアイテムをいかに集めていくかの方がより重要となるが、強敵に備えるにはキャラクター自身のレベルを上げてHPや攻撃力をしっかり底上げしておくことももちろん重要である。
--なお、同じフロアにずっと留まっていると地震が段階的に発生し、最終的にすべての床が抜けて強制的に1階下に落とされる。

''食糧と「満腹度」の概念''
-トルネコにはHPの他に「満腹度」が設定されている。
食事を摂らずにいると「満腹度」が減少していき、満腹度0の時は1ターンごとにHPが減り、最後は力尽きて冒険失敗となる。そのためプレイヤーは食糧にも気を配る必要がある。
--ゲーム開始時、トルネコの満腹度は100。標準では10ターンで1ずつ減る計算となっていて、1000ターン(およそ2~3フロア分)動ける。
--パン類を食べると満腹度が回復する他、草類を食べてもほんの少しだけ回復する。アイテムがランダム配置の本作では冒険全体を通じてパンが安定供給される保障はないので、草類も馬鹿にできない存在となる。

''ターン制''
-本作は完全なるターン制RPGである。「1マス分歩く」「攻撃する」「アイテムを使う」などで1回分の行動順を消費する。
--一見すると自分と敵が同時に動いているアクションRPGのようだが、実際は自分の行動の直後に敵が行動しており、「プレイヤーフェイズ→敵フェイズ」でローテーションしている。
--何らかの方法で2回行動する場合も各自のフェイズ内で処理され、割り込んだり割り込まれたりする事は絶対にない。

''経験値&レベルアップ制''~
-本家DQ同様、敵を倒すごとに経験値が増え、レベルアップしてキャラクターの素のステータスが上昇する。
--レベルアップで上昇するステータスは、HP最大値、力の値とは別に設定された基礎攻撃力、矢の威力の3つで、力の値はレベルでは上昇せず、完全にアイテム依存となる(守備力も同様に盾の強さ依存となる)。
---本作では1つのレベルごとに必要な経験値が多いためレベルが上がり難く、最大37レベルで打ち止めとなる(基礎攻撃力の値はレベル36でカンストするため実質36まで)。
//ステータスの詳細について詳しくないので、正確な情報が書ける方がいたら修正願います。

''アイテムが重要''~
普通に敵に近付いて考えなしに殴りあう感覚でプレイすると、すぐやられてしまうバランスになっている。~
そこで生死を分けるのが、ダンジョン内にランダムで落ちているアイテムである。

#region(アイテム紹介)
-剣と盾
--剣と盾は装備することで「武器の強さ(攻撃力)」や「盾の強さ(守備力)」が上がる他、特殊な効果が付いているものもある。
--「修正値」と呼ばれる値が付加されている場合がある。拾ったばかりの段階では値は不可視だが装備や鑑定を行うと値が判明し、アイテム名の横に「銅の剣+1」のように±数字表記で示される。この値が付加されているものは、装備本体の強さに付加された数値が加算される。つまり、たとえ同じ装備品であっても、数値が大きいほど装備した時の威力が変わってくるということである。
---武器の強さは下がることはないが、盾の強さについては罠や敵の特殊攻撃で低下し、強さが0になると防具の意味をなさなくなってしまう。
--修正値を1プラスする「バイキルトの巻物」「スカラの巻物」で鍛えることが可能で、武器防具の強化もやりこみ要素のひとつとなっている。また、盾の強さの低下は「メッキの巻物」で防ぐことが可能。
--逆に数値の表記が最初からマイナスであるもの((修正値の値は「+1」から「-3」までの間でランダムで決定される))は呪われており、「シャナクの巻物」、もしくは前述した3種類の強化アイテムを使用して呪いを解かない限り外せなくなる。
---また、ワナや特殊能力で強さを下げられて-1以下になった場合、その時点で即座に呪われるわけではないが、持って帰ると呪われたアイテム扱いとなり呪マークがつく。
--修正値が増えるほど持ち帰った際の売値が上昇し、修正値がマイナスの場合は値に応じて売値に下方修正がかかる。

-指輪
--ほとんどが特殊効果を持っており、装備中は効果が持続する。「ちからの値が+3上がる」「罠にかからなくなる」「お腹がへらなくなる」など嬉しい効果はもちろん、「倍の速度でお腹がへる」「室内の敵を強制的に起こす」などの純粋なマイナス効果を持つものもある。~
また、剣と盾同様、使用回数や修正値は拾ったばかりの段階では不可視で呪われている場合がある。未識別の指輪を巻物で鑑定しても呪いの有無までは判別できない。
--数値に直接影響が出る「ちからの指輪」以外はそもそも修正値が存在しないため、呪われた指輪を身に着けても外せなくなるだけで指輪の効果は普通に発揮される。~
修正値が存在する「ちからの指輪-3」のみ、呪いと共にちからが減少する完全なマイナスアイテムとなる。
---指輪に強化アイテムは存在しないため、呪いを解く方法は「シャナクの巻物」を読む以外に無い。~


-矢
--遠距離攻撃用の武器。剣・盾とは別枠で99本まで装備でき、トルネコが向いている方向に1本ずつ射って攻撃する。
--その場から動かずに遠距離攻撃でき、なおかつ状態異常「混乱」((一定ターン間、移動方向と攻撃方向がでたらめになってしまう。))の影響を受けない。
--「○○本の○の矢」のように数がまとめられており、同種の矢を拾った場合はそこに加算されて一枠のアイテムとして扱える。また、射って当たらなかった、もしくは射程距離分飛んで地面に落ちた矢は拾うことで再回収できる。(射程分飛んだ後そのまま消滅する「銀の矢」は除く)
--狭い通路の末端から斜め方向に向けての攻撃が可能。また、威力はレベルに応じて上がっていく。
--剣と違い消耗品であるため数に限りがある上、落ちた矢を回収するのにも手数を要するため無駄撃ちは厳禁。

-草
--ダンジョン内に落ちている草。主に「やくそう」「弟切草」などの回復系と、「ラリホー草」「目つぶし草」「火炎草」などの攻撃系の効果に分かれており、後者は敵に対して投げることで有効活用できる。(火炎草の場合は投げるより飲む方が威力が高まる)
--また、いずれの草も飲むと満腹度がわずかだが回復する。食料事情によってはマイナスアイテムの草を飲むことも立派な戦略の内である。

-杖
--魔法の効果が込められた杖。使用回数が設定されており、振ることで敵に対して様々な効果を発揮する。
--使用回数が0になると振っても何も起きなくなるが、直接投げつけれぱ0でも効果を発揮できる。
--また、射程距離は無限であり、飛び道具扱いとなっているので矢同様に混乱の影響を受けない。
--中には「転ばぬ先の杖」のように振るのではなく所持することで効果を発揮する特殊な杖もある。

-巻物
--魔法をはじめとする様々な効果が書き記された巻物。基本的には読むことで発動し(一部例外あり)、1回使うとなくなる。

-パン
--食料。満腹度を大幅に回復させる。中には、満腹度は回復するもののマイナス効果を発生させるものもある。

-ゴールド
--拾ってもアイテム欄には入らないが所持金が増え、持ち帰って規定額に達するごとにトルネコの店が発展していく。
--そのほか、スコアの役割も兼ねており、ランキングでは獲得ゴールドが多いほど上位にランキングする。

-その他
--「幸せの箱」などのクリア目標アイテムや、ダンジョン内で力尽きても所持金が半減しない「鉄の金庫」などがある。
#endregion

-杖と指輪について
--この2つについては未識別状態で出現する。装備品は種類はわかるものの、前述のとおり拾った段階では修正値は不可視。
--「インパスの巻物」を使えば、即座に完全識別が可能。これ以外には、一度使ってみてプレイヤーが正体を推理した上でアイテムに名前をつけるというテクニックもある。
--一度識別されたことのあるアイテムは、同一の冒険中では種類が識別されたものとして出現する。自分でアイテムに名前を付けた場合も同様で、名前を付けたアイテムと同種のものであれば、つけた名前で落ちている。ただし、指輪の呪いの有無や、杖の使用回数までは判別できない。
--前述の通り、呪われたアイテムを装備すると「シャナクの巻物」や強化アイテムで解呪するまで外せなくなる。特に指輪は呪われている可能性が高い上に解呪手段が少ないため、うかつに装備するにはリスクが大きい。
---これも前述の通りだが、呪われた剣と盾は修正値が最初から「-1」であり、「シャナクの巻物」の他、「バイキルトの巻物」「スカラの巻物」「メッキの巻物」でも解呪可能。
---ダンジョンから出れば自動的に呪われた装備も全て外されるが、呪い自体は解呪するまではそのままであり、倉庫(後述)から持ち込んでダンジョン内で装備すると再度呪われてしまう。~
また、いったん解呪した装備の扱いが少々特殊で、持ち帰った時点で呪いが復活する(後述)

-アイテムの投擲
--アイテム全般を投げることが可能(射撃武器である矢を除く)で、足元に置き場がない時に遠くに投げ捨てるもしくは敵にぶつけて不要なものを処分したり、前述の通り投げることで攻撃用途としても使える。
--前述の草・回数0の杖などの他、武器・盾も敵に向けて投げることで修正値に応じた若干のダメージを与えることが可能。
---アイテムの投擲に際しては、射程無制限の「銀の矢」を除き10マス分の射程が設けられており、障害物や壁に当たる、敵に到達したがミスした場合は床に落ちる。~
落下地点と周囲8マスが壁・アイテム・罠で埋めつくされていて落ちる余地がない場合、「地面に落ちて使い物にならなくなった」と表示され消滅する。~
また、矢での攻撃同様、アイテムの投擲は混乱状態の影響を受けない。

''視界の概念''~
-本作には視界の概念があり、トルネコの視界に入っている部屋や通路は明るく((部屋は大きさに関わらず部屋全体が、通路の場合はトルネコの前後1マスが可視範囲になる。))なり、モンスターの姿が視認できる。視界から外れている場所は暗く閉ざされモンスターの姿も視認できなくなるが、例外として落ちているアイテムは視界外からでも必ず見える(上にモンスターが乗っていた場合も同様)。
--アイテム「レミーラの巻物」を使うとダンジョン全体が明るくなって視界の制限が一切なくなる。逆に「目つぶし草」を誤って飲んでしまうとフロア全体が真っ暗になって地形以外何も見えなくなってしまう。
---なお、『DQ1』のダンジョンと違い、地形そのものは視界の状態に関わらず常時わかるようになっている。

''倒されたらやり直し''
-不思議のダンジョンシリーズは「倒されたらやり直し」が基本である。本作でも1度ダンジョンから出ると冒険の大部分がリセットされ、再挑戦する際は初期状態の「レベル1、所持アイテムは大きなパン(満腹度を100回復)1個のみ」から始めることになる。
--トルネコが倒されると、拾ったゴールドの半分と、''所持アイテムの全てを失う''。(持ち帰って事前に倉庫に預けていたアイテムはそのまま)
--但しDQ本編のような「死亡」扱いではなく、あくまで「力尽きて冒険失敗」とみなされてダンジョンから追い出されるだけである。
---その際の「ももんじゃの群れに担ぎ上げられて運び出され、ダンジョンの外に蹴り出される」という演出がなんとも屈辱的。その後、自宅で無事目覚めて再び冒険へ……という流れとなる。
--ダンジョンから離脱したい場合は、「リレミトの巻物」で戻ることも可能。この場合はお金もアイテムも全て持ち帰ることができる。

-本作は完全なオートセーブ。何か行動を取る度にセーブされ、リセットしてやり直した場合もその行動後から再開される。つまり、やられそうになったからといってリセットしても無駄。
--例えば、まどうしのラリホーで眠らされている最中にリセットしても、ラリホーの効果中の敵のターンが処理された状態から再開となる。もしこのターン処理中にHP0になると再開時に力尽きて冒険失敗になる。

''店の拡張''
-トルネコの店はダンジョンから持ち帰ったゴールドで拡張することができる。『DQIV』でトルネコが主人公を務めた3章をモチーフにしたようなシステム。
--前述の通り、最悪力尽きてもゴールドの半分は持ち帰れる。何度力尽きてもその都度、少しずつでも店の発展が進行していくため、プレイヤーの挑戦意欲を維持してくれる。生還した時には持ち帰ったアイテムも換金され拡張資金となるため、もっとお得。
--更に、店が拡張されると、持ち帰ったアイテムの保管・持ち出しができるようになる「倉庫」が作られる。持ち出しの個数も、店の拡張に応じて増えていく。
--また店の発展に応じて、さまざまな来客からゲームの攻略に役立つ情報を聞ける。
---「その場を動かずに体の向きを変える方法がある」「斜め移動は縦横移動と比べて省エネ」「真っ暗な通路では矢を撃って敵の存在を確かめると安全」「回数の切れた杖は投げ当てると同じ効果が出る」など、本作の攻略の上で基本的かつ必須事項ばかりである。
//--ちなみにこの要素が追加されたのは、堀井雄二氏の助言によるものだという(攻略本の談話より)。

''ストイックなゲーム性''~
不思議のダンジョンのストイックさは、従来のDQシリーズとは一線を画す。

-序盤から曲者の敵が続出。普段は眠ってるが起こすとラリホーでトルネコを眠らせハメ殺す「まどうし」、ダメージを与えると一定確率で分裂する「スモールグール」、トルネコの力を下げてジリ貧に陥らせる「おばけキノコ」などなど。これらのいやらしいモンスターの対処法を知ることがクリアするための近道である。

-中盤になると「キメラ」「さまようよろい」「ゴーレム」など、特殊能力はないが単純にパラメータが高いモンスターも出てくるので強い装備がないと苦戦は免れない。
--しかしながら、ランクの高い装備が早い段階で手に入るとは限らず、強化用の巻物以外に鍛える方法が存在しない上に巻物の入手確率自体もそうそう高くはないため、運が悪いと弱い防具のまま下層まで進行しなければならないという事態もありうる。
//後発の作品のような「武具の合成システム」など存在しない。 

-多くのモンスターとアイテムが出現するモンスターハウス。
--一度にたくさんのモンスターを一斉に相手にしなければいけないが、うまく突破すればアイテムと経験値を大量獲得できるチャンスでもある。
---しかし、突入した直後の状況やプレイヤーの采配が悪いと有利なアイテムを豊富にそろえていても追い詰められる場合もあり、一筋縄ではいかない。

-レベルを稼いで備えようにも満腹度の都合で悠長な稼ぎはできず、本作には「食料を必ず落とすボーナス敵」がおらずパンの入手率も決して高くないため、運が悪いと飢えやすい。~
いかにプレイヤーが熟練していようと、飢える時は本当に飢える。
--「不思議の~」であれば「ハラヘラズの指輪」さえ手に入れば格段に冒険が楽になるものの、入手率は低い。
---「ハラヘラズの指輪」が削除されている一方で、アイテムを「大きなパン」に変える「パンの巻物」がある「もっと~」が一番満腹度のやりくりをしやすいかもしれない。
//上述の通り、草類のアイテムは飲むとわずかだが満腹度をあげられるため、空腹解消の手段としては馬鹿にできない存在である。~
//重複してるのでCO

-アイテムやゴールドを保持したまま生還することが難しい
--冒険を切り上げるために必要な「リレミトの巻物」を手に入れるのがまず第一となるが、「リレミトの巻物」の入手率はやや低めでハマるとなかなか入手できない。必ず落ちているフロアもあるが20Fと後半の階層である。
--しかも「幸せの箱」を手にした状態では「リレミトの巻物」が使えず、来た時と逆に階段を上ってダンジョンの入り口まで戻らなくてはならない。
---店までアイテムを持ち帰るための補助手段が存在しないため、常に全てを失う恐怖と隣り合わせの緊張感と共にプレイすることになる。

これらの要素のために、クリアにはプレイヤーの技量だけでなく有用な武具やアイテム・食糧を引く「運」も要求される。

''ダンジョン構成''~
本作では基本的なダンジョンが3つのみだが、ローグライクゲームの基礎を段階的に

-「''ちょっと不思議のダンジョン''」。
--全10Fの初心者向けダンジョン。ゲームを始めて最初に向かうダンジョンで、若かりし頃の王様の落とし物を持ち帰ることがクリア条件。
--チュートリアルのテキストが頻繁に挿入される他、装備品に「呪い」が存在しないなど、操作はもとよりゲームシステムやゲームバランスを理解しやすいよう工夫されている。
--このダンジョンのみ不思議・もっと不思議とはモンスターテーブルが異なる。「ゴースト」「リリパット」「スモールグール」など一部の敵が出現しない一方で、アイテムを稼げる敵でもある「ベビーサタン」は以降のダンジョンより浅い階層から出てくる。

-「''不思議のダンジョン''」
--「ちょっと~」のクリア後に向かう、本作の冒険のメインとなるダンジョン。モンスター、アイテムの種類もより豊富になる。
--10Fにある「鉄の金庫」を持った状態だと、倒れてもゴールドが半減せずに済む。20Fには先述のリレミトの巻物が必ず落ちている。
--27Fにあるという「しあわせの箱」を持ち帰ればストーリーはエンディングを迎える。最下層は99Fだが、エンディングを目指す事だけを目的にすればそこまで進む必要はない。
--お城で聞ける「行きはよいよい、帰りは恐い」のフレーズの通り、帰り道はリレミトの巻物は無効な上、アイテムは一切落ちていない。~
ただし、満腹度の減少が無くなるため、比較的楽に進める。

-「''もっと不思議のダンジョン''」
--エンディング到達後に向かうことができる上級者向けのエクストラダンジョン。倉庫からのアイテムの持込が禁止される。
--システムのベースとなった「[[ローグ]]」の特徴をおおむね受け継いでおり、ある意味「ここからが本番」と言える位置づけとなる。
--指輪と杖に加えて、新たに草と巻物が未識別状態で出現(「赤い草」「ウマの絵の巻物」といった不定名で手に入る)する。
---一度使う(飲む/読む)と確実に識別されるが、普通に使うとマイナス効果のものも少なくないので注意が必要。
--入手可能なアイテムの種類が更に増えるが、「不思議のダンジョン」にあった強力なアイテムの一部は出現しなくなる。
---満腹度の減少を防止する「ハラヘラズの指輪」が一切出現せず、「いかずちの杖」「火炎草」「イオの巻物」などシンプルな攻撃アイテムも出現しない。
---「リレミトの巻物」も出ないため、一度入ったら最後、生きて脱出するには30Fのお宝を持ち帰るしかない。
--一方で、「不思議のダンジョン」には無かった極めて有益なアイテムも多数登場する。
---寝ている敵を起こさずに部屋を出入りできる「とうぞくの指輪」、使用回数は0だが敵を一撃で倒す効果がある「ザキの杖」、透明な状態で落ちていて普通には読めない「パルプンテの巻物」など、非常に個性的。これらのアイテムは「不思議のダンジョン」に持ち込むことが可能。
--30Fには幸せの箱に負けないお宝がある他、更に下層には特別な巻物が落ちている。こちらも「不思議のダンジョン」同様に最下層は99F。

攻略本にある中村光一氏(チュンソフト社長)の談話によると、最初は「もっと~」1つだけを予定していたが、難易度が(チビッ子には)高かったという見解から初心者向けに調整を加えた「不思議~」が作られ、さらに入門用として「ちょっと~」が作られたとのこと。

''その他''
-中断した後、データ再開時に「リプレイ」を選択すると、それまでのプレイ経過を見返すことができる。
--リプレイ内容は直前にした冒険の書における、最後の階の行動。村にいる場合は倒れた階あるいは脱出した階の行動のリプレイととなる。

-長時間1フロア内に滞在していると、定期的に地震が発生し、3回目で地割れが発生して強制的に下のフロアへ落される。
--これは長期的に粘って経験値やアイテムを稼ぐことでバランス崩壊に至ることを防ぐための措置である同時に、一行動ごとにオートセーブされる仕様上、容量の都合で保存に支障をきたさないようにするための措置である。
---ただし、「&bold(){下の階に落とされるだけ}」であり、落とし穴と違ってダメージは発生しない。

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**評価点
一般的なRPGに比べると高難度なバランスであるが、本作の発売時期を鑑みて特筆するべきはその取っ付きやすさ・遊びやすさへの配慮である。~

''設定・演出''
-DQシリーズの世界観・キャラの中でも、トルネコのキャラクター性は相性が良いものだった。
--世界中の珍しいお宝に目が無く、いつか自分の店を持つ事が夢の、家族を愛するちょっとおデブなヒゲオヤジ。魔王を倒すのではなくダンジョンで宝探しをするという、勇者の冒険譚と比べれば下世話な目的の冒険という舞台立てにトルネコは非常に馴染みやすく、既存キャラではこれ以上になかなか見つからない逸材である。
--電源を入れてしばらくしてから始まるプロローグ画面では、本家FC版『DQIV』時代のドット絵を再現しており、本家をプレイした人にとっては懐かしさ溢れる演出となっている。たったこれだけのために、流用ではなく新規につくられている。

-見た目と特徴を一致させやすいDQシリーズお馴染みのモンスターたちを起用したことで、敵の特徴が非常に分かりやすくなっており、対処法の連想し易さなど、遊びやすさにも繋がっている。
--直接攻撃がとりえのモンスターは階層に応じてだんだんサイズが大きくなり、ゲームの進行度と初見でのインパクトがぴったりシンクロしている。
--上述の通りオリジナルとは異なる攻撃手段を持つモンスターもいるが、どれもモンスターの特徴を生かしており違和感は感じさせない。
--特殊な効果を持つアイテムなどもDQのアイテムや呪文の名前が流用されていて、本作に触れたプレイヤーの大半を占めるであろうDQシリーズ経験者には把握しやすい。本作オリジナルの名称も、(多少ダサかろうと)覚えやすく判りやすいネーミングばかり。

-全体的にルールの厳しいゲームだが、「太っちょの主人公が腹ペコで倒れる」「身包みはがされてダンジョンから蹴り出される」といったコミカルな演出が、殺伐とした雰囲気を和らげている。
--家族や町の人達といったサブキャラクターたちの温かく微笑ましい様子やトルネコとの会話のやり取りなども、適度な息抜きになる。~
幸せの箱を手に入れることで見られるエンディングも、試練を乗り越えた達成感を十分に満たしてくれるだろう。

''グラフィック''
-オリジナル版のローグはテキスト表示しかできないパソコンで作られたため、全ての視覚情報を記号に置き換えて((「自キャラ=@」「モンスター=AからZまでのアルファベット」「ダンジョンの壁と通路=|と#」等))おり、以降に出たローグライクゲームもそれを踏襲した表現を用いていたが、本作では全てのキャラクターやダンジョンの外観などに明確なグラフィックが用意された。
--通常時は2~3コマでアニメーションする他、斜めも含めた8方向の絵が用意されていて、キャラクターの向き・状態といった大事な情報が一目で感覚的にわかる。
---モンスターたちの個性的な攻撃・特殊行動も、すべてアニメーション付き。種類こそ限られているが、DQシリーズの人気モンスターたちが生き生きと動く様は、ファンを喜ばせた。
---ちなみにDQ本編においてモンスターがアニメーションするのは本作より遅い『DQVI』から。後ろ姿などは本作で初めて見られたという例も多い。
--奥へ進むごとにダンジョンの外観が変わる。雰囲気作りに貢献している他、出現モンスターの種類が変わる際の判りやすい目安でもある。

''中毒性の高いゲーム性''
-本作のキャッチコピー「1000回遊べるRPG」の通り、ローグライクゲームの魅力であるリプレイ性をきちんと踏襲している。
--毎回ランダムでダンジョン構成が変わるためプレイする度に違う展開となり、思いも寄らないアクシデントが幾度となく起こる。
--気の緩みは後々まで長く尾を引き、1手のミスによる冒険失敗も珍しくない。これらが独特の緊張感を生み出している。

-単純に強い敵以外にも様々な特殊能力を持つ敵が階層ごとに配分されていて、臨機応変な対応が求められる。
--モンスターハウス以外にも、「こちらのHPを1にしてくる敵」と「姿の見えない敵」が同じ階層に出現するなど、いい意味での嫌らしさも満載で、プレイヤーの的確な判断力を試してくるので歯ごたえがある。

-RPGで強力なアイテムを惜しんで死蔵させてしまうのは誰しも経験するところだが、本作の場合は「主人公がDQの戦士系キャラのような強靭な性能ではない」にもかかわらず「アイテム無しだと基本動作と通常攻撃以外行えない」というゲームバランスであるため、アイテムは出し惜しみせずに使うべきもの(アイテムを活用しないと生き残れない)。
--このジャンル以外のRPGにはあまり見られない新鮮なプレイ感覚であり、ピンチをチャンスに変えて窮地を脱するスリルも本作の醍醐味である。

-本作は上述の通り難易度は高い部類だが、調整はしっかりしており、バランス自体は原作と比してよく整えられている。
---そもそも元ネタである『ローグ』は本作以上に厳しいゲームバランスである(ピンポイントでいえば、倉庫が存在しないので死んだら完全に0からやり直しである)

''音楽''
-本作のBGMを担当したのはシリーズおなじみのすぎやまこういち氏。
--本作のBGMは大部分がトルネコのメインテーマである『DQIV』第3章のフィールド曲「武器商人トルネコ」のアレンジで構成されている。原曲の作曲者本人によるアレンジだけあって、その質は折り紙付き。これは以後のシリーズ作品でも伝統となり、すぎやま氏の職人技を楽しむのもシリーズの醍醐味の一つとなっている。
---ダンジョンの下層へ一段階進む度に異なるアレンジに変わる。深部へ進むほど曲調も暗く緊張感が増し、後半は別の曲かと思うような大胆なアレンジになる。~
この演出は『DQI』以来で、効果的にダンジョンの冒険感をかき立てている。
--ダンジョンだけでなく、タイトル画面のファンファーレや冒険の書選択画面時のBGMなど、ほぼすべてが『DQIV』のトルネコのテーマのアレンジであり、統一感を出している。
--唯一、トルネコの家のBGMのみアレンジではない新曲となっているが、これも質が高く、以後のシリーズでも用いられトルネコシリーズのもう一つの顔になっている。

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**賛否両論点
-リリース当時は、特有のストイックかつシビアなバランスが賛否両論だった。
--1Fからいきなり倍速モンスター「ゴースト」が出てくる。アイテムが全く揃っていない1Fでは逃げる事もかなわず、囲まれると対処が難しい。
--「まどうし」のラリホーで起きた直後に再びラリホーをかけられると、トルネコが自由に行動できる隙が全くなく何もできずにハメられる。
---これは「やっと目が覚めた!」と表示されてトルネコの眠りが解除された直後に、敵のターンになってしまうのが原因である。
--1ターンで2体の「爆弾岩」から爆発をくらうと、どんなに鍛えた盾を装備していても問答無用で即死するなど、後の作品と比べて理不尽な点もある。
---爆弾岩の爆発に巻き込まれると、トルネコのHPが1になる。HPが1の状態で再度爆発に巻き込まれると、トルネコは問答無用で死亡する。さらに爆弾岩は「他の爆弾岩の爆風で誘爆する」性質を持つため、一度に2匹を誘爆させてトルネコが2回爆発に巻き込まれたらアウト。本作は後発のシリーズと異なり、爆風ダメージを軽減する盾や死亡した時に復活できるアイテムがなく、爆弾岩の爆風の範囲が周囲2マスに及ぶ(後発作品では周囲1マス)ため誘爆が起きやすい。
--「初見殺し」「対策を知らないと好き放題やられる」「同階層に極端に強いモンスターと弱いモンスターが混在する」など、感覚的なパワープレイが通用しにくいバランスになっていることも大きいが、さいわいモンスターの種類は少ないのですべて覚えきるくらいの気概があればクリアは難しくない。

-足元に関するコマンドの仕様が不便
--本家ローグの仕様がほぼ踏襲されており、トルネコの足元に落ちているアイテムを直接使ったり、その場で手持ちのアイテムと入れ替える(「交換」コマンド)、といったことができない。
---例えば持ち物がいっぱいの状態で足元にあるアイテムを使いたければ、一旦隣の床に何かを置いてから元の場所に戻って拾わなければならない。
---分かりやすいといえば分かりやすいが、シンプルすぎて少々不便なきらいがある。[[以後のシリーズ>不思議のダンジョン2 風来のシレン]]では直接使用や交換も出来るようになった。

-「ちょっと~」のハードルがやや高い。10Fまでとはいえ登場するアイテムが少なくなっているのことも一因。
--20回以上冒険失敗すると王様が強力な武器と盾を貸してくれる(ゲームシステム的にはそのまま貰える)という救済措置があり、30回失敗すると自動的にクリア扱いになり、そのまま「不思議~」に進むことができる。

-トルネコの店の発展は各段階ごとに設定された目標金額を達成することによって大きくなっていくが、一段階ずつしか拡張せず、ダンジョン探索を一気に進めて目標金額を大幅にオーバーした金額を集めたとしても、一気に段階を飛ばして発展したり次回の拡張に持ち越されたりもせず、余分に貯めたお金は全て切り捨てられてしまう。
--このため序盤から必要以上にゴールドを集めたり、アイテムをたくさん持ち帰っても意味がない。浅い階層で程々にゴールドを集めてやられるか、運よく拾えたリレミトの巻物で定期的に戻ることを強制され、倉庫の利用やアイテムの持ち込みを早く行いたくても最低でも四回はダンジョン探索を強いられてしまう。

-「不思議のダンジョン」27Fにある「しあわせの箱」を持ち帰るとエンディングになるが、その際、トルネコの店がまだ発展途上だと、「不思議~」攻略中に設定されている上記の各段階をすっ飛ばし、一気に最終段階直前の8段階目まで発展してしまう(最終段階の到達は「もっと」クリア達成時)。
--ストーリー展開も盛大にぶっ飛ばしてしまい、見たことも無いキャラが親しげに話しかけて来たりする。

-一般的なRPGと比べて「攻撃のミス」が発生しやすい。設定ではトルネコ・敵ともに攻撃命中率は87.5%(7/8)。つまり外れる確率は12.5%(1/8)もある。
--本作に限らず、不思議のダンジョンシリーズ全体でよく言われる不満点。後発シリーズでは主人公の攻撃命中率が90%以上に引き上げられた作品もあるが、それでも「攻撃がよく外れる」と言われやすい。
--素手や武器による通常攻撃だけでなく、矢による遠距離攻撃や、草などのアイテムを投げる投擲攻撃も同様の確率で外れる。
--肝心な時に限って攻撃を外して返り討ちにされることもザラであり、本来なら一撃で倒せる弱い敵が相手でも、攻撃ミスが原因で思わぬ反撃をくらうこともある。
---起きている敵ならまだしも、眠っていたりかなしばり等で動きが止まっていて普通は避けようの無い状況であってさえ空振りすることもあるため、先制攻撃で一気に倒そうとして失敗したり、なけなしのアイテムでせっかく作ったチャンスを台無しにされてしまうことさえあり得る。
--1回だけならまだしも、2~3回連続でトルネコが攻撃を外すという光景も珍しくはない。酷い時は4~5回連続で外れることさえあり、その空振りが原因でピンチに陥ったり冒険が失敗したりすると、非常にストレスが溜まる。
---さすがに5回連続ミス(1/32768)は滅多にないが、2回連続ミス(1/64)はそれなりに発生し得る。
--「さまようよろい」などのタフな敵が相手だと、倒すのに必要な攻撃回数も多いのでその分空振りする回数も多くなるし、「スモールグール」は一撃で倒せば分裂しないが、攻撃が外れても分裂する可能性があるので、性質が悪い。
--しかし、必中攻撃である杖の魔法弾・巻物の魔法効果で攻撃のミスをカバーすることもできる。アイテムが少ない序盤はともかく、アイテムが充実している終盤では攻撃ミスをアイテム消費で補うことは十分に可能。ランダム要素ではあるが、「次の攻撃が外れても大丈夫なように高めのHPをキープしておく」「次の通常攻撃が外れたら死ぬので必中攻撃の杖で対処する」といった戦略も生み出しており、理不尽な攻撃ミスにいかに対処できるがプレイヤーの腕の見せ所であるとも言える。
--敵モンスターも同じ確率で攻撃を外すので、プレイヤー側だけが損をしている仕様というわけでもない。ただ、ゲームの性質上「モンスターが攻撃する回数」よりも「トルネコが攻撃する回数」の方が多くなるので、トルネコの攻撃ばかり外れる、と錯覚しがちである。
//---しかも、敵はあまり空振りしない。つまり、&bold(){同じ確率のはずなのにトルネコばかり空振りする}という理不尽さ。
//今作では空振りの確率に敵味方の違いや特別な偏りなどは存在していません。思い違いです

-アイテム所持数の制限が厳しい
--本作では持てるアイテムの数が20個と少なく、持ち数を増やすこともできない。
---基本装備の時点で、武器、盾、指輪、矢3種類と、かなりのスペースがとられることになるため、その他のアイテムの取捨選択に悩まされやすい。

-「時の砂の巻物」
--この巻物を読むと、トルネコのステータスや所持アイテム、道具の識別状態を含めた全てがフロア開始時の状態に巻き戻る。(使った「時の砂の巻物」は無くなる)
--一つのフロアで長時間稼ぎ、階段の上でアイテムを使用識別している時に未識別の時の砂の巻物を読んでしまうと、そのフロアで重ねてきた苦労がなかったことになってしまうので、精神的に少々きつい。
--ただし、この巻物を利用して未識別アイテムを最小限のコストで識別するといった使い道もあるので純粋にマイナス点ばかりというわけでもない。

-モンスターの種類が全32種と後発作品に比べて少なめであり、最後の敵「ドラゴン」が出てくる25F以降は、あまり変わり映えしない敵構成のまま99Fまで続く。
--しあわせの箱などのクリアアイテムを持ち帰る分には、27F~30F前後で引き返すことになるので気にならないが、やりこみプレイで99Fを目指すとなると変わり映えの無さにマンネリしがち。
--ドラゴンは遠距離からトルネコに向かって高威力の火炎攻撃を繰り出す強敵だが、与ダメージの高いドラゴンキラーと火炎ダメージの半減効果を持つドラゴンシールドをしっかり鍛えておけば有利に戦える((ただし、敵自体のステータスがかなり高いため、中途半端な鍛え方では却って危険であり、安全性を重視するのであればその他のアイテムを駆使して対処した方がよい。))。~
むしろ同じ階層に出る、力の値や最大HPを減らす「ミステリードール」、同じ部屋に居ると離れていても混乱させられる「おおめだま」の方がはるかに手強い。
--その代わり以後のシリーズに出てくる、「フロアのどこへ居ても炎を吐いてくる鬼畜ドラゴン」のような敵も居ない。

-セーブデータが複製可能
--コピー先のセーブデータは常にトルネコの自宅から再開となるため、「死亡後にコピー先のデータから再開してダンジョンの途中からプレイを続行する」ことは不可能になっている。(これを実行した場合、ダンジョン内で所持していたアイテムが全て消滅してしまうため実質的なペナルティとなっている)
---ただし、当然ながら倉庫の中身はそのままなので、貴重なアイテムを持ち帰った際に予めデータをコピーしておけば万が一の保険として利用できてしまう。

-本家『[[ローグ]]』そのままの要素が非常に多い
--本作も本家側『[[ローグ]]』で多数存在するクローンゲームである『Rogue Clone』のひとつと考えると分かりやすくはあるのだが、本作公式ガイドブック等の公式媒体上ではそのあたりの事情に一切触れられていない。
---敵の出現テーブルや、階層による特殊能力の配分なども似通っている。序盤から「こちらから手を出さない限り眠っているが、主人公の動きを停止させる厄介な敵」がいる点も同じ。作中の最終的な敵出現テーブルが「プレイヤーの移動を封じる敵」「混乱能力を持った敵」「ステータスを下げる敵」「倍速行動の敵」「頑丈な直接攻撃系の敵」「飛び道具を持つ最強の敵である『ドラゴン』」の6種類で構成されている、という点も全く同じ。
---罠の構成、消耗品のアイテムの効果等についても共通点が無いものを探す方が難しい。特に「もっと不思議のダンジョン」が顕著。
--もっとも、もとより一般大衆へは認知度の低かったゲームであり、「本家の面白さを家庭用ゲームに浸透させる」を命題として開発されているため、本家の面白さが直に伝わるようにあえて多くの要素を踏襲したとも考えれば一概に悪い点とは言えない。また、本家と比べてゲームバランスが絶妙に整えられている点が大きなポイントである。
---モンスターに関しては、本作オリジナルの能力を持った敵も多い。バシルーラを唱えてトルネコをワープさせる「きめんどうし」、常に4体組で出現する「イエティ」などは、ローグに元ネタと言えるモンスターがいない。

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**問題点
-「ワナの巻物」を読んだ際、「フロアに新規に罠を設置できるスペースが29マス以下しかない」という特殊な条件で完全にフリーズしてしまうという致命的な不具合がある。通常フロアでは連続使用でもしない限りは滅多に起こらないが、罠が存在できない大迷路フロアで読むと確実にアウト。
--初期版にみられるバグであり、後期版では修正されている。

-フロア内の長期滞在ペナルティが軽すぎる。
--同じフロアに留まり続けると地震によって下の階に強制的に落とされるのは前述の通りだが、演出だけなら恐ろしげなものの、次のフロアへ移動させられるのみでダメージは一切受けないため、ペナルティとしては軽すぎる。
---満腹度が減らなくなる「ハラヘラズの指輪」が出現する「不思議のダンジョン」では、限界まで居座って経験値やアイテムを稼ぐことが可能になっている。また、アイテム名のつけ直しも行動回数にカウントされるため、ひたすら名前を変えまくることで回数を超過させ、意図的に地震を起こしてモンスターの包囲を切り抜ける、ということもできてしまう。

-トルネコの店が発展し終わると、お金と鉄の金庫のゲーム進行上の存在意義が無くなる。((お金については「冒険終了時の所持金」がハイスコアの集計に使われるため、得点アイテムとしての意義はある。))
--「わらいぶくろ」はゴールドを盗むと同時にワープして逃げる能力を持つが、所持金が0ゴールドであれば近寄ってくるだけで何もしなくなる。つまり、意図的にゴールドを拾うのを回避したほうが、若干ではあるが経験値効率が良くなる。
--ゲーム的には通常のRPGのような経験値稼ぎはそこまで必要とされないが、高難易度の「もっと不思議のダンジョン」の攻略においては経験値稼ぎも重要な要素になるため、ゴールドの存在が無意味なばかりか邪魔な存在にもなってしまう。
--1つのフロアに初期配置されるアイテムの数には限りがあるため、ゴールドが多数出現した場合、その分他アイテムが割を食う形になり苦しいことになる。特に浅い階層では死活問題に。
--後の作品のお金は、ダンジョン探索中でもアイテムの売買に使えたり、モンスターに投げてダメージを与えられる投擲武器として使えたりと、存在意義が大きく増した。
//↑通常のRPGのようにそこまで経験値稼ぎが重要というわけでもないし、特化して賛否点としてあげる程でもないんじゃないだろうか。もちろん、力やHPを敵に下げられた場合にはリカバリの-のために経験値上げを意識する必要はあるだろうが
//もっと不思議の攻略ではレベル上げは重要。トルネコ1の攻略では一つ有名なところがあるからググってみな。そこで解説されてる。

-トルネコの店の中でゲームを中断した場合、所持しているアイテムは全て無くなってしまう。
--倉庫が使えるまでは帰還時にネネが自動で売り払うので問題ないが、倉庫が使えるようになった後は持ち帰ったアイテムを売るか倉庫に預けるかを選ぶようになる。この際、倉庫から取り出したアイテムを持ったままうっかり店内でゲームを中断した場合、そのまま消滅してしまう(売り払われたわけではないので当然資金にも還元されない)。
---この件に関しては説明書にも記載がないが、「倉庫から取り出したアイテムはちゃんと倉庫に戻っていた」という報告もあるため、恐らく「倉庫に戻される」が本来の仕様で「アイテム消失」はバグである可能性が高い。要らないアイテムを利用して確認し、上記の現象が確認された場合は中断する前に必ず倉庫に預けておくようにしよう。
//実機で繰り返し実行して確認したが、消えるのはネネが手渡したパンのみで、倉庫から取り出したアイテムはちゃんと戻ってたよ。「倉庫」コマンドのつもりで「道具」コマンドを選択して「アイテムを持っていません」と表示されたのを見て勘違いしたのでは?
//↑自分の場合は倉庫からも持ち物からもパンもろとも消えていた。ソフトのバージョンごとに仕様が違うみたい。
//説明書に載ってないところをみるに消滅はバグで、倉庫に戻るものはバグ修正済みROMと思われるのでその旨を追記。

-初めて「しあわせの箱」を持ち帰った後はエンディングとなるが、所持していたアイテムは持ち込んだものも含め完全に消滅してしまう。特にクリアのために鍛えた装備を失ってしまうのが痛い。
--次の目的地である「もっと不思議」では倉庫からの持ち込みが不可能なので、もうアイテムは不要という判断からと思われるが、「もっと」への挑戦はあくまで任意で通常の「不思議」をそのまま遊び続けることも可能であり、アイテムの収集や強化を楽しむプレイヤーも多いためやはりこの点は不親切である。

-シャナクの巻物の効果について
--シャナクの巻物の効果は装備中の武器防具・指輪の呪いを解くことだが、呪いを解いたアイテムを持ち帰るとなぜか呪いが復活する。剣と盾は呪いマークが復活し、指輪は呪いマークは復活しないが持ち込んで装備すると再度呪われてしまう。
--恐らくは「修正値-1以下のものは常に呪われている」扱いで、なおかつ修正値と呪いの有無が同じフラグで管理されていることが原因である模様(つまり「修正値がマイナスだが呪われていない」という状態が存在しない)。
---このため、実質的な効果は「冒険中の間だけ一時的に呪いを解く」であり、修正値が存在する剣・盾・ちからの指輪は強化用の巻物やパルプンテの巻物で修正値を0以上にあげることで完全解呪が可能だが、修正値が存在しない指輪については呪われていないものを手に入れなくてはならない。
---意図した仕様なのかどうかは不明で、有用な効果の指輪なら外れなくてもそこまで大きな問題にはならないものの、つけ外しが不自由だと有効活用しにくくなってしまう。

-経験値が稼ぎにくい。
--レベルが37で打ち止めとなっている都合で、1レベル当たりに必要な経験値の幅がかなり早い段階で大きくなっていくため、レベル19以降あたりからレベルが上げづらくなっていく。
---このため、『もっと~』においては分裂の杖とはぐれメタルを利用した稼ぎがかなり重要。ふしぎなおどりでレベルを下げてくる泥人形も厄介な存在となる。

-武器と盾を極端に鍛え過ぎると様々な不具合が生じる。
--「バイキルトの巻物」や「スカラの巻物」で上げられる装備の修正値は+99が限界だが、「パルプンテの巻物」の効果の一つ「手持ちの武器・盾・ちからの指輪の修正値と杖の使用回数を+3」の効果が発動すると修正値がその仕様上の限界を超えてしまうバグがあり、それが原因で更なる重大なバグに遭遇する危険がある。
---修正値が+128を超えるとオーバーフローを起こして数値がマイナスとなり、呪われた装備と化してしまう(表記上がマイナスなだけで、内部データ上はそのまま数値が強さに反映されている)。
--「剣の強さ」と「ちから」の値の合計値が136以上の状態でレベルを上げていくと、攻撃力が減少するという現象が発生し、更に鍛え続けて合計値がちょうど248になると、数値の桁落ちにより攻撃力が0になってしまう。
---その上、単に攻撃してもダメージが与えられないのではなく、「トルネコは様子を見ている」と表示されるだけとなって攻撃そのものができなくなってしまう。
--「鍛えすぎて装備すると攻撃力が0になってしまう剣」と「鍛えすぎて敵から0ダメージしか受けない盾」が両方呪われて外せない状況になってしまった場合、敵に挟まれて身動きできない状況下では、相手を倒すことも倒されることもないまま、ただ餓死を待つだけの状態となってしまう。
--とはいえ、よっぽどゲームをやりこんで装備を集中的に鍛えまくらない限りは起こらないため、危険性は低い。

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**総評
荒削りではあるものの、馴染み深い『ドラゴンクエスト』シリーズのキャラクターを使った世界観はローグライクゲームを一般に浸透させることに成功した。~
ハードルの高いジャンルに遊びやすくなる様々な要素を盛り込み普及させたという点では、初心者に対する配慮を重視するドラクエシリーズらしいゲームともいえる。~
敵味方両面でバランスブレイカーが存在しないため、堅実に進めれば攻略は決して難しくはない。純粋にプレイヤーの腕と多少の運が試される、『不思議のダンジョン』シリーズの原点である。

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**その後の展開
-1995年12月1日には本作のシステムを流用したオリジナル世界観の『[[不思議のダンジョン2 風来のシレン]]』がリリースされたが、こちらも以後の基礎を作っている。

-また、トルネコシリーズも後に『[[ドラゴンクエストキャラクターズ トルネコの大冒険2 不思議のダンジョン]]』、『[[ドラゴンクエストキャラクターズ トルネコの大冒険3 不思議のダンジョン]]』とシリーズ化する。
--続編では、本編中に小規模なダンジョンをいくつか攻略していくスタイルが基本となった。

-続編は出ているが、本作そのものはニンテンドウパワーで書き換え可能となった(現在は終了)のみでその後は移植もリメイクもされず、デジタル配信も行われていない状態である。

**余談
-プロローグでは他の導かれし者達の絡みといった『DQIV』の根幹に関わる部分(第5章)の活躍は描かれてないものの、内容から考慮する((「エンドールの王子を助けたり・・・」という、3章本編での展開を示唆する一文がある))と本作がIVより後の話という説が有力視されていたが、最終作『トルネコ3』のオープニングで明確にIVの後日談であることが明示された。

-回復アイテムの1つ「[[弟切草]]」。DQシリーズにも登場しないその風変わりな名称の由来は、本作開発元のチュンソフトが制作した同名のサウンドノベル作品である。
--古くから薬草の一種として知られている植物なので、回復アイテムとして登場するのは妥当でもある。

-発売当時、「幸せの箱」を獲得した証があるセーブデータの画面写真をチュンソフトに送ることで、順位ナンバーが刻印された認定証がもらえる「早解きキャンペーン」が行われていた。
--さらにこれとは別に、「もっと不思議のダンジョン」に出現する「証明の巻物」を持ち帰った写真を撮ってチュンソフトに送るとプレゼントが贈られる、裏キャンペーンも行われていた。
--同様のキャンペーンは以降のシリーズでも見られるが、本作の場合は完全に非公開だった。
//しあわせの箱オルゴール? 何名までもらえたか等の情報補足希望

-当時少年ジャンプで連載されていた『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』で、不思議のダンジョンをモチーフとしたダンジョンに挑むエピソードが存在する。
--あくまで「不思議のダンジョンをモチーフとした」止まりでありオリジナルのダンジョンだが、罠に注意、奥深くの階層に到達して新記録達成などといったゲーム本編の要素をさりげなく盛り込んでいる。
--原作者の三条陸氏は、当時週刊連載中という多忙な状態にも拘らず、上記の早解きキャンペーンでなんと認定3000人中2742番に入賞している((コミックス20巻コメントより))。

-3DSのDL専用ソフト『[[不思議の国のラビリンス]]』は本作のゲームバランスと似通った点が多く、オマージュとも呼べる内容になっている。初代トルネコに触れてみたいがゲーム環境を整えるのが難しいという人は代わりにこちらを遊んでみるのも良いだろう。
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