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シルバー事件 - (2017/06/25 (日) 23:14:44) の編集履歴(バックアップ)
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シルバー事件
【しるばーじけん】
ジャンル
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アドベンチャー
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対応機種
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プレイステーション、Windows、Mac
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発売元
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アスキー アクティブゲーミングメディア(HDリマスター版)
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開発元
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グラスホッパー・マニファクチュア アクティブゲーミングメディア(HDリマスター版)
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発売日
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1999年10月7日
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定価
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5,800円(税抜)
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配信
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ゲームアーカイブス:2008年12月10日/600円 Windows/Mac(Steam):2016年10月6日/1,980円
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判定
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良作
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ストーリー
カントウ国家経済行政特別自治区「24区」は、環境から住人にいたるまで、すべてが計画的に作り上げられた都市である。
だが24区内では経済格差と情報格差が生じ、犯罪発生件数は著しく増加している。
1999年。謎の連続殺人事件発生。
24署凶悪犯罪課の刑事たちは、ある犯人像 ─20年前に政府の要人たちを次々と暗殺したと言われている伝説の殺人鬼・ウエハラ カムイ- に行きあたる。
だがカムイの実像を知るものは誰もいない。
果たしてカムイは復活したのか? そして、伝説の殺人鬼・カムイとは何者だったのか?
主人公・アキラは全滅した公安特殊部隊の生き残り。
凶悪犯罪課に転属された彼は、24署の刑事たちと様々な事件の捜査に加わりながら、ウエハラ カムイの実像と24区という都市、そして自分自身の出生の秘密に近づいていくことになる。
概要
海外で有名なゲームクリエイター、須田剛一率いるグラスホッパー・マニファクチュアが制作したアドベンチャーゲーム第一作目。
グラフィック、セリフ、BGMからシナリオに至るまでとにかくセンスの塊の様なゲームといえる。
フィルム・ウィンドウと呼ばれる独自のシステムによって作られた、非常にスタイリッシュなヴィジュアルが本作をより個性的な作品にしている。
ゲームは基本的に読み進めていくだけで進行する完全な一本道でエンディングも一つである。
「トランスミッター」と「プラシーボ」で、一つの事件を二人の登場人物の別々の視点から見た物語がそれぞれ用意されている。
特徴
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「トランスミッター」全6話
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凶悪犯罪課の主人公達が直面する事件を描いたシナリオ。
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ゲーム内においては表のシナリオとなっており、必ずプレイする必要がある。
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主人公は一応20代男性でおおまかな経歴など用意されているものの、ゲーム中は一切台詞を発さず感情表現をしない。「ポートピア」など昔ながらのADVでお馴染み「主人公=プレイヤー」である。名前入力を要求される。体験版・サウンドトラック等によるとデフォルトネームはアキラ。
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「プラシーボ」全5話
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トランスミッターで起こった事件をジャーナリスト、モリシマ・トキオの視点から描いたシナリオ。
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トランスミッターをクリアすると、それに対応したプラシーボがプレイ可能になる。こちらのプレイは強制では無いので、読み飛ばす事も可能。
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前述のトランスミッターの主人公とは異なり、モリシマ・トキオは一人の人格としてプレイする。トランスミッターで起こった事件をトキオが一般市民の視点から探究・解説するシナリオとなる。この為、トキオが興味を示さない事件や知りえない事柄に関しては当然スルーされる事となる。
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複雑なシナリオ
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「トランスミッター」「プラシーボ」両サイドをクリアしても、シナリオ全体を理解するのは容易ではない。作中で語られない謎が多々存在する。
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3Dパート
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基本的にテキストを読み進めることでゲームは進行していくが、合間合間で3Dの主観視点で主人公を操作するパートがあり、さらに1エピソードにひとつの割合で謎解きの要素も含んでいる。ただしこの謎解き、驚くべきことに説明書にそのものずばりの答えが書いてある(つまり本作ではそのような「ゲーム的な」謎解きは極限まで軽視されている、ということだ)。
評価点
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フィルム・ウィンドウ
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画面内に複数のウィンドウを表示し、場面ごとにそれらの表示位置や大きさを変える手法。このインターフェイスにより、独特な躍動感や緊張感が生まれている。
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従来のADVゲームやノベルゲームでは、例えば「上3分の2に背景とキャラ、下に台詞のウィンドウ」と決められた場合、ずっとその固定された画面の上で演出が進行することがほとんどである。
が、本作は場面ごとに「画面左上に大きく走る車のCG、右に縦長に乗車しているキャラのグラフィック、下に台詞」あるいは「左上と右下にキャラのアップ、左上と左下に台詞」など、自由にウィンドウを配置することでより先鋭的な演出を実現しているのだ。
またそのウィンドウ内に書かれるものも、台詞やキャラグラフィックや3DCGのみならず、いまプレイヤー視点の人物が見ているウェブサイトの映像、実写によるムービ――など、様々な手法が用いられる。正直なところ、説明されてもあまりピンとこないであろうが、触れればその斬新さはわかると思われる。
問題点
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3Dパート
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当時としてでも出来があまりよくない。特にマップの出来は悪い。
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移動がもっさりしており、手間がかかる。
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テンポが悪い
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最初から「B5B2B5B2B5B2B5B2」などの長いパスワード入力するなど助長すぎる謎解きがある。
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中盤に100問のクイズを行う、助長でしかないうえにしかも本編とは全く関係ない
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いちいち画面が変わる事に日付、場所の説明が出る。
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特に「#5ライフカット」のシェルターは1~10のサンカクトウのすべての部屋を調べるという場面がある。
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前述の移動面の遅さから考えると苦痛でしか無い探索要素である。
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「プラシーボ」
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舞台が部屋ばかりで動きが無く、飽きやすい。
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取材や捜査などがいつもまにか終了しているなど描写不足がある。
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システム
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同じPSのADVの街などと比べるとバックログ、オート再生が搭載していない。
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早送りはできるが一定部分でしか、早送りできず停止してしまう。
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セーブは固定の場所でしか出来ず、好きな時にセーブできない。
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メモリーカードが1スロットしか認識しない
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説明不足なシナリオ
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最後まで明かされない謎が存在すること、説明書で登場人物として記載されているキャラクターがゲーム中に登場しないこと、説明されない専門用語が多すぎることなどシナリオの完成度は高くない。
総評
「万人受けしないゲーム」――この表現は世にありふれている。が、本作こそが真にその形容にふさわしい。
ADVゲームとして説明不足かつあまりに複雑なシナリオであり、またインターフェイスはすぐに改善点が思いつく域でお粗末。人によっては駄作の評価を下す可能性すらある。
しかし、にも関わらず。本作は一握りの人間に対して、強烈な印象を与えるのだ。Webで検索してみれば何人もの人が本作に入れ込み、ファン(文字通り「狂ったように信奉する人間」)となっている事がわかるが、これは微力ながらも本作が持つ多くの欠点を覆してなおそこに魅力があるのだという証拠になるだろう。
この魅力を言語化するのは難しいが、最初のほうにある「センス」という単語は大きな要素になる。少なくとも、本作をプレイしていない人間は体験したことのないであろう世界を、台詞のひとつ場面ひとつにまで感じられる、ということは確約できるのだ。一度はその、時には軽妙時には深い台詞回し、類型を脱したキャラクタたち、印象に残る世界観とシナリオ――に触れてみてはいかがだろうか。もしかすると、「シルバー事件」はあなたに大きな爪あとを残すかもしれないのだから。
HDリマスター版
17年の時を経て、2016年にWindows向けのHDリマスター版『
The Silver Case
』としてSteamで配信が開始された(日本語・英語両対応)。
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有料DLCとしてエクストラコンテンツも同時配信されており、そちらにはアートワーク・デジタルコミック・オリジナルサウンドトラックが収録されている。
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HDリマスター版の製作はオリジナルスタッフ監修の元、日本のインディPCゲームDL販売サイト「PLAYISM」の運営も行っているアクティブゲーミングメディアが担当。
関連作品
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シルバー事件25区
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1999年に発売されたPS用ソフト『シルバー事件』のスピンオフとなる携帯電話用コンテンツ。2005年10月3日から配信が開始され、2007年3月に一旦終了。同年12月以降は「ケータイ用アドベンチャーゲーム統合サイト アドベンチャーポータル」で配信が再開されている。
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花と太陽と雨と
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2001年にPS2で発売されたシルバー事件の続編にあたるアドベンチャーゲーム。シルバー事件とは違い謎解きがメインとなっている。ゲーム内容はまったく異なるが、後半では本作との明確なリンクが提示され、同一世界の物語であることがわかる。
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花と太陽と雨と 終わらない楽園
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ムーンライトシンドローム
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1997年に発売されたPS用ソフト。HDリマスターのデジタルコミックにて同一の世界の物語であることがわかる。