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ドラゴンスレイヤー外伝 眠りの王冠 - (2013/01/27 (日) 10:37:30) の編集履歴(バックアップ)


ドラゴンスレイヤー外伝 眠りの王冠

【どらごんすれいやーがいでん ねむりのおうかん】

ジャンル アクションRPG
対応機種 ゲームボーイ
メディア 1MbitROMカートリッジ
発売元 エポック社
開発元 アジェンダ
発売日 1992年3月6日
価格 4,725円
プレイ人数 1人
セーブデータ 1個
ドラゴンスレイヤーシリーズリンク


概要

日本ファルコムより発売されているドラゴンスレイヤーシリーズのオリジナル外伝作品。
本作は日本ファルコムのライセンスを受けてエポック社より発売されている。

プレイヤーはナイト、ウィザード、ハンター、タンカーの4つの職業からいずれかを選んでプレイをすることになり、職業ごとに攻撃方法やシステムに特色がある。


ストーリー

かつてこの世界の人々は平和に暮らしていました。
世界の中心である「セルナンデ」には伝説の「眠りの王冠」があり、王冠にはめ込まれた4個の宝石が邪悪な4匹のドラゴンを封じ込めていたのです。

ところがある日、突然に王冠が光を放ち封印されていたドラゴンが世界の四方に解き放たれてしまいました。
大地はたちまち輝きを失い、世界はドラゴンの力によって送り込まれたモンスターに支配されてしまいました。
こうしてこの世界は一夜にして絶望と苦悩に包まれてしまったのです。

そしてある日、一人の勇者―つまり貴方―が旅立ちました。

貴方は並外れた戦闘能力と不思議な魔力、そして正義感溢れる優しい心を持っています。
貴方は人々を苦しめているドラゴンを倒して4つの宝石に封印し、この世界に輝きを取り戻す為、幾多の困難に立ち向かっていくのです。


職業

ナイト  装備可能:剣、鎧、盾
剣を用いた接近戦を得意とする戦士。
剣で戦うため、基本的には接近しなければダメージを与えることが出来ないが、作中で入手出来る一部の魔法の力が封じられた剣を装備する事で、その魔法による遠距離攻撃も出来るようになる。
下に詳細は書くが、魔法の力が封じられた剣の一つでナイトの最強武器となっている剣がぶっ壊れ性能になっている。
それを抜きに、基本的に接近戦を挑まないとダメージを与えられないという欠点を差し引いても防御力も割合高めなので初心者でも扱いやすい。
ウィザード  装備可能:攻撃魔法、ローブ、腕輪
強い魔力を秘めた魔法使い。
魔法は強力だが、武器などによる直接攻撃が出来ない。
魔法を使うとMPを消費し、これが切れると魔法が使えなくなってしまう*1
歩き回ることでMPは徐々に回復する*2ので、ボス戦でMPが切れると回復するまで逃げの一手を打つ*3事になる。
終盤では空を飛ぶ魔法を入手出来、この魔法が無ければ入手出来ない攻撃魔法がある他、空が飛べることで一部のダンジョン攻略が他の職業よりも有利に進むなどのメリットもある。
常にMPの管理を要求されることもあり、上級者向け。
ハンター  装備可能*4:弓、矢、鎧
並外れた弓の腕前を誇る狩人。
装備する弓によって矢の飛距離や弾道が変わり、装備する矢によっては敵を貫通して攻撃することが出来る。
装備枠のうちの2つが武器で埋まってしまうが、他の職業に比べてレベルアップ時の防御力上昇が大きいために取り立てて防御力が低い訳ではないが、若干の不安は否めない。
武器の性質上、敵に間合いを詰められてしまうと本領発揮しにくくなる。
職業の専用装備で背後にも矢を放つことが出来るようになるが、その光景はシュール極まりない。
タンカー  装備可能:ナックル、鎧、肩当て
大食漢の格闘家。
敵にぶちかましを仕掛け、倒した敵をそのまま食べてしまう。
格闘家と書いたが、ぶちかましは途中で敵に当たらない限りは画面端まで仕掛ける*5上に攻撃を仕掛けている間は無敵なので、ナイトのように接近しなければダメージを与えられないと言うことはない。
この職業のみ「体重」という概念があり、敵を食べると体重が増え、移動し続けると体重が減る。
体重が増えると攻撃力と防御力が増え、減るとその逆となる。
体重の最大は255kg。…いくら何でも重すぎだ。

評価点

良好なゲームバランス

  • 全体的に見ると敵の能力バランスは纏まっており、序盤からいきなり強い敵と戦わされたりはしない*6し、詰みかねない程に異常な性能の敵がいると言うこともない。
    • こう書くとヌルゲーと思われてしまうかも知れないが、程良い難易度で特筆するほど凶悪なものは無いという意味合いであり、ゲームバランスとしては良好であると言える。
      • ただし、後述するスフィンクスだけは例外で、アクション面に限っての話となる。
  • 職業は4つあるが、どの職業でも勿論難易度の差こそあれ、クリアは出来るようにはなっており、そう言う意味でもバランスは取れている。

良質のBGM

  • 特に終盤のフィールドBGMは疾走感と勇猛さの中に緊迫感もあるもので、物語の状況と見事にリンク、雰囲気を盛り上げてくれる。
  • BGMからは離れるが、ダンジョンにおいて敵ボスの居る部屋に近付くと魔物の雄叫びが聞こえてくるなど、冒険の雰囲気を強めるのに一役買っている。

なかなか頑張っているグラフィック

  • アクションパートのグラフィックは特筆するほどではないのだが、ボス戦前や特定のイベントで表示されるグラフィックはなかなか頑張っている。
    • 特にボス敵の中でもドラゴンのそれはGBなりではあるが迫力もある。

問題点

操作性が悪い

  • 悪いと言うよりも反応が鈍いと書くべきか、入力をしてすぐさま反応してくれない。
    • そのため、敵の攻撃が当たりそうだと気付き、こちらは避けようと十字キーを入力をしているにもかかわらず、反応の鈍さで避けられずに攻撃を喰らってしまうということも少なくない。

シナリオが印象に残りづらい

  • 良くある世界を旅して邪悪な敵を倒して世界を救うと言う類なのだが、サブイベントの類がほとんど無く、メインのストーリーがどうにも淡泊で印象に残りづらい。
    • シナリオ自体が短いのも影響していると言えよう。
  • 町なども一見そこそこ広く家が建ち並んでいるように見えるが、そのほとんどが空き家。水増し感が強い。当然町にいる人も少なく、そのただでさえ少ない人も大した情報を喋ってくれない。手抜きと受け取るプレイヤーもいるかもしれない。

成長を実感しにくい成長システム

  • 雑魚敵を100体倒すごとに最大HPやMPが増加*7し、特定のボス敵を倒すと根本のレベルが上がり、HPやMPの他に攻撃力や防御力も上がる。
    • HPやMPは敵が出現する言わばジェネレーター的な場所でひたすら狩り続ければ上げられるのだが、攻撃力と防御力はレベルアップ以外では武器防具に完全依存となっている。
      • レベルアップによる攻撃力と防御力の上昇はほとんど雀の涙レベルであるため、レベルが上がってもどうにも強くなったことを実感しにくい。

癖のあるセーブ&ロードシステム

  • セーブはいつでも出来るのだが、ロードしてプレイ再開する時のスタート地点は「最後に泊まった宿屋から」となる。
    • 使い方によっては便利な仕様であるが、長丁場になりがちな終盤ダンジョンではセーブして一旦プレイを中断すると再び宿屋に戻されてしまい、再びダンジョンに向かう所から始まって長いダンジョンを攻略しなければならないため、ある意味では賛否別れる仕様であると言えよう。

終盤のナイトのバランス崩壊級の強さ

  • 上で魔法の力を封じた剣を装備するとその封じた魔法で攻撃が出来ると書いた。
    • それはいいのだが、ナイトの最強武器である「クラウソラス」は画面全体にいる敵に大ダメージというとんでもない性能となっている。
      • 更に、剣に封じられていた魔法の効果はウィザードの操る魔法と違ってMPを消費せずに発揮出来るため、完全にウィザードの上位互換*8状態になってしまう。
      • 攻撃範囲が画面全体なので、ラスボス含めてひたすら攻撃を避けつつ適当に剣を振っていればクリア出来てしまう。

スフィンクスの謎かけ

以下の3問を見て欲しい。

さて問題です。「ドラゴンスレイヤー外伝」の代表的な職業とは?

1.ウィザード 2.ハンター 3.タンカー

では問題です。「ドラゴンスレイヤー外伝」の代表的な職業とは?

1.ウィザード 2.ハンター 3.タンカー

問題です。「ドラゴンスレイヤー外伝」の代表的な職業とは?

1.ウィザード 2.ハンター 3.タンカー

さて、ほとんどの方はこれを見て「何が違うんだよ?」となったのでは無いだろうか。
因みに正解は上から1、2、3となっている。

ならば今度はこんな問題はどうだろうか。

問題です。1+1は?

1.2 2.10 3.100

普通に考えればこれの答えは1の2であるはずだが、この答えは3の100になる。

では問題です。1日は何時間でしょうか?

1.24時間 2.72時間 3.48時間

これだって答えは1なはずだが、それは誤答で、2の72時間が正解となる。

さて問題です。日本の首都はどこでしょう?

1.北海道 2.沖縄県 3.東京都

この問題ならば正解は3の東京都…では無く、1の北海道になる。

ここまで来てあることに気付いた方が居るかも知れない。
問題の中身は全く関係ないのだ。
まさか1+1が本当に100になるわけが無いし、1日が72時間もあるわけがなく、いつの間に北海道が日本の首都になったのだという話である。
とどのつまり、答えは問題文の冒頭に何がつくかだけで決まる。
冒頭に「さて」がつけば1だし、「では」がつけば2、何も無ければ3が答えになると言うことだ。

さて、なぜこんな事を突然書き出したかと言えば、本作で戦うことになるボスのうちのスフィンクスがこの謎かけを出してくるのだ。
当時のプレイヤーの多くは冒頭以外変わらない問題文と選択しようのない選択肢*9に大きく惑わされ、これが原因で本作の攻略を諦めた人もいるほどである。
パッと見た限りではまるっきり意味が解らない問題なのに間違えると遠い所にある街から出直しさせられ、漸く再びボスの所に着いたと思えばやっぱりわからず、そしてまた街に戻されるという堂々巡り、そりゃ投げたくもなるというものだ。
実際は直前にこの問題を練習出来る石像があるのだが、フォローとしてはあまりにも弱く、プレイヤーからの評価を著しく下げる要因にもなってしまっている。
謎解きとしては面白い所では確かにあるのだが、些か不親切すぎたと言えよう。

なお、実際のゲーム中では1~3の選択肢ではなく、縦に並べられたリスト状になっており、ここではそのリストの一番上を1とし、その下を2、一番下を3として表記している。


総評

操作に対する反応の遅さと上に書いたスフィンクス絡みで評価を著しく下げるプレイヤーも少なくないが、全体的に見れば(ナイトのクラウソラスの壊れ性能を除けば)程良いバランスでまとめられた取っつきやすいアクションRPGであると言える。
現状ではダウンロード販売などもされていないために現物が無ければプレイ出来ないが、機会に恵まれたならばアクションRPGが好きな人には是非プレイしてみて欲しいタイトルである。