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Star Wars: Dark Forces」を以下のとおり復元します。
*Star Wars: Dark Forces
【すたー うぉーず だーくふぉーす】
|ジャンル|FPS|CENTER:&amazon(B000056PJE)|
|対応機種|MS-DOS&br()MAC&br()PlayStation|~|
|発売元|LucasArts&br()ピーピーエス(日本語PS版)&br()【Steam】Disney|~|
|開発元|LucasArts|~|
|発売日|【DOS/MAC】1995年2月28日&br()【PS】1996年&br()【PS日本語版】1997年1月31日|~|
|定価|【Steam】620円|~|
|配信|Steamにてダウンロード販売中(DOS版)|~|
|判定|BGCOLOR(lightgreen):''良作''|~|
|ポイント|『スター・ウォーズ』初のFPS&br;原作譲りの豊富な映画的演出&br;ディズニー買収後は非正史化|~|
|>|>|CENTER:''[[スター・ウォーズシリーズ]]''|
|>|>|CENTER:''ジェダイナイトシリーズ''&br()''Dark Forces'' / [[1>Star Wars Jedi Knight: Dark Forces II]] / [[MotS>Star Wars Jedi Knight: Mysteries of the Sith]] / [[2>Star Wars Jedi Knight II: Jedi Outcast]] / [[Jedi Academy>Star Wars Jedi Knight: Jedi Academy]]|
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#contents(fromhere)
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**ストーリー
#center(){{
&font(100%){A Long Time Ago, in a Galaxy Far, Far Away... }~
&font(90%){''遠い昔、遥か彼方の銀河系で・・・・''}
}}
~
>銀河帝国の誕生から19年後。帝国は強大な拠点となる宇宙要塞「デス・スター」の建造に着手し、これを察知した反乱同盟軍は弱点を探すべくスパイによる設計図の奪取を目論んでいた。
>帝国とのコネクションのあるスパイを探していた反乱同盟軍のモン・モスマは、元帝国軍士官候補生であり、脱走後は相棒ジャン・オースと共に傭兵として活動していた「カイル・カターン」に目をつける。
>カイルは士官生時代の旧友メック・オドムと連絡を取り、彼の管理する惑星ダヌータの帝国軍基地へと降下、見事設計図を奪取してみせたのだった。
>~
ヤヴィンの闘いでデス・スターが破壊されてから一年後。反乱軍のターク基地が、帝国軍のロム・モック将軍の率いる極秘プロジェクト「ダーク・トルーパー」の試験運用によって壊滅、モン・モスマは再びカイルに対し調査を依頼する。
>謎の「ダーク・トルーパー計画」の正体を追って潜入を続けるカイルとジャン。しかしロム・モックは宇宙戦艦アーク・ハンマー号で研究改良を続け、ダーク・トルーパーは着々と完成に近づいていた...
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**概要
ルーカスフィルムのゲーム部門であるルーカスアーツによって製作され、1995年にMS-DOS・MACで発売されたFPS。~
映画の再現ではなく映画の空白を補完するオリジナルストーリーとして製作されており、時系列的にはステージ1が『エピソードIV/新たなる希望』直前、ステージ2以降からはエピソードIVとエピソードVの間の出来事を描いている。


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***ゲームシステム
''操作方法''
-WASDで前後左右への移動を行い、アローキー左右またはマウスで左右旋回を行う。Eキーでドアやスイッチを稼動させ、Shiftでダッシュ、Spaceでジャンプ。
--Ctrlまたはマウス左クリックで射撃(プライマリ)を行い、一部武器はRキーで特殊射撃(セカンダリ)を行う。『[[DOOM]]』などと同じく射撃はある程度のオートエイムが働くため狙撃の必要はなく、かなり大胆な立ち回りでも当たるようになっている。また、リロードの概念は存在しない。

-F1キーでメニューを開くことができ、ここから入手したパスワードの確認や入手武器、ブリーフィングおよび目標内容・達成数の確認、地図表示などが可能。また地図はTABキーを押すことでも画面に重ねて表示が可能。
--F5~F8キーには任意でONにできるアイテムが割り振られており、前方を照らすライト、有毒環境でも耐えられるガスマスク、氷の上でも滑らないスパイクつきのブーツなど複数のアイテムが使用できる。

''ゲーム進行''
-マップは合計14個。それぞれマップごとに固有の目標があり、ただゴール地点へ到着するのではなく全ての目標をクリアする必要がある。
--また多くのステージではヤン・オースの操るクルーザーに合流して脱出する必要があり、こうしたステージでは合流した状態でEscキーを押し「Next Mission」を選択することでステージクリアとなる。

-プレイヤーは残機制となっており、死亡した場合近くの中間ポイントから復活する。残機はシークレットとして隠されていることが殆ど。
--死亡しても、敵が再配置されたり敵のHPが回復したりといったことは一切ない。このため、難しい敵に対しては死亡覚悟で接近して攻撃を加えるという手段を取ることもできる。

''使用武器''
-素手を含めると合計10種類の武器を使用でき、それぞれに1~0までの数字キーが割り当てられている。
#region(武器とその能力一覧)
''改良型ブライアー・ピストル((後の作品ではK-16ブライアー・ピストルとも呼ばれる))''
-初期装備の拳銃型ブラスター。対応キーは2。使用弾薬はエネルギーユニットであり、ブレは少ないが連射できず火力に欠ける。

''ストームトルーパー・ライフル((後の作品ではE-11ブラスター・ライフルとも呼ばれる))''
-序盤から終盤まで主力として活躍する機関銃。対応キーは3。使用弾薬はエネルギーユニット。ブレは激しいものの、連射速度が高く弾薬供給も多いため非常に役に立つ。

''サーマル・デトネーター''
-手投げの手榴弾。対応キーは4。プライマリで着発式として投げ、セカンダリで時限式として投げる。自爆も多いが複数の敵、近接攻撃のみの敵、下にいる敵など用途は多い。

''インペリアル・リピーター・ライフル''
-ダーク・トルーパー用に開発された機関銃。対応キーは5。使用弾薬はパワーセル。プライマリで連射し、セカンダリで3発同時に集中発射する。命中精度が高く弾速が早いためほかの武器に比べて狙撃に向く。

''ジェロン・フュージョン・カッター''
-グラマス鉱山で使用されていた工具。対応キーは6。使用弾薬はパワーセル。プライマリで単発発射し、セカンダリで4発同時に平行発射する。威力、燃費共にリピーターに劣るが、近距離でのセカンダリファイアは強力。

''I.M.マイン''
-円盤型の設置地雷。対応キーは7。プライマリで設置すると3秒で爆発し、セカンダリで設置すると移動物体を検知して爆発する。プレイヤーも踏めば起爆するため、使いこなすのが難しい。

''パッカード・モーターガン''
-曲射弾道のグレネードランチャー。対応キーは8。サーマル・デトネーターと同様の威力の爆弾を放つが、弾道が山なりのため場所によっては自爆もしやすい。

''ストゥーカー・コンクションライフル''
-命中すると爆発を起こす狙撃銃。対応キーは9。使用弾薬はパワーセル。命中率は高いため遠距離から敵を倒す際に重宝する。

''アサルト・キャノン''
-ダーク・トルーパー用兵器として完成した作中最強兵器。対応キーは0。使用弾薬は/ロケット弾。弾薬の入手頻度は少なく出番も終盤のみだが、ダーク・トルーパーすらも簡単に破壊できるほどの高い火力を誇る。
#endregion
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**評価点
''持ち味を存分に生かした映画的ストーリー演出''
-ルーカスフィルム直属のゲームスタジオであるルーカスアーツによって作成されただけあり、そのストーリーのクオリティは非常に高い。
--当時の多くのFPSとは異なり、各ミッションには全て依頼に至るまでのバックストーリー、舞台となる惑星の特長や出現する敵の情報といった具体的な背景、達成すべき具体的な目標とその解決方法といったさまざまな情報が詰め込まれている。
--内容は一本の外伝映画として製作できるほどに濃く、映画『スター・ウォーズ』ファンも納得の物量を誇っている。オリジナルキャラクターながら独特な個性を持つ主人公「カイル・カターン」も評価され((もともとはルークが主人公になる予定だったが、ストーリー上の制約の多さを解決するべく新キャラの採用に至ったという))、後の『ジェダイナイト』シリーズや『[[スター・ウォーズ 帝国の影]]』のように映画再現ではなくゲーム独自の冒険を描く作品が複数作られるきっかけとなった。

''独自エンジンによって実現した高度な映像表現''
-他社エンジンのライセンスではなく独自エンジンである「Jedi engine」を採用しており、これによって実現した映像表現や技術が多く見られる。
--飛び交うレーザーの軌跡やデス・スターのホログラム、ルーム・オーバー・ルーム構造(多重階層マップ)の多用、ポリゴン造形のオブジェクト、霧など、当時のほかのゲームエンジンが実現し得なかった要素を複数実現している。
--性能は高かったものの、残念ながらジェダイ・エンジンを採用したのは本作と『Outlaws』の二作のみ。その後1997年には後継エンジンの「Sith engine」にその座を譲ることとなった。

''歯応えのあるダーク・トルーパー戦''
-作中の根幹を担うオリジナル要素として、サイボーグ兵士計画''「ダーク・トルーパー・プロジェクト」''が登場。「経験や素質を機械化で補い、全てのストームトルーパーに均一な能力を与え最強の兵士を量産する((当時はまだEP1公開前であり、バトル・ドロイドやサイボーグの技術に関する設定は薄かった))」というコンセプトのもと、強大な敵としてプレイヤーの前に幾度と無く立ちはだかる。
--特に作中最初に遭遇するグラマス鉱山奥地のダーク・トルーパー・フェイズ1との戦闘は、事前情報が皆無な状態なのもあってかなり衝撃的。内骨格のみのフェイズ1から巨大なストームトルーパーのようなフェイズ2、さらに巨大化したパワーアーマー型のフェイズ3とミッションをこなすごとに着実に強くなっていくのも危機感を煽るのに役立っている。

''3Dで再現された『スター・ウォーズ』世界''
-『[[DOOM]]』のようなテクスチャの使いまわしを極力控え、各惑星をしっかりと固有のテクスチャで個性付けしている。これにより凍る雪山から砂塵の濃い鉱山、巨大要塞から無法都市までロケーションが大きく変化し、冒険気分を存分に味わうことが出来る。
--マップの構造も『[[DOOM]]』のようなパズル第一の迷路構造ではなく、極力現実的な構造を意識して設計されており、メインとなるストーリーに説得力を与えている。
--本作は事実上『スター・ウォーズ』シリーズで初めて''「帝国軍の男子便所が登場した作品」''でもある。映画で幾度と無く見た光景は勿論、映画では描かれないような場所もしっかりと登場し、『スター・ウォーズ』の世界観の掘り下げに成功している。


''雰囲気を盛り上げるBGM''
-ややMIDI特有のチープさはあるが、原作のテーマ曲を再現しつつ独自のアレンジを加えた楽曲は聴いていて楽しい完成度。また、敵との遭遇時や建物外部から内部への潜入時などにBGMが変化し、同一マップながらBGMで静と動を演出するなどゲームプレイと連動した演出も細かい。

**賛否両論点
''邪魔になりがちなパズル要素''
-スイッチを押しては状況の変化を確認し、法則を推理して正しい手順で行動して初めて突破できるという、FPS作品としてはただ面倒なだけのパズルが序盤に集中している。特にハズレルートの多い下水道、物質研究所のエレベーターや一瞬だけ解除される見えないバリア、採掘場の時間制限のある多重ドアといったただプレイヤーの脚を止めさせて混乱させるだけのための難解で時間のかかるパズルは当時から問題点の一つとして挙がっていた。
--反面、ダーク・トルーパー出現後の後半のマップはこれらの要素が排除されておりストレスフリー。初期ステージにあったパスワード照会システムすらも使われなくなり、完全に銃撃戦に特化したFPSらしいマップ構成となっている。

''途中セーブが不可能''
-残機制を採用しているため、途中で中断してゲームを閉じることができない。敵のリセットが行われないため特攻してのデスルーラが可能という利点もあるが、ジャンプアクションやパズルに失敗すると後戻りが非常に面倒になるなど難点のほうが多い。
--結局FPSシリーズでは残機制は本作のみの要素となり、後の作品では任意セーブ方式となった。

''ヒットスキャン武器がない''
-ほぼ全ての武器が発射から命中までに時間差があり、偏差射撃に失敗したり余分に撃ちすぎることが多い。唯一ストゥーカー・ライフルのみほぼヒットスキャンだが、こちらは爆発武器のため利便性には欠ける。
--光線が何本も飛び交う銃撃戦のビジュアルはまさに『スター・ウォーズ』そのものだが、もう少し利便性の高い武器も欲しくなる時もある。

''ジェダイ関連要素が登場しない''
-特殊能力「フォース」や銃にも勝る能力を持つ「ライトセーバー」など、映画に登場したジェダイ関連の要素はゲーム本編中にほとんど登場しない。ゲーム中は『スター・ウォーズ』シリーズの持つミリタリー的側面を強調して描かれており、ライトセーバーによる決闘といった映画的な内容を期待したファンからは批判の声もあった。
--続編では本作の不満点を改善しフォース能力とライトセーバーによる決闘要素も登場したのだが、''グレネードランチャーで普通に死ぬジェダイ''というFPSであるが故のまた別の問題点が浮上することに...

''歩行兵器・宇宙兵器の出番が少ない''
-基本的に対歩兵戦であり、原作映画に登場したAT-ATやAT-STは登場しない。タイ・ファイターなども背景の一部として登場するのみであり、後の『[[スター・ウォーズ 帝国の影]]』のような強大な敵として歩行兵器が登場する作品と比較すると技術的限界を感じる点となっている。
--もっとも、ダーク・トルーパーよりでかいものを敵にすると面白みが薄れるという点もあるため仕方ないことではある。結局、性能が向上しジェダイ主体のストーリーとなった次回作ではAT-AT・AT-ST双方が出演を果たした。

**問題点
''キーコンフィグ不可能''
-デフォルトの状態ではキーコンフィグができないため、Rキーによるセカンダリファイアなどの発動が厳しい。またマウスによる上下エイムなどもオンにすることができない。
--幸いどちらも改良エンジンや有志によるキーコンフィグパッチ配布などで解消できるため、現在ではさほど問題にはならない要素ではある。

''地雷の処理方法が爆発のみ''
-敵の設置した地雷は回収手段がなく、基本的にサーマル・デトネーターによる爆破処理に頼ることになる。サイズがサイズなので狙い撃つこともできずやや不便。
--結局その後のシリーズも爆破処理頼りで、何も消費せずに回収できるようになるのは『[[スター・ウォーズ リパブリックコマンド]]』からとなった。

''マルチプレイがない''
-そもそもシステム的にルークやダース・ベイダーなどのジェダイに対応していないのではあるが、それでも反乱同盟軍vs銀河帝国軍のマルチプレイを望む声は多かった。この不満点は続編『[[Star Wars Jedi Knight: Dark Forces II]]』にて実現されることとなり、『バトルフロント』シリーズへと繋がっていった。
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**総評
数多く存在する『DOOM』クローンのひとつとして扱われがちではあるものの、当時としては野心的な要素を多く含む作品。~
映画譲りの濃厚なシナリオは『スター・ウォーズ』ファンに高く評価され、『ジェダイナイト』シリーズとして続編も製作された。~
~
FPS黎明期故の粗や当時のPCの性能限界もありシリーズ作品としては色々と惜しい部分も多く、中でも当時の『スター・ウォーズ』ゲームの殆どに存在していたジェダイ要素の排除に関しては賛否の分かれるところ。しかしFPSとしては妙なシステムもなく手堅く纏まっており、作品単体の完成度は高いレベルにあると言えるだろう。
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**余談
-残念ながら、日本での発売は当時3DFPSが普及したての1997年となってしまいゲーマーからの注目度は低かった。N64で発売された同じルーカスアーツの3DFPS/TPSである『[[スター・ウォーズ 帝国の影]]』のほうが、日本における知名度は高い。

-本作は『DOOM』が社会現象となった1993年9月に開発が始まったが、実は本作発売よりも先の1994年6月7日に『DOOM』のWADとして非公認『スター・ウォーズ』FPS((正式WAD名は「The death star」、一般的には「STARWAR2.WAD」として知られている作品。初期に評価された作品のひとつであり、かのジョン・カーマックもそのクオリティを絶賛するコメントを残した))が登場してしまったことでも有名。開発陣はこれに衝撃を受けたらしく、また発売後にライトセーバーの有無などで公式作品とファンメイド作品が比較されてしまうこととなった。

-作中年代的に近いのもあり、タイトルロゴは『エピソードV/帝国の逆襲』と同じ形状となっている。

-2012年のディズニーによるルーカスフィルム買収時に非正史(レジェンズ)に分類され、無かったことにされた数多くの『スター・ウォーズ』作品の一つだが、更にストーリーの一部が映画『ローグ・ワン』で全否定されるなど特に不遇な作品の一つである。
--しかし『ローグ・ワン』の主人公にジャン・オースを捩ってジン・アーソという名前が付けられたり、カイルの愛用拳銃であるK-16ブライアー・ピストルが『バトルフロント』拡張パックに登場したり、ダーク・トルーパー・プロジェクト自体は存在していたことにされたりとゲスト的な関わりは複数存在する。

復元してよろしいですか?