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バハムート ラグーン - (2016/03/16 (水) 06:37:19) の編集履歴(バックアップ)


バハムート ラグーン

【ばはむーと らぐーん】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 スーパーファミコン
発売・開発元 スクウェア
発売日 1996年2月9日
定価 11,400円
プレイ人数 1人
レーティング 【VC】CERO:B(12才以上対象)
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2009年9月29日/823Wiiポイント
【WiiU】2014年2月5日/823円(共に税込)
判定 良作
ポイント ドラゴンと一緒にお手軽SRPG
グラフィックと音楽は高水準
ヒロインを筆頭としたアクの強いキャラクター達
サラマンダーより、ずっとはやい!


物語

  • 「ラグーン」と呼ばれる空に浮かぶ島々から成る世界「オレルス」。その中の一つであるグランべロス帝国の皇帝サウザーは「空の制覇」を掲げ、圧倒的な軍事力を以て他国を征服しオレルスの覇者たらんとした。それにより「神竜」と心を通じ合わせるという「ドラグナー」の血を引く国王が代々治めるカーナ王国も滅ぼされ国王は殺害、王女ヨヨも虜囚の身となってしまう。元カーナ王国戦竜隊隊長であるビュウ(※以下、主人公とする。理由は後述)は、カーナ及び他国の残党を率いて「オレルス解放軍」を結成。グランべロスに征服された国々の解放に乗り出した……。

概要

  • スクウェアがスーパーファミコンRPGタイトルを多数発売していた頃のゲーム。スクウェアのゲームとしては珍しく、マップクリア型のシミュレーションRPGとなっている。
    • スクウェアはこれ以前にシミュレーションRPG『フロントミッション』を発売しているが、これはジークラフト企画による共同開発である。
  • 物語は上記のとおり「主人公が亡国の王女をたてて悪の帝国から世界を解放する」という良く言えば王道、悪く言えば陳腐なもの。マップクリア型シミュレーションRPGの題材としては最も絡めやすいものである。
  • 本作のシナリオを担当したのは後に『ファイナルファンタジーXIII』のディレクターも担当する事になった鳥山求氏。

特徴

  • ドラゴン育成システム
    • 戦竜隊が駆るドラゴンはアイテムを食べさせることで成長し、ステータスが一定に達すると属性を得る。得た属性によって外見も変化する。
      • ドラゴンも経験値を得ることによりレベルアップし能力も上昇する。アイテムでの成長とレベルアップの成長を合わせたものが最終的な数値になる。
    • ドラゴンはとにかくどんなアイテムでも食べる。武器でも防具でも、毒でももはや正体不明の物でも食べる。アイテムの種類によって、上昇するパラメータが変わってくる。
      • そのエサ稼ぎのため、本作の敵は必ずアイテムをドロップするようになっている。得られるアイテムは倒した属性と同じもののことが多い。ランクの高い敵は強い装備を落とすため、トドメの属性は重要となる。
    • 「賢さ」は攻撃属性の判断と、パーティーが直接戦闘に入った時の援護攻撃の頻度に影響し、「親しさ」は、命令をきくかどうか、パーティからの距離など影響する。また隠しステータスとして「性格」があり、戦闘画面に入っての直接戦闘を好むかフィールド画面での間接攻撃を好むかに影響するなどステータス以外でもそれなりにドラゴンごとの個性がある。
    • 外見にも個性的なものが多く、スタンダートな翼を持つ竜や、複数頭を持つ竜から、球根に一つ目と羽の生えたような奇妙な形状の竜や子供の落書きのような顔の竜まで。進化差分は単なる色替えも多いが、育成具合に合わせて個性的で豊富なグラフィックが用意されている。
  • パーティー編成
    • 本作では1人=1ユニットではなく、4人で1つのユニット(+ドラゴン)を組んで戦う。
      • パーティーごとに必ずドラゴン一体が追従する。シミュレーションゲームとしても部隊ごとに必ず援護キャラが付くのは珍しい。
      • ペアの人間ユニットが全滅するとドラゴンも退場する。ペアのドラゴンが倒されても人間ユニットは退場にはならないが、ほとんどの技や魔法が使えなくなるため大幅に弱体化する。
    • ドラゴンは属性値やステータスが部隊に大きな影響を持つ。例えばドラゴンの火属性がLV1ならペアの人間ユニットの火属性に対応する技や魔法もLV1となり、LV7なら同様にLV7となる。
      • フィールド上で使用可能な能力の効果は、そのパーティーの全員の能力の合計となるため、プリーストならプリースト、ウィザードならウィザードなど、同じ技を持つキャラクターと一緒に編成を組む事で、個人の上限であるLV10を最大4人=LV40で技を使う事ができる(4人仲間になるクラスの場合)。
      • ナイト、ヘビーアーマー、ライトアーマーはフィールド上に攻撃する技は持たないが、ナイトはダメージ1.5倍の「クリティカル」、ヘビーアーマーは自動防御の「デフェンス」、ライトアーマーは移動力上昇の「スプリンター」というプラス能力を持つ。
      • 「クリティカル」はSTR、「ディフェンス」はVITに依存し、(LV+2)/32の確率で発動する。3人揃えれば最大で100%発動するため特にナイトのパーティーは攻撃の要となる。この恩恵はパーティーの全員が受けることができる。
      • ライトアーマーの「スプリンター」はDEXに依存し、ユニットに1人いるだけで最大で10も移動力が上昇する。3人いればフィールドの端から端まで一気に行ける場合もあり、効果が絶大なため重要視されることも多い。
    • ドラゴン自体はセミオートで行動する。
      • ドラゴンを突撃させる「いけ!」、ドラゴンを呼び寄せる「こい!」、ドラゴンを待機させる「まて!」という3種類の大まかな指示を与えることができる。
      • ドラゴンの移動範囲は無限であり、「いけ!」でパーティが到着する前に先制攻撃させることも可能。だが、この場合敵の集中攻撃には注意が必要。
      • また、セミオートゆえに勝手に地形変化させたりダメージゾーンに待機したりなどのマイナスとなる行動を取ることもある。
  • 地形変化
    • フィールド上で特定の属性を持つ攻撃を特定の地形に使用することで地形を変化させることができる。
      • 通行に邪魔な城壁や山を雷属性で崩す、森を火属性で焼いて燃焼中の森(とどまるとダメージ)にする、逆に水属性で鎮火する、川や水路を冷属性で凍らせ渡れるようにする、また敵が渡ろうとしたら凍った道を溶かして数ターン後に溺れさせる等。

評価点

  • スーパーファミコン最高レベルのドットグラフィック。時期の近いロマサガ3や聖剣伝説3と比べても遜色はない。特に本作のタイトルにも含まれている神竜「バハムート」召喚時のドット絵は圧巻。歴代のバハムートの中で最もかっこいいという評価まである。
  • パーティ編成やドラゴン育成など独自のシステム(前述)。
  • 魅力的なキャラクター達。サブキャラは台詞は少ないながらも皆個性が強く、物語が進む度に話し掛けるのが楽しみになる。
    + このゲームの特徴的なキャラ(ドラゴン含む)
    • ビュウ
      • 我らが主人公。元カーナ戦竜隊の隊長で、反乱軍の事実上のリーダーという扱い。金髪のイケメン。
      • スクウェアとしては珍しい無口主人公だが、一部選択肢ではなかなかの男らしさを発揮。どういう性格付けになるかはプレイヤー次第。
      • ジョブはクロスナイト。特殊技能こそは無いが戦闘能力は高く、直接戦闘もマップ攻撃もこなせる。
    • ヨヨ
      • 今作のヒロイン。詳しくは問題点一番下に
      • ジョブはワーロック→ドラグナー。ジョブチェンジするもの性質は変わらず、FF的に言えば召喚師+赤魔道師という感じである。
        派手な召喚魔法に目を奪われがちだが、しろくろま「ビンゴ」の性能もかなり高い。
    • センダック
      • ヨヨの教育係で、艦長を務める老人。但し職務はほぼビュウにまかせっきり。詳しくは賛否両論点に記載
      • ジョブはヨヨと同じくワーロック。ヨヨのおこぼれ的な力で召喚魔法を使えるとか。
    • フレデリカ
      • 最初期から仲間になるプリーストの少女。
      • 他のゲームでいう汎用ユニット程度の存在なのだが、病弱設定や後述の欝要素に苦しむ主人公へのプロポーズ同然の発言故に一部でカルト的な人気を誇る。
        • 第一回RPG最萌トーナメントでは準優勝をとった程で、「主人公はこの娘と幸せになるべき」という声も多数。
        • 病弱の印象こそ強いが、序盤では「ビュウ!待ってたんだよ!」という元気なセリフも。ちなみに以降はさん付けである。
      • 戦闘面では、プリースト(僧侶)らしく回復担当。アンデッドには攻撃可能で、これでしか取得できないレアドロップも。
    • サラマンダー
      • ビュウの相棒ポジションともいえるドラゴン。炎属性で、初期段階では赤い鳥のような姿。
      • かなり賢く勇敢な性格で、直接戦闘を好む。イベント等でも空気が読めるお利口さんとして描かれている。とあるイベントではビュウと共に踊るシーンもあり「本当のヒロインはサラマンダー(もしくはフレデリカ)ではないのか?」という経験者も。
      • 聖属性のフェニックス、またはマスタードラゴンになると無敵という特性を得る為、育てすぎると極端にヌルゲーになってしまうことも。
    • ムニムニ
      • 初期段階で物理攻撃しか持たないドラゴン。タマネギに目玉と蝙蝠のような羽がくっ付いた姿をしており、我々の大きく抱く「ドラゴン」のイメージを粉々に破壊してくれる。
        • 但し作中でも「珍しいドラゴンもいるんだね」と言われるとおり、オレルス世界でも珍しいタイプだそうな。
      • このゲームのドラゴンは進化すると姿が変わる、というのは周知の事実であるが、こいつの場合分裂・増殖を繰り返す。いや絶対ドラゴンじゃねえだろこいつ…。そして最終形態の聖・暗では何故か竜騎士に変化。聖属性はオーディン、必殺技は勿論ざんてつけん
      • ドラゴンの中では最も甘えん坊で臆病。そのためかイベントでは偵察係を任されることも。
    • パピー
      • 中盤以降に登場するドラゴンのヒナ。進化形態は聖・暗とマスターのみなものの、親にするドラゴンでグラフィックが変化する。(マップ中のドット絵に最も近いのはサラマンダー×モルテン)
      • 聖・暗でそれぞれ姿が別物になる。(他ドラゴンは単なる色違い)暗はまさかの「FF6」からヒドゥンがゲスト参戦。
    • うにうに/ブラックドラゴン
      • 変なものを食べ過ぎたドラゴンの成れの果て。形容しがたい姿?をしている。あり大抵に言ってしまえばキモい
      • 「?(うにうに)」の数値が100になると現れる「??(いじけ)」の数値によって形態が変化。10単位で肥大化+増殖。100になるとブラックドラゴンになり、一応はかっこよくなる。(他ドラゴンの使いまわしだが・・・。)
      • 攻撃は無属性の「あたっく」「うにうにブレス」のみ。ブラックドラゴンはそこに「暗黒の力」が加わる。いずれも威力は高いが、失敗することが多い。
        • タッグを組んだ人間側ユニットも威力は非常に高いが失敗することが多い「うにうに」系の技に変化。プリーストは更に回復魔法が消滅するため、かなりピーキーに。召喚魔法はグラフィック的に大変なことになるので必見。
      • この姿になっても万能薬を与えればすぐ元通りになる。というか、後述のキノコを与えるとまず間違いなくうにうに化するので、避けては通れない道である。
      • グラフィックはキモいが、マップ中のドット絵は(-ω-)←こんな感じの顔で可愛い。(無論ブラックドラゴンも)
    • 正体不明/ベヒーモス
      • 「おうじょの???」を与えることで変化した文字通り正体不明のドラゴン。というか羽根の付いた人面。同アイテムを与えると20単位で進化するが、例に漏れず増える
        • 最終形態のベヒーモスはというと…他のドラゴンの使いまわし。なんだか残念である。
      • 間接攻撃ができなくなる代わりに、ランダムで聖/暗属性のドラゴンに変身して固有技で戦う。うまくハマれば序盤から聖/暗属性のアイテムをドロップできる。
        • タッグを組んだユニット側も「?」系の技に変化。うにうにと違い失敗することがなく、プリーストも回復魔法が消えないので幾分使い易い。中でもプチデビルの専用技「れげえダンス」は強力無比。
      • 解除したい場合は「グンソーの???」を使うと元に戻る。
    • さみしいドラゴン
      • したしさを0にされたドラゴンの成れの果て。見た目は羽の生えたうにうにLv3。
      • 能力が下がるわけではないが、言うことを全く聞かなくなってしまう。ドラゴンは大切に育てよう。
  • この他、本筋にも登場する弟分ポジションのナイトトリオ(ラッシュ・トゥルース・ビッケバッケ)や祖国を奪われ反乱軍に投じるタイチョーとグンソー、美人なお姉さん風のルキアや無邪気幼女のメロディア等、全てのキャラは個性と魅力に溢れている。
  • 台詞回しがいちいち秀逸。
    • ゲームそのものは一応シリアスなのだが、インターミッションでの会話は、どれもこれも機知に富み、皮肉が利いていたりしてクスリとくるものばかり。
      • 敵味方問わず意外な設定を持つキャラが多く見受けられるのだが、それらが開示される場面は毎回笑いを誘う。
    • シナリオ・台詞を手がけた鳥山求氏は本作が処女作であり、以後多くの同社のゲームシナリオを手がけることになる。
  • フロントミッションを手がけた松枝賀子氏によるBGMも評価が高い。
  • ゲームをクリアするとEX-PLAY(2周目)ができるようになる。キャラのレベル、「パピー」以外のドラゴンのレベル、アイテム、金が引き継がれるためストーリーや育成に集中できる。
    • ラスボスが召喚獣として最初から呼び出せるようになる。通常の攻撃方法の中では射程・範囲が最大であり威力も高く楽に攻略できるようになる。

賛否両論点

  • システムと戦闘バランスにはやや練り込み不足が感じられる。
    • 難易度が低い(ありていに言えばヌルゲー)ため適当に進めても特に問題なくクリアできてしまい、頭を捻って戦術を組み立て攻略するというSRPG特有の楽しみは少なめ。13章や22章など難易度が高いマップはあるものの、「寄り道」マップを利用すればいくらでもレベルを上げられるため詰む事はまず無い。
      • ただし、よりみちのひとつ「むずかしいダンジョン」は名前通り難易度が高い。初めて行けるようになった段階で進むとあっという間に倒されることも珍しくない。
    • パーティ編成は自由にできる。移動力が上昇するライトアーマーは分散するのが有効な作戦の一つである。しかし、基本的に同じクラスはまとめた方が技が強化されるし、キャラ毎の相性や組み合わせによるイベントの変化等の要素があるわけでもないので、好みを優先させない限り序盤からラストまで(多少の入れ替わりはありつつも)ほぼ固定の組み合わせで通ってしまう。
    • 『ある程度好きなキャラを自由に使える』『本作はスクウェア初のSRPGであり、「タクティクスオウガ」や「ファイナルファンタジータクティクス」など、後続のSRPGを楽しむための入門編』と考えれば、低い難易度は寧ろ評価点と言えなくもない。
  • ドラゴンが強すぎる。
    • 6章より手に入る各種キノコをエサとして与えれば、安価でステータスの半分以上を最大レベルにすることができてしまう。これはドラゴンの無個性化にも繋がってしまう。逆にDEXなどはこれでなければ上げにくいため、制限プレイもしにくい。
      • 安価だからといって下手にキノコで属性レベルを上げてしまうとその属性でばかり攻撃するようになり、キノコで上げられない属性のアイテムがドロップできなくなる悪循環に陥る。特に水属性が穴となりやすいため、ドラゴンは水レベルを集中的に上げると効率が良くなるが、どちらにしても無個性化に繋がる。
      • 回復属性を最大にしておけば、人間ユニットの戦闘後すぐにほぼ全快にしてくれるので容易には倒れなくなる。さらにこのゲームでは大量入手できる回復アイテムが行動前に無制限に使えるため、下手をしたら1ユニットだけで簡単に攻略できてしまう。
      • いろいろな属性レベルを最大まで上げると単体攻撃を含む多様な攻撃をするようになってしまい却って使いづらくなってしまう。使いたい攻撃の属性レベルが一番高くなるようにすればいいのだが、そうするとレベル6以降に進化できないというジレンマがある。人間キャラの能力も多くはレベル9止まりとなり、最強の聖・暗属性技も使えない。*1
      • もっとも、レベル6段階なら単体攻撃は1つ程度に抑えられるのでドロップにこだわらなくてよくなったらここで留めるのも一つの手である。マスタードラゴンまで進化させると人間・ドラゴンの能力も最大になるし、聖・暗両属性を使えるようになるため一長一短である。
    • ドラゴンの一匹、サラマンダーは進化レベル6で聖の「フェニックス」の状態でいる、または進化レベル7の「マスタードラゴン」に進化するとHP表示が9999になり、無敵となる。時間はかかるがサラマンダーにずっと任せるだけでもクリア可能となる。
    • 賢さが最大の場合6割の確率で人間パーティーの戦闘時に援護攻撃をしてくれる(賢さは簡単に最大にすることができる)。この際MPの消費なしで攻撃を行えるため、ドラゴン単体で戦うよりも断然得になる。特に序盤はMP不足に陥りやすいので命令を「まて!」にして回復要員として運用しがちになる。
  • ドラゴンの外見はエサを与えることで変わっていくが、レベル5まではグラフィックが変化するのは「属性が増えたとき」であって属性レベルは最低でもいい。強そうな姿にするだけなら簡単にできてしまい、中身の強さと外見が比例していない。
    • 結局すぐにレベル5まで上がってしまうため多様なグラフィックの意味がなく、進化の過程を楽しむことができない。
    • マスタードラゴンまで成長すると最初期の外見に戻ってしまう。ただ、レベルと共に厳つく凶暴な外見になっていく上、初期の外見を「可愛い」と見るプレイヤーも多いので一概に問題点という訳ではないが。
  • 下ネタやブラックなネタがチラホラ存在する。
    • 例としてアイテムに「おうじょの???」「グンソーの???」など。「おうじょの???」はベッドからも手に入るため、何であるか想像は容易い。
      • しかも「おうじょの???」のアイテムはドラゴンのエサとして与える事が出来る。さらに与え続けるとドラゴンが特別種へと成長する。(「グンソーの???」はその状態の解除アイテムでもある)
    • 他にもモブのクルーを選択肢で意図的に殺すことも可能。誰得。
  • クセの強いサブキャラ多数。
    • 今でいうヤンデレのような行動をとるエカテリーナ、最初の頃は仲が良かったのだがシナリオが進むにつれてどんどん仲が悪くなっていってしまうランサーの二人組など。ランサーは一応、最終章で仲直りするのだが。
    • ワーロックのセンダックに至ってはなんとガチホモである。露骨にビュウを意識した発言を連発している。
      • 挙句の果てには「ビュウのおしり…まろやか…」なんて言ってしまったりもする。しかもセンダックのキャラは頼れる兄貴風でもなければ紅顔の美少年風でもない。気弱な爺の魔法使いである。外見と内面の強烈なギャップがおよそ他に類を見ない強烈なキャラクターを作り上げている。…どの層にニーズがあるのかという疑問はともかく。
      • 一応フォローしておくとこの人物、おしり発言はともかくとして、王女など強烈な人物の多い本作においてビュウの心境を慮ってくれる好感の持てる人物である。魔法系ユニットとしても優秀。いや、いくら好人物でも台無しとも言えるが。祖国を失ってしまったショックでこうなってしまったのでは、という意見もある。
  • 演出・人物描写の妙なねっとり感。
    • 上記の通り下ネタや黒いネタが多めだが、キャラが繰り出すそれらのネタや人間関係などに、ある種の陰湿さが漂っているものが多く見られる。エロネタもあまりカラッとしておらず、「いやらしい」という形容が当てはまるような、湿った印象のものが多い。
    • 例外的に、バルクレイ(ヘビーアーマーの青年)とアナスタシア(ウィザードの少女)のみ「最初は意見の違いで喧嘩しているものの、話が進むにつれ互いを理解し、最終的に結ばれる」王道かつ爽やかな青春モノの展開。その他のネチネチした人間関係のせいで目立たないというのもあるが…。

問題点

  • アイテムは本拠である戦艦内の店で購入することになるが、ゲームが進むにつれて販売商品は更新されていく。このため、ドラゴンにアイテムを食べさせてパワーアップさせるにも拘わらず好きなアイテムを自由に手に入れることが出来ない。
    • ドラゴンの火・水属性を上げるのに最適なアイテムは序盤に売られているだけである。そのためこれらのものをドロップで稼ぐため武器は同じ属性のものを使いがちになる(他の属性は最適なものが最後まで手に入る)。
    • それに関連して火・水属性武器が序盤から手に入り能力値、とりわけ攻撃力が高いナイト系はかなり優遇されており、彼らばかり活躍することになりかねない。
  • 敵を倒してドロップでアイテムを手に入れる関係上、入手困難なアイテムが複数ある。
    • 各キャラの最強装備の大半は後半のボスなどの最高ランクの敵からドロップで入手することになるが、属性とドロップできるアイテムの関係を知っておかなければ入手は運次第である。
    • 特に厳しいのが回復属性に分類されるアイテム類。イベント入手や宝箱や店で買える物以外は、回復魔法やアイテムで敵にトドメを刺す必要があるので、回復してダメージが与えられるアンデッドが敵にいないと絶対に入手できない。
      • 素早さを大きく上げる防具がこれに分類されるのだがボスなど限られた機会に入手しておかないと最終盤まで入手機会はなく、パレス・ヘビーアーマーの攻撃が目に見えて当たらなくなってくる。
      • 魔法使い系の最強防具もこれに分類されており最後まで入手機会はあるものの条件は厳しい。ただ魔法使い系は前線に出す機会が少ないので、なくてもあまり問題はない。
    • 暗属性も厳しい。通常のプレイではこの攻撃手段を初めて得るのは終盤さしかかりぐらいに手に入る召喚によるものだが、説明に暗属性と書いてないので気付きにくい。聖属性技が優先されやすいシステム上、クリアまで暗属性技が手に入らないこともざらにある。一応序盤からアイテムによる暗属性攻撃でドロップは狙えるが威力も弱く、隠し要素に近い。*2
  • ある手順を踏まないと仲間に入らないキャラがおり、通常はそのキャラは序章に参加するだけである。再加入させるには条件が厳しい(ある街で、話しかけるとストーリーが進む人物と話す前に特定の数人に話しかけた後、木の下にいる女性に話しかける。)ため初見で再会出来ない人が続出。要するにいわゆる隠しキャラなのだがファミ通の攻略本や公式ファンブックにすら触れられていなかった。
    • そのキャラは上記「スプリンター」持ちのライトアーマーなので、仲間にするのとしないのでは攻略の快適度が大幅に変わる。(難易度はそこまで変わらないが。)
    • また、特定章で物陰に隠れているところを話しかけないと仲間にならないアサシンコンビもいるが、こちらは簡単に発見できるものの大して強いわけではない。

メインヒロインに関する問題点

  • 本作のメインヒロインであるヨヨの言動には心を折られたプレイヤーも多い。
    • 演出や人物描写のアクが、このメインヒロインに極限まで濃縮されており、その点を本作最大の問題点として語る人もいる。このヨヨを発端として「スクウェア3大悪女」なる言葉まで生み出され、今ではゲーム内容以上に有名になってしまっている。
+ 以下、ヨヨに関する詳細(シナリオ展開のネタバレあり)
  • メインヒロインでありながら物語冒頭恋仲だったビュウ(主人公)から敵の将軍パルパレオスへと鞍替えする。
    • それだけでもつらいが、さらにヨヨ主観での心情の変化や、二人の恋人になった後の姿も描写されている為に、他の男に乗り換えた元恋人の一方的な思いとイチャイチャを見せつけられるという、プレイヤーへの嫌がらせにもほどがある描写が続くのである。
    • 捕まって不安な状況で優しくしてくれたパルパレオスに好意を抱く……まではともかく、ほとんど惚れる描写もないまま速攻でビュウを過去の男にしてしまう。
      • パルパレオスのドラゴンに載せられた際に「サラマンダーより、ずっとはやい!!」*3(ようは「ビュウよりずっと素敵!」)と言い出す。
      • そのまま、以前ビュウとヨヨが訪れた教会に到着すると、既にビュウの事を過去の男扱いして、「ううん……思い出の場所なんかじゃない。だって私達……これから始まるんですもの」の台詞。
    • その「思い出の教会」をパルパレオス一人で魔物から守っていたのをきっかけにビュウ達と合流するのだが、そこから先は、ビュウへの冷たい言葉とパルパレオスとのイチャイチャ描写が続く。
      • 合流時の台詞からして、傷ついたパルパレオスを指して「おねがいビュウ……私の大切な人なの……」であり、とどめに「ビュウ……今までありがとう。でも私、子供の頃にはもう戻れないの……楽しかったあの頃に……でもきっとそれはいい事なのビュウにとっても私にとっても……」と、「ビュウにとっても」と勝手に自己完結までしている。
      • 基地内の二人の個室へ入ると、パルパレオスが慌てて駆けつけ、非常によそよそしい台詞を吐く。ちなみにヨヨがいる場所はベッド
      • 他の人から、夜にヨヨの部屋から苦しそうな声が聞こえてくるという話も聞ける。
      • ヨヨが死を覚悟し、皆に別れの言葉を放つ場面で、ビュウに向ける台詞は「みんな」宛ての台詞であり、最後が「ビュウ、ドラゴンのエサやり忘れないでね……」という余りにも他人行儀な物。
    • これらからヨヨについては見限ったプレイヤーも多いが、物語のラストにはヨヨの自虐的な台詞が出てくる。
      • 「私、ビュウには嫌われてる……私がいる事でビュウを嫌な気分にさせてしまう……それは判っているの……でも……貴方はやっぱりわたしの大切な人なの!」
      • ここで一応反省してたのかと評価しなおす人もいれば、何を今さら!とさらに嫌悪感を高める人もいたりと評価は分かれる。
  • 上記に加え、恋仲になるパルパレオスを嫌う声も多い。
    • 人の心の機微に疎い朴訥な軍人であり、彼なりに仲間に溶け込もうと努力はしているのだが、ヨヨ以外に対して空気を読まない言動を多発する。
      • 解放軍に参加した直後から場を仕切ろうとする。
      • ふられた直後のビュウに対し「ヨヨのことは私に任せてくれ!」とのたまう。
      • 所構わずヨヨとイチャつき、時にはベッドの中から飛び出してくる。ラスボスを倒し、その報告に皆が歓喜している時でさえ離れた場所でイチャイチャしている。
    • だが、エンディングでは数奇な運命が待っている。
      + EDのネタバレあり
    • 過去に彼を嫌っていた解放軍の重鎮に「死んで取れる責任などないんじゃ」と言い含められていたにも関わらず、復讐に燃える民衆に襲われた際に甘んじて死を受け入れる
      • 彼なりの責任の取り方には賛否が分かれている。
  • ゲームシステム的な部分でも上記の問題を後押しする要素がある。
    • 本作には(ヨヨについても含め)色々な選択肢はあるものの、メインストーリーには分岐などは一切なく、どうやってもこの展開を避ける事は出来ない。
      • 「ヨヨの暗殺を依頼する」等は本気で成功を願ったプレイヤーもいただろう。
    • ビュウ(主人公)、ヨヨ(ヒロイン)、ドラゴン達のみが名前変更可能なシステムになっており、主人公とヒロインに自分の名前と好きな女の子の名前を入れた人ほどきつくなるという結果に。
      • ゲーム冒頭でビッケバッケが教えてくれる「ドラゴン人気の名前ベスト4」の4位に「好きな女の子の名前」を入れている。
        ダンスパーティのシーンでビュウと踊るのも他でもないサラマンダーである。
      • 暗殺の選択肢といい、これといい、製作者は2周目にはプレイヤーがヨヨに嫌悪感を抱いていることを想定していたようである。

総評

「ドラゴン育成」という斬新な要素を盛り込んだスクウェア初のSRPG。「SRPGとしてはヌルゲーすぎてやりごたえがない」という声もあるが、秀逸なシナリオ、気分を高揚させる質の高いBGM、高いレベルに纏まっているグラフィックなどそれを補ってあまりある魅力を持つゲームである。
ヨヨを始とするクセの強すぎる強烈なキャラクター達が織り成す世界は多くのファンを(好悪両面で)惹き付けた。
名作には違いないのだが、余りにもヨヨのキャラクターが強すぎたために、別の意味でプレイヤーに強烈な印象を残す事となった奇妙な作品である。


余談

  • ヨヨに関してはインターネットの普及で悪女ネタが目立って広まった。
    • 既に説明されているとおり、元々強烈なキャラクターでプレイヤーに印象付けられているキャラだけに、本作の話題を出すとまずヨヨの名前が上がってしまうのである。結果、ゲームを知らない人にもヨヨに関するネタだけが広がっていってしまった。
      • ただ、(本稿でも散々と記述しておいてではあるが)ヨヨ自体は作中の一要素でしかなく、問題の象徴であっても本作の象徴そのものではない事には留意してもらいたい。
  • 主人公ビュウはヨヨに関連して「不幸主人公」代表格とも言われるが、これも意見が分かれている。
    • 彼が不幸なのはヨヨに関する恋愛面のみで、役職では騎士団隊長→反乱軍の事実的なリーダー、人間関係でもほぼ全てのユニットやクルー、ドラゴン達にも慕われており、男性で唯一女性部屋に入ることを許されている。フレデリカからは告白とも取れる言葉を受け取っているほど。
      各国を帝国領から次々と解放し、成り行きとはいえ神竜達の世界も救うことになる。その活躍はストーリー中では誰でも知っていることになる。
    • 上記の通り、人間・戦士としては間違いなく稀代の英雄レベル。これだけ恵まれているにも関わらず、ヨヨの一点で「不幸主人公」と決め付けられるかは一概に断定できない。
      • そもそもビュウのセリフが選択肢以外皆無なことや、細かい年齢設定や経過年数もわかっておらず「ビュウがヨヨをどう思っていたか」ということはゲーム中一切語られていない。ヨヨはビュウのことを後ろめたく思っている、クルーや後輩ナイト達は気を使っているようだが…。
      • エンディング後の展開では(ネタバレのため詳しくは述べられないが)元の生活には戻れなくなったとも取れる描写や、ドラゴンの赤ちゃんにまつわるイベント等の点で「不幸主人公」という意見もあるにはある。欝展開や後味の悪い展開では無いのでご安心を。
  • アスペクト(ファミ通)から攻略本「バハムート ラグーン 公式ガイドブック」が発売されているが、ミスがかなり多い。
  • のちに、合併しスクウェア・エニックスとなった同社が、『ドラゴンを駆る亡国の王子が悪の帝国と戦うアクションRPG』なるやけにデジャビュを感じさせる作品を放ったのは、スタッフの故意か何かの偶然か。
    • 最も作風は全然違っており、同じ鬱ゲー扱いされても鬱の度合いや方向が異なっている。
  • 「バハムート"ド"ラグーン」と間違われる事が多い。「ドラグーン」は「竜騎兵」、「ラグーン」は「半島」という意味である。
  • 2009年にニンテンドーDSで『ブラッド オブ バハムート』という作品が発売されている。
    • 続編というわけではないが、一部設定が共通している。本作からの小ネタもある。
    • 他にも続編の企画はあったのだが……。
  • 隠しキャラとして『ファイナルファンタジーVI』に登場した「プレゼンター」にそっくりなモンスター「プレゼンチャー」が存在。
    • 特定の章の特定座標の建物を破壊すると登場する。見た目や名前の通り、強さの割にアイテムランクが高く設定されており、狙った属性で撃破できれば序盤から強力な装備を手に入れることが出来る。