スターオーシャン ブルースフィア
【すたーおーしゃん ぶるーすふぃあ】
ジャンル
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RPG
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 裏を見る
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対応機種
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ゲームボーイカラー(全GB共通)
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メディア
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32MbitROMカートリッジ
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発売元
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エニックス
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開発元
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トライエース
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発売日
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2001年6月28日
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定価
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5,800円(税抜)
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セーブデータ
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1個(バッテリーバックアップ)
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判定
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良作
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ポイント
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2作目『セカンドストーリー』の続編となる初の外伝 ゲームボーイの制約の中でシリーズらしさを発揮 前作プレイヤーへのファンサービスも 成長システムが独特でやや人を選ぶ
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スターオーシャンシリーズリンク
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概要
『スターオーシャン』シリーズの外伝作であり、2作目『スターオーシャン セカンドストーリー』(SO2)の後日談として発売された。
シリーズでは唯一、他作品と登場キャラクターを共有している作品である。
キャラクターデザインを当時、月刊少年ガンガンで『SO2』のコミカライズを担当していた東まゆみ氏が担当しており、同誌で特集が組まれていた。
シリーズの中では戦闘システムや成長システムにも独自要素の強い作品となっている。
ストーリー
宇宙暦368年。
惑星エクスペルとエナジーネーデを巡り、12人の英雄が宇宙の破滅を阻止してから2年の月日が経っていた。
ある日、クロードたちと共に地球へ留学していたプリシスは、未開惑星探索を続けていたオペラとエルネストの救援要請を受ける。
レオンとともに自作の宇宙船に乗り込み、エクスペルでかつての仲間たちと合流したプリシスは発信地点へと向かった。
目指すは未開の地、惑星エディフィス。英雄たちの新たな冒険が幕を開けようとしていた……。
システム
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フィールドアクション
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フィールド上で行う特殊アクション。ダンジョン攻略に必須となる。
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移動速度を上げる「ダッシュ」落とし穴を回避する「ジャンプ」ブロックを動かす「おす/ひく」など多彩。特定のキャラ専用のスキルも存在する。
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従って、今回はアクションとパズル的な要素を多分に含んだダンジョン探索となる。
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戦闘システムはハード性能を考慮して横スクロールの2Dバトルに変更された。
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戦闘メンバーは3人まで。戦闘中も自由に操作キャラを変更する事が可能で、操作キャラが戦闘不能になってもすぐ他のキャラに切り替えることが出来る。
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必殺技や紋章術を使用する際は画面が停止するセミリアルタイムになっている。
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エンカウント方式はシンボルエンカウントを採用。Aボタンで武器を振って当てると先制が可能になっている。
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一部イベントでは、先頭キャラ次第でボスの不意打ちを防ぐなど、キャラの特性を活かしたものもある。
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本作ではレベルが存在せず、スキルを習得する事でステータスも成長していく。
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スキルを成長させるために必要なスキルポイントはパーティ全員で共有されている。
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スキルには「技術スキル」「感覚スキル」「戦闘スキル」「知識スキル」の4つの分類が存在し、「技術」と「感覚」、「戦闘」と「知識」は相反関係になるため全てのスキルを習得することは出来ないようになっている。
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特定のスキルの組み合わせにより特技の加え、必殺技や紋章術を習得できる。
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この他、アイテムクリエーション(IC)、プライベートアクション(PA)といったおなじみのシステムも健在。
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ICはミニゲーム形式になり、成績によって成功率が変わるようになっている。
評価点
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育成の自由度の高さ。
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最初からパーティメンバーが多いため、自由な組み合わせ・育成を楽しむ事が出来る。
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前作の仲間全員が登場する関係から、前作では組めなかったパーティを組む事も可能。
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一応、最初はプリシスの視点から始まるが、以降は自由に編成可能。
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相変わらず戦闘システムの評価は高い。
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ハード性能上、声を収録できなかったが、戦闘開始時や必殺技使用時に画面下のウインドウにセリフを表示することで補っている。
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攻撃はボタン一つで制御するシンプル操作であるが、敵をヒットバックさせている最中にあえて次の攻撃までの間を入れることで
敵との距離を調整し色々な技を出し分けることも可能。「戦闘」のスキルを成長させることによりヒットバックを延長させることも可能になる。
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美麗なグラフィック
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モノクロGBの中では最大容量となる32Mb(メガビット)ROMを採用しており、グラフィックの水準は非常に高い。
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2年前にコナミが開発した『ときめきメモリアルPOCKET』にも匹敵するレベルの書き込み様。
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特に戦闘中は、キャラクターがかなりぬるぬる動き、プレイヤーを楽しませてくれる。
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また、物語の随所にゲームボーイと思えない程の美しさを誇るアニメーションシーンが挿入されている。
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BGMもおなじみ桜庭統氏が担当。GB音源でも一発で分かる特徴的な曲調は健在。
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特に通常戦闘曲の「Hand to Hand」は氏のお気に入りで、ライブでも演奏されている人気曲である。
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アレンジアルバムも発売されており、こちらでは据置シリーズと遜色ないクオリティで楽しむことが出来る。
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本家SO2プレイヤーへのファンサービス。
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本家ではパーティー人数の上限や二者択一の加入条件などで仲間キャラを全員揃えることが出来なかったが、本作では全員仲間になったという設定である為、12人全員を使用することが出来る。
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2年前に宇宙を救った仲間たちが一堂に会するシチュエーションで、さながら同窓会のような雰囲気は本家ファンには嬉しい。
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SO2からの2年間をメンバーがどう過ごしていたのかを説明するショートストーリーも全員分用意されており、タイトルからのデモ画面で参照可能。その過程や変化を辿れて楽しい。
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但し、それに伴って、80以上のマルチエンドだった本家のエンディングの方向性がある程度固定された。続編を作る以上仕方なくはあるが、本家でBSのストーリーとは全く違うエンディングを迎え、それに思い入れのあった人は残念に思うかもしれない。
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PAも豊富に用意されている。
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今作では特定のキャラをパーティに入れているか否かで発生するPAが多いので色々なメンバーで探索したくなる。
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シリーズおなじみの旅人ラドルも登場する。
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本家では描かれなかった思わぬカップリングの会話も…?
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旧作と違って街の入り口で解散する訳ではなく、条件を満たしたイベントがそれぞれの発生場所で発生するというもの。
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クリア後の隠しダンジョンもしっかり完備。
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本家の「試練の洞窟」は「シレン遺跡」と名を変えて登場。敵が強いのは勿論、逃走不可、セーブ不可と、ただでさえ難易度の高い本作において容赦の無い試練を与えてくれる。
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携帯機ゆえ、いつでもセーブが可能で手軽にプレイ出来る。
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もっとも、後述のような問題点もあるので一概に良点とは言えないかもしれないが。
賛否両論点
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キャラクターを万能化できず、どのキャラもいずれかの能力や技を捨てなければならない。
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特に戦闘とICは基本的に両立できず、両方よくできるキャラクターは作れないため、自分の手でいずれかを切り捨てる必要が出てくる。決して悪い仕様という訳ではないのだが、一般的なRPGのやり込み感覚とは相容れず、やや人を選ぶ。
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これが後述の「難易度が高め」の項にも繋がってくる。ただ、中途半端な育成でもクリアは十分に可能。
問題点
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システム上、パーティメンバーが固定になりがち。
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ノエルは最序盤から加入する回復役であり、まず誰もがパーティにいれているほどであった。
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アシュトンは障害物排除や敵への不意打ちでゲームを進めるために非常に有用。本作のアシュトンはかなり強い為、戦闘でもMAPでも活躍できる。その為、多くのプレイヤーがこの2名+誰か、というパーティになりがちだった。
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この煽りを受けやすいのが加入の遅いオペラ、エルネスト、クロード、レナ。特にクロードとレナはPAを起こさないと仲間に出来ないため冷遇ぎみになっている。
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おまけにクロードは本家主人公であるにもかかわらず性能がピーキーでやや使いにくい。
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ただしレナは回復要員としての性能はノエルより上なので、隠しダンジョン攻略の際には育てる人も多い。
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本家SO2同様に期間限定のPAも多数。中には「とある街についてからイベントを起こすまで」というかなりの短期間でしか発生しないものがあり、しかもそのPAでは強力なアイテムが手に入る為、取りのがすと損をする。
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しかも今回は発生場所が広範囲に渡る上にメンバー編成も条件になっている為、探すのも一苦労である。
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難易度が高め。
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ダンジョンが複雑になっており、フィールドアクションが必要なこともあってシリーズの中でも攻略難易度が高めな傾向にある。終盤のダンジョンにいたってはもはや迷路であり、攻略本がないとアイテムを集めきるのはほぼ不可能といってもいいレベル。
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スキルシステムも非常に複雑。同じスキルでもキャラによって習得できるスキルのレベルや条件が違う上に、キャラによっては必殺技や呪紋を覚えるための条件があるのだが、それらは悉くゲーム内ではノーヒント。戦士系キャラはまだしも、攻略本や攻略サイトはほぼ必須といえる。
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セーブデータも1つしか残せないため、成長のさせ方を間違うとフォローがしにくい。
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序盤で唯一回復紋章術を使えるため入れていたはずのノエルが「ヒール」しか使えなくなってしまうという事態も。剣士系キャラ(特にディアス)にはMPが大きく成長する『覚醒』のスキルを取らせないと、MPが低い状態での戦闘を強いられる。
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今作では装備品はICで製作しないとならないため、IC専門キャラと戦闘専門キャラを決めて育てていかないといつまで経っても上級装備や必殺技が手に入らない事態に陥る。
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IC「錬金」の難易度がべらぼうに高い。最高素材の「ブルースフィア」に至っては、攻略本いわく
開発まわりでもたった1回しか成功しなかったほど
だとか。
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ICの「サイコメトリー」によって、各キャラごとに必殺技を覚えられるのだが「サイコメトリー」を行うためには「ブルースフィア」と交換するキャラ毎の専用武器が必要となる。「ブルースフィア」の入手条件がべらぼうに厳しい上に、必殺技を覚えると専用武器は消滅してしまう。また、一部キャラの専用武器は取り直すことができない。
その為、「サイコメトリー」で覚える必殺技は見た事がないプレイヤーも多い。
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外伝ということもあってか、ストーリーは淡泊。
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本家もストーリー面はあまり褒められたものではなかったが、本作のシナリオもまた薄め。
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未開惑星に降り立った主人公達が各地で遺跡を探索したり事件を解決し、やがて惑星を脅かす存在と戦うことになる…という、ありふれた内容である。
大きな破綻や矛盾がある訳ではないが、張り巡らされた伏線や人間ドラマと言った要素は殆ど無い。
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一応、女性が悪役というSOシリーズでは珍しいシチュエーションや、敵側の思惑とそれについてのエンディングのメッセージなどの見所はあるが、基本的には淡々としたダンジョン探索とマップ移動の繰り返しで、イベントも全体的にあっさりしている。
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パーティ編成が自由である為、プレイヤー側のドラマを描きにくいのも一因か。
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また、メンバーの同窓会のような雰囲気は悪い言い方をすればアンソロジーか二次創作のような雰囲気でもあり、本家と比べると違和感を覚えることも。
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PAにあまり意味が無い。
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一部には強力なアイテムが貰えるケースもあるが、今作には感情度が無い為、基本は会話イベントがあるだけである。
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本家に関する会話が多く、どちらかと言うと本家ファンへのファンサービス的な側面が強い。その為、前作未プレイの人にはわかりにくい部分も。
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感情度が無いのでエンディングも分岐しない。エンディングではメンバーが二人ずつペアとなって会話をするが(ボーマンとノエルだけソロ)、そのペアも固定であり、本編シリーズのような広がりは無い。
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ちなみにペアはクロードとレナ、アシュトンとプリシスなど、本家から仲が良かったり繋がりが深いキャラが選ばれているが、中にはディアスとチサトと言う微妙なペアも(もちろん、本家で組み合わせることは可能で、この組み合わせのEDのチサトはレナ並みに優遇されている)。
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一部のイベントで、使っているゲームボーイ本体次第で取れるアイテムが変わる箇所がある。
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これがどのイベントも古い機種ほど良いアイテムが貰えるというものであり、その一つである「ブルースフィアを貰える隠し部屋」には昔のゲームボーイやゲームボーイポケット、スーパーゲームボーイでプレイしないと入ることができない。
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攻略本曰く「このためだけに昔のゲームボーイひっぱりだしてほしい」との事。GBAやGBCしか持っていないプレイヤーには困りものである。
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当時は既にGBAが発売されており、旧式のGBは下火となっていた。本作はエニックス最後のGBソフトであり、同時にエニックス最後の8bit用ソフトであることなどから、これらはゲームボーイ(8bit機)そのものや古参プレイヤーへの感謝の意味があったとの事。
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その為、GBソフトはGBC専用が大半だった当時において、全てのゲームボーイでプレイが可能である。
総評
外伝ゆえの個性的なシステムや育成の自由度などが評価された良作RPG。
難易度の高さなども裏返せばやりがいがあり、戦闘で100コンボを目指したり最速クリアを目指すなどやりこみプレイヤーから高評価を得た。
一方でストーリーは薄味なので、好評だった前作のキャラゲーとしての面も強く、前作ファン向けの内容と言える。
メディア展開
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月刊少年ガンガンで水城葵(現・米山シヲ)氏によるコミカライズが連載された。
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前述の東まゆみ氏による『SO2』はエクスペル編で終了してしまったが、こちらはオリジナル展開が多いものの最後まで描かれ無事完結している。
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ちなみになぜキャラデザの東氏でなく当時新人だった水城氏が担当したのかと言うと、当時はいわゆるエニックスお家騒動の直後で、東氏がマックガーデンへ移籍してしまったためである。
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尚、こちらには『SO2』で生死不明のまま終わったロニキスが登場している。
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しかし、『SO3』発売時に年表にて「宇宙船カルナス消滅」と記述され、ロニキス死亡が公式設定になってしまった為、単行本では別人に置き換えられている。
移植
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2009年にグラフィックを一新したリメイク版が携帯電話向けアプリとして配信されている。
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現在はガラケーの衰退に伴い、配信終了しておりプレイ不可能。何らかの形で復刻もしくはリメイクして欲しいところである。
余談
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本作のNPCの顔グラフィックに漫画『浦安鉄筋家族』の主人公「大沢木小鉄」に類似したものが存在している。
最終更新:2024年04月02日 17:06