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すってはっくん - (2015/01/28 (水) 12:32:01) の編集履歴(バックアップ)


すってはっくん

【すってはっくん】

ジャンル アクションパズル
対応機種 スーパーファミコン
メディア 24MbitROMカートリッジ
発売元 任天堂
開発元 任天堂
インディーズゼロ
発売日 NP版:1998年8月1日
ROM版:1999年6月25日
定価 NP版書き換え価格:2,100円
ROM版:4,200円
プレイ人数 1人
セーブデータ 3個(バッテリーバックアップ)
配信 バーチャルコンソール
【Wii】2010年3月2日/800Wiiポイント
判定 良作

概要

1997年11月にサテラビュー用として配信された面クリア型アクションパズルゲームの製品版。ほのぼの諸島のしあわせ島に住む主人公のはっくんが島のシンボルである虹を元に戻すため、諸島の島々をめぐり、砕け散ったかけらを 仕方なく 集める、というストーリー。製品化にあたり面数増量、ヒントシステムの追加、操作ボタン改善などが施された。
1997年当時のサテラビューでは「マンスリーイベント」と題し月1作ペースでユーザー参加型ゲームを放送しており、サテラビューユーザーにとってひさびさの完全新作であった本作は新鮮味と驚きを持って受け入れられた。その反響から製品発売後に2作もサテラビュー用新作が放送された。

特徴と内容

  • プレイヤーが操作するのは長い口ばしを持つ謎の生命体すってはっくん、通称はっくん。
    • どう見てもガラス質のキウイ?ずんぐりむっくりさせた水飲み鳥?っぽいのに、説明書等によるとお人よしらしい。
    • はっくんはごく普通の移動とジャンプができるほか、特技として口ばしによる物の吸い吐きおよび一体化ができる。
  • 各面にはプリズムのような「虹のかけら」があり、全てのかけらを取るとステージクリア。
    • 複数のかけらがある場合は最後のかけらを回収した時点でクリアとなるため、場合によっては取る順番を考慮する必要もある。ほかの手段で回避できない穴や袋小路、トゲトゲの上などはその典型例。
  • この手のアクションパズルには仕掛けがつきもの。ブロックで足場を作り、ツボから色を吸ってブロックに注入し動かす、というのがこのゲームのポイント。
    • ブロックは上に乗ることができる一方、横には当たり判定がなくすり抜けることができる。さらにはっくんの口ばしが届けばどこにでも吸い吐きで配置できる。壁と重なった場所や空中などでも可。
    • ツボはその場から動かすことはできず、中には物を動かすためのエネルギーとなる赤・青・黄の色が入っている。ステージにより使える色は決まっており、複数ある場合はスイッチで切り替えられる。色は何度でも吸うことができる。
    • ツボから色を吸い取ってブロックに入れると、ブロックが赤は上下、青は左右、黄色では斜めにその場を3ブロック分往復する。ブロックから色を抜くと動きは止まる。この時に吸い取った色は他に使いまわすこともできる。
  • ブロックやツボのほかには、まっくん、ろっくんなどのおじゃまキャラクターや、一方通行・トゲトゲなどの仕掛けもある。
    • おじゃまキャラクターとはいえ上記2匹はクリアに必須となる特性がある。また敵キャラクターではないので触れても平気。触れてはいけないのはトゲトゲくらい。
    • ちなみに ストーリー上でさえも敵対関係となるキャラクターおよび勢力は存在しない。 はっくんの世界はナントカ大魔王とか悪のナンチャラ帝国等とは無縁なユートピアなのだ。
  • ノーマル面は10ステージ×10面で全100面。ヒント使用不可でより難しいエクストラ面、まっくんと競争するバトル面を足すと120面。
    • 最初は3ステージ30面までしか選択できず、面をクリアしてポイントを貯めることにより選択できるステージが段階的に追加されていく。ノーマル面全クリアでエンディング。
    • 各面にはスコアに相当するポイントが決められており、はっくんを動かすと徐々に減っていく。クリア時の残りポイントは記録され、ベストスコアを更新すると上書きされる。
    • 草原、砂漠、西部…など舞台はさまざま。ステージごとにBGMや背景が異なり、雰囲気作りに一役買っている。ゲームを進めるとサウンドテストもできる。

評価点

  • アクションとパズルのほどよい融合で構成された面の数々。
    • ただブロックを運ぶだけで虹のかけらが取れる面もあれば、アクションの操作テクニックが重要な面、さらには綿密に順序立ててはっくんを操作しないとクリア不能になる面など、面構成がよく練られている。終盤は頭も指先もフルに使うハメになるはず。
  • ゲーム内に用意されている遊び方説明がすごく丁寧。
    • この手のパズルはルールが複雑、上達のコツがわかりにくくとっつきにくい、などのイメージを持っている人もいるかもしれないが、ゲーム内にあるはっくん小屋で項目ごとにはっくんを実際に動かしながら操作やルールに慣れることができる。
    • ちなみに説明文はですます調だがどことなくユルさが漂っており妙な味がある。
  • スコアがアクションによる減算ポイント制。制限時間やゲームオーバーもなく、パズルに集中できる。
    • ゲーム中は時間経過で減ることはなく、またポイントがなくなってもゲームオーバーにはならないのでじっくり考えることができる。
    • このため面は一度クリアして終わり、とはならず、次回以降は歩数を節約する、同じ色を新たに吸わず使いまわす、クイックセーブ(後述)を使わない…等でベストポイント獲得を目指す動機付けになっている。
  • アクションに自信がなくてもクイックセーブが、詰まってもヒント機能を搭載しており安心。
    • その場の状況を記録して何度もやり直しを可能にするクイックセーブ・ロード機能。
      • ただしセーブを使うとポイントが大幅に減ってしまうので多用は禁物。ロードはポイントを消費しない。
    • どうしても解けないから手がかりが欲しい、という人のためにはヒント用スクリーンショットを見る機能「ヒント見ちゃう」。
      • これを使うとファイルメニューの称号やステージ一覧にヒントを見たという表示がされてしまう上、ポイントも減る。
    • ヒントを見ても手がかりさえつかめない、という人のためにはデモプレイで解き方のお手本を見る「答えを見てしまう」。
      • こちらは初期状態では使えない。詳細は問題点で。

問題点

  • アクションゲームが全くダメな人には難しい面がある。
    • 終盤のステージではギリギリでのジャンプや、空中に浮かぶ複数のブロックに1つの色を交互に注入しつつ上へ登るなど高度な操作テクニックが求められるので、アクションがひどく苦手な人には不向き。クイックセーブの活用を推奨したい。
  • 「答えを見てしまう」を出すことが困難。ノーヒントでは面クリアより難しい。
    • 最終救済措置なのであえてそうしているのだろうが、各ステージのどこかの面の壁に隠れている紫まっくんを10匹全員探す→バトル面でまっくんに勝ってコマンドを出す→完成したコマンドをある場所で入力する、という面倒な手順を踏む必要がある。
    • バトル面は要するに障害物競争で、まっくんより先にゴールにたどり付けば勝ち。アクションが苦手な人はここでつまづく可能性もあり。紫まっくんは10匹いるので当然10回勝負。
    • さらにコマンドを入力する場所はぼかした表現で説明されているので、コマンドは全部わかってもどこで入力すべきなのかわからない、という事態もありうる。
  • 「ヒント見ちゃう」「答えを見てしまう」はあらかじめセーブファイルをコピーしてから使えば簡単にペナルティを回避できてしまう。
  • サテラビュー版にあったストーリー導入デモの削除。
    • サテラビュー版では初プレイ時に物語を紹介する文章付きのデモシーンを見ることができた。しかし製品版ではこれに相当するデモがない。
    • ROMカセット版では説明書でフォローされたものの、先行販売の書き換え版に説明書はなかったため、サテラビューユーザーでない人には設定がわかりづらくなってしまった。
    • ストーリー自体も「なぜか崩れた虹のかけらを全部取ったら元に戻ってめでたしめでたし。」本当にこれが全て。作風といえばそれまでなのだが、文章説明がなくなったのでひどく淡白なものに。

総評

アクションパズルといえば落ち物が大勢を占めいていた時代の中、面クリア型アクションパズルに親しみやすいキャラクターと遊びやすさをプラスしたSFC終期の埋もれた良作。敵キャラも制限時間もゲームオーバーもないほのぼのとした世界観とは裏腹に、実はポイントアタックという自己記録との戦いが常に求められている。
こう書くと玄人向けと勘違いされそうだがそんなことはない。チュートリアル形式による説明やクイックセーブなどの親切さや、ヒントと答えによる救済という懐の広さを持ち合わせているのがうれしい。面クリア型アクションパズルに飢えている人はもちろんのこと敬遠している人も、軽快なBGMを聞きながらのんびり挑戦していただきたい。 特に8ビット時代のこの手のパズルが好きな人は懐かしくて新しい不思議な感触が味わえるはずだ。

その他

  • 本作はゲームセミナーで制作されたディスクシステム用作品をベースとしていることが明かされている。ディスクシステム→サテラビュー→ニンテンドウパワー→カセットと、長い下積みを経たうえでSFC終期をひっそりと駆け抜けた作品でもあった。
  • 後年に発売された任天堂の面クリア型アクションパズルに引ク押スがある。世代も開発元も違う2作だが、いずれもほのぼのした見た目に反した論理派パズル、タイトルが動詞のひねりというのはなにかの縁があるのだろうか。