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スターオーシャン セカンドストーリー - (2023/11/10 (金) 19:59:26) の編集履歴(バックアップ)



スターオーシャン セカンドストーリー

【すたーおーしゃん せかんどすとーりー】

ジャンル アクションRPG
対応機種 プレイステーション
メディア CD-ROM 2枚組
発売元 エニックス
開発元 トライエース
発売日 1998年7月30日
定価 7,140円(税込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 1ブロック使用(最大15ファイル保存可)
廉価版 PS one Books:2005年3月3日/2,800円
判定 良作
スターオーシャンシリーズ

概要

様々な目新しいシステムとハイクオリティなグラフィック・音楽を搭載したことで話題作となったRPG『スターオーシャン』シリーズ第二作目。

  • 操作する主人公を2人のキャラから選択する「ダブルヒーローシステム」を採用している。
    • 前作の仲間キャラの1人であるロニキスの息子・クロード*1と、惑星エクスペルに住む癒しの力を持つ少女・レナのどちらかを主人公として選択する。
    • 選択しなかった方も序盤で仲間になるため、選んだ主人公によるメインシナリオの変化は、イベント時の細やかな内心描写の有無で差別化される他、別行動を取る時などに選ばれた主人公側の顛末が判る程度であり、シナリオそのものに大きな変化は無い。
      • レナは幼馴染の剣士ディアス関連のイベントなどで比較的単独行動を取る事が多い。
      • クロード編では自身を取り巻く状況や苦悩、出自に関する話題が細やかに描かれるのとは対照的に、レナ編でのクロードはその時々の行動も含め、必死に身の上を隠す謎の異星人としての印象が強調される描写となる。
  • 仲間キャラクターはクロードとレナを含めて最大8人まで加入可能で、仲間に出来る2者のうち片方を選択するケースや、特定の主人公でしか仲間にならないケースなど多彩。
    • 仲間の増加に伴ってか固定は主人公の2人のみ(前作では固定が4人と半分が埋まっていた)、主人公を戦闘メンバーから外せるなど編成の自由度が増している。

ストーリー

惑星ファーゲットでの戦いから20年後の宇宙暦366年。

かつての戦いの英雄ロニキス・J・ケニー提督の息子クロード・C・ケニー少尉は、父と共に惑星ミロキニアへ調査に訪れていた。

父への尊敬の念と同時に、英雄の息子と言う立場へのコンプレックスを抱えていたクロードは、父の忠告にも耳を貸さず未知の機械に触れ、見知らぬ場所へと転送されてしまう。

一方、中世の地球相当の文明人が統治する未開惑星エクスペルは、「ソーサリーグローブ」と呼ばれる隕石の落下以来、魔物の凶暴化や頻発する自然災害に見舞われていた。
エクスペルの辺境の村に住む少女レナ・ランフォードは、いつものように村の近くにある神護の森で過ごしていた所を魔物に襲われるも、
ミロキニアからエクスペルへと飛ばされてきたクロードに助けられる。

銀河連邦軍の光学武器「フェイズガン」で魔物を倒したクロードを、おとぎ話で語られる「光の勇者様」だと思い込んだレナは、彼を村へと招き入れ、客人としてもてなされつつもクロードは自身の置かれた状況に悩みふけっていた。

勇者という誤解はすぐに解けたものの、クロードは自身の正体を伏せたまま父の元へ戻る手段を思案し、
宇宙航行技術にはさっぱり期待できないこの星で、唯一宇宙に関連した存在であるソーサリーグローブを調査するために旅立つことを決意する。
一方のレナも、癒しの力を持つ自分が何者かを知るために、クロードの旅に同行するのだった。


特徴・評価点

魅力的なキャラ。

  • 主人公を含めた全12人の仲間キャラはいずれもデザイン、キャラクター性の両方において特徴的で個性的。それでいて好感が持ちやすく、人気が高い。
    • 高飛車だが面倒見が良いお姉さんのセリーヌ、暗い過去を背負ったクールなライバルキャラのディアスと言った王道キャラの他、背中に二匹の龍が憑依した不幸青年アシュトン、自作のヘンテコ機械で戦うお元気娘のプリシスなど、とにかく色々な面子が揃っており、誰を仲間にするか大いに悩める。
  • さすがにこれだけの人数で且つ固定が主人公二人だけだと、仲間達の個性はメインストーリー中では薄れがちだが、各キャラ個別のイベントや後述する豊富なプライベートアクション等でしっかり掘り下げは行われている。
  • 尚、仲間に出来る人数は8人が限度だが、SOシリーズの歴史上では全員仲間になった事になっており、「12人の英雄」と呼ばれている*2

前作からの進化

  • 前作の時点でBGMの評価が高かったが、本作においてそれはさらに昇華されており、物語を彩る上質なBGMの数々は、今なお多くのプレイヤーを魅了する。
    • 数々の戦闘曲は元より、フィールド・街・ダンジョンに複数の曲を起用しており、そのどれもが色あせない魅力を持つ。
  • 前作で好評だった要素の数々は質においてはより洗練され、量においては大幅に増強された。
    • 町や仲間の数が大きく増えたため、町での分散行動時に仲間とイベントを起こすプライベートアクション(PA)システムは前作を遥かに凌ぐ大ボリュームとなった。また、感情度の大半はPAの結果で増減するため重要(特定の戦闘でも増減するが)。
  • シナリオもボリュームが増しており、更に仲間との感情度(=好感度)によってエンディング(各キャラの後日談)が変化する。他の作品では「主人公が誰と一緒になったか」という位の変化しか無い事が多いが、本作では他の仲間達にもそれぞれ感情度によって組み合わせが変わり、主人公のみならずパーティー全員のカップリングEDが描かれる。その数は約80種類と圧巻。パーティーキャラ達に様々な人生を歩ませる事が出来る。
    • 「パーティーキャラ数×組み合わせ可能なパーティーキャラ数*3」、そこに更に全員分のソロENDや特殊ENDを加えた膨大な量であり、計画的にプレイすれば一度のプレイでメンバー全員のすべてのEDを見られるとは言え、そこまでやりこむのは正に至難の業。これだけの量を用意したのはシリーズでも本作だけである。
    • 主人公以外の仲間の加入は全て任意である関係上、本編はヒーローであるクロードとヒロインであるレナの物語であるが、エンディングの組み合わせはプレイヤー次第。物語に沿ってこの二人をくっつけるも全く別の組み合わせにするも自由である。
      • ちなみにクロードとレナの組み合わせのみ、感情度によって三種類に分岐する。他にも二種類に分岐する組み合わせも多数。
      • 勿論、本編はおろかゲーム中でもほとんど接点の無い仲間同士でも感情度さえ上げればカップリング可能。
    • 条件を見たすとスタッフロール後にメンバー全員が集合するエピローグを見る事もできる。残念ながらクロードとレナ以外に台詞は無いが。
  • 大幅に増えたスキルと共にアイテムクリエーション(IC)においても作れるものが増加し、やりこみ甲斐が増した。
    • 前作に引き続き「調合」「調理」「細工」といった、アイテムを加工して別のアイテムへと作り変えるICスキル群も、より洗練され続投。成果次第だが戦力強化・金銭稼ぎといった大きな実利も伴い冒険を強くサポートする。
    • 「アート」のアイテム複製は別スキル化された。
    • 「調理」による料理作成を利用したミニゲーム「クッキングマスター」も登場する。
    • 一部、何故か武器を改造したら防具や料理や薬が出来るという摩訶不思議な事態も起こる。
      • しかもこれらのアイテムには入手しにくい物が多く、アイテムコンプリート&所持数MAXを目指すユーザー殺しとなっている。
  • インパクト絶大の外道スキル
    • 町の人(散会中の仲間をも含む)のポケットからアイテムをスるスキル「ピックポケット」。
      一部アイテムの複製品を生成する「複製」。これら二つのスキルから派生出現する、
      「にせさつ」「ぎぞうくんしょう」「うら帳簿」「ぎぞう小切手」などの、他のRPGではまずお目にかかれない非合法アイテムを造りだすスーパー特技「リバースサイド」といった
      どう見ても犯罪かつゲームバランスを揺るがす程のリターンを生みだす外道スキルの数々は、ファンから語り草となっている。
      • 一部「ピックポケット」を使わなければ手に入らないアイテムや、特定の町人へのピックポケット行使時にのみ発生するミニイベントさえ存在する。
      • しかし、あまりにこれらのスキルを使いすぎると仲間の感情度が下がるペナルティがある。
  • 存在感抜群の色物アイテム
    • 一部の色物アイテムや料理アイテムには、制作陣の遊び心満載の解説が添えられており、プレイヤーを文章でも楽しませてくれる。
    • あろうことかゲーム内に「どーじん」と呼ばれるアイテム*4が存在し、おまけにゲーム内で同人誌即売会まで開催されていたりする(さりげなく「スタオーマニアな女性」もその中にいる)。
    • 料理アイテムの解説はスタッフの素のコメントのようなものが散見され、特に酒・ワイン系アイテムは異様に熱のこもったコメントが多い。

戦闘関連

  • フィールドが広くなり、カメラワークも目まぐるしく変わるスピード感のある戦闘となった。
    • 戦闘中での移動は方向キーのみで可能になった(バトルモードによっては、□ボタンを押しながら方向キーを押す必要がある)。
  • 前作で「ラスボスが弱い」との意見が多かったことを受け、本作のラスボス・ガブリエル(及びその一味「十賢者」)はかなり強めに調整されている。
    • ガブリエルは強力な呪紋に加え、こちらを寄せ付けない多段ヒットの攻撃、早い移動速度、そして第二形態になると移動しながら呪紋を詠唱するようになるなど、それまでのどのボスよりも強くなっている。
      • 特定の条件を満たすことで更に強化され(通称:真・ガブリエル)、超高速移動しつつ即死級ダメージの全体攻撃を連発する極悪ボスと化す。
      • また、ガブリエルの専用BGM「Integral body and imperfect soul」は後のトライエース作品に使われる事はほとんどないものの、どこか悲壮感の漂う曲調となっている。因みに直訳すると「不可欠な肉体と不完全な魂」。後述のガブリエルにかかわる真実を考えるとこの上なくマッチしている。
    • ガブリエル以外の十賢者では、高速詠唱・高火力・ネタボイス*5と3拍子揃った全体攻撃「スピキュール」を連発してくるミカエルや、戦闘前後や特技使用時の台詞が長すぎて全部言い切れない*6ルシフェルなどが記憶に残っているプレイヤーも多いだろう。
    • 十賢者にはそれぞれ専用戦闘BGMが用意されており(と言っても何人かは同時に複数で戦うため1人1曲ではないが)、中でもルシフェル戦BGM「The Incarnation of devil」は桜庭統氏を代表する戦闘BGMとして知られ、後のトライエース作品でも度々アレンジ版が使われている。
    • これらのボスは対策が出来れば弱いが、出来ないととてつもなく強いボスである。例えばミカエルのスピキュールは火属性全体攻撃だが、装備が火属性半減の場合ですら、こちらのHPが4000程度なのに2000前後のダメージである。ダメージだけ聞けばたいしたことなさそうだが、スピキュールは詠唱時間がものすごく短いため(誇張でもなく2、3秒ほどである)、食らって立て直そうと思ったらまた食らってフルボッコにされるという状態になり、全滅するというプレイヤーが多数いた。
      • ここまで書けば気付く人もいるだろうが、火属性無効装備ならダメージは0になるため、途中途中何度も発動して鬱陶しいだけになる。「対策すれば楽だが、しなかったら地獄」というかなり極端なボスなのである。
      • 初見殺しの理由がもう一つあり、スピキュールは実は呪紋ではなく打撃攻撃であるのだが、詠唱や発動時に一時停止する演出から攻撃呪紋だと勘違いし、打撃対策を怠るプレイヤーが多かったようだ。
      • PSPに移植された際にはこのあたりは修正されており、威力の減少、詠唱時間が長くなっている。

その他

  • ダブルヒーローシステムの採用。
    • 主人公それぞれで発生するPAや一部の展開が異なるため、新鮮な感覚でプレイできる。周回プレイへのモチベーションも高い。レナはヒーローじゃなくてヒロインだとか言わないように。
  • 戦闘中に敵・味方問わずCV付きキャラが発する1200種類以上ものボイスを集める要素「ボイスコレクション」があり、この収集度によって難易度変更やサウンドテストといった隠し要素が解放される。
    • 中には限定状況下(特定のパーティ、特定のボスなど)で稀に発声するものもあり、大量に集めるのは至難の業。
    • 下記の問題点にもあるが、没ボイスも収集対象に混じっているためコンプリートは不可能。
      • 例:水属性術士に火属性呪紋ファイアボルトのボイス等。アンソロで「このキャラにこの台詞どうやって言わせるの?」と書かれているので割と有名。
  • EDの最後に表示されるメッセージは3種類存在し、条件を満たすことで変化する。
    • 最も手間のかかる3個目のメッセージは本作のテーマの1つを示しており、そこに至るまでの経緯を全て理解してから読むと感慨深い。
    • スタッフロールはスキップ不可能だが、美麗なCGと悲壮感漂うBGMとあわせて、プレイヤーをゲームクリアの余韻に浸らせてくれる。
      • ちなみにこのCGの中に隠しダンジョンの場所を示すシーンがあるのも芸が細かい。
  • 凶悪なザコ・ボスが多数待ち受けるトライエース定番の隠しダンジョンも勿論登場。
    • 今回の名前は「試練の洞窟」。文字通りプレイヤーに与えられる試練であり、ある意味本編以上のボリュームを誇る。
      • 敵が強いのは勿論、全13階のフロア全てに何かしらの仕掛けが用意されており、歯ごたえ以上にプレイヤーを飽きさせない作りになっている。気が付けば試練の洞窟だけで本編クリア時間を軽く上回っていた、なんてことも。
      • この「試練」と言う名称の隠しダンジョンは『4』以外の以降のシリーズでも登場する(『4』では『1』の「七星の洞窟」が再登場)。
    • トライエース定番隠しボスであるガブリエ・セレスタ&イセリア・クイーンが初登場したのも本作(ただし、両者の前身はSO1の隠しボス・ガブリエル)。どちらも凄まじい火力と移動速度でプレイヤーを苦しめた。
  • ロード周りは当時のゲームとしてはかなり早い。

賛否両論点

  • 仕方ない点だが、パーティー編成の自由度の高さ故の弊害も若干ある。
    • 固定はクロードとレナだけなので、それ以外の仲間はパーティー入りした後はメインストーリー上において見せ場も無く目立たない。メンバーが3~4人程度の頃はともかく、更に増えると団体の中に埋没してしまう。一応、イベントの度に全員が姿を見せるが、必要に応じて代表者が一言二言口を挟む程度。
      • 無論、PAではそれを補うだけのイベントが用意されているが、せっかくのキャラの個性が本編で活かせないのは少々勿体無い。
    • クロードとレナが離れ離れになるシーンもあるのだが、ワールドマップをほんの少し歩いた先にある集落で早くも再会する。離れ離れにする必要があったのかと問いたくなるほどのスピード再会である。
      • パーティーの分断によって編成の自由が阻害されるのを防ぐためかもしれないが、ストーリー的には全然盛り上がらない。再会時にはレナが泣きながらクロードに抱きつくが、いまいち感動しにくい*7
  • 主人公の一人であるレナが、あまり前線向きではない。
    • ナックルを使った攻撃自体はある程度強力*8なのだが、あくまで術師タイプなので技も覚えず、本質的には紋章術を活かした回復役として勤しむことが多く、積極的に操作したいと思えるキャラクターではない。もちろん、術をかけるタイミングをあえて自分で調節するという使い方もあるが。
      • そう言った点もあってか、他の漫画版やアニメ版などでレナが徒手空拳で肉弾戦をする描写はほとんど無く、基本的には非力なヒロインという扱いが多い。また、続編の『SOBS』でも武器がナイフに変更されているなど、「体術の心得がある」という設定は触れられなくなっていった。
    • この反省か、のちにダブルヒーローシステムを搭載した『6』では、男女の両方とも剣士タイプの主人公として活躍させられる。
  • 前作でかなり自由に必殺技を組み合わせることができたリンクコンボだが 今作では大幅に弱体化した。 今作ではバトル中に必殺技を二つ使用できるがリンクコンボを使っても
    四つまでしか増えず、他人の必殺能力を奪う必要がある。奪われた側は技を使えなくなる。ただし、術士系キャラは「必殺技」ではなく「紋章術」を使う関係で、リンクコンボの奪う対象にしても影響がない。
    • ちなみにスーパーファミコン版は最大で四つまでコンボをつなげることができるため、基本4個の技が4倍の16個まで設定でき、ほとんどの技を使用させることができた。
      その後の移植版でもこの点は改善されず、さらに1のPSPリメイク版でもリンクコンボシステムは今作準拠となり、弱体化している。 そもそも1のリメイク版はセカンドのようなグラフィックとシステムとなっており、オリジナルのリンクコンボはスーパーファミコン版でしか使えない状態である。

問題点

ストーリー関連

  • 全体的なストーリーの完成度は低め。
    • トライエース作品はシステムが練られている半面、ストーリーがなおざりになっている傾向がかなり強いのだが、それは本作も例外ではない。
    • ストーリー自体は「不慮の事故で未開惑星にやってきた主人公が様々なトラブルに巻き込まれ、やがて宇宙を狙う悪と戦う事になる」というありふれたSFものであり、つまらないわけではないが細部の作り込みが非常に甘い。特にディスク2以降で顕著であり、主人公側の人間性を疑うようなイベントもいくつか存在する。
    • 例えば「十賢者を倒すため、4つのダンジョンを攻略して力を得る」イベントでの「愛の場」にて。
+ 要クリック
  • 仲間の1人がボスに人質に取られる。
  • ボス「こいつの命が惜しければ4つの場の封印を解くための鍵を渡せ」
  • 仲間「自分の事はいいから絶対に渡すな」
  • ボス「お前は黙ってろ。さぁ渡せ、他の者は下がってろ」
  • 結局主人公は渡す。
  • ボス「折角だからお前の命も貰っておこう!」
  • 結局人質になっていた仲間を含めたパーティーで戦う。そして勝利。
  • ボス「く…私とした事が…」
    • あまりにもお粗末な流れである。実際のゲーム画面で見ても「どうしてこうなった」な場面なのだから、未プレイでこの記述だけ見た人には、それこそ意味不明な状態だろう。
    • その4つの場では(ストーリー上の)力の根源を得られるらしいのだが、そこのボスを倒してクリアしても極めて抽象的なムービーを見せられるだけで、プレイヤーとしては今一つピンと来ない。抽象的すぎて分かりにくいだけか、単純に脚本の粗か、恐らくは後者だと思われるが。
      • 主人公も「あんまり強くなったという感じはしませんけど」と発言しているが、本人にも分からないものがプレイヤーに分かるはずもない。まさに「何が何だかわからない」状態である。
      • 特にこの愛の場では、「どういうこと?わからない…わたしにはわからない…」という台詞があるが、それはプレイヤーの台詞である
      • 精神世界で自身の過去と対峙したり精神的に成長する展開は他のRPGでも時折見られるが、本作の場合はそれが後の展開に活きてこないのが問題である。
      • また、上記のムービーの後にはその場に対応した宝珠が手に入るが、それが役に立ったりストーリーに絡む事は無い。本当にただ手に入れるだけである。
  • 伏線放置、ご都合主義的な展開、その場限りの設定などの単純な粗も少なくない。
    • レナがクロードを勇者と思い込んだ切っ掛けである「光の剣」こと「フェイズガン」だが、序盤で屋敷の扉をぶち破った際に早々にエネルギー切れになる。
      • ここで「しばらく使えないか」といかにもまた使用できるかのような台詞があるのだが、以降は完全に忘れ去られ、バグ技でも使わない限り二度と使う事は出来ない。
      • 序盤の技にしては強過ぎるので使用不可になる流れは妥当だが、冒頭でキーアイテムのように登場した割には扱いがぞんざいと言わざるを得ない。光の勇者様は二度と光の剣を握らない訳である*9
      • 一応、この世界観では自力で宇宙進出を果たしていない文明(未開惑星と呼んでいる)には外から干渉することを禁じる条約があり、本来なら近代武器を見せる事はおろか、惑星に進入して現地民と接触する事自体禁止である。クロード自身もストーリー中でその事を気にしている。また、後半の舞台「エナジーネーデ」に移動したらしたで、「フェイズガンごとき」ではまるで歯が立たない相手に立ち向かう訳で、緊急事態だったレナの救出時を除き、フェイズガンを二度と使わなかった事自体は不思議ではない。上記にもあるような「しばらく使えないか」等という思わせぶりなセリフがあったのに…というのが粗と言われる。*10
      • またクロード自身は光の剣に見える武器を使った事は認めるものの「伝説の光の勇者」であるという事を否定しており、あくまで自身の意志でソーサリーグローブの調査に赴く、というストーリーになっているため、そういう意味でもフェイズガンを二度と使わない理由はきちんとあるが、描写がそれで一貫していないのが残念。
    • クロードの冒険の発端となった惑星ミロキニアについても何も明かされない。何故クロードがエクスペルに飛ばされたのか、あの遺跡は何だったのかと言った謎は全て放置である。
      • 一応、終盤に行く紋章兵器研究所のある星はミロキニアだった事になっているが、後付け設定であり説得力に欠ける(そもそも本編では一言も触れられない)。前述の件についても結局何も分からず、推測しか出来ない。
      • この他にも山岳宮殿やリンガの聖地など、思わせぶりな謎だけ提示しておいて何も明かされない場所が少なくない。中でもリンガの聖地についてはPSP版の追加PAで「作る時間が無かった」というあまり聞きたくない真実が明かされる。
    • 解読のために奔走した古文書の内容、本編では生死不明のままのフェードアウトするレオンの両親など、80以上あるEDの特定のものでしか回収されない伏線もある。特に古文書は本編のストーリーに関わった割には雑過ぎる扱いである。内容を知れば「なるほど」とも思えるが、肩透かし感、徒労感の方が大きいだろう。
      + ネタバレ
    • 古文書に書いてあったのは後半で語られるネーデに関する記述である。ボーマンのソロエンドは、この解読結果を聞かされたボーマンが既にネーデのことを知っており、解読していた学者が驚くという内容。つまり、古文書は思わせぶりに登場する割には、主人公達の冒険と仲間との出会いの切っ掛けに過ぎず、それ以上でもそれ以下でもない。この会話の中で「はるか昔に存在した楽園」という言葉が出てくるが、楽園を英訳すると『EDEN』で、ネーデのスペルは『NEDE』…つまりはそういう事である。
      • 寧ろ、解読を依頼した時点でネーデの断片的な情報を明かし、後の展開への伏線とした方が古文書の存在を活かせたのではないだろうか。
    • レオンの両親については彼のソロエンドで生存が判明するが、どうやって助かったのかなどの説明は全て放棄。そしてそれ以外のエンディングでは全く触れられない。
    • PSP版発売時に連載された漫画版『SOSE』でも問題視されたか、レオンの両親の去就は作中でちゃんと描き、古文書についてはネーデではなくアシュトンと出会う切っ掛けの双頭竜について書かれている設定に変更され、彼のエピソードに繋がるように作り変えられている。
    • これも中盤以降で目立つが、何か問題が起きても大抵は解決手段が都合よく用意されていたり、或いは大した苦労もせずに見つかったりする。それに伴う単調なおつかいイベントも多く、スケールの割にはシナリオそのものは平坦である。
      • エナジーネーデでは、そこの指導者であるナール市長が行き先や行動指針を手取り足取り指示してくれる上、必要な物も大抵用意してもらえるので、以降の展開はエンディングまでほとんどナールの指示に従うだけになる。主人公達で目的を見定めたり、問題の解決手段を模索するような事は皆無。
    • 序盤から匂わされていたレナの出生の秘密は終盤に明らかになるが、ストーリーと特に関係無い
      • 十賢者を倒す手段を求めて向かった場所(上述した紋章兵器研究所)がたまたまレナの出自に関わる場所だったという程度であり、幼少期のレナが神護の森に現れた事は本筋とは全くの別件である。秘密自体はかなり重大だが、本筋とどう繋がるのかと期待すると肩透かしを食らうかもしれない。
      • 上述のミロキニア関連と照らし合わせると少し踏み込んだ考察・解釈も可能になるが、上記した通りそもそも後付けで作中では一切語られないため本編だけではそれもできない。
      • ちなみに漫画版『SOSE』では紋章兵器研究所に行く理由自体が変わっており、レナの秘密もストーリーに絡めるように変更されている。
    • ディアスを巡るクロードとレナのやり取りにおいて違和感あり。
      • 特に武器大会のやり取りは、二人の主人公でプレイするとイラつきが補完されるというどうしようもない内容。さらに、セリーヌがパーティーにいると本当にどうしようもない事になってしまう*11
      • 実は武具大会以前に、セリーヌの故郷であるマーズ村でディアスと出会うイベントがあるのだが、クロードはそこでもディアスについていこうとするレナに怒りをあらわにするシーンがある。そして武具大会で上記のイベントが起こるので「またかよ…」と思ったプレイヤーは数知れずだろう。
      • ディアスの態度に非がない訳ではないが、誰が原因となっているかはいうまでもないだろう。余談だが、マーズ村でのクロードとレナの喧嘩のやり取りの中で使われた、レナ「ひどい!どうしてそんなこと言うの!」→クロード「レナのせいだろ」が、5chなどの一部でファンからネタ台詞として扱われるようになったとか。
  • 前作ファンには辛いイベント。
    + ネタバレ
    • 前作の仲間キャラであるロニキスが今回は主人公の父として登場するのだが、終盤、十賢者によって彼の宇宙戦艦カルナスが撃沈されてしまう。
      • それも何と戦っているのかすら理解できないままに沈むという絶望的なもの。ロニキスからは「謎の超高エネルギー体からいきなり砲撃が飛んできた」としか認識できなかった十賢者の攻撃だが、敵は地球の科学力を遥かに超えており、カルナス側の砲撃は全く効果が無い一方で、十賢者側からの砲撃は大幅に手加減したものを全力のシールドでボロボロになりながら防ぐのがやっとで、少し出力を上げられたらあっという間にシールドが削り切られてなすすべもなく沈んでしまう。
      • このイベントの前にロニキスがクロードの存在を感知して戦艦に回収するイベントがあり、当初は地球に帰るための手がかりとしてソーサリーグローブを調査していただけだったクロードが父親の監視から決別して仲間の元に帰る事を選ぶ…というストーリー上の重要な描写があるのだが、カルナスがその後撃沈される事は特にそれとは関係がなく、十賢者側の思惑としては「たまたまそこにいた無関係者を片手間で撃沈して見せる」という完全な見せしめである
    • 攻略本では「生死については敢えて曖昧にした」と語られているが、あの状況で助かったとはとても考えにくく、『3』公式サイトの年表でも「宇宙船カルナス消滅」とはっきり記されている*12
    • 前作ファンで特にロニキスに愛着を持っていたプレイヤーには辛過ぎる展開と言わざるを得えず、そのシーンのクロード以上に叫びたくなる事請け合いである。
    • 尚、漫画版『SOSE』では尺の都合なのか批判の声を反映したのかは不明だが、カルナスの撃沈シーン自体がバッサリカットされた。
  • 十賢者は重大な秘密を抱えているのだが、それが本編で明かされる事はなく、複雑なサブイベントを最後まで進めないと知る事はできない。
    • ストーリー上で語られる部分だけで言うと、かつて惑星ネーデは平和に銀河を統治していたが、十賢者はその科学力を悪用して宇宙の支配を目論んだ犯罪集団と語られるが…。
      + ネタバレ
    • しかし実態は逆であり、圧倒的な科学力を背景に銀河を武力で制圧・制服していたのが惑星ネーデであり、十賢者は反乱勢力の鎮圧目的で生み出した生体軍事兵器に過ぎなかった。しかし開発者であるランティス博士の娘が戦闘の巻き添えで命を落とし、更にはネーデ軍がプロジェクトを優先してその事をランティスに隠蔽した事により、真実を知ったランティスは怒りと絶望から全宇宙の破壊を望むようになる。そして十賢者のプログラムを書き換え、守護者から破壊者へと変貌させた。更にランティスは自身と亡き娘の思考ルーチン(疑似人格)をガブリエルへと組み込み、自ら十賢者のリーダーとなって宇宙の破壊に乗り出した。と言うのが真相である。
      そのため、ガブリエルには複数の人物の人格(ランティス/娘フィリア/オリジナルのガブリエル)があり、このせいで本来のスペックを発揮できず、同じ十賢者のルシフェルからは「バグだらけの欠陥品」と呼ばれている。
      • ちなみに4コマなどではガブリエルの人格はランティスとフィリアの2つとして扱われているが、実際はオリジナルのガブリエルの人格も依然として存在している*13
      • ネーデ人がエナジーネーデに移住したのも「自分達の発達し過ぎた科学力を恐れて外界との接触を断った」と語られるが、実際は十賢者との戦いで軍がほぼ壊滅した事で次々と起きた植民惑星の反乱から逃れるためである。移住計画はランティスが提唱したとも語られるが、彼が実際にやった事は前述の通り。
      • 従って、ネーデ到着時に主人公達がナールから聞かされた歴史は捏造だった事が判る。当時のネーデは「強制的ではなく、お互いが共存し合う理想に近い形で銀河を統治していた」と言う話だったが、ここまで読めば分かる通りこれも嘘である。
    • しかしこれだけの設定がありながら、本編のストーリーでは一切語られる事はない。そのため、メインのストーリーだけでは「平和を愛する超文明人の力を借りて、宇宙征服を企む悪の10人組を倒す」というだけの薄い内容で終わってしまう。本編に絡ませれば物語の深みが増した筈だが…。
      • そして当然、この偽りの歴史をいけしゃあしゃあと語ったナールについては最後まで追求も何も無い*14。また、彼のエンディングでの行動や言動も、それしか方法が無いとは言えかなり独善的であり、これらを知った後だと更なる悪印象を抱きかねない*15
      • 漫画版SOSEではこれら真実をストーリーに織り込んで本編を掘り下げており、ナールについてもかなりのフォローが入っている。
    • また、この設定を知らなければ分からなかったのだが、最初に倒すことになる3体の十賢者は、「近接戦闘兵器」「遠隔射撃兵器」「拠点防衛用特殊兵器」とガチの戦闘兵器であるのに、よくある「ククク…所詮あいつらは十賢者の中で最弱」という酷いちぐはぐ。正規の設定として情報収集用素体の2体や情報分析用より明らかに劣るというのはどういうことだろうか。
      • しかも、最初の3体は「人間どもがこそこそ何かやっているから見に来た」と言っているので、戦闘兵器3体が調査に出張ってきて、情報収集用個体が本拠地で防衛しているという状態になっている。
      • これに関しては、十賢者の一人ルシフェルの「自分以外の十賢者をクロード達に倒させ、自分の所までたどり着いた所で殺害。その後はガブリエルを自分自身の手で始末し全宇宙を征服する」という計画によるもので、一応の理由付けはされている。
      • なのだが、どう考えてもおかしい作戦を立てているのに誰も異議を唱えた形跡がない。また、当のルシフェルも戦闘時に何か策を練るわけでもなく真っ向勝負を仕掛けてくる。結局彼がしたことは戦力を分散しこちらを猛烈にアシストしただけだった
      • これに関して、ルシフェルの本来の役割(十賢者が暴走した際の抑止を担う監視用素体)を無意識に果たしたという解釈も存在するが、上記の様子を考えるとやや苦しい*16
    • 一応、後述の「真・ガブリエル」との戦いでは、戦闘前の会話がこの事を踏まえたものに変更される。しかし、その条件が上記の真実を知る事ではなくラスボスをパワーアップさせる事なので、色々と噛み合わない部分も。
    • 余談だが、上記の真実を知るイベントの最中に、選ばなかった方の主人公が前触れも無しに脅威の記憶力を発揮すると言うおかしなシーンがある。
      • 一度見ただけの映像で語られた長い数列を完璧に記憶していた、というもの。それまでの展開でそんなスキルを発揮する事も仄めかす描写も無い。そもそもクロード編ならレナ、レナ編ならクロードと、キャラ自体が変わるので「実は記憶力が優れたキャラだった」という言い訳も通用しない。
  • 前作にも言えたことだが、イベントの演出やキャラ設定の作り込みが(素人目にも見てわかる程)甘い。
    • 【イベント】例えば、ラクールで開催される、国を挙げての祭典・武具大会。
      • 国を挙げて盛大に行うのに、参加人数は(予選等は一切無しで)たったの8人。
        これに関しては国内に存在する武具屋が参加の主体であり、武具屋との契約が無ければ参加できないのだが、作中に契約を申し込める(断られる)武具屋は明らかに「何人も参加者を抱えている」旨の発言をするため、8人というのはやっぱり少ない。
      • 国を挙げて盛大に行うのに、観客席はガラガラ。
      • 国の武具屋が武具を貸すことでスポンサーになるシステムだが、大会参加者中(ゲーム内で確認できるだけでも)3人は武器を一切使用していない。
        うち2人はどう見てもモンスターである
      • ゲーム的な都合を考慮するとしても、もう少し設定とのすり合わせをして欲しかった所である。
    • 【キャラ】例えば、剣豪で知られているプレイヤーキャラ・ディアスは、実際の戦闘における間合いのとり方が超絶へたくそ
      • 通常攻撃のリーチが約3キャラ分あるのに、攻撃時にわざわざ敵に隣接するまで近づいてから抜刀するため、リーチの意味が無い。
      • さらに、その通常攻撃の抜刀もなぜかスピードが妙に遅いため、攻撃する前に殴られてひるむケースが少なくない。
      • ディアスは上記武具大会の優勝者であるが、彼に敗れたクロードはおろか大会に参加すらしていないアシュトンの方が通常攻撃の間合い・抜刀のスピードが遥かに優れているという有様。
      • ディアス自体は決して弱いわけではない。ディアスの必殺技は総じて使いやすく強力、かつ燃費のよいものが揃っているため、必殺技を中心に戦略を組み立てるコンセプトのキャラなのである*17
        また、隠しボスである『真・ガブリエル』との戦いでは、ディアスのある必殺技があると難易度が下がる。
      • しかし、序盤のイベントや上記大会時、相手として出現したときのインパクトが大きいためか、実際に加入してから使った際、その通常攻撃のヘタレさにガッカリすることも少なくない。*18
        現実世界の剣道においても相手との間合いは基本中の基本であり、前作の剣豪キャラであるアシュレイはそのあたりの性能が長けているキャラであったため、余計にディアスの弱点の違和感が浮き彫りになってしまう。
  • SOシリーズでも特に評価の高い本作だが、この通りシナリオは特別優れている訳ではなく、寧ろ粗や突っ込み所は多い方である。本作の世界観、ストーリー面での人気はキャラの魅力に助けられている部分が大きい。

システム関連

  • 新スキルの導入など進化した点も皆無ではないが、戦闘に関して前作で粗削りだった部分はほぼ手が入っていない。
    • 移動は奥行きがある疑似3Dであるのに対して、物理攻撃は真横にしか行えないため、敵が動いていると攻撃が当てづらかったり、横軸を合わせるためにいちいちキャラが移動したりと微妙にテンポが悪い。
    • 雑魚敵にはフィールドを高速で走り回るものがおり、そういった敵に物理攻撃キャラで挑むと無駄な追いかけっこをさせられた末、攻撃を振っても全然当たらず、結局高速移動を止めている間に追いついて攻撃することでようやく倒せる…という煩わしい事態が頻繁に発生する。
      • 紋章術による攻撃は必中となっており、詠唱の短いサンダーボルトやレイで止めて攻撃するのが想定された戦術と思われる。それでも他の術の使用を禁止するか手動で操作キャラを変えて使用するかしかできず、スムーズには操作できない。ショートカットキーがあれば操作性と戦術を両立できたかもしれない。
    • 本作でバトルフィールドが広くなったこともこれらの問題を後押ししている。
  • ストーリーの随所に「絶対に倒せないボスとの戦闘」があるのだが、負けイベントか否かの判断ができない。
    • 例えば、1回目のシン戦は負けイベントではなく、ダメージを与えられない状況下で1分耐えなければならない。負けるとゲームオーバー
      • 一方で、その後に戦う2回目のシン戦は負けイベントである。ゲームオーバーにならないとストーリーが進まない。
      • そしてディスク1最後の戦闘であるメタトロン戦。こちらは再び1分間耐久逃走戦闘であり、負けるとゲームオーバー
    • このような具合であり、負けイベントだと思って迂闊に負けるとゲームオーバーになり、後述する長ったるいイベントを見せられる羽目になる。
  • イベントの台詞表示に癖があり、妙なウェイトが挟まる事が多い。
    • 特に目につくのが「!」「?」「…」といったキャラの頭上に出るアイコン。会話イベントではこれがちくいち挿入されるせいでテンポが大変悪い。
    • 台詞の表示も同じく。普通の台詞はメッセージスピードを上げる事で対応できるが、何故か(上記のアイコンとは別の)「…」の表示だけは妙に遅い。そして台詞間のウェイトは変わらず。
    • イベント自体も長く、メインストーリー最短クリアまでのチャートを知っていても、メインストーリークリアに辿り着くまでのプレイ時間の3分の1はイベントに費やされる。
    • 十賢者をはじめとしたボス戦突入前のイベントも例外なくテンポが悪い上にボス自体も強いものが多く、敗北すればセーブした所からやり直しになるのでボス戦で敗北するたびに長くテンポの悪いイベントを毎回見なければならなくなる。
    • この台詞表示の癖のせいで、OPイベントがべらぼうに長く、特にレナ編では初戦闘までに凡そ20~30分以上は掛かる。
    • イベントが面白ければまだ救いはあったが、前述したようにストーリーの完成度自体が低めで、会話イベントも面白みの薄いものが多い。
    • イベント中には1時間近くもセーブできないものもあるため、2周目以降はイベントを見るのが苦痛になる事も。連射パッドを準備すればイベントを進めながら他の事をやれるので、後述のリマスター版を含め今からやるなら購入を考えるのも手かもしれない。
  • コレクション要素であり、一定数以上集める事でおまけ要素が解禁される「ボイスコレクション」が色々と不便。
    • 「ボイスコレクション」はシステムデータといったセーブデータとは別に保存される形式ではなく、メモリーカード内の各セーブデータで聞いた事のあるボイスを対象にする形となっている。ラスボス撃破後にセーブができない関係でラスボス自体のボイスコレクションは対象外となっている。
    • 上記の仕様のせいで、セーブデータを削除するとそのデータで集めたボイスコレクションデータも削除されてしまう。
    • さらに「ボイスコレクション」の達成度に応じたオマケ要素もあるので達成度維持のためにセーブデータを残す必要があり、メモリーカードのデータを圧迫してしまう。
      • ボイス自体も、隠しパラメータに影響する物、戦闘内容に関する物、100回に1回という低確率でしか発生しない術詠唱等と多岐に渡る。戦闘で敗北してもゲームオーバーにならない闘技場でわざと敗北する*19、特定の中ボスが低確率のボイスを言うまで何回もやり直すといった工夫が必要な場合も…。
    • ボイスコレクションの中には、そのキャラがどうやっても習得する事ができない術のボイスや、ストーリー展開や内部数値の関係でどうやっても条件を満たせないキャラ間のボイス、といったゲーム中で絶対に発声されない没ボイスが含まれており、バグを利用しない限り100%を達成する事が出来ない。
      • ただし、上記の通り最後の隠し要素出現条件は「ボイスコレクション95%」であり、バグなしでもこれを満たすことは可能。
  • この時代のRPGとしては珍しく、フィールドやダンジョンのBGMが流れている時にエンカウントでBGMが途切れ、戦闘後にBGMが戻った際、途切れた部分からではなく最初から再生されてしまう。ランダムエンカウント仕様と相まって、BGMの全貌を知らない人も多い。
    • エクスペルのフィールドBGMなどは実はものすごく長い曲なのだが、戦闘に入るとBGMが最初に戻ってしまうため、多くのプレイヤーは最初の部分しか印象に残っていないと思われる。BGMの序盤以降を生かせていないのが残念。
  • 戦闘中に「逃走」コマンドを選ぶと、その戦闘中は全てのキャラクターに一切の行動の指示を行えなくなる。キャンセルも不可。
    • その場で逃走体勢に入るのだが、システム的には一歩も動けなくなり、逃げ切るまで敵の攻撃を一方的に受け続ける事になる。「逃走」を選択出来ないボス戦での影響は無いが、強力なザコ敵相手だとなかなか逃げられず全滅することもある。これは1から4まで共通する仕様である。
    • そのため、逃走したい場合はあらかじめICで「韋駄天*20」というアイテムを用意しておく必要がある。
  • 戦闘中にアイテムを使った場合、アイテムを使用する演出が終わってからはじめてアイテムの効果が発動する仕様になっている。
    • どこが問題なのかというと、一例として、戦闘不能を回復するリザレクトボトルは使用してから3~4秒後くらいにキャラが復活するのだが、そのキャラが復活する前に敵の全体魔法などで他のキャラが全員戦闘不能になったりするとその時点で全滅判定になり、リザレクトボトルで復活したキャラが棒立ちしたまま「全滅した…」とメッセージが表示されるという、ある意味シュールな光景になる。
  • ICのアニメーション時間がかなり長い。1やリメイク版1、2と比べると一目瞭然。
    • その代わり3Dモデルのモーフィングで何が出来るかの判別が出来る。

バグ

この時代のトライエースの代名詞と言っても過言ではない数々のバグが数多く存在する。

  • スキル「ピックポケット」で盗めるアイテムと宝箱から入手できるアイテムは最大数が連動しており、「ピックポケット」でアイテムを盗みすぎると未開封の宝箱の中身が消滅してしまう事がある。
  • ディアスはレナ編で何度か一時加入をし、最終的には選択肢次第で正式加入するのだが、一時加入の間にも彼のスキルレベルを上げる事ができる。普通に考えれば一時加入していた時のステータスのまま再加入するのだが、なんと上げたスキルレベルはそのままで、スキルによって上がったステータスだけ初期化されるという致命的なバグがある。
    スキルの中にはステータス上昇効果が大きく優先して鍛えられるものもあるが、スキルを全く上げていない弱さなのに、それ以上スキルを上げる事ができない状態に陥るという事。よって正式加入までは「根性」「電波」などの、ステータスアップと無関係のスキルを上げるのが鉄板とされる。
    • また、武具大会で手に入れた武器「シャープネス」はなぜか持っていないので入手することができない。クロード編ではクロード自身が武具大会用に貰った「シャープエッジ」が手に入る*21ので、レナ編でも当然武具大会で使った武器が手に入るものと期待されるのだが、何も手に入らないことになる。
    • これはディアスが一時加入を得て正式加入をするため、内部データの食い違いでパラメータが初期化されるために起こるバグである。ディアスは初期装備がフレイムブレードで、武具大会でシャープネス装備になるものの、正式加入時には初期化されてしまって武器がフレイムブレードに戻り、シャープネスを持っていない事になってしまうのだ。
      • PSP版では修正されており、シャープネスも入手可能。ただし後述しているが別の初期化バグも存在しているのが厄介。
  • ●スキル「音楽」で演奏可能な楽曲の1つ「ヒーロー登場」を用いたデータ移行バグ(通称:音楽ロード)。イベントを再度見たり、アイテムを再度入手できたり、試練の遺跡の2人だけで挑む状態を利用して本来なら組めない組み合わせのPT(アシュトンとオペラなど)を組む、などといった大きなメリットがあるものの、手順を間違えると高確率でフリーズする。この裏技を行う場合、データはDisc2以降に達したものでないと不可である、音楽を行うキャラクターに音楽のタレントが必須であるなど条件も多い。
  • ●一部のボイスがゲーム中で発声してもボイスコレクションに登録されない。
  • ●アイテムクリエイション「アート」で作れるアイテム「絵画『叫び』」「絵画『最後の審判』」を用いた必殺技変更バグ。
  • ●武器攻撃に一定確率での即死効果を付加するアイテム「メルティローション」「バブルローション」「ビターローション」「ナチュラルハイ*22」が、一部*23を除く全ての敵に効いてしまう。多段攻撃と組み合わせれば瞬殺可能。素材の入手も作成難易度も低いため、量産も容易。
    • ただし真ボスや隠しボスは凄まじい強さを誇るため、どうしても勝てない場合の保険として容認される事もあり、修正版を知らない人の中には「救済措置・仕様」と勘違いする人もいる。
    • また前述のイベントの長さ・テンポの悪さから2周目以降や別のカップルエンドを見るための時間短縮に利用される事もある。
  • ●最高難易度「ユニバース」では一部のボスのMPがオーバーフローを起こして負の値になり、術を使えなくなる。
  • クロードの特技「兜割」等一部のキャラの一部の技*24を使うと、極稀に画面外まで跳び上がってそのまま降りてこなくなる事がある。
  • その他、あらゆる状況下で多発するフリーズ。
    • 特に戦闘終了後にボタン連打しすぎるとフリーズしやすい。セーブ不可の隠しダンジョン「試練の遺跡」の最大の試練はフリーズである。
  • なお、●印が付いたバグは、後期出荷版の修正版ROMでは発生しない。
    • 初期版か修正版かは、パッケージ裏面右下隅の「複製、レンタル及び中古販売は一切許可しておりません」の記述の有無。あるものは修正版だと思ってよい。
    • また、修正版ではICのアニメーションを○ボタンで早送り可能になっており、こちらでも見分けられる。

その他

  • キャラクターイラストとゲーム内のドットグラフィックに著しい違いがある。
    • クロードやレナ、セリーヌ等は比較的イラストに忠実なドットグラフィックなのだが、アシュトンやオペラは一目見て違和感を覚えるほどに違う。
      • 特にオペラはイラストではウェーブのかかった髪なのに、ドット絵ではストレートヘアーになっている上、イラストでは頭にかぶり物はしていないのに、ドット絵では頭に謎の飾り(?)がついている。
    • ボーマンは町医者という立場通り白衣姿が印象的なキャラだが、ドット絵では白衣を着ておらず、更には後ろ髪も結ってある
    • プリシスはイラストでは茶髪と紺色の服だが、ドット絵ではオレンジ髪とピンク色の服*25であり、イラストには無いリボンを髪に巻いている
    • 殊更に酷いのがノエルで、イラストどころか人種までが違う。イラストはネーディアン*26なのに、ドットグラフィックは思いっきりフェルプール*27である。更にはエルネストがいる場合、そのことを触れるプライベートアクションまである。
  • なぜかチサトのみ、好物である「フルーツサンド」をゲーム内で入手する事ができない。
    • 内部データではフルーツサンドが存在し、好物として設定自体はされているので、肝心のアイテムの入手方法を設定し忘れたと思われる。幻の三味線に続いて幻のフルーツサンドになってしまった。
    • PSP版ではICからフルーツサンドを作成可能になった。
  • 一部、入手難易度が異常に高いアイテムがある。
    • 代表例はオペラの必殺技の一つ「ハイパーランチャー」を習得するための「グリーンシステム」で、これだけはアイテムや武器を作るスキル「マシーナリー」を数百回やって1個できるかできないかの超低確率である。
    • ちなみにプリシスにもマシーナリーでないと習得不可能な必殺技が存在するが、こちらはオペラほどの超低確率ではない。
  • PAのキャラの組み合わせに偏りがあり、狙ったエンディングを見るには出版物や特定ボスなどを使った感情度操作が必須。
    • PA自体は豊富だし、キャラの多さから全員分カバーするのは難しいので仕方ない点ではある。
    • しかし、仲間の中でディアスにはPAが一切無い。エンディングを狙いにくいのに加え、(本編にそれなりに出番があるとは言え)他のキャラに比べると感情移入もしにくい。
    • また、感情度はマスクデータなのでゲーム中は一切確認出来ず、出版物の効果やどの戦闘が感情度が上がるのかなども攻略本や攻略サイトを参照しないと分からない。
  • ほとんどの技や術と比べて(星が出る装備とヒット回数を増やす装備の組み合わせによる)通常攻撃が圧倒的に強く、それ故に(特に最終盤は)戦闘が単調になりがち。
    • 中盤~終盤で習得できる技や術が決して弱いわけではないが、1回のダメージの上限が9999なので、複数回ヒットする攻撃方法が結果的にダメージ効率(特に1体で出現する敵に対しては)がよくなってしまう。
    • 戦士系8人の内クロード、アシュトン、オペラ、ディアスは通常攻撃が最高火力。クロードとアシュトンは高い攻撃力かつ瀕死時に攻撃力3倍になる武器と判定増加と星が出るアクセサリーで、一回の攻撃で14万ものダメージを与える*28。とくにアシュトンは秒間28万ダメージを与える最強キャラとされる。なおディアスも同じ武器を装備できるが、アクセサリーの判定増加が発生しないバグがあり、攻撃力がガタ落ちする判定増加武器を使う羽目になる。
      • 残りの4人の内エルネストとプリシスは理論上は通常攻撃が最強だが、音楽と呪紋とアイテムとスキルとクリティカルと怒りで攻撃を13.5倍にする必要があり、準備に時間がかかりスキルとクリティカルと10秒間しか持続しない怒りの発動を願うしかないうえに通常攻撃性能自体がほかのキャラの方が優れていて、火力とサポートを併せ持つ技を持つので火力狙いで通常攻撃を選ぶ必要性はない。ボーマンとチサトは通常攻撃よりも動作が短くて多段ヒットする技があるので、通常攻撃が最強になることはない。またチサトはアクセサリーで星が出ないバグがある。
      • クロード、オペラ、ディアスの必殺技は通常攻撃にはない射程の長さや広範囲といった優秀な技が多く、通常攻撃一辺倒になるのは使い勝手の悪い技が多くて火力が最強のアシュトンのみといえる。
      • ただし、難しいが序盤でクロードの星が出る武器が入手でき、発見しにくいが判定が1と2増加するアクセサリーを中盤と終盤に入手でき、星が出るアクセサリーを隠しダンジョン制覇後の宝箱及び制覇後に戦える敵が落として無限に入手できるため、それらのインパクトが非常に強いのも事実である。
    • さらに中盤以降で覚える攻撃術の演出が長い上にカット不可。「メテオスォーム」に至っては約30秒近くもあり、当然ながら術使用中は時間が止まる仕様なのでテンポが損なわれる。
    • 中盤以降術士は強力な攻撃術を使うより、序盤から使える低威力だが詠唱時間も演出も短い攻撃術で敵の行動を妨害するといった戦法の方が有効になる。
  • 強化版ラスボスこと真・ガブリエルの出現条件はクリア前に満たす事も可能であり、下手をすればクリア不能にもなりかねない。
    • 「序盤の僅かな期間内に特定の町でPAを発生」という見逃すとフラグ立てが不可能になる条件があり、事前情報無しではこれに気づかず辿りつけない人もいた。しかし、新しい町へ行けばとりあえずPAを行うプレイヤーも多く、その期間内に色々探索している内に知らずに条件を満たしていたプレイヤーもいた。
      • そして、この条件を満たしていると、残り二つの条件「ラストダンジョン最後のセーブポイントでセーブ」「一旦引き返し特定の町でPAを発生」を「ラスボスに勝てないから」と一旦町へ戻る際に満たしてしまう事があり、ラスボスに勝てないから戻ったのに、ラスボスが更に強くなったという事態に陥ったプレイヤーもいた。
    • 一応、この条件を満たす段階で隠しダンジョンに挑戦可能になっているため、そちらで鍛えてから挑む事も可能になっているが、それでも相当な強さである。
      • 加えて、隠しダンジョンへの行き方も「ラストダンジョン最後のセーブポイントでセーブ」した後で「特定の町にいる特定のNPCに話し掛ける」事である。ゲーム中でダンジョンの存在について説明やヒントの類も出されないので、解禁された事自体に気づきにくいという問題点もある。
  • 前作同様、「スタートレック」シリーズからの引用が随所に見受けられ、今作に至ってはタイトルロゴのフォント自体が「新スタートレック」と同一である。オマージュと呼ぶには少々無理がある。

総評

前作で好評だった要素を大幅に進化させ、やり込み要素もボリュームも飛躍的に増加。
更に魅力的なキャラクター達は好評を博し、後に多彩なメディアミックスが展開された事からも人気ぶりが窺える。
ストーリーは完成度が高いとは言えないが、シナリオ面が曲者揃いの本シリーズの中では無難な内容なので特別批判されている訳でもない。
総合的に見てもバグや細かい粗こそあれどシリーズ他作品のような致命的な欠点は見当たらず、大小の欠点を補って有り余る数々の魅力でカバーしており、出来そのものも安定している。
結果、シリーズの方向性を決定付け、スターオーシャンとトライエースの名を広く知らしめた出世作となった。

以降のSOシリーズ作品はゲームとしては進化しつつも、同時に長所を打ち消すほどの重大な欠点を抱えている場合が多く、シリーズファンの間では総合的な完成度が高い本作を最高傑作とする声が今も尚多い。


その後の展開

  • 多彩なメディアミックスと前述したが、その関連グッズ量は前作の20倍近い
    • 後にGBCで続編『スターオーシャン ブルースフィア』が発売。更にコミカライズ・ノベライズ・ドラマCD・アニメなど満遍なく展開された。
    • 4コマ漫画にいたっては20巻近くも出版された。上記の十賢者のネタも非常に多く、ゲームではほとんど明かされない彼らの私生活などを描いたネタに人気が出た。また、あまりの作数に、作家さんが全員ネタ切れ状態に陥ったという噂も。
    • 特に「月刊少年ガンガン」で連載されていた漫画版(著・東まゆみ)はオリジナル展開が多いが人気が高く、後に『スターオーシャンEX』のタイトルでアニメ化された。また、東氏は上記にもある『ブルースフィア』のキャラデザインを担当している。ただし漫画自体は大人の事情*29もあってゲームにおけるディスク1が終了する直前で終わってしまっている。
    • アニメも漫画より少し進んだ所で終了。上述のように複雑な権利の問題が絡んでいる為なのか、残念ながらdアニメストアなどのサブスクリクションサービスでは配信されておらず、今から視聴したければ入手困難だがDVDを探すしかない。
  • 2023年11月2日にリメイク版の「スターオーシャン セカンドストーリーR」が発売された。
    • キャラクターのドット以外全てが作り直されており、リアルな3D世界の中にドット絵のキャラクターが存在する「3D×2Dリメイク」とのこと。
      • 宝箱の配置やマップの地形も変化しており、シンボルエンカウントに変更されている。
    • 戦闘システムも「プログラムをゼロから作り直した」と豪語するほど改変されているとのこと。敵のブレイクや控えメンバーのアシストの導入など、PSP版をある程度踏襲しつつ全く新しいバトルになっている。
    • 声優はキャラクター毎にPS版とPSP版を選択できる。PS版の声優はすべて新規収録。
      • BGMも桜庭統氏によってフルアレンジされており、こちらも原曲とアレンジ版を選択できるようだ。

余談

  • 説明書に「PAでシナリオが変化する」とかなり大きめに書かれているが、メインシナリオ自体は一本道である。
    • 確かにPAやサブイベントで本筋から外れたダンジョン探索やサブエピソードが発生する事はあるが、本編の展開が大きく分岐する事はない。
    • 事実と異なると判断されたのか、PSP版ではこの記述は無くなっている。
  • 中古ソフト販売裁判の判例として名を知られることも多い。
  • 公式から攻略本が上下巻で発売されているが、間違っている箇所が多い。
    • スーパー特技の「開眼」の効果が「セットしておくと戦闘中に技を閃く」と大嘘を書かれていたり*30、本来なら好感度のさがる選択肢なのに好感度がアップするように紹介されていたり*31、アイテム「フィルアップ」の効果が「特定のアイテムの個数を満タンにする」と書かれていたり*32、オススメパーティの一例で同時に仲間にできないはずのアシュトンとエルネストがパーティを組んでいたり、等。
    • 後にファミ通から出た本作の攻略本には誤植や間違いはほとんどなく、それどころかゲーム内では表示されない友情度や愛情度などといったマスクデータにまで言及しており、ファイナルガイドと銘打つにふさわしい一冊となっている。
  • 初期はSF要素が薄かったシリーズだが、本作の場合は特に顕著である。
    • 宇宙船は戦艦カルナスしか登場せず、それに乗るのもクロード編で強制転送されるほんの一時のみであり、宇宙船で惑星間を移動するシーンは無い。エクスペル、エナジーネーデ間の移動も転移魔法のようなもので行われる。
    • エナジーネーデも銀河連邦を遥かに上回る超文明ながら、歴史的な理由で見た目からしてSFチックな場所は少なく*33、ラストダンジョンぐらいしかメカメカしいロケーションは無い。
    • 銀河連邦も本筋には全くと言っていいほど関わらず、ストーリーは未開惑星エクスペルと超文明空間エナジーネーデだけで完結するため、シリーズでも特にスペースオペラ色が薄い内容となっている。


スターオーシャン2 セカンドエボリューション

【すたーおーしゃん せかんどえぼりゅーしょん】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 プレイステーション・ポータブル
メディア UMD 1枚
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 トーセ
発売日 2008年4月2日
定価 5,040円(税込)
プレイ人数 1人
セーブデータ 216KB使用
レーティング CERO:A(全年齢対象)
廉価版 アルティメットヒッツ:2009年12月3日/2,800円
判定 良作

概要(PSP版)

2008年にPSPで発売されたリメイク版。開発はトライエースではなく、トーセと共同でスクウェア・エニックス自ら担当。


変更点(PSP版)

  • キャラクターの立ち絵、声優が一新された(一部例外あり。詳細は後述)。
  • イベントシーン、及び一部を除く全プライベートアクションがフルボイス化。
  • PSP版『1』と同じく、新仲間キャラとして『3』以降のシリーズ常連となった「ウェルチ=ビンヤード」が追加された。
    • 余談だがウェルチの声優である半場友恵氏は、アニメ版でのプリシスを担当している。
  • 一部イベントシーンにアニメーションを追加。原作で3Dムービーだった部分がアニメ化されている場合も。
  • OPは前作と同じく主題歌付きのアニメーションとなっている。歌はSCANDALの『START』。また、OPアニメも2種類用意されている。
    • EDのCGムービーは無くなり、『START』とタイトルロゴをバックにスタッフロールが流れるようになっている。
  • 物理攻撃の仕様変更
    • 前衛キャラの通常攻撃がボタン連打で最大3回まで連続攻撃できるようになった
    • キャンセルのスキルが廃止、それに伴いいつでも通常攻撃から必殺技へキャンセルできるように
    • フロートと強打のスキルが廃止、通常操作に内包された
    • 兜割などの跳躍技で行うジャンプが軒並み低くなり、飛び上がって降りてこなくなる心配が無くなった。
  • PS版では10種類と多かった属性が6種類に減少、それに伴い一部の呪紋・装備品の特殊攻撃・敵の攻撃の属性が変更され、武器の防御属性の削除と一部の防具とアクセサリーの耐性が変更された。
  • 紋章術の仕様変更
    • 干渉システムが廃止
    • 一部の紋章術が『3』仕様に名称変更(ディスペル→キュアコンディション、アンチ→リフレクション、アースクエイク→ロックレイン)。元のリフレクションが削除された。
    • セリーヌが名称変更によりPS版でのリフレクションを、ノエルがソニックセイバーを覚えない
    • セリーヌがフォーゲットを覚えない(=フォーゲットの削除)
    • 術士用スキルの集中・トランス・リキャストが追加、早口は常時発動に変更(詠唱スピードはスキルレベルに依存)
  • トロッコや落石といった戦闘中のギミックが削除された。
  • 「マジックロック」などの一部アイテムが削除された。
  • バックアタックやレイドアタックなどの急襲時には全員がピヨり状態で戦闘が始まるようになった。
    • これにより、気絶耐性がある装備を使わないとレイドアタックで上空から現れる敵に跳躍技を仕掛ける事も不可能になった。

評価点(PSP版)

  • PS版の長所のほとんどは据え置きである。

PA、エンディングの追加

  • PS版にはなかったディアスのPAが追加された。
    • PS版では叶わなかったクロードとディアスの再戦を描くPAもあり、更なる掘り下げが行われている。
  • 全体的にディアスと追加キャラのウェルチ関連が多いが、それ以外のキャラも幾つか新規PAはある。
    • 『SOBS』でEDのペアだったレオンとセリーヌのイベントなど、意外な組み合わせや思い掛けない発見がある事も。
      • 『SOBS』のセリーヌは本編で王子と結ばれた設定を採用していたため、あちらのEDではレオンとはあくまで軽口を叩き合う程度の仲だったが今回は…?
  • クリアデータで行く事ができる仮想エクスペル(バーチャルで再現されたエクスペル)では、PS版では隠しダンジョン以外に追加要素が無かったが、今回は新たなPAが用意されている。
    • また、細かい所だが仮想エクスペルでPAを行うと、集合時にエナジーネーデへの戻り方を確認する台詞が出るようになった。
  • 終盤にはパーティーメンバー全員の感情度が上昇するPAが追加されており、出版物とラスボス戦*34を併用すれば狙ったエンディングを迎える事が容易になった。
  • ウェルチの参戦に伴い、彼女と全員分の組み合わせのEDが追加された。それによってED数はとうとう90を超えた

PS版からの改善点

  • 前述した攻撃術の演出が軒並み短くなったorスピードアップしている点は好評。長くても10秒以下で終わる。
  • アイテムクリエーションのアニメーション時間がかなり短く+あっさりになった。オーケストラ中のアイテムクリエーションがやりやすくなったといえる。
    • ○ボタンを押しっぱなしにしていると更にスピードアップする。
  • 各種ローション系がボスに有効・音楽ロード・ディアスが正式加入時に初期化されてしまう…などの目立ったバグの一部は修正され、フリーズがほとんど起こらなくなった。ただしディアスに関しては後述のバグがある。
  • UMD一枚にまとめられたため、ディスク交換の手間が無くなった。
  • ラストダンジョンの最終セーブポイントでセーブするとセーブデータのサムネイルが派手なものに変化する。
    • PS版でも変化はあったが、PSのブラウザ画面でしか確認できないし、あまり大きな変化でもなかった。今作ではクリアデータである事が分かり易くなっている。

問題点(PSP版)

PS版ファンにとっての不満点

  • 絵柄、担当声優の変更。
    • 変更する際の宿命としてまず間違いなく生じる問題だが、PS版に慣れ親しんだプレイヤーからは不満意見が多い。
    • 絵柄はPS版に比べてアニメチックな全体的に丸くもっさりしたタッチになり、賛否両論となっている。
      • ヒロインのレナにいたっては大きくイメージが変わっており、魔術師風のイメージの旧レナ、村娘風のイメージの新レナとして区別され、子供っぽい丸顔からの見た目から「まんじゅう」なるあだ名までついた。
        旧レナの服装は見方によってはPS版発売当時に流行ったルーズソックスの女子高生にも見える独特のデザインであり、10年も経った時期にそのまま用いるのは厳しかったのかもしれない。そもそも、東まゆみ版の漫画やアニメの時点でも大きく変更されていた。また、設定的には新レナの村娘風の服の方が一応合ってはいる。
      • また、着色も子供向けを意識したのか非常に単調で薄っぺらい。リメイク前の書き込みが濃かった分、単調な色遣いが受け入れられずフリーソフトの塗りつぶしで着色したレベルとまで言われたことも。
      • なお、ゲーム内で視聴できるOPアニメのうちの1つは、上述した丸くもっさりしたタッチとは異なりどちらかといえば旧デザインに近いキリっとした絵柄となっている。*35
    • PS版をやり込んだ人ほどPS版の声のイメージが強く、声優の一新はやはり批判の種となった。また、アニメ版スターオーシャンEXに登場しているキャラとも声優が違う(ただしアニメ版のプリシスの声優は、本作のウェルチ役を務めている)。
      • もっとも、新キャストも有名声優揃いであり、キャラのイメージには合った声質なため、新規プレイヤーにとっては問題ない。また、レオンとセリーヌ、ボーマンとディアスなど、PS版では一人の声優が複数キャラを兼任している場合があったため、同じような声質のキャラが同時に仲間になる事例もあったが、今回は全員個別の声優が付いたので差別化が出来ている。
  • PS版では装備箇所が「盾」となっていた「スターガード」が、なぜかPSP版ではアクセサリーになっている。
    • スターガードは性能が高く、一部キャラには最強の盾装備といってもいい性能だったため、一種の下方修正と思われるが、この変更には不満が多い。
  • 負けイベントの敵キャラは、PSの初回版では対策次第で撃破が可能だったが、PSP版では非常に難しい、或いは不可能になった。
    • ダメージを与えても体力が一瞬で回復するようになっており、倒すためには一撃でHP以上のダメージを与えないといけない。そのため、敵のHPが10000を超える場合、実質イベント戦闘で倒す事が不可能になった(一回の最大ダメージは9999)。
    • 但し、倒したからと言って特典は何も無いし、ストーリー展開が変わる事もない。もともと自己満足のやりこみ要素である。そもそもこれらのイベントは勝ってはいけない戦闘なので、勝てないようにすること自体は調整としては妥当であり、仕方のない事と言える。
      • しかしPS初回版でそれらを打ち倒す事にやり込みを見出していたプレイヤーが残念に思うのも、また人情というものである。
      • なおPS版でも後期出荷版は負けイベントの敵キャラを倒すことが不可能になっている。
  • ボイスコレクションの変更
    • ゲームクリアまでに聞いたことのあるセリフが開放されるのだが、PSPリメイク版では、クリアすれば敵キャラとパーティインしている全キャラ分が解放されてしまうため、やり込む楽しさが減ってしまった。
    • 手軽になったとも言えるが、このゲームはプレイの度に主人公の選択や仲間の選択を楽しむゲームでもある。故にやり込み要素が再プレイのモチベーションでもあったため、PS版経験者からのボイスコレクションの仕様変更は不評である。更に戦闘のボイスや掛け合いも少なくなっているため、この部分も批判されやすい。
    • 上記の変更に伴い、ミュージックモード(俗に言うサウンドテストのこと)が廃止。
  • 『3』から搭載されるようになったイベントカット機能は残念ながら搭載されなかった。
    • ムービーゲーではないPS時代のRPGで必要なのかと思うかもしれないが、オリジナル版の記事に記したように本作のイベントは長いものが多いため、内容を知っているプレイヤーや、2周目以降のプレイヤーにとっては屈極まりないものが多いのである。PS版経験者の誰もがリメイクで望んでいたであろう要素の一つ。
    • 今作はフルボイス化で余計にイベント時間が長いので、搭載して欲しかったという声は強い。
      • 更にデフォルト設定ではボイスの再生が終わるまでメッセージ送りが出来ないと言う傍迷惑な仕様になっている。オプションで変更可能とは言え、操作可能になるまではこの仕様を強制される。
  • ラスボス・ガブリエルは第二形態になると天使の姿をしたフィリアが降臨し、以降はガブリエルとフィリアの声が重なって聞こえるようになると言う演出があった。
    • しかしPSP版では何故かフィリアの声が無くなり、第一形態同様にガブリエルの声のみになってしまっている。せっかくフィリアにも個別の声優が付いたのだが…*36
  • 既存キャラのEDで唯一ディアスとチサトのカップルEDのみ内容が変更されている。
    • このEDは『SOBS』でも意識されていたものであり、気に入っていたプレイヤーは決して少なくない。

作品単体の問題点

  • 新規イラストとドット絵の差が激しい。
    • 元々のPS版からしてキャラクターイラストとドット絵でかなりの違いがあったのだが、アニメ調の新規イラストは人によってはPS版よりも違和感があるという声も。今回はイベントで立ち絵が表示される分、その違和感が浮き彫りになってしまっている。
  • 上述どおりバグの多くは修正されたのだが、修正しきれなかったバグや新たなバグも若干出てしまった。
    • ノースシティのPA中に愛の場に飛ばされるバグがそのまま残ってしまった。
    • レナ編のみ、ウェルチ加入後にディアスを8人目の仲間にすると高確率でウェルチのステータスが初期化されてしまう重大なバグがある。ディアスが加入するまでに彼女を育てまくると泣きをみる。
    • また、ディアスは通常ならきちんとシャープネスを所持した状態で仲間になるが、ディアスを8人目に加入させるとPS版のようにディアスの装備が初期化されてしまう重大なバグがある*37
    • クロード編でもレオンが初期化されたという報告がある。バグについては有志によって様々な報告があり、回避方法もあらかた判明したが*38、バグが起こる明確な原因などは未だに不明であり、確定したわけではない。
  • PSP版『1』がドット絵・キャラクターイラスト・システムなどを一新したリメイク作品だったのに対し、今回は一部バグなどの修正、ワールドマップのグラフィック書き直しなどが行われているが移植作品に近い。そのため『1』に比べるとドットが粗い。
    • 特技のオラクルで開発者メッセージを聞けるのだが、PSP版『1』では「本作はリメイク作」と言うが、本作では「本作は移植作」と言う。最初からリメイクのつもりではなかったようだ。
  • 追加キャラのウェルチがPSP版『1』の使い回し。
    • 追加キャラではあるがただPSP版『1』のデータを持ってきただけ。PS版にはいなかったキャラであり、特に脈絡もなく仲間になるのだが、その分他キャラと絡むプライベートアクションが多く用意されている。
    • しかし取って付けた印象が強く、1人だけ存在が浮いている。ストーリー中も他の仲間のように口を挟む事が無く、本当にただ居るだけである。SO3DCのアドレー、ミラージュと同じような扱いである。
    • 戦闘用のキャラとしては個性的な技は多いが、下位に位置する性能といわざるをえない。
      • ただしステータス画面のグラフィックは新規に書き下ろされており、好みにもよるが、PSP版『1』より可愛くなったという意見が多い。
  • バーニィのグラフィックがPSP版『1』の使いまわし。人によって「気にならない」とする者「違和感がある」とするものがいる。
  • 一部キャラの必殺技の読み方が違っている。特にチサトの「奥義!旋風(つむじかぜ)!」が、PSP版では「奥義! 旋風(せんぷう) !」になってしまっている。確かに漢字は一緒だが…。
    • クロードの「鏡面刹(きょうめんさつ)」が「鏡面刹(きょうめんせつ)」になったため、一部ファンから 「今日面接」 などとネタにされた。
  • ゲームクリア後とは言え、クロードなどは攻撃力1900や3000の武器を装備できるが、一部仲間キャラの最強武器は攻撃力1000弱で止まってしまう、という火力差についても修正されずそのままとなっている。
  • PS版では通常攻撃が優秀なキャラは必殺技にクセがあり、逆に通常攻撃がイマイチなキャラは必殺技の使い勝手が良い、などといった個性付けがなされていた。今作ではエルネスト以外はPS番で通常攻撃前の隙が小さいキャラは大きく、大きいキャラは小さくなった。さらに全キャラに攻撃後の隙が出来た。そして三段攻撃すると前進して、敵と近過ぎることによるキャラの無防備な飛び退きが発生し、三段攻撃自体がPS番の通常攻撃連発より隙が大きい。そのため大半のキャラの通常攻撃が弱体化し、個性が薄れた。
    • 元々前動作が長かったので短縮されたプリシス、ディアス、チサトしか強化されていない。とくにアシュトンは必殺技の強化よりも通常攻撃の弱化が痛手で、最強キャラから一転して(ウェルチよりはまだ強いとされるが)最弱キャラと呼ばれることも。
    • プリシスに火力でもサポートでも通常攻撃をさせる意義は希薄で、チサトは星が出ないバグが修正されても技の方が強い。判定増加バグが修正されたディアスしか仕様変更で得していない。しかも星が出ると二段目はまず空振りに終わるので、そのディアスでも三段攻撃の恩恵がない。
  • キャラの立ち絵のバリエーションが乏しい。
    • イベント時の会話で立ち絵が挿入されるのだが、表情の差分が少なくセリフの内容と一致しないことが多い。
    • パーティーメンバー以外の立ち絵には差分すら無く、常に固定の表情で会話を繰り広げる。なまじ主人公側に差分があるだけに余計違和感を覚えやすい。
    • またオプションで表示・非表示の切り替えができない。似た演出を使用していた同社の『ヴァルキリープロファイル』では可能だったのだが。
  • 一部立ち絵の選定がおかしい。
    • 主人公達の他にストーリーに関わる人物にも立ち絵が用意されているが、重要人物に立ち絵が無い一方でほとんど出番の無いような脇役にあったりなど、基準が分からない例が散見される。
      • 主にPAで関わるセリーヌと恋仲となる王子や、プリシスの父親はまだしも、メインストーリーで関わるレオンの両親やボーマンの妻、主人公達を逃がすために犠牲になる防衛軍の女隊長と言ったキャラにも無い。それなのに序盤に行く城下町の宿屋のおばさん*39や、野盗の下っ端にはあったりする。全体的に立ち絵のあるサブキャラはストーリー前半のキャラに偏っている。
      • 一方でプリシスの父親や王子と同様にPAにしか関わらない難病の少女にはあるのでは本当に基準が分からない。この少女は個別エンドがあるし漫画版でもストーリーに関わるのだが、それを言ったら王子も同じである。
    • それらを百歩譲って許したとしても、前作キャラであるロニキスに立ち絵がないのはどう考えてもおかしい。重要人物ではないとでも?*40
  • アニメの入れ場所。
    • 前作同様、ストーリーの随所でアニメが挿入されるのだが、10も無い貴重なアニメのうち2つも海上でのシン戦で使ってしまっている。
      • 一つ目の「シンがラクールホープをシールドでかき消す」ムービーは現在は勿論当時としてもかなりのローポリで描写されており、「08年の作品にはふさわしくない」として差し替えたのだろうとは思われる。
      • しかし二つ目の「シンがわーわー喚いて向かってくる」アニメは必要だったのだろうか?いっその事、ムービーをカットして普通のイベントに置き換えても良かったのではないだろうか。

総評(PSP版)

前作「1」のリメイク版の出来が良かっただけに期待されていたが、本作は作中でも「オラクル」で宣言している通り、リメイクと言うよりも移植に近い作品となった。
システム面においてはPS版に比べて改良はされているが、見逃せないバグや仕様変更が目立ち、避けて通れない道とは言え声優や絵柄の変更は古参ファンの不満になりやすい。
しかしPA追加やフルボイス化、新キャラの参戦など追加要素も少ない訳ではなく、ディスク交換の手間も掛からず、「フリーズしない」「持ち運び可能」と言ったようにPS版より優れた点は確かにある。
個人のプレイスタイル、絵柄や声の好みにもよるので、どちらが良いとは一概には言えないが、PS版未経験者にとっては上記の「PS版ファンにとっての不満点」はほぼ気になるものではなく、バグも少なくなった本作の方がとっつき易くなっているのは確かであると言えよう。


余談(PSP版)

  • 「十賢者」の顔グラフィックが全て判明する。が、リメイク前(公式4コマ漫画)とのイメージとの違い(特にミカエル)に戸惑いを覚えた人も少なくなかった。
    • 簡単に言ってしまえば「首から上が常に炎に包まれた状態で、顔の三分の一の皮膚が焼け落ちて顔筋や歯の一部が丸見え」というもの。ドット絵のデザイン(顔半分が白または灰色になっている)とはかなり違い、違和感も強い。
    • そもそも当時のデザインはスクエニにすらデータが殆ど残っていなかったらしく、新しく作り直すしか無かった模様である。十賢者の本来のイラストはもはや当時発売していたトレーディングカードでしか見られず、そのカードもスクエニには残っていないと言う(参照)。
    • 後年のスマホアプリ『スターオーシャン:アナムネシス』では旧作のキャラが多数登場するが、この作品では「過去作のキャラを登場させるにあたって、デザインは当時のものを踏襲する」という点は明確に拘られており、前述したレナやミカエルと言ったリメイクで大きくデザインが変わったキャラも旧デザインで描かれている。勿論、絵柄は現代風に描き直して違和感も解消されている。
  • プリシスは、PS版のキャラクターイラストではPSコントローラーを持っていたが、PSP版ではPSPを持った絵に変更されているなど、芸が細かい部分もある。
  • PSP版発売により「電撃「マ)王」にて再び漫画化された。タイトルはPSP版と同じく『スターオーシャン2 セカンドエボリューション』であり、作者はよしだもろへ氏。
    • オリジナル展開の多かった東まゆみ版に対し、比較的原作に沿った内容である。珍しくレナを主人公とした作品だが、基本的なキャラの役回りは他媒体とほぼ同様でクロードが前衛に立つヒーローであり、レナは殆ど戦わないヒロインとなっている。
      • ザフィケル戦で一度だけレナが反物質武器のグローブで正拳突きを喰らわせるシーンがあるので、全く戦わない訳ではない。…が、このシーンは他とのギャップが目立って浮いてしまっている。
    • 全三巻なので端折った個所も多いが、短期間でキャラの個性を描きつつ本編のシナリオを上手く要約しており、東まゆみ版と違ってエナジーネーデ編に突入しておりエンディングまで描ききっている。大胆なカットが多いシリーズのコミカライズの中でも、本筋の大部分を描けている珍しい作品である*41
    • また、ストーリーをコンパクトにした事で全体的に設定の入れ替えや削ぎ落しも見られ、その結果、原作で目立った伏線放置や平坦な展開、ツッコミ所などの粗が大幅に改善されており、一本の作品としてよくまとまったストーリーとなっている。尚且つ、十賢者の真実をストーリーに盛り込んでいる点も大きく評価できる。
  • PS版・アニメ版・PSP版のそれぞれで主要キャラのキャスティングが異なっている。元のキャストに慣れ親しんだプレイヤーには違和感があるが、新キャストの声質もキャラのイメージには合っているため、こだわりが無ければそこまで大きな問題はない。
    • エルネストとミカエルの声優の東地宏樹氏だけは、PS版・PSP版共に同じである。
    • また、アニメ版で主人公クロードを演じた優希比呂氏は前作主人公のラティをSFC版で演じており、媒体は違えど二作品続けての主人公役となった。
  • スクエニのATCG『LORD of VERMILION III』に今作の仕様でレナとアシュトンが参戦した。
  • 主題歌を担当したSCANDALは現在でこそ人気バンドであるが、本作の発売時点ではまだメジャーデビュー前であった。それどころか、主題歌「START」はSCANDALが1stインディーズアルバムを出したのとほぼ同時期の楽曲である。
    • 本作のサントラ以外では全く音源化されていない、非常にレアな楽曲でもある。


スターオーシャン2 セカンドエボリューション (PS3/PS4/PSV)

【すたーおーしゃん せかんどえぼりゅーしょん】

ジャンル ロールプレイングゲーム
対応機種 プレイステーション3
プレイステーション4
プレイステーション・ヴィータ
発売元 スクウェア・エニックス
開発元 ジェムドロップ
発売日 2015年10月28日
2015年12月24日(PS3版)
定価 2,100円(税別)
判定 劣化ゲー
ポイント バグや設定ミスが増加

概要(PS3/PS4/PSV)

PSP版の移植作品。『スターオーシャン5』の宣伝も兼ねて発売された。 移植はトライエースのプログラマーが独立した会社のジェムドロップが担当した。


PSPからの変更点

  • 主題歌歌手が双子のデュオ「Rina*Eri」にリニューアルされた。
    • OPアニメはPSP版と同じであるため、後付けとなった本作の主題歌とアニメの構成があまり合っていない気もするが、曲自体は良い物。
  • トロフィー機能に対応。
    • トロフィーの量は豊富で、フルプライスのゲームと同等のやり込み要素となっている。
  • ダウンロードコンテンツの追加。
    • 「獲得経験値3倍」「シークレットタレント全習得」「HP/MPが全回復」などのチート機能が追加された。

評価点(PS3/PS4/PSV)

  • 上記ダウンロードコンテンツの存在は、時間のかかるレベル上げをしたくない社会人や、倒しにくいボスを凌ぎたい初心者にとっては好評である。
    • だが、やり過ぎるとゲームバランスを壊してしまう恐れがあるので取扱い注意。
  • PSP版の長所はほとんどは据え置きである。しかし、移植に関して以下の劣化点がある。

PSPから劣化した点

  • 解像度に合わせたグラフィックが最適化されていない。
    • 全体的にPSP版の画面サイズをそのまま引き伸ばしたためか、フォント等の画質が悪く、アニメーションはボケてしまっている。
    • 3DCGを使用している場面ではテクスチャの貼り遅れやポリゴンの崩れが目立つ。
  • バグや設定ミスがPSPよりも増えた。
    • 有名なのはエクスペルのフィールドBGMが船のBGMになっている点。
      • 船のBGMも4拍子で割と壮大な曲であるため、フィールド曲としても不自然ではなく、未経験者にとっては違和感がないものではある。
      • しかし、エクスペルの元々のフィールドBGMもメロディが耳に残りやすい名曲であり、PS版・PSP版経験者にはやはり違和感が強い。
        仮に仕様だとしても変更の意図が不明であり、プレイヤーからはゲーム側の設定ミスではないかと推測されている。
    • PS4版の問題点は上記程度であり、普通に問題なく遊べる品質だが、問題なのはPSV版である。
      • PSV版は処理落ちが非常に目立ち頻繁にカクカクするため快適性が大きく損なわれており、PSPにはないフリーズも起こるようになった。
      • フリーズの報告はメテオスウォームを使う、キメラなどのモンスターに遭遇する、クラフトを使う等があるが、原因が不明なのであらゆる理由でフリーズする危険性がある。
    • その他、異常な音が鳴ったり、誤植があったり、文字化けしたり等、不備が多数報告されている。
  • DLCの問題。
    • ゲーム内ではDLCのON/OFFの切り替えが出来ない。そのため、DLC要素をダウンロードしたけど使わなくなった場合はソフトをまるごと削除した後にソフトだけダウンロードし直す必要がある。
      • PS4・PS5ではDLCは本体再インストール時にDLCは自動適用されるため、一度購入すると解除できない。公式に確認したところ、サブアカウントを作成&いつも使うPS4をオフにする、とのことらしいが…これを仕様と言い切るには無理があるのではないか。
    • DLCの1つに「シークレットタレント全習得」があるが、これをダウンロードすると、通常プレイでシークレットタレントを取得した時のスキルポイントの開花ボーナスが一切貰えなくなるため、最終的にスキルポイントの総数が通常プレイより低くなってしまう。

総評(PS3/PS4/PSV)

PS→PSP版の移植リメイクはファンの間で賛否両論ありつつも問題なく遊べたが、今作は移植作品としてはかなりお粗末な出来である。
PS4版は多少の劣化点・最適化不足こそあるが普通に遊べる出来のため、名作であるSO2を手軽に遊ぶ分には特に問題はない。
ただしPSV版は上記の理由で非推奨と言わざるを得ない。VITAで遊びたいなら、PS4版を買ってリモートプレイで遊んだ方がいいだろう。


余談(PS3/PS4/PSV)

PS5での正常な動作が保障されていないゲームの1つ。起動は可能なものの戦闘画面の下半分がバグるなどゲームの妨げになる現象が起こる。
PS5のストアでは非表示になっており、インストールしたければPCやスマホのブラウザかPS4のストアから購入する必要がある。
ただし現在は普通に表示されるようになっているため、ハード側のアップデート等で改善したのかもしれない。