注意:本稿では、『ローグギャラクシー』(クソゲー)と『ローグギャラクシー ディレクターズカット』(判定なし)の2本を紹介する。
【ろーぐぎゃらくしー】
ジャンル | ロールプレイングゲーム | |
対応機種 | プレイステーション2 | |
発売元 | ソニー・コンピュータエンタテインメント | |
開発元 | レベルファイブ | |
発売日 | 2005年12月8日 | |
定価 | 6,800円(税別) | |
判定 | クソゲー | |
ポイント |
2005年クソゲーオブザイヤー大賞
野心的で評価点もあるが、他が追随していない ディレクター・日野のビッグマウスが有名 2つの塔で苦労も2倍だな |
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クソゲーオブザイヤー関連作品一覧 |
『ドラゴンクエストVIII 空と海と大地と呪われし姫君』で名声を手にした「レベルファイブ」(以下「LV5」)の社運を賭けた渾身の1作。
内容は広大な宇宙を舞台としたスペース・オペラもののRPGで、バトルはアクションゲームのようになっている。
最大の特徴としては、ロード時間を感じさせないシームレスな内容という点がある。
メーカーにとっても相当の自信作だったらしく、2005年の年の瀬に販売された本ゲームは、発売前から大々的にプロモーションしていたこともあって広告戦略は成功し、『ドラクエVIII』の評価の高さもあって本作の前評判もかなりよく、大きな期待がかけられていた。
しかし、過剰なまでの強気の宣伝姿勢とは裏腹なゲーム内容の質の悪さにより、悪い意味で話題となってしまった。
+ | とにかく酷い。 |
「LV5の技術力についてのプレゼン資料」として見れば本ソフトの評価は上々だが、純粋にゲームとした見た場合の出来はあまりにも酷い。
端々に散見されるユーザビリティの甘さとシームレス移動を強調するための長ったらしいダンジョン、そして、ディレクター・メインシナリオを手がけた日野晃博社長のシナリオセンスの無さが全てを台無しにしてしまった。
それだけならばまだ「なんだ、ただの出来の悪いRPGか……」で済んだだろうが、誇大過ぎる宣伝による前評判の高さと実際の製品のクオリティとの落差により、ユーザーの心証を余計に悪化させてしまう羽目になってしまった。
メーカーの高い技術力と自信が悪い方向へ発揮されてしまった結果の自滅だったと言えよう。
何よりもまず、このゲームの印象を決定付けてしまったのは、LV5代表取締役でもあった日野晃博社長による宣伝戦略である。
- 発売の4ヶ月も前からTVCMによる大々的な宣伝広告。
- 社長直筆のサイン入りで印刷された販促ポスター。
- 都心近くの大手ゲームショップ限定でペナントも配布。
…等、終始、強気かつ自信満々な態度で宣伝を打っていたのだが、良くも悪くもこの誇大に過ぎる宣伝が明暗を分けた。
これらの宣伝媒体において「某国産大作RPG2作に匹敵する」などと強気な口調で宣言したために、前述の問題点の数々がこの上なく際立ってしまうことになったのである。
特に、ポスター末尾にある「
さ ぁ ふ る え る が い い
」という文言は、05年KOTYの最後を飾ることになり、良くも悪くも本作を象徴するフレーズと化してしまう始末であった。
このような強気な姿勢の宣伝を打った場合、成功するか失敗するかの大博打になるのが相場だが、案の定、前述の数々の問題点から大失敗に終わってしまい、
『レイトン教授と不思議な町』を出すまでLV5は再び雌伏の時を迎えることになった。
【ろーぐぎゃらくしー でぃれくたーずかっと】
北米版を基にクソゲーとしての問題点を大幅に改善し、イベント・アイテム・惑星等を追加した「ディレクターズカット版」が発売。
システムの再調整と追加要素によって、無印版よりも格段と遊びやすくなった。
しかしながらシナリオやキャラ設定面についてのフォローが一切されていないため無印版の悪評を払拭しきるには至らず、日本における売上は無印版の10分の1にも届かないという結果に終わってしまった。
クソゲーとしての汚名を返上しようとした努力や工夫は確かにあったのだが、修正すべき点が足りていなかった。それだけが惜しまれる。
北米ではこのDCVerのみ発売されたが、そちらのプレイヤーはストーリー性を重視しない傾向が強いこともあってそれなりの評価を得ている模様である。
同様に「システム面さえ良ければストーリーは気にしない」という人なら、そこそこ楽しめるだろう。