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大冒険 セントエルモスの奇跡 - (2014/12/18 (木) 20:14:13) の編集履歴(バックアップ)


注意:このページではSS用ソフト『大冒険 セントエルモスの奇跡』(クソゲー)と、その移植版であるPSソフト『大冒険デラックス 遥かなる海』(分類なし、参考記事)を紹介しています。


大冒険 セントエルモスの奇跡

【だいぼうけん せんとえるもすのきせき】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 セガサターン
発売元 パイ
開発元 ソフトオフィス、FAB
発売日 1996年4月19日
定価 6800円
分類 クソゲー
ポイント 通称「 超 魔 海 王
「これは ひどい」
狂った台詞とデザインで迫るモンスター
短すぎるBGM
(本作を買うという)大冒険
(本作が発売されたという)奇跡
セガサターン/クソゲー四天王
大冒険 セントエルモスの奇跡 /デスクリムゾン/プラネットジョーカー/スタンバイSay You!

シンプルなタイトル画面

本当にひどい

概要

  • 仲間や装備を整えながら船で各地の港を回る航海RPGであり、セガサターンにおけるトップクラスのクソゲーとして名高い作品である。
  • デスクリムゾン』が登場するまでセガサターンマガジンの読者評価ランキングでは最下位を独走しており、「 超魔海王 」の通称が付けられた。

ストーリー

時は中世。主人公・リオンの住むバルセロナに、父親・ファルの船が無人で漂着した。
リオンは女王に呼び出され、「あなたの一族にはモンスターを倒せる特殊能力があるので、モンスターの根源を絶ってほしい」と父親の代わりに魔物退治を依頼される。
リオンは、父親を捜す目的も含め、友人のトレビールと共に船で旅立つことになった。

ゲーム内容

このゲームの特徴(というか問題点)は以下の通り。

  • RPGにも関わらずイベントは全編通して3つ(+ボス戦)しかなく、とにかく何も起こらない。
    • パケ絵にはヒロインらしき女の子が描かれているが、冒頭で一言喋るだけでセリフはラストまで全く変化なし。もちろん付いてきたりもしない。
  • 前記の通りイベントが無いので、60以上ある街(最初の町以外なぜか全部モンスターに占拠されている)をひとつひとつモンスターを全滅させて解放していく、という作業がこのゲームの殆どを占める。
  • BGMが全体的に短く、殆ど(あるいは全て)が10秒足らずでループする。
    • 戦闘のBGMも終盤ボスとラスボスを除いて1種類(しかも4小節程度のもののループ)しかなく、もはや途中からはゲームというよりお坊さんの苦行のような有様になってくる。
  • ゲーム自体がコーエーの『大航海時代II』に酷似している上、劣化どころかほとんど意味がない。
    • コマンドの並び、名称、行える内容などが『大航海時代II』とほとんど同じ。インターフェースデザインに著作権が認められるかは置いておくとしても、道義的にそれでいいのか?
    • ちなみにコーエーには訴える気すらなくなったのか、今作を遊んだ証拠だけを大航海時代外伝に残してある(とあるサブキャラのモデルは今作の主人公。)
    • 海戦もあるが、海賊とは全く戦わなくてもクリア可能(逃げれば追ってこない)。
    • 物価がとてつもなくおかしい。交易品や船員の給料に比べて武器の値段は極端に高い。この点も『大航海時代II』と一緒。
  • フィールドマップは海域しか移動できないので、大陸の内陸部はマップを埋められない。

大航海時代

個性的なデザインのモンスター達
  • 大味なゲームバランスとヘッポコな演出
    • オープニングがものすごく唐突。
    • ゲーム当初から世界のどこにでもいけるが、順番を踏んで攻略していかないと敵が強すぎて即死する。しかもその順番についての情報はどこにもない。いい意味で言えば自由度は高いと言えるのだが…。
      • 敵のレベルが適切であっても、HP7割は持っていかれる程の凄まじい攻撃を繰り出す事も多く、頑丈な敵も多い。
      • 特に中盤は後述の通り演出の長い指輪で弱点属性を突いたり、後半はランダム発動であり高数値の「必殺技」頼みになってくる。
    • レベルが上がるのは、主人公リオンとそのパートナーのトレビールのみ。酒場で募った傭兵はレベルが上がらない。
      • しかも敵の数は限られており、リオンは海戦で「一騎打ち」を挑む事で無制限に経験値を稼ぐ事が出来るが、トレビールは倒れたまま戦闘終了するとその分レベル上げの機会を失ってしまう。
      • 傭兵は雇ってみないと能力値がわからない。また、説明書では「リオンとトレビールはレベルが上がる」とだけ表記されているが、「傭兵は上がらない」と明記した方が良かったのでは…。
    • グラフィックはスーファミ、メガドラ初期レベル。もしくはそれ以下。
      • しかし、OPなどで見られるCGグラフィックのムービーだけは結構出来がいい。CGグラフィックだけは...
    • 街は地域によってグラフィックや構造が数種類異なるが、どの街もほとんど同じ構成。建物はお店等の施設のみで普通の民家は1つもない。
    • 主人公の特殊攻撃の名前も「必殺技(1)」「必殺技(2)」などネーミングにやる気が全く感じられない。しかも必殺技の発動は完全にランダム。
    • 道具、本作の魔法となる「指輪」を使ったときの演出が無駄に長く、テンポが悪い。
    • 「いらしゃいませ」などの誤字脱字。
    • ラスボスが意味もなく経験値と金を落とす。
    • 町の人の会話はストーリーと関係ない話が殆ど。
  • モンスターの台詞が狂気に満ちている。デザイン自体も恐怖より狂気を感じる造形で、その上グラフィックも汚い。
    • ザコモンスターは「ぴきぴき」「きいいいいー」「がるるるるー」の3種類の定型文句しか喋らないが、各町ごとにいる中ボスの台詞が尋常ではない。以下は一部の例。60以上ある各町の中ボスごとに用意されている。

      「体の中から何かがぶえええ ぐえええええ」
      「うげっ うげっ うげっ 気分悪いぞ! うげげげげげっ」
      「あの草 食べて…あの 赤黒いあの草 食べて…食べて…」

  • ちなみに、上記のマウラはまだ可愛い方。更にキモイモンスターはいくらでもいる。
  • モンスターのネーミングに関しても、「クリビルピル」「ベンチバブ」など、どこから持ってきたのかわからない謎の名前ばかり。

噛んだ店員

ぴぴるぴるぴるぴぴるぴー♪
  • そしてオチが最悪
    • 苦労してプレイしたのに、その努力をあっさり全否定する最悪なオチ。
    • これに関してはニコ動に上がっているので、見たいという物好きな方はそちらを見てほしい。
  • タイトルである「セントエルモスの奇跡」については、ゲーム内では全く触れられない。
    • 「このゲームが発売されたのが奇跡」という解釈もある。
  • ゲーム内での第一声「これは ひどい」は、プレイヤーの評価を完璧に代弁するものとして迎えられ、2chでは慣用句として定着した(定着したのはNHK教育のニャンちゅうの名台詞「これはひどい」の方との説もある)。これら3つのゲームを合わせてプレイヤーの評価大便トリオと呼ばれている。
  • セガサターンマガジン(現ドリマガ)の読者レビューにて「このゲームを買うこと自体が大冒険だ!!!」という名言が生み出された。
  • ものすごく大味なバランスだが、決してクリア出来ないという程ではない。ストーリーを気にしない、奇怪な台詞やモンスターを見てみたい、そんな大味なバランスで「大冒険」してみたいという人には楽しめるかもしれない。

その後の展開

  • サターン版が悪評にも関わらず、約1年後にプレイステーション版『大冒険デラックス 遥かなる海』が移植発売された。詳細は以下の通り。

大冒険デラックス 遥かなる海

【だいぼうけんでらっくす はるかなるうみ】

ジャンル シミュレーションRPG
対応機種 プレイステーション
発売元 ソフトオフィス
開発元 ソフトオフィス、FAB
発売日 1997年4月18日
定価 6800円
ポイント SS版の不具合を大幅改善し別ゲー化
迷言「これは ひどい」の撤回
しかし、微妙にSS版の名残は残っている

概要

サターン版の悪評にも関わらず、約1年後にプレイステーション版が移植発売された。発売元はSS版のパイから、開発担当のソフトオフィスに変更されている。
SS版からの主な変更点としては…

  • グラフィック、BGMがSS版とは比較にならない位に進化。CGムービーもさらに豪華になっている。
  • SS版はストーリー性が殆ど無く、意味不明な進行を余儀なくされたが、本作はちゃんとしたシナリオの上で進行する。またエンディングがSS版の驚愕オチでは無く、SS版よりは納得のいく結末となっている。
  • ゲームバランスの改善、アイテムの物価がそれ相当の価格に変更、必殺技に名前が付き任意で出せるようになった、などの従来のRPGらしい路線に改善された。
  • SS版のオープニングの神セリフ「これは ひどい」や、敵が放つ狂気な電波セリフといった、香ばしい発言がことごとく削除された。但し、敵遭遇時の「ぴきぴき」といった表示など、前作の名残は少し残っている。

以上のように、RPGとしては無難に遊べるまで進化を遂げ、もはやクソゲーとしての地位はほぼ完全に消滅したと言っていい内容となっている。
しかしそれでも、外見が同期のPSソフトに比べるとショボい、シナリオが無難にまとまりすぎて面白みが薄い、エンディングは驚愕オチではないにしろ普通すぎて別の意味で唖然、など良作としては幾分か物足りないゲームではあるのだが。

余談

コーエー刊行の『月刊Da・Gama』では本作の紹介記事、広告、プレイレポート(序盤の一部だが)が掲載された号があった。